説明

音声出力装置

【課題】使用時の利用者への耳にかかる負担をより低減できる音声出力装置を提供することにある。
【解決手段】利用者の眼前に配置される正面部と、正面部の一方の端部に配置され、利用者の一方の耳の近傍に延在する第1側面部と、正面部の他方の端部に配置され、利用者の他方の耳の近傍に延在する第2側面部と、第1側面部および第2側面部の少なくとも一方に配置され、当該第1側面部および当該第2側面部の少なくとも一方の利用者と接する一部である特定部分を振動させることで、利用者に音声を伝達する圧電スピーカと、を備えることで、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の頭部に装着可能で、音声を出力する眼鏡形状の音声出力装置(ヘッドセット)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無線を用いた眼鏡形状の音声ヘッドセットが報告されている(特許文献1等)。この音声ヘッドセットの構造は、ダイナミックスピーカを使用したイヤホンを取り付けるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−534269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の音声ヘッドセット(特許文献1等)では、利用者はイヤホンを耳に挿入するため、利用者の耳に負担がかかるという問題点を有していた。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、使用時の利用者への耳にかかる負担をより低減できる音声出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するため、本発明の音声出力装置は、利用者の眼前に配置される正面部と、前記正面部の一方の端部に配置され、前記利用者の一方の耳の近傍に延在する第1側面部と、前記正面部の他方の端部に配置され、前記利用者の他方の耳の近傍に延在する第2側面部と、前記第1側面部および前記第2側面部の少なくとも一方に配置され、当該第1側面部および当該第2側面部の少なくとも一方の前記利用者と接する一部である特定部分を振動させることで、前記利用者に音声を伝達する圧電スピーカと、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の音声出力装置は、上記記載の音声出力装置において、前記第1側面部および前記第2側面部の少なくとも一方に配置され、前記圧電スピーカに供給する音声信号を生成する音声信号生成部、をさらに備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の音声出力装置は、上記記載の音声出力装置において、前記圧電スピーカは、棒状の形状であり、長手方向が前記第1側面部および前記第2側面部の少なくとも一方の延在方向と重なる向きに配置されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の音声出力装置は、上記記載の音声出力装置において、前記特定部分を前記利用者へ近づく方向と当該利用者から離れる方向とに交互に移動させることで前記特定部分を振動させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の音声出力装置は、上記記載の音声出力装置において、前記第1側面部および前記第2側面部の少なくとも一方は、前記正面部から遠い側の端部が前記耳よりも前の位置で2つに分岐した形状であり、分岐した一方の端部に前記圧電スピーカが配置され、分岐した他方の端部に前記耳で支持される部分が配置されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の音声出力装置は、上記記載の音声出力装置において、前記特定部分は、前記耳の外耳道周辺の軟骨と接する領域であり、前記圧電スピーカは、前記特定部分を振動させて、当該振動を前記耳の外耳道周辺の軟骨に伝達し、軟骨伝導により前記利用者に前記音声を伝達することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の音声出力装置は、上記記載の音声出力装置において、前記第1側面部および前記第2側面部の少なくとも一方は、前記圧電スピーカが配置される部分を含む第1部と、前記正面部と連結される端部を含む第2部と、当該第1部と当該第2部との間に配置された緩衝部材と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の音声出力装置は、上記記載の音声出力装置において、前記緩衝部材は、前記第1部の振動が前記第2部に伝達することを抑制する機構であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の音声出力装置は、上記記載の音声出力装置において、前記第1側面部および前記第2側面部の少なくとも一方の前記正面部側の端部に、前記利用者とは反対側に向けて配置されるマイク、をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の音声出力装置は、上記記載の音声出力装置において、前記マイクで取得した音声と逆位相の音声信号を前記圧電スピーカに供給するノイズキャンセル処理を行うノイズキャンセル制御部、をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の音声出力装置は、上記記載の音声出力装置において、前記正面部に配置され、前記利用者が視認できる画像を表示する表示部と、前記第1側面部および前記第2側面部の少なくとも一方に配置され、画像信号を生成する信号生成部と、前記正面部に配置され、前記信号生成部から供給された信号に基づいて前記表示部による画像の表示を制御する表示制御部と、をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の音声出力装置は、上記記載の音声出力装置において、前記表示部は、前記正面部に配置されるスクリーンに画像を表示させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の音声出力装置は、上記記載の音声出力装置において、前記正面部は、半透明または透明な部材で形成されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の音声出力装置は、上記記載の音声出力装置において、前記圧電スピーカに接続された回路の一部は、前記第1側面部および前記第2側面部の少なくとも一方の内部に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、使用時の利用者への耳にかかる負担をより低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、音声出力装置を備える画像音声出力システムの一実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す音声出力装置を利用者が装着した状態を側面から示す説明図である。
