説明

頭部装着型ディスプレイ

【課題】 主にユーザの片眼に画像を表示する表示部を備え、ユーザの頭部に装着可能な頭部装着型ディスプレイにおいて、表示部の適切な位置調整を行わせること。
【解決手段】 主にユーザの片眼に画像を表示する表示部を備えた頭部装着型ディスプレイであって、表示部の位置調整ガイダンスを再生する再生部と、頭部装着型ディスプレイ以外の外部出力機器に接続する接続部と、再生部により少なくとも表示部に出力される第1の位置調整ガイダンスを示す情報と、第1の調整ガイダンスと関連付けられ、再生部により外部出力機器に出力される第2の位置調整ガイダンスを示す情報とを記憶する記憶部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部を備えユーザの頭部に装着可能な頭部装着型ディスプレイ、頭部装着型ディスプレイと調整用指標とからなる頭部装着型ディスプレイシステム、および頭部装着型ディスプレイの位置調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子の小型化などにより、ユーザの頭部に装着可能な頭部装着型ディスプレイなどの表示装置が考えられている。このような表示装置は、表示部を適切な位置に調整して使用するのが好ましい。そこで、例えば、特許文献1の発明では、使用時に画像表示部が下を向いてしまうのを防ぐ技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開番号 WO2005/064930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、主にユーザの片眼に表示部の映像を表示する頭部装着型ディスプレイにおいて、表示部の位置を調整する際には、表示部の傾きの調整が正しく行われない場合がある。表示部の傾きが正しく調整されないと、ユーザが観察時に違和感を感じたり、眼疲労しやすくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、主にユーザの片眼に画像を表示する表示部を備え、ユーザの頭部に装着可能な頭部装着型ディスプレイにおいて、表示部の適切な位置調整を行わせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の頭部装着型ディスプレイは、主にユーザの片眼に画像を表示する表示部を備えた頭部装着型ディスプレイであって、前記表示部の位置調整ガイダンスを再生する再生部と、前記頭部装着型ディスプレイ以外の外部出力機器に接続する接続部と、前記再生部により少なくとも前記表示部に出力される第1の位置調整ガイダンスを示す情報と、前記第1の調整ガイダンスと関連付けられ、前記再生部により前記外部出力機器に出力される第2の位置調整ガイダンスを示す情報とを記憶する記憶部とを備える。
【0007】
なお、好ましくは、前記第1の位置調整ガイダンスを示す情報および前記第2の位置調整ガイダンスを示す情報は、調整に関する指標を示す情報を有し、前記第1の位置調整ガイダンスおよび前記第2の位置調整ガイダンスの前記指標を示す情報は相関を有しても良い。
【0008】
本発明の頭部装着型ディスプレイシステムは、主にユーザの片眼に画像を表示する表示部を備えた頭部装着型ディスプレイと、調整用指標とからなる頭部装着型ディスプレイシステムであって、前記頭部装着型ディスプレイは、画像を表示する表示部と、前記表示部の位置調整ガイダンスを再生する再生部と、前記調整用指標と関連付けられ、前記再生部により少なくとも前記表示部に出力される位置調整ガイダンスを示す情報を記憶する記憶部とを備える。
【0009】
なお、好ましくは、前記位置調整ガイダンスを示す情報は、調整に関する指標を示す情報を有し、前記調整に関する指標は前記調整用指標と相関を有しても良い。
【0010】
また、好ましくは、前記調整用指標は、前記頭部装着型ディスプレイ以外の外部出力機器により再生されるデータであっても良い。
【0011】
本発明の頭部装着型ディスプレイの位置調整方法は、主にユーザの片眼に画像を表示する表示部を備えた頭部装着型ディスプレイにおける前記表示部の位置調整方法であって、前記表示部に位置調整ガイダンスを再生する再生手順と、再生された前記位置調整ガイダンスと、前記頭部装着型ディスプレイの外部に存在し、前記位置調整ガイダンスと関連付けられた調整用指標とを用いて、前記表示部の位置調整を行う調整手順とを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、主にユーザの片眼に画像を表示する表示部を備え、ユーザの頭部に装着可能な頭部装着型ディスプレイにおいて、表示部の適切な位置調整を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】頭部装着型ディスプレイ100の外観図である。
