説明

音声出力装置及び音声出力方法

【課題】この発明は、複数種類の圧縮音声ストリームに対してデジタルインターフェースを介して外部出力することができるように効率的な多重化処理を施すことを可能とし、十分に実用に適するようにした音声出力装置及び音声出力方法を提供することを目的としている。
【解決手段】第1及び第2の圧縮音声ストリームがフレーム単位での再生開始時間を示す情報に基づいたタイミングで読み出される格納手段(22,26)と、フレーム単位で読み出された第1及び第2の圧縮音声ストリームをフレーム単位で多重化する多重化手段(23)と、多重化された圧縮音声ストリームを所定のデジタルインターフェースに準拠した伝送形態で出力する出力手段(30)と、第1及び第2の圧縮音声ストリームを、それらのフレーム境界位置を同期させて多重化に供させる制御手段(33)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧縮音声ストリームを出力する音声出力装置及び音声出力方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、近年では、デジタル記録媒体としてDVD(digital versatile disk)等の光ディスクが普及している。そして、現在では、DVDよりもさらに高密度記録が可能な、いわゆるHD(high definition)−DVDと称されるハイビジョン対応の次世代DVD規格も完成している。
【0003】
この種の光ディスクでは、映像や音声等のデータを圧縮して記録している。このため、この光ディスクを再生する光ディスク再生装置では、光ディスクから読み取った圧縮映像や圧縮音声等のストリームを復号しアナログ化して出力することにより、外付けのモニタやスピーカによる映像表示や音声再生を行なえるようにしている。
【0004】
一方、このような光ディスク再生装置にあっては、復号前の圧縮音声ストリームを外部に出力可能とすることが考えられている。これにより、圧縮音声ストリームを復号する機能を備えたAVアンプ等を外付けすることによって、多チャンネルで高音質な音声再生を行なうことが可能となる。
【0005】
ところで、次世代DVD規格では、メインオーディオとなる音声データの他に、例えばサブオーディオやエフェクトオーディオ等となる各種の音声データの取り扱いを規定している。このため、光ディスク再生装置としては、複数種類の圧縮音声ストリームを外部出力する機能が要求されることになる。
【0006】
特許文献1には、映像信号に高画質化処理し、圧縮音声信号をメモリに一時記憶させた後伸張処理するもので、高画質化処理により映像信号に生じる時間ずれに対応した時間、メモリの読み出しタイミングを書き込みタイミングよりも遅らせることで、映像信号と音声信号とのずれを無くすようにした構成が開示されている。
【特許文献1】特開2006−311006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は上記事情を考慮してなされたもので、複数種類の圧縮音声ストリームに対してデジタルインターフェースを介して外部出力することができるように効率的な多重化処理を施すことを可能とし、十分に実用に適するようにした音声出力装置及び音声出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る音声出力装置は、それぞれにフレーム単位での再生開始時間を示す情報を含む第1及び第2の圧縮音声ストリームが格納されるとともに、その格納された第1及び第2の圧縮音声ストリームが、フレーム単位での再生開始時間を示す情報に基づいたタイミングで、フレーム単位で読み出される格納手段と、格納手段からフレーム単位で読み出された第1及び第2の圧縮音声ストリームを取得しフレーム単位で多重化する多重化手段と、多重化手段で多重化された圧縮音声ストリームを所定のデジタルインターフェースに準拠した伝送形態で出力する出力手段と、格納手段から読み出された第1及び第2の圧縮音声ストリームを、それらのフレーム境界位置を同期させて多重化手段に取得させる制御手段とを備えるようにしたものである。
【0009】
また、この発明に係る音声出力方法は、それぞれにフレーム単位での再生開始時間を示す情報を含む第1及び第2の圧縮音声ストリームを格納するとともに、その格納された第1及び第2の圧縮音声ストリームを、フレーム単位での再生開始時間を示す情報に基づいたタイミングで、フレーム単位で読み出す第1の工程と、フレーム単位で読み出された第1及び第2の圧縮音声ストリームをフレーム単位で多重化する第2の工程と、多重化された圧縮音声ストリームを所定のデジタルインターフェースに準拠した伝送形態で出力する第3の工程と、フレーム単位で読み出された第1及び第2の圧縮音声ストリームを、それらのフレーム境界位置を同期させて多重化に供させる第4の工程とを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
