説明

音響電気相互作用を用いて物体中の物理的なパラメータを決定する装置および方法

【課題】音響電気相互作用を用いて物体中の物理的なパラメータを決定する装置および方法を提供する。
【解決手段】本発明は物体中の誘電関数を決定するための装置に関する。装置は、前記物体を通るマイクロ波放射を送信する1つの送信アンテナ42と、前記送信されたマイクロ波放射を受信する1つの受信アンテナ43と、前記物体中の密度変化を生成するために前記物体を通る超音波放射を射出する1つの超音波送信機と、前記物体中の前記音響電気相互作用δを決定するために前記密度変化を介して送信されるマイクロ波放射を解析する手段と、前記音響電気相互作用から前記物体中の誘電関数を計算する手段と、を備える。発明は、物体中の誘電関数を決定する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1および請求項19のプリアンブルに記載の物体の誘電関数を決定することによって、物質の内部の、温度または密度のような複数の物理的なパラメータを決定するための装置に関する。発明はまた、請求項12のプリアンブルに記載の物体の内部の誘電関数を決定するための方法、および、請求項18に記載の食品の中での温度の局所分布を決定するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物体を破壊することなく、物体に侵入せず、物体を切り裂くことなく、任意の物体の、温度、密度および他の複数の内部パラメータに関する情報を得るために、様々な型の放射は、所望の複数のパラメータを再構成することを可能にする情報を提供するのに利用可能である。
【0003】
放射の特殊型式を選んで、分析法の選択において適切な予想結果を組込む4つの異なる場合がある。これらは、2つの問題領域によって分類される。
【0004】
−選ばれた放射に対する物体の透明度
−選ばれた放射の波長に関して必要とされる物体での解像度
ケース1A
(物体は、測定に用いられた放射に対して、透明であるか弱く吸収する。また、達成される解像度は、放射波長に等しいか、放射波長よりも小さい。)
ただ一つの情報源は、例えば、以下に述べるような手法を使用して近い場をプローブすることにより得られる。
【0005】
−原子間力顕微鏡検査(AFM)は、
検査中の物体の表面上の構造を読み出すために、物体の表面上に高精度で位置決めされるサブ波長サイズのステンシル上の力を読み出す。
【0006】
−ラスタートンネル顕微鏡検査(RTM)は、
物体の表面の電子状態の情報を生成するために、力の代わりに、検査中の物体の表面に接近して位置決めされるサブ波長サイズのプローブからトンネル電流を測定する。
【0007】
−光学的近接場顕微鏡検査は、
電磁放射が、薄いプローブ上でのサブ波長解像度で光学的特性の表面画像を生成することを用いた放射の波長よりもはるかに小さい穴を必要とする微視的に小さな複数の穴を介して通り抜ける。
【0008】
−インピーダンス断層撮影法は、
1セットの電極は検査中の物体に着けられ、また、すべてのプローブ間のインピーダンスが測定される。この方法は検査中の物体の内部のいくつかの特性を計算することを可能にする。しかし、解像度は一般に劣っている。この方法は、例えば抗凝固薬の影響を評価する前後で心臓の領域のインピーダンスを測定するなどの異なる複数の手法での成功で使用されてきている。
【0009】
一般的な特徴として、上述した方法の高解像度は、選ばれた放射の固有波長に起因しているのではなく、サブ波長解像度を提供する別の拘束条件(横隔膜、ステンシルのようにほとんど機械的)に起因する。一般的な欠点は検査中の物体の厚さ要求によって与えられる−上記の複数の方法は、解像度を失わずに、非常に制限のある深さでの単に表面情報または内部情報のいずれかを生成する。
【0010】
ケース1B
(物体は、測定に用いられる放射に対して、透明であるか、または弱く吸収することである。また、解像度は放射波長よりもはるかに大きい。)
このケースはすべての直接撮像および光伝送方法によってカバーされる。このレジーム(regime)で電磁放射を用いるとすると、以下のものがある。
【0011】
−ライダー
−X線
分析の手段として、散乱が役割を果たさないので、レイトレーシングおよび1対1写像の方法が適切である。それは、放射源と受信機との間に位置する物体体積によって、ある与えられた位置で採用されたピクセル情報のそれぞれが影響するに過ぎないことを、解像度の損失なしで仮定することが可能である。
【0012】
この領域の最近の進展はパッシブレーダーであり、受信機のまわりの環境ですべての身体に固有の熱放射が測定され撮像される。このレーダー方法は、どんな送信された信号をも必要とせず、したがって、跡をたどることができない。
【0013】
非電磁気的な方法では、商業上利用可能な以下のものがある。
【0014】
−超音波断層法
−核磁気共鳴(NMR)
ケース2A
(物体は、測定に用いられた放射に対して適度に吸収している。また、解像度は放射波長に等しいかそれよりも小さい。)
物体が測定に用いられた放射に対して適度に吸収しているという事実は、調査することが可能であるプローブに厚さ限界を設けることになる。
【0015】
このケースについては、今日、最先端技術に関して利用可能な実現可能な方法はない。
【0016】
ケース2B
(物体は、測定に用いられた放射に対して適度に吸収している。また、解像度は放射波長よりもはるかに大きい。)
この場合、ほとんどの無線周波数およびマイクロ波周波数の応用は見つかる(特に、検査中の物体が、損失があり、それが損失のない環境に組み込まれた場合)。また、マイクロ波断層撮影法が利用可能である。これらの方法で、最もよくあるものが次のものである。
【0017】
−(アクティブ)レーダー(RADAR)
ソースとターゲットの間および受信機へ戻る信号のランタイムは、送信機(モノスタティックレーダー)と同じ場所に受信機を配置することによってか、もしくは、送信機(バイスタティックレーダー)と、ソースとターゲットの相対速度による周波数変化とが評価される(ドップラーレーダー)よりも異なる位置に受信機を配置することによって測定される。
【0018】
このように、測定に用いられた放射に対して適度に吸収する物体にとって、温度、密度、組成のような物理的なパラメータを決定するための装置を開発する必要がある。所望の解像度は放射波長よりもはるかに大きい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の目的は、任意に形成された物体の誘電関数を決定するための装置を提供することである。
【0020】
目的は、製品密度における制御可能な変化を作成するための超音波を用いて、請求項1および請求項19の特徴部分で定義されるような装置、および請求項12の特徴部分に記載の方法によって達成される。その後、装置は、密度変化を読出し、かつ誘電関数の空間分布にそれを関連づけるために、マイクロ波放射を用いる。これは、請求項18の特徴部分に定義されるように、物体の温度、含水量および密度を決定するために一方で用いられる。