【図2】表示部112の位置調整について説明する図である。
【図3】頭部装着型ディスプレイ100の機能ブロック図である。
【図4】頭部装着型ディスプレイ100の使用について説明する図である。
【図5】位置調整ガイダンスについて説明する図である。
【図6】位置調整ガイダンスについて説明する図である(続き)。
【図7】位置調整ガイダンスについて説明する図である(続き)。
【図8】位置調整ガイダンスについて説明する図である(続き)。
【図9】指標画像について説明する図である。
【図10】調整用指標画像について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、図面に基づいて本発明の第1実施形態について説明する。
【0015】
図1は、頭部装着型ディスプレイ100の外観図である。頭部装着型ディスプレイ100は、図1に示すように本体101とリモートコントローラ102とターミナル103とから構成される。本体101とリモートコントローラ102とは、ケーブル140により接続される。また、リモートコントローラ102とターミナル103とは、ケーブル141により接続される。なお、ケーブル140およびケーブル141に代えて、無線で本体101とリモートコントローラ102とターミナル103とを接続する構成でも良い。
【0016】
本体101は、通信部110、スピーカ111、連結部111a、表示部112、支持アーム112aを備える。装着時にスピーカ111はユーザの両耳に装着され、連結部111aの弾性力により、スピーカ111がユーザの両耳に保持される。表示部112は、装着時にユーザの左眼の前方に配置され、透過型LCDや有機ELディスプレイなどの不図示の画像表示素子と画像表示素子の映像を拡大してユーザの眼に投影する不図示の光学系とを備える。なお、画像表示素子として、反射型LCDや、自発光型の素子を2次元的に配列したものなどの画像表示素子を用いても良い。
【0017】
表示部112は、支持アーム112aに支持される。支持アーム112aは、図1の矢印aの方向にスライドして移動する。表示部112および支持アーム112aは、画像観察時には、図1の実線で示す位置に配置される。また、表示部112および支持アーム112aは、画像観察時以外の場合には、軸bを中心に回動され、表示部112がユーザの頭頂部に配置される(図1の点線で示す位置)。この結果、表示部112は、画像観察時以外の場合には通信部110の近傍に配置され、ユーザの視界を遮らない。また、支持アーム112aは、不図示の駆動部により図1の軸bを中心として、図1の矢印cの方向に回転可能である。したがって、前述した矢印aの方向のスライドと、矢印cの方向の回転とにより、表示部112の位置をユーザの眼前に正しく調整することができる。
【0018】
また、表示部112は、支持アーム112aとの間にスライド部材112bと球面軸受け112cとを有し、ユーザ操作に基づいて、さらに詳細な位置および傾きなどを調整可能である。図2に、表示部112が有する画像表示素子と、ユーザの眼との関係について示す。表示部112は、図2Aの側面図に示すように、支持アーム112aを矢印aの方向にスライドさせることで、矢印aの方向にスライド可能であり、ユーザの眼を基準とした前後位置を調整可能である。また、表示部112は、球面軸受け112cにより矢印eの方向に回転可能であるとともに、図2Bの上面図に示すように、球面軸受け112cにより矢印fの方向にも回転可能である。したがって、ユーザの眼を基準とした傾きを調整可能である。また、表示部112は、図2Cの正面図に示すように、スライド部材112bにより矢印gの方向にスライド可能であり、ユーザの眼を基準とした左右位置を調整可能である。また、表示部112は、図2Dの正面図に示すように、球面軸受け112cにより矢印iの方向に回転可能である。したがって、ユーザの眼の光軸と垂直な面内における傾きを調整可能である。
【0019】
リモートコントローラ102は、図1に示すように、前面に電源ボタン、十字ボタン、メニューボタンなどの操作部120を備えるとともに、上面に通信部121のコネクタ121aを備える。また、ターミナル103は、図1に示すように、上面に通信部131のコネクタ131aを備え、側面にケーブルなどを介して表示素子やコンピュータなどの外部機器と接続する接続部132を備える。なお、ターミナル103には、液晶モニタなどの表示部やボタンなどの操作部を備えても良い。また、ターミナル103に、記録媒体を着脱可能な構成としても良い。
【0020】
図3は、頭部装着型ディスプレイ100の機能ブロック図である。
