説明

音楽ゲームシステム及びそのコンピュータプログラム並びに効果音データの生成方法

【課題】プレイヤによる入力された音声を判別し、判別結果に基づいて音階を形成可能な音楽ゲームシステムを提供する。
【解決手段】音声を入力する音声入力装置9と、ゲーム音を再生出力するスピーカ8と、音程の異なる複数の効果音のそれぞれをスピーカ8から出力させるための効果音データ27及びプレイヤの操作と対応して出力すべき効果音との関係を記述するシーケンスデータ29を記憶する外部記憶装置20を備えた音楽ゲームシステムにおいて、音声入力装置9により入力された音声の音声データに基づいて、入力された音声を代表する音程を判別し、その音程判別結果に基づいて音声データと互いに音程の異なる複数の音データを音階が形成されるように生成し、これら複数の音データの集合を効果音データの少なくとも一部として効果音データ27に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤにより入力された音声がゲーム内容に反映される音楽ゲームシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
プレイヤが入力した音声に基づいてゲーム内容が変化する音楽ゲーム機が周知である。例えば、入力した音声をキャラクタの動作に反映させるもの(特許文献1参照。)や、プレイヤの歌唱を入力して採点し、その優劣を競うもの(特許文献2参照。)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−136764号公報
【特許文献2】特開平10−268876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のゲーム機では、いずれもプレイヤの音声を取り込んでゲーム内容を変更している。プレイヤの音声の音程を検知し、基準音程との比較結果に基づいてキャラクタの動作内容を変更するように処理がされる。しかしながら、プレイヤが入力した音声を素材としてゲーム内容に反映させ、この入力した音声でゲームを楽しむような構成はない。
【0005】
そこで、本発明はプレイヤによる入力された音声を判別し、判別結果に基づいて音階を形成可能な音楽ゲームシステム及びそのコンピュータプログラム並びに効果音データの生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の音楽ゲームシステムは、音声を入力する音声入力装置(9)と、ゲーム音を再生出力する音声出力装置(8)と、音程の異なる複数の効果音のそれぞれを前記音声出力装置から出力させるための効果音データ(27)を記憶する効果音データ記憶手段(20)と、プレイヤの操作と対応して出力すべき効果音との関係を記述するシーケンスデータ(29)を記憶するシーケンスデータ記憶手段(20)と、前記音声入力装置により入力された音声の音声データに基づいて、前記入力された音声を代表する音程を判別する音程判別手段(10)と、前記音程判別手段の音程判別結果に基づいて前記音声データと互いに音程の異なる複数の音データを音階が形成されるように生成する音階生成手段(10)と、前記音階生成手段が生成した前記複数の音データを前記効果音データの少なくとも一部として前記効果音データ記憶手段に記憶させる効果音データ記憶制御手段(10)と、を備えるものである。
【0007】
また、本発明の音楽ゲームシステム用のコンピュータプログラムは、音声を入力する音声入力装置(9)と、ゲーム音を再生出力する音声出力装置(8)と、音程の異なる複数の効果音のそれぞれを前記音声出力装置から出力させるための効果音データ(27)を記憶する効果音データ記憶手段(20)と、プレイヤの操作と対応して出力すべき効果音との関係を記述するシーケンスデータ(29)を記憶するシーケンスデータ記憶手段(20)と、を備えた音楽ゲームシステムに組み込まれるコンピュータ(10)を、前記音声入力装置により入力された音声の音声データに基づいて、前記入力された音声を代表する音程を判別する音程判別手段(10)、前記音程判別手段の音程判別結果に基づいて前記音声データと互いに音程の異なる複数の音データを音階が形成されるように生成する音階生成手段(10)、及び前記音階生成手段が生成した前記複数の音データを前記効果音データの少なくとも一部として前記効果音データ記憶手段に記憶させる効果音データ記憶制御手段(10)、として機能させるように構成されたものである。