【0021】
本発明での利点は、空間分布の解像度が、第1型放射(例えばマイクロ波放射)の波長に限定されず、むしろ第2型放射(例えば超音波、X線)の波長によって決定されることである。
【0022】
本発明での別の利点は、温度、含水量などのような物理的特性の非接触測定が、複数の仮想プローブとして発明を適用して確立されてもよいということである。
【0023】
他の複数の物体および複数の利点は、発明の詳細な記述からの当業者にとって明白になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に先立って、材料のみの内部特性を再構成するためのツールとして以下のものが存在する(ただし、回析および散乱は優勢である)。
【0025】
−マイクロ波断層撮影法
−超音波断層法
両方のケースでは、解像度は使用された放射の波長によって決定される。
【0026】
本発明では、超音波およびマイクロ波の方法は組み合わせられる。物体再構成は純粋なマイクロ波逆散乱方法、およびそれぞれの限定を有する純粋な超音波断層法方法によって行うことが可能である。ここで、超音波は、物体再構成ツールとして用いられず、調査される物体での密度変化を生成するツールとして用いられる。この密度変化は、物体再構成に用いられる送信されたマイクロ波放射線に、位相および周波数の変化を生じる。したがって、この方法の利用可能な解像度は、(典型的な超音波治療周波数用の1ミリメートルよりも小さな)超音波の解像度によって決定される。密度読み出しは、マイクロ波放射(ある周波数では、減衰はさらに合理的な複数の浸入度(例えばS、ISM5.8、Xバンド)を許可する)を用いて行われる。この方法は、ミリメートル解像度がミリメートル波長を必要とするマイクロ波断層撮影法の複数のアプローチの基本的な困難を回避する。不運なことに、ミリメートル放射は、いくつかの波長内で興味深いほとんどの物体に吸収され、したがって、いかなる内部のパラメータも抽出されることは不可能である。上記の分類では、本発明は領域1B、2Aおよび2Bをカバーする。そのような方法は本発明に先立って知られていない。
【0027】
本発明によって記述されたシステムは、食品産業で用いられることが好適である。食品産業では、正確に食品の温度を制御することは多くの場合、重要である。例えば、食品が冷凍されることになっている場合、製品全体が冷凍されることが重要である。製品全体(例えば鶏フィレ)が冷凍されたことを保証することが可能でない場合、製品を廃棄しなければならないか、または短い保存寿命を備えた製品を配達しなければならない。したがって、製品の冷凍の非破壊および非接触の制御が必要である。この問題は、誘電関数を測定し、下記に記述されるようにそれを温度の分布に変換することによって解決されてもよい。
【0028】
しかしながら、システムは決してこの種の産業に制限されているわけではない。見込みのある他の応用は以下がある。
−コンクリート硬化(建設業)
−接着剤硬化(飛行機製造)
−医療用画像(機能的な脳断層撮影法、脊髄の断層撮影法)
−地盤調査、トラッキングパイプおよび地中管
−救命および救助道具(瓦礫下の人を検知)
−掃海(大きくなる領域での特にプラスチックの機雷)
以下では、好ましい実施形態が要約される。上記の他の応用領域でこの方法を適応させするために形状に必要とされる修正は小さい。
【0029】
以下では、持続波(CW)マイクロ波およびパルス波列超音波に基づいたシステムは、単純性の目的のために記述される。記述された方法はこのケースに制限されない。振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、周波数変調持続波(FMCW)、パルス符号変調(PCM)、位相変調(PM)およびウェーブレットに基づいた変調方式(WM)のような、両者のための他の変調スキーム、電磁波、および、超音波は適用可能であり、ある他の応用には最適である。
【0030】
図1は発明による装置40を記述する。システムはコンベア手段11に接近して配置される。それは、センサ測定ギャップ13を介して検査下の製品12を運搬する。システム40は、マイクロ波部50、超音波部70および評価ユニット60から成る。システムは、本実施形態では、2固定周波数マイクロ波発生器51および52、ならびに固定周波数超音波発生器71を具備する。第1マイクロ波発生器51は第1の固定マイクロ波振動数f1(例えば5.818GHz)を持っており、少なくとも1つの送信アンテナ42につながれる。また、第2マイクロ波発生器52は第2の固定マイクロ波振動数f2(例えば5.8GHz)を持っており、好ましくはミキサのようなダウンコンバータ54につながれる。ダウンコンバータは、送信される(少なくとも1つの受信アンテナ43によって集められる)マイクロ波信号、および、第2マイクロ波発生器52からの受信マイクロ波信号を、低い中間周波数にシフトする。これは、検査下の製品12を通って送信されるマイクロ波信号が振幅および位相で評価されることを可能にする。それは更に、フィルタユニット59、アナログ/デジタル変換器ADC55、1セットの信号処理部56、および、システムを制御し、かつデータを評価するために必要なアルゴリズムを含んでいる評価プロセッサ60を含む。結果は表示ユニット65に提出される。システム40はまた、送信アンテナ42および受信アンテナ43に加えて、測定ギャップ13のまわりにすべてグループ化して、(明瞭さの目的のために1つだけ示されている)1セットのトランスデューサー72を含む。トランスデューサーは、検査下の製品12を通る、超音波周波数fUS(例えば4.5MHz)を持っている超音波信号を発する。これは、超音波速度で移動する密度変位を引き起こす。同時に、第1マイクロ波発生器51からのマイクロ波信号が、送信アンテナ42から射出される。この信号はまた、検査下の製品12を通って移動する。マイクロ波信号は、マイクロ波周波数を保ったまま製品を通って移動することにより減衰および位相遅れを示す。検査下の製品12の超音波が密度変位を生じるそれらの体積では、マイクロ波信号の一部分が周波数シフトされ、そして、上側波帯と下側波帯が生じる。透過したマイクロ波信号はマイクロ波受信アンテナ43を用いて集められる。受信信号はダウンコンバータユニット54を用いてダウンコンバートされる。その後、低周波信号は、フィルタユニット59を用いてフィルタリングされ、ADC55を用いてアナログデジタル変換される。デジタル信号は受信信号処理部56を用いて評価される。受信信号処理部は、標準の最新技術のデジタルフィルターを用いて、入ってくるデジタル信号をゼロ周波数に変換する。
【0031】