上記した発明によれば、第1及び第2の圧縮音声ストリームを、それらのフレーム境界位置を同期させて多重化させるようにしたので、複数種類の圧縮音声ストリームに対してデジタルインターフェースを介して外部出力することができるように効率的な多重化処理を施すことを可能とし、十分に実用に適するようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態で説明するディスク再生装置11の概略を示している。このディスク再生装置11は、例えばHD−DVD等の光ディスク12を装着し、その記録データを読み取るディスクドライブ部13を備えている。
【0012】
そして、ディスクドライブ部13により光ディスク12から読み取られたデータは、トラックバッファ14に一旦格納された後、デマルチプレクサ部15に供給される。このデマルチプレクサ部15は、入力されたデータを、圧縮映像ストリームと、メインオーディオ及びサブオーディオとなる2つの圧縮音声ストリームとに分離している。
【0013】
このうち、圧縮映像ストリームは、複数のビデオパック(V_PCK)で構成されている。この圧縮映像ストリームは、映像入力バッファ16に格納された後、映像デコーダ17に供給されて復号化処理が施される。そして、復号化された映像データは、D/A(digital/analog)変換部18に供給されてアナログの映像データに変換された後、映像出力端子19を介して外部に取り出され、例えば図示しないモニタによる映像表示に供される。
【0014】
また、上記デマルチプレクサ部15で分離されたメインオーディオとなる第1の圧縮音声ストリームは、複数のメインオーディオパック(MA_PCK)で構成されている。この圧縮音声ストリームは、主音声入力バッファ20に格納された後、ES(elementary stream)抽出部21に供給されてメインオーディオES(MA_ES)がフレーム単位で抽出される。そして、このES抽出部21から出力されるメインオーディオES(MA_ES)は、主音声バッファ22に格納された後、多重化処理部23に供給される。
【0015】
さらに、上記デマルチプレクサ部15で分離されたサブオーディオとなる第2の圧縮音声ストリームは、複数のサブオーディオパック(SA_PCK)で構成されている。この圧縮音声ストリームは、副音声入力バッファ24に格納された後、ES抽出部25に供給されてサブオーディオES(SA_ES)がフレーム単位で抽出される。そして、このES抽出部25から出力されるサブオーディオES(SA_ES)は、副音声バッファ26に格納された後、上記多重化処理部23に供給される。
【0016】
また、このディスク再生装置11は、音声入力部27を備えている。この音声入力部27は、例えばリムーバブルな情報記録媒体やネットワークサーバ等から、エフェクトオーディオとなる非圧縮(PCM:pulse code modulation)の音声データ(EF_PCM)を取得している。この音声入力部27で取得された非圧縮音声データ(EF_PCM)は、エフェクトバッファ28に格納された後、上記多重化処理部23に供給される。
【0017】
さらに、この多重化処理部23には、係数設定部29に設定されているミクシング係数が供給されている。このミクシング係数は、例えば、再生時に光ディスク11から取得するもので、後述するAVアンプにおいて、メインオーディオ、サブオーディオ及びエフェクトオーディオをミクシングする際に利用されるものである。
【0018】
そして、上記多重化処理部23は、主音声バッファ22に格納されたメインオーディオES(MA_ES)と、副音声バッファ26に格納されたサブオーディオES(SA_ES)と、エフェクトバッファ28に格納された非圧縮音声データ(EF_PCM)と、係数設定部29から供給されるミクシング係数とを多重化して1本の圧縮音声ストリームを生成する。
【0019】
この多重化処理部23で生成された圧縮音声ストリームは、インターフェース部30により例えばHDMI(high definition multimedia interface)規格等のデジタルインターフェースに準拠した伝送形態に変換された後、デジタル音声出力端子31を介して外部に導出される。このデジタル音声出力端子31には、例えば多重化された圧縮音声ストリームを復号する機能を備えたAVアンプ等が接続され、多チャンネルで高音質な音声再生が行なえるようになっている。
【0020】
