説明

音声再生装置およびプログラム

【課題】環境音に限定されない、複数の外部環境の判断を組み合わせることで、出力する音声の音量を、煩雑な操作を伴うことなく変更することが可能な音声再生装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】デジタルカメラ100は、環境音を集音する指向性マイク300と、音声を出力するスピーカ320と、デジタルカメラ100の位置を取得する測位手段104と、指向性マイク300により集音された環境音の音量、および、測位手段104により取得された位置に基づいて、スピーカ320から出力される音声の音量を制御する音声制御部116と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音量を調節可能な音声再生装置と、かかる音声再生装置に読み込み可能なプログラムとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラや携帯電話機など、効果音や音声付動画などの音声を発する電子機器(以下「音声再生装置」と呼ぶ)の音量は、場所に応じて、周囲の迷惑とならないよう、調節する必要がある。しかし常に環境に配慮して音量を絞ることができるとは限らないし、そのような操作は煩雑でもある。
【0003】
例えば特許文献1には、マイクによって環境音の大きさを取得し、この環境音の大きさと閾値とを比較し、効果音を適切な音量に制御するデジタル撮像装置が提案されている。かかる技術によれば、静粛な環境の環境音に応じて自動的に音量が絞られる。
【特許文献1】特開2004−96635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術では、マイクで集音した環境音の音量に基づいて効果音の音量を決定しているため、静粛にすべき場所で例外的な騒音が発生すると、その騒音に起因して効果音も大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、環境音に限定されない、複数の外部環境の判断を組み合わせることで、出力する音声の音量を、煩雑な操作を伴うことなく変更することが可能な音声再生装置およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる音声再生装置の代表的な構成は、環境音を集音する集音部と、音声を出力する音声出力部と、当該音声再生装置の位置を取得する測位手段と、集音部により集音された環境音の音量、および、測位手段により取得された位置に基づいて、音声出力部から出力される音声の音量を制御する音声制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、環境音だけでなく、音声再生装置の現在位置にも基づいて、出力する音声の音量が制御されるため、より環境に配慮した音量の制御が可能となる。ここで、「音量の制御」とは、音量を絞ることに限られず、音量を維持することや、音量を上げることをも含む。
【0008】
上記の集音部により集音された環境音の音量が所定の閾値以下である場合、あるいは、当該音声再生装置の位置が所定のエリアに含まれる場合に、音声出力部から出力される音声の音量を所定のレベル以下まで低減するとよい。
【0009】
上記の構成によれば、環境音の大きさに拘らず、病院や図書館など、静粛さを必要とする場所では、音声再生装置の出力する音声の音量が絞られ、周囲に迷惑をかけずにすむ。
【0010】
一方、静けさを保つ必要がない場所では、環境音の大きさに応じて音声の音量を自動的に調節してもよいし、環境音の大きさに拘らず、音声の音量を絞らない設定とすることも可能である。
【0011】
上記の測位手段は、アクセスポイントへの無線通信を確立する無線通信部と、無線通信によってアクセスポイントの位置情報とアクセスポイントからの距離とを含む位置特定情報を取得する位置特定情報取得部と、を含んでよい。
【0012】
上記の構成によれば、自己の位置を取得する手段として無線通信を利用するため、GPSの衛星を捕捉しにくい屋内などでもアクセスポイントがあれば位置を取得できる利点がある。
【0013】
上記の位置特定情報取得部は、アクセスポイントから無線通信部が受信する電波の電波出力に基づいて、アクセスポイントからの距離を取得するとよい。アクセスポイントからの距離が分かれば、音声再生装置の現在位置が測定できるからである。
【0014】
上記の無線通信部は、アクセスポイントのいずれかを介して通信ネットワーク上のサーバにさらにアクセスし、位置特定情報をサーバに送信し、音声制御部は、所定のエリアを差別化したマップを備えたサーバが、位置特定情報に基づいて返信する、当該音声再生装置の位置が所定のエリアに含まれるか否かの情報を取得するとよい。静けさを保つ必要があるエリアにいるか否かの情報を取得するためである。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明にかかるプログラムの代表的な構成は、コンピュータを、環境音を集音する集音部と、音声を出力する音声出力部と、コンピュータの位置を取得する測位手段と、集音部により集音された環境音の音量、および、測位手段により取得された位置に基づいて、音声出力部から出力される音声の音量を制御する音声制御部として音声再生装置を機能させることを特徴とする。
【0016】