このフィルタリングの結果は、当業者によく知られているように送信42および受信43アンテナとの間のS21パラメータに相当する。これは周波数がシフトされていない。上記では、我々は、受信アンテナ43をマイクロ波ポート2と称し、送信アンテナ42をマイクロ波ポート1と称する。
【0032】
本発明によって記述されるシステムでは、第1信号パス59、55、56に平行して、第2セットのバンドパスフィルター58、別のADC55および第2のデジタル信号処理部57がある。
【0033】
バンドパスフィルター59は、両方のマイクロ波発生器51および52の間の差周波数に合わせられる。それは本実施形態では5.818GHz−5.8GHz=18MHzである。第2バンドパスフィルター57は、マイクロ波発生器間の差周波数(例えば18MHz)に超音波信号発生器71の中心周波数(例えば4.5MHz)を加えた周波数に合わせられる。したがって、58、55および57を収納しているこの第2のデジタル信号処理部のパスは、入ってくる信号を、超音波周波数によって周波数シフトされたゼロ周波数に変換する。したがって、測定結果は、超音波とマイクロ波信号との間の断面に制限されている。
【0034】
第1の59,55,56と第2の58,55,57のデジタル受信機のIF帯域幅は、超音波発生器71によって生成された、超音波周波数fUSの半分に選ばれる。これは、超音波振動子の複数の位相を変えることによって、周波数シフトを最適化するために要求される。
【0035】
製品12の超音波メトリックを得る第1段階の間に、トランスデューサー72から射出される超音波放射を収集する超音波受信機73が存在して、より詳細に下に記述されるような減衰(T56)およびランタイムを評価しなければならない。上記で、我々は、超音波受信機73をマイクロ波ポート6と称し、トランスデューサー72をマイクロ波ポート5と称する。減衰およびランタイムが、超音波評価ユニット74で評価されるが、これは、評価ユニット60に統合されても当然よい。
【0036】
図2は、検査中の製品へ射出された放射を示す。トランスデューサー72は、この例において、検査下の製品12を通る超音波パルス91を射出する。これは、超音波速度で移動する密度変位を引き起こす。同時に、マイクロ波信号90は、送信アンテナ42から射出され、製品12を通って移動し、領域95以外において不変のマイクロ波振動数で、減衰および位相遅れを示す。ここで、超音波は密度変位を引き起こす。この領域では、マイクロ波信号の一部分は周波数シフトされ、上述したように、上側波帯および下側波帯が生じる。送信されたマイクロ波信号90は受信アンテナ43を用いて集められる。超音波91は、誘電関数の空間分布を決定する次の段階中に用いられる超音波メトリックを得る処理の間に受信機73に集められる。
【0037】
図3は、図1に関連して記述されるようなシステムを用いて、発明による測定原理を記述するフローチャートを示す。
【0038】
基本的に、本発明の方法は、物質の誘電性および音響電気特性のマイクロ波超音波組合せ測定法である。ここで、解像度は超音波波長から受け継ぐ。
【0039】
測定手順は後述されるように3つのフェーズから成る。
【0040】
(フェーズ1)
(超音波メトリックの取得)
このフェーズでは、今後、超音波メトリックと称する、局所超音波のランタイムおよび減衰の特性のマップが確立される。
【0041】
位相プログラミングロジックを用いて、複数の超音波振動子72間の複数の位相を変えることによって、超音波場の任意の所望の位相形式が生成されることが可能である。超音波の半波長のオーダーの幾何学的な大きさを備えた点に超音波パワーを集中させて、すべての超音波振動子の複数の位相を制御することは可能である。できるだけ小さな体積の媒体中に超音波を集中させると、送信されたマイクロ波信号の周波数変位は最大に達する。したがって、複数の超音波振動子の位相はマイクロ波信号を最適化するために変えられる。超音波パルスと到達した最大周波数シフトとの間の遅延時間を評価することは、焦点がアンテナからのどの距離で検査下の製品2の内部に位置するかを決めることを可能にする。この測定は、所定の解像度で検査中の製品全体を覆う1セットの点で繰り返される。
【0042】
その結果、独立した焦点ごとに選択される複数の位相とアンテナに関する位置とを含むテーブルが得られる。同時に、最大の信号の強度が、局所超音波減衰をマップすることを可能にする測定物体の至る所からのこれらの複数の測定点の各点から得られる。
【0043】
超音波信号の局所強度は、すべての超音波振動子間のランタイムおよび減衰値の測定により計算される。(もちろん、位相のいかなる選択も、この層での各点のマイクロ波信号を最大化することにより最適化される。)複数のトランスデューサーに近い製品の層に対するこれらの遅延時間および減衰値を仮定することで、最も接近している焦点の位相が得られる。
【0044】
1つの焦点に超音波パワーを集中させるために、伝送の複数の位相を同調させ、別の焦点上に集中させるために受信の複数の位相を同調させることによって、第1の層の2つの焦点の間のランタイムが得られる。
【0045】
複数の焦点の周囲かつ点の次の層に接近しているところで有効なこれらの値を仮定することで、次の層の交互の点の位相および振幅値が得られる。(もちろん、位相のいかなる選択も、任意の層の各点のマイクロ波信号を最大限にすることにより最適化される)。
【0046】
検査中の製品全体が走査されるまで、この処理が繰り返される。
【0047】
結果は、すべての焦点にとってマイクロ波信号の強度に加えて、すべての走査された焦点間での、超音波信号の局所減衰と、超音波信号の局所位相遅れとのテーブル(「超音波メトリック」)である。
【0048】
超音波メトリックは参照物体上で得られてもよい。それは、分析されることになっている複数の物体の代表である。その後、測定は、物体ごとの超音波メトリックを得る必要なしに、そのような物体上でなされてもよい。
【0049】
メトリック自体も、発明の本質的な結果と見なすことが可能であり、自主的な複数の応用として用いることが可能である。更に、複数の参照物体上で得られる複数のメトリックは、フェーズ1による複数の測定を促進する手段として用いられてもよい。
【0050】
(フェーズ2)
(マイクロ波相互作用の評価)
上記の生成された超音波メトリックとマイクロ波応答に基づいて、音響電気相互作用が、マイクロ波アンテナに最も近い層から開始して1層また1層と得られる。1層また1層の方法でこの解析が進むことは要求されないが、そのようにすることは、後の3D画像処理に便利であることがわかる。
【0051】
各焦点で測定されたマイクロ波信号の強度は、以下の積によって決定される。すなわち、
(a) 超音波信号の局所強度と、
(b) 圧縮率と、
(c) 焦点での材料の誘電関数
との積である。
【0052】
