説明

顔料組成物の調製方法

本発明は、少なくとも1つのポリアミン、少なくとも1つの顔料、及び少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有する少なくとも1つのポリマーを混合する工程を含む顔料組成物を調製する方法に関する。この方法の種々の実施態様が開示される。本発明はさらに、顔料組成物及びその使用、例えばインクジェットインク組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料とポリマーとを含む顔料組成物の調製方法、並びに得られる顔料組成物及び顔料組成物を含むインクジェットインク組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットインク組成物は、概して、キャリアとして機能するビヒクル、及び染料または顔料などの着色剤からなる。添加剤及び/または共溶媒はまた、インクジェットインクを調整して所望の全体的な性能特性を得るために、導入され得る。
【0003】
概して、顔料単独では、液体ビヒクル中に容易に分散しない。インクジェット印刷に用いられ得る安定な顔料分散を提供することができる様々な技法が開発された。例えば、分散剤を顔料に添加して、特定の媒体中における分散性を改良することができる。分散剤の例には、水溶性ポリマー及び界面活性剤が含まれる。典型的には、これらの高分子分散剤は、溶解性及びそれゆえの顔料安定性を維持するために20,000未満の分子量を有する。
【0004】
顔料の表面は、様々な異なる官能基を含み、存在する官能基の種類は、顔料の特定の種類に依存する。材料をグラフトするいくつかの方法が開発され、特に、これらの顔料の表面にポリマーをグラフトするいくつかの方法が開発された。例えば、ポリマーを、フェノール及びカルボキシル基などの表面基を含むカーボンブラックに付加することが、立証されている。しかしながら、顔料表面の固有の機能に依存する方法は概して適用することができない。なぜならば、全ての顔料が、同じ特定の官能基を有してはいないからである。
【0005】
また、様々な異なる付加された官能基を有する顔料を提供することができる改質顔料生成物の調製方法が開発された。例えば、米国特許第5,851,280号には、顔料へ有機基を付加する方法が開示されており、例えば、有機基がジアゾニウム塩の一部となるジアゾニウム反応によって付加する方法が開示されている。
【0006】
改質顔料を調製する他の方法であって、付加されたポリマー基を有する顔料などの方法がまた、開示されている。例えば、PCT国際公開第WO01/51566号には、第1化学基及び第2化学基を反応させて、付加された第3化学基を有する顔料を生成する、改質顔料の製造方法が記載されている。これらの顔料を含むインクジェットインクなどのインク組成物がまた開示されている。また、米国特許第5,698,016号には、両親媒性イオンと、付加された少なくとも1つの有機基を有する炭素を含む改質された炭素生成物とを含む組成物が開示されている。有機基は、両親媒性イオンと反対の電荷を有する。また、水性及び非水性インク、並びにこの組成物を含むインクジェットインク組成物などのコーティング組成物が開示されている。さらに、ポリマー被覆炭素生成物及びそれらの調製方法が、米国特許第6,458,458号に開示され、多層顔料及びそれらの調製方法が、米国出願公開第2006/0178447号に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの方法が、付加された基を有する改質顔料を提供するが、依然として、顔料組成物、特にポリマーを含む顔料組成物を調製すること、それによって、改質顔料を生成するための有利な代替手段を提供するための改良された方法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ポリアミン、顔料、及び少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマーを混合する工程を含む顔料組成物の調製方法に関する。一実施態様において、本方法は、ポリアミン及び顔料を混合して被覆顔料を形成する工程と、被覆顔料及びポリマーを混合する工程とを含み、ポリマーはポリマー溶融物の形態であるか、ポリマー溶融物を形成するのに十分な温度にその後に加熱される。第二実施態様において、本方法は、ポリアミン及び顔料を任意の順番で、ポリマー溶融物の形態であるポリマーと混合する工程を含む。本発明はさらに、本方法によって調製される顔料組成物、並びに顔料組成物を含むインクジェットインク組成物に関する。
【0009】
上述の概要及び以下に述べる詳細な説明は、具体例であって、例示のみを目的としており、特許を請求する本発明をさらに説明するものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、顔料組成物の調製方法、顔料組成物、及び顔料組成物を含むインクジェットインク組成物に関する。
【0011】
本発明の方法は、ポリアミン、顔料、及び少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマーを混合する工程を含み、ポリマーは溶融物の形態であるか、または十分な温度に加熱され溶融物を生成する。これらのそれぞれについて、以下に別々に述べる。成分は任意の順番で混合することができる。例えば、本発明の一実施態様において、本方法は、ポリアミンと顔料とを混合して被覆顔料を生成する工程を含む。次いで、得られた被覆顔料と溶融物の形態のポリマーとを混合するか、別法では、得られた被覆顔料とポリマーとを混合し、得られた混合物を、ポリマーの溶融物を生成するのに十分な温度、例えばポリマーのTgよりも高い温度に加熱する。また、本発明の方法の第二実施態様において、例えばポリマーのTgよりも高い温度にポリマーを加熱することによって生成したポリマーの溶融物に、ポリアミンと顔料とを添加するか、別法では、ポリアミンと顔料とをポリマーに添加して、次いで、得られた混合物をポリマーの溶融物を生成するのに十分な温度に加熱する。他の組み合わせも可能である。
【0012】
本発明の方法について、ポリアミンは、1を超えるアミン基を有する任意の材料であることができ、好ましくは2以上の第1級アミン基及び/または第2級アミン基を有する任意の材料であることができる。ポリアミンは、芳香族若しくは複素環式芳香族ポリアミン(フェニレンジアミン、アミノベンジルアミン、若しくはアミノフェネチルアミンなど)、または分枝鎖若しくは非分枝鎖、環式若しくは非環式のアルキルポリアミン(アルキレンジアミンなど)であることができる。好適なアルキルポリアミンの具体例には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、及びそれらの異性体が含まれる。ポリアミンはまた、末端基としての、ポリマー骨格の一部としての、またはポリマー骨格へのペンダント基としての、2以上のアミン基を有するポリマー化合物であることができる。好適な例には、例えば、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、直鎖状または分枝鎖状のポリアルキレンイミン(ポリエチレンイミン及びポリプロピレンイミンなど)、アミノ末端基を含むポリアミド、アミノペンダント基を含むポリアクリレート、及びポリアミドアミン(PAMNAM)などのデンドリマーが含まれる。2を超えるアミン基を有する材料が好ましい。というのは、以下に詳細に述べるように、これらのポリアミンが、顔料及び/またはポリマーとの反応または相互作用のための追加の部位を提供するからである。
【0013】
ポリアミンは、固体または液体の形態であることができる。液体形態であるとき、ポリアミンは、第1溶媒中に溶解した形態であることができ、第1溶媒は、水性溶媒(50質量%異常の水を含む)または非水性溶媒(50質量%未満の水を含む)であることができる。好ましくは、溶媒は、以下に詳細に述べるように、ポリマーの融点未満となる沸点を有する溶媒である。溶媒の具体例には、水、アルコール(メタノール若しくはエタノールなど)、エーテル(ジエチルエーテル若しくはTHFなど)、またはケトン溶媒(アセトン若しくはメチルエチルケトンなど)が含まれる。水及びアルコールの溶媒が好ましい。
【0014】
本発明の方法に用いられる顔料は、当業者によって常用される任意の種類の顔料であることができ、炭素質黒色顔料及び有機着色顔料が含まれる。異なる顔料の混合物も用いることができる。炭素質黒色顔料の代表的な例には、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ガスブラック、及びランプブラックなどの様々なカーボンブラック(Pigment Black 7)が含まれ、並びに、Cabot Corporationから入手可能な、Regal(商標)、Black Pearls(商標)、Elftex(商標)、Monarch(商標)、Mogul(商標)、及びVulcan(商標)の商標名で販売されているカーボンブラック(Black Pearls(商標)2000、Black Pearls(商標)1400、Black Pearls(商標)1300、Black Pearls(商標)1100、Black Pearls(商標)1000、Black Pearls(商標)900、Black Pearls(商標)880、Black Pearls(商標)800、Black Pearls(商標)700、Black Pearls(商標)570、Black Pearls(商標)L、Elftex(商標)8、Monarch(商標)1400、Monarch(商標)1300、Monarch(商標)1100、Monarch(商標)1000、Monarch(商標)900、Monarch(商標)880、Monarch(商標)800、Monarch(商標)700、Regal(商標)660、Mogul(商標)L、Regal(商標)330、Regal(商標)400、Vulcan(商標)Pなど)が含まれる。他の供給業者から入手可能なカーボンブラックを用いることができる。有機着色顔料の代表的な例には、例えば、青色、黒色、茶色、青緑色、緑色、白色、スミレ色、赤紫色、赤色、橙色、または黄色の顔料が挙げられる。好適な種類には、例えば、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピラントロン、ペリレン、複素環式イエロー、キナクリドン、キノロノキノロン、及び(チオ)インジゴイドが挙げられる。上記の顔料は、BASF Corporation、Engelhard Corporation、Sun Chemical Corporation、Clariant、及びDianippon Ink and Chemicals(DIC)などの複数の供給元から粉体またはプレスケーキ形態で商業的に入手可能である。他の好適な着色顔料の例は、Colour Index, 3rd edition(The Society of Dyers and Colourists, 1982)に記載されている。好ましくは、顔料は、Pigment Blue 15若しくはPigment Blue 60のなどの青緑色顔料、Pigment Red 122、Pigment Red 177、Pigment Red 185、Pigment Red 202、若しくは Pigment Violet 19などの赤紫色顔料、Pigment Yellow 74、Pigment Yellow 128、Pigment Yellow 139、Pigment Yellow 155、Pigment Yellow 180、Pigment Yellow 185、Pigment Yellow 218、Pigment Yellow 220、若しくは Pigment Yellow 221などの黄色顔料,Orange 168などの橙色顔料、Pigment Green 7若しくはPigment Green 36などの緑色顔料、またはカーボンブラックなどの黒色顔料である。
