説明

顔料および充填剤を分散するためのポリマー

この発明は、次の構造式(I)で示されるポリマーに係り、


その際RないしRならびに指数A,B,C,M,Nは請求項1に記載された定義を有するものとなる。本発明に係るポリマーは特に塗料中の顔料あるいは充填剤用の分散剤として適している。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
この発明は、分散剤として使用することができるポリマーとそのポリマーの製造方法、ならびに特に例えばインクおよび塗料等の色素入りペースト材ならびに被覆化合物中の顔料および充填剤用の分散剤としてのポリマーの適用方法に関する。
【0002】
均質な顔料塗付ならびに被覆化合物中における高い色強度を得るために、その中に含まれる顔料粒子が安定的な分散を達成する必要があり、すなわち可能な限り小さな一次粒子として均一に分散する必要がある。そのため分散した顔料粒子が一方で溶剤によって良好に湿潤化していて、他方で顔料粒子の再凝集を防止する必要があり、それによって溶剤中で即座に沈殿し得る大きな凝集体の形成が抑制される。顔料粒子あるいは被覆化合物内に使用されている充填剤の表面は極めて有極性から極めて非有極性の範囲となり得る。そのため粒子と溶剤あるいは結合剤との相溶性を達成するために、分散剤が使用される。これは一方で粒子の表面と他方で溶剤との間で相互作用を成す必要があり、それによって粒子の湿潤性を改善し、また安定的な分散を達成する。従ってその分散剤は溶剤あるいは結合剤と良好に融和する分子領域を有する必要がある。有機ベースのシステムを使用する場合、例えばアルキル、ポリエステル、あるいはアリール基等の疎水性構造が分散剤の分子内に存在することが可能である。水性のシステム中においては、相溶性の部分が通常ポリエチレングリコールあるいは(塩化された)炭酸基を有する重合化されたモノマーから形成される。例えば無機質顔料粒子の有極性表面は、その粒子の有極性の表面に結合する有極性の部分と溶剤との間の融和を形成する非極性の領域とを有するポリマーによって被覆することができる。有極性の領域は例えば、ポリマー中に(第三級)アミノ基、リン酸基、あるいは炭酸基が存在することによって形成される。従って顔料粒子の有極性表面は、顔料粒子の表面に比べてより非極性の性質を有する外殻材によって被覆される。すなわち顔料粒子の表面はその極性に関して溶剤または結合剤に類似したものとなる。そのような方式によって、顔料粒子を溶剤によって湿潤化および分散することができ、従ってそれは均質かつ微細に分配され、溶剤上を浮遊したりまた沈殿したりすることはなくなる。殆どの場合ポリマーは、さらに立体障害によって個々の顔料粒子の凝集を防止する立体障害性の基を含んでいる。
【0003】
欧州特許出願公開第1197536号A2明細書には、顔料の分散剤として使用可能な化合物が記載されている。この化合物は、約5000ないし100000の平均分子量を有するとともに、ポリマー主鎖ならびに主鎖から誘導された陰イオン性および非イオン性の親水性スメクタイトを含んだグラフト重合体を有する。側鎖に比べてポリマー主鎖は疎水性の特性を有しており、重合化されていてエチレン非飽和の疎水性モノマーと、ポリマー主鎖の総量に対して30重量%までである顔料の結合力を強化することができる官能基を担持するものであって、重合化されていてエチレン非飽和のモノマーを含んでいる。陰イオン性の側鎖は、重合化されていてエチレン非飽和のモノマーから生成されるとともに、非イオン性の側鎖の総量に対して2ないし100重量%であって、重合化されていてエチレン非飽和の酸性モノマーを含んでいる親水性のマクロモノマーから形成される。非イオン性の側鎖は、ポリアルキレングリコールを含んでいる、親水性でエチレン非飽和のマクロモノマーから形成される。
【0004】
欧州特許出願公開第1081169号A1明細書には:
(A) 50ないし93重量%の少なくとも1種類のエチレン非飽和のモノマー、
(B) 2ないし25重量%の1000ないし20000の分子量を有する少なくとも1種類のエチレン非飽和のマクロモノマー、
(C) 5ないし25重量%の少なくとも1種類の重合化可能なイミダゾール誘導体、
