頭皮電位計測方法および装置
頭皮電位を計測するための装置が開示されており、これは、複数のセンサおよびこれらのセンサに結合されている前置増幅器を備える。これらのセンサは、髪と空気との界面を介して未加工の頭皮電位計測値を計測するように構成されていると共に、差分、基準または共通計測値として見なされ得る。この界面は、頭皮に対して高可変信号源インピーダンスを有する結合を与える。前置増幅器は、信号源界面により示されるものよりも著しく高い入力インピーダンスを有すると共に、未加工の頭皮電位計測値を受信して予増幅された頭皮電位計測値を生成するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、医療機器に関し、特に、脳波(EEG)を生成するための医療機器に関する。しかしながら、本発明は、この特定の使用分野に限定されるものではないと理解される。
【0002】
本発明の実施形態は、主に、頭皮電位を計測するための方法および装置として開発された。この実施形態は、本願明細書中に後述することとする。
【背景技術】
【0003】
この明細書を通した従来技術の如何なる考察も、このような従来技術が周知であること、または、この技術分野における共通の一般的知識の一部を構成することの自認として決して解釈してはならない。
【0004】
EEG波形は、脳波データに明示される癲癇および他の状態の診断のために臨床現場において日常的に記録されている。これらのEEG波形は、典型的には、ヘッドピースから伸びて顎の下で締結されるストラップにより頭部に固定されたヘッドピースに適用されたセンサアレイを用いて計測される。
【0005】
これらのセンサを適用するには、典型的には、髪を分けて、導電性表皮剥脱ゲルの塗布によりいかなる死滅した頭皮組織も除去することが必要とされる。ヘッドピースが用いられる際に頭皮に対してセンサに正圧を印加するように、センサは、典型的には、クリップまたはねじを使用してヘッドピースに結合されている。このセンサを配置する方法によれば、典型的には、再度頭皮の下処理を行わなければならなくなるまで、約1時間の連続的なEEGの計測が可能である。
【0006】
代替的な解決手段は、例えばAdvanced Brain Monitoring Inc.によって提案されているとおり、約8時間の連続使用で装着可能である無線センサヘッドセットがある。しかしながら、このデバイスが8時間もの間センサと頭皮との間に維持するために、これらのセンサは、使用中に髪の間を通して導電性クリームを排出する。現在の技術は、典型的には、この問題を克服するために、センサと頭皮との間の安定した導電接続を改善させると共に維持する方法を教示する。
【0007】
上記技術において、頭皮に対する導電性の要求が厳しくない、頭皮電位を測定の方法および装置が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
頭皮の下処理を比較的少しまたは全く伴わずに、効果的に用いられることが可能である頭皮電位を計測するための改善された方法または装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば:
髪と空気との界面を介して未加工の頭皮電位計測値を計測するために用いられ、
界面が、頭皮に対して高可変信号源インピーダンスを有する結合を与える複数のセンサと、
センサのそれぞれ1つに結合された複数の前置増幅器とを備え、
各々の前置増幅器が、センサ信号源界面により示されるインピーダンスより著しく高い入力インピーダンスを有するように構成されており、
前置増幅器が、未加工の頭皮電位計測値を受信すると共に、予増幅された頭皮電位計測値を生成するための予増幅頭皮電位計測値を生成する
頭皮電位計測用装置が提供されている。
【0010】
センサ信号源界面インピーダンスは、接触媒体、頭皮、および下層組織のいずれかにより示されることが好ましい。
【0011】
入力インピーダンスは、アクティブであると共に、フィードバックの適用によって増加されることが好ましい。
【0012】
前置増幅器は、広帯域高インピーダンス入力、および、0.01Hzから400Hzの10ペタオーム超の入力インピーダンスを示すためのアクティブバイアスネットワークを含むことが好ましい。より好ましくは、前置増幅器は、10テラオームの入力インピーダンス、ならびに、入力インピーダンスを示すためのシールドされたフィードバックおよびバイアスネットワークを有する高利得低ノイズレール・ツー・レールFET(電界効果トランジスタ)入力演算増幅器を含む。
【0013】
この装置は:
前置増幅器に結合された同相モードフィルタ増幅器であって、予増幅された頭皮電位計測値におけるノイズと同相モード信号の実質的な成分をキャンセルし、これにより、同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値を生成するように構成されている同相モードフィルタと、
同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値のRF(無線周波数)ノイズを除去して、RFが除去された頭皮電位計測値を生成するRF除去システムとをさらに含むことが好ましい。
【0014】
同相モードフィルタ増幅器およびRF除去システムは、各々の頭皮電位計測値信号経路にわたって実質的に共通の利得、位相および遅延を保存するように構成されていることが好ましい。
【0015】
この装置は:
RFが除去された頭皮電位計測値を増幅して、増幅された頭皮電位計測値を生成するための差動増幅器システムと、
増幅された頭皮電位計測値をフィルタリングして、その後のデジタル化の間のエイリアシング効果を実質的に最小とするための帯域フィルタと
をさらに含むことが好ましい。
【0016】
差動増幅器システムおよび帯域フィルタは、各々の頭皮電位計測値信号経路にわたる実質的に共通の利得、位相および遅延を保存するように構成されていることが好ましい。
【0017】
帯域フィルタは、低周波過渡(transient)高域フィルタおよび高周波アンチエイリアシング低域フィルタの形状であることが好ましい。より好ましくは、帯域フィルタは、好適な低周波過渡除去を提供するように構成されていると共に、所定のAD変換器に係るナイキスト周波数での量子化レベルの半分より大きい減衰を提供するようさらに構成されている。最も好ましくは、帯域フィルタは、1Hzから40Hzの通過域を有する六次対称帯域フィルタリング増幅器である。
【0018】
差動増幅器に対する入力は、共通基準信号、平均化された信号、ならびに、予増幅およびバッファされたセンサ信号を含む信号群のいずれか1つから選択可能であることが好ましい。
【0019】
装置は:
1以上の頭皮電位計測値をデジタル化するためのデジタイザと、
1以上の頭皮電位計測値に信号処理を実施すると共に、出力信号を生成するための第1の処理装置と
をさらに含むことが好ましい。
【0020】
出力信号は無線で第2の処理装置に送信されることが好ましい。
【0021】
この装置は、各々の頭皮電位計測値信号経路間のチャネル間RF干渉を除去するように構成されたチャネル相互接続モジュールをさらに含むことが好ましい。
【0022】
チャネル相互接続モジュールは、チャネル−基準チャネルモード、チャネル−チャネル平均モードおよびチャネル−チャネル差動モードを含む組から頭皮電位計測モードを選択するように構成されている。
【0023】
本発明の第2の態様によれば:
未加工の頭皮電位計測値をセンサで受信する工程であって、計測値が髪および空気を介して得られる工程と、
未加工の頭皮電位計測値を高入力インピーダンス増幅器で予増幅して、予増幅された頭皮電位計測値を生成する工程と
を含む頭皮電位計測のための方法が提供されている。
【0024】
この方法は:
予増幅された頭皮電位計測値におけるノイズと同相モード信号の実質的な成分をキャンセルして、同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値を生成する工程と、
同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値のRFノイズを除去して、RFが除去された頭皮電位計測値を生成する工程と
をさらに含むことが好ましい。
【0025】
方法は、RFが除去された頭皮電位計測値を増幅して、デジタル化のための増幅された頭皮電位計測値を生成する工程をさらに含むことが好ましい。
【0026】
方法は:
増幅された頭皮電位計測値の帯域過渡およびアンチエイリアシングフィルタリングを適用して、デジタル化のためのアンチエイリアスされた頭皮電位計測値を生成する工程と、
アンチエイリアスされた頭皮電位計測値をデジタル化して、デジタル化された頭皮電位値のシーケンスを生成する工程と、
デジタル化された頭皮電位値のシーケンスを処理して、頭皮電位波形信号を生成する工程と、
計測波形を生成する工程と
をさらに含むことが好ましい。
【0027】
方法は、第2の処理装置によって受信のために、出力信号を無線接続で送信する工程をさらに含むことが好ましい。
【0028】
受信される未加工の頭皮電位計測値は、髪と空気との界面を介して計測され、界面が、頭皮に結合する高可変信号源インピーダンスを示し、前置増幅器は、示される信号源界面よりも著しく高い入力インピーダンスとを有するように構成されていることが好ましい。入力インピーダンスはアクティブであると共に、フィードバックを適用する工程により増加されることが好ましい。
【0029】
本発明の第3の態様によれば:
各々の複数のチャネルを定義するために、複数のセンサから未加工の入力頭皮電位信号を受信する工程と、
チャネル−基準チャネルモード、チャネル−チャネル平均モードおよびチャネル−チャネル差動モードを含む組から計測モード構成を選択する工程と、
高入力インピーダンスを維持しながら入力信号をバイアスする工程と、
チャネル信号を差動誘導する前にチャネル利得を整合する工程と、
処理されたチャネル信号を提供することにおけるさらなる工程として、利得と位相整合を維持しながらチャネル信号の高周波干渉を除去する工程と、
処理されたチャネル信号を提供することにおけるさらなる工程として、チャネル信号の同相モード信号干渉を除去する工程と、
処理されたチャネル信号を提供することにおけるさらなる工程として、チャネル信号を帯域フィルタリングする工程と、
選択された計測モードに基づいて、計測された入力信号を示すデジタル頭皮電位計測値信号を提供するために、処理されたチャネル信号をデジタル化する工程と
を含む頭皮電位計測のための方法が提供されている。
【0030】
高入力インピーダンスは、未加工の頭皮電位計測値を増幅して、予増幅された頭皮電位計測値を生成するための、高入力インピーダンス増幅器を含む前置増幅器により提供されることが好ましい。入力インピーダンスは、センサに示されている信号源界面に関連するインピーダンスよりも著しく高いことが好ましい。信号源界面インピーダンスは、接触媒体、頭皮、および下層組織のいずれかによって示されることが好ましい。入力インピーダンスはアクティブであると共に、フィードバックの適用によって増加されることが好ましい。前置増幅器は、広帯域高インピーダンス入力、および、0.01Hzから400Hzの10ペタオーム超の入力インピーダンスを示すためのアクティブバイアスネットワークを含むことが好ましい。
【0031】
本発明のさらなる態様によれば:
複数のセンサのうちの1つが差分、基準または共通として見なされてもよく、髪と空気との界面を介して未加工の頭皮電位計測値を計測するように構成された複数のセンサであって、界面が、頭皮に対して高可変信号源インピーダンスを有する結合を与えるセンサと、
センサに結合された前置増幅器であって、信号源界面により示されるインピーダンスよりも著しく高い入力インピーダンスを有するように構成されている前置増幅器であり、未加工の頭皮電位計測値を受信すると共に、予増幅された頭皮電位計測値を生成する前置増幅器
を含む頭皮電位計測用装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
ここで、単なる一例として、好ましい実施形態を添付の図面を参照して説明する。
【図1】本発明の頭皮電位を計測するための装置のブロック図例である。
【図2】本発明の図1に記載の装置の高次概略図例である。
【図3】本発明の図2に記載のアナログ回路構成要素の高次概略図例である。
【図4】本発明の図2に記載の前置増幅器モジュールの概略図例である。
【図5】本発明の図2に記載の増幅器モジュールの概略図例である。
【図6】本発明の図2に記載のインタフェースモジュールの概略図例である。
【図7】本発明の図2に記載のアナログ−デジタルモジュールの概略図例である。
【図8】本発明の図2に記載の処理装置モジュールの概略図例である。
【図9】本発明の図2に記載のイン・サイチュ(in situ)プログラミングポートモジュールの概略図例である。
【図10】本発明の図2および図3に記載の信号、電源および接地構成の概略図例である。
【図11】本発明の頭皮電位を計測するための方法のフローチャート例である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面を参照して、電位を計測するための方法および装置の好ましい実施形態が開示されている。
【0034】
以下の実施形態は、頭皮電圧電位の計測が髪および皮膚の下処理を比較的少しまたは全く行うことなく実施されるよう、好ましくは電極の形状であるセンサからの信号を処理するための方法および装置を提供する。これは、死んで積層された上皮細胞を剥脱する、または、表皮剥脱ジェルあるいは導電性ジェルを塗布するといった従来のEEG計測における不断の要求を軽減させる。これらの実施形態のセンサが電極であることが好ましいことが理解される。センサは、パッシブデバイスであってもアクティブデバイスであってもよいことがさらに理解される。
【0035】
最初に図1を参照すると、実施形態のブロック図例100は、センサ(または電極)110と、前置増幅器120と、同相モードフィルタ増幅器125と、RF除去フィルタ130と、差動増幅器140と、過渡およびアンチエイリアシングフィルタ150と、デジタイザ160と、デジタル処理装置170と、ディスプレイまたは記憶装置180とを備えている。この実施形態において、差動増幅器140は、その一方が選択された共通または基準信号と解釈されてもよい2つのセンサ信号間の差分を増幅する。
【0036】
図2は、4つの入力センサを有する実施形態の高次回路図200を示す。各々の入力センサは、関連する前置増幅器モジュール210を有する。これらの前置増幅器モジュールは、前置増幅器およびRF除去フィルタを備える。各々の前置増幅器モジュールは、それぞれの増幅器モジュール220に結合されている。
【0037】
この実施形態において、各々の増幅器モジュール220は、差動増幅器およびアンチエイリアシングフィルタを、帯域増幅器の形状で備える。差動増幅器は、入力の平均である基準信号または他の入力信号の間の差分を選択的に増幅することが好ましい。帯域増幅器は、信号のアンチエイリアシングフィルタリングを実施するように構成されている。個別の基準前置増幅器モジュール230は、システム用のバッファされた基準信号を提供する。
【0038】