【0015】
顔料はまた、表面上にイオン基及び/またはイオン化可能基を導入するために酸化剤を用いて酸化された顔料、特に炭素質黒色顔料であることができる。このようにして調製された顔料は、その表面上に、より高い割合の酸素含有基を有することが分かった。酸化剤には、限定されるものではないが、酸素ガス、オゾン、NO2(NO2及び空気の混合物を含む)、過酸化水素などの過酸化物、過硫酸塩、例えば過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、または過硫酸アンモニウムなど、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜ハロゲン酸塩(hypohalite)、亜ハロゲン酸塩(halite)、ハロゲン酸塩(halate)、または過ハロゲン酸塩(perhalate)(亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、または過塩素酸ナトリウムなど)、硝酸などの酸化剤、並びに遷移金属含有オキシダント、例えば過マンガン酸塩、四酸化オスミウム、酸化クロム、または硝酸セリウムアンモニウムなどが含まれる。オキシダントの混合物も用いることができ、特に酸素及びオゾンのようなガス状オキシダントの混合物を用いることができる。さらに、塩素化及びスルホニル化などの、顔料の表面にイオン基またはイオン化可能基を導入するための他の表面改質方法を用いて調製された顔料、特に炭素質黒色顔料も用いることができる。
【0016】
顔料はまた、付加された少なくとも1つの有機基を有する顔料を含む改質顔料であることができる。好ましくは、有機基は直接付加される。例えば、改質顔料は、少なくとも1つのイオン基、少なくとも1つのイオン化可能基、またはそれらの混合物を含む付加された少なくとも1つの有機基を有する顔料であることができる。イオン基は、アニオン性またはカチオン性であり、且つNa+、K+、Li+、NH4+、NR'4+アセテート、NO3-、SO42-、OH-、及びCl-(式中、R'は、水素または置換若しくは非置換のアリール及び/若しくはアルキル基などの有機基である)などの無機または有機の対イオンを含む反対の電荷の対イオンと結びつく。イオン化可能基は、水中にイオン基を形成することができる基であり、且つ対イオンを断ち切るために添加剤を用いなければ、ある程度、低極性の媒体中でその対イオンと結びつく基である。アニオン化可能基はアニオンを形成し、カチオン化可能基はカチオンを形成する。したがって、有機基は、有機のイオン基またはイオン化可能基である。そのような基には、米国特許第5,698,016号に記載されている基が含まれ、その記載は、参照によって本明細書に完全に組み込まれる。
【0017】
例として、改質顔料は、少なくとも1つのアニオン基及び/または少なくとも1つのアニオン化可能基を含む付加された少なくとも1つの有機基を有する顔料を含む。アニオン基は、酸性置換基などのアニオンを形成することができる(アニオン化可能基)イオン化可能置換基を有する基から生成され得る負に帯電されたイオン基である。それらはまた、イオン化可能置換基の塩の中のアニオンであることができる。アニオン基の代表的な例には、−−COO-、−SO3-、−OSO3-、−HPO3-、−OPO3-2、及び−PO3-2が含まれる。アニオン化可能基の代表的な例には、−COOH、−SO3H、−PO32、−R'SH、−R'OH、及び−SO2NHCOR'(式中、R'は、同一または異なってよく、水素または置換若しくは非置換のアリール及び/若しくはアルキル基などの有機基であることができる)が含まれる。例えば、有機基は、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸基、またはそれらの塩を含み、例えば、ベンゼンカルボン酸基、ベンゼンジカルボン酸基、ベンゼントリカルボン酸基、ベンゼンスルホン酸基、またはそれらの塩などの基であることができる。特定の有機基には、C64−CO2H、−C64SO3H、またはそれらの塩が含まれる。付加された有機基はまた、これらのいずれかの置換された誘導体であることができる。
【0018】
他の例として、改質顔料は、付加された少なくとも1つのカチオン基を有する顔料を含むことができる。カチオン基は、プロトン化アミンなどのカチオンを形成することができる(カチオン化可能基)イオン化可能置換基から生成され得る正に帯電された有機イオン基である。例えば、アルキルまたはアリールアミンは、酸性媒体中でプロトン化されてアンモニウム基NR'2+(式中、R'は、置換または非置換のアリール及び/またはアルキル基などの有機基である)を形成することができる。カチオン基はまた、正に帯電された有機イオン基であることができる。例として、第4級アンモニウム基(−NR'3+)及び第4級ホスホニウム基(−PR'3+)が挙げられる。ここで、R'は、水素または置換若しくは非置換のアリール及び/若しくはアルキル基などの有機基である。具体例には、アルキルアミン基(ベンジルアミン基など)またはその塩またはアルキルアンモニウム基を含む有機基が含まれる。
【0019】
改質顔料は、有機化学基が顔料に付加されるように、当業者に知られた任意の方法を用いて調製され得る。例えば、改質顔料は、参照によって本明細書に完全に組み込まれる米国特許第5,554,739号、同第5,707,432号、同第5,837,045号、同第5,851,280号、同第5,885,335号、同第5,895,522号、同第5,900,029号、同第5,922,118号、及び同第6,042,643号、並びにPCT国際公開WO99/23174号に記載されている方法を用いて調製され得る。これらの方法は、例えばポリマー及び/または界面活性剤を用いる分散剤タイプの方法に比べて、顔料への基のより安定な付加を提供する。改質顔料を調製する他の方法には、例えば、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,723,783号に記載されるような、利用可能な官能基を有する顔料と有機基を含む試薬とを反応させることが含まれる。そのような官能性顔料は、上述の組み込まれた参照文献に記載されている方法を用いて調製され得る。さらに、付加された官能基を含む改質カーボンブラックはまた、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,831,194号及び同第6,660,075号、米国出願公開第2003−0101901号及び2001−0036994号、カナダ国特許第2,351,162号、欧州特許第1 394 221号、並びにPCT国際公開WO04/63289号、並びにTsubokawa, Polym. Sci., 17, 417, 1992に記載されている方法によって調製され得る。
【0020】
顔料は、窒素の吸着によって測定される、顔料の所望の特性に依存する幅広い範囲のBET表面積を有することができる。当業者に知られているように、より大きい表面積は、より小さい粒子径に対応する。大きな表面積を所望の用途にすぐに利用できないとき、所望により、ボールミルまたはジェットミルなどの常用の粒子径低減または粉砕技法を顔料に施して、顔料を、より小さい粒径に低減することができることが、当業者に良く知られている。
【0021】
顔料は、粉体若しくはプレスケーキのなどの固体の形態、または第2溶媒中の固体顔料の分散体などの液体の形態であってもよく、第2溶媒は水性溶媒(50質量%以上の水を含む)または非水性溶媒(50質量%未満の水を含む)であることができる。第2溶媒は、ポリアミンに関する上述の任意の溶媒であることができ、第1溶媒と同一または異なってもよい。好ましくは、第2溶媒は、以下に詳細に説明するように、ポリマーの融点未満となる沸点を有する溶媒である。溶媒の具体例には、水、アルコール(メタノール若しくはエタノールなど)、エーテル(ジエチルエーテル若しくはTHFなど)、またはケトン溶媒(アセトン若しくはメチルエチルケトンなど)が含まれる。好ましくは、第2溶媒は水である。
【0022】
ポリアミン、顔料、または両方が、溶媒中の溶液の形態であるとき、本発明の方法は、顔料組成物を生成する前に、溶媒を除去する工程をさらに含む。例えば、ポリアミン及び顔料が混合されて被覆顔料が生成され、被覆顔料が、ポリマーの溶融物に添加されるか、またはポリマーに添加されて得られた混合物を加熱して溶融物を形成する、本発明の実施形態について、本発明の方法は、被覆顔料を生成した後に、第1溶媒及び/または第2溶媒を除去する工程をさらに含むことができる。ポリアミン溶液及び/または顔料分散液の使用は、顔料へのポリアミンのより安定した被覆をもたらすことができ、幅広い種類のポリアミン及び顔料を用いることを可能にする。また、本方法は、上述の本方法の第一実施態様のように、被覆顔料をポリマーに添加した後に、溶媒のいずれか、または両方を除去する工程を含んでもよく、または上述の本方法の第二実施態様のように、ポリアミン及び顔料をポリマーと混合した後に、溶媒のいずれか、または両方を除去する工程を含んでもよい。例えば、溶媒は、ポリマー溶融物に接触して除去され得るか、またはポリマーの溶融物を生成するために混合物を加熱する際に、除去され得る。当業者に知られた第1溶媒を除去する他の方法も用いることができる。
【0023】
本発明の方法に用いられるポリマーは、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を含み、例えば、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウム塩が含まれる。ポリマーは、カルボン酸基またはその塩を含む、ホモポリマーまたはコポリマーであることができ、ランダムポリマー、互換ポリマー(alternating polymer)、グラフトポリマー、ブロックポリマー、星状ポリマー、及び/またはくし状ポリマーであることができる。また、カルボン酸基またはその塩は、ポリマーの末端基またはポリマー骨格に沿ったペンダント基であることができる。好適なポリマーには、カルボン酸基またはその塩を含むモノマーの重合によって調製されたポリマー、及びカルボン酸基またはその塩に変換され得る基を含むモノマーの重合によって調製されたポリマーが含まれる。本発明の方法に有益なポリマーの具体例には、限定されるものではないが、ポリアクリル酸などのポリ酸、スチレン−アクリル酸及びスチレン−メタクリル酸のポリマーを含むアクリル酸またはメタクリル酸のコポリマー、無水マレイン酸含有ポリマーの部分的または完全に加水分解された誘導体、カルボン酸末端基を有するポリエステル、並びにカルボン酸を含むポリウレタン、並びに任意のこれらの塩が含まれる。