すべての焦点での超音波信号の局所強度が、メトリックから分かるので、マイクロ波アンテナに最も近い層上の入射および周波数シフトされた送信マイクロ波信号の間の相互作用は、この焦点での誘電関数にもたらすグリーンの関数定理を適用することによって得られる。この特定の焦点の相互作用以外の点相互作用は可能ではない。なぜならば、マイクロ波側波帯応答が、超音波焦点が測定の間に延長されている領域から始まらなければならないからである。したがって、方法の解像度は、阻害しない方法で(数センチメートルのオーダーの)マイクロ波波長によってではなく、(250マイクロメーターまでの)超音波信号の波束解像度から与えられる。しかしながら、入射マイクロ波信号は、送信アンテナから焦点までの途中、およびまた受信アンテナへ行く途中で、近隣の要素によって影響を受ける。焦点のマイクロ波信号は、検査中の製品のすべての誘電点に依存し、差異および入射場振幅で一次形式によって表わされる。受信アンテナに集められた場も、全ての未知の差異を含んでいる一次形式によって記述される。各測定について、すべての未知の差異を含んでいる双一次形式は得られる。各測定について、新しい方程式が生成される。各焦点の方程式があるので、方程式システムは、反復のない1対1の方法で解決することが可能である。
【0053】
結果は、超音波メトリックと同様な基礎的な特別な構造で検査中の製品の音響電気特性と誘電特性のマップである。
【0054】
(フェーズ3)
(音響電気誘電特性の計算)
超音波減衰はそれほど温度に依存はしない。対照的に、製品の圧縮率とともに超音波ランタイムおよび誘電関数は、強い温度依存を示す。
【0055】
圧縮率と誘電関数との比率は、温度の関数を与える。誘電および音響電気マップを用いて、測定物体の温度は得られる。
【0056】
第3フェーズのさらなる詳細は、図6および7a−7dに関連して記述される。
【0057】
3つのフェーズを詳細に記述して、その測定は、図3を参照して記述される。
【0058】
フローはステップ100からスタートする。それは、第1の周波数ωtransmit=2πfでのマイクロ波信号が送信アンテナ42から発信され、ωtransmitとωreceiveの混合周波数でのマイクロ波信号が受信アンテナ43で受信される。減衰S21および周波数オフセットδで、2つの信号間のオフセット周波数S’21での信号生成は、ステップ101で測定され、次のステップ102で測定された減衰S21は以前に記録された参照減衰S21,0に対して比較される。それは空の測定ギャップ13(すなわち、検査中の物体がない場合)で測定された減衰に対応する。測定された減衰が、ギャップに検査中の物体がないときの減衰に等しい場合には、フローは点103に戻り、減衰はステップ101に戻り減衰が測定される。
【0059】
物体が測定ギャップ13に導入される場合、フローはステップ104に続く。ここでは、超音波メトリックが得られる。このステップは図4に関連してより詳細に記述される。
【0060】
物体の空間誘電特性は、その後、ステップ104で得られたメトリックを使用して測定され計算される。この手順は、図5に関連してより詳細に記述される。
【0061】
物体の誘電特性が決定された場合は、例えば、温度、含水量、密度などの他の物理的特性が、(所定のε(T)モデルに基づいた)誘電特性の空間分布を用いて、ステップ106で、決定されてもよい。そのようなモデルは現在の出願人に譲渡された、公表されたPCT出願WO02/18920に記述されるように、先行技術の中で知られている。
【0062】
図4は、超音波メトリックを得る処理を開示したフローチャートを示す。フローはステップ120からスタートする。そこでは、超音波放射は物体中の点に集中する。超音波は、側波帯パスで信号を生成する。それは、マイクロ波信号によって測定された周波数変位に対応し、δと記載される。そして、ステップ121で測られる音響電気効率信号、ステップ122ではチェックが、音響電気効率信号が最大であるかどうかを決定するためになされる。もし最大でない場合にはフローはステップ123を介して戻り、超音波信号の位相の値が更新され、ステップ120に戻る。最大周波数変位が得られるまで、その処理が繰り返される。フローがステップ124に続いた場合、上に記述されるような焦点の位置に関する情報と共に超音波信号の位相は、メモリに格納される。ステップ125では、検査中の製品12の超音波メトリックを得るために測定されるべき別の点があるかどうかが決定される。そうでなければ、ステップ127でメトリック得るための処理が終了する。または、フローは線分126を介してステップ120へ戻る。
【0063】
(既知の超音波メトリックに基づいた誘電関数の測定(図4を参照))
図5aは、物体の準備の間に、物理的に物体を精査せず、内部温度のような、物体中の物理的特性を決定するために、食品のような物体の中で誘電関数を決定するための第1の実施形態を示す。
【0064】
フローはステップ110で開始する。ここで物体での点が選択される。超音波メトリックを得る処理の間に用いられた点を選択することは有利である。選択された点は方程式1−17での点3に対応する。
【0065】
超音波放射は、その後ステップ111およびステップ112でこの点に集中される。SパラメータS31およびS23は、図6に関連してより詳細に記述されるように、測定される。
【0066】
ステップ113で、別の点が選択されるべきかどうかの決定が下される。別の点が選択されるべきである場合、フローは、ステップ110に戻る。ここで、新しい点はステップ1111および112の前で選択され繰り返される。選択されない場合には、フローは、ステップ114に続き、測定されたSパラメータを備えた行列が逆行列化され、仮想受信機のS31または仮想送信機のS32を解く。
【0067】
各選択された点xの誘電関数ε(x)は、その後、先行技術のアルゴリズムを用いて、ステップ115で計算される。選択された点での温度は、その後、図3のステップ106によって示されるように計算される。
【0068】
図5bは、物理的に物体を精査せずに、物質特性(例えば脳腫瘍の存在)のような、物体中の2つの位置間の物理的特性を決定するために、食品のような物体中の誘電関数を決定するための第2の実施形態を示す。
【0069】
フローはステップ210で開始する。ここで、物体中の1組の点が選択されている。超音波メトリックを得る処理の間に用いられた点を選択することは有利である。選択された点は方程式1−17に3および4に対応する。
【0070】
超音波放射は、その後、ステップ211で両方の点に集中する。ステップ212で、S31、S23、S41、S24、S4’1、S24’、S3’1およびS23’のSパラメータが、図7に関連して詳細に記述されるように、測定される。
【0071】
SパラメータS43(すなわち選択された点の間の減衰)は、ステップ213で計算される。点3は、この実施形態で、仮想送信機として作動し、点4は仮想受信機として機能する。
【0072】
選択された点x、y(すなわち、方程式1−7の点3,4)の間での誘電関数の平均値
【数1】