これらの増幅器モジュール220および基準前置増幅器モジュール230の出力はインタフェースモジュール240を介して結合されており、これは、電源およびAD変換器モジュール250に信号をさらに送る。また、このインタフェースモジュール240は、同相モードフィードバックセンサ241を駆動する同相モードフィードバック増幅器および電源接地センサ242を駆動する信号基準バッファを設ける。
【0039】
電源およびAD変換器モジュール250は、各々の計測された信号を時間サンプリングすると共に量子化する。この時間サンプリングされると共に量子化された信号は、処理装置モジュール260に提示される。処理装置モジュールは、サンプリングされた信号に対してさらに処理を行って、出力のための頭皮電位計測値を生成する。処理装置モジュールによって生成された結果が、ブルートゥースモジュール270を介して出力される。
【0040】
また、他のモジュールも設けられている。バッテリーモジュール280は、システムへの安定した電源の供給を行うと共にバッテリー充電システムを備えている。また、イン・サイチュプログラミングポート290が、プログラミング手段および処理装置モジュール260との通信手段としても示されている。
【0041】
図3は、アナログ信号処理300の全体回路図例を示す。この高次回路図は、単一チャネルの信号コンディショニングに注目している。この回路図によって示されているアナログ処理は、各々の入力センサ信号について繰り返し行われている。
【0042】
この実施形態において、入力センサ信号は、前置増幅器305によって処理される。先ず、センサ信号が、入力インピーダンスの増強に適合されたフィードバックで、単位利得バッファ310によってバッファされる。この実施形態において、入力インピーダンスはアクティブであり、フィードバックの適用により増加する。バッファされたセンサ信号311は、平均加算器および信号RFフィルタバッファ330、ならびに、同相モードフィードバックフィルタおよび増幅器340に伝達される。バッファされたセンサ信号311は、差動モード低域フィルタ315に通されてRFインタフェース信号を除去し、次いで、第2の単位利得バッファ320によりバッファされる。予増幅されると共にバッファされた信号321は、基準信号351としてインタフェースモジュールに伝達されると共に差動増幅器350に送られる。
【0043】
この回路図は、バッファ入力センサ信号311の全ては、好ましくは、平均加算器および信号RFフィルタバッファ330によって平均されると共にバッファされて、平均信号331が生成されることをさらに示す。この平均化増幅器は、低ノイズ単位利得増幅器によってバッファされて、全ての入力センサ信号の平均である出力平均信号331を生成する加算低域RFフィルタネットワークを含む。この平均信号331は、「チャネル−チャネル平均」計測モード(以下のMODE2)に用いられる。この回路は、差動RFフィルタ315を整合させるための選択的な位相変化および信号遅延特性を有する。
【0044】
同相モードフィードバックフィルタおよび増幅器340が、同相モード信号を除去すると共に同相モードを差動モード除去特性に増強するために用いられる。このフィードバック増幅器は、増幅器周りのフィルタフィードバックネットワークを形成する加算ネットワークを含む。フィードバック増幅器は、高利得ネガティブフィードバック同相モードキャンセル出力341を生成し、これが、同相モードフィードバックセンサ342に適用されると共に、チャネル5信号343としてAD変換器モジュール380に伝達される。
【0045】
この実施形態においては、信号基準/電源接地単位利得バッファ345が、電源接地センサ347を駆動する電源接地出力346を生成する。これは、フィードバックと、電源接地と、センサの全ての接触インピーダンス、および、頭皮および下層組織の内部の皮下インピーダンスから構成される外部フィードバックネットワークを完成させる。
【0046】
予増幅およびバッファされた信号351は、AC結合されると共に差動増幅器350に適用される。この実施形態において、他の差動増幅器入力信号352は、共通基準信号353(MODE1)、平均化された信号321(MODE2)または他の予増幅およびバッファされた信号321(MODE3)のいずれかから選択される。次いで、選択された信号352がAC結合されると共に差動増幅器に適用される。差動増幅器350は、予増幅およびバッファされた信号351と選択された信号352との差分を増幅すると共に、差動信号353を生成する。この実施形態において、差動増幅器への入力は、共通基準信号、平均化された信号、ならびに、増幅およびバッファされたセンサ信号を含む信号群のいずれか1つ以上から選択される。
【0047】
選択されたモードに応じて、異なる数の信号の場合の数である。これらの可能性は、N通りの入力信号に基づいて以下の表に示されている。
【表1】
【0048】
次いで、差動信号353は、信号の後のデジタル化において生じるエイリアシングアーティファクトを低減するために、帯域フィルタステージ360によってフィルタされる。この実施形態において、フィルタステージ360は、一連の3つのステージを含んでいる。これらのステージは、帯域フィルタ361と、低域フィルタ362と、高域フィルタ363とを含む。次いで、帯域フィルタされた信号364は、AD変換器モジュール370に供給される。
【0049】
信号基準/信号接地バッファ370は、信号基準381を切り離すと共にバッファして、帯域フィルタと、差動増幅器と、前置増幅器回路とに伝達される信号接地382を生成する。
【0050】
ここで、実施形態を含むモジュールのより詳細な開示が以下に記載されている。
【0051】
図4は、前置増幅器モジュール400の概略図を示す。入力センサ信号410が、一連の単位利得バッファ420と、低域フィルタ430と、単位利得バッファ440とに適用される。
【0052】
入力センサ用のシールドは、シールド信号450によりアクティブに駆動されている。このシールド信号は、主に、単位利得バッファ420の出力により駆動される。
【0053】
バッファ420は、フィードバックネットワーク460によってバイアスされると共に、入力センサ信号410について2ギガオームのDC入力インピーダンスを示す。AC入力インピーダンスは、バッファ増幅器の開ループ利得によって増大されるフィードバックネットワークによって強化される。この実施形態において、回路は、最低でも1ペタオーム(1015オーム)を1Hzから40Hzの間で示すよう選択される。このAC入力インピーダンスは、接触媒体、頭皮、および下層組織のいずれかによって示される信号源界面よりも著しく高いことが好ましい。
【0054】
主に、抵抗性の結合が頭皮と入力センサとの間に存在する。皮膚との直接的な接触のために、この結合は比較的低い信号源インピーダンスを有する。センサが髪によって皮膚から離されている場合、発汗が電解電導路を形成してもよく、比較的低い信号源インピーダンスが存在してもよい。この入力インピーダンスは、典型的には、センサと頭皮との間に空隙(air gap)が存在している場合に増加する。
【0055】
単位利得前置増幅器420には、頭皮信号の改善された検出を可能とする比較的高い好適に整合する入力インピーダンスが設けられている。技術は、精密チャネル利得整合および信号増幅の提供を介してこの高入力インピーダンスを示すために開発されてきた。
【0056】
好ましくは、前置増幅器420は、広帯域高インピーダンス入力および10ペタオーム(1016オーム)超を0.01Hzから400Hzで示す、アクティブバイアスネットワークを有する。10テラオーム(1019オーム)の入力インピーダンスを有する、高利得、低ノイズ、レール・ツー・レールFET入力演算増幅器が、シールドフィードバックおよびバイアスネットワークと併せて用いられて、所望の入力インピーダンスを示す。これは、皮膚、髪、および湿度条件を含む要因の組み合わせによって形成される、多様な信号源特性に起因する信号源インピーダンスの可変性によって生じる影響を低減させるために用いられる。これはまた、その後の信号処理に先立って、チャネル間の高精度前置増幅器利得整合を確実にする。
【0057】
この実施形態において、高インピーダンス前置増幅器用のフィードバックおよびバイアスネットワークは、2つの高オームDCバイアス抵抗器の中心に単位利得正ACフィードバックを用いる。数学的分析が、安定した判断基準を提供して振動を防止するために実施される。このネットワークは、好ましくはチャネル間の高精度利得整合が保存されるよう、システム帯域にわたる高入力インピーダンスを維持する。また、単位利得ポジティブフィードバックは、前置増幅器入力およびセンサのアクティブシールドを駆動するために用いられる。
【0058】
ネットワーク接続625(図6に示されている)と併せてRF除去回路430は、好ましくは、RFフィルタを完成させると共に、チャネル間の高精度利得整合を維持し、ならびに、一般的なRF除去技術に固有の位相変化および遅延を補正しながら、RF干渉の差動および同相モード除去の両方を行う。
【0059】
図示のとおり、このRF除去ネットワークは、従来の差動設計において典型的に用いられていた「Π(pi)」型ではなく、「Δ(delta)」型を用いる。この構造は、マルチチャネルシステムにわたるRF除去を、チャネル間の高精度利得整合に影響することなく促進する。
【0060】
この実施形態において、RF除去フィルタの出力は、最終出力信号を増幅器モジュールに提供する前に、低ノイズ単位利得バッファ440によってバッファされる。この配置のこの位相特性は、平均化増幅器によって導入される位相変化および信号遅延に一致していることが好ましい。このRF除去ネットワークのための配置は、差動RF除去ネットワークを増幅器ステージの高インピーダンス−バイアスネットワークから分離して、チャネル間の高精度利得整合を実質的に保存する。
【0061】
図5は、増幅器モジュール500の概略図例を示す。この増幅器モジュールは、図4に示す回路によって生成された入力信号510、および選択された信号520を、直列に接続された差動増幅器530、帯域フィルタ540、低域フィルタ550および高域フィルタ560に適用する。
【0062】
差動増幅器530は、高精度、高利得、低ノイズ機器差動増幅器集積回路を備えていることが好ましい。この増幅器は、同相モード信号を排除しながら、差動信号を選択的に増強するために用いられる。高インピーダンスバイアスおよびAC結合ネットワーク535は、周波数応答およびチャネル間の高精度利得整合が維持されるよう選択される。
【0063】
この実施形態において、機器増幅器利得は、センサ入力を参照したときに、±1mV動的範囲をもたらすよう設定される。増幅利得は、増幅された出力信号がデジタル化ステージの動的電圧範囲内に維持されるように設定されるよう意図されている。従って、中間アンチエイリアシングフィルタの利得が、この計算中に含まれていなければならない。
【0064】
アンチエイリアシングフィルタリングは、ステージ1帯域フィルタ540と、ステージ2低域フィルタ550と、ステージ3高域フィルタ560とから構成される3ステージ帯域フィルタにより実施されることが好ましい。帯域フィルタの低域フィルタリング特性は、信号の離散時間サンプリングによって生じるエイリアシング効果を低減する。ナイキスト周波数以上でのフィルタ減衰は、信号レベルを以下のデジタル化システムの量子化レベル未満に低減させることが好ましい。従って、エイリアシングフィルタおよびデジタル化システムの特性を、一旦設計制約条件が確立したら一緒に考慮しなければならない。
【0065】
帯域フィルタ540の高域フィルタリング特性は、センサの動きに起因する低周波過渡状態の影響を低減させる。さもなければ、センサの動きによってフィルタおよび続くデジタル化ステージの動的範囲より大きい信号が生成するであろう。
【0066】
この実施形態においては、1Hzから40Hzの通過域を有する六次対称帯域フィルタリング増幅器が用いられる。このフィルタは、低電力AD変換器を用いて容易に得ることが可能であるナイキスト周波数での量子化レベルの半分よりも良好な減衰をもたらすと共に、好適な低周波過渡除去をもたらすよう選択される。
【0067】
信号基準単位利得バッファ570は、実質的なチャネル分離およびフィルタに対する信号接地に係るファンアウト、関連するチャネルの差動増幅器および前置増幅器工程を提供する。
【0068】
図6は、インタフェースモジュール600の概略図例を示す。この概略図は、出力信号620および基準前置増幅器モジュール615に対する各々のセンサモジュール610に係る、各々の増幅器モジュールからのチャネル基準チャネル計測(MODE1)に係る信号の好ましいインタフェーシングを示す。これらの出力信号620は、AD変換器に対する入力を形成する。基準信号は、基準前置増幅器モジュール615から各々のセンサモジュール610に供給される。
【0069】
他の実施形態においては、代替的な構成が、シグナル−シグナル平均計測(MODE2)またはシグナル−シグナル計測(MODE3)を実行するために用いられる。平均加算器および信号RFフィルタバッファ330は図6には示されていない。
【0070】
RFネットワーク接続625は、センサモジュール610および基準前置増幅器モジュール615にわたって、差動RF除去フィルタを完成させる。
【0071】
同相モードフィードバックフィルタおよび増幅器640が、このインタフェースモジュールに組み込まれている。この同相モードフィードバックフィルタおよび増幅器640は、同相モードフィードバックセンサ241に接続される同相モードキャンセル出力645を備える。
【0072】
信号基準単位利得バッファ650が、このインタフェースモジュールに組み込まれている。この信号基準単位利得バッファ650は、電源接地センサ242に接続される電源接地出力655に分離および電力駆動を提供する。これにより、同相モードキャンセルネットワークが完成する。
【0073】
この概略図は、同相モードフィードバックモジュール640に対するハードワイヤードまたはスイッチ選択可能な入力接続のいずれかに係る代替的な構造選択肢をさらに示す。この実施形態において、ハードワイヤード選択肢には抵抗器「Rn」のみが取り付けられており、一方で、スイッチ選択可能な選択肢には抵抗器「Rns」および直列スイッチが取り付けられている。スイッチ選択可能な選択肢は、電子スイッチ635を係合または切断させることにより、同相モードフィードバックフィルタおよび増幅器640に接続されるか、または、これらから分離される選択的な入力を可能とする。
【0074】
図7は、電源およびAD変換器モジュール700に係る概略図例を示す。このモジュールは、共通接地点「AGND」705と、AD変換器回路710と、バッテリー電源フィルタ回路720と、電源および信号基準回路730とを備える。
【0075】
共通接地点「AGND」705は、AD変換器のアナログ部分に関連する接地面によって形成されていることが好ましい。個別の接地接続が、バッテリー陰極、アナログ供給ゼロボルト、信号基準ゼロボルトおよびデジタルモジュールにおけるデジタル接地について、独立して行われることが好ましい。
【0076】
AD変換器(ADC)回路710は、既述のインタフェースモジュールによって提供される入力信号711をタイムサンプリングすると共に量子化する。ADCは、後続の処理装置モジュールについても整合する形式で示される、その「n」ビットデジタル出力712によって分類される。
【0077】
