説明

顕微鏡装置

【課題】さまざまな装置条件下で、標本に照射する光のパターンやその照射位置を、高い光の利用効率で任意に変更する顕微鏡装置を提供する。
【解決手段】顕微鏡装置1は、チタンサファイアレーザ2から射出されたレーザ光のビーム径をビーム径可変光学系3で可変して、位相変調型SLM5に照射する。さらに、顕微鏡装置1は、対物レンズ13の瞳共役位置に配置された位相変調型SLM5でレーザ光の位相を変調して、対物レンズ13を介して標本面SP上にレーザ光を照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡装置に関し、特に、位相変調型空間光変調器を用いた顕微鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生物顕微鏡の分野では、蛍光イメージングと、光刺激による標本操作(例えば、フォトアクチベーション、フォトコンバージョン、細胞機能抑制、活性化)とを組み合わせて生体機能を解明する蛍光観察法が知られている。この蛍光観察法では、生体深部の観察が可能であり、且つ、生体へのダメージが小さいという特徴から、しばしば、レーザ光を用いた2光子励起が用いられている。
【0003】
上記の蛍光観察法では、標本やアプリケーションに合わせて、標本に照射する光のパターン(形状、サイズ、スポット数など)やその照射位置を任意に且つ高速に変更する機能が求められる。この機能は、対物レンズの瞳位置と光学的に共役な位置(以降、瞳共役位置と記す。)に配置された位相変調型の空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator、以降、SLMと記す。)を用いることで実現することが可能であり、このような技術に関連する装置は、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0004】
対物レンズの瞳共役位置に配置された位相変調型SLMを含む光学装置によれば、位相変調型SLMが瞳共役位置で位相を変調して波面を制御することにより、フーリエ変換レンズとして機能する対物レンズを介して、標本面上に任意の光のパターンを形成することができる。さらに、対物レンズの光軸方向への照射位置の調整や対物レンズの収差補正を行うことも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−72280号公報
【特許文献2】米国特許第7733564号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、蛍光観察法では、蛍光物質に応じて励起光としてさまざまな波長のレーザ光が使用されるが、レーザ光源では、射出する波長や個体差により、ダイバージェンス(拡がり角)やビームウェスト位置が変化する。ダイバージェンスやビームウェスト位置の変化は、対物レンズの瞳位置におけるビーム径やレーザ光の収斂度合いに影響を及ぼすため、瞳径に対してビーム径が大き過ぎることによる光量損失、ビーム径が小さすぎることによる分解能の低下、レーザ光の収斂度合いの変動による照射位置の変化など、さまざまな好ましくない事態を生じさせる。
【0007】
また、蛍光観察法では、観察対象などに応じてさまざまな対物レンズが使用されるが、対物レンズの収差特性や瞳径は、対物レンズ毎に異なる。対物レンズの収差特性や瞳径の相違は、不十分な収差補正による集光性能の低下、瞳径に対してビーム径が大き過ぎることによる光量損失、ビーム径が小さすぎることによる分解能の低下など、さまざまな好ましくない事態を生じさせる。
【0008】
このように、蛍光観察法に用いられる顕微鏡装置では、所望の性能を発揮するためには、使用する対物レンズやレーザ光源(又はその波長)の特性を十分に考慮する必要がある。
【0009】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示される装置では、レーザ光源の個体差、レーザ光の波長、対物レンズの収差特性、及び、対物レンズの瞳径など(以降、装置条件と記す。)については、全く考慮されていない。また、特許文献1及び特許文献2に開示される装置では、上述した装置条件の違いによって生じ得る性能低下を防止することは、その構成上非常に困難である。従って、特許文献1及び特許文献2に開示される装置では、実際には、ある特定の装置条件下でしか十分な性能を発揮することができない。
【0010】