【0073】
は、その後、ステップ214で計算される。
【0074】
ステップ215で、別の組の点が選択されるべきかどうかの決定が下される。別の組の点が選択されるべきである場合には、フローは、ステップ210に戻る。ここで、ステップ211から214までが繰り返される前に新しい組が選択される。選択されるべきでない場合には、フローは図3のステップ106に続く。ここで所望の物理的特性が計算される。
【0075】
(発明の第1の使用)
図6は、本発明の第1の使用の機能を概略的に示す。1つの超音波メトリックu(x、t)が製品内のすべての点xに対して得られる場合、以下のステップの適用によりすべての点で誘電率を計算することが可能である。
【0076】
1) 点3のうちの1つに超音波を集中させる。超音波は、送信アンテナ1から受信アンテナ2に送られたマイクロ波信号の振動数シフトに関する焦点にだけ影響することが知られており、これにより、側波帯(すなわちマイクロ波ベース周波数(f1)±超音波周波数(fUS))で信号を生成する。
【0077】
2) 複数のサイドバンドの少なくとも1つで信号強度を測定する。両側波帯の中で信号強度が測定される場合、測定からのより信頼できる結果が得られる。受信アンテナ2で測定された信号強度は、次のように表現されてもよい:
【数2】

【0078】
ここで、S21は、測定ギャップにある製品12によって引き起こされた減衰であり、V(t)は側波帯で測定された信号強度であり、V(t)は送信アンテナ1から送られた信号の信号強度である。S23は受信アンテナ2への点3の間の減衰であり、αは、超音波がマイクロ波側波帯信号(音響電気利得と称する)に変換される点3での効率を決定する係数である。u(x、t)は点3での超音波メトリックであり、S31は送信アンテナ1および点3の間の減衰である。
【0079】
第1の近似では、効率αは次のように表現することが可能である。
【数3】

【0080】
ここで、Δεは、超音波放射yによって引き起こされる圧力波による誘電率の変化である。圧縮モジュールκに対して、
【数4】

【0081】
の関係が確立する。Κの値は、当業者に知られていて、より詳細に検討しない。
【0082】
3) 製品12中の図6に3を表示する全ての所望の点に対して処理を繰り返す。
【0083】
4) 逆散乱アルゴリズムでのすべての測定データを使用し、製品中の誘電関数の空間分布を計算する。
【0084】
物体が、測定装置に関して、相対的に低速で移動し、かつ、下の関係を満たす場合、射出された超音波とマイクロ波放射の補償は考慮する必要がない。
【数5】

【0085】
objは、測定ギャップ13での物体移動の速度であり、tmeasは完全な処理ための測定時間であり、vUSは物体中の超音波の速度であり、fUSは超音波周波数であり、dFocalは焦点の直径である。
【0086】
相対速度が高い場合、超音波の集束は移動を補償するために、測定ステップの間、物体の中に焦点を維持するために、超音波放射の調整を含んでいなければならない。さらに、ドップラー偏移を回避するために、
【数6】

