説明

音響効果共有支援装置および音響制御装置

【課題】グループ毎に離れた場所で分かれて行わなければならないような合唱の練習であっても、本番に近い音響環境の下で行わせること。
【解決手段】音響効果供給支援装置60の制御情報データベースに65aに、合唱が披露される会場の各領域に応じた音響処理の内容を示す音響処理制御情報を蓄積しておく。音響効果供給支援装置60は、各練習ルームの音響制御装置から領域識別情報を受信すると、その領域識別情報と対応する音響処理制御情報を配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間を音響的に結合する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
歌唱者がその歌唱を披露する催しであるコンクールやリサイタルは、良好な音響特性を持つコンサートホールなどをその会場として執り行われる。一方で、歌唱者らは、会場となるコンサートホールよりも小規模な施設であるスタジオなどを利用して日頃の練習を行っているため、会場での事前の練習の機会が与えられないまま本番に臨まざるを得ない場合には、両者の奏する音響特性の違いのために良好な歌唱を披露できないこともある。
【0003】
特許文献1には、このような事態の発生を回避する技術の開示がある。同文献に記された音場支援システムは、歌唱を披露する会場の縦幅や横幅などの大きさ、高さ、及び歌唱位置などを設定した上で音声信号を供給すると、設定内容に従った会場で発生するであろう音響効果をその音声信号に付加してから放音するような仕組みとなっている。従って、歌唱者は、この音場支援システムを利用した練習さえ行っていれば、会場での事前の練習の機会の有無にかかわらず良好な歌唱を披露することができる。
【特許文献1】特開平10−69279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、多数の歌唱者によって合唱曲を披露することになっている場合、小さなスタジオにその歌唱者の全員が集まって練習を行うことは難しいため、合唱曲の各パート毎といったようなグループ単位で個別に練習を行わざるを得ないことも多い。
しかしながら、特許文献1に開示された音場支援システムは、その利用者である歌唱者が1つの空間内にいることを想定して案出されたものであり、個別のスタジオで行われるような練習までも好適に支援することはできなかった。
本発明は、このような背景の下に案出されたものであり、グループ毎に離れた場所で分かれて行わなければならないような合唱の練習であっても、本番に近い音響環境の下で行わせることができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の好適な態様である音響効果共有支援装置は、仮想的な空間の一部を夫々構成する各領域の領域識別情報と、当該各領域で音声を発生させた場合と同等の音響効果を前記空間と異なる音響環境下で発生した音声に与えるための音響処理の内容を表す音響処理制御情報とを各々対応付けて記憶した記憶手段と、前記空間と異なる音響環境を有する各部屋の音響制御装置から、領域識別情報を夫々受信する受信手段と、前記受信した領域識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶された音響処理制御情報を夫々読み出す読出手段と、前記読み出した音響処理制御情報の各々を、それらと対応付けられていた領域識別情報の発信元である各音響制御装置に宛てて夫々送信する送信手段とを備える。
【0006】
本発明の別の好適な態様である音響制御装置は、仮想的な空間の一部を夫々構成する各領域の領域識別情報と、当該各領域で音声を発生させた場合と同等の音響効果を前記空間と異なる音響環境下で発生した音声に与えるための音響処理の内容を表す音響処理制御情報とを各々対応付けて記憶した音響効果共有支援装置に宛てて、前記各領域識別情報のうちの1つを送信する送信手段と、前記送信した領域識別情報と対応する音響処理制御情報を前記音響効果共有支援装置から受信する受信手段と、自装置の設置された部屋を含む各部屋の内部にて夫々集音された音声の音声信号を取得する音声信号取得手段と、前記取得した各音声信号に対して前記受信した音響処理制御情報に従った音響処理を施す音響効果付加手段と、前記音響処理が施された音声信号を音声として出力する放音手段とを備える。
【0007】