【図3A】図3Aは、図1に示す音声出力装置を利用者が装着した状態を上面から示す説明図である。
【図3B】図3Bは、図3Aに示す音声出力装置の側面部の内部に配置された圧電スピーカの振動方向を説明するための、当該側面部の透視図である。
【図4】図4は、図1に示す画像音声出力システムの機能の概略構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、利用者の耳の外耳道周辺の軟骨伝導に良好な範囲を示す説明図である。
【図6】図6は、他の実施形態に係る音声出力装置を利用者が装着した状態を側面から示す説明図である。
【図7】図7は、他の実施形態に係る音声出力装置を利用者が装着した状態を側面から示す説明図である。
【図8】図8は、他の実施形態に係る音声出力装置を利用者が装着した状態を側面から示す説明図である。
【図9】図9は、他の実施形態に係る音声出力装置を利用者が装着した状態を側面から示す説明図である。
【図10】図10は、他の実施形態に係る音声出力装置の一実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【図11】図11は、他の実施形態に係る音声出力装置の一実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【図12】図12は、他の実施形態に係る音声出力装置の側面部に配置された緩衝部材の位置を説明するための、当該側面部の断面図である。
【図13A】図13Aは、図10に示す音声出力装置を利用者が装着した状態を側面から示す説明図である。
【図13B】図13Bは、図13Aに示す音声出力装置の側面部に配置された緩衝部材の位置を説明するための、当該側面部の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0023】
図1は、音声出力装置を備える画像音声出力システム1の一実施形態の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す音声出力装置11を利用者Hが装着した状態を側面から示す説明図である。図1に示す画像音声出力システム1は、音声出力装置11と制御装置40とを有する。なお、本実施形態の画像音声出力システム1は、利用者に音声に加え画像(映像、動画、静止画)を提供するヘッドマウントディスプレイを音声出力装置11に用いる場合の例である。つまり、本実施形態の音声出力装置11は、装着した利用者に向けて音声を出力しつつ、画像を表示させる。
【0024】
画像音声出力システム1は、音声出力装置11と制御装置40との間で無線または有線による通信を行い、制御装置40から音声出力装置11に出力させる音声の情報を供給する。画像音声出力システム1は、音声出力装置11が制御装置40から供給される音声情報を処理し、音声を出力させることで利用者に向けて音声を出力する。また、画像音声出力システム1は、音声出力装置11と制御装置40との間で無線または有線による通信を行い、制御装置40から音声出力装置11に表示させる画像の情報を供給する。画像音声出力システム1は、音声出力装置11が制御装置40から供給される画像情報を処理し、画像を表示させることで利用者に向けて画像を表示する。
【0025】
音声出力装置11は、図1に示すように、眼鏡形状(ゴーグル形状)であり、正面部12と側面部13と側面部15とを有する。利用者Hに装着された音声出力装置11は、図2に示すように正面部12が利用者Hの眼前に配置され、側面部13、15が利用者Hの側頭部に沿って配置される。
【0026】
正面部12は、上述したように利用者Hに装着された場合、利用者Hの眼前に配置される部分である。正面部12は、中央部の一方の端部に装着時に利用者Hの鼻と接する正面支持部30が形成されている。正面支持部30は、利用者Hの鼻に沿って凹んだ形状である。正面部12は、正面支持部30が鼻により支持されることで、図2中下方向(頭部の下方向)に対して音声出力装置11が落ちないように支持される。正面部12は、略全域に画像を表示する表示部20が配置されている。また、正面部12は、表示部20に画像を表示させる指示となる信号を生成する表示制御部21が配置されている。なお、本実施形態の表示制御部21は、正面部12の中央部の正面支持部30とは反対側の端部に配置されている。
【0027】
側面部13は、上述したように利用者Hに装着された場合、利用者Hの側頭部に沿って配置される部分(眼鏡の弦の部分)であり、一方の端部が正面部12の一方の端部と連結している。ここで、正面部12と連結される側面部13の端部(眼鏡の弦の根元部分)には、利用者Hの使用感に合わせるための、圧力調整用のバネや角度を変更するアジャスタが配置されている。また、側面部13は、装着時に利用者Hの耳の上側の部分と接する側面支持部32が形成されている。なお、本実施形態の側面支持部32は、利用者Hの側頭部と接する部分である。側面部13は、側面支持部32が耳により支持されることで、図2中下方向(頭部の下方向)に対して音声出力装置11が落ちないように支持される。また、側面支持部32は、側面支持部32が耳により支持されることで、図2中左右方向(頭部の前後方向)に対して音声出力装置11が移動しないように支持される。
【0028】