【0008】
本発明においては、プレイヤが音声入力装置に入力した音声に基づき音程判別部で音声データが生成され、音声データの代表となる音程が判別される。そして、音声データの音程判別結果に基づいて音階生成部では、音程が判別された音声データを元にして音程の異なる複数の音データを生成する。この複数の音データが音階を形成している。複数の音データは、効果音データとして効果音データ記憶手段に記憶され、プレイヤの操作と対応して出力すべき効果音として複数の音データが利用される。従って、プレイヤが任意に入力した音声に基づいて音階が形成されるので、入力した音声によるメロディを奏でたり、入力した音声を素材としてゲーム内容に反映させ、プレイヤが入力した音声でゲームを楽しんだりすることができる。
【0009】
本発明の音楽ゲームシステムの一形態において、前記音程判別手段は、前記音声入力装置により入力された音声の音声データから代表する周波数を特定することで前記音声の音程を判別してもよい。この形態によれば、例えば音声データの周波数スペクトルを参照して分布が最大となる周波数を代表値として特定することで、音声の音程が判別される。
【0010】
本発明の音楽ゲームシステムの一形態において、前記音階生成手段は、少なくとも1オクターブ以上の音階を生成してもよい。この形態によれば、音階を生成することでメロディを奏でることができる。多くの音データを生成すれば音階の幅が広がり奏でることができるメロディも増え、ゲーム内容を高度化させることができる。
【0011】
本発明の音楽ゲームシステムの一形態において、少なくとも一つの操作部を有する入力装置をさらに備え、前記シーケンスデータの記述に従った効果音が、前記入力装置によるプレイヤの操作に基づいて前記音声出力装置から再生されてもよい。この形態によれば、プレイヤは操作部を操作することにより、自ら入力した音声を利用して形成された音階で構成される効果音を再生することができる。従って、入力した音声を素材としてゲーム内容に反映させ、プレイヤが入力した音声でゲームを楽しんだりすることができる。
【0012】
本発明の効果音データの生成方法は、音声入力装置(9)により入力された音声の音声データに基づいて前記入力された音声を代表する音程を判別する音程判別工程と、前記音程判別工程の音程判別結果に基づいて前記音声データと互いに音程の異なる複数の音データを音階が形成されるように生成する音階生成工程と、前記音階生成工程にて生成した前記複数の音データを、音声出力装置(8)から出力させるための効果音データ(27)として記憶手段に記憶させる工程と、を備えるものである。
【0013】
本発明は、音楽ゲームシステム及びそのコンピュータプログラムにおける効果音データの生成方法であり、同様の作用効果を奏するものである。なお、本発明については、音楽ゲームシステムに限られず、電子楽器等の各種電子機器にも適用可能である。
【0014】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明したように、本発明の音楽ゲームシステム及びそのコンピュータプログラムにおいては、プレイヤが音声入力装置に入力した音声に基づき音程判別部で音声データが生成され、音声データの代表となる音程が判別される。そして、音声データの音程判別結果に基づいて音階生成部では、音程が判別された音声データを元にして音程の異なる複数の音データを生成する。この複数の音データが音階を形成している。複数の音データは、効果音データとして効果音データ記憶手段に記憶され、プレイヤの操作と対応して出力すべき効果音として複数の音データが利用される。従って、プレイヤが任意に入力した音声に基づいて音階が形成されるので、入力した音声によるメロディを奏でたり、入力した音声を素材としてゲーム内容に反映させ、プレイヤが入力した音声でゲームを楽しんだりすることができる。効果音データの生成方法においても同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一形態に係るゲーム機の外観を示す図。
【図2】本発明の一形態に係るゲーム機の機能ブロック図。
【図3】ゲーム画面の一部として表示される操作指示画面の拡大図。
【図4】効果音データの内容の一例を示す図。
【図5】シーケンスデータの内容の一例を示す図。
【図6】ゲーム制御部が実行するシーケンス処理ルーチンを示すフローチャート。
【図7】ゲーム制御部が実行する音程判別処理ルーチンを示すフローチャート。