【0087】
である。
【0088】
(発明の第2の使用)
図7a−7dは、製品中の点3および4の2点間の誘電率を計算する際の、本発明の第2の使用の主関数を示す。第1の点3はソースであると見なしてもよく、第2の点4は受信機であると見なしてもよい。
【0089】
主関数は、図6に関連して記述したものと非常に似ているが、2つの焦点3および4が超音波放射によって同時に生成されたので、2つの上側波帯および、2つの下側波帯が生成されるという違いがある。第1の上側波帯および下側波帯は、図6に関連して記述されたものと同様であり、第2の上側波帯および下側波帯は、2倍の超音波周波数(すなわち、マイクロ波ベース周波数(f)±2*超音波周波数(2fUS))を持っている。同じ超音波周波数がこの目的に用いられる場合、第2のオーダーの側波帯を生成するために、2つの異なる超音波周波数を選ぶことが可能である。図1に関連して記述された装置は、この例で、第2の上側波帯および下側波帯に応じて調整される余分な側波帯パスが付加される必要がある。
【0090】
次の関係は、それぞれ単一の仮想ソースとしての点3および4にとって確立されることが可能である。
【数7】

【0091】
図7bにしたがって、焦点を3から3’へ移動させ、焦点を4から4’へ移動することによって、新しい関係が表現することができる。
【数8】

【0092】
図7aから、点3および4の間の求められた減衰を含む関係は次のように表現されてもよい。
【数9】

【0093】
方程式6は、7x7問題を解くのに用いられず、適切な近似と取り替えられる。方程式16および17を参照。
【0094】
図7cは、3および4に対応する2重のソースの関係を示す。
【数10】

【0095】
点3’および4’の関係が次のように表現されてもよい。
【数11】

【0096】
方程式10は7x7問題と8x8問題を解くのに用いられず、適切な近似と取り替えられる。8x8問題のためには方程式15を参照し、7x7問題のためには方程式16および17を参照する。
【0097】
次の関係は図7a−7cから明白である。
【数12】

【0098】
方程式11−14は複数のSパラメータを除去するために用いられる。それは図7dに示されるようなSパラメータになる。求められたS43であるSパラメータがあり、問題を解くための10の方程式(すなわち、方程式1−10)を必要とするいくつかの未知のSパラメータと共に、全く興味のないS3’4’である1つのSパラメータがある。
【0099】
有限要素についてのツィエンキービッツ(Zienkiewicz)によって導入されたトリックを適用することによって、点3と点4との間の減衰を見つけるのに必要とされる方程式の数を減らすことは可能である。
【0100】
方程式10は用いられず、次の近似が代わりに用いられる。
【数13】

【0101】
2度ツィエンキービッツのトリック(それは方程式6および10の必要を除去する)を適用することによって、必要とされる方程式の数を8つの方程式のみに減らすことは可能でさえある。複数の方程式の代わりに用いられる近似は次のとおりである。
【数14】

【0102】
点3と点4との間および点3’と点4’との間の減衰S43は、必要とされる方程式を対数にすることにより計算することが可能であり、複数の解析点が適切に選ばれる限り解は常に利用可能である方程式と同数の未知を備えた方程式1から10が方程式の非同次線形システムになる。これらの点の役割を「仮想プローブ」として示す点4と点3の間のマイクロ波ランタイムを得るためにS43のシステムを解かねばならない。
【0103】
上に記述されたシステムは、「仮想送信機」(すなわち、点3)および「仮想受信機」(すなわち、点4)を使用する。発明の第1の使用法に到達するそれぞれ本物の送信または受信アンテナと一致するために、これらの点の1つを容易に置くことが可能である。複数の物理的なプローブアンテナの場所に両仮想プローブを置くことは、本発明に先立って既知の従来からのマイクロ波測定技術になる。
【0104】
解決される物理的問題に依存して、単一仮想プローブ概念(仮想受信機または仮想送信機)または2つの仮想プローブ概念を利用する。複数の仮想プローブによって生成/受信された特定のビームパターンを生じるために、複数のプローブのセット(例えば、仮想プローブのアレイ)を用いることは可能である。
【0105】
異なるプローブ構成は、掃海、物質解析、鉱物探査、医学的応用などとして応用に用いられてもよい。
【0106】
(方法の短縮した数学的導出)
電磁放射は、マクスウェル方程式によって統率され、ベクトルの電場Eは、次に示すように座標に依存する3次元の空間xおよび時間tで書かれているヘルムホルツ形式に容易に変形される。
【数15】

【0107】
ここで、Δはラプラス演算子であり、εは真空の誘電率であり、ε(3x3テンソルである)は与えられた位置での材料の局所的で相対的な誘電関数であり、μは真空透磁率を表し、μは検査中の材料の局所比透磁率を表す。この短縮した導出では、μは単位テンソル1(3x3)に設定する。当業者にとっては、類似の方法が同時にεとμを解くことによって導出されることは明白である。
【0108】
同時に、テンソルの3x3応力振幅yおよび媒体の局所音速vを備えた超音波も、次に示す同様の形式にすることが可能である。
【数16】

【0109】
両方の微分方程式の解は、放射ソースの位置を考慮して実行される。処理の要点に集中させて、ゼロにならない振幅を備えたいかなる超音波も(圧縮または剪断型である)材料に応力を生じる。この応力は材料の局所圧縮によって反映される。この圧縮によって、分極電荷の密度は影響を受ける。既知の事実として、誘電性の物体のいかなる圧縮も相対的な誘電関数テンソルεを次のように変更する。
【数17】

【0110】
この関係は、本発明で利用された超音波伝播と電磁波との間のカップリングを生じる。相互作用の強度は、音響電気光学の相互作用、3x3x3テンソルであるαによって決定される。含まれる物理学の全体像のために、上記の関係は(例えば、キャビテーションおよび他の非線形効果が無視される)比較的小さな超音波に対してだけ保たれることを言及しなければならない。
【0111】
その後、電磁気的に解決される完全なシステムは、次によって与えられる。
【数18】