この実施形態において、ADCは、センサ入力に参照される場合、少なくとも0.5μVの最下位ビット(LSB)分解能および±1mVのフルスケール範囲を有する。この動的範囲をもたらすために、最低でも12ビットADCが用いられる。出力は、シリアル周辺インタフェース(SPI)フォーマットで示される。
【0078】
従って、アンチエイリアシングフィルタをデジタル化して12ビットADCを整合させる場合、少なくとも72dBの減衰が阻止帯域周波数で要求される。40Hzの遮断周波数を有する三次低域バターワースフィルタが、72dBの減衰を640Hzで有する。遮断周波数40Hzでのエイリアシングが無い場合、680サンプル/秒のサンプリングレートが必要とされる。阻止帯周波数640Hzでのエイリアシングが無い場合、1280サンプル/秒のサンプリングレートが必要とされる。
【0079】
一旦信号がデジタル化されたら、さらなる処理が処理装置モジュールによって実施される。
【0080】
図8および図9は、実施形態の処理および有線通信モジュールの一例を示している。処理装置モジュール800は、処理装置810を備えている。この処理装置は、AD変換器を制御すると共に、AD変換器からSPIインタフェース820を介して信号を受信する。この実施形態において、次いで、信号は、処理装置により処理されると共に分析されてもよい。未加工の信号はまた、保存およびさらなる処理のために外部処理装置に転送されてもよい。典型的な内部および外部処理としては、サンプルデシメーション、高速フーリエ変換およびアプリケーションプログラムが挙げられる。ファームウェア機能はコマンド構成されることが可能である。
【0081】
この実施形態において、処理装置は、ブルートゥースインタフェースポート830またはRS232インタフェースポート840を介した未加工および結果データの転送を含む他のデバイスとの通信が可能である。また、RS232インタフェースポート840も、ソフトウェアローディングおよびアップデートのためのインサービスプログラミング(ISP)をサポートする。
【0082】
図9は、RS232インタフェースモジュール900についての概略図例を示す。RS232インタフェースモジュール900は、RS232レベル変換に対するロジックを促進すると共に、リセットおよびソフトウェアロード起動を提供する。
【0083】
チャネル相互接続回路は、計測モードに関する多数の特質を促進し、ならびに、チャネル間RF除去および基準信号選択を可能とする。頭皮電圧電位は、3つのモードで計測されることが可能である:
(MODE1)チャネル−基準チャネルモード。
(MODE2)チャネル−チャネル平均モード。
(MODE3)チャネル−チャネル差動モード。
【0084】
この実施形態において、図6に例示されているインタフェースモジュールは、チャネル−基準チャネル(モード1)のみに対してハードワイヤードである。他の実施形態において、インタフェースモジュールは、他のモードに対して、図3に示されているとおり個別にハードワイヤードであるか、または、選択可能に設計されることが可能である。
【0085】
信号の計測にどのモードが用いられるかにかかわらず、他の実施形態においては、デジタル信号処理を用いて他の計測モード信号を再構成することが可能である。
【0086】
図10は、主に、システムのアナログ設計に対応する信号電源および接地構成1000の例を示す。電源および接地構成は、アナログ−デジタルモジュール1010と、アナログ電源と基準モジュール1020との周辺を中心としている。アナログ電源と基準モジュール1020は、独立した入力および出力減結合を備えるアナログ電源装置1021、および、信号とアナログ−デジタル基準1022とから構成される。
【0087】
このアナログ−デジタルモジュール1010には、AD変換器1011、および、これに関連する図7において共通接地点705として見られる共通接地点1012が収容されている。アナログ電源1013は、独立して作動すると共にそれ自身のアナログゼロボルトで減結合されている。信号基準1014は、独立して作動すると共にそれ自身の信号ゼロボルトで減結合されている。このモジュールは、アナログ信号「FSig」および「CMSig」1015をインタフェースモジュール1050から受信し、デジタルモジュール1040における処理装置にデジタルバス1016を介して接続する。
【0088】
バッテリーモジュール1030は、蓄電池1031および充電システム1032から構成されている。バッテリー陽極および陰極は、アナログ電源および基準モジュール1020に接続されていると共に、デジタルモジュール1040に伸びている。この実施形態において、デジタル電源装置1041は、独立した入力および出力減結合を備えた個別の3.3vおよび1.8vの電源装置から構成される。デジタル電源1042は、AD変換器1011およびデジタル回路1043とは独立して作動すると共に、それ自身のデジタルゼロボルトで減結合されている。
【0089】
インタフェースモジュール1050は、それぞれ自身のゼロボルトを備えて独立して減結合されているアナログ電源1013と、信号およびアナログ−デジタル基準1014とを前置増幅器およびアナログモジュール1060に分配する。また、このモジュールは、基準信号「RSig」1051、センサ信号「ESig」およびRF除去接続「RFS」1052を前置増幅器およびアナログモジュール1060から受信し、フィルタされ、そして、増幅されたセンサ信号「FSig」1053をアナログ−デジタルモジュール1010におけるAD変換器1011のチャネル1から4に通過させる。基準信号は、異なる増幅器基準信号「DSig」1054として、前置増幅器およびアナログモジュール1060における差動増幅器1061に伝達し、戻される。同相モードフィードバック信号1055は、アナログ−デジタルモジュール1010におけるAD変換器1011のチャネル5に伝達されて、同相モードードバックを同相モードフィードバックおよび電源接地センサ1056を介して提供する。
【0090】
この実施形態において、前置増幅器およびアナログモジュール1060は、4つのアナログモジュール1062と対を成す4つのセンサ前置増幅器モジュール1061と、独立型の基準前置増幅器モジュール1061とを備える。センサ前置増幅器モジュール1061は、対のアナログモジュール1062における差動増幅器に対するセンサ信号「SSig」および信号接地「SGnd」接続1063を有する。対のアナログモジュール1062における帯域フィルタは、フィルタされた信号「FSig」1064をインタフェースモジュール1050に伝達する。基準前置増幅器モジュール1061は、インタフェースモジュール1050からの信号基準「SRef」1065を受信すると共に、基準信号「RSig」1066をインタフェースモジュール1050に伝達する。基準およびセンサ前置増幅器モジュール1061は、センサ信号「ESig」およびRF除去接続「RFS」1067をインタフェースモジュール1050に伝達する。
【0091】
各々のアナログステージにおいては、装置が、比較的低ノイズ設計、高同相モード排除および高周波排除を維持するよう、注意深い選択を守らなければならない。
【0092】
この実施形態において、低ノイズ成分が、前置増幅器およびバッファ演算増幅器、差動増幅器およびAD変換器について選択される。また、ストラテジック信号(Strategic signal)、電源、接地および減結合スキームも利用される。この実施形態は、個別の信号および電源接地と電源減結合法を共に用いる、低ノイズ電源と電圧基準回路をさらに含む。高インピーダンス構成要素からのノイズはまた、これらの構成要素によって導入されたノイズを効果的に減衰させるための技術を用いて対応される。
【0093】
この実施形態において、アクティブ同相モードキャンセルフィードバックアプローチが、同相モード排除を改善させるために用いられる。50Hzから60Hzプリエンファシスでの高利得ネガティブフィードバックが、帯域フィルタリング増幅器によって提供される。これは、単一の低利得能動駆動接続の通常の方法とは対照的に、信号源に対する2点接続を用いて実現される。
【0094】
この実施形態において、フィードバック、電源接地およびセンサは、典型的には、最適な同相モードキャンセルが提供されるよう幾何学的対称に構成されている。
【0095】
頭皮電位計測のための種々の装置のこれらの実施形態は以下を含む。
(a)各チャネル信号を差動的に誘導する前のチャネル利得整合。
(b)高入力インピーダンスおよび利得整合を維持しながらの入力バイアス。
(c)利得整合を維持すると共に位相変化および信号遅延を補正しながらの多重チャネルシステムにおける高周波除去。
(d)特に同相モード信号排除およびキャンセル、ならびに、電源および高周波干渉排除。
(e)デジタル化分解能、動的範囲およびアンチエイリアシング。
(f)低ノイズおよびノイズ減衰技術。
(g)本質的に重要な構成要素を保存する方法に組み込まれた計測モード構成。
【0096】
図11を参照すると、既述の実施形態のいずれか1つによる頭皮電位1100を計測する好ましい方法は、以下を含む。
(a)センサ1110で未加工の頭皮電位計測値を受信する工程。
(b)増幅のための予増幅された頭皮電位計測値を生成するために、未加工の頭皮電位計測値を整合化した高入力インピーダンス増幅器1120で予増幅する工程。
(c)予増幅された頭皮電位計測値における同相モードノイズ1130の実質的な成分をキャンセルして、同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値を生成する工程。
(d)同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値のRFノイズ1140を除去して、RFが除去された頭皮電位計測値を生成する工程。
(e)RFが除去された頭皮電位計測値の1150を増幅して、デジタル化のための増幅された頭皮電位計測値を生成する工程。
(f)増幅された頭皮電位計測値1160の帯域過渡およびアンチエイリアシングフィルタリングを適用して、デジタル化のための帯域限定された頭皮電位計測値を生成する工程。
(g)帯域限定された頭皮電位計測値1170をデジタル化して、デジタル化された頭皮電位値のシーケンスを生成する工程。
(h)デジタル化された頭皮電位値1180のシーケンスを処理して、頭皮電位波形シグナルを生成する工程。
(i)計測波形1190を生成/保存する工程。
【0097】
この方法は、典型的には、いかなる頭皮の下処理、または、頭皮とセンサとの間への導電性ゲルの塗布もしなくても、髪を介したセンサでの未加工の頭皮電位計測値の受信1110を可能とする。これらの未加工の頭皮電位計測値は、実質的に高入力インピーダンス、ならびに、整合された利得、位相および遅延で増幅器によって予増幅1120されて、予増幅された頭皮電位計測値が生成される。
【0098】
好ましくは、予増幅された頭皮電位計測値の同相モード信号ノイズの実質的な成分をキャンセル1130することで、整合された利得、位相および遅延を保存しながら、同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値が生成される。
【0099】
同相モードがキャンセルされた電位計測値のRFノイズを除去1140することで、整合された利得、位相および遅延を保存しながら、RFが除去された頭皮電位計測値を生成する。
【0100】
RFが除去された頭皮電位計測値を増幅1150して、デジタル化のための増幅された頭皮電位計測値が生成される。
【0101】
増幅された頭皮電位計測値の帯域アンチエイリアシングフィルタリングを適用1160して、デジタル化のための帯域限定された頭皮電位計測値が生成される。
【0102】
帯域限定された頭皮電位計測値をデジタル化1170して、デジタル化された頭皮電位値のシーケンスが生成される。
【0103】
デジタル化された頭皮電位値のシーケンスを処理1180して、頭皮電位波形シグナルが生成される。
【0104】
計測波形が生成/保存1190される。
【0105】
これらの計測値は、関連する電源の寿命または関連するデータ記録装置の保存容量に考慮されていることが可能である。センサおよび関連する電子機器は、野球帽などの従来のヘッドアクセサリーに隠されていても、または、安全帽に組み込まれていてもよい。
【0106】
例示の実施形態によって生成された頭皮電位計測値の適合度は、基準心理状態を好適に分類するために十分である。これらの頭皮電位計測値は、一定の心理状態の分析に関して、典型的には頭皮とセンサとの間に安定した導電性界面を必要とする従来のEEG計測に匹敵すると考えてもよい。
【0107】
人物からの頭皮電位計測値の分析は、人物の疲労または眠気をリアルタイムで判定するための手段を提供する。特別な頭皮の下処理無しで装着することが可能であるこのリアルタイム監視システムを提供することにより、このシステムは、自動車または工場施設などの器具を操作している間の人物の疲労を監視することが可能である。
【0108】
この方法および装置は、可搬性で非侵襲性のリアルタイム頭皮電位計測値のために設計された。これは、可搬環境または定置環境において用いられ得ることが明らかである。リアルタイム処理のために、頭皮電位計測値データのさらなる処理のためにデータ処理ソフトウェアが含まれていることが可能である。データおよび信号は、有線または無線データ通信システムにより未加工または加工済の状態で通信されることが可能である。これらのデバイスに電源供給するための電気エネルギーは、バッテリーまたは誘導ループ装置を用いる無線により従来の手段で提供される。開示の方法および装置は、頭皮の下処理工程の必要性を排除すると共に診察時間を短縮するために、臨床現場において用いられ得ることが、当業者によってさらに理解される。
【0109】
これらの実施形態は、頭皮の下処理をほとんど又は全く行うことなく、髪を介して頭皮電位を計測することができることが理解される。
【0110】
特定の例を参照して本発明を記載してきたが、本発明は、多くの他の形態で実施され得ることが当業者に理解される。
【0111】
解釈
本明細書の内容において、「無線(wireless)」という用語およびその派生語は、非固体媒体を介して、被変調電磁波を用いてデータを通信し得る、回路、デバイス、システム、方法、技術、通信チャネル等を記載するために用いられ得る。この用語は、いくつかの実施形態において含んでいないかもしれないが、関連するデバイスが如何なるワイヤをも含まないことを意味するわけではない。
【0112】
特定的にそうでないと明記されていない限りにおいて、以下の考察から明らかであるとおり、本願明細書をとおして、「処理する(processing)」、「計算する(computing)」、「算出する(calculating)」、「判定する(determining)」等などの用語を用いる考察は、電子的などの物理的量として表現されたデータを、同様に物理的量として表現された他のデータに操作および/または変換するコンピュータあるいは計算システム、または、同様の電子計算装置の動作および/または処理を指すことが理解される。
【0113】
同様に、「処理装置(processor)」という用語は、例えばレジスタおよび/またはメモリからの電子データを処理して、その電子データを、例えばレジスタおよび/またはメモリに保存され得る他の電子データに変換するいずれかのデバイスまたはデバイスの一部分を指してもよい。「コンピュータ(computer)」または「計算機(computing machine)」または「計算プラットホーム(computing platform)」は、1以上の処理装置を有してもよい。
