説明

音声通話装置および音量調節方法

【課題】通話相手に与える不快感を軽減できないことがあるという問題を解決することが可能な音声通話装置を提供する。
【解決手段】記憶部9は、音量が増大する兆候を表す音声データの周波数パターンである兆候パターンを記憶する。音声判定部10は、送話器4が取り込んだ上り音声データの周波数パターンである上りパターンを解析する。また、音声判定部10は、その解析した上りパターンと記憶部9に記憶された兆候パターンとのパターンマッチングを行い、その上りパターンと兆候パターンの上り一致率が予め定められた閾値以上か否かを判定する。音量調節部11は、音声判定部10にて上り一致率が閾値以上であると判定されると、送信部から通話先に送信される上り音声データの音量を下げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音量調節が可能な音声通話装置および音量調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電話機などの音声通話装置の操作者が、通話している間にくしゃみや咳などの大音量の音声を出すと、その大音量の音声が通話相手に伝わり不快感を与えてしまう。このような大音量の音声が通話相手に与える不快感を軽減させることが可能な技術には、特許文献1に記載の通話装置がある。
【0003】
特許文献1に記載の通話装置では、通話マイクで取得された音声信号の音量レベルが測定される。また、その測定された音量レベルが所定値以上になると、くしゃみや咳などの大音量の音声が発生したと判断されて、その音声信号の音量レベルが下げられる。そして、その音量レベルが下げられた音声信号が通話相手の電話機に送信される。
【0004】
これにより、大音量の音声が発生すると音量レベルが下がるので、通話相手に大音量の音声が伝わることを抑制することが可能になる。したがって、通話相手に与える不快感を軽減させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−152397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の通話装置では、大音量の音声が発生した後で音量が下げられるので、くしゃみや咳などのように急激に音量が大きくなる場合、音量が下げられる前に、大音量の音声が通話相手に伝わることがある。したがって、通話相手に与える不快感を軽減できないことがあるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上記の課題である、通話相手に与える不快感を軽減できないことがあるという問題を解決することが可能な音声通話装置および音量調節方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による音声通話装置は、音声データを取り込む送話手段と、前記送話手段が取り込んだ音声データを通話先に送信する送信手段と、音量が増大する兆候を表す音声データの周波数パターンである兆候パターンを記憶する記憶手段と、前記送話手段が取り込んだ音声データの周波数パターンである上りパターンを解析し、該上りパターンと前記記憶手段に記憶された兆候パターンとのパターンマッチングを行い、該上りパターンと該兆候パターンとの一致率が予め定められた閾値以上か否かを判定する音声判定手段と、前記音声判定手段にて前記一致率が前記閾値以上であると判定されると、前記送信手段から送信される音声データの音量を下げる音量調節手段と、を含む。
【0009】
本発明による音量調節方法は、音量が増大する兆候を表す音声データの周波数パターンである兆候パターンを記憶する記憶手段を含む音声通話装置が行う音量調節方法であって、音声データを取り込む送話ステップと、前記取り込まれた音声データを通話先に送信する送信手段と、前記取り込まれた音声データの周波数パターンである上りパターンを解析する解析ステップと、前記解析された上りパターンと前記記憶手段に記憶された兆候パターンとのパターンマッチングを行い、該上りパターンと該兆候パターンとの一致率が予め定められた閾値以上か否かを判定する判定ステップと、前記一致率が前記閾値以上であると判定されると、前記送信される音声データの音量を下げる調節ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通話相手に与える不快感を適切に軽減させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一の実施形態の音声通話装置の構成を示したブロック図である。