【0021】
リモートコントローラ102は、各部を制御する制御部122を備える。制御部122は、操作部120の状態を検知するとともに、通信部121と相互に接続される。
【0022】
ターミナル103は、接続部132、表示部112の表示を制御する表示制御部133、表示部112に表示する画像情報、スピーカ111に出力する音声情報に加えて、後述する位置調整ガイダンスに関する情報を記憶する記憶部134の各部を備えるとともに、各部を制御する制御部135を備える。
【0023】
制御部135は、通信部131、接続部132、表示制御部133、記憶部134の各部と相互に接続される。また、表示制御部133の出力は通信部131に接続される。
【0024】
制御部135は、通信部131および通信部121を介してリモートコントローラ102から送られる指示にしたがって、通信部131、通信部121、通信部110を介してスピーカ111に対する音声の再生や、表示部112に対する画像の表示を行う。
【0025】
以上説明した構成の頭部装着型ディスプレイ100における、表示部112の位置調整ガイダンスについて説明する。
【0026】
本実施形態では、頭部装着型ディスプレイ100のターミナル103と外部機器であるテレビとを接続部132を介して接続して、位置調整ガイダンスを行う場合を例に挙げて説明する。制御部135は、記憶部134に記憶した位置調整ガイダンスに関する情報を、表示部112とテレビとを用いて再生して位置調整ガイダンスを行う。なお、位置調整ガイダンスを行うタイミングは、頭部装着型ディスプレイ100の電源がONされたタイミングでも良いし、操作部120を介したユーザ指示に基づくタイミングでも良い。また、頭部装着型ディスプレイ100の使用履歴(使用回数、累積使用時間、頭部装着型ディスプレイ100を前回使用してから今回使用するまでの経過時間など)などに応じて、制御部135が位置調整ガイダンスを行うタイミングを決定しても良い。
【0027】
本実施形態の頭部装着型ディスプレイ100は、図1で説明したように、装着時にユーザの左眼の前方に配置される。頭部装着型ディスプレイ100の使用時には、ユーザは、図4Aに示すように、表示部112より前方において拡大された表示部112の像を観察することになる。この際には、拡大された像が、ユーザの眼から1m程度に存在すると、好ましい観察を行うことが知られている。また、画像などの観察時には、ユーザの視線は、地面と平行よりも少し下向きである場合に、眼疲労が発生しづらいことが知られている。
【0028】
また、人間の眼は、図4Bに示すように、遠くを目視する場合には眼の視軸(ユーザの眼の光軸)は略平行になるが、近くを目視する場合には両眼がそれぞれ内側に回転し、視軸は平行に比べてお互いに内側に回転する。このような両眼の視線方向の成す角は輻輳角と呼ばれ、輻輳角度は、θで表す。したがって、頭部装着型ディスプレイ100の使用時には、表示部112を図4Bに示すように、少し内側に傾けて調整するのが好ましい。
【0029】
そこで、本実施形態では、図4Aおよび図4Bで説明したように、頭部装着型ディスプレイ100の使用時に、ユーザの眼から1m程度に存在する表示部112の拡大された像を、少し見下ろした状態で観察できるように表示部112の位置を調整するための位置調整ガイダンスを例に挙げて説明する。
【0030】
図5から図8は、位置調整ガイダンス時に、表示部112とテレビやモニタなどの外部表示デバイスとに再生される画像を示す。以下の説明では、外部の表示デバイスとしてテレビを例示する。しかし、本発明はこの例に限定されない。図5から図8において、左側の列のGxA(x=1〜16)は、テレビに再生される画像を示し、左側の列のGxa(x=1〜16)は、表示部112に再生される画像を示す。記憶部134は、図5から図8に示す各画像と、各画像の再生順序、各画像の表示先(表示部112またはテレビ)とを対応づけて予め記憶する。
【0031】
制御部135は、まず、図5のG1aに示す画像を、各部を介して表示部112に表示する。また、制御部135は、その画像出力を接続132にも出力し、ユーザが頭部装着型ディスプレイ100をテレビに接続した場合には、同じ画像がテレビに表示されるようにする。G1aの画像は、頭部装着型ディスプレイ100のターミナル103とテレビとの接続をユーザに促す文章と、図または画像とから構成される。次に、制御部135は、図5のG2Aに示す画像を、接続部132を介してテレビに表示する。このとき、表示部112には画像を表示しない(表示部112:OFF)。G2Aの画像は、位置調整に適した位置(ユーザの眼から1m程度に存在するテレビを、少し見下ろした状態で観察できる位置)へのユーザの移動を促すための文章と、図または画像とから構成される。