上述した音声再生装置における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該プログラムにも適用可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、環境音だけでなく、音声再生装置の現在位置にも基づいて、出力する音声の音量が制御されるため、より環境に配慮した音量の制御が可能となる。例えば、環境音の大きさに拘らず、病院や図書館など、静粛さを必要とする場所では、音声再生装置の出力する音声の音量が絞られ、周囲に迷惑をかけずにすむ。
【0018】
一方、静けさを保つ必要がない場所では、環境音の大きさに応じて音声の音量を自動的に調節してもよいし、環境音の大きさに拘らず、音声の音量を絞らない設定とすることも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。さらに、信号や電流はそれらが通る線路の符号によって表記するものとする。
【0020】
(位置推定システム)
図1は、本発明にかかる音声再生装置の実施形態であるデジタルカメラ100が利用する、無線LAN技術に基づいた位置推定システム102の概略図である。図2は図1のデジタルカメラ100のブロック図である。
【0021】
(測位手段)
デジタルカメラ100は、それ自体の位置を取得する測位手段104を備えている。測位手段104は、無線LANアクセスポイント106A、106B、106Cへの無線通信を確立する無線通信部、すなわち無線LANインターフェース108と、アクセスポイント106A、106B、106Cの位置情報とアクセスポイント106A、106B、106Cからの距離D1、D2、D3(図3参照)とを含む位置特定情報を取得する位置特定情報取得部110とを含む。
【0022】
無線LANインターフェース108の規格として、例えばWi−Fiを用いてよい。無線LANインターフェース108は、付近のアクセスポイントを探索し、それらアクセスポイントからビーコン信号を受信する。
【0023】
(位置推定の原理)
図3は図1のデジタルカメラが位置推定を行う原理を示す原理図である。位置特定情報取得部110は、アクセスポイント106A、106B、106Cから無線LANインターフェース108が受信する電波の電波出力に基づいて、アクセスポイント106A、106B、106Cからの距離D1、D2、D3を取得可能である。
【0024】
アクセスポイント106A、106B、106Cからの距離D1、D2、D3を算出しないまでも、電波出力を比較すれば、各アクセスポイント106A、106B、106Cを、近接している順番にランキングできる(例えばアクセスポイント106B、106C、106Aの順)。これによって、最短距離にある3点のアクセスポイント106A、106B、106Cが判明する。それら最も近接したアクセスポイントからのビーコン信号の電波情報W1、W2、W3を受信すれば、それら3点のアクセスポイント106A、106B、106Cで囲まれた三角形の領域にデジタルカメラ100が位置している可能性が高いことが判明する。なお無線通信が確立されるアクセスポイントの数は、測位精度を高めるため、3つ以上が好ましいが、2つまたは1つでもよい。少なくとも1つのアクセスポイントとの無線通信が確立されれば、そのアクセスポイントを中心とし、そのアクセスポイントからの距離を半径とする略円形の領域にデジタルカメラ100が位置していることが分かるからである。
【0025】
ここで「電波情報」とは、ビーコン信号から得られる、アクセスポイントに固有の識別情報であり、例えば「425656.456289」などの数字の羅列で表される。これを後述のサーバ114に照会することにより、経緯度などのアクセスポイントの絶対的な位置情報が得られる。
【0026】
各アクセスポイント106A、106B、106Cの位置情報(電波情報W1、W2、W3に対応)と、距離D1、D2、D3とを利用すれば、デジタルカメラ100の現在位置Pを特定することもできる。
【0027】
以上のように、自己の現在位置を取得する手段として無線LANを利用すれば、GPS衛星を捕捉しにくい屋内などでも、アクセスポイントがあれば、自己の位置を取得できる利点がある。
【0028】
(マップ)
図4は図1のデジタルカメラが音声の音量を絞るか否かの判断をするために利用するマップの一例を示す図である。
【0029】
上記の無線LANインターフェース108は、アクセスポイント106A、106B、106Cのいずれかを介して、例えばインターネット112などの通信ネットワーク上のサーバ114にさらにアクセスし、位置特定情報をサーバ114に送信する。
【0030】
位置特定情報は、厳密には、アクセスポイント106A、106B、106Cの位置情報(電波情報W1、W2、W3に対応)とアクセスポイント106A、106B、106Cからの距離D1、D2、D3とを含む。しかし、少なくとも、最も近接したアクセスポイント106A、106B、106Cの位置情報さえサーバに送信すればよい。3点のアクセスポイント106A、106B、106Cで囲まれた三角形の領域にデジタルカメラ100が位置している可能性が高く、おおよその位置を推定可能だからである。
【0031】
デジタルカメラ100は音声制御部116を備えていて、これは、後述の音声処理部310を介して、スピーカ320から出力される音声の音量を制御する。