【0114】
さらに、実施形態のいくつかは、コンピュータシステムの処理装置または機能を実行する他の手段によって実施されることが可能である方法または方法の構成要素の組み合わせとして、本明細書において記載されている。従って、このような方法または方法の構成要素を実行するために必要な説明書を備える処理装置が、方法または方法の構成要素を実行するための手段を構成する。さらに、装置実施形態の本明細書に記載の構成要素は、本発明を実施する目的のための構成要素によって行われる機能を実行するための手段の一例である。
【0115】
本明細書における記載においては、数多くの具体的な詳細が開示されている。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なしでも実施され得ることが理解される。他の事例において、周知の方法、構造および技術は、この記載の理解を曖昧にしないように、詳細には示されていない。
【0116】
本願明細書にわたる「この実施形態(this embodiment)」、「一実施形態(one embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」への言及は、実施形態に関して記載した特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に包含されていることを意味する。したがって、「一実施形態(one embodiment)において」または「実施形態(an embodiment)において」といった句の、この明細書全体にわたる各所における出現は、必ずしもすべてが同一の実施形態を指しているわけではないが、指している場合もあり得る。しかも、特定の特徴、構造または特性は、1つ以上の実施形態において、この開示から技術分野における当業者には明らかであるとおり、いずれかの好適な様式で組み合わされてもよい。
【0117】
他に規定されていない限りにおいて、本明細書において用いられる、共通の対象を記載するための「第1の」、「第2の」、「第3の」等といった順序を表す形容詞の使用は単に同様の対象の異なる例が指されていることを示し、記載されているその対象が、時間的に、空間的に、順位的に、または、いずれかの他の様式で示された順序でなければならないことが示唆されることは意図しない。
【0118】
文脈が明確に他を要求している場合を除き、明細書、特許請求の範囲全体を通して、「を含む(comprise)」、「を含んでいる(comprising)」等という語は、排他的または網羅的な意味に対して包括的な意味で解釈されるべきであり;換言すると、「特にこれらに限定されないが、〜を含む」の意味で解釈されるべきである。
【0119】
同様に、用語「結合(coupled)」は、特許請求の範囲において用いられている場合、直接的な接続のみに限定されていると解釈されるべきではないことに注意すべきである。「結合された(coupled)」および「接続された(connected)」という用語が、それらの派生語と共に用いられてもよい。これらの用語は、相互に同義語としては意図されていないと理解されるべきである。したがって、デバイスBに結合されたデバイスAという表現の範囲は、デバイスAの出力がデバイスBの入力に直接的に接続されているデバイスまたはシステムに限定されるべきではない。これは、Aの出力とBの入力との間に経路が存在し、これが他のデバイスまたは手段を含む経路であり得ることを意味する。「結合された(coupled)」は、2以上の構成要素が直接的な物理的あるいは電気的接触の一方にあるか、または、2以上の構成要素が相互に直接的に接触していないが、それでもなお、相互に共働するかあるいは相互作用することを意味し得る。
【0120】
したがって、何が本発明の好ましい実施形態と考えられるかについて記載してきたが、当業者は、本発明の趣旨から逸脱することなく他のおよびさらなる変更をこれに成し得ることを認識しているであろうと共に、すべてのこのような変形および変更が本発明の範囲内に属していることの主張が意図されている。例えば、上記に示されているいずれかの方式は、用いられ得る手法の単なる代表である。機能性が、ブロック図において追加または削除されてもよく、操作は、機能性ブロックの間で交換されてもよい。工程が、本発明の範囲内において、記載の方法において追加または削除されてもよい。
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、医療機器に関し、特に、脳波(EEG)を生成するための医療機器に関する。しかしながら、本発明は、この特定の使用分野に限定されるものではないと理解される。
【0002】
本発明の実施形態は、主に、頭皮電位を計測するための方法および装置として開発された。この実施形態は、本願明細書中に後述することとする。
【背景技術】
【0003】
この明細書を通した従来技術の如何なる考察も、このような従来技術が周知であること、または、この技術分野における共通の一般的知識の一部を構成することの自認として決して解釈してはならない。
【0004】
EEG波形は、脳波データに明示される癲癇および他の状態の診断のために臨床現場において日常的に記録されている。これらのEEG波形は、典型的には、ヘッドピースから伸びて顎の下で締結されるストラップにより頭部に固定されたヘッドピースに適用されたセンサアレイを用いて計測される。
【0005】
これらのセンサを適用するには、典型的には、髪を分けて、導電性表皮剥脱ゲルの塗布によりいかなる死滅した頭皮組織も除去することが必要とされる。ヘッドピースが用いられる際に頭皮に対してセンサに正圧を印加するように、センサは、典型的には、クリップまたはねじを使用してヘッドピースに結合されている。このセンサを配置する方法によれば、典型的には、再度頭皮の下処理を行わなければならなくなるまで、約1時間の連続的なEEGの計測が可能である。
【0006】
代替的な解決手段は、例えばAdvanced Brain Monitoring Inc.によって提案されているとおり、約8時間の連続使用で装着可能である無線センサヘッドセットがある。しかしながら、このデバイスが8時間もの間センサと頭皮との間に維持するために、これらのセンサは、使用中に髪の間を通して導電性クリームを排出する。現在の技術は、典型的には、この問題を克服するために、センサと頭皮との間の安定した導電接続を改善させると共に維持する方法を教示する。
【0007】
上記技術において、頭皮に対する導電性の要求が厳しくない、頭皮電位を測定の方法および装置が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
頭皮の下処理を比較的少しまたは全く伴わずに、効果的に用いられることが可能である頭皮電位を計測するための改善された方法または装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば:
髪と空気との界面を介して未加工の頭皮電位計測値を計測するために用いられ、
界面が、頭皮に対して高可変信号源インピーダンスを有する結合を与える複数のセンサと、
センサのそれぞれ1つに結合された複数の前置増幅器とを備え、
各々の前置増幅器が、センサ信号源界面により示されるインピーダンスより著しく高い入力インピーダンスを有するように構成されており、
前置増幅器が、未加工の頭皮電位計測値を受信すると共に、予増幅された頭皮電位計測値を生成するための予増幅頭皮電位計測値を生成する
頭皮電位計測用装置が提供されている。
【0010】
センサ信号源界面インピーダンスは、接触媒体、頭皮、および下層組織のいずれかにより示されることが好ましい。
【0011】
入力インピーダンスは、アクティブであると共に、フィードバックの適用によって増加されることが好ましい。
【0012】
前置増幅器は、広帯域高インピーダンス入力、および、0.01Hzから400Hzの10ペタオーム超の入力インピーダンスを示すためのアクティブバイアスネットワークを含むことが好ましい。より好ましくは、前置増幅器は、10テラオームの入力インピーダンス、ならびに、入力インピーダンスを示すためのシールドされたフィードバックおよびバイアスネットワークを有する高利得低ノイズレール・ツー・レールFET(電界効果トランジスタ)入力演算増幅器を含む。
【0013】
この装置は:
前置増幅器に結合された同相モードフィルタ増幅器であって、予増幅された頭皮電位計測値におけるノイズと同相モード信号の実質的な成分をキャンセルし、これにより、同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値を生成するように構成されている同相モードフィルタと、
同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値のRF(無線周波数)ノイズを除去して、RFが除去された頭皮電位計測値を生成するRF除去システムとをさらに含むことが好ましい。
【0014】
同相モードフィルタ増幅器およびRF除去システムは、各々の頭皮電位計測値信号経路にわたって実質的に共通の利得、位相および遅延を保存するように構成されていることが好ましい。
【0015】
この装置は:
RFが除去された頭皮電位計測値を増幅して、増幅された頭皮電位計測値を生成するための差動増幅器システムと、
増幅された頭皮電位計測値をフィルタリングして、その後のデジタル化の間のエイリアシング効果を実質的に最小とするための帯域フィルタと
をさらに含むことが好ましい。
【0016】
差動増幅器システムおよび帯域フィルタは、各々の頭皮電位計測値信号経路にわたる実質的に共通の利得、位相および遅延を保存するように構成されていることが好ましい。
【0017】
帯域フィルタは、低周波過渡(transient)高域フィルタおよび高周波アンチエイリアシング低域フィルタの形状であることが好ましい。より好ましくは、帯域フィルタは、好適な低周波過渡除去を提供するように構成されていると共に、所定のAD変換器に係るナイキスト周波数での量子化レベルの半分より大きい減衰を提供するようさらに構成されている。最も好ましくは、帯域フィルタは、1Hzから40Hzの通過域を有する六次対称帯域フィルタリング増幅器である。
【0018】
差動増幅器に対する入力は、共通基準信号、平均化された信号、ならびに、予増幅およびバッファされたセンサ信号を含む信号群のいずれか1つから選択可能であることが好ましい。
【0019】
装置は:
1以上の頭皮電位計測値をデジタル化するためのデジタイザと、
1以上の頭皮電位計測値に信号処理を実施すると共に、出力信号を生成するための第1の処理装置と
をさらに含むことが好ましい。
【0020】
出力信号は無線で第2の処理装置に送信されることが好ましい。
【0021】
この装置は、各々の頭皮電位計測値信号経路間のチャネル間RF干渉を除去するように構成されたチャネル相互接続モジュールをさらに含むことが好ましい。
【0022】
チャネル相互接続モジュールは、チャネル−基準チャネルモード、チャネル−チャネル平均モードおよびチャネル−チャネル差動モードを含む組から頭皮電位計測モードを選択するように構成されている。
【0023】
本発明の第2の態様によれば:
未加工の頭皮電位計測値をセンサで受信する工程であって、計測値が髪および空気を介して得られる工程と、
未加工の頭皮電位計測値を高入力インピーダンス増幅器で予増幅して、予増幅された頭皮電位計測値を生成する工程と
を含む頭皮電位計測のための方法が提供されている。
【0024】
この方法は:
予増幅された頭皮電位計測値におけるノイズと同相モード信号の実質的な成分をキャンセルして、同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値を生成する工程と、
同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値のRFノイズを除去して、RFが除去された頭皮電位計測値を生成する工程と
をさらに含むことが好ましい。
【0025】
方法は、RFが除去された頭皮電位計測値を増幅して、デジタル化のための増幅された頭皮電位計測値を生成する工程をさらに含むことが好ましい。
【0026】
方法は:
増幅された頭皮電位計測値の帯域過渡およびアンチエイリアシングフィルタリングを適用して、デジタル化のためのアンチエイリアスされた頭皮電位計測値を生成する工程と、
アンチエイリアスされた頭皮電位計測値をデジタル化して、デジタル化された頭皮電位値のシーケンスを生成する工程と、
デジタル化された頭皮電位値のシーケンスを処理して、頭皮電位波形信号を生成する工程と、
計測波形を生成する工程と
をさらに含むことが好ましい。
【0027】
方法は、第2の処理装置によって受信のために、出力信号を無線接続で送信する工程をさらに含むことが好ましい。
【0028】
受信される未加工の頭皮電位計測値は、髪と空気との界面を介して計測され、界面が、頭皮に結合する高可変信号源インピーダンスを示し、前置増幅器は、示される信号源界面よりも著しく高い入力インピーダンスとを有するように構成されていることが好ましい。入力インピーダンスはアクティブであると共に、フィードバックを適用する工程により増加されることが好ましい。
【0029】
本発明の第3の態様によれば:
各々の複数のチャネルを定義するために、複数のセンサから未加工の入力頭皮電位信号を受信する工程と、
チャネル−基準チャネルモード、チャネル−チャネル平均モードおよびチャネル−チャネル差動モードを含む組から計測モード構成を選択する工程と、
高入力インピーダンスを維持しながら入力信号をバイアスする工程と、
チャネル信号を差動誘導する前にチャネル利得を整合する工程と、
処理されたチャネル信号を提供することにおけるさらなる工程として、利得と位相整合を維持しながらチャネル信号の高周波干渉を除去する工程と、
処理されたチャネル信号を提供することにおけるさらなる工程として、チャネル信号の同相モード信号干渉を除去する工程と、
処理されたチャネル信号を提供することにおけるさらなる工程として、チャネル信号を帯域フィルタリングする工程と、
選択された計測モードに基づいて、計測された入力信号を示すデジタル頭皮電位計測値信号を提供するために、処理されたチャネル信号をデジタル化する工程と
を含む頭皮電位計測のための方法が提供されている。
【0030】
高入力インピーダンスは、未加工の頭皮電位計測値を増幅して、予増幅された頭皮電位計測値を生成するための、高入力インピーダンス増幅器を含む前置増幅器により提供されることが好ましい。入力インピーダンスは、センサに示されている信号源界面に関連するインピーダンスよりも著しく高いことが好ましい。信号源界面インピーダンスは、接触媒体、頭皮、および下層組織のいずれかによって示されることが好ましい。入力インピーダンスはアクティブであると共に、フィードバックの適用によって増加されることが好ましい。前置増幅器は、広帯域高インピーダンス入力、および、0.01Hzから400Hzの10ペタオーム超の入力インピーダンスを示すためのアクティブバイアスネットワークを含むことが好ましい。
【0031】
本発明のさらなる態様によれば:
複数のセンサのうちの1つが差分、基準または共通として見なされてもよく、髪と空気との界面を介して未加工の頭皮電位計測値を計測するように構成された複数のセンサであって、界面が、頭皮に対して高可変信号源インピーダンスを有する結合を与えるセンサと、