【0032】
制御部135は、図5のG3Aに示す画像を、接続部132を介してテレビに表示する。このとき、表示部112はOFFのままである。G3Aの画像は、頭部装着型ディスプレイ100のユーザの頭部への装着を促すための文章と、図または画像とから構成される。次に、制御部135は、図5のG4Aに示す画像を、接続部132を介してテレビに表示する。このとき、表示部112はOFFのままである。G4Aの画像は、頭部装着型ディスプレイ100の表示部112への視線の移動をユーザに促す文章と、図または画像とから構成される。ユーザは、このG4Aの画像を目視することにより、頭部装着型ディスプレイ100の表示部112に表示された指示にしたがって、位置調整を開始する。
【0033】
制御部135は、図6のG5Aに示す画像を、接続132を介してテレビに表示する。このとき、制御部135は、表示部112には画像を表示しなくて良い。G5aの画像は、支持アーム112aを調整して、表示部112をユーザの眼前に配置することを促す文章と、調整する位置や調整方法を示す図または画像とから構成される。ユーザは、このG5Aの画像を目視することにより、調整方法を確認することができる。次に、制御部135は、図6のG6aに示す画像を、各部を介して表示部112に表示する。このとき、テレビはOFFにする。G6aの画像は、支持アーム112aの調整に関する指標画像である。ユーザは、このG6aの画像を目視しながら指標画像の上下端が見えるように調整を行うことにより、表示部112の適切な位置調整を行うことができる。制御部135は、同様に、図6のG7Aの画像を、接続132を介してテレビに表示する。G7Aの画像は、表示部112の前後位置を調整するための調整方法および指標画像である。
【0034】
そして、制御部135は、G8aの画像を、各部を介して表示部112に表示する。このとき、制御部135は、接続部132へは画像を出力しなくても良い。ユーザは、この指標画像を見ながら、両端の指標が見えるように表示部112の前後位置の調整を行う。次に、制御部135は、図7のG9aに示す画像を、各部を介して表示部112に表示する。このとき、表示部112である程度良好に表示が見られるようになるので、テレビはOFFにする。G9aの画像は、支持アーム112aを調整して、表示部112をユーザの眼前に配置することを促す文章と、調整する位置や調整方法を示す図または画像とから構成される。次に、制御部135は、図7のG10aに示す画像を、各部を介して表示部112に表示する。このとき、テレビはOFFのままである。G10aの画像は、支持アーム112aを調整する際のより具体的な調整方法を示す図または画像とから構成される。ユーザは、このG9aおよびG10aの画像を目視することにより、調整方法を確認することができる。次に、制御部135は、図7のG11aに示す画像を各部を介して表示部112に表示するとともに、図7のG11Aに示す画像を接続部132を介してテレビに表示する。G11AおよびG11aの画像は、支持アーム112aの調整に関する指標画像であり、相関を有する。ユーザは、図7のG10aの画像に示すように、左眼で表示部112を目視し、右眼でテレビを目視して2つのマーク(G11AおよびG11aのマーク)が重なるように表示部112の位置を調整する。その結果、頭部装着型ディスプレイ100の使用時に、ユーザの眼から1m程度に存在する表示部112の拡大された像を、少し見下ろした状態で観察できるように表示部112の位置調整を行うことができる。
【0035】
制御部135は、G9aおよびG10aと同様に、図7のG12aおよび図8のG13aの画像を、各部を介して表示部112に表示する。このとき、テレビはOFFのままである。次に、制御部135は、図8のG14aに示す画像を各部を介して表示部112に表示するとともに、図8のG14Aに示す画像を接続部132を介してテレビに表示する。G14AおよびG14aの画像は、支持アーム112aの調整に関する指標画像であり、相関を有する。ユーザは、図8のG14aの画像に示すように、左眼で表示部112を目視し、右眼でテレビを目視して2つのマーク(G14AおよびG14aのマーク)が重なるように表示部112の位置を調整することにより、適切な調整を行うことができる。
【0036】
制御部135は、図8のG15aに示す画像を、各部を介して表示部112に表示する。このとき、制御部135は、テレビには画像を表示しない(テレビ:OFF)。G15aの画像は、表示部112のユーザの眼を基準とした上下位置および左右位置を調整するとともに、ユーザの眼の光軸と垂直な面内における傾きを調整するための調整方法を示す図または画像とから構成される。ユーザは、このG15aの画像を目視することにより、調整方法を確認することができる。次に、制御部135は、図8のG16aに示す画像を、各部を介して表示部112に表示する。このとき、テレビはOFFのままである。G16aの画像は、支持アーム112aの調整に関する指標画像である。ユーザは、このG6aの画像を目視しながら調整を行うことにより、表示部112の適切な位置調整を行うことができる。