また、側面部13は、制御部22、圧電スピーカ26およびマイク27を備える。制御部22は、側面部13の内部に配置されている。制御部22については後述する。圧電スピーカ26は、圧電セラミックスの持つ機械的固有共振現象を利用したスピーカであり、側面部13の内部の側面支持部32の近傍に配置されている。本実施形態において、圧電スピーカ26は、側面部13の利用者Hと接する一部を振動させることで、利用者Hに音声を伝達する音声出力手段である。つまり、圧電スピーカ26は、軟骨伝導にて人体に音声を伝えることで、利用者Hに音声や音楽を聴取させる。具体的には、圧電スピーカ26は、当該圧電スピーカ26が配置される側面部13の一部を耳の近くの軟骨に触れさせることで、振動が鼓膜に伝わり、利用者Hに音声を認識させる。また、圧電スピーカ26は、棒状(例えば、幅3mm、長さ25mm、厚み0.5mm)である。当該棒状の圧電スピーカ26は、長手方向が側面部13の延在方向に沿う向き(つまり振動子の長手方向と側面部13の延在方向とが略同一方向となる向き)で配置される。このように、圧電スピーカ26は、細くて薄い棒状であるため、眼鏡形状の音声出力装置11の側面部13(眼鏡の弦の部分)の実装に適している。
【0029】
マイク27は、利用者Hの声や周囲の音を収音する収音マイクであり、側面部13の正面部12側の端部に配置され、利用者Hとは反対側(利用者Hの耳の外耳道と同方向)に向けて配置されている。マイク27は、圧電スピーカ26が配置されている位置(耳の近傍)から遠い位置である側面部13の正面部12側の端部に配置されることで、圧電スピーカ26の影響を受けにくくすることができる。
【0030】
側面部15は、上述したように利用者Hに装着された場合、利用者Hの側頭部に沿って配置される部分(眼鏡の弦の部分)であり、一方の端部が正面部12の他方の端部と連結している。つまり側面部15は、正面部12を介して側面部13と対向する位置に配置されている。ここで、側面部13と同様に、正面部12と連結される側面部15の端部(眼鏡の弦の根元部分)には、圧力調整用のバネや角度を変更するアジャスタが配置されている。また、側面部15は、装着時に利用者Hの耳の上側の部分と接する側面支持部34が形成されている。なお、本実施形態の側面支持部34は、利用者Hの側頭部と接する部分である。側面部15は、側面支持部34が耳により支持されることで、頭部の下方向に対して音声出力装置11が落ちないように支持される。また、側面支持部34は、側面支持部34が耳により支持されることで、頭部の前後方向に対して音声出力装置11が移動しないように支持される。
【0031】
また、側面部15は、電源部24、圧電スピーカ28およびマイク29を備える。電源部24は、側面部15の内部に配置されている。電源部24については後述する。圧電スピーカ28は、圧電セラミックスの持つ機械的固有共振現象を利用したスピーカであり、側面部15の内部の側面支持部34の近傍に配置されている。マイク29は、利用者Hの声や周囲の音を収音する収音マイクであり、側面部15の正面部12側の端部に配置され、利用者Hとは反対側(利用者Hの耳の外耳道と同方向)に向けて配置されている。なお、圧電スピーカ28とマイク29は、配置位置が異なるのみで基本的な構成は圧電スピーカ26およびマイク27と同様であるので説明を省略する。また、本実施形態において、画像音声出力システム1は、制御装置40が携帯電話である場合、マイク29で収音した音声を、後述する通信部22eを介して制御装置40へ送信し、他の携帯電話と通信可能である。この場合、音声出力装置11は、携帯電話等の通話のオンオフを制御する通知スイッチを任意の位置に備えている。なお、図示しないが、電源部24に接続された電源部24駆動用の回路(基板)の一部は、側面部15の内部(眼鏡の弦の内部)に配置されている。電源部24の機能の詳細については、図4を参照して後述する。
【0032】
ここで、図3Aおよび図3Bを参照し、一例として、音声出力装置11の側面部13に配置される圧電スピーカ26の振動方向について説明する。図3Aは、図1に示す音声出力装置11を利用者Hが装着した状態を上面から示す説明図である。図3Bは、図3Aに示す音声出力装置1の側面部13の内部に配置された圧電スピーカ26の振動方向を説明するための、当該側面部13の透視図である。なお、以下では圧電スピーカ26について説明するが圧電スピーカ28についても同様である。
【0033】
図3Aに示すように、音声出力装置11を利用者Hが装着した場合、利用者Hの側頭部と、音声出力装置11の側面部13、15の一部(図3Aにおいて、側面支持部32、34周辺に圧電スピーカ26、28が配置された側面部13、15の一部)が接する状態となる。一例として、図3Aの(i)の部分を拡大した図3Bに示すように、圧電スピーカ26は、利用者Hと接する側面部13の一部(側面部15側の面の一部、特定部分)を、利用者Hへ近づく方向(側面部15に近づく方向)と利用者Hから離れる方向(側面部15から遠ざかる方向)とに交互に移動させ、当該側面部13の一部(特定部分)を利用者と接触している領域の表面に直交する方向に振動させる。ここで、図3Aに示した側面部13の一部を透視した図3Bに示すように、圧電スピーカ26は、振動子26−1と、当該振動子26−1を固定する固定子となりかつ圧電により振動を制御する電極部26−2を備える。なお、図示しないが、圧電スピーカ26に接続された圧電スピーカ26駆動用の回路(基板)の一部(例えば、後述する音声信号生成部22c)は、側面部13の内部(眼鏡の弦の内部)に配置されている。なお、本実施形態において、圧電スピーカ26は、振動が効率よく伝達可能な固定方法により実装されている。このように、圧電スピーカ26は、図3Bの(ii)が示す方向(利用者Hへ近づく方向または利用者Hから離れる方向)へ振動子26−1を移動させ、図3Bの(iii)が示す方向(利用者Hへ近づく方向または利用者Hから離れる方向)へ、利用者Hと接する側面部13の一部を振動させることで、利用者Hに音声を伝達する。
【0034】
次に、図4を用いて、画像音声出力システム1の機能について説明する。図4は、図1に示す画像音声出力システムの機能の概略構成を示すブロック図である。画像音声出力システム1は、上述したように音声出力装置11と制御装置40とを有する。音声出力装置11は、表示部20と、表示制御部21と、制御部22と、電源部24と、圧電スピーカ26、28と、マイク27、29と、を有する。なお、表示部20と表示制御部21とは、正面部12に配置されており、制御部22と圧電スピーカ26とマイク27とは、側面部13に配置されており、電源部24と圧電スピーカ28とマイク29とは、側面部15に配置されている。
【0035】