以上のような実情を踏まえて、本発明では、さまざまな装置条件下で、標本に照射する光のパターンやその照射位置を、高い光の利用効率で任意に変更する顕微鏡装置を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、レーザ光を射出するレーザ光源と、標本に前記レーザ光を照射する対物レンズと、前記レーザ光源と前記対物レンズの間で、且つ、前記対物レンズの瞳位置と光学的に共役な位置に配置された位相変調型SLMと、前記レーザ光源と前記位相変調型SLMとの間に配置されて、前記位相変調型SLMに入射するレーザ光のビーム径を可変するビーム径可変手段と、を含む顕微鏡装置を提供する。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の顕微鏡装置において、さらに、前記対物レンズと前記レーザ光源から射出される前記レーザ光の波長とに応じて、前記ビーム径可変手段を制御する制御部を含み、前記ビーム径可変手段は、前記制御部による制御に従って、前記位相変調型SLMに入射するレーザ光のビーム径を変更する顕微鏡装置を提供する。
【0013】
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載の顕微鏡装置において、さらに、対物レンズに関する第1の情報とレーザ光の波長に関する第2の情報とに関連付けて、前記制御部のパラメータを記憶する記憶部を含み、前記制御部は、前記対物レンズに対応する前記第1の情報と、前記レーザ光源から射出される前記レーザ光の波長に対応する前記第2の情報とに関連付けられた、前記記憶部に記憶された前記制御部の前記パラメータに従って、前記ビーム径可変手段を制御する顕微鏡装置を提供する。
【0014】
本発明の第4の態様は、第3の態様に記載の顕微鏡装置において、前記第1の情報は、対物レンズの瞳径であり、前記第2の情報は、波長、ビーム径、及び、ダイバージェンスである顕微鏡装置を提供する。
【0015】
本発明の第5の態様は、第4の態様に記載の顕微鏡装置において、前記制御部は、前記対物レンズと前記レーザ光源から射出される前記レーザ光の波長とに応じて、前記位相変調型SLMを制御し、前記位相変調型SLMは、前記制御部による制御に従って、前記レーザ光の位相を変調する顕微鏡装置を提供する。
【0016】
本発明の第6の態様は、第5の態様に記載の顕微鏡装置において、さらに、前記位相変調型SLMと前記対物レンズの間に配置されて、前記対物レンズの光軸と直交する方向に前記標本を走査するように、前記レーザ光を偏向する光偏向手段を含む顕微鏡装置を提供する。
【0017】
本発明の第7の態様は、第6の態様に記載の顕微鏡装置において、さらに、第2のレーザ光源と、前記位相変調型SLMと前記対物レンズの間に配置されて、前記レーザ光源から射出されるレーザ光と前記第2のレーザ光源から射出されるレーザ光とを合成して前記対物レンズの光軸方向に導く光路合成手段と、を含み、前記レーザ光源から射出されたレーザ光が前記標本上で集光する第1のフォーカス面と前記第2のレーザ光源から射出されたレーザ光が前記標本上で集光する第2のフォーカス面とが一致するように、前記制御部は前記ビーム径可変手段及び前記位相変調型SLMを制御する顕微鏡装置を提供する。
【0018】
本発明の第8の態様は、第1の態様から第7の態様のいずれか1つに記載の顕微鏡装置において、前記ビーム径可変手段は、光軸方向に移動可能に配置された、屈折力を有する1群の光学素子からなる顕微鏡装置を提供する。
【0019】
本発明の第9の態様は、第1の態様から第7の態様のいずれか1つに記載の顕微鏡装置において、前記ビーム径可変手段は、少なくとも一方が光軸方向に移動可能に配置された、2群の光学素子からなる顕微鏡装置を提供する。
【0020】
本発明の第10の態様は、第1の態様から第7の態様のいずれか1つに記載の顕微鏡装置において、前記ビーム径可変手段は、位相変調型SLMである顕微鏡装置を提供する。
本発明の第11の態様は、第1の態様に記載の顕微鏡装置において、さらに、前記対物レンズに応じて、前記ビーム径可変手段を制御する制御部を含み、前記ビーム径可変手段は、前記制御部による制御に従って、前記位相変調型SLMに入射するレーザ光のビーム径を変更する顕微鏡装置を提供する。
【0021】