【0037】
制御部135は、図5から図8で説明したG1A〜G16Aの画像を接続部132を介して順次テレビに表示するとともに、図5から図8で説明したG1a〜G16aの画像を各部を介して順次表示部112に表示して位置調整ガイダンスを行う。ユーザは、これらの画像を目視し、調整方法の確認と指標画像を用いた調整とを順次行うことができる。なお、図5から図8で説明したG1A〜G16AおよびG1a〜G16aの順番は、各部の位置調整を最適な順序に配列したものである。したがって、この順番で調整を行うことにより、初心者であっても効率良く表示部112の位置調整を行うことができる。
【0038】
なお、図5から図8で説明した位置調整ガイダンスは、一例であり、調整方法を示す文章、図、画像や指標画像はこの例に限定されない。例えば、図7のG11AおよびG11aで示した、相関を有する指標を、図9Bに示す指標に置き換えても良い。図9Bに示すように、互いに反転した指標により、図7のG11AおよびG11aと同様の機能を果たすことができる。また、図8のG14AおよびG14aについても同様である。
【0039】
一方、調整方法の表示は、G9A以降、表示部112に表示する例を示したが、同時に接続部132にも出力し、テレビでも確認できるようにしても良い。
【0040】
また、位置調整ガイダンスは、ユーザの所望のタイミングで中止や一時停止可能な構成としても良い。
【0041】
以上説明したように、第1実施形態によれば、主にユーザの片眼に画像を表示する表示部を備えた頭部装着型ディスプレイにおいて、表示部の位置調整ガイダンスを再生する再生部と、頭部装着型ディスプレイ以外の外部出力機器に接続する接続部と、再生部により少なくとも表示部に出力される第1の位置調整ガイダンスを示す情報と、第1の調整ガイダンスと関連付けられ、再生部により外部出力機器に出力される第2の位置調整ガイダンスを示す情報とを記憶する記憶部とを備える。したがって、主にユーザの片眼に画像を表示する表示部を備え、ユーザの頭部に装着可能な頭部装着型ディスプレイにおいて、表示部の適切な位置調整を行わせることができる。
【0042】
また、第1実施形態によれば、第1の位置調整ガイダンスを示す情報および第2の位置調整ガイダンスを示す情報は、調整に関する指標を示す情報を有し、第1の位置調整ガイダンスおよび第2の位置調整ガイダンスの指標を示す情報は相関を有する。したがって、ユーザは、2つの指標が重なるように表示部の位置を調整することにより、簡単に適切な調整を行うことができる。
【0043】
なお、第1実施形態では、外部機器としてテレビを用いて説明したが、テレビの代わりにコンピュータなどを使用しても良い。また、コンピュータに、図5から図8のGxA(x=1〜16)に対応する画像を順次表示するためのプログラムを、記録媒体やインターネットを介してインストールする構成としても良い。この場合、頭部装着型ディスプレイ100における位置調整ガイダンスに合わせて、コンピュータ側の位置調整ガイダンスをユーザが手動で進める構成としても良い。また、コンピュータと頭部装着型ディスプレイ100のターミナル103とを接続し、所定のタイミング制御信号をコンピュータから頭部装着型ディスプレイ100へ送る。そして、制御部135でタイミング制御信号を受信し、コンピュータから供給される画像データを表示するか否かを判定して、表示部112に位置調整ガイダンスのコンテンツを適当なタイミングで表示することにより、第1実施形態と同様に双方の位置調整ガイダンスを同期させても良い。
【0044】
また、第1実施形態では、位置調整ガイダンス時に、表示部112やテレビの表示をOFFする例を示したが、OFFする代わりに均一の画像(黒など)を表示しても良い。また、表示部112に何らかの画像が表示されている場合には、その背景画像をテレビに表示し、テレビに何らかの画像が表示されている場合には、その背景画像を表示部112に表示しても良い。
【0045】
<第2実施形態>
以下、図面に基づいて本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第2実施形態の頭部装着型ディスプレイは、第1実施形態の頭部装着型ディスプレイ100と同様の構成を有する。したがって、第2実施形態の頭部装着型ディスプレイの図示および構成の説明を省略し、第1実施形態の図1および図3と同様の符号を用いて説明する。
