説明

音声レコーダ

【課題】小型でありながら、多様なシーンに対応可能な音声レコーダを提供する。
【解決手段】音声レコーダ10は、レコーダ本体10と一対のマイクユニット14とに大別される。各マイクユニットは、レコーダ本体12の上面に平行な平面内で回動自在のホルダ22と、単一の指向性を有するマイク24と、を備える。マイク24は、二つのホルダ22の長軸がレコーダ本体12の長軸に対して略平行となる初期姿勢において、その指向軸Kが他方のマイク24の指向軸Kと交差するように、ホルダ22の長軸に対して指向軸Kが傾斜した姿勢で当該ホルダ22の内部に設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つのマイクを介して音声を集音してステレオ録音する携帯型の音声レコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市場には、ステレオでの録音が可能な携帯型の音声レコーダが多数流通している。こうした音声レコーダの多くは、縦長の略矩形の本体と、二つのマイクと、を有している。このように二つのマイクを設けることで、ステレオでの録音が可能となる。また、多くの場合、収納性や見た目の安定感などの理由から、二つのマイクは、レコーダ本体の短辺から突出する形で配置されることが多かった。
【0003】
しかしながら、こうした従来の音声レコーダの多くは、隣接する二つのマイク間距離が小さいため、ワイドなステレオ感を得ることが難しく、様々なシーンに対応し難いという問題があった。すなわち、一人のボーカルの歌声のように比較的、狭い範囲から出力される音声を録音する場合には、小さいマイク間距離でステレオ録音することが望ましいとされている。したがって、かかる場合には、従来の音声レコーダでも好適な録音が可能となる。一方、オーケストラのように比較的、広い範囲から出力される音声を録音する場合には、マイク間距離が小さいと、音の広がりを十分に捉えることが難しい。さらに、二つのマイクが近接された状態では、会議などのように様々な場所(人)から音が出力される場合にも好適に集音することは難しい。つまり、マイク間距離が小さい従来の音声レコーダでは、好適に録音できるシーンが限定されるという問題があった。
【0004】
そこで、従来から、二つのマイクの距離や姿勢を可変し得る音声レコーダが多数提案されている。例えば、レコーダ本体の上面と略平行な方向を水平、レコーダ本体の上面に直交する方向を垂直方向と規定した場合、特許文献1,2には、二つのマイクが垂直軸回りに回動し得る音声レコーダが開示されている。また、特許文献3,4には、二つのマイクを水平軸回りで揺動できる音声レコーダが開示されている。さらに、特許文献5には、二つのマイクが水平軸回りおよび垂直軸回りに回動する音声レコーダが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−311802号公報
【特許文献2】実開昭58−161387号公報
【特許文献3】特開2007−43510号公報
【特許文献4】特開2004−254074号公報
【特許文献5】特開2007−214914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2では、各マイクの指向軸が当該マイクを収容するホルダ(あるいはマイクロホンユニット)の長軸に平行になるように設置されている。この場合、二つのマイクの指向軸を交差させるためには、二つのホルダを内側に回動させる必要がある。逆に言えば、特許文献1,2において、二つのマイクの指向軸を交差させるためには、二つのホルダ間に、内側への回動を許容するだけの間隔を設ける必要、ひいては、レコーダの短片を必要以上に長くする必要があり、レコーダ本体の大型化を招くおそれがあった。また、特許文献1,2では、マイクを垂直軸回りにしか回動できないため、より多様なシーンに対応することは困難であった。
【0007】
また、特許文献3,4に開示の音声レコーダは、いずれも、マイクを水平軸回りにしか揺動できないため、より多様なシーンに対応することは困難という問題があった。また、特許文献3において、マイクを揺動させる際の揺動軸は、マイクホルダの長軸とは異なっている。そのため、マイクホルダを揺動させると、当該マイクホルダがレコーダ本体の厚みを超えて突出し、装置が大型化しやすいという問題があった。さらに、特許文献4は、マイクロホン構造体がレコーダ本体に完全に組み込まれているため小型化という問題は避けることができるが、揺動範囲が約90度に限定されるという問題があった。
【0008】
特許文献5でも、回動に伴いマイクホルダがレコーダ本体の厚みを超えて突出するため、装置が大型化しやすいという問題があった。