表示部20は、表示制御部21による制御に基づいて映像や画像を表示させる表示パネルである。表示部20としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネルなどで構成された表示パネルを用いることができる。ここで、表示部20は、表示パネルを半透明または透明の板状部材で作製することが好ましい。表示部20の表示パネルを半透明または透明の板状部材で作製することで、利用者Hが表示部20で塞いでいる領域の外側の景色を見ることができる。これにより、音声出力装置11を装着している場合でも周囲の状況を把握することができる。
【0036】
なお、表示部20は、利用者Hが視認できる画像を表示させることができれば、つまり利用者Hに画像を見せることができればよく、種々の構成を用いることができる。例えば、表示部20としては、プロジェクタのように表示パネル(スクリーン)に画像を投影する構成としてもよい。なお、画像を投影させる場合、レーザ光を走査させて画像を投影する構成としてもよいし、液晶パネルに光を透過させて画像を投影する構成としてもよい。また、表示部20から利用者Hに向けて直接レーザ光を照射することで利用者Hに対して画像を表示させる構成としてもよい。
【0037】
表示制御部21は、制御部22から供給される画像信号に基づいて表示部20の動作を制御する。例えば、表示部20が液晶ディスプレイの場合、印加する電圧を制御し各液晶素子のオンとオフの切り替えを制御する。
【0038】
制御部22は、信号生成部22aと主制御部22bと音声信号生成部22cとノイズキャンセル制御部22dと通信部22eとを有する。信号生成部22aは、表示制御部21に供給する信号を生成する演算処理部である。信号生成部22aは、表示部20に表示する画像、動画のデータを取得した場合、取得したデータを表示制御部21で処理可能な信号に変換し、変換した信号を表示制御部21に送る。
【0039】
主制御部22bは、例えば、マイクロプロセッサユニット(MPU:Micro Processing Unit)で構成され、ソフトウェアで指示された手順にしたがって上述した音声出力装置11の各種の処理を実行する。すなわち、主制御部22bは、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラム等から命令コードを順次読み込んで処理を実行する。このように、主制御部22bは、各部の動作を制御し、各部に必要なデータ、例えば信号生成部22aに画像データを送り、音声信号生成部22cに音声信号を送る。
【0040】
ここで、制御部22は、これら各種プログラムを記憶する記憶部を備えている。記憶部は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(ROM:Read Only Memory等の不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置等)や、読み書き可能な記憶デバイス(例えば、SRAM:Static Random Access Memory、DRAM:Dynamic Random Access Memory)等で構成される。
【0041】
音声信号生成部22cは、圧電スピーカ26、28から出力させる音声信号の処理を実行する。すなわち、音声信号生成部22cは、主制御部22bから送られる音声データに対して復号化、DA変換(Digital Analog変換)、増幅等の処理を施してアナログの音声信号に変換してから、圧電スピーカ26、28へ出力する。
【0042】
ノイズキャンセル制御部22dは、マイク27、29より取得される音声と逆位相の音声信号を圧電スピーカ26,28に供給することによるノイズキャンセルを制御する。つまり、マイク27、29に接続されたノイズキャンセル制御部22dは、圧電スピーカ26、28を制御する音声信号生成部22cと連動してノイズキャンセル機能を実現する。ノイズキャンセル制御部22dは、マイク27、29から取得される周囲雑音の逆位相を再生音にプラスして圧電スピーカ26、28に入力することで、周囲雑音を低減することができる。つまり、ノイズキャンセル制御部22dは、マイク27、29で収音した騒音と逆位相の音波を圧電スピーカ26、28で放射することで周囲騒音を打ち消すまたは低減する。ノイズキャンセル制御部22dは、ノイズキャンセルを行う場合、人の声などの音声の周波数についてはノイズキャンセルしないよう調整することもできる。ノイズキャンセル制御部22dは、例えば、周囲雑音を一律にノイズキャンセルするモードや、特定の周波数についての減衰率を調整するモードなどを選択可能であり、実行するモードに応じてマイク27、29で収音した音に基づいてマイク27、29から出力させる音を調整する。
【0043】
通信部22eは、制御装置40の後述する通信部44と無線または有線で通信を行う。通信部22eは、制御装置40と通信を行うことで各種情報を送受信する。ここで、無線接続の場合は、例えば、Wifi、Bluetooth(登録商標)等の方式を採用してもよい。また、無線接続を行う場合に用いるアンテナや充電端子は、音声出力装置11は任意の位置にあってもよい。また、有線接続の場合は、例えば、USB(Universal Serial Bus)を用いた伝送、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)端子を用いた伝送およびイヤホンジャックを用いた伝送などの規格を採用してもよい。また、有線接続を行う場合は、電源の供給をワイヤから可能としてもよい。この場合、当該ワイヤは、音声出力装置11の任意の位置にあってもよい。
【0044】
なお、通信部22eは、制御装置40以外の通信端末とも通信可能としてもよい。通信部22eは、例えば基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA(Code Division Multiple Access)方式などによる無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信及び情報通信を行ってもよい。
【0045】
電源部24は、電力を供給する供給源であり、制御部22を含む音声出力装置11の各機能部へ電力を供給する。なお、電源部24は、充電可能な蓄電池(バッテリ)や交換可能で使い捨て可能な乾電池を供給源としても用いる。また、本実施形態において、電源部24として太陽電池や燃料電池等を眼鏡のフレームや弦の部分(音声出力装置11の正面部12、側面部13、15等)に搭載してもよい。例えば、太陽電池を搭載した場合は、音声出力装置11が常に頭部に装着されるため、日光を効率よく取得することができる。また、燃料電池を搭載した場合は、外気を効率よく取り込むことができ、また、発生する水蒸気も効率よく排出することができる。また、音声出力装置11は、電源部24による電力供給のオンオフを制御する電源スイッチを任意の位置に備えていてもよい。