【0024】
ポリマーの分子量は、様々な要因によって変化してもよい。例えば、ポリマー分子量は、ポリマーの溶解性、得られる溶液の粘度、並びにポリマーの形態(固体、ワックス、粘性液体、または自由流動性液体)に影響する。これはまた、以下により詳細に記載するが、本発明の方法に用いられる混合または加熱条件にも影響し得る。好ましくは、ポリマーは約50,000以下の質量平均分子量を有し、例えば、約1,000〜約25,000、約2,000〜15,000、及び約5,000〜約10,000の質量平均分子量を有する。また、ポリマーの多分散性は変化し得るが、好ましくは約3以下である。
【0025】
ポリマーは、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を含み、カルボン酸基の量またはその塩は、得られる顔料組成物の所望の特性などの様々な要因に依存して変化し得る。例えば、ポリマーは、少なくとも10質量%、例えば少なくとも20質量%及び少なくとも30質量%のカルボン酸基またはその塩を含むことができる。また、一例として、ポリマーは、約20〜約400、例えば約30〜約250、及び約50〜約170の酸価を有することができる。好ましくは、ポリマーは、十分なカルボン酸基またはその塩を有し、水溶性ポリマーである。
【0026】
さらに、本発明の範囲内にて、様々な種類のカルボン酸基含有ポリマーの混合物を用いる。例えば、ポリマーは、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有する第1ポリマー、及び第1ポリマーと、例えば組成、溶解性、分子量、及び/または酸価が異なる、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有する第2ポリマーを含んでもよい。例えば、約110〜約400、約150〜約250などの酸価を有することができる第2ポリマーよりも、第1ポリマーは、約20〜約100、約20〜約60などの低い酸価を有することができる。以下に詳細に説明するように、カルボン酸基含有ポリマーを、概して良好な溶解性を有する高い酸価と混合すること、及びカルボン酸基含有ポリマーを、概して低い溶解性を有する低い酸価と混合することによって、水性分散液中で良好な総合的な特性を有する顔料組成物、特に水性インクジェットインク組成物を調製することができることが分かった。
【0027】
また、本発明の範囲内にて、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマーと組み合わせて、カルボン酸基またはその塩以外のアミノ基と反応可能な少なくとも1つの基を有するポリマーの使用がある。例えば、ポリマーは、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有する第1ポリマーと、例えばスチレン−無水マレイン酸ポリマーなどの無水物基などの、アミノ酸基と反応することができる少なくとも1つの基を有する第2ポリマーとを含んでもよい。第1ポリマー及び第2ポリマーの量の比は、例えば、ポリマーの特性(酸価、分子量、及びポリマー溶融物の粘度など)及び得られる顔料組成物の所望の性能特性(例えば、インクジェットインク組成物に用いる場合の印刷特性など)によって、変化し得る。好ましくは、第1ポリマーの質量と第2ポリマーの質量の量の比は、約1:5〜約1:50である。
【0028】
本発明の方法において、ポリアミン、顔料、及びポリマーは、混合されて、顔料組成物を生成する。ポリマーは、溶融物の形態であるか、またはポリアミン及び/または顔料と混合された後に溶融物に転換される。溶融物は、例えば、ポリマーをそのガラス転移温度Tgより高く加熱するなどの当業者に知られた任意の方法を用いて生成され得る。好ましくは、ポリマーは、約50℃〜約140℃、さらに好ましくは約60℃〜約130℃、さらに好ましくは約70℃〜約120℃のTgを有する。したがって、ポリマー溶融物は、約100℃より高い温度、好ましくは約120℃より高い温度、さらに好ましくは約140℃より高い温度に、ポリマーを加熱することによって生成され得る。ポリマー溶融物はまた、ポリマーまたはポリマーを含む混合物に、高せん断または高強度混合条件を施すことによって生成され得る。そのような条件は、当業者に知られているか、またはポリマーの特性に基づいて決定することができ、材料を、混合、ブレンド、攪拌、均一化、分散、及び/または化合するように設計された、様々な混合機及び類似の装置を用いて達成され得る。高強度混合機として伝統的に記載されるものばかりでなく、高粘度材料の加工に用いられる任意の混合機を、本発明の方法に用いることができる。そうした装置は、Perry’s Chemical Engineer’s Handbook (7th Edition), Chapter 18,18−25〜18−32頁に記載されており、その全てが参照することにより本明細書中に組み込まれる。高強度の混合機は、バッチ、半連続的、または連続的混合機であることができる。連続的混合機は、バッチ処理装置に経済的及び実用的利点の両方を提供し、概して好ましい。混合機の例には、限定されるものではないが、シングルまたはダブルプラネタリーミキサー、デュアルシャフトプラネタリーミキサー(特にその1つのシャフトがソートゥースブレードを有するもの)、ダブルヘリカルミキサーまたはツインブレードコニカルミキサー等のヘリカルミキサー、BrabenderまたはFarrelミキサー等のダブルアームニーディング(kneading)ミキサー、Henschelまたはpapenmeirミキサー等の高強度混合機、2または3ロールミキサー、及びシングルまたはダブル(ツイン)スクリュー押出機が挙げられる。高強度混合条件はまた、真空の使用によって得られる低圧力条件を含むことができる。
【0029】
ポリマーは、ポリマー溶融物に変換される前に、固体または液体であることができる。例えば、ポリマーは、水性溶媒(50%以上の水を含む)または非水性溶媒(50%未満の水を含む)であることができる第3溶媒中で、溶液、分散液、または懸濁液であることができる。第3溶媒は、ポリアミン及び/または顔料に関連して上述した任意の溶媒であることができ、第1溶媒、第2溶媒、またはその両方に対して、同一または異なったものであることができる。好ましくは、第3溶媒は、水などの、ポリマーの融点未満となる沸点を有する溶媒である。例えば、ポリマーは、水性溶媒(水酸化ナトリウムまたは水酸化アンモニウムなどの溶解性水酸化物試薬の使用によって、ポリマーが部分的または完全にイオン化された溶液を含む)または懸濁液(ラテックスまたはエマルジョンなど)の形態であることができる。
【0030】
ポリマーが第3溶媒中の溶液の形態である場合、本発明の方法は、顔料組成物を生成する前に第3溶媒を除去する工程をさらに含む。例えば、ポリアミン及び顔料に関して上述したように、第3溶媒の除去は、被覆顔料またはポリアミン及び/若しくは顔料とポリマーとを混合する前に行うことができ、あるいは各成分を混合した後に、ポリマー溶融物との接触の際に、若しくはポリマー溶融物の生成の際に、行うことができる。当業者に知られている第1溶媒を除去する他の方法も用いることができる。溶液、分散液、または懸濁液として第3溶媒中のポリマーを用いることは、特にポリアミン及び顔料も溶媒中の溶液の形態である場合に、より安定した顔料組成物の生成をもたらすことができる。具体例として、ポリアミン及び顔料、またはポリアミン及び顔料を混合して生成された被覆顔料を、第3溶媒中でポリマーと混合した後に、溶媒は、スプレー乾燥を使用して、除去され得る。
【0031】
本発明の方法は、顔料組成物を生成するのに十分な時間及び温度で行われる。反応時間及び温度は、ポリアミンの種類、顔料の種類、ポリマーの種類、及びそれぞれの相対量などのいくつかの要因に依存する。概して、顔料組成物は、約0.1分〜約300分、例えば約1分〜約120分、約5分〜約60分などの時間、且つ概して約25℃〜約250℃、好ましくは約100℃〜約200℃の温度で生成される。
【0032】
使用されるポリアミン、顔料、及びポリマーの量は、例えば、これらの成分のそれぞれの特性及び得られる顔料組成物の所望の特性に依存して、変化し得る。例えば、ポリアミン及び顔料は、ポリアミン:顔料が、約0.001:1〜約0.5:1、例えば約0.005:1〜約0.3:1などの質量比で混合され得る。また、ポリマー、及びポリアミンと顔料とを混合することによって生成される被覆顔料は、ポリマー:被覆顔料が、約0.1:1〜約10:1、例えば、約0.5:1〜約6:1の質量比で混合され得る。
【0033】
本発明の方法は、顔料及びポリマーを含む顔料組成物の生成をもたらす。したがって、本発明はさらに、被覆顔料と、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有する少なくとも1つのポリマーとの混合生成物を含む顔料組成物に関する。被覆顔料は、ポリアミンと顔料との混合生成物を含み、ポリアミンと顔料との反応生成物であってもよく、または顔料に吸着したポリアミンを含んでもよい。好ましくは、顔料組成物は、被覆顔料とポリマーとの反応生成物である。ポリアミン、顔料、及びポリマーは、上に詳述した任意のものであることができる。好ましくは、本発明の顔料組成物は、上に詳述した本発明の方法を用いて調製される。
【0034】