なお、上記映像デコーダ17と多重化処理部23とは、同期制御部32により、復号化処理後の映像ストリームの出力タイミングと、多重化処理後の圧縮音声ストリームの出力タイミングとが制御されている。これにより、最終的に、表示される映像と再生される音声とが同期するように制御されることになる。
【0021】
ここで、このディスク再生装置11は、上記した再生動作を含むその全ての動作を制御部33によって統括的に制御されている。この制御部33は、CPU(central processing unit)等を内蔵しており、操作部34からの操作情報、または、リモートコントローラ35から送出され受光部36で受信した操作情報を受け、その操作内容が反映されるように各部をそれぞれ制御している。
【0022】
この場合、制御部33は、メモリ部37を利用している。このメモリ部37としては、主として、制御部33のCPUが実行するための制御プログラムを格納したROM(read only memory)と、該CPUに作業エリアを提供するためのRAM(random access memory)と、各種の設定情報及び制御情報等を格納するための不揮発性メモリとを有している。
【0023】
ここで、上記同期制御部32は、多重化処理部23に対して、主音声バッファ22からメインオーディオES(MA_ES)を取り込むタイミングを示す主音声用トリガ信号(TrigM)と、副音声バッファ26からサブオーディオES(SA_ES)を取り込むタイミングを示す副音声用トリガ信号(TrigS)とを出力している。
【0024】
この主音声用トリガ信号(TrigM)は、メインオーディオとなる圧縮音声ストリームに含まれているフレーム単位で再生開始時間を示す情報(MA_PTS:presentation time stamp)に基づいて生成される。また、副音声用トリガ信号(TrigS)は、サブオーディオとなる圧縮音声ストリームに含まれているフレーム単位で再生開始時間を示す情報(SA_PTS)に基づいて生成される。
【0025】
そして、上記多重化処理部23では、主音声用トリガ信号(TrigM)が供給されたことに基づいて、主音声バッファ22に対してメインオーディオES(MA_ES)を要求する主音声要求信号(ReqM)を発生し、主音声バッファ22からメインオーディオES(MA_ES)を取得している。
【0026】
また、上記多重化処理部23では、副音声用トリガ信号(TrigS)が供給されたことに基づいて、副音声バッファ26に対してサブオーディオES(SA_ES)を要求する副音声要求信号(ReqS)を発生し、副音声バッファ26からサブオーディオES(SA_ES)を取得している。
【0027】
なお、上記多重化処理部23では、適切なタイミング、例えば上記主音声要求信号(ReqM)に同期させて、エフェクトバッファ28対して非圧縮音声データ(EF_PCM)を要求する非圧縮音声要求信号(ReqE)を発生し、エフェクトバッファ28から非圧縮音声データ(EF_PCM)を取得している。
【0028】
ところで、通常、メインオーディオの圧縮音声ストリームとサブオーディオの圧縮音声ストリームとは、それぞれ独立した異なるタイミングで再生を開始することができるように作成されている。
【0029】
すなわち、図2(a)に示すように、主音声用トリガ信号(TrigM)は、メインオーディオES(MA_ES)に対して1フレーム単位で出力され、また、同図(b)に示すように、副音声用トリガ信号(TrigS)は、サブオーディオES(SA_ES)に対して1フレーム単位で出力されている。
【0030】
そして、主音声用トリガ信号(TrigM)と副音声用トリガ信号(TrigS)とは、それぞれ独立した異なるタイミングで出力されるようになっている。すなわち、多重化処理部23には、メインオーディオES(MA_ES)のフレーム境界位置とサブオーディオES(SA_ES)のフレーム境界位置とが時間的にずれた状態で取得されることになる。
【0031】
図2(a),(b)では、主音声用トリガ信号(TrigM)の出力タイミングに対して副音声用トリガ信号(TrigS)の出力タイミングが、つまり、メインオーディオES(MA_ES)のフレーム境界位置に対してサブオーディオES(SA_ES)のフレーム境界位置が、時間T1だけ遅れて多重化処理部23に取得されている状態を例示している。
【0032】
一方、複数種類の圧縮音声ストリームをインターフェース部30に供給して、HDMI規格等のデジタルインターフェースに準拠した伝送形態で外部に出力させるためには、各圧縮音声ストリームからそれぞれ1フレーム分のストリームを抽出し、その抽出した1フレーム分の各ストリームを多重化してインターフェース部30に供給することが定められている。
【0033】