【0046】
圧電スピーカ26、28は、音声信号生成部22cから供給されるアナログの音声信号に基づいて音声を出力する音声出力部である。具体的には、圧電スピーカ26、28は、上述した図3Aおよび図3Bに示すように、音声信号生成部22cから供給されるアナログの音声信号に基づいて、利用者Hと接する側面部13、15の一部を振動させることで、利用者Hに音声を伝達する。より具体的には、圧電スピーカ26、28は、利用者Hと接する側面部13の一部(側面部13、15の正面部12とは反対側の端部)を、利用者Hへ近づく方向(正面部12を介して側面部13、15が互いに対向する方向)または利用者Hから離れる方向(利用者Hの耳の外耳道と同方向)へ振動させる。また、音声出力装置11は、圧電スピーカ26、28により出力される音声の音量を調整する音量調節スイッチを任意の位置に備えていてもよい。
【0047】
制御装置40は、制御部42と、通信部44と、を有する。制御部42は、例えば、マイクロプロセッサユニット(MPU:Micro Processing Unit)で構成され、ソフトウェアで指示された手順にしたがって各種の処理を実行する。すなわち、制御部42は、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラム等から命令コードを順次読み込んで処理を実行する。このように、制御部42は、各部の動作を制御し、各部に必要なデータ、例えば通信部44に、音声出力装置11に送る映像のデータ、動画のデータ、各種制御指示の情報等を送る。
【0048】
通信部44は、音声出力装置11の通信部22eと無線または有線で通信を行う。通信部44は、音声出力装置11と通信を行うことで各種情報を送受信する。なお、通信部44は、通信部22eと同様に音声出力装置11以外の通信端末とも通信可能としてもよい。
【0049】
このように、本実施形態の画像音声出力システム1によれば、制御装置40から音声出力装置11に出力する音声データや映像データ等を送り、音声出力装置11で処理することで、音声出力装置11を装着する利用者Hに音声と画像を提供することができる。つまり利用者Hに音声を聞かせ、画像を見せることができる。具体的には、音声出力装置11は、通信部22eと制御装置40の通信部44との通信により音声データや映像データ等を取得した場合、主制御部22bにより処理し、音声データを音声信号生成部22cに送り、画像データを信号生成部22aに送る。そして、音声信号生成部22cは、音声データに対して処理を行い生成した信号を圧電スピーカ26、28に送る。そして、圧電スピーカ26、28は、供給された信号に基づいて音声を出力する。これにより、本実施形態の画像音声出力システム1は、音声を利用者Hに向けて出力することができる。また、信号生成部22aは、主制御部22bから送られた画像データに基づいて表示制御部21で処理可能な信号を生成し、生成した信号を表示制御部21に送る。そして、表示制御部21は、当該信号に基づいて表示部20の動作を制御する。これにより、本実施形態の画像音声出力システム1は、画像データの画像を表示部20により利用者Hに向けて表示することができる。
【0050】
また、本実施形態の画像音声出力システム1および音声出力装置11は、棒状の圧電スピーカ26、28を側面部13、15に配置して軟骨伝導にて音声を伝達することで、使用時の利用者Hへの耳にかかる負担をより低減することができる。つまり、本実施形態の画像音声出力システム1および音声出力装置11は、利用者Hの耳にイヤホン等の突起部を入れないので、装着感がなく快適に使用することができ、また、デザイン性の向上、着脱容易性の向上、音質の向上を実現することができる。
【0051】
また、実施形態の画像音声出力システム1および音声出力装置11は、圧電スピーカ26、28で利用者Hの軟骨に音声を伝達することで好適に音声を伝達することができる。実施形態の画像音声出力システム1および音声出力装置11は、側面支持部32、34で側面部13、15を支持しかつ圧電スピーカ26、28で音声を伝達することで、耳の穴を塞ぐことなく、耳で支持された状態としかつ音声を伝達することができる。これにより、利用者Hは、外部の音声が聞こえる状態で音声出力装置11を使用することができる。
【0052】
また、本実施形態の画像音声出力システム1および音声出力装置11は、マイク27、29を側面部13、15に配置し、当該マイク27、29により取得した音声と逆位相の音声信号を圧電スピーカ26、28に供給することでノイズキャンセル機能を実現するので、利用者Hの耳外道を塞がない状態で、周囲騒音の低減を実現することができる。
【0053】
なお、画像音声出力システム1および音声出力装置11は、上記各種構成に加え、画像音声出力システム1および音声出力装置11に通常用いる各種構成を備えていることが好ましい。画像音声出力システム1および音声出力装置11は、例えば利用者Hが操作を入力する操作部を備えていることが好ましい。操作部は、音声出力装置11に設けても、別体として設けてもよい。操作部を別体として設ける場合は、通信部22e、通信部44との通信により操作を入力すればよい。
【0054】
また、本実施形態の音声出力装置11は、ヘッドマウントディスプレイとして正面部12に表示部20を設け、画像を表示させたがこれに限定されない。音声出力装置11は、眼鏡形状であればよく、正面部12に眼鏡のレンズやサングラスのレンズを配置してもよい。
【0055】
また、本実施形態の音声出力装置11は、2つの側面部13、15のうち、制御部22が配置されていない側面部15に電源部24を配置したがこれに限定されない。電源部24は、側面部13、15の両方に配置してもよい。また、音声出力装置11は、制御部22の一部を側面部15に配置してもよい。なお、音声出力装置11は、側面部13、15の重量が均等になるように制御部22、電源部24を配置することが好ましい。重量を均等にすることで、使用時の利用者Hへの負荷をより低減することができる。また、本実施形態において、圧電スピーカ26、28駆動用の回路(基板)の一部(例えば、後述する音声信号生成部22c)は、側面部13、15の内部(眼鏡の弦の内部)に配置したがこれに限定されない。当該回路は、側面部13、15とは別の筐体内に搭載され、有線で接続されてもよい。また、本実施形態において、側面部13、15は、音声出力装置11を最軽量にて設計するために、正面部12に対して着脱可能な単体のユニットとして構成されていてもよい。また、側面支持部32、34は、利用者Hの耳に沿って凹んだ形状であってもよい。