本発明の第12の態様は、第1の態様に記載の顕微鏡装置において、さらに、前記レーザ光源から射出される前記レーザ光の波長に応じて、前記ビーム径可変手段を制御する制御部を含み、前記ビーム径可変手段は、前記制御部による制御に従って、前記位相変調型SLMに入射するレーザ光のビーム径を変更する顕微鏡装置を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、さまざまな装置条件下で、標本に照射する光のパターンやその照射位置を、高い光の利用効率で任意に変更する顕微鏡装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1に係る顕微鏡装置について説明するための図である。
【図2】実施例2に係る顕微鏡装置の構成を例示した図である。
【図3】実施例3に係る顕微鏡装置の構成を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0024】
図1は、本実施例に係る顕微鏡装置について説明するための図である。図1(a)では、本実施例に係る顕微鏡装置の構成が例示されている。図1(b)では、図1(a)に例示される顕微鏡装置に含まれるビーム径可変光学系の作用の具体例が示されている。
【0025】
図1(a)に例示される本実施例に係る顕微鏡装置1は、レーザ光源であるチタンサファイアレーザ2から射出された赤外線領域の超短パルスレーザ光により、2光子過程を利用して標本面SP上の図示しない標本を励起して、その励起により生じた蛍光を検出する2光子励起顕微鏡装置である。
【0026】
顕微鏡装置1は、超短パルスレーザ光を射出するチタンサファイアレーザ2と、チタンサファイアレーザ2からのレーザ光のビーム径を可変する手段であるビーム径可変光学系3と、プリズム型ミラー4と、対物レンズ13の瞳共役位置でレーザ光の位相を変調して波面を制御する位相変調型SLM5と、瞳リレーレンズ6と、対物レンズ13の光軸に直交するXY平面内で標本を2次元に走査するようにレーザ光を偏向する光偏向手段であるXYスキャナ7と、瞳リレーレンズ8と、ミラー9と、結像レンズ10と、ミラー11と、チタンサファイアレーザ2から射出されたレーザ光を透過させて蛍光を反射する波長特性を有するダイクロイックミラー12と、標本面SP上の標本にレーザ光を照射する対物レンズ13と、を含んでいる。
【0027】
ここで、位相変調型SLM5は、チタンサファイアレーザ2と対物レンズ13の間で、且つ、対物レンズ13の瞳共役位置に配置されている。また、XYスキャナ7は、位相変調型SLM5と対物レンズ13の間で、且つ、対物レンズ13の瞳共役位置に配置されている。即ち、顕微鏡装置1では、位相変調型SLM5とXYスキャナ7と対物レンズ13の瞳位置は、光学的に共役な関係にある。従って、瞳リレーレンズ6は、位相変調型SLM5をXYスキャナ7に投影し、瞳リレーレンズ8及び結像レンズ10は、XYスキャナ7を対物レンズ13の瞳位置に投影するように構成されている。
【0028】
位相変調型SLM5としては、例えば、反射型の液晶位相変調器、ミラーの駆動により光路長差を生じさせる反射型ミラー位相変調器、デフォーマブルミラーなどを用いることができる。図1では、位相変調型SLM5が反射型のデバイスである場合が例示されているが、位相変調型SLM5は反射型のデバイスに限られず、例えば、透過型の液晶位相変調器などの透過型のデバイスであってもよい。また、XYスキャナ7としては、例えば、ガルバノミラーや、音響光学偏向素子(AOD:Acoustic Optical Deflector)などを用いることができる。
【0029】
チタンサファイアレーザ2と位相変調型SLM5との間に配置されたビーム径可変光学系3は、図1(a)に例示されるように、2群の光学素子(レンズ群3a、レンズ群3b)から構成されている。ビーム径可変光学系3は、光軸方向に移動可能に配置されたレンズ群3bの光軸方向への移動によってレンズ群3aとレンズ群3bの間隔を変化させることで、位相変調型SLM5に入射するレーザ光のビーム径を可変することができる。即ち、ビーム径可変光学系3は、レンズ群3bの移動量及び移動方向に応じてレーザ光のビーム径を変更するビーム径可変手段であり、例えば、図1(b)に例示されるように、レーザ光が照射される位相変調型SLM5上の領域を照射領域R1から照射領域R2に広げることも、また反対に、照射領域R2から照射領域R1に狭めることもできる。
【0030】