【0032】
サーバ114には、静けさを保つ必要がある音量調整エリア118を設定したマップ120を予め用意しておく。音量調整エリア118は、例えば病院121や図書館123の位置に基づいて決定してよい。
【0033】
音声制御部116は、マップ120を備えたサーバ114が、デジタルカメラ100からの位置特定情報に基づいて返信する、デジタルカメラ100の現在位置Pが音声調整エリア118に含まれるか否かの情報を取得する。かかる情報の取得は一定周期で継続される。
【0034】
音声制御部116は、後述のように、集音された環境音に応じて音声の音量を制御する機能をも有する。ここで「環境音」とは、特定物体又は特定画像の周囲で聞こえる音を意味し、人の音声、自動車の音、工事の音のほか、風や動物の鳴き声等の単独又は重畳した音を指す。しかし、集音された環境音の音量に拘らず、デジタルカメラ100の現在位置Pが音声調整エリア118に含まれる場合に、音声出力部(本実施形態ではスピーカ320)から出力される音声の音量を所定のレベル以下まで低減する。
【0035】
上記の構成によれば、環境音の大きさに拘らず、病院121や図書館123など、静粛さを必要とする音声調整エリア118では、デジタルカメラ100の音声の音量が低減され、周囲に迷惑をかけずにすむ。このとき、音声を消音(ミュート)してもよい。
【0036】
一方、静けさを保つ必要がない場所では、後述のように環境音の大きさに応じて音声の音量を自動的に調節してもよいし、環境音の大きさに拘らず、音声の音量を絞らない設定とすることも可能である。
【0037】
このように、音声制御部116は、集音された環境音の音量、および、測位手段104により取得された位置、の両方に基づいて、スピーカ320から出力される音声の音量を制御する。ここで「音量の制御」とは、音量を絞ることに限られず、音量を維持することや、音量を上げることをも含む。
【0038】
なお、音声調整エリア118に限らず、様々な位置情報をマップ120から取得することができる。例えば美術館で撮影をするときには、周囲の迷惑にならないよう、フラッシュ390を使用不能にしたり、現在位置が海であると判定したら海モードで撮影したりするなど、音声以外の機能制御も可能である。
【0039】
(環境音)
再び図2を参照する。デジタルカメラ100は、環境音を集音する集音部(本実施形態では指向性マイク300)と、音声を出力するスピーカ320とを供えている。また、音声制御部116は、集音された環境音の音量が所定の閾値以下である場合、あるいは、デジタルカメラ100の位置が音声調整エリア118に含まれる場合に、スピーカ320から出力される音声の音量を所定のレベル以下まで低減する。
【0040】
本実施形態では、基準音量レベルが「レベル3」、「レベル2」、「レベル1」および「レベル0」から選択可能とする。ここでレベルn(n=0〜3)は音量を示し、nが大きいほど音量が大きい。また、レベル0は、無音であること、すなわち、音声の出力を行わないことを示している。
【0041】
そして、音量を低減するときは、レベル2またはレベル3であった音量をレベル1まで低減する。すなわち、上記「所定のレベル」をレベル1とする。
【0042】
(デジタルカメラ構成)
図2を用いて、デジタルカメラのその他の構成について、以下、説明する。撮像部220はCCD(Charge Coupled Device; 電荷結合素子)としてよく、被写界を撮像して電子的な画像信号を生成する撮像手段であり、例えば1600×1200個の画素を有する。撮像部220は、撮像レンズ210によって結像された被写体の光像を、画素毎にR(赤)、G(緑)、B(青)の色成分の画像信号(各画素で受光された画素信号の信号列からなる信号)に光電変換して出力する。
【0043】
撮像部220から得られる画像信号(アナログ信号)は、アナログ信号処理回路230に与えられる。アナログ信号処理回路230は、画像信号に対して所定のアナログ信号処理を行う回路である。アナログ信号処理回路230は、少なくとも相関二重サンプリング回路(Correlated Double Sampling:CDS。図示省略)およびオートゲインコントロール(Auto Gain Controlled:AGC。図示省略)回路を含む。相関二重サンプリング回路によって画像信号のノイズ低減処理が行われ、オートゲインコントロール回路でゲイン調整することによって、画像信号のレベル調整が行われる。
【0044】
A/D変換器240は、画像信号の各画素信号を、例えば12ビットのデジタル信号に変換する。変換後のデジタル信号は、中央処理装置(CPU: Central Processing Unit)250に与えられ、画像データとして一時的にRAM(Random Access Memory)260に格納される。RAM260に保存された画像データは、画像処理部280によって色補正処理等を施された後、圧縮伸張部290による圧縮処理等が施される。
【0045】
また、指向性マイク300から得られる環境音などの音声信号は、音声処理部310に入力される。音声処理部310に入力された音声信号は、音声処理部310内に設けられたA/D変換器(図示省略)により、デジタル信号に変換され、一時的にRAM260に格納される。デジタル化された音声信号は、再び音声処理部310に送り、スピーカ320から再生可能である。
【0046】