【図2】音声通話装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図3】音声通話装置の他の動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同じ機能を有する構成には同じ符号を付け、その説明を省略する場合がある。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態の音声通話装置の構成を示したブロック図である。図1において、音声通話装置100は、操作部1と、表示部2と、通信制御部3と、送話器4と、送信部5と、受信部6と、受話器7と、音声処理部8と、記憶部9と、音声判定部10と、音量調節部11とを含む。なお、音声通話装置100は、例えば、固定電話機または携帯電話機である。
【0014】
操作部1は、音声通話装置100の操作者にて操作されるインターフェースである。操作部1は、操作者から、通話先の電話番号、通話を開始する旨の開始指示、および、通話を終了する旨の終了指示などを受け付ける。
【0015】
なお、図1では、入力キーを有するキー入力装置が操作部1として示されており、入力キーとして、操作者が電話番号を入力するためのダイヤルキー1aと、操作者が開始指示を入力するための開始キー1bと、操作者が終了指示を入力するための終了キー1cとが示されている。しかしながら、操作部1はキー入力装置に限らず適宜変更可能である。
【0016】
表示部2は、操作部1が受け付けた電話番号や、音声通話中である旨などの種々の情報を表示する。
【0017】
通信制御部3は、音声通話を行うための通信処理を行う。例えば、通信制御部3は、操作部1が通話先の電話番号を受け付けてから開始指示を受け付けると、その電話番号が示す通話先に発呼して音声通話を開始する。また、通信制御部3は、操作部1が終了指示を受け付けると、音声通話を終了する。
【0018】
送話器4は、例えば、マイクであり、入力された空気振動を、電気信号に変換して、通話先に送信するための音声データ(以下、上り音声データと称する)として取り込む。
【0019】
送信部5は、送話器4が取り込んだ上り音声データを通話先に送信する。
【0020】
受信部6は、通話先から、音声通話装置100の操作者に伝える音声データ(以下、下り音声データと称する)を受信する。なお、下り音声データは、電気信号であり、かつ、符号化されているものとする。
【0021】
受話器7は、例えば、スピーカまたはレシーバ装置であり、受信部6が受信した下り音声データを空気振動に変換して出力する。
【0022】
音声処理部8は、送話器4が取り込んだ上り音声データの符号化を行う。また、音声処理部8は、受信部6が受信した下り音声データの復号化を行う。なお、符号化および復号化の方式は、例えば、PGM(Pulse Code Modulation)方式やCELP(Code Exited Linear Prediction)方式である。
【0023】
記憶部9は、兆候パターンを記憶する。兆候パターンは、音量が増大する兆候を表す音声データの周波数パターンである。また、周波数パターンは、音声データの周波数の時間推移を示した情報である。
【0024】
人はくしゃみを出す前に強く吸気することが多い。この吸気された時に生じる吸気音は、通常の呼吸の際に生じる吸気音や、発話の際の呼気音と異なる独特な周波数パターンを有している。したがって、くしゃみが出る前の吸気音の周波数パターンを、兆候パターンとして用いることができる。
【0025】
音声判定部10は、送話器4が取り込んだ上り音声データの周波数パターンである上りパターンを解析する。音声判定部10は、その解析した上りパターンと、記憶部9に記憶された兆候パターンとのパターンマッチングを行い、上りパターンと兆候パターンとの一致率(以下、上り一致率と称する)を求める。音声判定部10は、その上り一致率が予め定められた閾値以上か否かを判定する。
【0026】
また、音声判定部10は、受信部6が受信した下り音声データの周波数パターンである下りパターンを解析する。音声判定部10は、その解析した下りパターンと、記憶部9に記憶された兆候パターンとのパターンマッチングを行い、下りパターンと兆候パターンとの一致率(以下、下り一致率と称する)を求める。音声判定部10は、その下り一致率が閾値以上か否かを判定する。
【0027】
音量調節部11は、上り音声データおよび下り音声データの音量を個別に調節する。
【0028】