このため、上述したように、メインオーディオES(MA_ES)とサブオーディオES(SA_ES)とが、それぞれ独立した異なるタイミングで多重化処理部23に取得されると、多重化処理部23では、上記したインターフェース部30の要請に対応する正しい多重化処理を行なうことができなくなる。
【0034】
そこで、この実施の形態では、図2(a),(b)に示すように、メインオーディオES(MA_ES)のフレーム境界位置に対してサブオーディオES(SA_ES)のフレーム境界位置がずれている、つまり、主音声用トリガ信号(TrigM)の出力タイミングに対して副音声用トリガ信号(TrigS)の出力タイミングがずれている場合、図2(c)に示すように、副音声要求信号(ReqS)を、次の主音声用トリガ信号(TrigM)の出力タイミングに一致させて発生させることによって、多重化処理部23が、メインオーディオES(MA_ES)とサブオーディオES(SA_ES)とをフレーム同期した状態で取得して、インターフェース部30の要請に対応した正しい多重化処理を行なえるようにしている。
【0035】
これにより、メインオーディオの圧縮音声ストリームとサブオーディオの圧縮音声ストリームとに対して、HDMI規格に準拠したデジタルインターフェースを介して外部出力することができるように効率的な多重化処理を施すことが可能となり、十分に実用に適するものとなる。
【0036】
図3及び図4は、上記したディスク再生装置11における、メインオーディオの圧縮音声ストリームのフレーム境界位置とサブオーディオの圧縮音声ストリームのフレーム境界位置とがずれている場合に、サブオーディオの圧縮音声ストリームを、そのフレーム境界位置がメインオーディオの圧縮音声ストリームのフレーム境界位置に一致するように遅延させる処理動作をまとめたフローチャートを示している。
【0037】
すなわち、処理が開始(ステップS1)され、ステップS2で、再生開始が要求されると、制御部33は、ステップS3で、再生すべき圧縮音声ストリームが主音声バッファ22及び副音声バッファ26に存在しているか否かを判別する。
【0038】
そして、存在していないと判断された場合(NO)、制御部33は、ステップS4で、光ディスク11からデータを読み取らせ、ステップS5で、読み取ったデータからミクシング係数を取得して係数設定部29に設定する。
【0039】
さらに、制御部33は、ステップS6で、読み取ったデータからメインオーディオパック(MA_PCK)及びサブオーディオパック(SA_PCK)の分離処理を行なわせ、ステップS7で、メインオーディオES(MA_ES)及びサブオーディオES(SA_ES)を抽出させ、主音声バッファ22及び副音声バッファ26に取得させる。
【0040】
その後、または、上記ステップS3で再生すべき圧縮音声ストリームが主音声バッファ22及び副音声バッファ26に存在していると判断された場合(YES)、制御部33は、ステップS8で、メインオーディオES(MA_ES)の出力開始時間に達したか否かを判別し、達したと判断された場合(YES)、ステップS9で、同期制御部32に主音声用トリガ信号(TrigM)を発生させる。これにより、多重化処理部23が、主音声要求信号(ReqM)を発生するので、主音声バッファ22のメインオーディオES(MA_ES)が多重化処理部23に取得される。
【0041】
その後、制御部33は、ステップS10で、同期制御部32から副音声用トリガ信号(TrigS)が発生されているか否かを判別し、発生されていると判断された場合(YES)、主音声用トリガ信号(TrigM)と副音声用トリガ信号(TrigS)とが同タイミングで発生されていると判断し、ステップS11で、多重化処理部23に副音声要求信号(ReqS)を発生させ、副声バッファ26のサブオーディオES(SA_ES)を多重化処理部23に取得させる。
【0042】
このステップS11の後、または、上記ステップS10で副音声用トリガ信号(TrigS)が発生されていない、つまり、主音声用トリガ信号(TrigM)と副音声用トリガ信号(TrigS)とが異なるタイミングで発生されていると判断された場合(NO)、制御部33は、ステップS12で、エフェクトバッファ28の非圧縮音声データ(EF_PCM)を多重化処理部23に取得させる。
【0043】
そして、制御部33は、ステップS13で、メインオーディオES(MA_ES)とサブオーディオES(SA_ES)と非圧縮音声データ(EF_PCM)とミクシング係数とを多重化処理部23に多重化させ、ステップS14で、インターフェース部30を介して出力端子31から外部に出力させる。
【0044】