【図8】ゲーム制御部が実行する音階生成処理ルーチンを示すフローチャート。
【図9】音声データの一例を示すグラフ。
【図10】図9の音声データの周波数スペクトルを示すグラフ。
【図11】図9の音声データを周波数変換した音データを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を携帯型のゲーム機に適用した一形態について説明する。図1に示すように、ゲーム機1は、プレイヤ(ユーザ)が手持ち可能な筐体2と、その筐体2の右側に配置された第1モニタ3と、筐体2の左側に配置された第2モニタ4と、第1モニタ3の上側に配置された複数の押釦スイッチ5と、第1モニタ3の下側に配置された十字キー6とを備えている。第1モニタ3の表面には、透明なタッチパネル7が重ね合わされている。タッチパネル7は、プレイヤがタッチペン等で触れると、その接触位置に応じた信号を出力する公知の入力装置である。その他にも、ゲーム機1には、電源スイッチ、ボリューム操作スイッチ、電源ランプといった、通常の携帯型ゲーム機が備えている各種の入力装置及び出力装置が設けられているが、図1ではそれらの図示を省略した。
【0018】
図2に示すように、ゲーム機1の内部にはコンピュータとしての制御ユニット10が設けられている。制御ユニット10は、制御主体としてのゲーム制御部11と、そのゲーム制御部11からの出力に従って動作する一対の表示制御部12、13及び音声出力制御部14とを備えている。ゲーム制御部11は、マイクロプロセッサと、そのマイクロプロセッサの動作に必要な内部記憶装置(一例としてROM及びRAM)等の各種の周辺装置とを組み合わせたユニットとして構成されている。表示制御部12、13は、ゲーム制御部11から与えられる画像データに応じた画像をフレームバッファに描画し、その描画した画像に対応する映像信号をモニタ3、4にそれぞれ出力することにより、モニタ3、4上に所定の画像を表示させる。音声出力制御部14は、ゲーム制御部11から与えられた音声再生データに応じた音声再生信号を生成してスピーカ8に出力することにより、スピーカ8から所定の音声(楽音等を含む。)を再生させる。
【0019】
ゲーム制御部11には、入力装置として、上述した押釦スイッチ5、十字キー6及びタッチパネル7が接続されるとともに、これらに加えて、音声入力装置(マイク)9が接続されている。その他にも、各種の入力装置がゲーム制御部11に接続されてよい。さらに、ゲーム制御部11には、外部記憶装置20が接続されている。外部記憶装置20には、EEPROM等の不揮発性半導体メモリ装置、あるいは磁気記憶装置といった、電源の供給がなくても記憶を保持可能な記憶媒体が使用される。外部記憶装置20の記憶媒体は、ゲーム機1に対して着脱可能である。
【0020】
外部記憶装置20には、ゲームプログラム21と、ゲームデータ22とが記憶されている。ゲームプログラム21は、ゲーム機1にて所定の手順に従って音楽ゲームを実行するために必要なコンピュータプログラムであり、そこには、本発明に係る機能を実現するためのシーケンス制御モジュール23、音程判別モジュール24及び音階生成モジュール25が含まれている。ゲーム機1が起動されると、ゲーム制御部11はその内部記憶装置に記憶されたオペレーションプログラムを実行することにより、ゲーム機1として動作するために必要な各種の初期設定を実行し、続いて、外部記憶装置20からゲームプログラム21を読み込んでこれを実行することにより、ゲームプログラム21に従って音楽ゲームを実行するための環境を設定する。ゲームプログラム21のシーケンス制御モジュール23がゲーム制御部11にて実行されることにより、ゲーム制御部11にはシーケンス処理部15が生成される。また、ゲームプログラム21の音程判別モジュール24がゲーム制御部11にて実行されることにより、ゲーム制御部11には音程判別部16が生成され、同様に音階生成モジュール25がゲーム制御部11にて実行されると、ゲーム制御部11には音階生成部17が生成される。
【0021】