【0112】
当業者にとって、時間tでフーリエ変換が適用される場合、この種の微分方程式が周波数空間ωでの畳み込みになることは明白である。
【数19】

【0113】
ここで、円で囲まれた積算演算子E(x,ω)は、(畳み込み積分の前の、結果として生じる規格化定数を除いて)次の完全形になる(例えば、1988年にG.Doetschによる“Anleitung zum praktischen gebrauch der Laplace transformation”に見出される)周波数畳み込み積分を示す。
【数20】

【0114】
したがって、単一の周波数超音波励起および物体に入射する単一の周波数マイクロ波信号を仮定すると、複数の受信マイクロ波信号は、入射するマイクロ波周波数に一部分を含むだけでなく、畳み込み積分によって生じた超音波およびマイクロ波周波数の差および和での複数の側波帯にも含む。
【0115】
上記の関係は、マイクロ波場から情報を抽出するために、超音波を適切に位相制御し、パルス波列を用いることによって、全く新しい世界を提示する。
【0116】
(単一の仮想プローブ)
単一の仮想プローブを含むパスに沿って解決するべき方法を適用する。これは、(点3または4のいずれかへの全ての関係が消える)上述した到来する線形方程式系を解くどんな送信パラメータにも依存する、仮想送信機または仮想受信機のどちらかに相当する。波の伝播メカニズムはこのケースには同一である。(一様な、境界条件無しの)理想的なケースについては、次の伝播関係に達する。
【数21】

【0117】
(2つの仮想プローブ)
さらに、2つの仮想プローブを通るパスに沿って解決するために方法を適用することが可能である。これは、(すべて方程式が存在する)上述された到来する9x9線形方程式系を解決するどんな伝送パラメータにも依存する、仮想送信機または仮想受信機のいずれかに相当する。(一様な、境界条件無しの)理想的なケースについては、次の伝播関係に達する。
【数22】