のモノマー混合物から誘導される分岐ポリマーが記載されており、その際成分(A)、(B)および(C)の合計が100%となり、ポリマーは15000ないし100000の分子量を有していて、場合によって塩の形態となる。このポリマーは着色料ならびに塗料製造用の分散剤として使用することができる。
【0005】
欧州特許出願公開第1293523号A2明細書には、分散された顔料と水性の担体と分散剤としての分岐ポリマーを有していて被覆用の水性化合物の製造に使用可能である、水をベースにした顔料分散が記載されている。分散剤として使用可能なポリマーは、約5000ないし100000の量平均分子量を有していて、20ないし80重量%の親水性主鎖と80ないし20重量%のマクロモノマー性側鎖を含んでいる。主鎖は、その主鎖の重量に対して、カルボキシル基を含んでおらず重合化されていてエチレン非飽和のモノマー70ないし98重量%と、カルボキシル基を担持しており重合化されていてエチレン非飽和のモノマー2ないし30重量%とから形成されており、その際少なくとも10%のカルボキシル基がアミンまたは無機質の塩基によって中和されている。主鎖は側鎖に比べて親水性の特性を有している。側鎖は、マクロモノマー上に形成されたエチレン非飽和の基を介してマクロモノマー中に共重合されている、重合化されていてエチレン非飽和のモノマーのマクロモノマーからなり、ここでそのマクロモノマーは1000ないし30000の分子量を有している。カルボキシル基を含んでいない主鎖ならびにマクロモノマーのモノマーは、アルキルアクリル酸塩、アルキルメタクリル酸塩、脂環式アクリル酸塩、アリールアクリル酸塩、アリールメタクリル酸塩、スチロール、アルキルスチロール、アクリルニトリル、ヒドロキシアルキルアクリル酸塩、ヒドロキシアルキルメタクリル酸塩、ならびにそれらの混合物の一群の中から選択される。カルボキシル基を担持しているエチレン非飽和の主鎖のモノマーは、アクリル酸ならびにメタクリル酸の一群の中から選択される。アルキルおよびアリール基、ならびに脂環式の基は、いずれも1ないし12個の炭素原子を含んでいる。ポリマーに対する顔料の比は、重量比で1/100ないし200/100となる。分散剤として含まれている分岐ポリマーは、ヒドロキシル基を担持しているモノマーを5ないし40重量%含んでいる。この水をベースにした顔料分散は、より高い剪断速度(1000s−1)においてロトビスコ粘度計で測定して10ないし1000mPasの粘度を有する。
【0006】
欧州特許出願公開第0311157号A1明細書には、分散剤として使用可能なポリマーが記載されている。これは、(A)0ないし80mol%のスチロール誘導体と、(B)0ないし70mol%のアクリル酸塩あるいはメタクリル酸塩誘導体と、(C)5ないし50mol%の、少なくとも1種類の塩基性窒素原子を環内に有するヘテロ環基を含んだモノマーと、(D)0ないし10mol%の、湿潤化あるいは結合の作用を成し得る基を含んだモノマーと、0ないし20mol%の前記(A)ないし(D)の基に該当しないモノマーとから形成され、その際(A)の基のモノマーとアクリル酸塩基を有するモノマーの割合が少なくとも20mol%を成すものとなる。
【0007】
被覆システムは通常多数の成分を固体あるいは液体相として有していて、その際システムの分離が発生しないように個々の構成成分が互いに適合するものである必要がある。さらに、得られた顔料を可能な限り効率的に使用し従って少量の着色料あるいは塗料によって良好な色濃度および被覆を達成し得ることが好適である。加えて、容易に加工し均等な塗布が可能になるように、色システムが適切な粘度を有する必要がある。従って特定のシステムについて可能な限り理想的な被覆システムを得るために、それぞれ個別に顔料粒子あるいは充填剤用の適宜な分散剤を検索する必要がある。従って被覆システムの仕様のために既に多数の分散剤が知られているにもかかわらず、塗料システムの調整のさらなる最適化を可能にする新規の分散剤が必要とされている。
【0008】
従って本発明の目的は、例えば着色料、塗料、ならびにその他の被覆システム中の分散剤として適したポリマーを提供することである。
【0009】
前記の課題は、次の構造式(I)のポリマーによって解決される:
【0010】
【化1】