このステップS14の後、または、上記ステップS8でメインオーディオES(MA_ES)の出力開始時間に達していないと判断された場合(NO)、制御部33は、ステップS15で、サブオーディオES(SA_ES)の出力開始時間に達したか否かを判別する。そして、達したと判断された場合(YES)、制御部33は、ステップS16で、同期制御部32に副音声用トリガ信号(TrigS)を発生させてステップS3の処理に戻され、達していないと判断された場合(NO)、そのままステップS3の処理に戻される。
【0045】
これにより、次のステップS8でメインオーディオES(MA_ES)の出力開始時間に達したと判断され、ステップS9でメインオーディオES(MA_ES)が多重化処理部23に取得されたときには、その後のステップS10で副音声用トリガ信号(TrigS)が発生されていると判断されるので、ステップS11でサブオーディオES(SA_ES)も多重化処理部23に取得されるようになる。
【0046】
つまり、サブオーディオの圧縮音声ストリームが、そのフレーム境界位置をメインオーディオの圧縮音声ストリームのフレーム境界位置に一致させるように遅延されて、多重化処理部23に取得されるようになる。このため、多重化処理部23では、メインオーディオの圧縮音声ストリームとサブオーディオの圧縮音声ストリームとに対して、HDMI規格に準拠したデジタルインターフェースを介して外部出力することができるように効率的な多重化処理を施すことが可能となり、十分に実用に適するものとなる。
【0047】
次に、上記した実施の形態の変形例について説明する。すなわち、図5(a)に示すように、メインオーディオES(MA_ES)には、1フレーム毎に再生開始時間を示す情報(MA_PTS)が付加されている。また、図5(b)に示すように、サブオーディオES(SA_ES)にも、1フレーム毎に再生開始時間を示す情報(SA_PTS)が付加されている。
【0048】
そして、図5(a),(b)に示すように、メインオーディオES(MA_ES)のフレーム境界位置に対してサブオーディオES(SA_ES)のフレーム境界位置がずれている、つまり、メインオーディオES(MA_ES)のフレーム毎の再生開始時間情報(MA_PTS)と、サブオーディオES(SA_ES)のフレーム毎の再生開始時間情報(SA_PTS)とが異なる値になっている場合、制御部32は、図5(c)に示すように、サブオーディオES(SA_ES)のフレーム再生開始時間情報(SA_PTS)を、次のメインオーディオES(MA_ES)のフレーム再生開始時間情報(MA_PTS)に書き換えることによって、サブオーディオの圧縮音声ストリームを、そのフレーム境界位置がメインオーディオの圧縮音声ストリームのフレーム境界位置に一致するように遅延させ、これにより、多重化処理部23が、メインオーディオES(MA_ES)とサブオーディオES(SA_ES)とをフレーム同期した状態で取得して、インターフェース部30の要請に対応した正しい多重化処理を行なえるようにしている。
【0049】
図6及び図7は、上記したディスク再生装置11における、メインオーディオの圧縮音声ストリームのフレーム境界位置とサブオーディオの圧縮音声ストリームのフレーム境界位置とがずれている場合に、サブオーディオES(SA_ES)のフレーム再生開始時間情報(SA_PTS)を、次のメインオーディオES(MA_ES)のフレーム再生開始時間情報(MA_PTS)に書き換えることにより、サブオーディオの圧縮音声ストリームを、そのフレーム境界位置がメインオーディオの圧縮音声ストリームのフレーム境界位置に一致するように遅延させる処理動作をまとめたフローチャートを示している。
【0050】
すなわち、処理が開始(ステップS17)され、ステップS18で、再生開始が要求されると、制御部33は、ステップS19で、再生すべき圧縮音声ストリームが主音声バッファ22及び副音声バッファ26に存在しているか否かを判別する。そして、存在していないと判断された場合(NO)、制御部33は、ステップS20で、光ディスク11からデータを読み取らせ、ステップS21で、読み取ったデータからミクシング係数を取得して係数設定部29に設定する。
【0051】
また、制御部33は、ステップS22で、読み取ったデータからメインオーディオパック(MA_PCK)及びサブオーディオパック(SA_PCK)の分離処理を行なわせ、ステップS23で、サブオーディオのフレーム再生開始時間(SA_PTS)がメインオーディオのフレーム再生開始時間情報(MA_PTS)よりも後になっているか否かを判別する。
【0052】
そして、サブオーディオのフレーム再生開始時間(SA_PTS)がメインオーディオのフレーム再生開始時間情報(MA_PTS)よりも後になっていると判断された場合(YES)、制御部33は、ステップS24で、サブオーディオのフレーム再生開始時間(SA_PTS)を、次のメインオーディオのフレーム再生開始時間情報(MA_PTS)に書き換える。