具体的には、音声判定部10にて上り一致率が閾値以上であると判定された場合、音量調節部11は、送信部5から送信される上り音声データの音量を予め定められた一定期間だけ下げる。また、音声判定部10にて下り一致率が閾値以上であると判定された場合、音量調節部11は、受話器7から出力される下り音声データの音量を一定期間だけ下げる。
【0029】
次に動作を説明する。
【0030】
先ず、音声通話を開始する際の音声通話装置100の動作について説明する。
【0031】
音声通話装置100から通話先となる他の音声通話装置に発信する場合、操作者は、ダイヤルキー1aを用いて、通話先の電話番号を操作部1に入力する。操作部1は、電話番号を受け付けると、その電話番号を通信制御部3に送信する。通信制御部3は、電話番号を受信すると、その電話番号を表示部2に表示する。
【0032】
続いて、操作者は、開始キー1bを用いて、開始指示を操作部1に入力する。操作部1は、開始指示を受け付けると、その開始指示を通信制御部3に送信する。通信制御部3は、開始指示を受信すると、その受信した電話番号の音声通話装置に発呼して音声通話を開始する。通信制御部3は、音声通話を開始すると、音声通話中である旨を表示部2に表示する。
【0033】
音声通話装置100が通話先となる他の音声通話装置から着信される場合、受信部6は、他の音声通話装置から着信信号を受信し、その着信信号を通信制御部3に送信する。通信制御部3は、着信信号を受信すると、着信があった旨を表示部2に表示する。その後、操作部1は、開始指示を受け付けると、その開始指示を通信制御部3に送信する。通信制御部3は、開始指示を受信すると、着信先と接続して音声通話を開始する。通信制御部3は、音声通話を開始すると、音声通話中である旨を表示部2に表示する。
【0034】
次に、音声通話を終了する際の音声通話装置100の動作について説明する。
【0035】
音声通話装置100の操作者が音声通話を終了する場合、操作者は、終了キー1cを用いて、終了指示を操作部1に入力する。操作部1は、終了指示を受け付けると、その終了指示を通信制御部3に送信する。通信制御部3は、終了指示を受信すると、通話先との接続を切断して、音声通話を終了する。通信制御部3は、音声通話を終了すると、音声通話が終了された旨を表示部2に表示する。
【0036】
また、通話先が音声通話を終了させた場合、通話先と音声通話装置100との接続が切断される。通信制御部3は、その切断を検知し、その後、音声通話を終了する。通信制御部3は、音声通話を終了すると、音声通話が終了された旨を表示部2に表示する。
【0037】
次に音声通話を行う処理に関する音声通話装置100の動作について説明する。
【0038】
送話器4は、入力された空気振動を電気信号に変換して上り音声データとして取り込み、その取り込んだ上り音声データを音量調節部11に送信する。音量調節部11は、上り音声データを受信すると、上り音声データを音声処理部8に送信する。音声処理部8は、上り音声データを受信すると、その上り音声データを符号化して通信制御部3に送信する。通信制御部3は、音声データを受信すると、その音声データを送信部5を介して通話先に送信する。
【0039】
また、受信部6は、下り音声データを受信すると、その下り音声データを、通信制御部3を介して音声処理部8に送信する。音声処理部8は、下り音声データを受信すると、その下り音声データを復号化して音量調節部11に送信する。音量調節部11は、下り音声データを受信すると、その音声データを受話器7に送信する。受話器7は、音声データを受信すると、その音声データを空気振動に変換して出力する。
【0040】
次に、上り音声データの音量を調節する処理に関する音声通話装置100の動作を説明する。図2は、この動作を説明するためのフローチャートである。
【0041】
ステップA1では、音声処理部8は、上り音声データを符号化すると、その符号化した上り音声データを音声判定部10に入力する。音声判定部10は、上り音声データを受信すると、ステップA2を実行する。
【0042】
ステップA2では、音声処理部8は、上り音声データの周波数パターンである上りパターンを解析する。音声判定部10は、その解析した上りパターンと、記憶部9に記憶された兆候パターンとのパターンマッチングを行い、上り一致率を求める。音声判定部10は、上り一致率を求めると、ステップA3を実行する。
【0043】
ステップA3では、音声判定部10は、上り一致率が閾値以上か否かを判定して、くしゃみの兆候があるか否かを判定する。具体的には、音声判定部10は、上り一致率が閾値以上であると、くしゃみの兆候があると判定し、上り一致率が閾値未満であると、くしゃみの兆候がないと判定する。