センサに結合された前置増幅器であって、信号源界面により示されるインピーダンスよりも著しく高い入力インピーダンスを有するように構成されている前置増幅器であり、未加工の頭皮電位計測値を受信すると共に、予増幅された頭皮電位計測値を生成する前置増幅器
を含む頭皮電位計測用装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
ここで、単なる一例として、好ましい実施形態を添付の図面を参照して説明する。
【図1】本発明の頭皮電位を計測するための装置のブロック図例である。
【図2】本発明の図1に記載の装置の高次概略図例である。
【図3】本発明の図2に記載のアナログ回路構成要素の高次概略図例である。
【図4】本発明の図2に記載の前置増幅器モジュールの概略図例である。
【図5】本発明の図2に記載の増幅器モジュールの概略図例である。
【図6】本発明の図2に記載のインタフェースモジュールの概略図例である。
【図7】本発明の図2に記載のアナログ−デジタルモジュールの概略図例である。
【図8】本発明の図2に記載の処理装置モジュールの概略図例である。
【図9】本発明の図2に記載のイン・サイチュ(in situ)プログラミングポートモジュールの概略図例である。
【図10】本発明の図2および図3に記載の信号、電源および接地構成の概略図例である。
【図11】本発明の頭皮電位を計測するための方法のフローチャート例である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面を参照して、電位を計測するための方法および装置の好ましい実施形態が開示されている。
【0034】
以下の実施形態は、頭皮電圧電位の計測が髪および皮膚の下処理を比較的少しまたは全く行うことなく実施されるよう、好ましくは電極の形状であるセンサからの信号を処理するための方法および装置を提供する。これは、死んで積層された上皮細胞を剥脱する、または、表皮剥脱ジェルあるいは導電性ジェルを塗布するといった従来のEEG計測における不断の要求を軽減させる。これらの実施形態のセンサが電極であることが好ましいことが理解される。センサは、パッシブデバイスであってもアクティブデバイスであってもよいことがさらに理解される。
【0035】
最初に図1を参照すると、実施形態のブロック図例100は、センサ(または電極)110と、前置増幅器120と、同相モードフィルタ増幅器125と、RF除去フィルタ130と、差動増幅器140と、過渡およびアンチエイリアシングフィルタ150と、デジタイザ160と、デジタル処理装置170と、ディスプレイまたは記憶装置180とを備えている。この実施形態において、差動増幅器140は、その一方が選択された共通または基準信号と解釈されてもよい2つのセンサ信号間の差分を増幅する。
【0036】
図2は、4つの入力センサを有する実施形態の高次回路図200を示す。各々の入力センサは、関連する前置増幅器モジュール210を有する。これらの前置増幅器モジュールは、前置増幅器およびRF除去フィルタを備える。各々の前置増幅器モジュールは、それぞれの増幅器モジュール220に結合されている。
【0037】
この実施形態において、各々の増幅器モジュール220は、差動増幅器およびアンチエイリアシングフィルタを、帯域増幅器の形状で備える。差動増幅器は、入力の平均である基準信号または他の入力信号の間の差分を選択的に増幅することが好ましい。帯域増幅器は、信号のアンチエイリアシングフィルタリングを実施するように構成されている。個別の基準前置増幅器モジュール230は、システム用のバッファされた基準信号を提供する。
【0038】
これらの増幅器モジュール220および基準前置増幅器モジュール230の出力はインタフェースモジュール240を介して結合されており、これは、電源およびAD変換器モジュール250に信号をさらに送る。また、このインタフェースモジュール240は、同相モードフィードバックセンサ241を駆動する同相モードフィードバック増幅器および電源接地センサ242を駆動する信号基準バッファを設ける。
【0039】
電源およびAD変換器モジュール250は、各々の計測された信号を時間サンプリングすると共に量子化する。この時間サンプリングされると共に量子化された信号は、処理装置モジュール260に提示される。処理装置モジュールは、サンプリングされた信号に対してさらに処理を行って、出力のための頭皮電位計測値を生成する。処理装置モジュールによって生成された結果が、ブルートゥースモジュール270を介して出力される。
【0040】
また、他のモジュールも設けられている。バッテリーモジュール280は、システムへの安定した電源の供給を行うと共にバッテリー充電システムを備えている。また、イン・サイチュプログラミングポート290が、プログラミング手段および処理装置モジュール260との通信手段としても示されている。
【0041】
図3は、アナログ信号処理300の全体回路図例を示す。この高次回路図は、単一チャネルの信号コンディショニングに注目している。この回路図によって示されているアナログ処理は、各々の入力センサ信号について繰り返し行われている。
【0042】
この実施形態において、入力センサ信号は、前置増幅器305によって処理される。先ず、センサ信号が、入力インピーダンスの増強に適合されたフィードバックで、単位利得バッファ310によってバッファされる。この実施形態において、入力インピーダンスはアクティブであり、フィードバックの適用により増加する。バッファされたセンサ信号311は、平均加算器および信号RFフィルタバッファ330、ならびに、同相モードフィードバックフィルタおよび増幅器340に伝達される。バッファされたセンサ信号311は、差動モード低域フィルタ315に通されてRFインタフェース信号を除去し、次いで、第2の単位利得バッファ320によりバッファされる。予増幅されると共にバッファされた信号321は、基準信号351としてインタフェースモジュールに伝達されると共に差動増幅器350に送られる。
【0043】
この回路図は、バッファ入力センサ信号311の全ては、好ましくは、平均加算器および信号RFフィルタバッファ330によって平均されると共にバッファされて、平均信号331が生成されることをさらに示す。この平均化増幅器は、低ノイズ単位利得増幅器によってバッファされて、全ての入力センサ信号の平均である出力平均信号331を生成する加算低域RFフィルタネットワークを含む。この平均信号331は、「チャネル−チャネル平均」計測モード(以下のMODE2)に用いられる。この回路は、差動RFフィルタ315を整合させるための選択的な位相変化および信号遅延特性を有する。
【0044】
同相モードフィードバックフィルタおよび増幅器340が、同相モード信号を除去すると共に同相モードを差動モード除去特性に増強するために用いられる。このフィードバック増幅器は、増幅器周りのフィルタフィードバックネットワークを形成する加算ネットワークを含む。フィードバック増幅器は、高利得ネガティブフィードバック同相モードキャンセル出力341を生成し、これが、同相モードフィードバックセンサ342に適用されると共に、チャネル5信号343としてAD変換器モジュール380に伝達される。
【0045】
この実施形態においては、信号基準/電源接地単位利得バッファ345が、電源接地センサ347を駆動する電源接地出力346を生成する。これは、フィードバックと、電源接地と、センサの全ての接触インピーダンス、および、頭皮および下層組織の内部の皮下インピーダンスから構成される外部フィードバックネットワークを完成させる。
【0046】
予増幅およびバッファされた信号351は、AC結合されると共に差動増幅器350に適用される。この実施形態において、他の差動増幅器入力信号352は、共通基準信号353(MODE1)、平均化された信号321(MODE2)または他の予増幅およびバッファされた信号321(MODE3)のいずれかから選択される。次いで、選択された信号352がAC結合されると共に差動増幅器に適用される。差動増幅器350は、予増幅およびバッファされた信号351と選択された信号352との差分を増幅すると共に、差動信号353を生成する。この実施形態において、差動増幅器への入力は、共通基準信号、平均化された信号、ならびに、増幅およびバッファされたセンサ信号を含む信号群のいずれか1つ以上から選択される。
【0047】
選択されたモードに応じて、異なる数の信号の場合の数である。これらの可能性は、N通りの入力信号に基づいて以下の表に示されている。
【表1】
【0048】
次いで、差動信号353は、信号の後のデジタル化において生じるエイリアシングアーティファクトを低減するために、帯域フィルタステージ360によってフィルタされる。この実施形態において、フィルタステージ360は、一連の3つのステージを含んでいる。これらのステージは、帯域フィルタ361と、低域フィルタ362と、高域フィルタ363とを含む。次いで、帯域フィルタされた信号364は、AD変換器モジュール370に供給される。
【0049】
信号基準/信号接地バッファ370は、信号基準381を切り離すと共にバッファして、帯域フィルタと、差動増幅器と、前置増幅器回路とに伝達される信号接地382を生成する。
【0050】
ここで、実施形態を含むモジュールのより詳細な開示が以下に記載されている。
【0051】
図4は、前置増幅器モジュール400の概略図を示す。入力センサ信号410が、一連の単位利得バッファ420と、低域フィルタ430と、単位利得バッファ440とに適用される。
【0052】
入力センサ用のシールドは、シールド信号450によりアクティブに駆動されている。このシールド信号は、主に、単位利得バッファ420の出力により駆動される。
【0053】
バッファ420は、フィードバックネットワーク460によってバイアスされると共に、入力センサ信号410について2ギガオームのDC入力インピーダンスを示す。AC入力インピーダンスは、バッファ増幅器の開ループ利得によって増大されるフィードバックネットワークによって強化される。この実施形態において、回路は、最低でも1ペタオーム(1015オーム)を1Hzから40Hzの間で示すよう選択される。このAC入力インピーダンスは、接触媒体、頭皮、および下層組織のいずれかによって示される信号源界面よりも著しく高いことが好ましい。
【0054】
主に、抵抗性の結合が頭皮と入力センサとの間に存在する。皮膚との直接的な接触のために、この結合は比較的低い信号源インピーダンスを有する。センサが髪によって皮膚から離されている場合、発汗が電解電導路を形成してもよく、比較的低い信号源インピーダンスが存在してもよい。この入力インピーダンスは、典型的には、センサと頭皮との間に空隙(air gap)が存在している場合に増加する。
【0055】
単位利得前置増幅器420には、頭皮信号の改善された検出を可能とする比較的高い好適に整合する入力インピーダンスが設けられている。技術は、精密チャネル利得整合および信号増幅の提供を介してこの高入力インピーダンスを示すために開発されてきた。
【0056】
好ましくは、前置増幅器420は、広帯域高インピーダンス入力および10ペタオーム(1016オーム)超を0.01Hzから400Hzで示す、アクティブバイアスネットワークを有する。10テラオーム(1019オーム)の入力インピーダンスを有する、高利得、低ノイズ、レール・ツー・レールFET入力演算増幅器が、シールドフィードバックおよびバイアスネットワークと併せて用いられて、所望の入力インピーダンスを示す。これは、皮膚、髪、および湿度条件を含む要因の組み合わせによって形成される、多様な信号源特性に起因する信号源インピーダンスの可変性によって生じる影響を低減させるために用いられる。これはまた、その後の信号処理に先立って、チャネル間の高精度前置増幅器利得整合を確実にする。
【0057】
この実施形態において、高インピーダンス前置増幅器用のフィードバックおよびバイアスネットワークは、2つの高オームDCバイアス抵抗器の中心に単位利得正ACフィードバックを用いる。数学的分析が、安定した判断基準を提供して振動を防止するために実施される。このネットワークは、好ましくはチャネル間の高精度利得整合が保存されるよう、システム帯域にわたる高入力インピーダンスを維持する。また、単位利得ポジティブフィードバックは、前置増幅器入力およびセンサのアクティブシールドを駆動するために用いられる。
【0058】
ネットワーク接続625(図6に示されている)と併せてRF除去回路430は、好ましくは、RFフィルタを完成させると共に、チャネル間の高精度利得整合を維持し、ならびに、一般的なRF除去技術に固有の位相変化および遅延を補正しながら、RF干渉の差動および同相モード除去の両方を行う。
【0059】
図示のとおり、このRF除去ネットワークは、従来の差動設計において典型的に用いられていた「Π(pi)」型ではなく、「Δ(delta)」型を用いる。この構造は、マルチチャネルシステムにわたるRF除去を、チャネル間の高精度利得整合に影響することなく促進する。
【0060】
この実施形態において、RF除去フィルタの出力は、最終出力信号を増幅器モジュールに提供する前に、低ノイズ単位利得バッファ440によってバッファされる。この配置のこの位相特性は、平均化増幅器によって導入される位相変化および信号遅延に一致していることが好ましい。このRF除去ネットワークのための配置は、差動RF除去ネットワークを増幅器ステージの高インピーダンス−バイアスネットワークから分離して、チャネル間の高精度利得整合を実質的に保存する。
【0061】
図5は、増幅器モジュール500の概略図例を示す。この増幅器モジュールは、図4に示す回路によって生成された入力信号510、および選択された信号520を、直列に接続された差動増幅器530、帯域フィルタ540、低域フィルタ550および高域フィルタ560に適用する。
【0062】
差動増幅器530は、高精度、高利得、低ノイズ機器差動増幅器集積回路を備えていることが好ましい。この増幅器は、同相モード信号を排除しながら、差動信号を選択的に増強するために用いられる。高インピーダンスバイアスおよびAC結合ネットワーク535は、周波数応答およびチャネル間の高精度利得整合が維持されるよう選択される。
【0063】
この実施形態において、機器増幅器利得は、センサ入力を参照したときに、±1mV動的範囲をもたらすよう設定される。増幅利得は、増幅された出力信号がデジタル化ステージの動的電圧範囲内に維持されるように設定されるよう意図されている。従って、中間アンチエイリアシングフィルタの利得が、この計算中に含まれていなければならない。
【0064】
アンチエイリアシングフィルタリングは、ステージ1帯域フィルタ540と、ステージ2低域フィルタ550と、ステージ3高域フィルタ560とから構成される3ステージ帯域フィルタにより実施されることが好ましい。帯域フィルタの低域フィルタリング特性は、信号の離散時間サンプリングによって生じるエイリアシング効果を低減する。ナイキスト周波数以上でのフィルタ減衰は、信号レベルを以下のデジタル化システムの量子化レベル未満に低減させることが好ましい。従って、エイリアシングフィルタおよびデジタル化システムの特性を、一旦設計制約条件が確立したら一緒に考慮しなければならない。
【0065】
帯域フィルタ540の高域フィルタリング特性は、センサの動きに起因する低周波過渡状態の影響を低減させる。さもなければ、センサの動きによってフィルタおよび続くデジタル化ステージの動的範囲より大きい信号が生成するであろう。
【0066】