【0046】
第2実施形態における表示部112の位置調整ガイダンスについて説明する。
【0047】
本実施形態では、頭部装着型ディスプレイ100と頭部装着型ディスプレイ100の外部に配置される調整用指標とを用いて、位置調整ガイダンスを行う場合を例に挙げて説明する。調整用指標とは、図10Aに示すように、頭部装着型ディスプレイ100の外箱Bに印刷された指標である。この調整用指標は、頭部装着型ディスプレイ100において行われる位置調整ガイダンスと対応づけられたものであり、外箱Bの側面などに予め印刷される。なお、外箱以外にも、図10Bに示すように、直立可能な調整用指標であっても良い。また、紙などに印刷された調整用指標でもあっても良い。このような調整用指標は、頭部装着型ディスプレイ100とともに用意されても良いし、インターネットなどを介してコンピュータにより取得し、プリントアウトしたものでも良い。調整用指標の使用方法は後述する。
【0048】
制御部135は、記憶部134に記憶した位置調整ガイダンスに関する情報を、表示部112に再生して位置調整ガイダンスを行う。なお、位置調整ガイダンスを行うタイミングは、頭部装着型ディスプレイ100の電源がONされたタイミングでも良いし、操作部120を介したユーザ指示に基づくタイミングでも良い。また、頭部装着型ディスプレイ100の使用履歴(使用回数、累積使用時間、頭部装着型ディスプレイ100を前回使用してから今回使用するまでの経過時間など)などに応じて、制御部135が位置調整ガイダンスを行うタイミングを決定しても良い。
【0049】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、頭部装着型ディスプレイ100の使用時に、ユーザの眼から1m程度に存在する表示部112の拡大された像を、少し見下ろした状態で観察できるように表示部112の位置を調整するための位置調整ガイダンスを例に挙げて説明する。
【0050】
頭部装着型ディスプレイ100の位置調整ガイダンスに関して、取扱説明書や外箱などに、調整用指標を位置調整に適した位置(ユーザの眼から1m程度で、ユーザから見て少し見下ろした位置)に配置させることと、図5のG3A、G4AおよびG5Aに対応する説明が記載されているものとする。
【0051】
制御部135は、図6から図8のG6a、G7A、G8aからG16aと略同様の画像を各部を介して順次表示部112に表示する。ただし、G10aにおいて、制御部135は、左眼で表示部112を目視し、右眼で調整用指標を目視して2つのマーク(G11Aおよび調整用指標のマーク)が重なるように表示部112の位置を調整することを示す画像を表示する。ユーザは、左眼で表示部112を目視し、右眼で調整用指標を目視して2つのマーク(G11Aおよび調整用指標のマーク)が重なるように表示部112の位置を調整する。G11Aの指標および調整用指標は相関を有するので、このような調整を行うことにより、頭部装着型ディスプレイ100の使用時に、ユーザの眼から1m程度に存在する表示部112の拡大された像を、少し見下ろした状態で観察できるように表示部112の位置調整を行うことができる。G13aについても同様である。
【0052】
なお、本実施形態で説明した位置調整ガイダンスは、一例であり、調整方法を示す文章、図、画像や指標画像はこの例に限定されない。また、位置調整ガイダンスは、ユーザの所望のタイミングで中止や一時停止可能な構成としても良い。
【0053】
以上説明したように、第2実施形態によれば、頭部装着型ディスプレイは、画像を表示する表示部と、表示部の位置調整ガイダンスを再生する再生部と、調整用指標と関連付けられ、再生部により少なくとも表示部に出力される位置調整ガイダンスを示す情報を記憶する記憶部とを備える。したがって、第1実施形態と同様に、主にユーザの片眼に画像を表示する表示部を備え、ユーザの頭部に装着可能な頭部装着型ディスプレイにおいて、表示部の適切な位置調整を行わせることができる。
【0054】
また、第2実施形態によれば、位置調整ガイダンスを示す情報は、調整に関する指標を示す情報を有し、調整に関する指標は調整用指標と相関を有する。したがって、ユーザは、2つの指標が重なるように表示部の位置を調整することにより、簡単に適切な調整を行うことができる。
【0055】
なお、第2実施形態では、調整用指標として印刷物を例に挙げて説明したが、印刷物でなくても良い。例えば、コンピュータやTVなどの表示装置を使用して、調整用指標を表示する構成としても良い。
【0056】