【0056】
なお、上記実施形態では、音声出力装置11がヘッドマウントディスプレイとして構成される一例を説明したが、正面部12に液晶ディスプレイ等の表示部20を備えなくともよい。例えば、音声出力装置11は、正面部12に眼鏡のレンズやサングラスのレンズを配置し、ノイズキャンセル機能を実装した眼鏡型の補聴器として構成されていてもよい。
【0057】
なお、上記実施形態において、音声出力装置11は、図1に示すようなデザイン性を重視した最もシンプルな形態の側面部13、15を一例として設けたが、側面部13、15の形態はこれに限定されない。
【0058】
以下、軟骨伝導により利用者Hに音声をより良好に伝達するのに適した側面部13、15の形態の一例について、図5〜図10を参照して説明する。
【0059】
図5は、利用者Hの耳Aの外耳道B周辺の軟骨伝導に良好な範囲(iv)を示す説明図である。図6〜9は、他の実施形態に係る音声出力装置11を利用者Hが装着した状態を側面から示す説明図である。図10は、他の実施形態に係る音声出力装置11の一実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【0060】
図5に示す領域(iv)は、圧電スピーカ26、28を配置した側面部13、15の一部が、利用者の耳Aの外耳道B周辺の軟骨と接する領域を示す。図5の(iv)の領域に、圧電スピーカ26、28を配置した側面部13、15の一部を当てると、音圧や周波数特性が改善される。つまり、図5の(iv)の領域に、当該側面部13、15の一部を当てると聞こえがよくなる。
【0061】
図6に示す音声出力装置51は、眼鏡形状であり、正面部52と正面部52の一方の端部と連結した側面部53とを有する。さらに、側面部53は、耳Aで支持される部分よりも前の位置にて正面部52から離れる方向へ分岐し(つまり、正面部52から遠い側の端部が耳Aよりも前の位置で2つに分岐した形状であり)、分岐した一方の端部53−1に圧電スピーカ56が配置され、分岐した他方の端部53−2に側面支持部が設けられている。つまり側面部53は、他方の端部53−2が耳Aで支持される。ここで、一方の端部53−1は、利用者Hの耳Aの外耳道B周辺の軟骨伝導に良好な範囲(図5の(iv)の領域)に広く接するよう丸い形状となっている。これにより、一方の端部53−1に配置される圧電スピーカ56は、より良好に軟骨伝導により利用者Hに音声を伝達することができる。なお、図6では省略したが、音声出力装置51は、側面部53に対向する位置、つまり、正面部52の他方の端部と連結する側面部も備え、側面部53に対向する側面部も同様の構造である。また、側面部53には、内部に制御部等が配置されている。
【0062】
図7に示す音声出力装置61は、眼鏡形状であり、正面部62と正面部62の一方の端部と連結した側面部63とを有する。さらに、側面部63は、耳Aで支持される部分よりも前の位置にて正面部62から離れる方向へ分岐し、分岐した一方の端部63−1に圧電スピーカ66が配置され、分岐した他方の端部63−2は耳Aで支持される。ここで、一方の端部63−1は、利用者Hの耳Aの外耳道B周辺の軟骨伝導に良好な範囲(図5の(iv)の領域)に接するよう分岐した形状となっている。これにより、一方の端部63−1に配置される圧電スピーカ66は、より良好に軟骨伝導により利用者Hに音声を伝達することができる。なお、図7では省略したが、音声出力装置61は、側面部63に対向する位置、つまり、正面部62の他方の端部と連結する側面部も備え、側面部63に対向する側面部も同様の構造である。また、側面部63には、内部に制御部等が配置されている。
【0063】
図8に示す音声出力装置71は、眼鏡形状であり、正面部72と正面部72の一方の端部と連結した側面部73とを有する。さらに、側面部73は、耳Aよりも前の位置にて正面部72から離れる方向へ分岐し、分岐した一方の端部73−1に圧電スピーカ76が配置され、分岐した他方の端部73−2は耳Aの近傍に延在する。音声出力装置71は、分岐した一方の端部73−1と分岐した他方の端部73−2の両方で、頭部の下方向に対して音声出力装置71が落ちないように支持される。なお、本実施形態において、正面部72と連結される側面部73の端部には、圧力調整用のバネや角度を変更するアジャスタが配置されている。また、一方の端部73−1は、利用者Hの耳Aの外耳道B周辺の軟骨伝導に良好な範囲(図5の(iv)の領域)に接するよう分岐した形状となっている。これにより、一方の端部73−1に配置される圧電スピーカ76は、より良好に軟骨伝導により利用者Hに音声を伝達することができる。なお、図8では省略したが、音声出力装置71は、側面部73に対向する位置、つまり、正面部72の他方の端部と連結する側面部も備え、側面部73に対向する側面部も同様の構造である。また、側面部73には、内部に制御部等が配置されている。
【0064】
図9に示す音声出力装置81は、眼鏡形状であり、正面部82と正面部82の一方の端部と連結した側面部83とを有する。さらに、側面部83の正面部82と連結している端部とは反対側の端部は、利用者Hの耳Aの外耳道B周辺の軟骨伝導に良好な範囲(図5の(iv)の領域)へ向かって曲がった形状となっている。圧電スピーカ86は、この側面部83の端部に配置される。音声出力装置81は、側面部83と利用者Hの側頭部とが接する部分(耳Aの前、目に近い位置で突出している部分)にて、頭部の下方向に対して音声出力装置81が落ちないように支持される。なお、本実施形態において、正面部82と連結される側面部83の端部には、圧力調整用のバネや角度を変更するアジャスタが配置されている。また、上述した側面部83の端部は、利用者Hの耳Aの外耳道B周辺の軟骨伝導に良好な範囲(図5の(iv)の領域)へ向かって曲がった形状となっているため、この端部に配置される圧電スピーカ86は、より良好に軟骨伝導により利用者Hに音声を伝達することができる。なお、図9では省略したが、音声出力装置81は、側面部83に対向する位置、つまり、正面部82の他方の端部と連結する側面部も備え、側面部83に対向する側面部も同様の構造である。また、側面部83には、内部に制御部等が配置されている。