この実施形態においては、1Hzから40Hzの通過域を有する六次対称帯域フィルタリング増幅器が用いられる。このフィルタは、低電力AD変換器を用いて容易に得ることが可能であるナイキスト周波数での量子化レベルの半分よりも良好な減衰をもたらすと共に、好適な低周波過渡除去をもたらすよう選択される。
【0067】
信号基準単位利得バッファ570は、実質的なチャネル分離およびフィルタに対する信号接地に係るファンアウト、関連するチャネルの差動増幅器および前置増幅器工程を提供する。
【0068】
図6は、インタフェースモジュール600の概略図例を示す。この概略図は、出力信号620および基準前置増幅器モジュール615に対する各々のセンサモジュール610に係る、各々の増幅器モジュールからのチャネル基準チャネル計測(MODE1)に係る信号の好ましいインタフェーシングを示す。これらの出力信号620は、AD変換器に対する入力を形成する。基準信号は、基準前置増幅器モジュール615から各々のセンサモジュール610に供給される。
【0069】
他の実施形態においては、代替的な構成が、シグナル−シグナル平均計測(MODE2)またはシグナル−シグナル計測(MODE3)を実行するために用いられる。平均加算器および信号RFフィルタバッファ330は図6には示されていない。
【0070】
RFネットワーク接続625は、センサモジュール610および基準前置増幅器モジュール615にわたって、差動RF除去フィルタを完成させる。
【0071】
同相モードフィードバックフィルタおよび増幅器640が、このインタフェースモジュールに組み込まれている。この同相モードフィードバックフィルタおよび増幅器640は、同相モードフィードバックセンサ241に接続される同相モードキャンセル出力645を備える。
【0072】
信号基準単位利得バッファ650が、このインタフェースモジュールに組み込まれている。この信号基準単位利得バッファ650は、電源接地センサ242に接続される電源接地出力655に分離および電力駆動を提供する。これにより、同相モードキャンセルネットワークが完成する。
【0073】
この概略図は、同相モードフィードバックモジュール640に対するハードワイヤードまたはスイッチ選択可能な入力接続のいずれかに係る代替的な構造選択肢をさらに示す。この実施形態において、ハードワイヤード選択肢には抵抗器「Rn」のみが取り付けられており、一方で、スイッチ選択可能な選択肢には抵抗器「Rns」および直列スイッチが取り付けられている。スイッチ選択可能な選択肢は、電子スイッチ635を係合または切断させることにより、同相モードフィードバックフィルタおよび増幅器640に接続されるか、または、これらから分離される選択的な入力を可能とする。
【0074】
図7は、電源およびAD変換器モジュール700に係る概略図例を示す。このモジュールは、共通接地点「AGND」705と、AD変換器回路710と、バッテリー電源フィルタ回路720と、電源および信号基準回路730とを備える。
【0075】
共通接地点「AGND」705は、AD変換器のアナログ部分に関連する接地面によって形成されていることが好ましい。個別の接地接続が、バッテリー陰極、アナログ供給ゼロボルト、信号基準ゼロボルトおよびデジタルモジュールにおけるデジタル接地について、独立して行われることが好ましい。
【0076】
AD変換器(ADC)回路710は、既述のインタフェースモジュールによって提供される入力信号711をタイムサンプリングすると共に量子化する。ADCは、後続の処理装置モジュールについても整合する形式で示される、その「n」ビットデジタル出力712によって分類される。
【0077】
この実施形態において、ADCは、センサ入力に参照される場合、少なくとも0.5μVの最下位ビット(LSB)分解能および±1mVのフルスケール範囲を有する。この動的範囲をもたらすために、最低でも12ビットADCが用いられる。出力は、シリアル周辺インタフェース(SPI)フォーマットで示される。
【0078】
従って、アンチエイリアシングフィルタをデジタル化して12ビットADCを整合させる場合、少なくとも72dBの減衰が阻止帯域周波数で要求される。40Hzの遮断周波数を有する三次低域バターワースフィルタが、72dBの減衰を640Hzで有する。遮断周波数40Hzでのエイリアシングが無い場合、680サンプル/秒のサンプリングレートが必要とされる。阻止帯周波数640Hzでのエイリアシングが無い場合、1280サンプル/秒のサンプリングレートが必要とされる。
【0079】
一旦信号がデジタル化されたら、さらなる処理が処理装置モジュールによって実施される。
【0080】
図8および図9は、実施形態の処理および有線通信モジュールの一例を示している。処理装置モジュール800は、処理装置810を備えている。この処理装置は、AD変換器を制御すると共に、AD変換器からSPIインタフェース820を介して信号を受信する。この実施形態において、次いで、信号は、処理装置により処理されると共に分析されてもよい。未加工の信号はまた、保存およびさらなる処理のために外部処理装置に転送されてもよい。典型的な内部および外部処理としては、サンプルデシメーション、高速フーリエ変換およびアプリケーションプログラムが挙げられる。ファームウェア機能はコマンド構成されることが可能である。
【0081】
この実施形態において、処理装置は、ブルートゥースインタフェースポート830またはRS232インタフェースポート840を介した未加工および結果データの転送を含む他のデバイスとの通信が可能である。また、RS232インタフェースポート840も、ソフトウェアローディングおよびアップデートのためのインサービスプログラミング(ISP)をサポートする。
【0082】
図9は、RS232インタフェースモジュール900についての概略図例を示す。RS232インタフェースモジュール900は、RS232レベル変換に対するロジックを促進すると共に、リセットおよびソフトウェアロード起動を提供する。
【0083】
チャネル相互接続回路は、計測モードに関する多数の特質を促進し、ならびに、チャネル間RF除去および基準信号選択を可能とする。頭皮電圧電位は、3つのモードで計測されることが可能である:
(MODE1)チャネル−基準チャネルモード。
(MODE2)チャネル−チャネル平均モード。
(MODE3)チャネル−チャネル差動モード。
【0084】
この実施形態において、図6に例示されているインタフェースモジュールは、チャネル−基準チャネル(モード1)のみに対してハードワイヤードである。他の実施形態において、インタフェースモジュールは、他のモードに対して、図3に示されているとおり個別にハードワイヤードであるか、または、選択可能に設計されることが可能である。
【0085】
信号の計測にどのモードが用いられるかにかかわらず、他の実施形態においては、デジタル信号処理を用いて他の計測モード信号を再構成することが可能である。
【0086】
図10は、主に、システムのアナログ設計に対応する信号電源および接地構成1000の例を示す。電源および接地構成は、アナログ−デジタルモジュール1010と、アナログ電源と基準モジュール1020との周辺を中心としている。アナログ電源と基準モジュール1020は、独立した入力および出力減結合を備えるアナログ電源装置1021、および、信号とアナログ−デジタル基準1022とから構成される。
【0087】
このアナログ−デジタルモジュール1010には、AD変換器1011、および、これに関連する図7において共通接地点705として見られる共通接地点1012が収容されている。アナログ電源1013は、独立して作動すると共にそれ自身のアナログゼロボルトで減結合されている。信号基準1014は、独立して作動すると共にそれ自身の信号ゼロボルトで減結合されている。このモジュールは、アナログ信号「FSig」および「CMSig」1015をインタフェースモジュール1050から受信し、デジタルモジュール1040における処理装置にデジタルバス1016を介して接続する。
【0088】
バッテリーモジュール1030は、蓄電池1031および充電システム1032から構成されている。バッテリー陽極および陰極は、アナログ電源および基準モジュール1020に接続されていると共に、デジタルモジュール1040に伸びている。この実施形態において、デジタル電源装置1041は、独立した入力および出力減結合を備えた個別の3.3vおよび1.8vの電源装置から構成される。デジタル電源1042は、AD変換器1011およびデジタル回路1043とは独立して作動すると共に、それ自身のデジタルゼロボルトで減結合されている。
【0089】
インタフェースモジュール1050は、それぞれ自身のゼロボルトを備えて独立して減結合されているアナログ電源1013と、信号およびアナログ−デジタル基準1014とを前置増幅器およびアナログモジュール1060に分配する。また、このモジュールは、基準信号「RSig」1051、センサ信号「ESig」およびRF除去接続「RFS」1052を前置増幅器およびアナログモジュール1060から受信し、フィルタされ、そして、増幅されたセンサ信号「FSig」1053をアナログ−デジタルモジュール1010におけるAD変換器1011のチャネル1から4に通過させる。基準信号は、異なる増幅器基準信号「DSig」1054として、前置増幅器およびアナログモジュール1060における差動増幅器1061に伝達し、戻される。同相モードフィードバック信号1055は、アナログ−デジタルモジュール1010におけるAD変換器1011のチャネル5に伝達されて、同相モードードバックを同相モードフィードバックおよび電源接地センサ1056を介して提供する。
【0090】
この実施形態において、前置増幅器およびアナログモジュール1060は、4つのアナログモジュール1062と対を成す4つのセンサ前置増幅器モジュール1061と、独立型の基準前置増幅器モジュール1061とを備える。センサ前置増幅器モジュール1061は、対のアナログモジュール1062における差動増幅器に対するセンサ信号「SSig」および信号接地「SGnd」接続1063を有する。対のアナログモジュール1062における帯域フィルタは、フィルタされた信号「FSig」1064をインタフェースモジュール1050に伝達する。基準前置増幅器モジュール1061は、インタフェースモジュール1050からの信号基準「SRef」1065を受信すると共に、基準信号「RSig」1066をインタフェースモジュール1050に伝達する。基準およびセンサ前置増幅器モジュール1061は、センサ信号「ESig」およびRF除去接続「RFS」1067をインタフェースモジュール1050に伝達する。
【0091】
各々のアナログステージにおいては、装置が、比較的低ノイズ設計、高同相モード排除および高周波排除を維持するよう、注意深い選択を守らなければならない。
【0092】
この実施形態において、低ノイズ成分が、前置増幅器およびバッファ演算増幅器、差動増幅器およびAD変換器について選択される。また、ストラテジック信号(Strategic signal)、電源、接地および減結合スキームも利用される。この実施形態は、個別の信号および電源接地と電源減結合法を共に用いる、低ノイズ電源と電圧基準回路をさらに含む。高インピーダンス構成要素からのノイズはまた、これらの構成要素によって導入されたノイズを効果的に減衰させるための技術を用いて対応される。
【0093】
この実施形態において、アクティブ同相モードキャンセルフィードバックアプローチが、同相モード排除を改善させるために用いられる。50Hzから60Hzプリエンファシスでの高利得ネガティブフィードバックが、帯域フィルタリング増幅器によって提供される。これは、単一の低利得能動駆動接続の通常の方法とは対照的に、信号源に対する2点接続を用いて実現される。
【0094】
この実施形態において、フィードバック、電源接地およびセンサは、典型的には、最適な同相モードキャンセルが提供されるよう幾何学的対称に構成されている。
【0095】
頭皮電位計測のための種々の装置のこれらの実施形態は以下を含む。
(a)各チャネル信号を差動的に誘導する前のチャネル利得整合。
(b)高入力インピーダンスおよび利得整合を維持しながらの入力バイアス。
(c)利得整合を維持すると共に位相変化および信号遅延を補正しながらの多重チャネルシステムにおける高周波除去。
(d)特に同相モード信号排除およびキャンセル、ならびに、電源および高周波干渉排除。
(e)デジタル化分解能、動的範囲およびアンチエイリアシング。
(f)低ノイズおよびノイズ減衰技術。
(g)本質的に重要な構成要素を保存する方法に組み込まれた計測モード構成。
【0096】
図11を参照すると、既述の実施形態のいずれか1つによる頭皮電位1100を計測する好ましい方法は、以下を含む。
(a)センサ1110で未加工の頭皮電位計測値を受信する工程。
(b)増幅のための予増幅された頭皮電位計測値を生成するために、未加工の頭皮電位計測値を整合化した高入力インピーダンス増幅器1120で予増幅する工程。
(c)予増幅された頭皮電位計測値における同相モードノイズ1130の実質的な成分をキャンセルして、同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値を生成する工程。
(d)同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値のRFノイズ1140を除去して、RFが除去された頭皮電位計測値を生成する工程。
(e)RFが除去された頭皮電位計測値の1150を増幅して、デジタル化のための増幅された頭皮電位計測値を生成する工程。
(f)増幅された頭皮電位計測値1160の帯域過渡およびアンチエイリアシングフィルタリングを適用して、デジタル化のための帯域限定された頭皮電位計測値を生成する工程。
(g)帯域限定された頭皮電位計測値1170をデジタル化して、デジタル化された頭皮電位値のシーケンスを生成する工程。
(h)デジタル化された頭皮電位値1180のシーケンスを処理して、頭皮電位波形シグナルを生成する工程。
(i)計測波形1190を生成/保存する工程。
【0097】
この方法は、典型的には、いかなる頭皮の下処理、または、頭皮とセンサとの間への導電性ゲルの塗布もしなくても、髪を介したセンサでの未加工の頭皮電位計測値の受信1110を可能とする。これらの未加工の頭皮電位計測値は、実質的に高入力インピーダンス、ならびに、整合された利得、位相および遅延で増幅器によって予増幅1120されて、予増幅された頭皮電位計測値が生成される。
【0098】
好ましくは、予増幅された頭皮電位計測値の同相モード信号ノイズの実質的な成分をキャンセル1130することで、整合された利得、位相および遅延を保存しながら、同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値が生成される。
【0099】
同相モードがキャンセルされた電位計測値のRFノイズを除去1140することで、整合された利得、位相および遅延を保存しながら、RFが除去された頭皮電位計測値を生成する。
【0100】
RFが除去された頭皮電位計測値を増幅1150して、デジタル化のための増幅された頭皮電位計測値が生成される。
【0101】
増幅された頭皮電位計測値の帯域アンチエイリアシングフィルタリングを適用1160して、デジタル化のための帯域限定された頭皮電位計測値が生成される。
【0102】
帯域限定された頭皮電位計測値をデジタル化1170して、デジタル化された頭皮電位値のシーケンスが生成される。