この態様において、前記受信手段によって受信される音響処理制御情報は、音声を集音する部屋毎の音響処理の内容を夫々示す各音響パラメータのセットを内包し、前記音響効果付加手段は、前記取得された音声信号の音声を集音した部屋を夫々特定する手段と、前記特定した各部屋と対応する音響パラメータを前記受信した音響処理制御情報から夫々抽出し、抽出した各音響パラメータに従った音響処理を前記取得された音声信号の各々に対して個別に施す手段とを有してもよい。
また、自装置の設置された部屋の内部にて集音された音声の音声信号を示す音声情報を別の部屋に設置された装置に宛てて送信する手段を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、グループ毎に離れた場所で行わなければならいような合唱曲の練習を、本番に近い音響環境の下で行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(発明の実施の形態)
本願発明の実施形態について説明する。本実施形態にかかる合唱練習支援システムは、以下の3つの特徴を有している。1つ目の特徴は、合唱曲の練習を行う全歌唱者を、「ソプラノ」、「メゾソプラノ」、「アルト」といったような合唱曲の各パートにグループ分けし、それらのグループ毎に個別の練習ルームで練習を行わせるようにした点である。2つ目の特徴は、各練習ルーム内で夫々集音した歌唱音の音声情報をリアルタイムで相互に遣り取りすることにより、別の練習ルームにいる歌唱者のグループ同士が一緒に練習を行えるようにした点である。3つ目の特徴は、全てのグループが実際に集まって合唱曲を披露する会場と同等の残響効果を練習ルームにおいて夫々放音する各グループの歌唱音に個別に付加することにより、その会場で実際に練習しているのと変わらない音響環境を提供するようにした点である。
【0010】
図1は、本実施形態にかかる合唱練習支援システムの全体構成図である。図に示すように、本システムは、通信インターフェース10、音響制御装置20、アンプ30、スピーカ40、マイク50、及び音響効果共有支援装置60を備える。図に示すように、音響効果共有支援装置60を除いた各部は、練習ルームA乃至Cの各々に個別に備え付けられる。
【0011】
図2は、音響制御装置20の内部構成を示すブロック図である。この装置20は、エンコーダ21、デコーダ22、音響効果付加回路23、ミキサー24、エコーキャンセラ回路25、及びマイクインターフェース26を内蔵する。音響制御装置20の各部の機能について詳述すると、まず、マイクインターフェース26からは、自装置20が備え付けられた練習ルーム(以下、「自ルーム」と呼ぶ)のマイク50が集音した歌唱音が音声信号として入力され、入力された音声信号はエコーキャンセラ回路25にてエコー成分が取り除かれた後、音響効果付加回路23とエンコーダ21とに夫々供給される。
【0012】
エンコーダ21による符号化を経て得られた音声情報は、自ルームに割り当てられた領域を示す領域識別情報と共に、他の2つの音響制御装置20が夫々備え付けられている2つの練習ルーム(以下、「他ルーム」と呼ぶ)へ通信インターフェース10から直ちに送信される。一方、他ルームから通信インターフェース10に送信されてくる音声情報はデコーダ22による復号化を経た後、音声信号として音響効果付加回路23へ供給される。つまり、練習ルームA乃至Cに夫々備え付けられた音響制御装置20の音響効果付加回路23には、自ルームにて集音された音声の音声信号と他ルームにて夫々集音された音声の音声信号とからなる3つのチャンネルの音声信号がパラレルに供給されることになる。
【0013】
音響効果付加回路23は、これら3つのチャンネルに応じた個別の信号処理系を有する。各信号処理系は、遅延器、乗算器、及び加算器を組み合わせてなり、音声信号が入力されると、該音声信号の音源位置から受聴点までのインパルス応答を畳み込んでからミキサー24に供給する。後に詳述するように、音響効果付加回路23の各信号処理系が実行する信号処理の内容は、音響効果共有支援装置60から送信されてくる音響処理制御情報によって決定付けられる。
【0014】
ミキサー24は、音響効果付加回路23にてインパルス応答が畳み込まれた各チャンネルの音声信号をミキシングしてからエコーキャンセラ回路25へ供給する。そして、エコーキャンセラ回路25にてエコー成分が取り除かれた音声信号は、アンプ30を経由してスピーカ40へ入力され、スピーカ40から合唱音として練習ルーム内に放音される。
【0015】
図3は、音響効果共有支援装置60のハードウェア構成を示すブロック図である。この装置60は、各種制御を行うCPU61、CPU61にワークエリアを提供するRAM62、IPL(initial program loader)を記憶したROM63のほか、通信インターフェース64、ハードディスク65などを備える。そして、ハードディスク65は、制御情報データベース65aを記憶する。