【0044】
音声判定部10は、くしゃみの兆候がないと、動作を終了し、くしゃみの兆候があると、ステップA4を実行する。
【0045】
ステップA4では、音声判定部10は、上り音声データの音量を下げる旨の上り減少指示を音量調節部11に送信する。音量調節部11は、上り減少指示を受信すると、上り音声データの音量を下げる。音量調節部11は、音量を下げてから経過した時間を測定し、その時間が一定期間になると、上り音声データの音量を元の値まで上げて、動作を終了する。
【0046】
次に、下り音声データの音量を調節する処理に関する音声通話装置の動作を説明する。図3は、この動作を説明するためのフローチャートである。
【0047】
ステップB1では、音声処理部8は、下り音声データを受信すると、その下り音声データを音声判定部10に入力する。なお、音声処理部8は、復号化を行う前に下り音声データを音声判定部10に入力する。
【0048】
音声判定部10は、下り音声データを受信すると、ステップB2を実行する。
【0049】
ステップB2では、音声処理部8は、下り音声データの周波数パターンである下りパターンを解析する。音声判定部10は、その解析した下りパターンと、記憶部9に記憶された兆候パターンとのパターンマッチングを行い、下り一致率を求める。音声判定部10は、下り一致率を求めると、ステップB3を実行する。
【0050】
ステップB3では、音声判定部10は、下り一致率が閾値以上か否かを判定して、くしゃみの兆候があるか否かを判定する。具体的には、音声判定部10は、下り一致率が閾値以上であると、くしゃみの兆候があると判定し、下り一致率が閾値未満であると、くしゃみの兆候がないと判定する。
【0051】
音声判定部10は、くしゃみの兆候がないと、動作を終了し、くしゃみの兆候があると、ステップB4を実行する。
【0052】
ステップB4では、音声判定部10は、下り音声データの音量を下げる旨の下り減少指示を音量調節部11に送信する。音量調節部11は、下り減少指示を受信すると、下り音声データの音量を下げる。音量調節部11は、音量を下げてから経過した時間を測定し、その時間が一定期間になると、下り音声データの音量を元の値まで上げて、動作を終了する。
【0053】
次に効果を説明する。
【0054】
本実施形態では、記憶部9は、音量が増大する兆候を表す音声データの周波数パターンである兆候パターンを記憶する。音声判定部10は、送話器4が取り込んだ上り音声データの周波数パターンである上りパターンを解析する。また、音声判定部10は、その解析した上りパターンと記憶部9に記憶された兆候パターンとのパターンマッチングを行い、その上りパターンと兆候パターンの上り一致率が予め定められた閾値以上か否かを判定する。音量調節部11は、音声判定部10にて上り一致率が閾値以上であると判定されると、送信部5から通話先に送信される上り音声データの音量を下げる。
【0055】
この場合、通話先に送信される上り音声データの周波数パターンと、音量が増大する兆候を表す兆候パターンとの上り一致率が閾値以上であると、上り音声データの音量が下げられる。このため、例えば、操作者がくしゃみをする前に上り音声データの音量を下げることが可能になり、大音量の音声が通話相手に伝わることを適切に抑制することが可能になる。したがって、通話相手に与える不快感を適切に軽減させることが可能になる。
【0056】
また、本実施形態では、音声判定部10は、受信部6が受信した下り音声データの周波数パターンである下りパターンを解析する。また、音声判定部10は、その解析した下りパターンと記憶部9に記憶された兆候パターンとのパターンマッチングを行い、下りパターンと兆候パターンとの下り一致率が閾値以上か否かを判定する。音量調節部11は、音声判定部10にて下り一致率が閾値以上であると判定されると、受話器7から出力される下り音声データの音量を下げる。
【0057】
この場合、通話先から受信した下り音声データの周波数パターンと兆候パターンとの下り一致率が閾値以上であると、下り音声データの音量が下げられる。このため、例えば、通話相手がくしゃみをする前に下り音声データの音量を下げることが可能になり、大音量の音声が操作者に伝わることを適切に抑制することが可能になる。したがって、通話相手から受ける不快感を適切に軽減させることが可能になる。
【0058】
次に第二の実施形態について説明する。
【0059】
第一の実施形態では、くしゃみによる大音量の音声が与える不快感を軽減させていたが、本実施形態では、咳または意図的な大声(恫喝など)などの兆候を示す吸気音などの周波数パターンを兆候パターンとして記憶部9に記憶しておくことで、くしゃみと異なる要因で発生する大音量の音声が与える不快感を軽減させることができる。