シーケンス処理部15、音程判別部16及び音階生成部17は、コンピュータハードウェアとコンピュータプログラムとの組合せによって実現される論理的装置である。シーケンス処理部15は、プレイヤが選択した音楽(楽曲)の再生に合わせてプレイヤに操作を指示し、あるいはプレイヤの操作に応じて効果音を発生させるといった音楽ゲーム処理を実行する。音程判別部16は、プレイヤが音声入力装置9に入力した任意の音声を取り込んで後述する所定の処理を行うことにより周波数の代表値を決定する。音階生成部17は、音程判別部16にて決定された代表値に基づいて、音程を変更した音データを複数生成する。これらの音データは、所定のオクターブ数の音階を形成し、効果音を構成する。ゲームプログラム21には、上述したモジュール23〜25の他にも音楽ゲームを実行するために必要な各種のプログラムモジュールが含まれ、ゲーム制御部11にはそれらのモジュールに対応した論理的装置が生成されるが、それらの図示は省略した。
【0022】
ゲームデータ22には、ゲームプログラム21に従って音楽ゲームを実行する際に参照されるべき各種のデータが含まれている。例えば、ゲームデータ22には、楽曲データ26、効果音データ27及び画像データ28が含まれている。楽曲データ26は、ゲームの対象となる楽曲をスピーカ8から再生出力させるために必要なデータである。図2では、一種類の楽曲データ26が示されているが、実際には、プレイヤが複数の楽曲からプレイする楽曲を選択可能である。ゲームデータ22には、それらの複数の楽曲データ26がそれぞれの曲を識別するための情報を付して記録されている。効果音データ27は、プレイヤの操作に応答してスピーカ8から出力させるべき複数種類の効果音を、効果音毎にユニークなコードと対応付けて記録したデータである。効果音は、楽器その他の様々な種類の音声を含む。テキストをスピーカ8から出力させるためのヴォーカル音も効果音の一種に含まれる。効果音データ27は、各種類に対して、音程を変えて所定のオクターブ数だけ用意されている。画像データ28は、ゲーム画面内の背景画像、各種のオブジェクト、アイコン等をモニタ3、4に表示させるためのデータである。
【0023】
ゲームデータ22には、さらにシーケンスデータ29が含まれている。シーケンスデータ29は、プレイヤに対して指示すべき操作等を定義したデータである。一曲の楽曲データ26に対して、最低一個のシーケンスデータ29が用意されている。
【0024】
次に、ゲーム機1にて実行される音楽ゲームの概要を説明する。図1に示したように、ゲーム機1による音楽ゲームの実行中、第1モニタ3にはゲームの操作指示画面100が表示され、第2モニタ4にはゲームの情報画面110が表示される。図3にも示したように、操作指示画面100には、上下方向に延びる第1レーン101、第2レーン102及び第3レーン103が、区分線104にて区分されるといった手順により、視覚的に区分された状態が表示される。レーン101、102、103の下端部には、操作基準標識105がそれぞれ表示される。音楽ゲームの実行中、つまり、楽曲の再生の進行中において、レーン101、102、103には、操作指示標識としてのオブジェクト106がシーケンスデータ27に従って表示される。
【0025】
オブジェクト106は、曲中の適当な時期にレーン101、102、103の上端部に出現し、図3に矢印Aで示したように楽曲の進行に従って下方にスクロールされる。プレイヤは、オブジェクト106の操作基準標識105への到達に合わせてそのオブジェクト106の表示されたレーン101、102又は103をタッチペン120等の操作部材でタッチ操作するように要求される。プレイヤがタッチ操作を行うと、オブジェクト106が操作基準標識105に一致した時刻と、プレイヤのタッチ操作の時刻との間のずれ時間が検出される。そのずれ時間が小さいほどプレイヤの操作が高く評価される。また、タッチ操作に応じて各オブジェクト106に対応した効果音がスピーカ8から再生される。図3の例では、第2レーン102にてオブジェクト106が操作基準標識105に到達する直前であり、その到達に合わせてプレイヤは第2レーン102をタッチ操作すればよい。タッチする位置は、第2レーン102内であればどこでも構わない。つまり、本形態では、第1モニタ3上に表示されるレーン101、102、103と、それらに重ね合わされるタッチパネル7との組合せによって、3つの操作部が形成される。なお、以下では、レーン101、102、103のそれぞれを、操作部を代表する用語として使用することがある。
【0026】