【0009】
そこで、本発明では、小型でありながら、多様なシーンに対応可能な音声レコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の音声レコーダは、略矩形の本体と、前記本体の一辺から突出し、互いに近接配置された一対のマイクユニットと、を備え、各マイクユニットは、前記本体の上面に平行な平面内で回動自在のホルダと、単一の指向性を有するマイクであって、二つのホルダの長軸が前記本体の長軸に対して略平行となる初期姿勢において、その指向軸が他方のマイクの指向軸と交差するように、前記ホルダの長軸に対して指向軸が傾斜した姿勢で当該ホルダの内部に設置されるマイクと、を備えることを特徴とする。
【0011】
好適な態様では、各ホルダは、さらに、当該ホルダの長軸周りにも回動自在である。また、前記二つのホルダは、前記本体の一辺の両端近傍である角部近傍に設けられた軸を中心に平面内で回動する、ことも望ましい。さらに、前記一対のマイクユニットは、略矩形の前記本体の短辺から突出しており、前記短辺は、マイクユニットの幅の2倍相当の長さである、ことも望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マイクがホルダに対して傾斜した状態で設置されており、かつ、ホルダが本体の上面に平行な平面内で回動自在であるため、レコーダ本体の幅を小さく抑えつつ、多様なシーンに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態である音声レコーダの斜視図である。
【図2】マイクユニット周辺の概略上面図である。
【図3A】マイクユニット周辺の概略上面図である。
【図3B】マイクユニット周辺の概略上面図である。
【図4A】従来の音声レコーダにおけるマイクユニット周辺の概略上面図である。
【図4B】従来の音声レコーダにおけるマイクユニット周辺の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態である音声レコーダ10の斜視図である。また、図2は、マイクユニット14a,14b(以下、二つを区別しないときは添字a,bを省略し「マイクユニット14」という。他部材も同様)周辺の概略上面図である。なお、以下の説明では、レコーダ本体12の上面とほぼ平行な方向を水平方向、上面に略直交する方向を垂直方向とよぶ。
【0015】
この音声レコーダ10は、二つのマイクユニット14で集音した音声を、デジタル信号化した上で、不揮発性メモリなどの記憶媒体に記録する装置である。本実施形態の音声レコーダ10は、略矩形のレコーダ本体12と、当該レコーダ本体12の一短辺から突出配置された一対のマイクユニット14と、に大別される。
【0016】
レコーダ本体12は、全体としてほぼ扁平で、縦長の直方体形状となっている。このレコーダ本体12の内部には、マイクユニット14によって集音された音声に対して各種信号処理を施す電子回路や、記憶媒体としての不揮発性メモリ、電池などの電源などが内蔵されている。なお、電子回路の中には、後述するマイク24の相対位置関係において各種信号処理の内容を切り替えるコントローラなども含まれる。レコーダ本体12の表面には、ユーザからの指示を受け付けるための複数の操作ボタン16や、ユーザに各種情報を提示するための液晶パネル20などが設けられている。さらに、レコーダ本体12の側面にも、操作ボタン16や、複数の端子穴18などが設けられている。
【0017】
一対のマイクユニット14は、この縦長のレコーダ本体12の上端辺である一短辺から突出する形で隣接設置されている。各マイクユニット14は、実際に音声を集音するマイク24と、当該マイク24を保持するホルダ22と、に大別される。
【0018】
マイク24は、単一性の指向性を有しており、その指向軸Kがホルダ22の長軸に対して傾いた状態でホルダ22内に設置されている。この指向軸Kの傾斜角度は特に限定されないが、本実施形態では、後述する初期状態において二つのマイク24の指向軸Kが直交するべく、ホルダ22の長軸に対する指向軸Kの傾斜角度が約45度になるようにマイク24を傾斜設置している。
【0019】
ホルダ22は、マイク24を保持する部材である。このホルダ22(22a,22b)は、レコーダ本体12の角部近傍に設けられた垂直軸m1を中心としてそれぞれ独立して水平面内で回動自在、かつ、ホルダ22の長軸(水平軸m2)を中心としてそれぞれ独立して回動自在となっている。
【0020】