操作部330は、電源ボタン330A、各種の操作ボタン330B、シャッタレリーズボタン330C等を含み、ユーザがデジタルカメラ100の設定を変更操作する際や撮像操作を行う際等に用いられる。
【0047】
電源装置340は、デジタルカメラ100に対する電源供給源である。これはリチウムイオン電池などの二次電池を用いてよい。
【0048】
CPU250は、RAM260およびROM(Read Only Memory)350に記録された所定のプログラムを実行することにより、上記各部を統括的に制御する。なお、RAM260は、高速アクセス可能な半導体メモリであり、ROM350は電気的に書き換えが不可能な不揮発の半導体メモリ(例えばフラッシュROM)として構成される。また、RAM260内における一部の領域は、一時記憶用のバッファエリアとして機能し、画像データおよび音声データを一時的に記憶する。
【0049】
CPU250の各処理部280、290、310は、マイクロコンピュータが所定のプログラムを実行することにより実現される、機能部位である。
【0050】
画像処理部280は、WB(ホワイトバランス)処理、γ補正処理等の各種のデジタル画像処理を施す処理部である。WB処理は、R、G、Bの各色成分のレベル変換を行い、カラーバランスを調整する処理であり、γ補正処理は、画素データの階調を補正する処理である。圧縮伸張部290は、画像処理部280によって色補正処理等が行われた画像データを、さらに圧縮する。圧縮方式としては、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式などが採用される。音声処理部310は、音声データに対する各種のデジタル処理を施す処理部である。
【0051】
このような構成を有するCPU250によって、撮像モード、再生モードの処理が行われる。例えば、撮像モードにおいては、まず撮像部220をビューファインダ(LCD380)画像出力用の動作モードに設定した上で所定周期(例えば30コマ/秒)の撮像を行い、撮像に応じた画像データを逐次出力する(予備撮像)。撮像部220から出力された画像データは、アナログ信号処理回路230、A/D変換器240、画像処理部280を介してLCD380にビューファインダ画像として表示される。この状態で、シャッタレリーズボタン330Cがユーザによって半押し(S1状態)されると、CPU250は、撮像部220から入力される予備撮像の画像データに基づき、AE(Auto Exposure)評価値およびAF(Auto Focus)評価値を求める。CPU250はAF評価値に基づいて合焦位置を、公知の例えば山登り方式によって求め、AE/AF部360を用いて、合焦位置に撮像レンズ210を移動させる。また、CPU250はAE評価値に基づいて、本撮像時のシャッタスピード(撮像部220における電荷蓄積時間)、撮像レンズ210の絞り値およびアナログ信号処理回路230におけるオートゲインコントロールのゲイン値を決定する。
【0052】
CPU250は、撮像モードにおいてシャッタレリーズボタン330Cが全押し(S2状態)されると、撮像部220の動作モードを本撮像用の動作モードに設定した上で被写体を撮像し、撮像部220で取得された撮像画像データに基づき、圧縮伸張部290で圧縮画像を生成する。そして、圧縮された高解像度の画像データは、記録媒体370に記録される。記録媒体370は例えばSDカード(登録商標)としてよい。
【0053】
さらに、CPU250は、記録媒体370から、デジタルカメラ100で動作するプログラムを取り込むことも可能である。例えば、記録媒体370に記録されている制御プログラムを、RAM260またはROM350内に取り込むことができる。これにより、制御プログラムを更新することも可能である。
【0054】
LCD(Liquid Crystal Display)380は、被写界を表示するほか、ユーザに対する各種メニューを表示し、操作のための情報を提供する表示装置である。フラッシュ390は、発光が許可されている状態で撮影補助光を発して被写体を照射する発光装置である。
【0055】
(プログラム)
図5は本実施形態にかかるプログラムの処理を示すフローチャートである。同プログラムは、記録媒体370に記録され、RAM(Random Access Memory)260に読み込まれ、CPU250によって実行される。
【0056】
同プログラムの動作によれば、まず、CPU250は、指向性マイク300に環境音を集音させる(ステップS500)。次に、CPU250は、指向性マイク300によって集音された環境音の音量が所定の閾値以下であるか否かを判定し(ステップS502)、閾値以下である場合には、音声制御部116によって、スピーカ320から出力される音声の音量を所定のレベル以下まで低減する(ステップS504)。環境音が閾値より大きい場合には、CPU250は、測位手段104に、デジタルカメラ100の現在位置Pを取得させる(ステップS506)。CPU250は、取得されたデジタルカメラ100の位置が音声調整エリア118に含まれるか否かを判定し(ステップS508)、含まれる場合には、音声制御部116によって、集音された環境音の音量に拘らず、スピーカ320から出力される音声の音量を所定のレベル以下まで低減させる(ステップS510)。本プログラムは、デジタルカメラ100を携帯するユーザの移動を想定して、本実施形態のように、一定周期で繰り返し実行するとよい。