なお、図1(a)では、レンズ群3bが光軸方向に移動することにより、レンズ群3aとレンズ群3bの間隔を変化させる例が示されているが、レンズ群3aが光軸方向に移動することにより間隔を変化させてもよい。つまり、ビーム径可変光学系3は、ビーム径可変光学系3を構成する2群のレンズ群のうち少なくとも一方が光軸方向に移動可能に配置されていればよい。
【0031】
顕微鏡装置1は、さらに、蛍光を反射するダイクロイックミラー12の反射光路上に、リレーレンズ14と、赤外領域の波長の光を遮断するIRカットフィルタ15と、蛍光を電気信号に変換する光検出器である光電子増倍管16(PMT:Photomultiplier、以降、PMTと記す。)と、を含んでいる。
【0032】
PMT16は、対物レンズ13の瞳位置と光学的に共役な位置近傍に配置されることが望ましい。顕微鏡装置1では、PMT16は、リレーレンズ14により対物レンズ13の瞳が投影される位置近傍に配置されているため、標本13の任意の領域から生じる蛍光を検出することができる。
【0033】
顕微鏡装置1は、さらに、顕微鏡装置1を制御する制御部17と、記憶部18と、演算部19と、利用者からの指示が入力される入力部20とを含んでいる。入力部20に入力される利用者からの指示内容としては、例えば、標本に照射する光のパターン、照射位置、使用する対物レンズ、使用するレーザ光の波長などが挙げられる。
【0034】
制御部17は、図1(a)に例示されるように、記憶部18と演算部19と入力部20に加えて、チタンサファイアレーザ2とビーム径可変光学系3と位相変調型SLM5に電気的に接続されていて、これらを制御する。
【0035】
記憶部18には、顕微鏡装置1で使用される対物レンズ(対物レンズ13を含む)に関する情報として、対物レンズの瞳径、収差特性、焦点距離などが記憶されている。また、顕微鏡装置1で使用されるレーザ光源(チタンサファイアレーザ2を含む)から射出されるレーザ光の波長に関する情報として、波長、その波長のレーザ光を射出するときのビーム径及びダイバージェンスなどが記憶されている。なお、複数のレーザ光源が切り換えて用いられる場合には、レーザ光源毎に、レーザ光源から射出されるレーザ光の波長に関する情報が記憶されている。
【0036】
さらに、記憶部18には、ビーム径可変光学系3を制御するための制御部17のパラメータが記憶されている。制御部17のパラメータは、例えば、レンズ群3bが基準位置にある場合における、レンズ群3bを移動させる図示しないステッピングモータに入力するパルス数、または、レンズ群3bの光軸方向への移動距離である。なお、制御部17のパラメータは、対物レンズに関する情報のうちの対物レンズの瞳径(第1の情報)と、レーザ光源から射出されるレーザ光の波長に関する情報のうちの波長、その波長のレーザ光を射出するときのビーム径及びダイバージェンス(第2の情報)とに、関連付けて記憶されている。
【0037】
以下、顕微鏡装置1の制御部17による各種制御について、具体的に説明する。
制御部17によるチタンサファイアレーザ2の制御は、入力部20に入力された使用する波長に応じて行われる。チタンサファイアレーザ2は、制御部17による制御に従って、射出するレーザ光の波長を入力部20に入力された波長に変更する。
【0038】
制御部17によるビーム径可変光学系3の制御は、入力部20に入力された使用する対物レンズ(ここでは、対物レンズ13)と、使用するレーザ光源(ここでは、チタンサファイアレーザ2)から射出されるレーザ光の波長と、に応じて行われる。
【0039】
より具体的には、制御部17は、対物レンズ13の瞳径と、チタンサファイアレーザ2が射出するレーザ光の波長、その波長のレーザ光を射出するときのビーム径及びダイバージェンスと、に関連付けられた制御部17の制御パラメータを記憶部18から読出して、読出した制御パラメータに基づいてビーム径可変光学系3を制御する。そして、ビーム径可変光学系3は、制御部17による制御に従って、ビーム径可変光学系3のレンズ群3bを光軸方向に移動させることで、位相変調型SLM5に入射するレーザ光のビーム径を変更する。
【0040】
このように、制御部17は、使用する対物レンズと使用するレーザ光源から射出されるレーザ光の波長とに応じてビーム径可変光学系3を制御する。これにより、顕微鏡装置1は、対物レンズの瞳径、レーザ光の波長、光源から射出されるときのレーザ光のビーム径及びダイバージェンスが異なるさまざまな装置条件下で、使用する対物レンズの瞳径に合わせた最適なビーム径のレーザ光を対物レンズの瞳位置に入射させることができる。このため、瞳径に対してビーム径が大き過ぎることによる光量損失やビーム径が小さすぎることによる分解能の低下を防止することができる。