タッチ操作に応じて再生される各オブジェクト106に対応した効果音は、効果音データ27に記録された複数の効果音から選択される。図4に示すように、効果音データ27は、予めゲームデータ22に記録されたオリジナルデータ27aと、プレイヤが音声入力装置9にて入力した音声に基づいて得られるユーザデータ27bとを含む。オリジナルデータ27a及びユーザデータ27bは、複数の効果音A1、B1、・・・が記録され、効果音A1を例に説明すると、効果音A1には、音階を構成する各音とユニークなコードとを対応付けた音データsd_000、sd_001、sd_002、・・・の集合が記録されている。他の効果音B1、C1、・・・も同様な音データを有する。ユーザデータ27bは、効果音A2、B2、・・・の有する音データの構成においてオリジナルデータ27aと同様であるが、プレイヤが音声入力装置9にて入力した音声に基づいて音データが生成されている点で予め記録されたオリジナルデータ27aとは異なる。
【0027】
次に、シーケンスデータ29の詳細を説明する。図5に示したように、シーケンスデータ29は、初期設定部29aと、操作シーケンス部29bとを含んでいる。初期設定部29aにはゲームをプレイするにあたっての初期設定となる音楽のテンポ(一例としてBPM)、レーン101〜103を操作したときにそれぞれ発生させるべき効果音を指定する情報といった、楽曲毎に異なるゲームの実行条件等を指定する情報が記述される。
【0028】
一方、操作シーケンス部29bには、操作指定情報29cと、効果音切替指示情報29dとが記述される。操作指定情報29cは、レーン101〜103の操作時期が、それらのレーン101〜103のいずれかを指定する情報と対応付けて記述される。すなわち、図5にその一部を例示したように、操作指定情報29cは、楽曲中において操作が行われるべき時期(操作時期)と操作部(レーン)を指定する情報とを対応付けた複数のレコードの集合として構成されている。操作時期は、楽曲中の小節番号、拍数及び拍中の時刻を示す値をそれぞれカンマで区切って記述されている。拍中の時刻は、一拍の先頭からの経過時間であり、一拍の時間長をn個の単位時間に等分したときのその拍の先頭からの単位数で表現される。例えば、n=100で、楽曲の一小節目の二拍目で、かつその拍の先頭から1/4だけ経過した時刻を操作時期として指定する場合には、“01,2,025”と記述される。操作部は、第1レーン101を指定する場合に“button1”、第2レーン102を指定する場合に“button2”、第3レーン103を指定する場合に“button3”とそれぞれ記述される。図5の例では、一小節目の一拍目の開始時点(000)で第1レーン101をタッチし、一小節目の二拍目の開始時点(000)で第2レーン102をタッチし、一小節目の二拍目の開始時点から“025”相当だけ経過した時期に第3レーン103をタッチするといった具合に操作時期及び操作部が指定されている。
【0029】
操作指定情報29cの途中の適宜の位置には、効果音切替指示情報29dが挿入される。効果音切替指示情報29dは、効果音が変更されるべき楽曲上の時刻と、レーン101〜103を操作したときにそれぞれ発生させるべき効果音の音データとが対応付けて記述され、以降の操作指定情報29cにおいて指定されたレーンにタッチしたときに発生する効果音を変更する。楽曲上の時刻は、操作指定情報29cにおける操作時期と同一の形式で記述されている。効果音切替指示情報29dは、効果音データ27に記録されたオリジナルデータ27a及びユーザデータ27bの音データのいずれかをそれぞれのレーンに対して指定する。効果音切替指示情報29dは効果音が切り替えられるべき楽曲上の時刻に挿入され、次の効果音切替指示情報29dによる指示があるまでは、その効果音の設定が維持される。
【0030】
ゲーム制御部11のシーケンス処理部15は、上述した操作指定情報29cにて指定された操作時期にオブジェクト106が操作基準標識105と一致するようにレーン101〜103のそれぞれの表示を制御する。また、シーケンス処理部15は、効果音切替指示情報29dにて指定された楽曲上の時刻に、指定されたレーン101〜103にプレイヤがタッチしたときに発生する効果音を切り替えるように制御する。
【0031】
次に、ゲーム機1にて音楽ゲームが実行される際のゲーム制御部11の処理を説明する。ゲーム制御部11は、ゲームプログラム21を読み込んで音楽ゲームを実行するために必要な初期設定を終えると、プレイヤからのゲーム開始の指示に備えて待機する。ゲーム開始の指示は、例えばゲームでプレイする楽曲、あるいは難易度の選択といったゲームで使用するデータを特定する操作を含む。それらの指示を受け付ける手順は、公知の音楽ゲーム等と同様でよい。
【0032】