より具体的に説明すると本実施形態のホルダ22は、マイク24を内蔵する略矩形の空洞体26と、当該空洞体26とレコーダ本体12とを連結する連結体28とに大別される。空洞体26は、マイク24が内蔵される略矩形の中空部材で、その厚みはレコーダ本体12の厚みとほぼ等しく、また、その幅はレコーダ本体12の短辺長さの1/2とほぼ等しい。したがって、図2に図示するように、二つのホルダ22を隣接するように並べたとき、当該二つのホルダ22はレコーダ10の幅内かつ厚み内に納まることになる。
【0021】
連結体28は、このホルダ22をレコーダ本体12に連結する部材で、その基端は、レコーダ本体12の角部近傍に設けられた垂直軸m1回りに回動自在に取り付けられている。また、連結体28の他端には、マイク24を内蔵する空洞体26が水平軸m2回りに回動自在に取り付けられている。つまり、本実施形態によれば、ホルダ22は、垂直軸m1回りおよび水平軸m2回りの二軸での回転が可能となっている。なお、各軸での回動範囲は、機構的に許容されるのであれば特に限定されないが、本実施形態では、垂直軸m1回りに約90度、水平軸m2回りに約90度回動できるようにしている。
【0022】
また、以下の説明では、図2に示すように、二つのホルダ22の長軸がレコーダ本体12の長軸と平行であり、かつ、ホルダ22の上面がレコーダ本体12の上面とほぼ平行となる状態を「初期状態」と呼ぶ。そして、本実施形態では、この初期状態において、二つのマイク24の指向軸Ka,Kbが略直交するような姿勢、いわゆるXY配置となる姿勢で、各マイク24をホルダ22内に設置している。
【0023】
このように構成されたレコーダ10は、小型でありながら、多様なシーンに対応することが可能となる。すなわち、好適にステレオ録音するためには、録音対象である音源の状況に応じて、二つのマイク24の相対的位置関係を適宜変更することが望まれている。
【0024】
例えば、一人のボーカルの歌声のように比較的狭い範囲から出力される音源を録音する場合には、二つのマイク24が近接し、かつ、その指向軸Kが直交した状態で録音することが望ましいとされている。一方で、オーケストラのように比較的広い範囲から出力される音源を録音する場合には、二つのマイク24の指向軸Ka,Kbが、大きく広がることが望まれている。さらに、会議のように多方向から音声が出力される場合には、マイク24の指向軸Ka,Kbも多方向に向くことが望まれる。
【0025】
本実施形態のレコーダ10によれば、こうした様々な状況に対応することができる。すなわち、一人のボーカルの歌声のように比較的狭い範囲から出力される音源を録音する場合には、図2に示すように、二つのホルダ22の長軸がレコーダ本体12の長軸と平行であり、かつ、ホルダ22の上面がレコーダ本体12の上面とほぼ平行となる初期状態にすればよい。この初期状態においては、二つのマイク24が近接し、かつ、その指向軸Ka,Kbが直交するため、奥行き感をもって音声を録音することができる。
【0026】
一方、オーケストラのように比較的広い範囲から出力される音源を録音する場合には、二つのホルダ22を、互いに離れる方向に水平面内で回動させ、両ホルダ22の成す角度が90度超過、望ましくは180度となる位置まで移動させればよい。すなわち、図3Aに図示するような状態にすればよい。かかる状態にすることで、二つのマイク24が離れ、二つの指向軸Ka,Kbがより大きく広がる。その結果、オーケストラのように比較的広い範囲から出力される音声をワイド感をもって録音することができる。
【0027】
なお、このように両ホルダ22の成す角度を90度超過とした場合、二つのマイク24a,24bの捉える音声が左右反転することになる。すなわち、初期状態において、左側の音声を集音するLマイクとして機能していたマイク24aは、図3Aの状態では右側の音声を集音するRマイクとして機能する。同様に、初期状態において、右側の音声を集音するRマイクとして機能していたマイク24bは、図3Aの状態では左側の音声を集音するLマイクとして機能することになる。
【0028】
このようにマイク24a,24bの捉える音声が左右反転したにも関わらず、マイク24a,24b後段の信号処理を変化させなければ、当然ながら、適切な音声録音は出来なくなる。そこで、本実施形態では、予め各ホルダ22の回動角度を検知するセンサ(図示せず)を設けておき、二つのマイク24a,24bの指向軸Ka,Kbの向きをモニタリングするようにしている。そして、二つのマイク24の指向軸Ka,Kbの向きが左右反転した場合、コントローラは、ユーザにアラームを通知し、LRの反転操作を促す。この通知を受けて、ユーザが操作ボタン16を操作してLRの反転を指示した場合には、コントローラは、マイク24aからの出力信号を右チャネルの音声信号として、マイク24bからの出力信号を左チャネルの音声信号として、記憶するように信号処理を変化させる。逆に、二つの指向軸Ka,Kbの向きが左右元に戻れば、コントローラは、再度、アラームを通知し、再度のLR反転操作を促す。この状態で再度、ユーザからLRの反転が指示された場合には、コントローラは、マイク24aからの出力信号を左チャネルの音声信号として、マイク24bからの出力信号を右チャネルの音声信号として、記憶する信号処理に戻す。かかる構成とすることにより、マイク24の相対位置関係が可変したとしても、適切にステレオ録音できる。