【0041】
制御部17による位相変調型SLM5の制御は、入力部20に入力された使用する対物レンズ(ここでは、対物レンズ13)と、使用するレーザ光源(ここでは、チタンサファイアレーザ2)から射出されるレーザ光の波長と、入力部20に入力された光パターン及び照射位置と、に応じて行われる。
【0042】
より具体的には、制御部17は、対物レンズ13に関する情報(瞳径、収差特性、焦点距離など)と、チタンサファイアレーザ2から射出されるレーザ光の波長に関する情報(波長、その波長のレーザ光を射出するときのビーム径及びダイバージェンスなど)を記憶部18から読出して、それらの情報を、入力部20に入力された光パターン及び照射位置に関する情報とともに、演算部19に送信する。演算部19は、制御部17から送信された情報に基づいて、入力部20に入力された光パターンを入力部20に入力された照射位置に形成する位相変調型SLM5の変調パターンを算出して、算出された変調パターンに関する情報を制御部17へ送信する。制御部17は、演算部19から送信された変調パターンに関する情報に従って、位相変調型SLM5を制御し、位相変調型SLM5は、制御部17による制御に従って、変調パターンを変更してレーザ光の位相を変調する。
【0043】
このように、制御部17は、入力部20に入力された光パターン及び照射位置に加えて、使用する対物レンズと使用するレーザ光源から射出されるレーザ光の波長とに応じて位相変調型SLM5を制御する。これにより、顕微鏡装置1は、対物レンズの瞳径、収差特性、焦点距離、光源から射出されるレーザ光の波長、その波長のレーザ光を射出するときのビーム径及びダイバージェンスなどが異なるさまざまな装置条件下で、使用する対物レンズの瞳位置におけるレーザ光のダイバージェンスを最適に調整し、且つ、標本面上での収差を良好に補正することができる。このため、不十分な収差補正による集光性能の低下やレーザ光の収斂度合いの変動による照射位置の変化を防止して、所望の光パターンを所望の照射位置に形成することができる。なお、演算部19は、変調パターンの算出に当たり、さらに、ビーム径可変光学系3の制御で使用された制御部17の制御パラメータを、ビーム径可変光学系3から射出されるビーム径に関する情報として使用しても良い。
【0044】
本実施例に係る顕微鏡装置1によれば、使用する対物レンズと使用するレーザ光源から射出されるレーザ光の波長に応じてビーム径可変光学系3及び位相変調型SLM5を制御することで、さまざまな装置条件下で、標本に照射する光のパターンやその照射位置を高い光の利用効率で任意に変更することができる。
【0045】
また、本実施例に係る顕微鏡装置1では、使用する対物レンズの瞳径に合わせてビーム径を最適化するビーム径可変光学系3は、2群の光学素子から構成されている。このため、顕微鏡装置1によれば、装置構成を過度に複雑にすることなく簡単な構成で、対物レンズの瞳径が異なるさまざまな装置条件に対応することができる。その他、2群の光学素子から構成されたビーム径可変光学系3では、ビーム径の変更に伴うレーザ光のダイバージェンスの増大を抑えることができるため、位相変調型SLM5でのダイバージェンスの補正量を抑えることできる。また、小さな移動量で比較的大きくビーム径を変更することができるため、ビーム径を比較的高速に変更することができる。
【0046】
また、本実施例に係る顕微鏡装置1では、光学素子の光軸方向の移動によりビーム径を変更するビーム径可変光学系3は、使用する対物レンズの瞳径に対してビーム径を最適化するものであり、主に光の利用効率の改善に寄与している。一方で、標本に照射する光のパターンやその照射位置の変更は、主に、光学素子の移動に比べて高速な動作が可能な位相変調型SLM5により実現される。このため、顕微鏡装置1によれば、標本に照射する光のパターンやその照射位置の高速な変更を実現することができる。
【0047】
なお、図1(a)では、顕微鏡装置1の光源として、2光子励起用のチタンサファイアレーザ2を例示したが、光源はチタンサファイアレーザ2に限られない。コヒーレンス性を有するレーザ光源であればよく、例えば、可視光レーザであってもよい。