【0011】
ここで:
: いずれも互いに独立した:H、あるいは炭素数1ないし6のアルキル基;
: H、炭素数1ないし8のアルキル基、アルカリイオン、アルカリ土類イオン、アンモニウムイオン、またはその他の任意の塩基の残余物;
: 炭素数6ないし18のアラルキル基またはアリール基;

【0012】
【化2】

【0013】
: H、または炭素数1ないし6のアルキル基;
,R: いずれも互いに独立した:Hまたはメチル;
,R: H、または任意の末端基;
a: 0.1ないし0.9;
b: 0.9ないし0.1;
c: 0.001ないし0.5;
m: 1ないし4
n: 1ないし150
である。
【0014】
本発明に係るポリマーは主鎖として炭化水素鎖を有しており、それが側方に(塩化された)カルボキシル基、ポリエーテル、ならびに非極性のアリールあるいはアラルキル基を担持している。従って指数a,bおよびcによって示されている反復単位の比率によって、本発明に係るポリマーによって被覆されるものである例えば顔料粒子の表面に対する主鎖の極性を決定することができる。有極性の表面に対して指数aによって示されている反復単位のカルボキシル基を少なくとも部分的にカルボキシレート基に変換することができ、従って主鎖に対して側方に顔料粒子の有極性表面にポリマーを固着するためのアンカ基として作用する負性の基を有する。従ってRは陽子あるいはアルカリイオン、またはアンモニウムイオンを示すものであることが好適であり、その際それらは例えばアルカリ塩基あるいは窒素塩基等の適宜な塩基によってポリマーを中和することによって誘導される。しかしながらカルボキシル基の中和に適しているその他の任意の塩基を使用することもできる。
【0015】
指数bによって示されている反復単位により、基Rを介して非極性の基がポリマー内に誘導される。好適なものは炭素数6ないし18のアラルキル基またはアリール基である。アラルキル基とは、メチル基あるいはメチレン基のように少なくとも1つのアルキル基あるいはアルキレン基によって置換されているアリール基であると理解される。特に好適には、Rはフェニル基、または1つあるいは複数のメチル基あるいはイソブチル基によって置換されたフェニル基とされる。
【0016】
指数cによって示されている反復単位により、ポリマー主鎖の側方に長鎖のポリエーテル基が配置されている。このポリエーテル基は末端に水素原子または炭素数1ないし8のアルキル基を担持することができ、その際陽子ならびにメチル基が好適である。ポリエーテル鎖は、RおよびRの基によって側方にメチル基を担持することができる。側方のポリエーテル基としては、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドを使用することが好適であり、ここでポリエチレンオキシドが極めて好適である。nの値が1ないし150、特に5ないし45、特に好適には10ないし25となるように鎖長を選択する。
【0017】
ポリマーは通常、ラジカル重合の初期化、または連鎖移動反応、または連鎖停止反応によって生成された末端基RおよびRを有している。基RおよびRは、例えば陽子とするか、ラジカル開始剤から生成された基とするか、あるいは連鎖移動反応によって生成され硫黄を含有している基とすることができる。
【0018】
ポリマーの性質は指数a,b,およびcを有する各反復単位の比率(a+b+c=1)によって調節することができる。その際aは0.1ないし0.9の範囲、bは0.9ないし0.1の範囲、cは0.001ないし0.5の範囲で選択される。数値範囲は指数aに対して0.1ないし0.5、指数bは0.9ないし0.4、指数cは0.001ないし0.25;特に数値範囲が指数aに対して0.2ないし0.4、指数bは0.8ないし0.6、指数cは0.001ないし0.1となることが好適である。
【0019】
の基は、いずれの反復単位に対しても独立していて、プロトンまたはメチル基とされる。
【0020】
本発明に係るポリマーの分子量は、意図される適用方式に従ったものとなる。ポリマーの分子量は1000ないし100000u、特に2000ないし50000u、特に好適には4000ないし20000uの範囲となる。
【0021】
構造式(I)内に示されている反復単位と並んで、本発明に係るポリマーはさらに別の反復単位を有することができる。それらの別の反復単位によって、必要に応じてポリマーの微調整を行うことができる。
【0022】
本発明に係るポリマーは一般的な重合方式によって製造することができる。
【0023】
従って本発明の対象はさらに構造式Iのポリマーの製造方法であり、その際構造式(III)ないし(V)のモノマーがa:b:cの比率でラジカル重合されるものであり、
【0024】
【化3】