ゲーム開始が指示されると、ゲーム制御部11は、プレイヤが選択した曲に対応する楽曲データ26を読み取って音声出力制御部14に出力することにより、スピーカ8から楽曲の再生を開始させる。これにより、制御ユニット10が楽曲再生手段として機能する。また、ゲーム制御部11は、楽曲の再生に同期して、プレイヤの選択に対応したシーケンスデータ29を読み取って、画像データ28を参照しつつ操作指示画面100及び情報画面110の描画に必要な画像データを生成して表示制御部12、13に出力することにより、モニタ3、4上に操作指示画面100及び情報が面110を表示させる。さらに、音楽ゲームの実行中において、ゲーム制御部11は、操作指示画面100の表示等に必要な処理として図6に示すシーケンス処理ルーチンを所定の周期で繰り返し実行する。
【0033】
図6のシーケンス処理ルーチンが開始されると、ゲーム制御部11のシーケンス処理部15は、まずステップS1にて楽曲上の現在時刻を取得する。例えば、楽曲の再生開始時点を基準として、ゲーム制御部11の内部クロックにて計時が開始され、その内部クロックの値から現在時刻が取得される。続くステップS2において、シーケンス処理部15は、シーケンスデータ28から、操作指示画面100の表示範囲に相当する時間長に存在する操作時期のデータを取得する。表示範囲は、一例として現在時刻から将来に向かって楽曲の2小節相当の時間範囲に設定される。
【0034】
次のステップS3にて、シーケンス処理部15はレーン101〜103に表示すべき全てのオブジェクト106の操作指示画面100内における座標を演算する。その演算は、一例として以下のように行われる。表示範囲に含まれている操作時期に対応付けられたレーン101〜103の指定、すなわち、図5の例において“button1”〜“button3”のいずれかの指定に基づいてオブジェクト106をレーン101〜103のいずれに配置すべきかを判別する。また、各操作時期と現在時刻との時間差に応じて、操作基準標識105からの時間軸方向(つまり、オブジェクト106の移動方向)における各オブジェクト106の位置を判別する。これにより、各オブジェクト106を、指定されたレーン101〜103内にて操作基準標識105から時間軸に沿って配置するために必要な各オブジェクト106の座標を取得することができる。
【0035】
オブジェクト106の座標演算が完了すると、シーケンス処理部15はステップS4に進み、シーケンスデータ29から取得したデータ内に効果音切替指示情報29dの有無を判別する。効果音切替指示情報29dがある場合には、シーケンス処理部15はステップS5にて現在時刻を取得して効果音切替指示情報29dが指定する楽曲上の時刻と比較し、現在時刻が効果音の切替指示のタイミングに該当するか否かを判別する。切替指示のタイミングに該当する場合、シーケンス制御部15はステップS6にて、以降の操作指定情報29cで指定されたレーン101〜103のそれぞれで発生させる効果音を、効果音切替指示情報29dで指定された効果音に変更する。例えば、図5に示した例で説明すると、楽曲の一小節目の三拍目の開始時点以降、効果音データ27のユーザデータ27bの効果音A2の音データsd_101、sd_105、sd_106がそれぞれレーン101、102、103に割り当てられ、プレイヤがレーン101〜103にタッチするとそれぞれの音データが再生される。なお、ステップS4にて効果音切替指示情報29dがない場合、又はステップS5で効果音の切替指示情報29dがない場合は、シーケンス処理部15は、ステップS7に進む。
【0036】
効果音の切替が完了すると、シーケンス処理部15は、次のステップS7に進み、ステップS3で演算されたオブジェクト106の座標に基づいて操作指示画面100を描画するために必要な画像データを生成する。具体的には、演算された座標にオブジェクト106が配置されるように画像データを生成する。オブジェクト106の画像は、画像データ28から取得すればよい。
【0037】
続くステップS8にて、シーケンス処理部15は表示制御部12に画像データを出力する。それにより、第1モニタ3に操作指示画面100が表示される。ステップS8の処理を終えると、シーケンス処理部15は今回のシーケンス処理ルーチンを終了する。以上の処理が繰り返し実行されることにより、シーケンスデータ29にて記述された操作時期にオブジェクト106が操作基準標識105へ到達するようにレーン101〜103内にてオブジェクト106がスクロール表示される。