また、特定のレーザ光源から射出される特定の波長のレーザ光のみを使用する顕微鏡装置の場合には、制御部17は、使用する対物レンズに応じてビーム径可変光学系3を制御してもよい。また、特定の対物レンズのみを使用する顕微鏡装置の場合には、制御部17は、チタンサファイアレーザ2から射出されるレーザ光の波長に応じて、ビーム径可変光学系3を制御してもよい。
【実施例2】
【0048】
図2は、本実施例に係る顕微鏡装置の構成を例示した図である。図2に例示される本実施例に係る顕微鏡装置21は、蛍光イメージングと光刺激による標本操作とを同時行うための2光子励起顕微鏡装置である。
【0049】
顕微鏡装置21は、刺激用の照明手段L1に加えて蛍光イメージング用の照明手段L2を含む点、刺激用の照明手段L1がビーム径可変光学系3の代わりにビーム径可変光学系22を含む点、照明手段L1からのレーザ光を反射し照明手段L2からのレーザ光を透過するダイクロイックミラー23を含む点、制御部17の代わりに制御部28を含む点が、図1(a)に例示される実施例1に係る顕微鏡装置1と異なっている。その他の構成は、実施例1に係る顕微鏡装置1の構成と同様である。図2では、顕微鏡装置1と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0050】
以降では、顕微鏡装置1との相違点を中心に顕微鏡装置21について説明する。
照明手段L2は、蛍光イメージング用の照明手段であり、チタンサファイアレーザ2とは異なる波長の赤外線レーザ光を射出するチタンサファイアレーザ24(第2のレーザ光源)と、レーザ光のビーム径を所定の大きさに変更するビームエクスパンダ25と、対物レンズ13の光軸に直交するXY平面内で標本を2次元に走査するようにレーザ光を偏向する光偏向手段であるXYスキャナ26と、瞳リレーレンズ27と、を含んでいる。
【0051】
XYスキャナ26は、対物レンズ13の瞳共役位置に配置されている。即ち、顕微鏡装置1では、XYスキャナ26と対物レンズ13の瞳位置は、光学的に共役な関係にある。従って、瞳リレーレンズ27及び結像レンズ10は、XYスキャナ26を対物レンズ13の瞳位置に投影するように構成されている。なお、XYスキャナ26としては、XYスキャナ7と同様に、例えば、ガルバノミラーや、音響光学偏向素子(AOD:Acoustic Optical Deflector)などを用いることができる。
【0052】
照明手段L1は、ビーム径可変光学系3の代わりにビーム径可変光学系22を含む点を除き、顕微鏡装置1に含まれる照明手段と同様に構成されている。チタンサファイアレーザ2と位相変調型SLM5との間に配置されたビーム径可変光学系22は、図2に例示されるように、光軸方向に移動可能に配置された屈折力を有する1群の光学素子(レンズ群22a)から構成されている。
【0053】
ビーム径可変光学系22は、レンズ群22aの光軸方向への移動によってレンズ群22aと位相変調型SLM5との間での光学的光路長を変化させることで、位相変調型SLM5に入射するレーザ光のビーム径を可変することができる。即ち、ビーム径可変光学系22は、レンズ群22aの移動量及び移動方向に応じてレーザ光のビーム径を変更するビーム径可変手段であり、図1(a)に例示されるビーム径可変光学系3と同様に、例えば、図1(b)に例示されるように、レーザ光が照射される位相変調型SLM5上の領域を照射領域R1から照射領域R2に広げることも、また反対に、照射領域R2から照射領域R1に狭めることもできる。
【0054】
ダイクロイックミラー23は、位相変調型SLM5と対物レンズ13の間に配置されて、照明手段L1からのレーザ光を反射し照明手段L2からのレーザ光を透過する波長特性を有するダイクロイックミラーである。ダイクロイックミラー23は、チタンサファイアレーザ2から射出されるレーザ光とチタンサファイアレーザ24から射出されるレーザ光とを合成して対物レンズ13の光軸方向に導く光路合成手段として機能する。これにより、蛍光イメージングと光刺激による標本操作との同時実行を実現している。
【0055】
制御部28は、複数のレーザ光源(チタンサファイアレーザ2、チタンサファイアレーザ24)に接続されている点が、実施例1に係る顕微鏡装置1に含まれる制御部17と異なっている。また、制御部28は、使用する対物レンズと使用するレーザ光源から射出されるレーザ光の波長に応じてビーム径可変光学系22及び位相変調型SLM5を制御する点は、実施例1に係る顕微鏡装置1に含まれる制御部17と同様である。ただし、制御部28は、さらに、チタンサファイアレーザ2から射出されたレーザ光が標本上で集光するフォーカス面(第1のフォーカス面)とチタンサファイアレーザ24から射出されたレーザ光が標本上で集光するフォーカス面(第2のフォーカス面)とが一致するように、ビーム径可変光学系22及び位相変調型SLM5を制御する点が異なっている。