【0057】
上記のプログラム動作の結果、音声の音量は以下のように制御される。
環境音:小、音声調整エリア118内→音量低減
環境音:大、音声調整エリア118内→音量低減(従来、低減しなかった)
環境音:小、音声調整エリア118外→音量低減
【0058】
環境音:大、音声調整エリア118外→音量低減しない
なお、本明細書のプログラムにおける各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【0059】
例えば、図5のフローチャートでは、環境音の音量が所定の閾値以下であるか否かの判定(ステップS500)を先に行っているが、デジタルカメラ100の位置が音声調整エリア118に含まれるか否かの判定(ステップS508)を先行して行ってもよい。いずれを先行して行う場合も、先行して行う判定の結果、音声の音量を低減することを決定したら、後に行われる判定は不要となる。
【0060】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、音量を調節可能な音声再生装置と、かかる音声再生装置に読み込み可能なプログラムとに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明にかかる音声再生装置の実施形態であるデジタルカメラが利用する、無線LAN技術に基づいた位置推定システムの概略図である。
【図2】図1のデジタルカメラのブロック図である。
【図3】図1のデジタルカメラが位置推定を行う原理を示す原理図である。
【図4】図1のデジタルカメラが音声の音量を絞るか否かの判断をするために利用するマップの一例を示す図である。
【図5】本実施形態にかかるプログラムの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
100 …デジタルカメラ
102 …位置推定システム
104 …測位手段
106A、106B、106C …アクセスポイント
108 …無線LANインターフェース
110 …位置特定情報取得部
112 …インターネット
114 …サーバ
116 …音声制御部
118 …音声調整エリア
120 …マップ
121 …病院
123 …図書館
260 …RAM
300 …指向性マイク
310 …音声処理部
320 …スピーカ
370 …記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境音を集音する集音部と、
音声を出力する音声出力部と、
当該音声再生装置の位置を取得する測位手段と、
前記集音部により集音された前記環境音の音量、および、前記測位手段により取得された前記位置に基づいて、前記音声出力部から出力される前記音声の音量を制御する音声制御部と、
を備えることを特徴とする音声再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音声再生装置において、前記音声制御部は、
前記集音部により集音された前記環境音の音量が所定の閾値以下である場合、あるいは、当該音声再生装置の位置が所定のエリアに含まれる場合に、前記音声出力部から出力される音声の音量を所定のレベル以下まで低減することを特徴とする音声再生装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の音声再生装置において、前記測位手段は、
アクセスポイントへの無線通信を確立する無線通信部と、
前記無線通信によって、前記アクセスポイントの位置情報と該アクセスポイントからの距離とを含む位置特定情報を取得する位置特定情報取得部と、
を含むことを特徴とする音声再生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の音声再生装置において、
前記位置特定情報取得部は、前記アクセスポイントから前記無線通信部が受信する電波の電波出力に基づいて、前記アクセスポイントからの距離を取得することを特徴とする音声再生装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の音声再生装置において、
前記無線通信部は、前記アクセスポイントのいずれかを介して通信ネットワーク上のサーバにさらにアクセスし、前記位置特定情報を該サーバに送信し、
前記音声制御部は、前記所定のエリアを差別化したマップを備えた前記サーバが、前記位置特定情報に基づいて返信する、当該音声再生装置の位置が前記所定のエリアに含まれるか否かの情報を取得することを特徴とする音声再生装置。
【請求項6】
コンピュータを、
環境音を集音する集音部と、
音声を出力する音声出力部と、
前記コンピュータの位置を取得する測位手段と、
前記集音部により集音された前記環境音の音量、および、前記測位手段により取得された前記位置に基づいて、前記音声出力部から出力される前記音声の音量を制御する音声制御部として前記音声再生装置を機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−136034(P2010−136034A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309256(P2008−309256)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】