【0103】
デジタル化された頭皮電位値のシーケンスを処理1180して、頭皮電位波形シグナルが生成される。
【0104】
計測波形が生成/保存1190される。
【0105】
これらの計測値は、関連する電源の寿命または関連するデータ記録装置の保存容量に考慮されていることが可能である。センサおよび関連する電子機器は、野球帽などの従来のヘッドアクセサリーに隠されていても、または、安全帽に組み込まれていてもよい。
【0106】
例示の実施形態によって生成された頭皮電位計測値の適合度は、基準心理状態を好適に分類するために十分である。これらの頭皮電位計測値は、一定の心理状態の分析に関して、典型的には頭皮とセンサとの間に安定した導電性界面を必要とする従来のEEG計測に匹敵すると考えてもよい。
【0107】
人物からの頭皮電位計測値の分析は、人物の疲労または眠気をリアルタイムで判定するための手段を提供する。特別な頭皮の下処理無しで装着することが可能であるこのリアルタイム監視システムを提供することにより、このシステムは、自動車または工場施設などの器具を操作している間の人物の疲労を監視することが可能である。
【0108】
この方法および装置は、可搬性で非侵襲性のリアルタイム頭皮電位計測値のために設計された。これは、可搬環境または定置環境において用いられ得ることが明らかである。リアルタイム処理のために、頭皮電位計測値データのさらなる処理のためにデータ処理ソフトウェアが含まれていることが可能である。データおよび信号は、有線または無線データ通信システムにより未加工または加工済の状態で通信されることが可能である。これらのデバイスに電源供給するための電気エネルギーは、バッテリーまたは誘導ループ装置を用いる無線により従来の手段で提供される。開示の方法および装置は、頭皮の下処理工程の必要性を排除すると共に診察時間を短縮するために、臨床現場において用いられ得ることが、当業者によってさらに理解される。
【0109】
これらの実施形態は、頭皮の下処理をほとんど又は全く行うことなく、髪を介して頭皮電位を計測することができることが理解される。
【0110】
特定の例を参照して本発明を記載してきたが、本発明は、多くの他の形態で実施され得ることが当業者に理解される。
【0111】
解釈
本明細書の内容において、「無線(wireless)」という用語およびその派生語は、非固体媒体を介して、被変調電磁波を用いてデータを通信し得る、回路、デバイス、システム、方法、技術、通信チャネル等を記載するために用いられ得る。この用語は、いくつかの実施形態において含んでいないかもしれないが、関連するデバイスが如何なるワイヤをも含まないことを意味するわけではない。
【0112】
特定的にそうでないと明記されていない限りにおいて、以下の考察から明らかであるとおり、本願明細書をとおして、「処理する(processing)」、「計算する(computing)」、「算出する(calculating)」、「判定する(determining)」等などの用語を用いる考察は、電子的などの物理的量として表現されたデータを、同様に物理的量として表現された他のデータに操作および/または変換するコンピュータあるいは計算システム、または、同様の電子計算装置の動作および/または処理を指すことが理解される。
【0113】
同様に、「処理装置(processor)」という用語は、例えばレジスタおよび/またはメモリからの電子データを処理して、その電子データを、例えばレジスタおよび/またはメモリに保存され得る他の電子データに変換するいずれかのデバイスまたはデバイスの一部分を指してもよい。「コンピュータ(computer)」または「計算機(computing machine)」または「計算プラットホーム(computing platform)」は、1以上の処理装置を有してもよい。
【0114】
さらに、実施形態のいくつかは、コンピュータシステムの処理装置または機能を実行する他の手段によって実施されることが可能である方法または方法の構成要素の組み合わせとして、本明細書において記載されている。従って、このような方法または方法の構成要素を実行するために必要な説明書を備える処理装置が、方法または方法の構成要素を実行するための手段を構成する。さらに、装置実施形態の本明細書に記載の構成要素は、本発明を実施する目的のための構成要素によって行われる機能を実行するための手段の一例である。
【0115】
本明細書における記載においては、数多くの具体的な詳細が開示されている。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なしでも実施され得ることが理解される。他の事例において、周知の方法、構造および技術は、この記載の理解を曖昧にしないように、詳細には示されていない。
【0116】
本願明細書にわたる「この実施形態(this embodiment)」、「一実施形態(one embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」への言及は、実施形態に関して記載した特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に包含されていることを意味する。したがって、「一実施形態(one embodiment)において」または「実施形態(an embodiment)において」といった句の、この明細書全体にわたる各所における出現は、必ずしもすべてが同一の実施形態を指しているわけではないが、指している場合もあり得る。しかも、特定の特徴、構造または特性は、1つ以上の実施形態において、この開示から技術分野における当業者には明らかであるとおり、いずれかの好適な様式で組み合わされてもよい。
【0117】
他に規定されていない限りにおいて、本明細書において用いられる、共通の対象を記載するための「第1の」、「第2の」、「第3の」等といった順序を表す形容詞の使用は単に同様の対象の異なる例が指されていることを示し、記載されているその対象が、時間的に、空間的に、順位的に、または、いずれかの他の様式で示された順序でなければならないことが示唆されることは意図しない。
【0118】
文脈が明確に他を要求している場合を除き、明細書、特許請求の範囲全体を通して、「を含む(comprise)」、「を含んでいる(comprising)」等という語は、排他的または網羅的な意味に対して包括的な意味で解釈されるべきであり;換言すると、「特にこれらに限定されないが、〜を含む」の意味で解釈されるべきである。
【0119】
同様に、用語「結合(coupled)」は、特許請求の範囲において用いられている場合、直接的な接続のみに限定されていると解釈されるべきではないことに注意すべきである。「結合された(coupled)」および「接続された(connected)」という用語が、それらの派生語と共に用いられてもよい。これらの用語は、相互に同義語としては意図されていないと理解されるべきである。したがって、デバイスBに結合されたデバイスAという表現の範囲は、デバイスAの出力がデバイスBの入力に直接的に接続されているデバイスまたはシステムに限定されるべきではない。これは、Aの出力とBの入力との間に経路が存在し、これが他のデバイスまたは手段を含む経路であり得ることを意味する。「結合された(coupled)」は、2以上の構成要素が直接的な物理的あるいは電気的接触の一方にあるか、または、2以上の構成要素が相互に直接的に接触していないが、それでもなお、相互に共働するかあるいは相互作用することを意味し得る。
【0120】
したがって、何が本発明の好ましい実施形態と考えられるかについて記載してきたが、当業者は、本発明の趣旨から逸脱することなく他のおよびさらなる変更をこれに成し得ることを認識しているであろうと共に、すべてのこのような変形および変更が本発明の範囲内に属していることの主張が意図されている。例えば、上記に示されているいずれかの方式は、用いられ得る手法の単なる代表である。機能性が、ブロック図において追加または削除されてもよく、操作は、機能性ブロックの間で交換されてもよい。工程が、本発明の範囲内において、記載の方法において追加または削除されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
髪と空気との界面を介して未加工の頭皮電位計測値を計測するために用いられ、
前記界面が、前記頭皮に対して、高可変信号源インピーダンスを有する結合を与える複数のセンサと、
前記センサのそれぞれ1つに結合された複数の前置増幅器とを備え、
各々の前記前置増幅器が、前記センサ信号源界面により示されるインピーダンスより著しく高い入力インピーダンスを有するように構成されており、
前記前置増幅器が、前記未加工の頭皮電位計測値を受信すると共に、予増幅された頭皮電位計測値を生成するための予増幅頭皮電位計測値を生成する
頭皮電位計測用装置。
【請求項2】
前記センサ信号源界面インピーダンスが、接触媒体、頭皮および下層組織のいずれかによって示される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記入力インピーダンスがアクティブであると共に、フィードバックの適用によって増加される、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記前置増幅器が、広帯域高インピーダンス入力、および、0.01Hzから400Hzの10ペタオーム超の入力インピーダンスを示すためのアクティブバイアスネットワークを含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記前置増幅器が、10テラオームの入力インピーダンス、ならびに、前記入力インピーダンスを示すためのシールドされたフィードバックおよびバイアスネットワークを有する高利得低ノイズレール・ツー・レールFET入力演算増幅器を含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記前置増幅器に結合された同相モードフィルタ増幅器であって、前記予増幅された頭皮電位計測値におけるノイズと同相モード信号の実質的な成分をキャンセルし、これにより、同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値を生成するように構成されている前記同相モードフィルタと、
前記同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値のRFノイズを除去して、RFが除去された頭皮電位計測値を生成するRF除去システムと
をさらに含む、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記同相モードフィルタ増幅器および前記RF除去システムが、各々の頭皮電位計測値信号経路にわたって実質的に共通の利得、位相および遅延を保存するように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記RFが除去された頭皮電位計測値を増幅して、増幅された頭皮電位計測値を生成するための差動増幅器システムと、
前記増幅された頭皮電位計測値をフィルタリングして、その後のデジタル化の間のエイリアシング効果を実質的に最小とするための帯域フィルタと
をさらに含む、請求項6または請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記差動増幅器システムおよび前記帯域フィルタが、各々の前記頭皮電位計測値信号経路にわたる実質的に共通の利得、位相および遅延を保存するように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記帯域フィルタが、低周波過渡高域フィルタおよび高周波アンチエイリアシング低域フィルタの形状である、請求項8または請求項9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記帯域フィルタが、好適な低周波過渡除去を提供するように構成されていると共に、所定のAD変換器に係るナイキスト周波数での量子化レベルの半分より大きい減衰を提供するようさらに構成されている、請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記帯域フィルタが、1Hzから40Hzの通過域を有する六次対称帯域フィルタリング増幅器である、請求項8から請求項11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記差動増幅器に対する入力が、共通基準信号、平均化された信号、ならびに、予増幅およびバッファされたセンサ信号を含む信号群のいずれか1つから選択可能である、請求項8から請求項12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
1以上の頭皮電位計測値をデジタル化するためのデジタイザと、
前記1以上の頭皮電位計測値に信号処理を実施すると共に、出力信号を生成するための第1の処理装置と
をさらに含む、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記出力信号が無線で第2の処理装置に送信される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
各々の頭皮電位計測値信号経路間のチャネル間RF干渉を除去するように構成されたチャネル相互接続モジュールをさらに含む、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記チャネル相互接続モジュールが、チャネル−基準チャネルモード、チャネル−チャネル平均モードおよびチャネル−チャネル差動モードを含む組から頭皮電位計測モードを選択するように構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
未加工の頭皮電位計測値を前記センサで受信する工程であって、前記計測値が髪および空気を介して得られる工程と、
前記未加工の頭皮電位計測値を高入力インピーダンス増幅器で予増幅して、予増幅された頭皮電位計測値を生成する工程と
を含む頭皮電位計測のための方法。
【請求項19】
前記予増幅された頭皮電位計測値におけるノイズと同相モード信号の実質的な成分をキャンセルして、同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値を生成する工程と、
前記同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値のRFノイズを除去して、RFが除去された頭皮電位計測値を生成する工程と
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記RFが除去された頭皮電位計測値を増幅して、デジタル化のための増幅された頭皮電位計測値を生成する工程をさらに含む、請求項18または請求項19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記増幅された頭皮電位計測値の帯域過渡およびアンチエイリアシングフィルタリングを適用して、デジタル化のためのアンチエイリアスされた頭皮電位計測値を生成する工程と、
前記アンチエイリアスされた頭皮電位計測値をデジタル化して、デジタル化された頭皮電位値のシーケンスを生成する工程と、