理論に束縛されるつもりはないが、顔料組成物は、ポリアミンの介在によるポリマーによって封入されたまたは被覆された顔料を含むと考えられる。例えば、ポリアミン及び顔料が混合されて被覆顔料を生成する実施態様について、各成分が互いに反応または作用し、そして得られる被覆顔料が、顔料に吸着したポリアミン、またはポリアミンが例えば顔料の基と反応するポリアミンと顔料との反応生成物、を含むと考えられる。得られた被覆顔料は、アミン基を含み、ポリマーと作用または反応する(ポリマー溶融物の生成によって促進される)と考えられる。したがって、被覆顔料とポリマーとの混合生成物である得られた顔料組成物は、これらの成分の反応生成物であって、顔料のアミン基が、ポリマーのカルボン酸基と反応した反応生成物であると考えられる。この理由のため、上で詳述したように、2を超えるアミン基を有するポリアミンが好ましい。ポリアミン及び顔料が、溶融物としての、あるいは溶融物にその後に変換されるポリマーと混合される実施態様について、同じ作用/反応がまた起こると考えられる。しかしながら、ポリアミン、顔料、及びポリマーをこのように混合することは可能であるが、副(suspected)反応または相互作用をより良く制御するために、ポリアミン及び顔料を混合して被覆顔料を生成し、その後に被覆顔料と、溶融物としての、あるいは加熱されて溶融物を形成するポリマーとを混合することが、特に有利であると考えられる。顔料組成物を生成する以前の方法は、付加された少なくとも1つのポリマー基を有する顔料を含有する改質顔料を含み、所望の生成物を生成するために、ジアゾ化剤などの追加の成分を必要とした。驚くべきことに、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有し且つ溶融物の形態のポリマーと組み合わせてポリアミンを使用することができ、そのような方法は、不必要なコスト及び複雑さをプロセスに追加し得るいかなる追加の成分または追加の加工工程も用いないで、顔料及びポリマーを含む顔料組成物を生成することが分かった。
【0035】
したがって、本発明はさらに、吸着または付加された少なくとも1つの反応ポリマーを有する顔料を含む顔料組成物に関する。反応ポリマーは、上述の、ポリマーと被覆顔料のポリアミンとの反応生成物である。付加されたまたは吸着された反応ポリマーの量は、例えば、顔料組成物を調製するために用いられる条件、ポリマーの種類、ポリアミンの種類、及び顔料の種類に応じて、変わる。しかしながら、好ましくは、反応ポリマーは、顔料組成物の全体量に基づいて、約20質量%〜約50質量%の量で存在する。反応ポリマーは、カルボン酸基の数、及び/または分子量に関して、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマーと組成が異なる。例えば、顔料組成物の付加されたまたは吸着された反応ポリマーは、ポリマーよりも、少なくとも約10倍、例えば少なくとも約20倍、大きい質量平均分子量を有する。したがって、理論に束縛はされないが、ポリアミンは、付加または吸着されたポリマー鎖の間の架橋を促進し、分子量を大きくすると考えられる。
【0036】
本発明の顔料組成物は、様々な異なる用途、例えば、プラスチック組成物、水性または非水性インク、水性または非水性コーティング、ゴム組成物、紙組成物、及び繊維組成物などに用いることができる。特に、これらの顔料組成物が、様々な水性組成物、例えば、自動車及び工業コーティング、塗料、トナー、接着剤、ラテックス、及びインクなどに用いることができる安定した水性分散体を生成することができることが分かった。本顔料組成物は、インク組成物、特にインクジェットインクに最も有益であることが分かった。
【0037】
したがって、本発明はさらに、ビヒクルと上述の顔料組成物とを含むインクジェットインク組成物に関する。ビヒクルは、水性または非水性の液体ビヒクルであることができるが、好ましくは、水を含むビヒクルである。したがって、ビヒクルは、好ましくは、50%を超える水を含むビヒクルである水性ビヒクルであり、例えば、水、またはアルコールなどの水混和性溶媒と水との混合物であることができる。非水性ビヒクルは、50%未満の水を含むビヒクルであるか、または水と混和しないビヒクルである。好ましくは、水性ビヒクルは水であり、インクジェットインク組成物は、水性のインクジェットインク組成物である。
【0038】
上述の液体ビヒクルと顔料組成物とを含む本発明のインクジェットインク組成物は、当業者に知られた任意の方法を用いて調製され得る。例えば、顔料組成物と液体ビヒクルとを、かきまぜながら混合して、安定な分散体を生成することができる。メディアまたはボールミルなどの当業者に知られた任意の装置、または他の高せん断混合装置を用いることができ、様々な常用の粉砕メディアも用いることができる。分散体を生成する他の方法が、当業者に知られているだろう。
【0039】
インクジェットインク組成物に用いられる顔料組成物の量は、変更し得るが、概して、インクジェットインクの性能に悪影響を及ぼさずに所望の画質(例えば、光学濃度)を提供するのに効果的な量である。例えば、概して、顔料組成物は、インクジェットインク組成物の質量に基づいて、約0.1%〜約20%の範囲の量で存在するだろう。
【0040】
本発明のインクジェットインク組成物は、最小限の追加の成分(添加剤及び/または共溶媒)並びに加工工程を使用して生成され得る。しかしながら、好適な添加剤を、組成物の安定性を維持しつつ、多くの所望の特性を与えるために導入してもよい。例えば、追加の界面活性剤、保湿剤、乾燥促進剤、浸透剤、殺生剤、バインダー、及びpH制御剤、並びに当技術分野で知られている他の添加物を加えることができる。特定の添加剤の量は、種々の要因によって変化するであろうが、概して0%〜40%の範囲であることができる。
【0041】
組成物のコロイド安定性を高めるために、またはインクと、印刷紙などの印刷基材若しくはインクプリントヘッドとの相互作用を変化させるために、界面活性剤をさらに加えることができる。種々のアニオン性、カチオン性、及び非イオン性界面活性剤を、本発明のインク組成物と組み合わせて使用でき、そしてこれらの界面活性剤は、固体形態または水溶液であることができる。
【0042】
アニオン性界面活性剤の代表的な例には、限定されるものではないが、高級脂肪酸塩、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩(Na、K、Li、Ca等)、ホルマリンポリ縮合物、高級脂肪酸とアミノ酸との縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフテン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アクリル化ペプチド、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アクリルメチルタウリン、アルキルエーテルスルホン酸塩、第2高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート、モノグリシルサルフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルホスフェート、及びアルキルホスホネートが含まれる。例えば、スチレンスルホン酸塩、非置換及び置換ナフタレンスルホン酸塩(例えば、アルキルまたはアルコキシ置換ナフタレン誘導体)、アルデヒド誘導体(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒドなどを含む非置換アルキルアルデヒド誘導体など)、マレイン酸塩、及びそれらの混合物のポリマー及びコポリマーが、アニオン性分散助剤として使用され得る。塩には、例えば、Na+、Li+、K+、Cs+、Rb+、及び置換および非置換アンモニウムカチオンが含まれる。具体例には、限定されるものではないが、Versa(商標)4、Versa(商標)7、及びVersa(商標)77(National Starch and Chemical Co.); Lomar(商標)D(Diamond Shamrock Chemicals Co.); Daxad(商標)19、及びDaxad(商標)K(W.R.Grace Co.); 並びにTamol(商標)SN(Rohm & Haas)等の市販用の製品が含まれる。カチオン性界面活性剤の代表的な例には、脂肪族アミン、第4級アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩などが含まれる。
【0043】
本発明のインクジェットインクに使用できる非イオン性界面活性剤の代表的な例には、フッ素誘導体、シリコーン誘導体、アクリル酸コポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン第2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンスチロールエーテル、エトキシレート化アセチレンジオール(Air Products製のSurfynol(商標)420、Surfynol(商標)440、及びSurfynol(商標)465)、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物のエチレンオキシド誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルポリオキシエチレン化合物の脂肪酸エステル、ポリエチレンオキシド縮合タイプのエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセロールの脂肪酸エステル、プロピレングリコールの脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、及びポリオキシエチレンアルキルアミンオキシドを含む。例えば、Igepal(商標)CA及びCOシリーズ材料(Rhone−Poulenc Co.)、Briji(商標)シリーズ材料(ICI Americas、Inc.)、及びTriton(商標)シリーズ材料(Union Carbide Company)等のエトキシレート化モノアルキルまたはジアルキルフェノールを使用することができる。これらの非イオン性界面活性剤を、単独でまたは前記のアニオン性及びカチオン性分散剤と組み合わせて使用することができる。
【0044】