【0060】
また、複数の要因のそれぞれで発生する大音量の音声が与える不快感を軽減させるために、記憶部9は、複数の兆候パターンを記憶してもよい。
【0061】
この場合、音声判定部10は、記憶部9に記憶された兆候パターンごとに、上りパターンと兆候パターンとのパターンマッチングを行い、上り一致率が閾値以上か否かを判定する。音声判定部10は、その上り一致率の少なくとも一つが閾値以上であると、上り音声データが大音量となる兆候があると判定し、その上り一致率の全てが閾値未満であると、上り音声データが大音量となる兆候がないと判定する。
【0062】
また、音声判定部10は、記憶部9に記憶された兆候パターンごとに、下りパターンと兆候パターンとのパターンマッチングを行い、下り一致率が閾値以上か否かを判定する。音声判定部10は、その下り一致率の少なくとも一つが閾値以上であると、下り音声データが大音量となる兆候があると判定し、その下り一致率の全てが閾値未満であると、下り音声データが大音量となる兆候がないと判定する。
【0063】
音声判定部10にて上り音声データが大音量となる兆候があると判定されると、音量調節部11は、上り音声データの音量を一定期間だけ下げる。また、音声判定部10にて下り音声データが大音量となる兆候があると判定されると、音量調節部11は、下り音声データの音量を一定期間だけ下げる。
【0064】
次に効果を説明する。
【0065】
本実施形態では、記憶部9は、複数の兆候パターンを記憶する。音声判定部10は、記憶部9に記憶された兆候パターンごとに、上りパターンと兆候パターンとのパターンマッチングを行い、上り一致率が閾値以上か否かを判定する。音声判定部10にて上り一致率の少なくとも一つが閾値以上であると判定されると、音量調節部11は、上り音声データの音量を下げる。
【0066】
この場合、上り一致率が閾値以上か否かが兆候パターンごとに判定され、上り一致率の少なくとも一つが閾値以上であると、上り音声データの音量が一定期間だけ下げられる。このため、複数の要因のそれぞれで発生する大音量の音声が通話相手に与える不快感を軽減させることが可能になる。
【0067】
また、本実施形態では、音声判定部10は、記憶部9に記憶された兆候パターンごとに、下りパターンと兆候パターンとのパターンマッチングを行い、下り一致率が閾値以上か否かを判定する。音声判定部10にて下り一致率の少なくとも一つが閾値以上であると判定されると、音量調節部11は、下り音声データの音量を下げる。
【0068】
この場合、下り一致率が閾値以上か否かが兆候パターンごとに判定され、下り一致率の少なくとも一つが閾値以上であると、下り音声データの音量が一定期間だけ下げられる。このため、複数の要因で発生する大音量の音声が操作者に与える不快感を軽減させることが可能になる。
【0069】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0070】
1 操作部
2 表示部
3 通信制御部
4 送話器
5 送信部
6 受信部
7 受話器
8 音声処理部
9 記憶部
10 音声判定部
11 音量調節部
100 音声通話装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声データを取り込む送話手段と、
前記送話手段が取り込んだ音声データを通話先に送信する送信手段と、
音量が増大する兆候を表す音声データの周波数パターンである兆候パターンを記憶する記憶手段と、
前記送話手段が取り込んだ音声データの周波数パターンである上りパターンを解析し、該上りパターンと前記記憶手段に記憶された兆候パターンとのパターンマッチングを行い、該上りパターンと該兆候パターンとの一致率が予め定められた閾値以上か否かを判定する音声判定手段と、
前記音声判定手段にて前記一致率が前記閾値以上であると判定されると、前記送信手段から送信される音声データの音量を下げる音量調節手段と、を含む音声通話装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音声通話装置において、
通話先から下り音声データを受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した下り音声データを出力する受話手段と、をさらに含み、