【0065】
図10に示す音声出力装置91は、眼鏡形状であり、正面部92と正面部92の両方の端部とそれぞれ連結した側面部93、95とを有する。さらに、側面部93、95はそれぞれ、耳Aで支持される部分よりも前の位置にて正面部92から離れる方向へ分岐し、分岐した一方の端部93−1、95−1にそれぞれ圧電スピーカ96、98が配置され、分岐した他方の端部93−2、95−2はそれぞれ耳Aで支持される。具体的には、側面部93、95はそれぞれ、上述した図8の側面部73と同様に耳Aより前の位置にて分岐した形状となってなる。さらに、側面部93、95はそれぞれ、他方の端部93−2、95−2が耳Aで支持されるよう、上述した図8の側面部73と比べて図10の側面部93、95がより長い構造となっている。ここで、図10において、利用者Hは省略したが、一方の端部93−1、95−1はそれぞれ、利用者Hの耳Aの外耳道B周辺の軟骨伝導に良好な範囲(図5の(iv)の領域)に接するよう分岐した形状となっている。これにより、一方の端部93−1、95−1にそれぞれ配置される圧電スピーカ96、98は、より良好に軟骨伝導により利用者Hに音声を伝達することができる。また、側面部93、95には、内部に制御部等が配置されている。
【0066】
なお、眼鏡形状の音声出力装置11は、圧電スピーカ26、28(軟骨伝導レシーバ)の力学的な振動が大きいために、眼鏡のフレーム全体に振動が伝わり、当該フレーム全体が振動して音となることで周囲への音漏れが大きくなる傾向がある。これに対しては、圧電スピーカ26、28と、眼鏡のフレームとをゴム等の軟質部材である緩衝部材(ダンパー)で繋ぐことで、振動の大きい部分を小さくするよう音声出力装置11の構造を設計することが好ましい。
【0067】
以下、図11および図12を参照し、本実施形態の音声出力装置11の側面部13、15に緩衝部材17、19を配置した一例について説明する。図11は、他の実施形態に係る音声出力装置11の一実施形態の概略構成を示す斜視図である。図12は、他の実施形態に係る音声出力装置11の側面部13に配置された緩衝部材17の位置を説明するための、当該側面部13の断面図である。
【0068】
図11に示す音声出力装置11は、眼鏡形状であり、正面部12と正面部12の両方の端部とそれぞれ連結した側面部13、15とを有する。側面部13、15はそれぞれ、圧電スピーカ26、28が配置される一方の第1部13−1、15−1と、他方の第2部13−2、15−2と構成される。また、第1部13−1、15−1と第2部13−2、15−2との間には、緩衝部材17、19が配置される。これにより、緩衝部材17、19は、第1部13−1、15−1の振動に伴う第2部13−2、15−2の振動を低減することができる。つまり、音声出力装置11は、眼鏡のフレームの間に緩衝部材17、19(ダンパー)を入れることで振動する部分を限定することができる。したがって、音声出力装置11は、圧電スピーカ26、28により眼鏡のフレーム全体が振動して音となることによる周囲への音漏れを防ぐことができる。
【0069】
また、図12に示すように、音声出力装置11の側面部13は、利用者Hの側頭部と接する一方の第1部13−1と、第2部13−2との間に、緩衝部材17を配置してもよい。ここで、第1部13−1は、例えば振動伝達用のゴム等であり、圧電スピーカ26(振動子26−1と電極部26−2を含む)が配置される。また、第1部13−1に配置される圧電スピーカ26は、配線材を介して第2部13−2の内部に配置された回路(例えば、制御部22)の一部と接続されている。なお、利用者Hの音の聞こえ具合には個人差があるため、本実施形態において、利用者Hの側頭部と接する一方の第1部13−1を、アタッチメントとして交換式にすることで、高さや硬さを調整可能とする。
【0070】
ここで、図13Aおよび図13Bを参照し、本実施形態の音声出力装置91の側面部93に緩衝部材97を配置した一例について説明する。図13Aは、図10に示す音声出力装置91を利用者Hが装着した状態を側面から示す説明図である。図13Bは、図13Aに示す音声出力装置91の側面部93に配置された緩衝部材97の位置を説明するための、当該側面部93の透視図である。
【0071】
図13Aに示す音声出力装置91は、軟骨伝導に良好な範囲に第1部93−1が重なるよう設計された上述の図10に示す音声出力装置91の側面部93に、さらに緩衝部材97を配置した一例である。具体的には、図13Aの(v)が示す領域を拡大した図13Bに示すように、側面部93と圧電スピーカ96が配置された第1部93−1の間に緩衝部材97が配置される。なお、図13Aおよび図13Bに図示しないが、利用者Hの軟骨の位置の個人差に対応できるよう、利用者Hの側頭部と接する第1部93−1を、アタッチメントとして交換式にすることで、高さや硬さを調整してもよい。
【0072】
このように、本発明によれば、他者には単に眼鏡を掛けているように見えるので、例えば音楽や番組等を聴いている、周囲の騒音をカットしている事が周囲に意識されないなどの利点がある。例えば、音楽、音声の聴取については、圧電スピーカによる軟骨伝導を用いるので外耳道が開放され、今までのインナーイヤホン、カナル型イヤホン、大型のヘッドホンで感じた違和感を軽減できる。具体的には、耳の穴の異物感やヘッドホンの圧迫感、発汗の違和感を防止できる。また、外耳道が開放されているので、危険な音や他者の呼び掛けに対して対応可能となる。また、他者から見た時にイヤホンをしている事が判りにくいので、話し掛け易い状態になる。また、軟骨伝導を使う事で周囲への音漏れを軽減できる。なお、従来の技術(特許文献1等)では外耳道を塞ぐ(周囲と外耳道を遮断する)ことが基本となっていたので、外耳道を塞ぐことで周囲雑音を軽減していた。一方、本発明では外耳道が開放されているが、より積極的に鼓膜が騒音によって振動することを防止することで、外耳道が開放されている状態であっても、周囲雑音を軽減させることができる。
【0073】
また、本発明によれば、ノイズキャンセル機能により、例えば高校野球やプロ野球などのスポーツでスタジアムの大音響を軽減でき、また、監督、コーチ、他の選手の指示が明確に聞こえるなどの利点がある。また、無線を使用して監督からの指示を選手に送ることも可能となる。また、オフィスや試験会場等では周囲の雑音に気を取られず集中可能な状況を提供できる。また、飛行機や列車等の乗り物では騒音を低減することで、利用者が寛げる快適な状況を提供できる。