界面活性剤はまた、天然ポリマーまたは合成ポリマーの分散剤であることができる。天然ポリマー分散剤の具体例には、糊、ゼラチン、カゼイン、及びアルブミン等のタンパク質; アラビアゴムおよびトラガカントゴム等の天然ゴム; サポニン等のグルコシド;アルギン酸、並びにプロピレングリコールアルギネート、トリエタノールアミンアルギネート、及びアンモニウムアルギネート等のアルギン酸誘導体; 並びにメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びエチルヒドロキシセルロース等のセルロース誘導体が含まれる。合成ポリマー分散剤を含むポリマー分散剤の具体例には、DuPont製のElvanols、Celanese製のCelvoline等のポリビニルアルコール、BASF製のLuvatec、ISP製のKollidon及びPlasdone等のポリビニルピロリドン、及びPVP−K、Glide、ポリ(メタ)アクリル酸等のアクリル樹脂またはメタクリル樹脂(多くの場合、「(メタ)アクリル」と記載される)、Lyondell製のEthacryl line、Alco製のAlcosperse、アクリル酸−(メタ)アクリロニトリルコポリマー、カリウム(メタ)アクリレート−(メタ)アクリロニトリルコポリマー、ビニルアセテート−(メタ)アクリレートエステルコポリマー、及び(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレートエステルコポリマー; BASF製のJoncryl line、Noveon製のCarbomers等のスチレン(メタ)アクリル酸コポリマー等のスチレン−アクリル酸またはメタクリル酸樹脂、BASF製のJoncryl polymers等のスチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレートエステルコポリマー、スチレン− −メチルスチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、スチレン− −メチルスチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレートエステルコポリマー; スチレン−マレイン酸コポリマー; 水中で加水分解され得るSartomer製のSMA(商標)樹脂等のスチレン−無水マレイン酸コポリマー、ビニルナフタレン−アクリルまたはメタクリル酸コポリマー; ビニルナフタレン−マレイン酸コポリマー; 及びビニルアセテート−エチレンコポリマー、ビニルアセテート−脂肪酸ビニルエチレンコポリマー、ビニルアセテート−マレエートエステルコポリマー、ビニルアセテート−クロトン酸コポリマー、及びビニルアセテート−アクリル酸コポリマー等のビニルアセテートコポリマー; 並びにそれらの塩が含まれる。インクジェットインク中で分散剤及び添加物のために使用され得る上記に挙げたもの、その変形および関連した材料等のポリマーは、Degussa製のTego products、Lyondell製のEthacryl products、BASF製のJoncryl polymers、Ciba製のEFKA分散剤、並びにBYK Chemie製のDisperbyk及びByk分散剤に含まれる。
【0045】
特にノズルの目詰まりを防ぐ目的のために、並びに紙浸透(浸透剤)、改善された乾燥(乾燥促進剤)、及びコックリング防止(anti−Cockling)特性を提供するために、保湿剤及び水溶性有機化合物がまた、本発明のインクジェットインク組成物に添加され得る。使用できる保湿剤および他の水溶性化合物の具体例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及びジプロピレングリコール等の低分子量グリコール; 1,3−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ポリ(エチレン−co−プロピレン)グリコールなどの約2〜約40個の炭素原子を含有するジオール、並びにエチレンオキシドを含むアルキレンオキシド、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドを含むアルキレンオキシドとのそれらの反応生成物; グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールなどを含む、約3〜約40個の炭素原子を含有するトリオール誘導体、並びにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びそれらの混合物を含むアルキレンオキシドとのそれらの反応生成物; ネオペンチルグリコール、(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)等、並びにそれらと、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドを含むアルキレンオキシドとの反応生成物であって、幅広い範囲の分子量を有する材料を生成するために任意の所望のモル比で反応される反応生成物; チオジグリコール; ペンタエリスリトール並びにエタノール、プロパノール、イソ−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、及びtert−ブチルアルコール、2−プロピン−1−オール(プロパルギルアルコール)、2−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、3−ブチン−2−オール、及びシクロプロパノール等の低級アルコール; ジメチルホルムアルデヒド及びジメチルアセトアミド等のアミド; アセトン及びジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール; テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル; エチレングリコールモノメチルエーテル及びエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはモノエチル)エーテル等のセロソルブ; ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテル等のカルビトール; 2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びε−カプロラクタム等のラクタム; 尿素及び尿素誘導体; ベタイン等の内塩; 1−ブタンチオールを含む前記の材料のチオ(硫黄)誘導体; t−ブタンチオール 1−メチル−1−プロパンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール; 2−メチル−2−プロパンチオール; チオシクロプロパノール、チオエチレングリコール、チオジエチレングリコール、トリチオ−またはジチオ−ジエチレングリコール等; アセチルエタノールアミン、アセチルプロパノールアミン、プロピルカルボキシエタノールアミン、プロピルカルボキシプロパノールアミン等含むヒドロキシアミド誘導体; 前記材料と、アルキレンオキシドとの反応生成物; 並びにこれらの混合物が含まれる。さらなる例には、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、及びマルトース等のサッカリド; トリメチロールプロパン及びトリメチロールエタン等の多価アルコール; N−メチル−2−ピロリドン; 1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン; ジメチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、アルキルフェニルスルホキシド等のジアルキルスルフィド(対称および非対称スルホキシド)を含む約2〜約40個の炭素原子を含有するスルホキシド誘導体; 並びにジメチルスルホン、メチルエチルスルホン、スルホラン(テトラメチレンスルホン、環状スルホン)、ジアルキルスルホン、アルキルフェニルスルホン、ジメチルスルホン、メチルエチルスルホン、ジエチルスルホン、エチルプロピルスルホン、メチルフェニルスルホン、メチルスルホラン、ジメチルスルホラン等の約2〜約40個の炭素原子を含有するスルホン誘導体(対称および非対称スルホン)が含まれる。上記の材料は、単独でまたは組み合わせて使用され得る。
【0046】
殺生剤及び/または殺菌剤はまた、本発明のインクジェットインク組成物に添加され得る。バクテリアは、多くの場合インクノズルより大きく、目詰まり並びに他の印刷問題を起こすことがあるので、殺生剤は、細菌性成長を防止する点で重要である。有用な殺生剤の例には、限定されるものではないが、ベンゾエートまたはソルベート塩、及びイソチアゾリノンが含まれる。
【0047】
種々のポリマーのバインダーはまた、組成物の粘度を調整するために、並びに他の所望の特性を提供するために、本発明のインクジェットインク組成物と組み合わせて使用され得る。好適なポリマーのバインダーには、限定されるものではないが、アラビアゴム、ポリアクリレート塩、ポリメタクリレート塩、ポリビニルアルコール(DuPont製のElvanols、Celanese製のCelvoline)、ヒドロキシプロピレンセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン(BASF製のLuvatec、ISP製のKollidon及びPlasdone、及びPVP−K、Glide等)、ポリビニルエーテル、澱粉、ポリサッカリド、Discole(商標)シリーズ(DKS International)を含むエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドで誘導体化されたまたは誘導体化されていないポリエチレンイミン; Jeffamine(商標)シリーズ(Huntsman);等の水溶性ポリマー及びコポリマーが含まれる。水可溶性ポリマー化合物のさらなる例には、例えば、スチレンアクリル酸コポリマー(BASF製のJoncryl line、Noveon製のCarbomers等)、スチレン−アクリル酸−アルキルアクリレートターポリマー、スチレン−メタクリル酸コポリマー(BASF製のJoncryl line等)、スチレン−マレイン酸コポリマー(Sartomer製のSMA(商標)樹脂等)、スチレン−マレイン酸−アルキルアクリレートターポリマー、スチレン−メタクリル酸−アルキルアクリレートターポリマー、スチレン−マレイン酸半エステルコポリマー、ビニルナフタレン−アクリル酸コポリマー、アルギン酸、ポリアクリル酸、またはこれらの塩、並びにこれらの誘導体を含む上記の種々の分散剤または界面活性剤が含まれる。さらに、バインダーは、分散体またはラテックス形態で加えることができ、または存在することができる。例えば、ポリマーのバインダーは、アクリレートまたはメタクリレートコポリマーのラテックス(NSM Neoresins製のNeoCryl materials、Alberdingk−Boley製のAC及びASpolymers等)であることができ、または水分散性ポリウレタン(Alberdingk−Boley製のABU等)またはポリエステル(Eastman Chemical製のAQポリマー等)であることができる。インクジェットインク中のバインダーとして使用できる上記に記載したポリマー、その変化形、及び関連した材料等のポリマーは、Lyondell製のEthacryl products、BASF製のJoncryl polymers、NSM Neoresins製のNeoCryl materials、並びにAlberdingk−Boley製のAC及びASpolymersに含まれる。
【0048】
本発明のインクジェットインク組成物のpHを制御または調整するための種々の添加剤をまた、使用できる。好適なpH調整剤の例には、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等の種々のアミン、並びに種々の水酸化物試薬が含まれる。水酸化物試薬は、水酸化物対イオンを有する塩等のOH-イオンを含む任意の試薬である。例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム、及びテトラメチル水酸化アンモニウムが挙げられる。他の水酸化物塩、並びに水酸化物試薬の混合物をまた、使用できる。さらに、水性媒体中でOH-イオンを生成する他のアルカリ性試薬をまた、使用できる。例として、炭酸ナトリウム等の炭酸塩、重炭酸ナトリウム等の重炭酸塩、並びにナトリウムメトキシド及びナトリウムエトキシド等のアルコキシドが挙げられる。バッファーをまた加えることができる。