【0025】
ここで、R,R,R,R,a,bおよびcは前述と同様の意味を有する。
【0026】
ラジカル重合は実質的に大量方式で実施することができる。そのため、原料成分の一部または全量を用意して一般的なラジカル開始剤を添加し、それによってラジカル重合を開始する。ラジカル開始剤として、例えばアゾ化合物あるいは過酸化水素等の一般的な化合物を使用することができる。適宜なラジカル開始剤は、例えば過酸化ジベンゾイルあるいはアゾイソブチロニトリル、過酸化ジラウロイル、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジクミルペルオキシドである。しかしながら、ラジカル反応の開始は、紫外線照射等の高エネルギー照射、あるいは強度の加熱によって起動することもできる。加えて、例えば所要の鎖長に調節するために、重合中に一般的な化合物を添加することもできる。例えばメルカプタン、ハロゲン含有炭化水素、アルデヒド、ケトン、ならびにアルコール等の連鎖移動試薬を使用することが好適である。
【0027】
特に産業用の規模での製造に対して、適宜な溶媒中において好適には沸騰温度で還流させながら反応を実施することが好適である。適宜な溶媒は例えば、メタノール、エタノールあるいはイソプロパノール等のアルコール、アセトンあるいはメチルエチルケトン等のケトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルあるいはメチルt−ブチルエーテル等のエーテル化合物、エチルアセテートあるいはブチルアセテート等のエステル化合物である。適切な溶媒は、当業者において順次実験によって求めることができる。溶媒は場合によって水を含むものとすることもできる。その際の水分量は、溶媒の量に対して0ないし50重量%となり得る。
【0028】
重合はバッチ方式で実施することができ、すなわち反応開始に際して反応物が反応容器内に収容され、ラジカル開始剤の付加によって反応が開始される。しかしながら、流入プロセスによって反応を実施することもでき、その際反応物の全量あるいは一部が反応中に反応容器内に誘導される。
【0029】
重合反応の終了後に溶媒を蒸留によって除去することができ、得られたポリマーは一般的な方式で後処理することができる。
【0030】
製造後にポリマーを中和すれば特に好適である。この場合、Rの基は構造式(III)の化合物中において陽子に相当し、これは中和によって適宜な塩基陽イオンによって置換される。このポリマーの中和は、特に水酸化ナトリウム等のアルカリ(土)水酸化物等の一般的な塩基化合物、あるいは適宜なアミノ化合物によって実施される。中和は水性の水酸化ナトリウムによって実施することが好適である。続いて溶媒を蒸留によって除去するが、その際ポリマーへの熱負荷を抑制するために圧力を低減して蒸留を実施することが好適である。蒸留に際しては溶媒ならびに残留しているモノマーが可能な限り完全に除去される。
【0031】
前述したモノマーと並んで、別のラジカル重合性モノマーを反応混合物内に付加することも可能である。ここで適したものは例えば、アリルエーテルあるいはアリルアセテート等のアリル化合物、または酢酸ビニル等のビニル化合物である。
【0032】
本発明の別の対象は、前述したポリマーの分散剤としての適用方法である。前述したように本発明に係るポリマーは、その極性が表面の極性に対応していて付着することが可能な主鎖を含んでいる。本発明に係るポリマーはさらに長鎖の側方ポリエーテル鎖を含んでいて、これが立体障害によって本発明に係るポリマーによって被覆された粒子の凝集を防止し;分散の安定化はさらに構造式IIIのモノマー内に静電反発の作用を成すイオン基が存在することによって補完される。本発明に係るポリマーは、顔料および充填剤用の分散剤として特に適している。顔料の例としては、TiO、Fe、BaSO、Cr、または例えば二酸化チタンあるいは酸化鉄によって被覆することが可能なマイカ粒子か、あるいはアルミニウム粉が挙げられる。本発明に係るポリマーは、無機顔料の他に、例えば銅フタロシアニン、アゾ顔料、キナクリドン顔料、またはジケトピロロピロール顔料等の有機顔料用の分散剤として使用することができる。本発明に係るポリマーはさらに、例えば硫酸バリウム等の充填剤用の分散剤として使用することができる。
【0033】
次に本発明について、添付図面を参照しながら以下に記述する実施例によってさらに詳細に説明する。
【0034】
例1:
温度計、窒素ポート、ならびに強力冷却器を備えた1lの三口フラスコ内において、291.8gのスチロールと603.3gのメタクリル酸と、209.8gのメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(1000g/mol)(MPEG1000MA)(HO中に50%)を攪拌しながらテトラヒドロフラン中に溶解した。その後30.2gの過酸化ジベンゾイル(HO中に75%)を添加し、フラスコ内容物を軽く窒素を流しながら65℃に温度調節した。混合物を攪拌しながら18時間加熱した。その後略室温まで冷却した。強力に攪拌しながら73.75gの固体NaOHと1.25lの無イオン水を分割しながら付加した。フラスコ内容物が再度溶解された後、テトラヒドロフラン、水、ならびに転化されていないスチロールを減圧下で蒸留して除去した。その際圧力は、混合物の温度が40℃を超過しないように選択した。好適なポリマー溶液は、水によって固形成分が約33重量%になるように調節した。
【0035】
例2:
TiOおよび銅フタロシアニン顔料に対する安定化効果を検査するために、例1によって得られたポリマーを多様な濃度で水性の1%色素分散液に適用した。ポリマーを添加ならびに添加せずに、分散装置内においてZrO丸剤を付加しながらTiOおよび銅フタロシアニンを30分間水中に分散させ、その後実験室条件下で沈殿を検査した。その際沈殿レベルを時間に対して測定した。TiOを使用した沈殿試験の結果は図1に示され、銅フタロシアニンを使用した沈殿試験の結果は図2に示されている。
【0036】
本発明に係るポリマーの添加によって、顔料の沈殿を低速化することができた。その際安定化の程度はポリマーの濃度に依存する。
【0037】
例3:
塗料中における効果頻度の配向の影響を、イリオヂン(R)225(ダルムシュタット市のメルクKGaA社製)の例によって実験した。例1で得られたポリマーの水性溶液中で顔料を800回転/分で1時間攪拌し、その際異なった濃度(色素に対して0.5%,3%,5%,および10%)のポリマー溶液を使用した。続いて、顔料を濾過し、乾燥させ、さらに水がベースのもの(クランプ社製の1Kヒドロプラスト・エコノミー・アクリレートラック(R))ならびに溶媒を含んでいる塗料(PPG社製のセラミクリアPU−クラックラック(R))中に固形成分に対して10重量%の濃度および1000回転/分の速度で20分間攪拌して溶解した。用意された試験塗料をレネタ(R)対比板上に10±5μmの乾燥厚となるように噴射によって塗布した。顔料小板片の配向の定量判定のために配向パラメータL25/L75を使用し、その際ジャイロ方式によって25°および75°の角度でL25およびL75が比色によって判定された。配向パラメータがより大きくかつ均一である程、顔料小板片の水平配向がより良好になる。理想的なケースにおいて、配向パラメータの数値が円を描くものとなる。実施された配向パラメータの測定の結果が図3および図4に示されている。
【0038】
図3および図4により、水性および溶媒を含んだ塗料のいずれの中においても真珠箔顔料の粒子の配向が本発明に係るポリマーによる顔料の処理により良好な影響を受けることが示されている。顔料に対するポリマーの濃度が増加するに従って、顔料粒子の水平配向が増加する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係るポリマーを添加して、および添加せずに実施したTiOの沈殿試験の結果を示したグラフである。
【図2】本発明に係るポリマーを添加して、および添加せずに実施した銅フタロシアニンの沈殿試験の結果を示したグラフである。
【図3】本発明に係るポリマーを添加した際の水性アクリレート塗料中のイリオヂン(Iriodin)(R)225に対する配向パラメータを示したグラフである。
【図4】本発明に係るポリマーを添加した際の溶媒を含んだポリウレタン塗料中のイリオヂン(Iriodin)(R)225に対する配向パラメータを示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構造式(I)で示されるものであって:
【化1】