【0016】
図4は、制御情報データベース65aのデータ構造図である。このデータベース65aは、各々が、合唱を披露する各会場と対応する複数のレコードの集合体である。このデータベースを構成する複数のレコードの各々は、「会場」、「左領域」、「中央領域」、及び「右領域」の4つのフィールドを有している。
「会場」のフィールドには、「○○公会堂」や「△△ホール」といったような、各会場を夫々表す会場識別情報が記憶される。「左領域」、「中央領域」、及び「右領域」の3つのフィールドには、会場のステージを概ね3等分して得た領域である、左領域、中央領域、右領域の各々に固有の音響処理制御情報が記憶される。
【0017】
音響処理制御情報は、音響効果付加回路23の各信号処理系が音声信号に対して実行すべき信号処理の内容を夫々表す音響パラメータの纏まりである。音響効果付加回路23の各信号処理系が自身に入力された音声信号に残響音成分を畳み込むことは上述したところであるが、この残響音成分の特徴を決定付ける遅延量や減衰量は、各会場のステージにおいて歌唱者が位置する領域、歌唱者の位置から会場内の壁までの距離、壁の吸音率といった諸条件に依存する。このため、音響処理制御情報には、音声の発生源となる領域毎の個別のパラメータをセットとして内包させる必要がある。本実施形態では、以下に示すような手順に従って各会場毎に実測したテスト音声の解析を行うことにより、会場毎の各音響処理制御情報を取得することとしている。
【0018】
図5に示すような会場を例にとり、「左領域」、「中央領域」、「右領域」の各フィールドに音響処理制御情報として記憶される音響パラメータの取得手順について具体的に説明する。図に示す会場は、壁80乃至83によって囲まれた閉空間の内部にステージ84と複数の座席85とを備えた一般的な内部構造をとっている。この会場において合唱を披露する歌唱者の各グループは、ステージ84を概ね3等分して得られる、左領域84p、中央領域84q、及び右領域84rに夫々位置して各パートの歌唱を行うことになる。
【0019】
この会場の左領域84pにおける音響処理制御情報の取得手順に着目すると、まず、同領域84pの略中央の位置に録音デバイス86を設置し、左領域84p、中央領域84q、及び右領域84rの各々から座席85に向けて放出させたテスト音声87p乃至rをその録音デバイス86によって夫々記録する。次に、記録したテスト音声87p乃至rのインパルス応答をそれぞれ求めることにより、3つの領域84p乃至rの各々から発せられたテスト音声87p乃至rの残響音成分の特徴を決定付ける減衰量や遅延量などを個別に割り出して音響パラメータ化する。最後に、取得した音響パラメータのセットを音響処理制御情報として「左領域」のフィールドに記憶する。この際、音響処理制御情報として記憶される各音響パラメータには、テスト音声を発生させた各領域を示す領域識別情報がインデックスとして夫々対応付けられる。「中央領域」と「右領域」に記憶される音響パラメータを取得する場合は、録音デバイス86を設置する位置を、ステージ84の中央領域84q、右領域84rへと移動させて同様の手順を繰り返せばよい。
【0020】
次に、本実施形態の動作を説明する。
図6は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。図に示す動作は、複数の歌唱者からなる3つのグループが練習ルームA乃至Cに夫々入室し、入室した練習ルームA乃至Cに夫々備え付けられている各音響制御装置20を起動すると開始される。
起動された音響制御装置20の各々は、音響パラメータの配信を求める配信要求情報を音響効果共有支援装置60へ送信する(S100)。
【0021】
各音響制御装置20から配信要求情報を受信した音響効果共有支援装置60のCPU61は、制御情報データベース65aの各レコードの「会場」のフィールドに記憶されている会場識別情報を読み出す(S110)。
続いて、CPU61は、ステップ110にて読み出した会場識別情報を各音響制御装置20へセットとして夫々送信する(S120)。
【0022】
会場識別情報のセットを受信した各音響制御装置20は、受信した会場識別情報の全てを図示しない表示デバイスに表示させる(S130)。
表示デバイスに表示された各会場識別情報を参照した各グループの歌唱者は、自らのグループを含む全てのグループが集まって合唱を披露することになっている会場の会場識別情報を選択する。
【0023】
会場識別情報の選択を受けた音響制御装置20は、選択された会場識別情報を音響効果共有支援装置60へ送信する(S140)。