【0049】
さらに、本発明のインクジェットインク組成物は、カラーバランスを改変するため、お及び光学濃度を調整するために、常用の染料をさらに組み込むことができる。そうした染料は、食用色素、FD&C染料、酸性染料、直接染料、反応性染料、銅フタロシアニン誘導体、ナトリウム塩、アンモニウム塩、カリウム塩、リチウム塩等を含むフタロシアニンスルホン酸の誘導体を含む。
【0050】
インクジェットインク組成物は、例えば、膜、逆浸透、及びイオン交換を用いて、限外ろ過/ダイアフィルトレーション(diafiltration)を含む当技術分野の任意の方法を使用して、製造工程の結果物として共存し得る不純物及び他の不所望の自由片を除去するために精製及び/または分類され得る。また、インクジェットインク組成物は、ろ過、遠心分離、またはその2つの方法の組み合わせ等の分類工程に送られ、約1.0マイクロメートルより大きいサイズを有する粒子を実質的に除去することができる。このようにして、良好な全体的特性を有するインクジェットインク組成物を製造するために、不要な不純物または不所望の大きな粒子を除去できる。
【0051】
本発明は、本来例示的のみであることを意図する以下に例によってさらに明らかになるであろう。
【実施例】
【0052】
以下の例のそれぞれについて、Black Pearls(商標)カーボンブラック(BP700)(Cabot Corporationから入手可能)、SS4(Degussaから入手可能)、並びに着色顔料プレスケーキ Pigment Yellow 74(PY74)、Pigment Blue 15:4(PB15:4)、及びPigment Red 122(PR122)(Sun Chemical Companyから入手可能)、並びにJoncryl 683(J683、BASFから入手可能)、並びにペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、並びに無水メタノール(Aldrich Chemical Companyから入手可能であり、精製することなしに用いた)を使用した。
【0053】
例1〜17及び比較例1〜4
以下の例は、ポリアミンと顔料とを混合して被覆顔料を生成し、被覆顔料と少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有する少なくとも1つのポリマーとを混合することによって顔料組成物を調製する、本発明の実施態様に関する。
【0054】
例1の顔料組成物を次のように調製した。70gのBP700を、300mLの無水メタノール中に懸濁させ、1Lの一首丸底フラスコ中に入れた。この混合物に、攪拌しながら、室温において、2.1gのPEHA(顔料の量を基準として3%(pph))を添加した。15分間、攪拌した後、ロータリーエバポレーターで、50℃にて真空で、溶媒を除去した。得られた粉末を一晩、真空オーブンで50℃にて、真空乾燥し、被覆顔料の粉末を得た。
【0055】
Brabender高せん断混合機を140℃に予熱して、これに45gのJ683をかきまぜながら添加して、ポリマー溶融物を生成した。次いで、15gの被覆顔料を、約5分間にわたって、溶融ポリマーに添加した。混合物の温度を、約160℃に調整して、60分間、混合した。次いで、混合機を停止し、内容物を室温に冷却した。
【0056】
冷却して、得られた固体残留物を、ローター/ステーター混合装置を使用して、NaOH(ポリマー酸価の1.1倍に等しい量)を含むDI水中に分散させた。次いで、分散体を、10倍容の0.1MのNaOH溶液を用いて、次いで透過液(permeate)の伝導度が250μS以下になるまで十分な体積のDI水を用いて、ダイアフィルトレーション(diafiltration)によって精製して、溶解性不純物を除去した。さらなる粉砕(超音波処理)及び/または遠心分離を行って、200nm未満の最終粒径を有する本発明の顔料組成物の安定な分散体(10〜15%固形分)を生成した。イオン選択電極を用いた測定により、分散体は13895ppmのナトリウム(固形分基準)を有しており、顔料組成物中にJ683が残っていることが分かった。これらの結果をまた、以下の表1に示す。
【0057】
例2〜17の顔料組成物を、異なる顔料種類、異なる量のポリアミン(PEHA)、顔料に対するポリマーの異なる比(被覆顔料の質量に対する少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマー(J683)の質量の比)、及び/または異なる混合条件を用いて、例1に記載した手順を用いて調製した。各例の詳細、並びに対応するナトリウム量の測定結果を表1に示す。比較の顔料組成物(比較例1〜4)をまた、表1に示す特定の成分、条件、及び得られたナトリウム量とともに、例1について記載した手順を用いて調製した。これらの比較の顔料組成物のそれぞれについて、Haake高せん断混合機を用い、ポリアミン(PEHA)は含めなかった。したがって、ポリマー溶融物と混合する前に、被覆顔料を生成しなかった。
【0058】
【表1】

【0059】
本発明の顔料組成物を含む得られた分散体の全てが、200nm(概して約150nm)未満の粒径を有して安定であった。表1の結果が示すように、これらの顔料組成物はまた、高い濃度のナトリウムを有し、十分なダイアフィルトレーション後においても、顔料組成物中に大量のポリマー(J683)が存在することを示した。また、ポリアミンの量が多いほど、顔料に対するポリマーの比率が大きいほど、ナトリウム量は大きかった。ポリアミンの量の効果は、特に、例11、15、16、及び17を、比較例1、2、3、及び4とそれぞれ比較すると顕著である。これらの結果は、比較の顔料組成物よりも、本発明の顔料組成物の方が、より大きな量のナトリウムが有することを示す。このように、ポリアミンは、より大きな量のポリマーを顔料組成物中に組み込むことを可能とする。それゆえ、これらの例は、良好な全体的特性を有する顔料組成物の分散体が、顔料とポリアミンとを混合して被覆顔料を生成し、被覆顔料と、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有する溶融物としてのポリマーとを混合することによって調製され得ることを示す。
【0060】
例18〜37
次の例は、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマーの溶融物を生成し、任意の順番でポリアミンと顔料とをポリマーの溶融物に添加して顔料組成物を生成する、本発明に実施態様に関する。これらの例については、ポリアミンの前に、顔料を添加した。
【0061】
例18〜28
例18の顔料組成物を次のように調製した。Haake高せん断混合機を140℃に予熱して、これに252gのJ683をかきまぜながら添加して、ポリマー溶融物を生成した。次いで、126gのBP700を、約5分間にわたって、溶融したポリマーに添加した。混合物の温度を、約160℃に調整して、各成分を15分間、混合した。最初の混合段階の後、3.8gのPEHAを混合物にかき混ぜながら添加した。160℃で30分間、混合を続けた。次いで、混合機を停止し、内容物を室温に冷却した。
【0062】
冷却して、得られた固体残留物を、ローター/ステーター混合装置を使用して、NaOH(ポリマー酸価の1.1倍に等しい量)を含むDI水中に分散させた。次いで、分散体を、10倍容の0.1MのNaOH溶液を用いて、次いで透過液(permeate)の伝導度が250μS以下になるまで十分な体積のDI水を用いて、ダイアフィルトレーションによって精製して、溶解性不純物を除去した。さらなる粉砕(超音波処理)及び/または遠心分離を行って、200nm未満の最終粒径を有する本発明の顔料組成物の安定な分散体(10〜15%固形分)を生成した。イオン選択電極を用いた測定により、分散体は15036ppmのナトリウム(固形分基準)を有しており、顔料組成物中にJ683が残っていることが分かった。これらの結果をまた、以下の表2に示す。
【0063】
例19〜28の顔料組成物を、異なる顔料種類、異なる量及び種類のポリアミン、並びに/または異なる混合条件(時間及び/または温度)を用いて、例18に記載した手順を用いて調製した。顔料に対するポリマーの比(顔料の質量に対する少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマー(J683)の質量の比)は同じであった。各例の詳細、並びに対応するナトリウム量の測定結果を以下の表2に示す(ポリアミンの量は、顔料の量を基準とした百分率(pph)である)。
【0064】
【表2】

【0065】
表2の結果が示すように、本発明の顔料組成物は、高い濃度のナトリウムを有し、十分なダイアフィルトレーション後においても、顔料組成物中に大量のポリマー(J683)が存在することを示した。また、これらの顔料組成物を含む得られた分散体の全てが、200nm未満(概して約150nm未満)の粒径を有して安定であった。それゆえ、これらの例は、良好な全体的特性を有する顔料組成物の分散体が、顔料とポリアミンとを、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマーのポリマー溶融物に入れて混合することによって調製され得ることを示す。
【0066】
例29〜37
これらの例の顔料組成物を、異なる顔料種類、異なる量のポリアミン(PEHA)、及び/または異なる混合条件(顔料とポリマー溶融物とを混ぜた後に1時間混合した)を用いて、例18に記載した手順を用いて調製した。顔料に対するポリマーの比(顔料の質量に対する少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマー(J683)の質量の比)は同じであった。これらの例のそれぞれの顔料は、付加された少なくとも1つの有機基を有する顔料を含む改質顔料であり、有機基がベンジルアミン基であった。改質した顔料の種類を含む各例の詳細、並びに対応するナトリウム量の測定結果を以下の表3に示す(PEHAの量は、顔料の量を基準とした百分率である)。
【0067】
改質顔料を、次の基本手順を用いて調製した。最初に30℃に加熱したRoss混合機に顔料を添加し、これに4−アミノベンジルアミン(4−ABA、乾燥顔料質量基準で0.4ミリモル/顔料1g)、23質量%のメタンスルホン酸水溶液(4−ABAに対する酸のモル比は1)、及び次の工程で記載される、亜硝酸塩の添加後に25%の固体反応混合物を得るように十分な水を添加した。15分間の混合後、16.7質量%の亜硝酸ナトリウム溶液(4−ABAに対する亜硝酸塩のモル比は1)を、30分間にわたってゆっくり添加した。次いで、反応混合物を、30℃にて30分間、混合した。次いで、混合物を50℃にゆっくり加熱して、さらに30分間、50℃にて混合した(亜硝酸ナトリウム溶液を添加した後の総反応時間は2時間であった)。この時間の後、混合物を室温に冷却して、これに10%の水酸化ナトリウム水溶液を添加した(酸と塩基のモル比は1)。得られた改質顔料の分散体を、混合機から取り出し、そのまま、顔料組成物の調製に用いた。