【0056】
このため、記憶部18には、チタンサファイアレーザ24から射出されたレーザ光が標本上で集光するフォーカス面(第2のフォーカス面)を算出するために、チタンサファイアレーザ2から射出されるレーザ光の波長に関する情報だけではなく、チタンサファイアレーザ24から射出されるレーザ光の波長に関する情報も記憶されていることが望ましい。
【0057】
本実施例に係る顕微鏡装置21によれば、使用する対物レンズと使用するレーザ光源から射出されるレーザ光の波長に応じてビーム径可変光学系22及び位相変調型SLM5を制御することで、実施例1に係る顕微鏡装置1と同様の効果を得ることができる。即ち、さまざまな装置条件下で標本に照射する光のパターンやその照射位置を高い光の利用効率で任意に変更することができる。また、標本に照射する光のパターンやその照射位置の高速な変更を実現することができる。
【0058】
また、本実施例に係る顕微鏡装置21によれば、照明手段L1のフォーカス面と照明手段L2のフォーカス面を正確に一致させることができるため、照明手段L2により蛍光イメージング処理を行いながら、蛍光イメージング処理がされている面に照明手段L1により光刺激を与えることができる。その際、フォーカス面を変更することなく光刺激に使用する波長を変更することもできる。例えば、蛍光イメージング処理中に、照明手段L1により、720nmの波長のレーザ光を用いてアンケージによるグルタミン酸解除を実施し、その後、同一平面に対して800nmの波長のレーザ光を用いてフォトコンバージョンを発生させることができる。
【0059】
また、本実施例に係る顕微鏡装置21では、使用する対物レンズの瞳径に合わせてビーム径を最適化するビーム径可変光学系22は、1群の光学素子から構成されている。このため、顕微鏡装置21によれば、実施例1に係る顕微鏡装置1と比べてより簡単な構成で、対物レンズの瞳径が異なるさまざまな装置条件に対応することができる。その他、1群の光学素子から構成されたビーム径可変光学系22では、レンズ枚数が少ないため、ビーム径可変光学系22で生じる光量損失を抑えることができる。
【0060】
なお、図2では、顕微鏡装置21の照明手段L1及び照明手段L2の光源として、2光子励起用のチタンサファイアレーザを例示したが、光源はチタンサファイアレーザに限られない。コヒーレンス性を有するレーザ光源であればよく、例えば、可視光レーザであってもよい。
【0061】
また、図2では、照明手段L1を光刺激の手段として使用し、照明手段L2を蛍光イメージングの手段として使用する例を示したが、照明手段L1及び照明手段L2の用途はこれに限られない。照明手段L1を蛍光イメージングの手段として使用し、照明手段L2を光刺激の手段として使用してもよい。また、照明手段L1及び照明手段L2の両方を、光刺激の手段または蛍光イメージングの手段として使用しても良い。
また、実施例1の場合と同様に、制御部28は、使用する対物レンズに応じてビーム径可変光学系22を制御してもよく、また、チタンサファイアレーザ2及びチタンサファイアレーザ24から射出されるレーザ光の波長に応じてビーム径可変光学系22を制御してもよい。
【実施例3】
【0062】
図3は、本実施例に係る顕微鏡装置の構成を例示した図である。図3に例示される本実施例に係る顕微鏡装置31は、蛍光イメージングと光刺激による標本操作とを同時行うための2光子励起顕微鏡装置である。
【0063】
顕微鏡装置31は、刺激用の照明手段L1の代わりに蛍光イメージング用の照明手段L3を含む点、蛍光イメージング用の照明手段L2の代わりに蛍光イメージング用の照明手段L4を含む点、ダイクロイックミラー23と対物レンズ13の間にXYスキャナ36及び瞳リレーレンズ37を含む点、制御部17の代わりに制御部38を含む点が、図2に例示される実施例2に係る顕微鏡装置21と異なっている。その他の構成は、実施例2に係る顕微鏡装置21の構成と同様である。図3では、顕微鏡装置21と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0064】
以降では、顕微鏡装置21との相違点を中心に顕微鏡装置31について説明する。