デジタル化された頭皮電位値の前記シーケンスを処理して、頭皮電位波形信号を生成する工程と、
計測波形を生成する工程と
をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
第2の処理装置によって受信するために、出力信号を無線接続で送信する工程をさらに含む、請求項18から請求項21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記受信される未加工の頭皮電位計測値が髪と空気との界面を介して計測され、前記界面が、前記頭皮に結合する高可変信号源インピーダンスを示し、前記前置増幅器が、示される前記信号源界面よりも著しく高い入力インピーダンスを有するように構成されている、請求項18から請求項22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記入力インピーダンスがアクティブであると共に、フィードバックを適用する工程により増加される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
複数のチャネルのそれぞれを定義するために、複数のセンサから未加工の入力頭皮電位信号を受信する工程と、
チャネル−基準チャネルモード、チャネル−チャネル平均モードおよびチャネル−チャネル差動モードを含むセットから計測モード構成を選択する工程と、
高入力インピーダンスを維持しながら前記入力信号をバイアスする工程と、
チャネル信号を差動誘導する前にチャネル利得を整合する工程と、
処理されたチャネル信号を提供することにおけるさらなる工程として、利得と位相整合を維持しながら前記チャネル信号の高周波干渉を除去する工程と、
前記処理されたチャネル信号を提供することにおけるさらなる工程として、前記チャネル信号の同相モード信号干渉を除去する工程と、
前記処理されたチャネル信号を提供することにおけるさらなる工程として前記チャネル信号を帯域フィルタリングする工程と、
前記選択された計測モードに基づいて計測された前記入力信号を示すデジタル頭皮電位計測値信号を提供するために、前記処理されたチャネル信号をデジタル化する工程と
を含む頭皮電位計測のための方法。
【請求項26】
前記高入力インピーダンスが、前記未加工の頭皮電位計測値を増幅して、予増幅された頭皮電位計測値を生成するための、高入力インピーダンス増幅器を含む前置増幅器により提供される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記入力インピーダンスが、前記センサに示されている信号源界面に関連するインピーダンスよりも著しく高い、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記信号源界面インピーダンスが、接触媒体、頭皮および下層組織のいずれかによって示される、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記入力インピーダンスがアクティブであると共に、フィードバックの適用によって増加される、請求項26から請求項28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記前置増幅器が、広帯域高インピーダンス入力、および、0.01Hzから400Hzの10ペタオーム超の入力インピーダンスを示すためのアクティブバイアスネットワークを含む、請求項26から請求項29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
髪と空気との界面を介して未加工の頭皮電位計測値を計測するために用いられ、
前記界面が、前記頭皮に対して、高可変信号源インピーダンスを有する結合を与える複数のセンサと、
前記センサのそれぞれ1つに結合された複数の前置増幅器とを備え、
各々の前記前置増幅器が、前記センサ信号源界面により示されるインピーダンスより著しく高い入力インピーダンスを有するように構成されており、
前記前置増幅器が、前記未加工の頭皮電位計測値を受信すると共に、予増幅された頭皮電位計測値を生成するための予増幅頭皮電位計測値を生成する
頭皮電位計測用装置。
【請求項2】
前記センサ信号源界面インピーダンスが、接触媒体、頭皮および下層組織のいずれかによって示される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記入力インピーダンスがアクティブであると共に、フィードバックの適用によって増加される、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記前置増幅器が、広帯域高インピーダンス入力、および、0.01Hzから400Hzの10ペタオーム超の入力インピーダンスを示すためのアクティブバイアスネットワークを含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記前置増幅器が、10テラオームの入力インピーダンス、ならびに、前記入力インピーダンスを示すためのシールドされたフィードバックおよびバイアスネットワークを有する高利得低ノイズレール・ツー・レールFET入力演算増幅器を含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記前置増幅器に結合された同相モードフィルタ増幅器であって、前記予増幅された頭皮電位計測値におけるノイズと同相モード信号の実質的な成分をキャンセルし、これにより、同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値を生成するように構成されている前記同相モードフィルタと、
前記同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値のRFノイズを除去して、RFが除去された頭皮電位計測値を生成するRF除去システムと
をさらに含む、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記同相モードフィルタ増幅器および前記RF除去システムが、各々の頭皮電位計測値信号経路にわたって実質的に共通の利得、位相および遅延を保存するように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記RFが除去された頭皮電位計測値を増幅して、増幅された頭皮電位計測値を生成するための差動増幅器システムと、
前記増幅された頭皮電位計測値をフィルタリングして、その後のデジタル化の間のエイリアシング効果を実質的に最小とするための帯域フィルタと
をさらに含む、請求項6または請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記差動増幅器システムおよび前記帯域フィルタが、各々の前記頭皮電位計測値信号経路にわたる実質的に共通の利得、位相および遅延を保存するように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記帯域フィルタが、低周波過渡高域フィルタおよび高周波アンチエイリアシング低域フィルタの形状である、請求項8または請求項9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記帯域フィルタが、好適な低周波過渡除去を提供するように構成されていると共に、所定のAD変換器に係るナイキスト周波数での量子化レベルの半分より大きい減衰を提供するようさらに構成されている、請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記帯域フィルタが、1Hzから40Hzの通過域を有する六次対称帯域フィルタリング増幅器である、請求項8から請求項11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記差動増幅器に対する入力が、共通基準信号、平均化された信号、ならびに、予増幅およびバッファされたセンサ信号を含む信号群のいずれか1つから選択可能である、請求項8から請求項12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
1以上の頭皮電位計測値をデジタル化するためのデジタイザと、
前記1以上の頭皮電位計測値に信号処理を実施すると共に、出力信号を生成するための第1の処理装置と
をさらに含む、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記出力信号が無線で第2の処理装置に送信される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
各々の頭皮電位計測値信号経路間のチャネル間RF干渉を除去するように構成されたチャネル相互接続モジュールをさらに含む、請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記チャネル相互接続モジュールが、チャネル−基準チャネルモード、チャネル−チャネル平均モードおよびチャネル−チャネル差動モードを含む組から頭皮電位計測モードを選択するように構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
未加工の頭皮電位計測値を前記センサで受信する工程であって、前記計測値が髪および空気を介して得られる工程と、
前記未加工の頭皮電位計測値を高入力インピーダンス増幅器で予増幅して、予増幅された頭皮電位計測値を生成する工程と
を含む頭皮電位計測のための方法。
【請求項19】
前記予増幅された頭皮電位計測値におけるノイズと同相モード信号の実質的な成分をキャンセルして、同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値を生成する工程と、
前記同相モードがキャンセルされた頭皮電位計測値のRFノイズを除去して、RFが除去された頭皮電位計測値を生成する工程と
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記RFが除去された頭皮電位計測値を増幅して、デジタル化のための増幅された頭皮電位計測値を生成する工程をさらに含む、請求項18または請求項19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記増幅された頭皮電位計測値の帯域過渡およびアンチエイリアシングフィルタリングを適用して、デジタル化のためのアンチエイリアスされた頭皮電位計測値を生成する工程と、
前記アンチエイリアスされた頭皮電位計測値をデジタル化して、デジタル化された頭皮電位値のシーケンスを生成する工程と、
デジタル化された頭皮電位値の前記シーケンスを処理して、頭皮電位波形信号を生成する工程と、
計測波形を生成する工程と
をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
第2の処理装置によって受信するために、出力信号を無線接続で送信する工程をさらに含む、請求項18から請求項21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記受信される未加工の頭皮電位計測値が髪と空気との界面を介して計測され、前記界面が、前記頭皮に結合する高可変信号源インピーダンスを示し、前記前置増幅器が、示される前記信号源界面よりも著しく高い入力インピーダンスを有するように構成されている、請求項18から請求項22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記入力インピーダンスがアクティブであると共に、フィードバックを適用する工程により増加される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
複数のチャネルのそれぞれを定義するために、複数のセンサから未加工の入力頭皮電位信号を受信する工程と、
チャネル−基準チャネルモード、チャネル−チャネル平均モードおよびチャネル−チャネル差動モードを含むセットから計測モード構成を選択する工程と、
高入力インピーダンスを維持しながら前記入力信号をバイアスする工程と、
チャネル信号を差動誘導する前にチャネル利得を整合する工程と、
処理されたチャネル信号を提供することにおけるさらなる工程として、利得と位相整合を維持しながら前記チャネル信号の高周波干渉を除去する工程と、
前記処理されたチャネル信号を提供することにおけるさらなる工程として、前記チャネル信号の同相モード信号干渉を除去する工程と、
前記処理されたチャネル信号を提供することにおけるさらなる工程として前記チャネル信号を帯域フィルタリングする工程と、
前記選択された計測モードに基づいて計測された前記入力信号を示すデジタル頭皮電位計測値信号を提供するために、前記処理されたチャネル信号をデジタル化する工程と
を含む頭皮電位計測のための方法。
【請求項26】
前記高入力インピーダンスが、前記未加工の頭皮電位計測値を増幅して、予増幅された頭皮電位計測値を生成するための、高入力インピーダンス増幅器を含む前置増幅器により提供される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記入力インピーダンスが、前記センサに示されている信号源界面に関連するインピーダンスよりも著しく高い、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記信号源界面インピーダンスが、接触媒体、頭皮および下層組織のいずれかによって示される、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記入力インピーダンスがアクティブであると共に、フィードバックの適用によって増加される、請求項26から請求項28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記前置増幅器が、広帯域高インピーダンス入力、および、0.01Hzから400Hzの10ペタオーム超の入力インピーダンスを示すためのアクティブバイアスネットワークを含む、請求項26から請求項29のいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−530770(P2010−530770A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512467(P2010−512467)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000919
【国際公開番号】WO2009/000030
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(509351568)シーエムティーイー ディベロップメント リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000919
【国際公開番号】WO2009/000030
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(509351568)シーエムティーイー ディベロップメント リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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