説明

顔面装着用マスク

【課題】 空気中に浮遊する微細な粒子の人体への侵入を確実に遮断することができ、しかも外観上見栄えの良い顔面装着用マスクを提供する。
【解決手段】 少なくとも顔面50aに密着する接顔部11aが弾性部材から構成され接顔部11aが顔面50aに密着した状態で鼻51と口52を覆う通気性を有しないマスク本体10と、マスク本体10に設けられマスク本体10の内側と外側を連通する接続口12と、接続口12に着脱自在に接続されるフィルタ部20と、を備え、フィルタ部20は、マスク本体10を覆う保持ケース21と、保持ケース21の外面から外方に突出する複数の通気用リブ24と、複数の通気用リブ24に支持されるとともに保持ケース21の外面側を覆い外周部が保持ケース21の外周縁と接合されるシート状のフィルタ本体26と、保持ケース21の外面とフィルタ本体26の内面との間に形成されマスク本体10の接続口12と連通可能な通気路27とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気中に浮遊する微細な粒子の人体への侵入を確実に遮断するための顔面装着用マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からマスク本体をカップ状に形成し、マスク本体が顔面に密着し易いようにした顔面装着用マスクが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この顔面装着用マスクは、複数層の不織布をプレス成形してマスク本体をカップ状に形成しており、マスク本体には装着用の耳掛け部が取付けられている。
【0003】
また、マスク本体に対してフィルタケースを着脱可能とした構造のマスクが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−286319号公報
【特許文献2】特開2002−301165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、インフルエンザの予防として顔面装着用マスクを利用することが有効であるが、一般のインフルエンザ予防用のマスクは、特許文献1のように顔面と接触するマスク本体が不織布から構成されているので、顔面とマスク本体とを完全に密着させることが難しい。そのため、インフルエンザウィルスが空気とともに顔面とマスク本体との隙間からマスク本体の内側に容易に流入し、口や鼻を介してインフルエンザウィルスが人体内に侵入するという問題がある。
【0006】
また、特許文献2のように、顔面とマスク本体とを完全に密着させ、マスク本体にフィルタケースを着脱可能に取付けるマスクの場合は、フィルタ部によってインフルエンザウィルスが人体内に侵入することを阻止することが可能であるが、フィルタケースが顔面の前に突出した状態となるので、外観上見栄えが悪く、例えば接客や通勤などでは使用を躊躇せざるを得ない場合がある。
【0007】
近年は、毒性の強いウィルスを有する鳥インフルエンザや新型インフルエンザが流行する兆しがあり、これらのウィルスの人体への侵入を確実に遮断でき、しかも外観上見栄えが良く接客や通勤などでも躊躇することなく使用ことができる顔面装着用マスクの開発が望まれる。
【0008】
そこでこの発明は、空気中に浮遊する微細な粒子の人体への侵入を確実に遮断することができ、しかも外観上見栄えの良い顔面装着用マスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、少なくとも顔面に密着する接顔部が弾性部材から構成され、前記接顔部が前記顔面に密着した状態で鼻と口を覆う通気性を有しないマスク本体と、前記マスク本体に設けられ、前記マスク本体の内側と外側を連通する接続口と、前記接続口に着脱自在に接続されるフィルタ部と、を備え、前記フィルタ部は、前記マスク本体を覆う保持ケースと、前記保持ケースの外面から外方に突出する複数の通気用リブと、前記複数の通気用リブに支持されるとともに前記保持ケースの外面側を覆い外周部が前記保持ケースの外周縁と接合されるカップ状のフィルタ本体と、前記保持ケースの外面と前記通気用リブによって支持された前記フィルタ本体の内面との間に形成され前記マスク本体の接続口と連通可能な通気路とを有している、
ことを特徴とする顔面装着用マスクである。
【0010】
この発明によれば、接顔部が弾性部材から構成されているため、マスク本体の接顔部は顔面に沿って容易に変形し、マスク本体は顔面と密着した状態となる。マスク本体および保持ケースは、カップ状のフィルタ本体によって覆われた状態となるので、外観上はカップ状のフィルタ本体のみが見えることになる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の顔面装着用マスクにおいて、前記フィルタ本体は、0.08μ以上の大きさの飛沫粒子を遮断することが可能であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、マスク本体を顔面に密着させることができるので、空気中に浮遊するウィルスが顔面とマスク本体との間からマスク本体内側へ侵入するのを確実に防止することができる。
【0013】
また、マスク本体および保持ケースは、カップ状のフィルタ本体によって覆われた状態となるので、外観上はカップ状のフィルタ本体のみが見えることになり、外観上見栄えが良くなる。したがって、接客や通勤などでも顔面装着用マスクを躊躇することなく使用することができ、広範囲の分野での使用が可能となる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、フィルタ本体は、0.08μ以上の大きさの飛沫粒子を遮断することが可能であるので、鳥インフルエンザウィルスや新型インフルエンザウィルスなどの空気中に浮遊する微細な粒子の人体内への侵入を確実に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係わる顔面装着用マスクの使用状態を示す断面図である。
【図2】図1の顔面装着用マスクの斜視図である。
【図3】図1の顔面装着用マスクにおけるフィルタ部の斜視図である。
【図4】図3のC−C線に沿う断面図である。
【図5】図1の顔面装着用マスクの変形例を示す断面図である。
【図6】図1のマスク本体の側面図である。
【図7】図1のマスク本体の正面図である。
【図8】図1のマスク本体の背面図である。
【図9】図8のA−A線に沿う断面図である。
【図10】図8のB−B線に沿う断面図である。
【図11】図1のフィルタ部のマスク本体への装着作業を示す側面図である。
【図12】図1のフィルタ部とマスク本体との接続構造を示す部分拡大正面図である。
【図13】図1のフィルタ部とマスク本体との接続完了状態を示す部分拡大断面図である。
【図14】図1の顔面装着用マスクの使用状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、この発明の実施の形態について図面を用いて詳しく説明する。
【0017】
図1ないし図14は、この発明の実施の形態を示している。図1および図14に示すように、人体50の顔面50aには、顔面装着用マスク1が装着されている。顔面装着用マスク1は、図1に示すように、マスク本体10と、フィルタ部20とを有している。マスク本体10は、顔面50aと密着可能な弾性部材としてのゴムから構成されている。ゴムとしては、顔面50aに密着しやすくかつ容易に弾性変形可能なシリコーンゴムが望ましい。マスク本体10は、鼻51と口52とを一緒に覆う覆部11と、接続口12とを有している。
【0018】
図6ないし図8に示すように、覆部11は略カップ状に形成されており、軽量化を図るために全体にわたり薄肉化されている。覆部11の外周部は、顔面50aにおける鼻51と口52の周りに密着可能な接顔部11aに形成されている。すなわち、接顔部11aは顔面50aに密着するように、鼻51と口52の周りの形状に沿って延びるように形成されている。鼻51と口52を覆う覆部11の中央部は、円弧状の隆起部11bに形成されている。
【0019】
図8に示すように、接顔部11aは、側部接顔部11a1と、上部接顔部11a2と、下部接顔部11a3を有している。側部接顔部11a1は、鼻51と口52の両側に位置する部位であり、顔面50aにおける鼻51の上部から口52の下方にかけて接触可能な部位である。上部接顔部11a2は、鼻51の上部と接触可能な部位である。下部接顔部11a3は、顎前部52aと接触可能な部位である。接顔部11aは、顔面50aとの密着性を高めるために全周にわたり折返し構造となっており、上部接顔部11a2は、折返しの部位が鼻51の上部と接触可能となっている。同様に、側部接顔部11a1は、折返し部が鼻51と口52の両側に位置する部位と接触可能となっている。
【0020】
この実施の形態においては、接顔部11aを折返し構造とすることにより、接顔部11aをより弾性変形しやすくし、接顔部11aと顔面50aとの密着性を高めることが可能となっている。覆部11には、顔面50aにマスク本体10を装着するためのゴム製の保持バンド15が取付けられている。保持バンド15は、一端部15aが覆部11の一方の側部接顔部11a1近傍に連結されており、他端部15bは、覆部11の他方の側部接顔部11a1近傍に連結されている。
【0021】
覆部11のほぼ中央部には、接続口12が設けられている。すなわち、接続口12は、
上部接顔部11a2の下方で、かつ下部接顔部11a3の上方に位置している。接続口12は、例えば合成樹脂から構成されており、筒部12aとフランジ部12bとを有している。筒部12aは、円筒状に形成されており、筒部12aの一端部には環状のフランジ部12bが形成されている。筒部12aとフランジ部12bは、一体成形されている。覆部11には、覆部11の内側と外側とを貫通する貫通穴11cが形成されている。フランジ部12bは、覆部11の貫通穴11cの外縁部に密着した状態で接合されている。これにより、接続口12は、マスク本体10の覆部11に気密性をもって固定されている。接続口12の内側には、マスク本体10の内側と外側とを連通する第1の空気通路14が形成されている。
【0022】
筒部12aの外周部には、2本の連結ピン13が取付けられている。各連結ピン13は、軸心Eを中心として対向して配置されている。連結ピン13は、例えば耐腐食性に優れた金属部材から構成されている。連結ピン13は、棒状の係合ピン部13aと平板状の頭部13bとを有している。頭部13bは、係合ピン部13aの一端部に形成されており、径が係合ピン部13aよりも大に形成されている。係合ピン部13aの他端部は、筒部12aに固定されている。
【0023】
マスク本体10の接続口12には、外気とマスク本体10の内側とを連通するフィルタ部20が接続されている。フィルタ部20は、マスク本体10の接続口12に対して着脱自在となっている。すなわち、マスク本体10は長期間にわたって使用することが可能であるのに対し、フィルタ部20は一定期間使用した後は廃棄されることから、フィルタ部20はマスク本体10の接続口12に対して容易に着脱可能となっている。フィルタ部20は、保持ケース21と、複数の通気用リブ24と、フィルタ本体26と、通気路27とを有している。
【0024】
保持ケース21は、マスク本体10の覆部11とほぼ相似形をした円弧状のカップ状に形成されている。図1に示すように、保持ケース21は所定の間隔をもってマスク本体10と対向するように配置されており、マスク本体10の全体を覆っている。保持ケース21の外面には、軸心E回りに複数の通気用リブ24が形成されている。複数の通気用リブ24は、図4に示すように、保持ケース21の外面から外方に突出している。図1および図3に示すように、通気用リブ24は、保持ケース21の外縁部21aから保持ケース21の中央部に向けて延びている。保持ケース21と通気用リブ24は、合成樹脂から構成されている。保持ケース21と通気用リブ24は、別部材から構成し互いに接合する構造としてもよいが、この実施の形態においては、保持ケース21と通気用リブ24は一体成形されている。
【0025】
保持ケース21の中央部には、外方に突出する通気筒部21aが形成されている。通気筒部21aの先端部には、半径方向内方に延びるパッキン保持部21cが形成されている。通気筒部21aには、接続用筒部22が設けられている。接続用筒部22は、図12に示すように、内側にマスク本体10側の筒部12aが進入可能な円筒形をしており、マスク本体10の覆部11に向かって延びている。保持ケース21と接続用筒部22は、合成樹脂から構成されている。接続用筒部22は、保持ケース21と別部材で構成してもよいが、この実施の形態においては、接続用筒部22は保持ケース21と一体成形されている。
【0026】
複数の通気用リブ24の外側には、シート状部材からなるフィルタ本体26が設けられている。フィルタ本体26は、保持ケース21とほぼ相似形をした円弧状のカップ状に形成されている。フィルタ本体26は、複数の通気用リブ24を介して保持ケース21の外面側を覆っている。フィルタ本体26の外周部26aは、全周にわたって保持ケース21の外周縁21aの外側と接合されている。図4に示すように、フィルタ本体26の内面側は、複数の通気用リブ24の上端面24aによって支持されており、フィルタ本体26と保持ケース21との間には、複数の通気用リブ24によって複数の通気路27が形成されている。各通気路27は、保持ケース21の外周部側から中心部に向かって延びている。
【0027】
フィルタ本体26は、空気中に浮遊する微細な物質を捕捉する機能を有している。この実施の形態においては、フィルタ本体26は、インフルエンザウィルスを捕捉する機能を有する種類のものが用いられている。フィルタ本体26は、0.08μ(10−6m)以上の大きさの飛沫粒子を遮断することが可能となっている。フィルタ本体26は、捕捉する飛沫粒子の種類によって最適な性能のものを選択することができる。
【0028】
図5は、シート状のフィルタ本体26と保持ケース21との接合構造の変形例を示している。図1においては、フィルタ本体26の外周部26aは、全周にわたって保持ケース21の外周縁21aの外側のみと接合される構成としているが、図5に示すように、フィルタ本体26の外周部26aを折返し、折返し部26bを保持ケース21の外周縁21aの外側と接合させる構造とすれば、保持ケース21との接合面積を大に確保することができ、気密性をさらに高めることが可能となる。
【0029】
接続用筒部22の内側には、シール部材であるパッキン25が収納されている。パッキン25は、マスク本体10側の接続口12による押圧によって弾性変形可能となっている。パッキン25は、リング状に形成されており、断面形状が四角形となっている。パッキン25の外周面は、接続用筒部22の内面と嵌合している。パッキン25の内周面は、パッキン保持部21cの内周面と一致している。パッキン25の一側は、パッキン保持部21cと密着しており、パッキン保持部21cによって保持されている。パッキン保持部21cの内側およびパッキン25の内側は、通気路27と連通する第2の空気通路28に形成されている。
【0030】
第2の空気通路28は、フィルタ本体26を介して吸込まれた空気をマスク本体10側に流す機能を有している。また、第2の空気通路28は、鼻51と口52から吐き出された空気をフィルタ本体26を介して外部に排出する機能とを有している。このように、マスク本体10は通気性を有していないので、呼吸はすべてフィルタ本体26を介して行われる。
【0031】
接続用筒部22の外面と通気筒部21aの内面との間には、連結ピン13の頭部13bが進入可能な逃がし空間部29が形成されている。図12に示すように、接続用筒部22には、連結ピン13と係合可能な係合溝23が形成されている。係合溝23は、先端溝部23a、傾斜溝部23b、奥側溝部23c、ロック溝部23cを有している。先端溝部23aは、接続用筒部22の端部に形成されており、軸心Eに沿って延びている。傾斜溝部23bは、先端溝部23aに連なって形成されており、接続用筒部22の外面に沿って周方向に延びている。奥側溝部23cは、傾斜溝部23bに連なって形成されており、軸心Eに対して直交する方向に延びている。ロック溝部23cは、奥側溝部23cの終端部に形成されている。
【0032】
係合溝23の各溝部は、連結ピン13の係合ピン部13aが通過可能な幅に形成されている。連結ピン13は、係合溝23のロック溝部23cまで進入可能となっている。連結ピン13がロック溝部23cまで進入した状態では、図13に示すように、マスク本体10側に設けられた接続口12の筒部12aの端部がパッキン25に当接し、筒部12aの端部がパッキン25と密着するようになっている。これにより、マスク本体10とフィルタ部20とを接続した際の接続部分の気密性が保たれるようになっている。
【0033】
この実施の形態においては、マスク本体10は第1の空気通路14以外に外部と連通しない構成となっているが、排気弁16を採用することにより排気時のみ外部と連通する構成を採用してもよい。例えば、排気弁16は、覆部11における貫通穴11cの近傍に設けるのが望ましい。排気弁16は、マスク本体10の内側から外側への空気の流れを許すとともに、マスク本体10の外側から内側への空気の流れを阻止する機能を有している。排気弁16を採用することにより、鼻51や口5210から排出された空気を容易にマスク本体内から外部に排出することができ、呼吸が容易となる。
【0034】
つぎに、顔面装着用マスク1の使用方法および作用について説明する。
【0035】
使用開始に際しては、まずマスク本体10にフィルタ部20を接続する。フィルタ20部の接続は、接続用筒部22の係合溝23とマスク本体10の連結ピン13とを係合させることにより行う。ここで、係合溝23に連結ピン13の係合ピン部13aを進入させ、図11に示すようにフィルタ部20を軸心Eを中心として矢印F方向に回動させることにより、係合ピン部13aは傾斜溝部23bを経由して奥側溝部23cまで移動する。係合ピン部13aが傾斜溝部23bする際は、マスク本体10の筒部12aの先端面がパッキン25に向かって移動することになる。そして、係合ピン部13aが奥側溝部23cに到達し、ロック溝部23cと係合した状態では、マスク本体10の筒部12aの先端面がパッキン25を十分に押圧した状態となる。これにより、マスク本体10とフィルタ部20との接続が完了した状態では、マスク本体10側の第1の空気通路14とフィルタ部20側の第2の空気通路28とが連通状態になるとともに、マスク本体10とフィルタ部20との接続部分の気密性が十分に高い状態に維持される。
【0036】
フィルタ部20のマスク本体10への接続が完了すると、マスク本体10を顔面50aに装着する。ここで、マスク本体10にはゴム製の保持バンド15が取付けられているので、保持バンド15の中央部を後頭部50bに掛けることより、マスク本体10を顔面50aに密着した状態で装着させることができる。すなわち、マスク本体10はシリコーンゴムから構成されており、接顔部11aは弾性変形が容易となるように全周にわたり折返し構造となっているので、マスク本体10は接顔部11aが顔面50aに完全に密着した状態となり、マスク本体10と顔面50aとの接触部分に隙間は生じない。ここで、マスク本体10は、薄肉の弾性部材から構成されているので、保持バンド15によるマスク本体10の顔面50aへの装着力を強くした場合でも、マスク本体10全体が容易に弾性変形し、接顔部11aが顔面50aに強く食い込むことはなく、圧迫感を解消することができる。
【0037】
また、マスク本体10は通気性を有しないので、鼻51と口52による呼吸は必ずフィルタ本体26を介して行うことになる。フィルタ部20は、フィルタ本体26を介してマスク本体10の内側を連通しているので、フィルタ本体26から流入した空気は、フィルタ本体26を介して鼻51と口52から人体内に送られる。フィルタ本体26は、空気中に浮遊するインフルエンザウィルスを捕捉する機能を有しているので、鼻51と口52に送られる空気はインフルエンザウィルスが完全に除去されており、人体内にインフルエンザウィルスが侵入するのを防止することができる。
【0038】
近年は、毒性の強いウィルスを有する鳥インフルエンザや新型インフルエンザが流行する兆しがあり、これらのウィルスの人体50への侵入を完全に遮断することが必要となるが、この実施の形態のように、マスク本体10を通気性を有しない構造にするとともに、マスク本体10を顔面に完全に密着させることにより、呼吸はフィルタ本体26のみを介して行われ、鳥インフルエンザウィルスや新型インフルエンザウィルスが人体50内に侵入するのを確実に防止することができる。
【0039】
フィルタ部20は、一定期間使用した後はマスク本体10から取外され、廃棄される。ここで、フィルタ部20をマスク本体10から取外す際は、まず連結ピン13の係合ピン部13aロック溝部23cとの係合を解除する。その後、フィルタ部20を図11に示す軸心Eを中心として矢印F方向と反対方向に回動させることにより、連結ピン13を係合溝23から退出させる。そして、新品のフィルタ部20を上述の手順でマスク本体10に取り付ける。
【0040】
図14は、顔面装着用マスク1の使用状態を示している。図14に示すように、マスク本体10は、マスク本体10および保持ケース21は、カップ状のフィルタ本体26によって覆われた状態となるので、外観上はフィルタ部20におけるカップ状のフィルタ本体26のみが見えることになり、外観上見栄えが良くなる。したがって、接客や通勤などでも顔面装着用マスク1を躊躇することなく使用することができ、広範囲の分野での使用が可能となる。
【0041】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、この実施の形態においては、マスク本体10の覆部11をすべて弾性部材から構成したが、少なくとも顔面に密着する接顔部11aを弾性部材から構成し、他の部位を通気性のない別部材から構成するようにしてもよい。また、マスク本体10の弾性部材は、シリコーンゴムに限定されず、容易に弾性変形する柔らかな生ゴムなどを用いた構成としてもよい。そして、接続口12とフィルタ部20との接続構造は、連結ピン13を用いる構造に限定されず、ネジを利用した螺合構造としてもよい。
【0042】
さらに、この実施の形態においては、一枚のシート状部材から構成されるフィルタ本体26によって鳥インフルエンザウィルスや新型インフルエンザウィルスの人体50内への侵入を遮断するようにしているが、複数枚のフィルタ本体26を重ね合わせて使用する構成としてもよい。また、フィルタ本体26は、鳥インフルエンザウィルスや新型インフルエンザウィルスなど0.08μ以上の大きさの飛沫粒子を捕捉することが可能である種類のものを採用しているが、フィルタ本体26の種類はこれに限定されることはなく、空気中に浮遊する花粉などその他の微細な物質を捕捉することが可能なフィルタ本体26を採用することは勿論可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 顔面装着用マスク
10 マスク本体
11 覆部
11a 接顔部
12 接続口
13 連結ピン
16 排気弁
20 フィルタ部
21 保持ケース
22 接続用筒部
23 係合溝
24 通気用リブ
25 パッキン
26 フィルタ本体
27 通気路
50 人体
50a 顔面
50b 後頭部
51 鼻
52 口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも顔面に密着する接顔部が弾性部材から構成され、前記接顔部が前記顔面に密着した状態で鼻と口を覆う通気性を有しないマスク本体と、
前記マスク本体に設けられ、前記マスク本体の内側と外側を連通する接続口と、
前記接続口に着脱自在に接続されるフィルタ部と、
を備え、
前記フィルタ部は、前記マスク本体を覆う保持ケースと、前記保持ケースの外面から外方に突出する複数の通気用リブと、前記複数の通気用リブに支持されるとともに前記保持ケースの外面側を覆い外周部が前記保持ケースの外周縁と接合されるカップ状のフィルタ本体と、前記保持ケースの外面と前記通気用リブによって支持された前記フィルタ本体の内面との間に形成され前記マスク本体の接続口と連通可能な通気路とを有している、
ことを特徴とする顔面装着用マスク。
【請求項2】
前記フィルタ本体は、0.08μ以上の大きさの飛沫粒子を捕捉することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の顔面装着用マスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−104166(P2011−104166A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263148(P2009−263148)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(508081374)株式会社キャリバーインターナショナルコーポレーション (4)
【Fターム(参考)】