説明

音響再生制御装置

【課題】利用者に不快感を与えずに音響出力機器に複数の音響情報を滑らかに出力させることができる音響再生制御装置を提供する。
【解決手段】スピーカ19に出力させている音響情報をフェードアウトさせつつ、音響情報が順次選択される自動選択および利用者による入力に応じて音響情報が選択される手動選択の何れか一方によって選択された音響情報をフェードインさせてスピーカ19に出力させるCPU11を備えた音響再生制御装置1において、CPU11は、自動選択された音響情報をフェードインさせる時間よりも短い時間で、手動選択された音響情報をフェードインさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響情報を音響出力機器に出力させる音響再生制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の音響再生制御装置としては、複数の音響情報を連続して音響出力機器に出力させる場合に、音響出力機器に出力させている音響情報をフェードアウトさせつつ、次の音響情報をフェードインさせて音響出力機器に出力させるクロスフェードを施すことによって、音響出力機器に複数の音響情報を滑らかに出力させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−230880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の音響再生制御装置は、利用者の入力操作によって音響情報が選択された場合にも、複数の音響情報を連続して音響出力機器に出力させる場合と同様にクロスフェードを施すと、選択した音響情報の出力がすぐに開始されないため、利用者に不快感を与えるといった問題があった。
【0004】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、利用者に不快感を与えずに音響出力機器に複数の音響情報を滑らかに出力させることができる音響再生制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の音響再生制御装置は、音響出力機器に出力させている音響情報をフェードアウトさせつつ、音響情報が順次選択される自動選択および利用者による入力に応じて音響情報が選択される手動選択の何れか一方によって選択された音響情報をフェードインさせて前記音響出力機器に出力させる制御手段を備えた音響再生制御装置において、前記制御手段は、前記自動選択された音響情報をフェードインさせる時間よりも短い時間で、前記手動選択された音響情報をフェードインさせるように構成されている。
【0006】
この構成により、本発明の音響再生制御装置は、手動選択された音響情報を自動選択された音響情報より短い時間でフェードインさせるため、利用者に不快感を与えずに音響出力機器に複数の音響情報を滑らかに出力させることができる。
【0007】
なお、前記制御手段は、前記手動選択された音響情報をフェードインさせる時間を0としてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、利用者に不快感を与えずに音響出力機器に複数の音響情報を滑らかに出力させることができるという効果を有する音響再生制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
本実施の形態では、本発明に係る音響再生制御装置をCPU(Central Processing Unit)を用いて構成した例について説明する。本発明の一実施の形態の音響再生制御装置を図1に示す。
【0011】
図1において、音響再生制御装置1は、音楽等を表す音響情報が格納される音響データベース10と、CPU11と、タイマ12と、押しボタン、タッチパネルおよびリモコン等の入力装置13と、音響情報を音響信号に変換するデコーダ14、15と、音響信号の出力レベルを調整するレベル調整器16、17と、音響信号をミキシングするミキサ18と、音響出力機器としてのスピーカ19とを備えている。
【0012】
音響データベース10は、音響再生制御装置1に設けられたハードディスク等の不揮発性の記憶媒体によって構成される。なお、音響データベース10は、CD(Compact Disc)やMD(Mini Disc)等の音響再生制御装置1に着脱可能な記憶媒体によって構成してもよく、ネットワークを介して接続された外部のサーバ装置によって構成してもよい。
【0013】
デコーダ14、15は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)によって構成され、レベル調整器16、17は、例えば、増幅器によって構成される。
【0014】
CPU11は、図示しないROM等に記憶されたプログラムを図示しないRAMに読み込んで、RAMに読み込んだプログラムを実行することによって、デコーダ14、15やレベル調整器16、17等を制御するようになっている。
【0015】
上記プログラムを実行するCPU11は、本発明における制御手段を構成し、音響データベース10に格納された音響情報から1つの音響情報を選択し、選択した音響情報をデコーダ14、15の何れかに出力することによって音響信号に変換させてスピーカ19に出力(以下単に「信号出力」という。)させるようになっている。
【0016】
ここで、音響データベース10に格納された音響情報の選択には、プレイリストに基づいた音楽再生のように音響情報が順次選択される自動選択と、利用者による入力装置13を介した入力に応じて音響情報が選択される手動選択とがある。
【0017】