音響制御装置20の何れかから会場識別情報を受信した音響効果共有支援装置60のCPU61は、受信した会場識別情報を「会場」のフィールドに記憶しているレコードを制御情報データベース65aから特定する(S150)。
【0024】
続いて、CPU61は、領域の選択を促す領域選択要求情報を各音響制御装置20へ夫々送信する(S160)。
領域選択要求情報を受信した各音響制御装置20は、右領域、中央領域、及び左領域のいずれかの選択を促すメッセージを表示デバイスに表示させる(S170)。
【0025】
表示デバイスに表示されたメッセージを参照した各グループの歌唱者は、自らのグループが歌唱することになっている領域を選択する。
領域の選択を受けた音響制御装置20は、選択された領域を示す領域識別情報を音響効果共有支援装置60へ送信すると共に、選択された領域の領域識別情報を自装置のメモリへ記憶する(S180)。
【0026】
各音響制御装置20から領域識別情報を受信した音響効果共有支援装置60のCPU61は、ステップ150で特定したレコードの「左領域」、「中央領域」、及び「右領域」の各フィールドに記憶されている音響処理制御情報を夫々読み出す(S190)。
CPU61は、読み出した音響処理制御情報をそれらの記憶されていたフィールドと対応する領域の領域識別情報の送信元であった音響制御装置20へ夫々送信する(S200)。
【0027】
音響効果共有支援装置60から音響処理制御情報を受信した各音響制御装置20の各々は、受信した音響処理制御情報を自装置の音響効果付加回路23に設定する(S210)。具体的には、音響処理制御情報に含まれる3つの音響パラメータの各々を、音響効果付加回路23の各信号処理系に夫々設定する。上述したように、音響処理制御情報に含まれる各音響パラメータには、音声の発生源となる領域の領域識別情報がインデックスとして対応付けられているので、それらのインデックスと各領域を割り当てた練習ルームの関係から、各信号処理系に設定する音響パラメータを夫々特定できる。
【0028】
全ての練習ルームの音響制御装置20が音響処理制御情報の設定を終えると、歌唱者の各グループは、所定のタイミングに合わせて各々のパートの歌唱を開始する。すると、各練習ルームの音響制御装置20間による通信インターフェース10を介した音声情報の遣り取りが実行される。遣り取りされる音声情報には、ステップ180で音響制御装置20が自装置のメモリに記憶させた領域識別情報が内包される。この領域識別情報を参照することにより、各音響処理装置20は、他装置から受信した音声情報をデコードして得た音声信号を供給する信号処理系を特定する。各音響制御装置20は、自ルームのマイク50から入力された音声信号と他ルームから受信した音声情報をデコードして得た音声信号に残響音成分を夫々付加した後、自ルームのスピーカ40から全パートの合唱音として放音させる。
【0029】
以上説明した本実施形態では、練習ルームA乃至Cに入室した歌唱者の各グループが、合唱曲を披露する会場とその会場のステージにおいて自らのグループが歌唱を行なう領域とを選択すると、選択された会場と領域とに応じて準備されていた音響処理制御情報が音響効果共有支援装置60から各練習ルームの音響制御装置20へ配信されるようになっている。そして、各練習ルームの音響制御装置20は、音響効果共有支援装置60から受信した音響処理制御情報の内容に応じて、自ルーム及び他ルームで夫々集音された歌唱音に付加する残響音成分を個別に取得するようになっている。従って、歌唱者の各グループは、互いに離れた場所である練習ルームA乃至Cにいながらも、合唱を披露する場所に全グループが実際に集まっているかのような雰囲気を味わいながら練習を行うことができる。
【0030】
(他の実施形態)
本願発明は、種々の変形実施が可能である。
上記実施形態においては、3つの練習ルームA乃至Cが設けられ、これらの各練習ルームに音響制御装置20が夫々備え付けられていた。これに対し、より多い数の音響ルームを設けてそれらの各音響ルーム毎に音響制御装置20を稼動させてもよい。
【0031】
上記実施形態において、音響制御装置20の音響効果付加回路23は、各練習ルームにて集音された歌唱音の音声信号に対して個別の残響音成分を畳み込むようになっていた。これに対し、音響効果付加回路23は、別の領域で発生した歌唱音の直接波自体に所定の距離減衰や遅延などを与えてもよい。要するに、ステージの左領域、中央領域、及び右領域にて歌唱音を聴取したとすれば生じるであろう音響効果を付加するための処理を施しうるのであれば、その処理内容を残響音成分の畳み込み処理に限定する必要は無い。