【0038】
次に、ゲーム機1にてプレイヤにより入力された音声に基づき効果音を作成する際の音程判別部16及び音階生成部17の処理を説明する。効果音の作成は、例えば、音楽ゲームが実行されていない待機中にプレイヤにより開始が指示されることで行われる。効果音の作成が開始されると、まず音程判別部16が図7に示す音程判別処理ルーチンを実行し、音程判別処理ルーチンの結果に基づいて音階生成部17が図8に示す音階生成処理ルーチンを実行する。
【0039】
図7の音程判別処理ルーチンが開始されると、ゲーム制御部11の音程判別部16は、ステップS11で、プレイヤが入力した音声を取得する。音声入力装置9が音声を取込み可能となっている状態でプレイヤが音声を入力すると、生音声データが生成される。続くステップS12にて音程判別部16は、生音声データをA/D変換する。これにより、生音声データのアナログ信号がデジタル信号に変換され、入力された音声の音声データが生成される。図9に音声データの一例を示す。図9の音声データは、ギターの音のデジタル波形で、横軸がダイナミックレンジ、縦軸がデュレーションをそれぞれ示している。なお、A/D変換には、周知技術を利用してよい。
【0040】
そして、音程判別部16は、ステップS13にて音声データの周波数スペクトルを得る。ステップS12で得られた音声データから、高速フーリエ変換することにより生成された周波数スペクトルを図10に示す。横軸が周波数、縦軸が周波数の分布度合をそれぞれ示している。なお、周波数スペクトルの生成は、高速フーリエ変換による演算に限られず各種周知技術を利用してよい。続くステップS14にて、音程判別部16はステップS13で得られた周波数スペクトルから代表値を決定する。代表値は、周波数スペクトルの分布数の最大値とする。図10のグラフで説明すると、矢印pで示したピークの周波数が代表値となる。このようにして決定した代表値の周波数により、プレイヤが入力した音声に基づく音声データの音程が判別される。また、このような最大ピークを有する山の両端で占める帯域qのデータから代表値を算出してもよい。ピークの周波数に幅がある等ピークが不明瞭な場合にもこのような方法で一定の帯域から代表値を算出することができる。ステップS14の処理を終えると、音程判別部16は今回の音程判別処理ルーチンを終了する。以上の処理により、プレイヤの入力した音声による音声データは、代表値が決定され、固有の音程が判別される。
【0041】
音程判別処理ルーチンで代表値が得られると、音階生成部17は図8の音階生成処理ルーチンを実行する。音階生成部17は、ステップS21にて代表値が決定した音声データから音階を形成する複数の音データを生成する。音階生成部17は、その代表値に基づき音声データを周波数変換し、各音データの代表値が所定のオクターブ数の音階を形成する各音の周波数となるようにする。図11に周波数変換した音データの一例を示す。図11の波形は、図9の音声データを1オクターブ上方に周波数変換したものである。そして、ステップS22で音階生成部17は、生成した音データの集合を効果音データ27に格納する。これらの音データは、効果音データ27内のユーザデータ27bに格納される。ステップS22の処理を終えると、音階生成部17は今回の音階生成処理ルーチンを終了する。以上の処理により、代表値が決定された音声データを元にして代表値の周波数が互いに異なる音データを複数生成し、音階が形成される。音階を形成する音データの集合は、効果音として効果音データ27のユーザデータ27b内に格納される。
【0042】
以上の形態においては、ゲーム機1の外部記憶装置20が効果音データ記憶手段、シーケンスデータ記憶手段として機能する。また、制御ユニット10が、音程判別部16に図7のステップS11〜S14の処理を実行させることにより音程判別手段として機能し、音階生成部17に図8のステップS21を実行させることにより音階生成手段として機能し、音階生成部17に図8のステップS22を実行させることにより効果音データ記憶制御手段として機能する。
【0043】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、音程判別手段、音階生成手段及び効果音データ記憶制御手段を機能させる装置として音楽ゲーム機1を例に説明したが、これに限られない。例えば、電子楽器等の各種電子機器に適用してもよい。電子楽器に本発明を適用した場合、プレイヤの入力した任意の音声にてメロディを奏でることができる。