【0029】
なお、本実施形態では、ユーザによる手動操作でLRの反転を実行しているが、レコーダ10内部で自動的にLR反転を実行するようにしてもよい。すなわち、センサで検知された二つのマイク24の指向軸Kの角度に応じて、コントローラ側で、各マイク24からの出力信号を右チャネル・左チャネルのいずれとして処理するかを判断し、実際の信号処理の内容を自動的に切り替えるようにしてもよい。
【0030】
次に、会議や討論会のように多方向から音声が出力される場合を考える。このような場合には、音声が不特定方向から出力されることが多いため、的確な集音・録音を行うためには、マイクの指向軸を水平方向だけでなく、垂直方向(高さ方向)にも調整する必要がある。よって、かかる場合には、例えば、図3Bに図示するように、二つのホルダ22をそれぞれ水平方向に90度回動させた後、さらにマイク24の指向軸Kが斜め上方を向くようにホルダ22を水平軸m2回りに90度回動させればよい。この状態にすることで、レコーダ本体12の周囲の音声を的確に捉えることができる。また、ホルダ22a,22bは、垂直軸m1および水平軸m2を中心として、それぞれ独立して回動できるため、集音方向を録音環境に応じて自在にセッティングすることができる。その結果、会議や討論会のように不特定方向から音声が出力される場合でも、的確な録音が可能となる。
【0031】
以上の説明から明らかなとおり、本実施形態によれば、適宜、二つのマイク24a,24bの相対位置関係を可変できるため、様々な状況においても的確な録音が可能となる。
【0032】
ところで、上述の説明で明らかなとおり、本実施形態では、マイク24を、ホルダ22に対して傾斜して設けている。かかる構成とすることで、レコーダ10の更なる小型化が可能となる。これについて、特許文献1,2に開示の従来技術と比較して説明する。特許文献1,2に開示のレコーダ10では、図4A、図4Bに図示するように、ホルダ22の長軸とマイク24の指向軸Kとが平行になるようにマイク24が設置されている。かかる構成でも、ホルダ22を水平面内で回動させることで、狭い範囲から出力される音声の録音に適した二つのマイク24が近接かつ指向軸Kが交差した状態、いわゆるXY配置の状態(図4Aの状態、奥行き感重視の状態)や、広い範囲から出力される音声の録音に適した二つのマイク24が離れた状態(図4Bの状態、ワイド感重視の状態)を達成することはできる。
【0033】
しかしながら、ホルダ22の長軸とマイク24の指向軸Kとが平行になった状態で、XY配置にするためには、二つのホルダ22a,22b自体を互いに近づく方向に傾斜させなければならない。この傾斜を可能にするために、二つのホルダ22の間に、予め、ホルダ22の傾斜を許容する間隔Wを設けておかなければならない。かかる間隔Wを設ける関係上、レコーダ本体12の横幅が大きくなりがちで、レコーダ10の小型化が阻害されるという問題があった。
【0034】
一方、本実施形態では、予め、マイク24をホルダ22に対して傾斜して設置しているため、ホルダ22を傾けなくても、XY配置、すなわち奥行き感重視の状態を実現できる。その結果、XY配置を実現するにあたって、二つのホルダ22の間に余分な間隔を設ける必要はない。換言すれば、必要な電子回路等が収容できるのであれば、レコーダ本体12の横幅を、ホルダ22二つ分の幅程度に抑えることができる。その結果、レコーダ本体12のさらなる小型化が望める。
【0035】
また、本実施形態では、ホルダ22の回動軸である垂直軸m1をレコーダ本体12の角部近傍に設けている。かかる位置に回動軸を設けることにより、ホルダ22とレコーダ本体12との干渉を避けつつ、ホルダ22を90度超過まで回動させることができる。一方、図4A,4Bに示すように、角部から離れた位置に回動軸m1を設けた場合には、ある程度、ホルダ22を傾けた時点で当該ホルダ22とレコーダ本体12とが干渉し、結果として、ホルダ22の回動範囲が制限されるという問題を招く。本実施形態では、こうした問題を避けるために、回動軸m1をレコーダ本体12の角部近傍に設けている。
【0036】