【0074】
また、本発明によれば、眼鏡形状であるため、近視、遠視等矯正の眼鏡やサングラスなどと組み合わせることができるという利点がある。
【0075】
また、本発明によれば、外耳道が開放されている為に通常のイヤホンも同時に使用することができるという利点がある。この場合、ノイズキャンセルを軟骨伝導で行うので、イヤホンは通常の製品でノイズキャンセルの効果を得られ、周囲雑音が大きい為に音量を上げすぎて難聴になるなどのリスクを軽減できる。
【0076】
また、本発明によれば、携帯電話等の通話に用いる場合、マイクを受話マイクに切り替える事で口に近い位置で音声を拾うことができ、また、デザイン性も良好な製品を提供できるという利点がある。また、周囲雑音のみをカットして相手に送話することも可能となり周囲騒音の大きい環境でも利点がある。
【符号の説明】
【0077】
1 画像音声出力システム
11 音声出力装置
12 正面部
13、15 側面部
20 表示部
21 表示制御部
22、42 制御部
22a 信号生成部
22b 主制御部
22c 音声信号生成部
22d ノイズキャンセル制御部
22e、44 通信部
24 電源部
26、28 圧電スピーカ
27、29 マイク
30 正面支持部
32、34 側面支持部
40 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の眼前に配置される正面部と、
前記正面部の一方の端部に配置され、前記利用者の一方の耳の近傍に延在する第1側面部と、
前記正面部の他方の端部に配置され、前記利用者の他方の耳の近傍に延在する第2側面部と、
前記第1側面部および前記第2側面部の少なくとも一方に配置され、当該第1側面部および当該第2側面部の少なくとも一方の前記利用者と接する一部である特定部分を振動させることで、前記利用者に音声を伝達する圧電スピーカと、を備えることを特徴とする音声出力装置。
【請求項2】
前記第1側面部および前記第2側面部の少なくとも一方に配置され、前記圧電スピーカに供給する音声信号を生成する音声信号生成部、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の音声出力装置。
【請求項3】
前記圧電スピーカは、棒状の形状であり、長手方向が前記第1側面部および前記第2側面部の少なくとも一方の延在方向と重なる向きに配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の音声出力装置。
【請求項4】
前記圧電スピーカは、前記特定部分を前記利用者へ近づく方向と当該利用者から離れる方向とに交互に移動させることで前記特定部分を振動させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の音声出力装置。
【請求項5】
前記第1側面部および前記第2側面部の少なくとも一方は、前記正面部から遠い側の端部が前記耳よりも前の位置で2つに分岐した形状であり、分岐した一方の端部に前記圧電スピーカが配置され、分岐した他方の端部に前記耳で支持される部分が配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の音声出力装置。
【請求項6】
前記特定部分は、前記耳の外耳道周辺の軟骨と接する領域であり、
前記圧電スピーカは、前記特定部分を振動させて、当該振動を前記耳の外耳道周辺の軟骨に伝達し、軟骨伝導により前記利用者に前記音声を伝達することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の音声出力装置。
【請求項7】
前記第1側面部および前記第2側面部の少なくとも一方は、前記圧電スピーカが配置される部分を含む第1部と、前記正面部と連結される端部を含む第2部と、当該第1部と当該第2部との間に配置された緩衝部材と、を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の音声出力装置。
【請求項8】
前記緩衝部材は、前記第1部の振動が前記第2部に伝達することを抑制する機構であることを特徴とする請求項7に記載の音声出力装置。
【請求項9】
前記第1側面部および前記第2側面部の少なくとも一方の前記正面部側の端部に、前記利用者とは反対側に向けて配置されるマイク、をさらに備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の音声出力装置。
【請求項10】
前記マイクで取得した音声と逆位相の音声信号を前記圧電スピーカに供給するノイズキャンセル処理を行うノイズキャンセル制御部、をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の音声出力装置。
【請求項11】
前記正面部に配置され、前記利用者が視認できる画像を表示する表示部と、
前記第1側面部および前記第2側面部の少なくとも一方に配置され、画像信号を生成する信号生成部と、
前記正面部に配置され、前記信号生成部から供給された信号に基づいて前記表示部による画像の表示を制御する表示制御部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の音声出力装置。
【請求項12】
前記表示部は、前記正面部に配置されるスクリーンに画像を表示させることを特徴とする請求項11に記載の音声出力装置。
【請求項13】
前記正面部は、半透明または透明な部材で形成されていることを特徴とする請求項11または12に記載の音声出力装置。
【請求項14】
前記圧電スピーカに接続された回路の一部は、前記第1側面部および前記第2側面部の少なくとも一方の内部に配置されることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の音声出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【公開番号】特開2012−249097(P2012−249097A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119545(P2011−119545)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】