【0068】
【表3】

【0069】
表3の結果が示すように、本発明の顔料組成物は、非常に高い濃度のナトリウムを有し、十分なダイアフィルトレーション後においても、顔料組成物中に大量のポリマー(J683)が存在することを示した。また、非常に高い濃度のポリアミンにて、得られた顔料組成物は、おそらくポリアミンとポリマーのカルボン酸基との反応のために、いくらか低い量のナトリウムを有した。本発明の顔料組成物を含む得られた分散体の全てが、200nm未満(概して約150nm未満)の粒径を有して安定であった。それゆえ、これらの例は、良好な全体的特性を有する顔料組成物の分散体が、改質顔料とポリアミンとを、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマーのポリマー溶融物に入れて混合することによって調製され得ることを示す。
【0070】
例38
次の例は、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマーの溶融物を生成し、任意の順番でポリアミンと顔料とをポリマーの溶融物に添加して顔料組成物を生成する、本発明に実施態様に関する。これらの例については、顔料の前に、ポリアミンを添加した。
【0071】
Haake高せん断混合機を140℃に予熱して、これに、252gのJ683をかきまぜながら添加して、ポリマー溶融物を生成した。次いで、29gのPEHAを、約25分間にわたって、溶融したポリマーに添加した。混合物の温度を、160℃に調整して、各成分を30分間、混合した。最初の混合段階の後、126gのBP700を混合物にかき混ぜながら添加した。160℃でさらに10分間、混合を続けた。次いで、混合機を停止し、内容物を室温に冷却した。
【0072】
冷却して、得られた固体残留物を、ローター/ステーター混合装置を使用して、NaOH(ポリマー酸価の1.1倍に等しい量)を含むDI水中に分散させた。次いで、分散体を、10倍容の0.1MのNaOH溶液を用いて、次いで透過液(permeate)の伝導度が250μS以下になるまで十分な体積のDI水を用いて、ダイアフィルトレーションによって精製して、溶解性不純物を除去した。さらなる粉砕(超音波処理)及び/または遠心分離を行って、200nm未満の最終粒径を有する本発明の顔料組成物の安定な分散体(10〜15%固形分)を生成した。イオン選択電極を用いた測定により、分散体は9468ppmのナトリウム(固形分基準)を有しており、十分なダイアフィルトレーションの後においても、顔料組成物中にJ683が残っていることが分かった。それゆえ、この例は、良好な全体的特性を有する顔料組成物の分散体が、改質顔料とポリアミンとを、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマーのポリマー溶融物に入れて混合することによって調製され得ることを示す。
【0073】
例39〜45及び比較例5〜10
次の例は、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有する第1ポリマー及び第2ポリマーを含むポリマーの溶融物を生成し、任意の順番でポリアミンと顔料とをポリマー混合物の溶融物に添加することによって顔料組成物を調製する、本発明に実施態様に関する。第2ポリマーは、少なくとも1つのカルボン酸基若しくはその塩を有するポリマー(第1ポリマーとは異なり、第1ポリマーよりも低い酸価及び低い水溶解性を有する)であるか、または無水物基などの、ポリアミンと反応する少なくとも1つの基を含むポリマーのいずれかであって、非常に低い水への溶解性を有するか若しくは水不溶性のポリマーである。これらの例については、ポリアミンの前に、顔料を添加した。
【0074】
例39〜45の顔料組成物を、2つの異なるポリマーを用いたことを除いて、例18に記載された手順を用いて調製した。Haake混合機を用いて例18に記載されるように、第1ポリマーの溶融物を最初に生成して、次いで、完全な溶融物が生じるまで、第2ポリマーを添加することによって、ポリマー溶融物を生成した。各例について、顔料はBP700であり、ポリアミンがPEHAであり、第1ポリマーがJ683であった。異なる量のポリアミン及び/または異なる混合条件(時間及び/または温度)と共に、異なる種類及び量の第2ポリマーを用いた。顔料に対するポリマーの比(顔料の質量に対する全てのポリマーの質量の比)は2であった。比較の顔料組成物(比較例5〜10)をまた、ポリアミンを用いずに、例18に記載の手順を用いて調製した。例39〜41及び比較例5〜6については、第2ポリマーは、Joncryl 611(J611、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマー、BASFから入手可能)であり、一方、例42〜45及び比較例7〜10については、第2ポリマーは、SMA(商標)EF40またはSMA(商標)EF80(EF40またはEF80、Sartomer Company, Inc.から入手可能なスチレンマレイン酸無水物コポリマー)のいずれかである。各例の詳細、並びに対応するナトリウム量の測定結果を以下の表4に示す(PEHA及び第2ポリマーの量は、顔料の量を基準とした百分率(pph)である)。
【0075】
【表4】

【0076】
表4の結果が示すように、本発明の顔料組成物は、非常に高い濃度のナトリウムを有し、顔料組成物中に大量のポリマーが存在することを示した。本発明の顔料組成物を含む得られた分散体の全てが、200nm未満(概して約150nm未満)の粒径を有して安定であった。したがって、分散体の安定性を失うことなく、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマーと組み合わせて、非常に低い水溶解性を有するかまたは水不溶性であるポリマーを用いることができる。それゆえ、これらの例は、良好な全体的特性を有する顔料組成物の分散体が、顔料とポリアミンとを、1つのポリマーが少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマーである、ポリマーの混合物のポリマー溶融物に入れて混合することによって調製され得ることを示す。
【0077】
例46〜51
次の例は、ポリアミンと顔料とを混合して被覆顔料を生成し、被覆顔料と、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマーとを混合することによって顔料組成物を調製する、本発明に実施態様に関する。
【0078】
これらの例のそれぞれは、次の基本手順に従った。BP700を、Ross製(Model PD−1/2)の2リットルのプラネタリーミキサーに添加した。これに、PEHA(25%の水溶液として)を添加し、その混合物を15〜60℃で15〜30分間、攪拌して、湿式粉体として被覆顔料を生成した。次いで、J683を、乾燥固体として、または28%水酸化アンモニウム中の20%溶液として、添加した。次いで、温度を約170℃に上げて、この温度にて約5時間、その混合物を混合した。
【0079】
冷却して、得られた固体残留物を、NaOH(ポリマー酸価の1.7倍に等しい量)を含むDI水中に分散させた。次いで、分散体を、10倍容の0.1MのNaOH溶液を用いて、次いで透過液(permeate)の伝導度が250μS以下になるまで十分な体積のDI水を用いて、ダイアフィルトレーションによって精製して、溶解性不純物を除去し、200nm未満の最終粒径を有する本発明の顔料組成物の安定な分散体(10〜15%固形分)を生成した。
【0080】
各例の詳細、並びに顔料組成物の熱重量分析器(TGA)の結果及びイオン選択電極を用いて測定した得られたナトリウム量(固形分基準)の両方について、以下の表5に示す(PEHAの量は、顔料の量を基準とした百分率(pph)であり、ポリマー比は、顔料の質量に対するポリマーの質量の比である)。TGA及びナトリウム量の結果は、顔料組成物中にJ683が残存していることの指標として用いることができる。
【0081】
【表5】

【0082】
表5の結果が示すように、本発明の顔料組成物は、非常に高い濃度のナトリウムを有し、十分なダイアフィルトレーションの後においても、顔料組成物中に大量のポリマー(J683)が存在していることを示す。また、これらの顔料組成物を含む得られた分散体の全てが、200nm未満(概して約150nm未満)の粒径を有して安定であった。それゆえ、これらの例は、良好な全体的特性を有する顔料組成物の分散体が、顔料とポリアミンとを混合して被覆顔料を生成し、被覆顔料と、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有する固体または溶液としてのポリマーとを混合することによって、調製され得ることを示す。
【0083】
例52〜54及び比較例11〜12
次の例は、本発明のインクジェットインク組成物の実施態様に関する。
【0084】
インクジェットインク組成物を、次の基本構成を用いて調製した(すべての%は質量%である)。7%のトリメチロールプロパン、1%のSurfynol465、5%のジエチレングリコール、7%のグリセリン、4%の顔料を、平衡DI水と共に用いた。画像を、Canon iP4000サーマルインクジェットプリンターを用いて印刷し、光学濃度(OD)及び耐蛍光ペン汚れ性(highlighter smear resistance)の両方について評価した。平均光学濃度を、7種類の異なる紙(Hammermill InkJet、 Hammermill Copy Plus、 HP Advanced、 HP Bright White、 HP Multipurpose、 HP Plain Paper、 及びXerox 4200)に印刷した画像について測定した。印刷画像のODは、ImageXpert(商標)を用いて測定した。それぞれの種類の紙の印刷画像について、ODを5つ測定し、全種類の紙について測定値の平均値を求めた。汚れ値(Smear value)は、HP Multipurpose紙に印刷した画像についてSharpie Accentイエロー蛍光ペンを用いて測定した。この測定について、紙の未印刷部分上で蛍光ペンを2回引いて、ブランク(blank)を形成し、次いで印刷画像上を横切って蛍光ペンを2回引いた。蛍光ペンを、試験と試験の間で清浄化した。OD変化量(OD transfer)を測定して(スミアード部分(smeared section)のODと、ブランクのODとを比較して)、汚れ値(Smear Value)を決定した。
【0085】
