説明

頭部付き軸体の搬送装置

【課題】ねじが振動フィーダから回転テーブルに乗り移る際、ねじの軸部が回転テーブルの切欠き溝の縁に引っ掛かるのを防止する
【解決手段】ねじWを吊り下げる2本の平行なレール3,3を有し、そのレール3,3を振動させてねじWをレール3,3の下端3bから排出する振動フィーダ2と、レール3,3の下端3bから排出されるねじWの軸部を導入する切欠き溝8を外周に一定の間隔をおいて形成した回転テーブル1と、その回転テーブル1を連続的に回転させる駆動装置と、ねじWがレール3,3の下端3bからレール3,3の定位置まで整列しているか否かを検知するワークセンサ7と、そのワークセンサ7でねじWがレール3,3の定位置まで整列していないことを検知したときに回転テーブル1の回転速度を下げる制御部13とを有する構成をねじ等の頭部付き軸体すべての搬送装置に採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、頭部付き軸体の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ねじ、釘、リベットなどの頭部付き軸体の検査装置に組み込まれる搬送装置として、頭部付き軸体を吊り下げた2本の平行なレールを振動させてレールの一端から頭部付き軸体を排出する振動フィーダと、レールの一端から排出された頭部付き軸体の軸部を導入する切欠き溝を外周に一定の間隔をおいて形成した回転テーブルと、その回転テーブルと連続的に回転させる駆動装置とを備える搬送装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
この搬送装置を用いると、十分な本数の頭部付き軸体が振動フィーダのレールに整列しているときは、レールの一端の頭部付き軸体がその後方の頭部付き軸体から安定した力で押圧されるので、レールの一端の頭部付き軸体が回転テーブルに円滑に乗り移る。
【0004】
しかし、振動フィーダのレールに整列する頭部付き軸体間の本数が減ると、レールの一端の頭部付き軸体に対するその後方の頭部付き軸体からの押圧力が安定せず、頭部付き軸体の回転テーブルへの進入タイミングがばらつく。そのため、頭部付き軸体の軸部が回転テーブルの切欠き溝の縁に引っ掛かり、頭部付き軸体の軸部に傷がつくことがあった。特に、頭部付き軸体の検査装置に組み込まれる搬送装置においてこのような傷がつくと、不良品を検査する過程で新たな不良品を生じることになり、好ましくない。
【特許文献1】特開2000−237695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、頭部付き軸体が振動フィーダから回転テーブルに乗り移る際、頭部付き軸体の軸部が回転テーブルの切欠き溝の縁に引っ掛かるのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、頭部付き軸体を吊り下げる2本の平行なレールを有し、そのレールを振動させて前記頭部付き軸体を前記レールの一端から排出する振動フィーダと、前記レールの一端から排出される頭部付き軸体の軸部を導入する切欠き溝を外周に一定の間隔をおいて形成した回転テーブルと、その回転テーブルを連続的に回転させる駆動装置と、前記頭部付き軸体が前記レールの一端から前記レールの定位置まで整列しているか否かを検知するワークセンサと、そのワークセンサで前記頭部付き軸体が前記レールの定位置まで整列していないことを検知したときに前記回転テーブルの回転速度を下げる制御部とを有する構成を頭部付き軸体の搬送装置に採用した。
【発明の効果】
【0007】
この頭部付き軸体の搬送装置は、頭部付き軸体がレールの一端から定位置まで整列していないと回転テーブルの回転速度が下がり、レールに整列する頭部付き軸体の本数が減りにくくなる。そのため、レールの一端の頭部付き軸体に対するその後方の頭部付き軸体からの押圧力が安定し、頭部付き軸体の軸部が回転テーブルの切欠き溝の縁に引っ掛かりにくい。また、回転テーブルの回転速度が下がると、頭部付き軸体の軸部が回転テーブルの切欠き溝の縁に引っ掛かっても、頭部付き軸体の軸部に傷が付きにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に、この発明の頭部付き軸体の搬送装置の実施形態を示す。この搬送装置は、ねじWを搬送する回転テーブル1と、回転テーブル1にねじWを供給する振動フィーダ2とを有する。
【0009】
振動フィーダ2は、2本の平行なレール3,3を有し、そのレール3,3でねじWの頭部を支えてねじWを吊り下げる。レール3,3は、水平方向に対して傾斜して配置されており、振動発生器(図示せず)で振動を付与され、上端3aから下端3bに向かってねじを移動させる。レール3,3の上端3aには、振動ボウル(図示せず)が接続され、振動ボウルは、内部に溜めた多数のねじWを一定の姿勢にして順にレール3,3の上端3aに供給する。
【0010】
また、レール3,3の両側には、ねじWの頭部が通過する位置に光4を照射する投光器5と、投光器5から照射された光を検知する受光器6とからなるワークセンサ7が設けられている。ワークセンサ7は、投光器5から受光器6に向けて照射された光4がねじWの頭部で遮られた状態でオンし、投光器5から照射された光4が遮られずに受光器6で検知された状態でオフする。
【0011】
回転テーブル1は、レール3,3の下端3bに隣接して配置され、回転テーブル1の外周には、レール3,3の下端3bから排出されたねじWの軸部を導入する切欠き溝8が一定の間隔をおいて形成されている。この回転テーブル1は、モータ(図示せず)で駆動されて連続的に回転し、モータに接続したインバータ(図示せず)で回転速度を調節することができる。
【0012】
回転テーブル1の切欠き溝8に軸部を導入されたねじWは、頭部が回転テーブル1の上面で支えられ、吊り下げられた状態となって搬送される。回転テーブル1の径方向外側には、回転テーブル1の外周に沿って円弧状の固定ガイド9が配置され、この固定ガイド9が、回転テーブル1からのねじWの脱落を防止する。
【0013】