【0053】
このステップS24の後、または、上記ステップS23でサブオーディオのフレーム再生開始時間(SA_PTS)がメインオーディオのフレーム再生開始時間情報(MA_PTS)よりも後になっていないと判断された場合(NO)、制御部33は、ステップS25で、メインオーディオパック(MA_PCK)及びサブオーディオパック(SA_PCK)からメインオーディオES(MA_ES)及びサブオーディオES(SA_ES)を抽出させ、主音声バッファ22及び副音声バッファ26に取得させる。
【0054】
このステップS25の後、または、上記ステップS19で再生すべき圧縮音声ストリームが主音声バッファ22及び副音声バッファ26に存在していると判断された場合(YES)、制御部33は、ステップS26で、メインオーディオES(MA_ES)の出力開始時間、つまり、メインオーディオのフレーム再生開始時間(MA_PTS)に達したか否かを判別し、達したと判断された場合(YES)、ステップS27で、主音声バッファ22のメインオーディオES(MA_ES)を多重化処理部23に取得させる。
【0055】
このステップS27の後、または、上記ステップS26でメインオーディオES(MA_ES)の出力開始時間に達していないと判断された場合(NO)、制御部33は、ステップS28で、サブオーディオES(SA_ES)の出力開始時間、つまり、サブオーディオのフレーム再生開始時間(SA_PTS)[この時間は、ステップS23でYESであった場合、ステップS24でメインオーディオのフレーム再生開始時間(MA_PTS)に書き換えられている]に達したか否かを判別し、達したと判断された場合(YES)、ステップS29で、副音声バッファ26のサブオーディオES(SA_ES)を多重化処理部23に取得させる。
【0056】
このステップS29の後、または、上記ステップS28でサブオーディオES(SA_ES)の出力開始時間に達していないと判断された場合(NO)、制御部33は、ステップS30で、エフェクトバッファ28の非圧縮音声データ(EF_PCM)を多重化処理部23に取得させる。
【0057】
そして、制御部33は、ステップS31で、メインオーディオES(MA_ES)とサブオーディオES(SA_ES)と非圧縮音声データ(EF_PCM)とミクシング係数とを多重化処理部23に多重化させ、ステップS32で、インターフェース部30を介して出力端子31から外部に出力させた後、ステップS19の処理に戻される。
【0058】
図5乃至図7で説明した変形例によっても、サブオーディオES(SA_ES)のフレーム再生開始時間情報(SA_PTS)を、次のメインオーディオES(MA_ES)のフレーム再生開始時間情報(MA_PTS)に書き換えることによって、サブオーディオの圧縮音声ストリームを、そのフレーム境界位置がメインオーディオの圧縮音声ストリームのフレーム境界位置に一致するように遅延させることができる。
【0059】
これにより、多重化処理部23は、メインオーディオES(MA_ES)とサブオーディオES(SA_ES)とをフレーム同期した状態で取得することができるので、メインオーディオの圧縮音声ストリームとサブオーディオの圧縮音声ストリームとに対して、HDMI規格に準拠したデジタルインターフェースを介して外部出力することができるように効率的な多重化処理を施すことが可能となり、十分に実用に適するものとなる。
【0060】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の実施の形態を示すもので、ディスク再生装置の概略を説明するために示すブロック構成図。
【図2】同実施の形態におけるディスク再生装置が行なうメインオーディオとサブオーディオとのフレーム境界が一致しない場合の処理を説明するために示す図。
【図3】同実施の形態におけるディスク再生装置が行なうメインオーディオとサブオーディオとのフレーム境界が一致しない場合の処理動作の一部を説明するために示すフローチャート図。
【図4】同実施の形態におけるディスク再生装置が行なうメインオーディオとサブオーディオとのフレーム境界が一致しない場合の処理動作の残部を説明するために示すフローチャート図。
【図5】同実施の形態におけるディスク再生装置が行なうメインオーディオとサブオーディオとのフレーム境界が一致しない場合の他の処理を説明するために示す図。
【図6】同実施の形態におけるディスク再生装置が行なうメインオーディオとサブオーディオとのフレーム境界が一致しない場合の他の処理動作の一部を説明するために示すフローチャート図。
【図7】同実施の形態におけるディスク再生装置が行なうメインオーディオとサブオーディオとのフレーム境界が一致しない場合の他の処理動作の残部を説明するために示すフローチャート図。