つまり、本実施形態では、レコーダ10の小型化を阻害することなく、奥行き感重視の録音モード(図3Aの状態)とワイド感重視の録音モード(図3Bの状態)とに切り替え可能となっている。
【0037】
よって、本実施形態では、上述したように、ホルダ22を水平軸m2および垂直軸m1の両方で回動することができるため、より多様なシーンに対応することができる。
【0038】
なお、本実施形態では、マイク24の長軸とホルダ22の長軸とが非平行である関係上、ホルダ22を見てもマイク24の指向軸Kの向きが把握しにくい場合がある。したがって、必要に応じて、二つのマイク24の指向軸Kの向きをユーザに提示することが望ましい。この提示方法としては、種々考えられるが、例えば、マイク24の指向軸Kと平行な光を発する光源をマイク24の近傍に設置し、当該光の向きにより指向軸Kの向きが把握できるようにしてもよい。また、ホルダ22の水平軸m2回りおよび垂直軸m1回り回動角度を検知するセンサからの出力に基づいて、各ホルダ22の姿勢、ひいては、当該ホルダ22に内蔵されているマイク24の指向軸Kの向きを算出し、これを示す画像を液晶パネル20に表示するようにしてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、的確なマイク24の位置関係をユーザが判断し、ユーザが手動でホルダ22を回動させる構成としている。しかし、こうした一連の動作をレコーダ10側で自動的に行うようにしてもよい。例えば、ホルダ22の回動部にモータなどを内蔵し、ホルダ22が自動的に回動できるようにしておく。また、録音を開始する際には、予め、想定される幾つかのシーンをユーザに液晶パネル20などに表示し、当該表示されたシーンの中から所望のシーンを一つ選択してもらう。そして、選ばれたシーンに応じたマイク24配置となるように、モータを駆動するようにしてもよい。例えば、「ボーカル録音」というシーンが選択されれば、初期状態になるように二つのホルダ22を回動させる。また、「会議」というシーンが選択されれば、図3Bの状態になるように、ホルダ22を水平軸m2回りおよび垂直軸m1回りに回動させればよい。また、当然ながら、シーンを選択するのではなく、マイク24の指向軸Kの形態を選択してもらうようにしてもよい。また、マイク24で集音される音声の信号レベルあるいはマイク24から出力される音声信号レベルを監視し、集音あるいは出力される音声信号レベルが最も高くなる方向にマイク24の指向軸Kが向くようにホルダ22を回動制御するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 音声レコーダ、12 レコーダ本体、14 マイクユニット、16 操作ボタン、18 端子穴、20 液晶パネル、22 ホルダ、24 マイク、26 空洞体、28 連結体、Ka,Kb 指向軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形の本体と、
前記本体の一辺から突出し、互いに近接配置された一対のマイクユニットと、
を備え、
各マイクユニットは、
前記本体の上面に平行な平面内で回動自在のホルダと、
単一の指向性を有するマイクであって、二つのホルダの長軸が前記本体の長軸に対して略平行となる初期姿勢において、その指向軸が他方のマイクの指向軸と交差するように、前記ホルダの長軸に対して指向軸が傾斜した姿勢で当該ホルダの内部に設置されるマイクと、
を備えることを特徴とする音声レコーダ。
【請求項2】
請求項1に記載の音声レコーダであって、
各ホルダは、さらに、当該ホルダの長軸周りにも回動自在である、ことを特徴とする音声レコーダ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の音声レコーダであって、
前記二つのホルダは、前記本体の一辺の両端近傍である角部近傍に設けられた軸を中心に平面内で回動する、ことを特徴とする音声レコーダ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の音声レコーダであって、
前記一対のマイクユニットは、略矩形の前記本体の短辺から突出しており、
前記短辺は、マイクユニットの幅の2倍相当の長さである、
ことを特徴とする音声レコーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2011−114623(P2011−114623A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269728(P2009−269728)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】