例52、53、及び54のインクジェットインク組成物は、それぞれ、例2、5、及び9の顔料組成物を含んだ。比較例11のインクジェットインク組成物は、DI水(1.5g/顔料1g)中で、BP700、 4−アミノフェニル−2−スルファトエチルスルホン(APSES、0.5ミリモル/顔料1g)、及び亜硝酸ナトリウム(1モル/APSES1モル)を反応させて、付加されたフェニル−2−(スルファトエチルスルホン)基を有するカーボンブラック顔料を生成すること、この改質顔料を、12を超えるpHにてDI水中で、PEHA(1.25ミリモル/顔料1g)と反応させて、付加されたアミン基を有する改質カーボンブラックを生成すること(pH3で分散された)、並びに最後に、この分散体をJoncryl683(1g/顔料1g)と混合して、175℃に18時間、加熱して、ポリマー改質カーボンブラックを生成すること、によって調製した、ポリマー改質顔料を含んだ。このように、この比較のインクジェットインク組成物は、付加されたポリアミンと、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマーとを含んだ。最後に、比較例12のインクジェットインク組成物は、J683(顔料の質量基準で25質量%)と共に従来方式で分散されたBP700を含んだ。比較例11及び12で用いた顔料組成物のナトリウム価(sodium number)は、例2、5、及び9の顔料組成物のものと類似していた。
【0086】
例55〜57のインクジェットインク組成物は、それぞれ、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有する2つの異なる種類の溶融物としてのポリマーを用いて調製された例39〜41の顔料組成物を含み、比較例13〜14のインクジェットインク組成物は、それぞれ、比較例5〜6の顔料組成物を含んだ。また、例58〜61のインクジェットインク組成物は、それぞれ、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマー及び少なくとも1つの無水物基を有する溶融物としてのポリマーを用いて調製された例42〜45の顔料組成物を含み、比較例15〜18のインクジェットインク組成物は、それぞれ、比較例7〜10の顔料組成物を含んだ。
【0087】
印刷性能特性を以下の表6に示す。その結果が示すように、本発明の顔料組成物を含む例52〜24のインクジェットインク組成物は、比較のインクジェットインク組成物を用いて形成した画像と比較して、同等またはより高い平均光学濃度、並びに驚くほど改良された(より低い)蛍光ペンOD変化量(highlighter OD transfer)を有する印刷画像を形成した。このように、本発明のこれらのインクジェットインク組成物は、OD及び耐蛍光ペン汚れ性の両方について、比較のインクジェットインク組成物よりも、改良されたバランスを有する画像を形成することが分かった。本発明の顔料組成物を含む例55〜61のインクジェットインク組成物について、これらは、比較例13〜14のインクジェットインク組成物に対して同等のOD及び汚れ値を有する画像を形成し、印刷性能は、用いられた全ポリマーの量に関連した。第2ポリマーの量が増加するに連れて、ODが概して低下し、汚れ値が概して増加し、改良された性能を得るための第2ポリマーの好ましい範囲が示された。
【0088】
【表6】

【0089】
本発明の好ましい実施態様の先の記載は、例証及び説明の目的のために示された。余すところなく述べることや、本発明を開示された厳密な形態に限定することは意図していない。改良及び改変は、上記教示に照らして可能であり、または本発明の実施から得ることができる。本発明の原理及びその実用的な用途を説明して、当業者が種々の実施態様において、及び熟考された特定の使用に適する種々の改良を用いて、本発明を利用できるように、実施態様を選択及び記載した。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等なものによって規定されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料組成物の調製方法であって、
i)ポリアミンと顔料とを混合して、被覆顔料を生成する工程;及び
ii)該被覆顔料と、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有する少なくとも1つのポリマーとを混合して、該顔料組成物を生成する工程、
を含み、該ポリマーがポリマー溶融物の形態である、方法。
【請求項2】
該ポリアミンが、非水性溶媒である第1溶媒中に溶解した形態であり、該方法が、該第1溶媒を除去して該被覆顔料を生成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該顔料が、水性溶媒である第2溶媒中に分散した顔料の形態であり、該方法が、該第2溶媒を除去して該被覆顔料を生成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該顔料が、付加された少なくとも1つの有機基を有する炭素生成物を含む改質炭素生成物であり、該有機基が少なくとも1つのアルキルアミン基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該ポリマー溶融物が、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有する第1ポリマー、及び少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有する第2ポリマーを含み、該第1ポリマーが、約20〜約100の酸価を有し、該第2ポリマーが、約110〜約400の酸価を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該ポリマー溶融物が、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有する第1ポリマー、及びアミノ基と反応することが可能な少なくとも1つの非カルボン酸基またはその塩を有する第2ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該被覆顔料及び該ポリマー溶融物が、高強度の混合条件下で混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該被覆顔料が、該顔料に吸着された該ポリアミンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該被覆顔料が、該ポリアミンと該顔料との反応生成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
該顔料組成物が、該被覆顔料と該ポリマーとの反応生成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
顔料組成物の調製方法であって、
i)ポリアミンと顔料とを混合して、被覆顔料を生成する工程;
ii)該被覆顔料と、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有する少なくとも1つのポリマーとを混合して、混合物を生成する工程;及び
iii)該混合物を、該ポリマーを溶融するのに十分な温度に加熱して、該顔料組成物を生成する工程、
を含む、方法。
【請求項12】
顔料組成物の調製方法であって、
i)少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマーの溶融物を生成する工程;及び
ii)該ポリマーの溶融物に、ポリアミンと顔料とを任意の順番で添加して、該ポリマー組成物を生成する工程、
を含む、方法。
【請求項13】
顔料組成物の調製方法であって、
i)少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有するポリマー、ポリアミン、及び顔料を、任意の順番で混合して、混合物を生成する工程;並びに
ii)該混合物を、該ポリマーを溶融するのに十分な温度に加熱して、該ポリマー組成物を生成する工程、
を含む、方法。
【請求項14】
被覆顔料と、少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有する少なくとも1つのポリマーとの混合生成物を含む顔料組成物であって、該被覆顔料が、ポリアミンと顔料との混合生成物を含む、顔料組成物。
【請求項15】
該被覆顔料と該ポリマーとの該混合生成物が、該被覆顔料と該ポリマーとの反応生成物を含む、請求項14に記載の顔料組成物。
【請求項16】
該ポリアミンと該顔料との該混合生成物が、該顔料に吸着された該ポリアミンを含む、請求項14に記載の顔料組成物。
【請求項17】
該ポリアミンと該顔料との該混合生成物が、該ポリアミンと該顔料との反応生成物を含む、請求項14に記載の顔料組成物。
【請求項18】
該顔料組成物が、吸着されたまたは付加された少なくとも1つの反応ポリマーを有する顔料を含み、該反応ポリマーが、該ポリマーの質量平均分子量の少なくとも10倍の質量平均分子量を有する、請求項14に記載の顔料組成物。
【請求項19】
該顔料組成物が、吸着されたまたは付加された少なくとも1つの反応ポリマーを有する顔料を含み、該反応ポリマーが、該顔料組成物の総質量に基づいて、約20質量%〜約50質量%の量で存在する、請求項14に記載の顔料組成物。
【請求項20】
a)液体ビヒクル、及びb)被覆顔料と少なくとも1つのカルボン酸基またはその塩を有する少なくとも1つのポリマーとの混合生成物を含む顔料組成物、を含むインクジェットインク組成物であって、該被覆顔料が、ポリアミンと顔料との混合生成物を含む、インクジェットインク組成物。
【請求項21】
該被覆顔料と該ポリマーとの該混合生成物が、該被覆顔料と該ポリマーとの反応生成物を含む、請求項20に記載のインクジェットインク組成物。
【請求項22】
該ポリアミンと該顔料との該混合生成物が、該顔料に吸着された該ポリアミンを含む、請求項20に記載のインクジェットインク組成物。
【請求項23】
該ポリアミンと該顔料との該混合生成物が、該ポリアミンと該顔料との反応生成物を含む、請求項20に記載のインクジェットインク組成物。
【請求項24】
該顔料組成物が、吸着されたまたは付加された少なくとも1つの反応ポリマーを有する顔料を含み、該反応ポリマーが、該ポリマーの質量平均分子量の少なくとも10倍の質量平均分子量を有する、請求項20に記載のインクジェットインク組成物。
【請求項25】
該顔料組成物が、吸着されたまたは付加された少なくとも1つの反応ポリマーを有する顔料を含み、該反応ポリマーが、該顔料組成物の総質量に基づいて、約20質量%〜約50質量%の量で存在する、請求項20に記載のインクジェットインク組成物。

【公表番号】特表2011−506635(P2011−506635A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536945(P2010−536945)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/013455
【国際公開番号】WO2009/075802
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】