前記音声判定手段は、前記受信手段が受信した下り音声データの周波数パターンである下りパターンを解析し、該下りパターンと前記記憶手段に記憶された兆候パターンとのパターンマッチングを行い、該下りパターンと該兆候パターンとの下り一致率が前記閾値以上か否かを判定し、
前記音量調節手段は、前記音声判定手段にて前記下り一致率が前記閾値以上であると判定されると、前記受話手段から出力される下り音声データの音量を下げる、音声通話装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の音声通話装置において、
前記記憶手段に記憶された兆候パターンは、複数あり、
前記音声判定手段は、前記記憶手段に記憶された兆候パターンごとに、前記上りパターンと該兆候パターンとの一致率が前記閾値以上か否かを判定し、
前記音量調節手段は、前記音声判定手段にて前記一致率の少なくとも一つが前記閾値以上であると判定されると、前記音声データの音量を下げる、音声通話装置。
【請求項4】
請求項2に記載の音声通話装置において、
前記記憶手段に記憶された兆候パターンは、複数あり、
前記音声判定手段は、前記記憶手段に記憶された兆候パターンごとに、前記下りパターンと該兆候パターンとの下り一致率が前記閾値以上か否かを判定し、
前記音量調節手段は、前記音声判定手段にて前記下り一致率の少なくとも一つが前記閾値以上であると判定されると、前記下り音声データの音量を下げる、音声通話装置。
【請求項5】
請求項4に記載の音声通話装置において、
前記音声判定手段は、前記記憶手段に記憶された兆候パターンごとに、前記上りパターンと該兆候パターンとの一致率が前記閾値以上か否かを判定し、
前記音量調節手段は、前記音声判定手段にて前記一致率の少なくとも一つが前記閾値以上であると判定されると、前記音声データの音量を下げる、音声通話装置。
【請求項6】
音量が増大する兆候を表す音声データの周波数パターンである兆候パターンを記憶する記憶手段を含む音声通話装置が行う音量調節方法であって、
音声データを取り込む送話ステップと、
前記取り込まれた音声データを通話先に送信する送信ステップと、
前記取り込まれた音声データの周波数パターンである上りパターンを解析する解析ステップと、
前記解析された上りパターンと前記記憶手段に記憶された兆候パターンとのパターンマッチングを行い、該上りパターンと該兆候パターンとの一致率が予め定められた閾値以上か否かを判定する判定ステップと、
前記一致率が前記閾値以上であると判定されると、前記送信される音声データの音量を下げる調節ステップと、を含む音量調節方法。
【請求項7】
請求項6に記載の音量調節方法において、
通話先から下り音声データを受信する受信ステップと、
前記受信された下り音声データを出力する受話ステップと、
前記受信された下り音声データの周波数パターンである下りパターンを解析する下り解析ステップと、
前記解析された下りパターンと前記記憶手段に記憶された兆候パターンとのパターンマッチングを行い、該下りパターンと該兆候パターンとの下り一致率が前記閾値以上か否かを判定する下り判定ステップと、
前記下り一致率が前記閾値以上であると判定されると、前記出力される下り音声データの音量を下げる下り調節ステップと、を含む音量調節方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の音量調節方法において、
前記記憶手段に記憶された兆候パターンは、複数あり、
前記判定ステップでは、前記記憶手段に記憶された兆候パターンごとに、前記上りパターンと該兆候パターンとの一致率が前記閾値以上か否かを判定し、
前記調節ステップでは、前記一致率の少なくとも一つが前記閾値以上であると判定されると、前記音声データの音量を下げる、音量調節方法。
【請求項9】
請求項7に記載の音量調節方法において、
前記記憶手段に記憶された兆候パターンは、複数あり、
前記下り判定ステップでは、前記記憶手段に記憶された兆候パターンごとに、前記
下りパターンと該兆候パターンとの下り一致率が前記閾値以上か否かを判定し、
前記下り調節ステップでは、前記下り一致率の少なくとも一つが前記閾値以上であると判定されると、前記下り音声データの音量を下げる、音量調節方法。
【請求項10】
請求項9に記載の音量調節方法において、
前記判定ステップでは、前記記憶手段に記憶された兆候パターンごとに、前記上りパターンと該兆候パターンとの一致率が前記閾値以上か否かを判定し、
前記調節ステップでは、前記一致率の少なくとも一つが前記閾値以上であると判定されると、前記音声データの音量を下げる、音量調節方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate