説明

顕微鏡システム

【課題】 顕微鏡の観察視野に制限されずに複数の撮影範囲のタイムラプス撮影を行うことができる顕微鏡システムを提供する。
【解決手段】 ステージ2を移動させて顕微鏡視野範囲を選択し、この選択された顕微鏡視野内で複数の撮影範囲を選択して、これら撮影範囲の撮影情報を撮影情報データベース12に記憶させ、その後、撮影情報データベース12に記憶された撮影情報に基づいて各撮影範囲を選択し、これら撮影範囲を順に撮影するとともに、これら撮影範囲の撮影を所定の時間間隔で繰り返して撮影範囲ごとのタイムラプス撮影像を取得する。
タイムラプス撮影終了後、モニタ8上の複数の画像表示エリアに、画像記録手段に記録された標本画像を、それぞれ撮影間隔毎に連続表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡画像を一定時間間隔ごとに撮影する顕微鏡システムに関するものである。
【0002】
従来、顕微鏡により標本を観察する方法として、顕微鏡画像を一定時間間隔ごとに撮影(以下、タイムラプス撮影と称する。)するとともに、撮影終了後に一連の撮影画像を再生し、時間的な標本の形態変化を動画像として観察する方法がある。このような方法は、顕微鏡視野内に存在する特定の標本、例えば生きた細胞の時間的変化を観察する方法として極めて有効とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、最近、同一条件で培養した細胞に対して複数の試薬の効果を確認するなどの研究分野では、顕微鏡視野外に及ぶ複数の撮影に対してもタイムラプス撮影を行い標本の時間的な形態変化を同時に観察することも要求されている。
【0004】
ところが、従来のタイムラプス撮影を可能にする方法では、顕微鏡視野範囲に限られており、顕微鏡視野外に及ぶ複数の撮影範囲に対してタイムラプス撮影を行うことはできなかった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、顕微鏡の観察視野に制限されることなく複数の撮影範囲のタイムラプス撮影を行うことができる顕微鏡写真撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の顕微鏡システムは、標本に集光するための対物レンズを有する顕微鏡本体と、前記顕微鏡本体の視野範囲を選択可能にする前記標本を載置するステージと、前記ステージを観察光軸に対して垂直方向であるX−Y方向に駆動制御するX−Yステージ駆動手段と、前記X−Yステージ駆動手段に前記ステージの移動の指示を行うステージ移動指示手段と、標本像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影された前記標本像を表示するモニタと、前記標本像を記録するための画像記録手段と、前記X−Yステージ移動指示手段を用いて前記撮影手段に撮影された標本像の前記モニタ表示される範囲の移動を行い、タイムラプス撮影時に前記撮影手段にて撮影を行う複数の撮影位置の選択を行うための撮影位置選択手段と、前記選択された複数の撮影位置情報を記録するための撮影位置記録手段と、前記複数の撮影位置をタイムラプス撮影するときの、撮影間隔の入力を行うための撮影間隔入力手段と、前記撮影間隔入力手段にて入力された前記撮影間隔を記録するための撮影間隔記録手段と、前記X−Yステージ制御手段及び撮影手段の制御を行う撮影制御手段と、タイムラプス撮影終了後、前記同一モニタ上に前記画像記録手段に記録された撮影位置ごとの標本画像を表示するための少なくとも2ヶ所以上の標本画像表示エリアを有し、前記撮影制御手段にて、前記撮影位置記録手段に記憶された前記撮影位置に対応した標本画像の撮影と前記画像記録手段への保存を行うことを、前記撮影間隔記録手段に記録された撮影時間の間隔で繰り返して行うタイムラプス撮影を実施し、前記タイムラプス撮影終了後、前記モニタ上の複数の前記標本画像表示エリアに、前記画像記録手段に記録された前記標本画像を、それぞれ撮影間隔毎に連続表示することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の顕微鏡システムは、標本に集光するための対物レンズを有する顕微鏡本体と、前記顕微鏡本体の視野範囲を選択可能にする前記標本を載置するステージと、前記ステージを観察光軸に対して垂直方向であるX−Y方向に駆動制御するX−Yステージ駆動手段と、前記X−Yステージ駆動手段に前記ステージの移動の指示を行うステージ移動指示手段と、標本像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影された前記標本像を表示するモニタと、前記標本像を記録するための画像記録手段と、前記X−Yステージ移動指示手段を用いて前記撮影手段に撮影された標本像の前記モニタ表示される範囲の移動を行い、タイムラプス撮影時に前記撮影手段にて撮影を行う複数の撮影位置の選択を行うための撮影位置選択手段と、前記選択された複数の撮影位置情報を記録するための撮影位置記録手段と、前記複数の撮影位置をタイムラプス撮影するときの、撮影間隔の入力を行うための撮影間隔入力手段と、前記撮影間隔入力手段にて入力された前記撮影間隔を記録するための撮影間隔記録手段と、前記X−Yステージ制御手段及び撮影手段の制御を行う撮影制御手段と、タイムラプス撮影終了後、前記同一モニタ上に前記画像記録手段に記録された撮影位置ごとの標本画像を表示するための少なくとも2ヶ所以上の標本画像表示エリアを有し、前記撮影制御手段にて、前記撮影位置記録手段に記憶された前記撮影位置に対応した標本画像の撮影と前記モニタの複数の標本画像表示エリアに表示可能となるように識別可能な形で前記撮影位置ごとに前記画像記憶手段に前記画像記録手段への保存を行うことを、前記撮影間隔記録手段に記録された撮影時間の間隔で繰り返して行うタイムラプス撮影を実施し、前記タイムラプス撮影終了後、前記モニタ上の前記複数の標本画像表示エリアに前記画像記録手段に記録された前記撮影位置ごとの前記観察画像を同時に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように本発明によれば、顕微鏡の観察視野に制限されることなく複数の撮影範囲のタイムラプス撮影を行うことができる顕微鏡システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態の概略構成を示す図。
【図2】第1の実施の形態に用いられる撮影範囲をデータベースの概略構成を示す図。
【図3】第1の実施の形態に用いられるモニタの表示例を示す図。
【図4】第1の実施の形態の動作を説明するための図。
【図5】第1の実施の形態の動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明が適用される顕微鏡写真装置の概略構成を示している。図において、1は顕微鏡本体で、この顕微鏡本体1には、視野範囲選択手段としての電動ステージ2と対物レンズ3が対峙して配置されている。電動ステージ2上には、標本4が載置され、この標本4の観察像を対物レンズ3を介して接眼レンズ5で肉眼観察可能にするとともに、CCD撮像素子を備えた撮像部6により撮像可能にしている。また、撮像部6には、制御部7が接続されている。
【0012】
制御部7は、撮影制御部71および撮影情報管理部72を有し、また、モニタ8、入力装置9、ステージ駆動部10およびレボルバ駆動部11が接続されている。
【0013】
この場合、制御部7は、具体的として、CPU、該CPUのバスに接続されたRAM、入出力装置およびハードディスクなどの外部記憶装置から構成され、外部記憶装置に、CPUを撮影制御部71および撮影情報管理部72として作動させるためのプログラムが格納されている。ここで用いられるプログラムは、例えばマイクロソフト社のWindowsを基本ソフトウェアとして作動し、全ての指令は、マウスなどのポインティングデバイスやキーボードなどの入力装置9を介して与えられるようになっている。
【0014】
また、撮影制御部71は、撮像部6、ステージ駆動部10およびレボルバ駆動部11に対して標本4の撮影に必要な動作を行わせるとともに、撮像部6で撮像された標本像をモニタ8に表示させるようにしている。ステージ駆動部10は、撮影制御部71の指示に応じて電動ステージ2を駆動するためのものである。レボルバ駆動部11は、撮影制御部71の指示に応じてレボルバ31を回転させ、所望する倍率の対物レンズ3を光路上に位置させるものである。また、撮影情報管理部72には、撮影情報データベース12が接続されている。この撮影情報データベース12は、図2に示すように各撮影範囲(#0、#K、#Nは撮影範囲の番号を示す)の撮影範囲ごとに撮影情報50が記憶されている。この場合、各撮影情報50は、(X0,Y0)(X1,Y1)で表わされる後述する撮影範囲25の位置座標51、撮影条件52およびタイムラプス撮影画像の保存場所53からなっている。
【0015】
また、タイムラプス撮影画像は、一般的に、膨大な容量になることが知られており、このため、本発明では、ハードディスクにファイルとして保存する。各保存場所53には保存に使用するファイル名が入っている。さらに#0〜#Nの各撮影範囲のタイムラプス撮影像は、最初の撮像画像、次の撮像画像のように各撮影時間ごとにシーケンシャルに並んでいる。このときのフォーマットは、WindowsのAVIファイル形式でもよいし、他のフォーマットであってもよい。
【0016】
なお、電動ステージ2は機械的原点を有している。そして、撮影制御部71は、この機械的原点を基点としてステージ駆動部10に対して指示した移動量を内部的に管理することによって、電動ステージ2の現在の位置座標を認識できるようになっている。すなわち、撮影制御部71は、電動ステージ2に対する対物レンズ3の光軸の位置を検出する位置検出手段としての機能を有し、観察視野の現在位置として電動ステージ2の現在の位置座標を出力する。(別の構成として、電動ステージ2の現在位置を検出する位置検出手段を別途設け、この位置検出手段によって直接的に電動ステージ2の位置座標を認識するように構成することもできる。)
次に、このように構成した実施の形態の動作を説明する。
【0017】
まず、タイムラプス撮影のための準備を行う。
【0018】
最初に、制御部7の撮影制御部71によりモニタ8の画面上に図3に示す顕微鏡画像を表示する画像表示ウインドウ13と撮影範囲の作成や撮影時間などを設定するコントロールウインドウ14を表示させる。この場合、画像表示ウインドウ13には、顕微鏡画像上の複数の細胞15が表示される。この顕微鏡画像は、電動ステージ2上の標本4の観察像を対物レンズ3を介して撮像部6により撮像したものである。また、コントロールウインドウ14には、現在使用している対物レンズの倍率を選択するドロップダウンリスト16、撮影時の対物レンズの倍率を選択するドロップダウンリスト17が表示されるとともに、何分後に撮影を開始するかを指定するエディットボックス18、撮影を開始してから何分間タイムラプス撮影を行うか指定するエディットボックス19、撮影をしてから次の撮影までの間隔時間を指定するエディットボックス20が表示され、さらに、撮影時の対物レンズの倍率に相当する撮影範囲を作成する撮影範囲作成ボタン21、撮影範囲を削除する撮影範囲削除ボタン22、撮影開始ボタン23および電動ステージ2の移動を制御するステージ移動ボタン24が表示される。
【0019】
この状態で、撮影範囲を決定する。まず、ステージ移動ボタン24を操作してステージ2全体を移動させ顕微鏡視野を選択する。ここでのステージ移動ボタン24は、上下、左右、右上、右下、左上、左下の合計8方向の矢印を有し、これら矢印の方向に従ってステージ2を移動可能にしており、例えば、上または下方向の矢印を押すとX方向にステージ2を移動し、右または左方向の矢印を押すとY方向にステージ2を移動するようにしている。なお、中央の白丸のボタンは、ステージ2をホームポジションに移動させるためのものである。
【0020】
次に、撮影範囲作成ボタン21を押す。すると、画像表示ウインドウ13の顕微鏡画像の中心位置に、撮影時の対物レンズ3の倍率に相当する矩形状の撮影範囲25が表示される。
【0021】
そして、撮影範囲25にマウスカーソルを移動させて図示しないマウスボタンを押すと、撮影範囲25の四隅に小さな四角部25aが表示され選択状態になるとともに、マウスカーソルが十字形状26に変化する。この状態で、マウスボタンを押し続けたままマウスカーソルを移動させることで、撮影範囲25を、撮影したい細胞15が含まれる位置まで移動することができ、その後、マウスボタンを離すと撮影範囲25の位置が確定される。
【0022】
次に、このようにして作成された撮影範囲25のステージ座標系での位置を計算する。この場合の位置座標は、現在のステージ2の座標と、撮影範囲25のピクセル座標と、1ピクセルのステージ座標系での大きさから計算される。なお、この時の撮影範囲25の位置座標は、矩形情報として左上(X0,Y0)、右下(X1,Y1)が計算される。
【0023】
ここで、現在のステージ2の座標は、撮影範囲の指定を行ったときの観察視野の位置に対応する。撮影範囲25のピクセル座標は、指定された撮影範囲25の観察視野内における位置に対応する。そして、1ピクセルのステージ座標系での大きさは、表示画面の1ピクセルが対応するステージ上での距離である。従って、ピクセル座標として観察視野の光軸中心を原点に取ったXY座標系を用いれば、撮影範囲25のピクセル座標をステージ上での距離に換算した値を観察視野の位置に加えることによって、指定された撮影範囲25の位置をステージ上での対物光軸の位置に置き換えることができる。
【0024】
このようにして計算された撮影範囲25の位置座標は、「番号#0の撮影範囲」の位置情報である。計算された位置座標(X0,Y0)、(X1,Y1)は、#0の撮影情報50を構成する位置情報51として記憶される。また、ドロップダウンリスト17で指定された撮影時の対物レンズ倍率やその他の顕微鏡本体の観察条件設定情報が、#0の撮影情報50を構成する撮影条件52として記憶される。さらに、この撮影範囲を撮影した画像データを保存するファイル名が#0の撮影情報50を構成する保存場所として記憶される。
【0025】
以下、所望する撮影範囲25を順に選択して同様な操作を行うことにより、各撮影範囲#0〜#Nの撮影情報50が撮影情報データベース12に記憶される。
【0026】
また、異なる顕微鏡視野の範囲外の領域で撮影範囲を選択したい場合は、ステージ移動ボタン24を操作しステージ2全体を移動させる。すると、ステージ2の移動に伴ってモニタ8上に表示される観察像も移動するから、モニタ8を見ながら顕微鏡視野を選択し直した後、上述したと同様にして撮影範囲の選択を行う。
【0027】
なお、一旦形成した撮影範囲25を削除したい場合は、マウスカーソルで削除したい撮影範囲25を選択し、この状態で、撮影範囲削除ボタン22を押すと、該当する撮影範囲25は削除される。この場合、撮影情報データベース12から選択された撮影範囲25の撮影情報50が削除され、空いた部分に、後続の撮影範囲25の撮影情報50が詰めて記憶される。
【0028】
そして、最後に、エディットボックス18に何分後に撮影を開始するかのデータをとともに、エディットボックス19に撮影を開始してから何分間タイムラプス撮影を行うかのデータを書き込み、さらにエディットボックス20に撮影をしてから次の撮影までの間隔時間のデータを書き込み、タイムラプス撮影のための準備が完了する。
【0029】
次に、このような撮影準備に基づいて実際のタイムラプス撮影が行われる。
【0030】
この場合、図5に示すフローチャートにおいて、モニタ8のコントロールウインドウ14上で撮影開始ボタン23を押すと、撮影像の番号を示すカウンタJを初期化する(Step1)。カウンタJは、図2に示す撮影範囲の撮影像の番号(#0〜#N)を示す。そして、撮影制御部71により図示しないタイマが起動される(Step2)。そして、エディットボックス18に書き込まれた時間が経過すると(Step3)、撮影情報50の番号を示すカウンタKを初期化してK=0とする(Step4)。次に、撮影情報データベース12から、まず、K=0に対応する撮影情報50が読み出され(Step5)、このときの撮影範囲25の位置座標51に基づいてステージ2が移動し、撮影範囲25を顕微鏡視野範囲に位置させる(Step6)。また、K=0に対応する撮影条件52が読み出され、このときの撮影条件52に基づいて顕微鏡本体1の対物レンズ3の倍率などの光学系条件が設定される(Step7)。そして、この状態から、K(最初はK=0)の撮影範囲25での観察像が対物レンズ3を介して撮像部6により撮像され、最初のタイムラプス撮影像J(最初はJ=1なので、図4でのA1)として、撮影情報データベース12に記憶される(Step8)。
【0031】
次に、Kをカウントアップし(Step9)、Step5に戻ることにより(Step10)、次の撮影範囲25の撮影情報50が読み出され(Step5)、上述したと同様にして(Step6、Step7)、次の撮影範囲25の観察像が対物レンズ3を介して撮像部6により撮像されて、K(Kはカウントアップされたので、1)の撮影範囲の最初のタイムラプス撮影像J(最初はJ=1なので図4におけるB1)として、撮影情報データベース12に記憶される(Step8)。
【0032】
以下、同様にして各撮影範囲25の撮影情報50が順番に読み出されることにより、#Nの撮影情報50の撮影範囲25まで(Step10)、最初のタイムラプス撮影像(J=1)が撮影情報データベース12に記憶される。そして、次にカウンタJをカウントアップすることで、次にタイムラプス像を保存する場所を指定する(Step12)。このようなタイムラプス撮影は、エディットボックス20に書き込まれた時間間隔で繰り返される(Step13)。これにより、撮影情報データベース12には、#0の撮影範囲25の各撮影時間ごとのタイムラプス撮影像A1、A2、A3…、#1の撮影範囲25の各撮影時間ごとのタイムラプス撮影像B1、B2、B3…、〜、#Nの撮影範囲25の各撮影時間ごとのタイムラプス撮影像C1、C2、C3…がそれぞれシーケンシャルに並んで記憶される。そして、このような動作は、エディットボックス19に書き込まれたタイムラプス撮影時間が経過するまで続けられる(Step11)。
【0033】
そして、これら#0の撮影範囲25の各撮影時間ごとのタイムラプス撮影像A1、A2、A3…、#1の撮影範囲25の各撮影時間ごとのタイムラプス撮影像B1、B2、B3…、〜、#Nの撮影範囲25の各撮影時間ごとのタイムラプス撮影像C1、C2、C3…を、撮影制御部71を介してモニタ8上に連続して表示させれば、#0〜#Nの撮影範囲25ごとに動画像A、B、Cとして観察することができる。
【0034】
従って、このようにすれば、電動ステージ2を移動させて顕微鏡視野範囲を選択しながら複数の撮影範囲25を選択して、これら撮影範囲25の撮影情報50を撮影情報データベース12に記憶させ、その後、これら撮影範囲25の撮影を所定の時間間隔で繰り返して各撮影範囲ごとのタイムラプス撮影像を取得するようにしたので、顕微鏡視野の範囲内に制限されることなく、各撮影範囲25に対して、細胞15の、ほぼ同時刻の時間的な形態変化を画像として取得することができる。また、対物レンズ倍率のような撮影条件も各撮影範囲毎に任意に設定することができる。
【0035】
(第2の実施の形態)
この第2の実施の形態では、撮影範囲から次の撮影範囲に移動する移動量を少なくすることにより、複数の撮影範囲での撮影時刻の差を小さくするようにしている。この場合、各撮影範囲に電動ステージ2を移動する順番を変更する以外は、第1の実施の形態で述べたと同様であり、このため上述した図1乃至図3を援用するものとする。つまり、この第2の実施の形態では、各時間間隔ごとに撮影するときに、最初の撮影範囲の撮影が終了し、次の撮影範囲に移動するときに、最も近い撮影範囲をデータベース12から検索し、次の撮影範囲とし、次も、同様にして撮影を終了していない撮影範囲のなかから、最も近い撮影範囲を選択し、撮影するという処理を繰り返す。
【0036】
このようにすれば、観察者により選択された撮影範囲を撮影する際に、同一時刻における撮影範囲間の撮影時刻の差を小さくすることができるので、それぞれの撮影範囲において精度の高いタイムラプス撮影を行うことができる。
【0037】
なお、ここでは、撮影するときに、次の撮影する範囲を検索するようにしていが、予め撮影情報データベース12内の撮影情報50の順番を撮影範囲の近い順に並べ替えるようにしてもよい。
【0038】
(第3の実施の形態)
この第3の実施の形態では、第1の実施の形態での電動ステージ2が、さらに上下(Z)方向に移動できる構成になっていて、この移動量を撮影制御部71により制御できるようにしている。その他は、第1の実施の形態で述べたと同様であり、このため上述した図1乃至図3を援用するものとする。
【0039】
この第3の実施の形態では、撮影範囲を選択したときに、ステージ2のZ方向の位置も撮影範囲の座標として記録する。すなわち、第1の実施の形態では、撮影範囲はXY方向の2次元的な情報であったが、Z方向の情報も加えることで、3次元的の位置情報として記録する。
【0040】
このようにすれば、撮影範囲を選択したときにフォーカス状態を記録できることから、実際に撮影範囲ごとに撮影を行うときに、Z軸を含めてステージ座標を再現できるので、撮影時には、撮影範囲を選択したときと同じフォーカス状態で撮影をすることができる。
【0041】
本発明の実施の形態には、以下の発明も含まれる。
【0042】
(1)標本を載置するステージと、
前記ステージに対して対物レンズ光軸を該光軸と直交する面内に相対的に移動させて観察視野を選択する視野選択手段と、
前記ステージに対する前記対物レンズ光軸の前記面内における位置を検出する位置検出手段と、
前記観察視野の範囲内において観察像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で取得された画像を記録する画像記録手段とを具備する顕微鏡写真撮影装置において、
前記観察視野の範囲内において前記撮影手段が撮影する撮影範囲を指定する撮影範囲指定手段と、
指定された前記撮影範囲の前記観察範囲内における位置及び当該撮影範囲の指定を行った観察視野の位置に基づいて当該指定された撮影範囲の位置を前記ステージに対する前記対物レンズ光軸の前記面内における位置に変換して記録する撮影位置算出手段と、
前記撮影位置算出手段に記録された位置に従って前記視野選択手段を駆動することにより撮影範囲指定手段で指定された複数の撮影範囲を所定の時間間隔毎に撮影するとともに取得した画像を前記画像記録手段に記録する撮影制御手段と を具備する顕微鏡写真撮影装置。
【符号の説明】
【0043】
1…顕微鏡本体
2…電動ステージ
3…対物レンズ
31…レボルバ
4…標本
5…接眼レンズ
6…撮像部
7…制御部
71…撮影制御部
72…撮影情報管理部
8…モニタ
9…入力装置
10…ステージ駆動部
11…レボルバ駆動部
12…撮影情報データベース
50…撮影情報
51…位置座標
52…撮影条件
53…保存場所
13…画像表示ウインドウ
14…コントロールウインドウ
15…細胞
16、17…ドロップダウンリスト
18、19、20…エディットボックス
21…撮影範囲作成ボタン
22…撮影範囲削除ボタン
23…撮影開始ボタン
24…ステージ移動ボタン
25…撮影範囲
25a…四角部
26…十字形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本に集光するための対物レンズを有する顕微鏡本体と、
前記顕微鏡本体の視野範囲を選択可能にする前記標本を載置するステージと、
前記ステージを観察光軸に対して垂直方向であるX−Y方向に駆動制御するX−Yステージ駆動手段と
前記X−Yステージ駆動手段に前記ステージの移動の指示を行うステージ移動指示手段と、
標本像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で撮影された前記標本像を表示するモニタと、
前記標本像を記録するための画像記録手段と、
前記X−Yステージ移動指示手段を用いて前記撮影手段に撮影された標本像の前記モニタ表示される範囲の移動を行い、タイムラプス撮影時に前記撮影手段にて撮影を行う複数の撮影位置の選択を行うための撮影位置選択手段と、
前記選択された複数の撮影位置情報を記録するための撮影位置記録手段と、
前記複数の撮影位置をタイムラプス撮影するときの、撮影間隔の入力を行うための撮影間隔入力手段と、
前記撮影間隔入力手段にて入力された前記撮影間隔を記録するための撮影間隔記録手段と、
前記X−Yステージ制御手段及び撮影手段の制御を行う撮影制御手段と、
タイムラプス撮影終了後、前記同一モニタ上に前記画像記録手段に記録された撮影位置ごとの標本画像を表示するための少なくとも2ヶ所以上の標本画像表示エリアを有し、
前記撮影制御手段にて、前記撮影位置記録手段に記憶された前記撮影位置に対応した標本画像の撮影と前記画像記録手段への保存を行うことを、前記撮影間隔記録手段に記録された撮影時間の間隔で繰り返して行うタイムラプス撮影を実施し、
前記タイムラプス撮影終了後、前記モニタ上の複数の前記標本画像表示エリアに、前記画像記録手段に記録された前記標本画像を、それぞれ撮影間隔毎に連続表示することを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項2】
前記撮影制御手段は、前記撮影手段にて撮影された前記観察画像を、
前記モニタの複数の標本画像表示エリアに表示可能となるように識別可能な形で前記撮影位置ごとに前記画像記憶手段に記憶すること
を特徴とする請求項1記載の顕微鏡システム
【請求項3】
標本に集光するための対物レンズを有する顕微鏡本体と、
前記顕微鏡本体の視野範囲を選択可能にする前記標本を載置するステージと、
前記ステージを観察光軸に対して垂直方向であるX−Y方向に駆動制御するX−Yステージ駆動手段と
前記X−Yステージ駆動手段に前記ステージの移動の指示を行うステージ移動指示手段と、
標本像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で撮影された前記標本像を表示するモニタと、
前記標本像を記録するための画像記録手段と、
前記X−Yステージ移動指示手段を用いて前記撮影手段に撮影された標本像の前記モニタ表示される範囲の移動を行い、タイムラプス撮影時に前記撮影手段にて撮影を行う複数の撮影位置の選択を行うための撮影位置選択手段と、
前記選択された複数の撮影位置情報を記録するための撮影位置記録手段と、
前記複数の撮影位置をタイムラプス撮影するときの、撮影間隔の入力を行うための撮影間隔入力手段と、
前記撮影間隔入力手段にて入力された前記撮影間隔を記録するための撮影間隔記録手段と、
前記X−Yステージ制御手段及び撮影手段の制御を行う撮影制御手段と、
タイムラプス撮影終了後、前記同一モニタ上に前記画像記録手段に記録された撮影位置ごとの標本画像を表示するための少なくとも2ヶ所以上の標本画像表示エリアを有し、
前記撮影制御手段にて、前記撮影位置記録手段に記憶された前記撮影位置に対応した標本画像の撮影と前記モニタの複数の標本画像表示エリアに表示可能となるように識別可能な形で前記撮影位置ごとに前記画像記憶手段に前記画像記録手段への保存を行うことを、前記撮影間隔記録手段に記録された撮影時間の間隔で繰り返して行うタイムラプス撮影を実施し、
前記タイムラプス撮影終了後、前記モニタ上の前記複数の標本画像表示エリアに前記画像記録手段に記録された前記撮影位置ごとの前記観察画像を同時に表示することを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項4】
前記ステージを観察光軸に対して水平方向であるZ方向に駆動制御可能な手段を有し、
前記撮影位置記憶手段は、前記撮影位置におけるZ方向の位置情報の記録を行い、
前記撮影制御手段は、タイムラプス撮影時、前記撮影位置記録手段に記憶されたZ方向の撮影位置情報に基づいて、前記撮影位置におけるZ方向のフォーカス位置を再現可能にしたことを特徴とする請求項1から3記載の顕微鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−190028(P2012−190028A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−103296(P2012−103296)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【分割の表示】特願2001−82591(P2001−82591)の分割
【原出願日】平成13年3月22日(2001.3.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】