また、上記各実施形態では、ユーザが、頭部装着型ディスプレイ100の使用時に、ユーザの眼から1m程度に存在する表示部112の拡大された像を、少し見下ろした状態で観察できるように表示部112の位置を調整させるための位置調整ガイダンスを例に挙げて説明したが、これ以外の調整にも本発明を同様に適用することができる。例えば、頭部装着型ディスプレイ100の使用時に、左眼と右眼とで異なる画像を観察できるように表示部112の位置を調整させる場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0057】
また、上記各実施形態では、表示部112を用いた位置調整ガイダンスについて説明したが、スピーカ111を用いた音声による位置調整ガイダンスを組み合わせる構成としても良い。音声による位置調整ガイダンスを組み合わせる場合には、表示部112に表示する画像と同期した音声情報を再生すれば良い。
【0058】
また、上記各実施形態で説明した構成以外の頭部装着型ディスプレイにも本発明を同様に適用することができる。例えば、表示部を頭頂部方向に跳ね上げるオーバーヘッドアーム形状の頭部装着型ディスプレイの代わりに、表示部をスライド式に出し入れする頭部装着型ディスプレイにも本発明を同様に適用することができる。また、本実施形態で説明したターミナルと本体とが一体となった頭部装着型ディスプレイにも本発明を同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
100…頭部装着型ディスプレイ,112…表示部,112a…支持アーム,132…接続部,134…記憶部,135…制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの片眼に画像を表示する表示部を備えた頭部装着型ディスプレイであって、
前記表示部の位置調整ガイダンスを再生する再生部と、
前記頭部装着型ディスプレイ以外の外部出力機器に接続する接続部と、
前記再生部により少なくとも前記表示部に出力される第1の位置調整ガイダンスを示す情報と、前記第1の調整ガイダンスと関連付けられ、前記再生部により前記外部出力機器に出力される第2の位置調整ガイダンスを示す情報とを記憶する記憶部と
を備えたことを特徴とする頭部装着型ディスプレイ。
【請求項2】
請求項1に記載の頭部装着型ディスプレイにおいて、
前記第1の位置調整ガイダンスを示す情報および前記第2の位置調整ガイダンスを示す情報は、調整に関する指標を示す情報を有し、前記第1の位置調整ガイダンスおよび前記第2の位置調整ガイダンスの前記指標を示す情報は相関を有する
ことを特徴とする頭部装着型ディスプレイ。
【請求項3】
ユーザの片眼に画像を表示する表示部を備えた頭部装着型ディスプレイと、調整用指標とからなる頭部装着型ディスプレイシステムであって、
前記頭部装着型ディスプレイは、
画像を表示する表示部と、
前記表示部の位置調整ガイダンスを再生する再生部と、
前記調整用指標と関連付けられ、前記再生部により少なくとも前記表示部に出力される位置調整ガイダンスを示す情報を記憶する記憶部とを備える
ことを特徴とする頭部装着型ディスプレイシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の頭部装着型ディスプレイにおいて、
前記位置調整ガイダンスを示す情報は、調整に関する指標を示す情報を有し、前記調整に関する指標は前記調整用指標と相関を有する
ことを特徴とする頭部装着型ディスプレイシステム。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の頭部装着型ディスプレイにおいて、
前記調整用指標は、前記頭部装着型ディスプレイ以外の外部出力機器により再生されるデータである
ことを特徴とする頭部装着型ディスプレイシステム。
【請求項6】
ユーザの片眼に画像を表示する表示部を備えた頭部装着型ディスプレイにおける前記表示部の位置調整方法であって、
前記表示部に位置調整ガイダンスを再生する再生手順と、
再生された前記位置調整ガイダンスと、前記頭部装着型ディスプレイの外部に存在し、前記位置調整ガイダンスと関連付けられた調整用指標とを用いて、前記表示部の位置調整を行う調整手順と
を有することを特徴とする位置調整方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−226355(P2012−226355A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−128635(P2012−128635)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【分割の表示】特願2006−175585(P2006−175585)の分割
【原出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】