回転テーブル1のねじWの搬送経路には、ねじWの良否を判定する検査部10が設けられている。検査部10としては、たとえば、回転テーブル1の上方に配置したCCDカメラでねじの頭部を撮影してねじWの頭部のくぼみの形状の良否を判定する頭部の検査部や、回転テーブル1の側方に配置した光学センサでねじWの軸部の直径の良否を判定する軸部の検査部を挙げることができる。
【0014】
検査部10で不良品と判定されたねじWは、検査部10の下流に設けた不良品排出口11にエア噴射装置(図示せず)により排出され、同様に、良品と判定されたねじWは、不良品排出口11の隣に設けた良品排出口12に排出される。
【0015】
ワークセンサ7の検知信号は、制御部13に送られ、制御部13からは、回転テーブル1の駆動用モータに接続されたインバータに、回転テーブル1の回転速度の制御信号が送られる。
【0016】
以下、制御部13における、回転テーブル1の回転速度の制御フローを、図5に基づいて説明する。
【0017】
まず、図1に示すように、回転テーブル1を停止させた状態で、レール3,3の上端3aにねじWを供給する(ステップS)。ワークセンサ7が一定時間(たとえば50ms)連続でオンすると(ステップS、S)、図2に示すように、ねじWがレール3,3の下端3bからワークセンサ7の位置まで整列したと考えられるので、回転テーブル1の回転を開始し、定格回転数で回転させる(ステップS)。回転テーブル1が回転すると、図3に示すように、レール3,3に整列したねじWが順に回転テーブル1に供給される。
【0018】
つぎに、回転テーブル1を定格回転数で回転させた状態で(ステップS)、ワークセンサ7が一定時間(たとえば25ms)連続でオフすると(ステップS)、図4に示すように、レール3,3に整列するねじWの本数が減ってワークセンサ7の位置まで整列していないと考えられるので、回転テーブル1の回転速度を下げる(ステップS)。回転テーブル1の回転速度が下がると、レール3,3から回転テーブル1へのねじWの供給量が減り、レール3,3に整列するねじWの本数が減りにくくなる。
【0019】
その後、回転テーブル1の回転速度を下げた状態で(ステップS)、ワークセンサ7が一定時間(たとえば100ms)連続でオフすると(ステップS)、レール3,3に整列するねじWの本数がさらに減ったと考えられるので、回転テーブル1を停止させ(ステップS10)、レール3,3から回転テーブル1へのねじWの供給を止める。
【0020】
一方、回転テーブル1を停止させた状態か、回転テーブル1の回転速度を下げた状態で(ステップS)、ワークセンサ7が一定時間(たとえば50ms)連続でオンすると(ステップS)、図2に示すように、レール3,3に整列するねじWの本数が増えて、ねじWがワークセンサ7の位置まで整列したと考えられるので、再び、回転テーブル1を定格回転数で回転させる(ステップS)。
【0021】
この頭部付き軸体の搬送装置は、ねじWがレール3,3の下端3bからワークセンサ7の位置まで整列していないと回転テーブル1の回転速度が下がるので、レール3,3に整列するねじWの本数が減りにくく、レール3,3の下端3bのねじWに対するその後方のねじWからの押圧力が安定する。そのため、ねじWの回転テーブル1への進入タイミングが安定し、ねじWの軸部が回転テーブル1の切欠き溝8の縁に引っ掛かりにくい。また、回転テーブル1の回転速度が下がると、ねじWの軸部が回転テーブル1の切欠き溝8の縁に引っ掛かっても、ねじWの軸部に傷が付きにくい。
【0022】
上記実施形態では、搬送するワークとしてねじを挙げて説明したが、釘やリベットなど、他の頭部付き軸体状のものであれば何を搬送してもよい。
【0023】
上記実施形態では、ワークセンサ7を、レール3,3の片側の投光器5と、反対側の受光器6とで構成することにより、受光器6の検知する光の光量に対する投光器5以外の光源による影響を抑え、ねじWの検知の安定性を高めているが、他の方式のワークセンサ7を用いてもよく、たとえば、投光器と受光器が一体になった投受光器をレール3,3の片側に設け、反対側に反射板を設けてもよい。要は、ねじWがレール3,3の下端3bから定位置まで整列しているか否かを検知することができればよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の頭部付き軸体の搬送装置の実施形態を示す平面図
【図2】図1に示すレールにワークセンサの位置までねじが整列した状態を示す図
【図3】図2に示す回転テーブルが回転を開始した状態を示す図
【図4】図3に示すレールに整列するねじの本数が減った状態を示す図
【図5】図1に示す回転テーブルの回転速度の制御を示すフロー図
【符号の説明】
【0025】
1 回転テーブル
2 振動フィーダ
3 レール
3b レールの下端
7 ワークセンサ
8 切欠き溝
13 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部付き軸体Wを吊り下げる2本の平行なレール3,3を有し、そのレール3,3を振動させて前記頭部付き軸体Wを前記レール3,3の一端3bから排出する振動フィーダ2と、前記レール3,3の一端3bから排出される頭部付き軸体Wの軸部を導入する切欠き溝8を外周に一定の間隔をおいて形成した回転テーブル1と、その回転テーブル1を連続的に回転させる駆動装置と、前記頭部付き軸体Wが前記レール3,3の一端3bから前記レール3,3の定位置まで整列しているか否かを検知するワークセンサ7と、そのワークセンサ7で前記頭部付き軸体Wが前記レール3,3の定位置まで整列していないことを検知したときに前記回転テーブル1の回転速度を下げる制御部13とを有する頭部付き軸体の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−153568(P2007−153568A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−353147(P2005−353147)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(392010050)株式会社ユタカ (13)
【Fターム(参考)】