【0032】
上記実施形態においては、合唱曲を披露する会場にて発生させたテスト音声の実測値から音響処理制御情報を求めていたが、その会場を想定したシュミレーションによって音響処理制御情報を求めてもよい。
上記実施形態は、離間された部屋に各パートを収容して行う合唱練習に本願発明を適用したものであったが、本願発明は係る用途に限定されるものではない。例えば、離間された部屋に分かれて楽器を演奏する合奏練習はもとより、一方の部屋の直接音のみを他方の部屋に伝送し、他方の部屋からサラウンド音声として出力するサラウンド音声伝送のほか、通信会議、オンラインゲームといった様々な用途に展開可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】合唱練習支援システムの全体構成図である。
【図2】音響制御装置の内部構成図である。
【図3】音響効果共有支援装置のハードウェア構成図である。
【図4】制御情報データベースのデータ構造図である。
【図5】会場の構造を示す図である。
【図6】実施形態の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
20…各音響制御装置、21…エンコーダ、22…デコーダ、23…音響効果付加回路23、24…ミキサー、25…エコーキャンセラ回路、26…マイクインターフェース、30…アンプ、40…スピーカ、50…マイク、60…音響効果共有支援装置、61…CPU、62…RAM、10,64…通信インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想的な空間の一部を夫々構成する各領域の領域識別情報と、当該各領域で音声を発生させた場合と同等の音響効果を前記空間と異なる音響環境下で発生した音声に与えるための音響処理の内容を表す音響処理制御情報とを各々対応付けて記憶した記憶手段と、
前記空間と異なる音響環境を有する各部屋の音響制御装置から、領域識別情報を夫々受信する受信手段と、
前記受信した領域識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶された音響処理制御情報を夫々読み出す読出手段と、
前記読み出した音響処理制御情報の各々を、それらと対応付けられていた領域識別情報の発信元である各音響制御装置に宛てて夫々送信する送信手段と
を備えた音響効果共有支援装置。
【請求項2】
仮想的な空間の一部を夫々構成する各領域の領域識別情報と、当該各領域で音声を発生させた場合と同等の音響効果を前記空間と異なる音響環境下で発生した音声に与えるための音響処理の内容を表す音響処理制御情報とを各々対応付けて記憶した音響効果共有支援装置に宛てて、前記各領域識別情報のうちの1つを送信する送信手段と、
前記送信した領域識別情報と対応する音響処理制御情報を前記音響効果共有支援装置から受信する受信手段と、
自装置の設置された部屋を含む各部屋の内部にて夫々集音された音声の音声信号を取得する音声信号取得手段と、
前記取得した各音声信号に対して前記受信した音響処理制御情報に従った音響処理を施す音響効果付加手段と、
前記音響処理が施された音声信号を音声として出力する放音手段と
を備えた音響制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の音響制御装置において、
前記受信手段によって受信される音響処理制御情報は、
音声を集音する部屋毎の音響処理の内容を夫々示す各音響パラメータのセットを内包し、
前記音響効果付加手段は、
前記取得された音声信号の音声を集音した各部屋を夫々特定する手段と、
前記特定した各部屋と対応する音響パラメータを前記受信した音響処理制御情報から夫々抽出し、抽出した各音響パラメータに従った音響処理を前記取得された音声信号の各々に対して個別に施す手段と
を有する音響制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の音響制御装置において、
自装置の設置された部屋の内部にて集音された音声の音声信号を示す音声情報を別の部屋に設置された装置に宛てて送信する手段
を更に備えた音響制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−276694(P2006−276694A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−98460(P2005−98460)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】