【符号の説明】
【0062】
11…ディスク再生装置、12…光ディスク、13…ディスクドライブ部、14…トラックバッファ、15…デマルチプレクサ部、16…映像入力バッファ、17…映像デコーダ、18…D/A変換部、19…映像出力端子、20…主音声入力バッファ、21…ES抽出部、22…主音声バッファ、23…多重化処理部、24…副音声入力バッファ、25…ES抽出部、26…副音声バッファ、27…音声入力部、28…エフェクトバッファ、29…係数設定部、30…インターフェース部、31…デジタル音声出力端子、32…同期制御部、33…制御部、34…操作部、35…リモートコントローラ、36…受光部、37…メモリ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれにフレーム単位での再生開始時間を示す情報を含む第1及び第2の圧縮音声ストリームが格納されるとともに、その格納された第1及び第2の圧縮音声ストリームが、前記フレーム単位での再生開始時間を示す情報に基づいたタイミングで、フレーム単位で読み出される格納手段と、
前記格納手段からフレーム単位で読み出された第1及び第2の圧縮音声ストリームを取得しフレーム単位で多重化する多重化手段と、
前記多重化手段で多重化された圧縮音声ストリームを所定のデジタルインターフェースに準拠した伝送形態で出力する出力手段と、
前記格納手段から読み出された第1及び第2の圧縮音声ストリームを、それらのフレーム境界位置を同期させて前記多重化手段に取得させる制御手段とを具備することを特徴とする音声出力装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記格納手段から読み出された第1及び第2の圧縮音声ストリームのフレーム境界位置が時間的にずれている場合、前記第2の圧縮音声ストリームを、そのフレーム境界位置が前記第1の圧縮音声ストリームのフレーム境界位置に同期するように遅延させて前記多重化手段に取得させることを特徴とする請求項1記載の音声出力装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第2の圧縮音声ストリームに含まれる前記フレーム単位での再生開始時間を示す情報に基づいて生成され、前記格納手段に対して前記第2の圧縮音声ストリームのフレーム単位での読み出しを要求する要求信号の前記格納手段への供給を遅延させることにより、前記第2の圧縮音声ストリームが前記多重化手段に取得されるタイミングを遅延させることを特徴とする請求項2記載の音声出力装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2の圧縮音声ストリームに含まれる前記フレーム単位での再生開始時間を示す情報を、前記第1の圧縮音声ストリームに含まれる前記フレーム単位での再生開始時間を示す情報に書き換えることにより、前記第2の圧縮音声ストリームが前記多重化手段に取得されるタイミングを遅延させることを特徴とする請求項2記載の音声出力装置。
【請求項5】
前記多重化手段は、非圧縮音声データを入力して、前記第1及び第2の圧縮音声ストリームとともに多重化することを特徴とする請求項1記載の音声出力装置。
【請求項6】
前記多重化手段は、前記第1の圧縮音声ストリームを復号した音声信号と、前記第2の圧縮音声ストリームを復号した音声信号とをミクシングするためのミクシング係数を、前記第1及び第2の圧縮音声ストリームとともに多重化することを特徴とする請求項1記載の音声出力装置。
【請求項7】
それぞれにフレーム単位での再生開始時間を示す情報を含む第1及び第2の圧縮音声ストリームを格納するとともに、その格納された第1及び第2の圧縮音声ストリームを、前記フレーム単位での再生開始時間を示す情報に基づいたタイミングで、フレーム単位で読み出す第1の工程と、
フレーム単位で読み出された第1及び第2の圧縮音声ストリームをフレーム単位で多重化する第2の工程と、
多重化された圧縮音声ストリームを所定のデジタルインターフェースに準拠した伝送形態で出力する第3の工程と、
フレーム単位で読み出された第1及び第2の圧縮音声ストリームを、それらのフレーム境界位置を同期させて前記多重化に供させる第4の工程とを具備することを特徴とする音声出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−299974(P2008−299974A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145908(P2007−145908)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】