【0044】
本発明の音楽ゲームシステムは、携帯型のゲーム機にて実現されるものに限られず、家庭用の据置型ゲーム機、商業施設に設置される業務用ゲーム機、ネットワークを利用して実現されるゲームシステムといった適宜の形態で実現されてもよい。入力装置としては、タッチパネルを利用した例に限らず、押釦、レバー、トラックボールといった各種の構成の入力装置を利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 音楽ゲーム機
8 スピーカ(音声出力装置)
9 音声入力装置
10 制御ユニット(コンピュータ)
16 音程判別部
17 音階生成部
20 外部記憶装置(効果音データ記憶手段、シーケンスデータ記憶手段)
27 効果音データ
29 シーケンスデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を入力する音声入力装置と、
ゲーム音を再生出力する音声出力装置と、
音程の異なる複数の効果音のそれぞれを前記音声出力装置から出力させるための効果音データを記憶する効果音データ記憶手段と、
プレイヤの操作と対応して出力すべき効果音との関係を記述するシーケンスデータを記憶するシーケンスデータ記憶手段と、
前記音声入力装置により入力された音声の音声データに基づいて、前記入力された音声を代表する音程を判別する音程判別手段と、
前記音程判別手段の音程判別結果に基づいて前記音声データと互いに音程の異なる複数の音データを音階が形成されるように生成する音階生成手段と、
前記音階生成手段が生成した前記複数の音データを前記効果音データの少なくとも一部として前記効果音データ記憶手段に記憶させる効果音データ記憶制御手段と、
を備えた音楽ゲームシステム。
【請求項2】
前記音程判別手段は、前記音声入力装置により入力された音声の音声データから代表する周波数を特定することで前記音声の音程を判別する請求項1の音楽ゲームシステム。
【請求項3】
前記音階生成手段は、少なくとも1オクターブ以上の音階を生成する請求項1又は2の音楽ゲームシステム。
【請求項4】
少なくとも一つの操作部を有する入力装置をさらに備え、
前記シーケンスデータの記述に従った効果音が、前記入力装置によるプレイヤの操作に基づいて前記音声出力装置から再生される請求項1〜3のいずれか一項の音楽ゲームシステム。
【請求項5】
音声を入力する音声入力装置と、ゲーム音を再生出力する音声出力装置と、音程の異なる複数の効果音のそれぞれを前記音声出力装置から出力させるための効果音データを記憶する効果音データ記憶手段と、プレイヤの操作と対応して出力すべき効果音との関係を記述するシーケンスデータを記憶するシーケンスデータ記憶手段と、を備えた音楽ゲームシステムに組み込まれるコンピュータを、
前記音声入力装置により入力された音声の音声データに基づいて、前記入力された音声を代表する音程を判別する音程判別手段、
前記音程判別手段の音程判別結果に基づいて前記音声データと互いに音程の異なる複数の音データを音階が形成されるように生成する音階生成手段、及び
前記音階生成手段が生成した前記複数の音データを前記効果音データの少なくとも一部として前記効果音データ記憶手段に記憶させる効果音データ記憶制御手段、
として機能させるように構成された音楽ゲームシステム用のコンピュータプログラム。
【請求項6】
音声入力装置により入力された音声の音声データに基づいて前記入力された音声を代表する音程を判別する音程判別工程と、
前記音程判別工程の音程判別結果に基づいて前記音声データと互いに音程の異なる複数の音データを音階が形成されるように生成する音階生成工程と、
前記音階生成工程にて生成した前記複数の音データを、音声出力装置から出力させるための効果音データとして記憶手段に記憶させる工程と、
を備えた効果音データの生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図9】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−56122(P2011−56122A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210571(P2009−210571)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】