また、CPU11は、スピーカ19に信号出力させている音響情報をデコーダ14、15の一方に出力しているときに、スピーカ19に信号出力させる音響情報を切り替える場合には、スピーカ19に次に信号出力させる音響情報をデコーダ14、15の他方に出力し、レベル調整器16、17を制御して、スピーカ19に信号出力させている音響情報をフェードアウトさせつつ、スピーカ19に次に信号出力させる音響情報をフェードインさせるクロスフェードを施すようになっている。
【0018】
例えば、CPU11は、スピーカ19に信号出力させている音響情報をデコーダ14に出力しているときに、スピーカ19に信号出力させる音響情報を切り替える場合には、スピーカ19に次に信号出力させる音響情報をデコーダ15に出力し、レベル調整器16を制御してデコーダ14に出力している音響情報をフェードアウトさせつつ、レベル調整器17を制御してデコーダ15に出力している音響情報をフェードインさせる。
【0019】
同様に、CPU11は、スピーカ19に信号出力させている音響情報をデコーダ15に出力しているときに、スピーカ19に信号出力させる音響情報を切り替える場合には、スピーカ19に次に信号出力させる音響情報をデコーダ14に出力し、レベル調整器17を制御してデコーダ15に出力している音響情報をフェードアウトさせつつ、レベル調整器16を制御してデコーダ14に出力している音響情報をフェードインさせる。
【0020】
以上のように構成された音響再生制御装置1について図2を用いてその動作を説明する。図2は、CPU11によるスピーカ19に信号出力させる音響情報の切り替え動作を示すフロー図である。
【0021】
まず、音響情報を切り替える場合に(S1)、CPU11は、スピーカ19に次に信号出力させる音響情報が自動選択されたものであるか、手動選択されたものであるかを判断する(S2)。
【0022】
当該音響情報が自動選択されたものであると判断した場合には、CPU11は、当該音響情報をフェードインさせる時間として予め定められた時間T1を選択する(S3)。
【0023】
一方、当該音響情報が手動選択されたものであると判断した場合には、CPU11は、当該音響情報をフェードインさせる時間として予め定められ、時間T1より短い時間T2を選択する(S4)。ここで、時間T2は、0としてもよい。
【0024】
次に、CPU11は、レベル調整器16、17を制御して、スピーカ19に信号出力させている音響情報をフェードアウトさせつつ、スピーカ19に次に信号出力させる音響情報をステップS3またはS4で選択した時間をかけてフェードインさせる(S5)。
【0025】
上述した動作によって、スピーカ19に信号出力させている音響情報の音量30と、自動選択された音響情報の音量31とは、図3(a)に示すように推移し、自動選択された音響情報は、時間T1をかけてフェードインされる。
【0026】
一方、スピーカ19に信号出力させている音響情報の音量30と、手動選択された音響情報の音量31とは、図3(b)に示すように推移し、手動選択された音響情報は、時間T1よりも短い時間T2をかけてフェードインされる。
【0027】
特に、時間T2を0とする場合には、スピーカ19に信号出力させている音響情報の音量30と、手動選択された音響情報の音量31とは、図3(c)に示すように推移する。
【0028】
このような本発明の一実施の形態の音響再生制御装置1は、手動選択された音響情報を自動選択された音響情報より短い時間でフェードインさせるため、利用者に不快感を与えずに音響出力機器に複数の音響情報を滑らかに出力させることができる。
【0029】
なお、音響再生制御装置1を構成するタイマ12と、デコーダ14、15と、レベル調整器16、17と、ミキサ18は、CPU11によって一体に構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明にかかる音響再生制御装置は、利用者に不快感を与えずに音響出力機器に複数の音響情報を滑らかに出力させることができるという効果を有し、例えば、音響情報を音響出力機器に出力させる音響再生制御装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態における音響再生制御装置のブロック図
【図2】本発明の一実施の形態における音響再生制御装置の動作を説明するためのフロー図
【図3】本発明の一実施の形態における音響再生制御装置によるクロスフェードを説明するためのグラフ
【符号の説明】
【0032】
1 音響再生制御装置
10 音響データベース
11 CPU
12 タイマ
13 入力装置
14、15 デコーダ
16、17 レベル調整器
18 ミキサ
19 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響出力機器に出力させている音響情報をフェードアウトさせつつ、音響情報が順次選択される自動選択および利用者による入力に応じて音響情報が選択される手動選択の何れか一方によって選択された音響情報をフェードインさせて前記音響出力機器に出力させる制御手段を備えた音響再生制御装置において、
前記制御手段は、前記自動選択された音響情報をフェードインさせる時間よりも短い時間で、前記手動選択された音響情報をフェードインさせることを特徴とする音響再生制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記手動選択された音響情報をフェードインさせる時間を0とすることを特徴とする請求項1に記載の音響再生制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−141329(P2007−141329A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332591(P2005−332591)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】