【0118】
最初の2つの方程式は、仮想送信機の役割を務める解析点Xで側波帯の生成を示す。第3の方程式は、仮想受信機の役割を務める別の解析点Yで集中させることによって、最初の式の上部の第2の側波帯の生成を示す。周波数オフセットは、集中させることを遂行するために使用した超音波の周波数によって決定された、点Xでのηおよび点Yでのηで示される。これらが、ある応用では、両方の点X、Yにとって同じ周波数ではないことがあることに注意する。
【0119】
第1方程式は、側波帯オフセットXを備えた所定の位置ξで側波帯の生成を述べる。第2の方程式は、強度qのソースが位置Xに置かれる場合、検査中の物体全体を通る側波帯の伝播を述べる。したがって、方法は、物体の内部の任意の複数の位置でのマイクロ波ソースを合成することによって、物体を「調査する」ことを可能にする。そして、このソースを動かす場合、このソースから生成された放射を測定する。
【0120】
発明は、マイクロ波発生器および超音波発生器に関連して記述されたが、物体内の密度変位を生じるために、他の型の放射が用いられてもよいことは明白である。しかしながら、放射は同時に射出されなければならず、さらに、変位を生じるために射出された放射間の周波数に差がなければならない。解像度は、物体で最短の波長を有する放射によって決定される。
【0121】
したがって、密度変位を生じ、かつ、それによって、発明を用いて材料の誘電関数を決定するために、異なる(例えばわずかに0.5Hzだけ異なる)周波数を持っている2つのマイクロ波信号で物体を同時に照らすことは可能である。射出された放射の可能な組合せは、これに制限するわけではないが、マイクロ波、超音波およびX線の任意の組合せ含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】発明のシステムを示す。
【図2】検査中の製品へ射出される放射線を示す。
【図3】検査中の製品の内部で、温度のような物理的特性を決定するためにフローチャートを示す。
【図4】超音波メトリックを得る処理を示すフローチャートを示す。
【図5a】検査中の製品内の誘電関数の空間分布を決定する処理の2つの実施形態を示すフローチャートを示す。
【図5b】検査中の製品内の誘電関数の空間分布を決定する処理の2つの実施形態を示すフローチャートを示す。
【図6】本発明の第1の使用の主関数を示す。
【図7a】本発明の第2の使用の主関数を示す。
【図7b】本発明の第2の使用の主関数を示す。
【図7c】本発明の第2の使用の主関数を示す。
【図7d】本発明の第2の使用の主関数を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を通る第1型の放射を送信する少なくとも1つの第1の送信機(42)と、前記送信された第1型の放射を受信する少なくとも1つの受信機(43)と、を備える、前記物体中の誘電関数を決定するための装置であって、
前記物体を通る第2型の放射を射出し、前記第1および第2型の放射は、異なる周波数内容を有し前記物体での密度変化を生成する、少なくとも1つの第2の送信機と、
前記物体中の前記音響電気相互作用(δ)を決定するために、前記密度変化を介して送信される前記第1型の放射を解析する手段と、
前記決定された音響電気相互作用に基づいて、前記物体中の前記誘電関数を計算する計算手段と、を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの送信機(42)に接続し、第1の固定周波数(f)を有する送信信号を生成し送信する第1の発生器(51)をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項3】
減衰を決定する手段をさらに備え、
該決定手段は、
前記少なくとも1つの受信機(43)からの前記受信した第1型の放射と、第2の固定周波数(f)を有する局部発振器信号とを混合することによって中間周波数(IF)信号を生成し、前記局部発振器信号は第2の発生器(52)によって生成される、ミキサと、
前記IF信号の位相と振幅を評価することによって、前記音響電気相互作用を決定する評価ユニットと、を備える請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記射出された第1および第2型の放射は、前記物体に関して移動されるように配置される請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置を通って前記物体を運ぶコンベア(11)をさらに備え、前記装置は静止している請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、静止物体に関して移動される請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記第2型の放射は、第3の固定周波数(fUS)を有する信号で、第3の発生器(71)によって生成された信号である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記物体中の前記音響電気相互作用を決定するために使用される前記物体のメトリックに対応する、ランタイムおよび減衰のマッピングを決定するために、前記物体を通って射出される前記第2型の放射を受信する少なくとも1つの受信機(73)をさらに備える請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記メトリックの1部分である焦点ごとに前記受信した第2型の放射の位相を決定する手段をさらに備える請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1および第2型の放射は、マイクロ波放射、超音波、および、X線の任意の組合せを備える請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記物体は食品であり、前記計算された誘電性関数に基づいて食品の中での温度の局所分布を計算する手段をさらに備える請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つの第1の送信機(42)から物体を通る第1型の放射を送信し、少なくとも1つの第1の受信機(43)で前記送信された第1型の放射を受信するステップを備える、前記物体中の誘電関数を決定する方法であって、
少なくとも1つの第2の送信機から、前記物体を通る、第2型の放射を射出し、前記第1および第2型の放射は異なる周波数内容を有し、前記物体中での密度変化を生成していて、
前記物体での音響電気相互作用を決定するために、前記密度変化を介して送信される前記第1型の放射を解析し、
前記音響電気相互作用から、前記物体中の前記誘電関数を計算するステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記物体中の前記音響電気相互作用を決定するために、前記第1型の放射を解析するステップは、前記物体のメトリックを得るステップを備える請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記メトリックを得るステップは、
a)射出された第2型の放射を物体中の点へ集中させ、
b)最大の音響電気効率信号を得るために前記音響電気効率信号を測定している間に、前記第2型の放射の位相を調整し、
c)焦点の位置と共に前記位相の値をメモリに格納し、
d)前記物体のメトリックが完成するまで、ステップa)からc)を繰り返す請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記物体中の前記誘電関数を計算するステップは、
前記物体の内部の少なくとも1点を選択し、
前記第2型の放射を前記少なくとも1点に集中させ、
前記受信した第1型の放射の減衰を決定し、
前記メトリックを使用して前記誘電関数を決定するステップを備える請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記物体中の誘電関数を計算するステップは、
物体の内部の少なくとも1組の点の選択し、
前記第2型の放射を前記少なくとも1組の点に集中させ、
前記少なくとも1組の点とっての第1型の放射の減衰を決定し、
メトリックを使用して前記少なくとも1組の点の間の前記減衰および前記誘電関数を決定するステップを備える請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1および第2型の放射は、マイクロ波放射、超音波、および、X線の任意の組合せであるように選択される請求項12から請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
食品を通る第1型の放射を送信する少なくとも1つの第1の送信機(42)と、
前記送信された第1型の放射を受信する少なくとも1つの第1の受信機(43)と、を備える、前記食品中の温度の局所分布を決定するための装置であって、
前記食品を通る超音波を射出し、前記第1および第2型の放射は、異なる周波数内容を有し、前記食品中の密度変化を生成する、少なくとも1つの第2の送信機と、
前記食品中の音響電気相互作用(δ)を決定するために、前記密度変化を介して送信される前記第1型の放射を解析する手段と、
前記音響電気相互作用に基づいて前記食品中の前記誘電関数を計算し、前記計算された誘電関数に基づいて前記食品中の温度の局所分布を計算する手段と、を備えることを特徴とする装置。
【請求項19】
物体の特性を決定するための装置であって、
物体を通る第1型の放射と第2型の放射を送信し、前記第1および第2型の放射は、異なる周波数内容を有する送信ユニットと、
前記物体の特性を決定するために、前記送信された第2型の放射によって引き起こされた前記物体中の密度変化を介して送信される前記第1型の放射を解析する評価ユニットと、を備えることを特徴とする装置。
【請求項20】
前記評価ユニットは、前記物体中の音響電気相互作用を決定し、前記決定された音響電気相互作用に基づいて前記物体中の誘電関数を計算する請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記物体の特性は前記物体の温度分布を含み、前記評価ユニットは前記計算された誘電関数に基づいて前記物体の前記温度分布を計算する請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記送信ユニットは、前記物体を通る前記第1型の放射を送信する少なくとも1つの第1の送信アンテナと、前記物体を通る前記第2型の放射を送信する少なくとも1つの第2の送信アンテナとを含む請求項19から請求項21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記少なくとも第1の送信アンテナに接続し、第1の固定周波数を有する送信信号を生成し送信する第1の発生器をさらに備える請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記物体を通って送信される前記第1型の放射を受信する受信機と、
前記受信された第1型の放射と、第2の固定周波数を有する局部発振器信号とを混合することによって中間周波数(IF)信号を生成し、前記局部発振器信号は第2の発生器によって生成される、ミキサと、をさらに備え、
前記評価ユニットは、前記IF信号の位相および振幅を評価することによって前記音響電気相互作用を決定する請求項22または請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記装置を通って前記物体を運ぶコンベヤをさらに備え、前記装置は静止している請求項19から請求項24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
前記装置は、前記送信された第1型の放射と第2型の放射が前記物体に関して移動するように、静止物体に関して移動される請求項19から請求項24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
前記第2型の放射は、第3の発生器によって生成される第3の固定周波数を有する信号である請求項19から請求項26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記物体中の音響電気相互作用を決定するために前記評価ユニットによって使用される前記物体のメトリックに対応する、ランタイムおよび減衰のマッピングを決定するために、前記物体を通って送信される前記第2型の放射を受信する少なくとも1つの受信アンテナをさらに備える請求項19から請求項27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記評価ユニットは、前記メトリックの一部分である焦点ごとに、第2型の放射の位相を決定する請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記第1および第2型の放射は、マイクロ波放射、超音波、および、X線の任意の組合せを備える請求項19から請求項29のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【公表番号】特表2008−519979(P2008−519979A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541142(P2007−541142)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001694
【国際公開番号】WO2006/052202
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(500461387)エフエムシー・フードテク・エービー (4)
【Fターム(参考)】