その際:
: いずれも互いに独立した:H、あるいは炭素数1ないし6のアルキル基;
: H、炭素数1ないし8のアルキル基、アルカリイオン、アルカリ土類イオン、アンモニウムイオン、またはその他の任意の塩基の残余物;
: 炭素数6ないし18のアラルキル基またはアリール基;

【化2】

: H、または炭素数1ないし6のアルキル基;
,R: いずれも互いに独立した:Hまたはメチル;
,R: H、または任意の末端基;
a: 0.1ないし0.9;
b: 0.9ないし0.1;
c: 0.001ないし0.5;
m: 1ないし4
n: 1ないし150、
であるポリマー。
【請求項2】
1000ないし100000の範囲の分子量を有する請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
前記構造式Iのポリマーの製造するものであって、以下の構造式(III)ないし(V)のモノマーがa:b:cの比率でラジカル重合され、
【化3】

その際R,R,R,R,a,bおよびcは請求項1の記載と同様の定義を有するものである、ポリマーの製造方法。
【請求項4】
ラジカル重合は溶媒中において還流を施しながら実施される請求項3記載の方法。
【請求項5】
は水素原子であり、ラジカル重合の後に構造式(III)のモノマーから生じた反復単位の炭酸基をカルボキシレートに転化するために塩基を添加してなる請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
請求項1または2記載のポリマーの分散剤としての適用方法。
【請求項7】
顔料および充填剤に対する請求項6記載の分散剤の適用方法。
【請求項8】
請求項1または2記載のポリマーを含んだ被覆剤、ペースト剤、および/または成形材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−539289(P2008−539289A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508149(P2008−508149)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003880
【国際公開番号】WO2006/114303
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(507294959)ジュート−ヒェミー アクチェンゲゼルシャフト (21)
【Fターム(参考)】