照明手段L3は、超短パルスレーザ光を射出するチタンサファイアレーザ2と、ミラー32と、位相変調型SLM33と、対物レンズ13の瞳共役位置でレーザ光の位相を変調して波面を制御する位相変調型SLM5と、瞳リレーレンズ6と、ミラー35と、を含んでいる。
【0065】
照明手段L3は、ダイクロイックミラー23の光源(チタンサファイアレーザ2)側に設けられていたXYスキャナ7及び瞳リレーレンズ8が省略されている点と、ビーム径可変光学系3の代わりにビーム径可変手段として機能する位相変調型SLM33が含まれる点が、実施例2に係る顕微鏡装置21に含まれる照明手段L1と異なっている。
【0066】
照明手段L4は、ダイクロイックミラー23の光源(チタンサファイアレーザ24)側に設けられていたXYスキャナ26及び瞳リレーレンズ27が省略されている点が、実施例2に係る顕微鏡装置21に含まれる照明手段L2と異なっている。
【0067】
なお、顕微鏡装置31では、ダイクロイックミラー23と対物レンズ13の間に配置されたXYスキャナ36及び瞳リレーレンズ37が、照明手段L3及び照明手段L4で省略されたXYスキャナ及び瞳リレーレンズの代わりに使用される。
【0068】
制御部38は、複数の位相変調型SLM(位相変調型SLM5、位相変調型SLM33)に接続されている点が、実施例2に係る顕微鏡装置21に含まれる制御部28と異なっている。
【0069】
本実施例に係る顕微鏡装置31によれば、使用する対物レンズと使用するレーザ光源から射出されるレーザ光の波長に応じて位相変調型SLM33及び位相変調型SLM5を制御することで、実施例2に係る顕微鏡装置21と同様の効果を得ることができる。即ち、さまざまな装置条件下で標本に照射する光のパターンやその照射位置を高い光の利用効率で任意に変更することができる。また、標本に照射する光のパターンやその照射位置の高速な変更を実現することができる。また、照明手段L3のフォーカス面と照明手段L4のフォーカス面を正確に一致させることができる。
【0070】
また、本実施例に係る顕微鏡装置31によれば、照明手段L3及び照明手段L4がXYスキャナ36を共通に使用しているため、チタンサファイアレーザ2からのレーザ光とチタンサファイアレーザ24からのレーザ光を同じ位置に同じタイミングで照射することができる。従って、照明手段L3及び照明手段L4による完全に同期した2波長検出を実現することができる。
【0071】
また、本実施例に係る顕微鏡装置31では、使用する対物レンズの瞳径に合わせてビーム径を最適化するビーム径可変手段は、レンズではなく位相変調型SLM33である。このため、顕微鏡装置31によれば、実施例2に係る顕微鏡装置21と比べてよりコンパクトな構成とすることが可能である。また、レンズの移動を伴わないため、比較的高速にビーム径を変更することができる。
【0072】
なお、図3では、顕微鏡装置31の照明手段L1及び照明手段L2の光源として、2光子励起用のチタンサファイアレーザを例示したが、光源はチタンサファイアレーザに限られない。コヒーレンス性を有するレーザ光源であればよく、例えば、可視光レーザであってもよい。
【0073】
また、図3では、照明手段L3及び照明手段L4を蛍光イメージングの手段として使用する例を示したが、照明手段L3及び照明手段L4の用途はこれに限られない。照明手段L3と照明手段L4のいずれかを光刺激の手段として使用してもよい。また、照明手段L3と照明手段L4の両方を光刺激の手段として使用してもよい。
また、実施例1の場合と同様に、制御部38は、使用する対物レンズに応じて位相変調型SLM33を制御してもよく、また、チタンサファイアレーザ2及びチタンサファイアレーザ24から射出されるレーザ光の波長に応じて位相変調型SLM33を制御してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1、21、31・・・顕微鏡装置、2、24・・・チタンサファイアレーザ、3、22・・・ビーム径可変光学系、3a、3b、22a・・・レンズ群、4・・・プリズム型ミラー、5、33・・・位相変調型SLM、6、8、27、37・・・瞳リレーレンズ、7、26、36・・・XYスキャナ、9、11、32、35・・・ミラー、10・・・結像レンズ、12、23・・・ダイクロイックミラー、13・・・対物レンズ、14・・・リレーレンズ、15・・・IRカットフィルタ、16・・・PMT、17、28、38・・・制御部、18・・・記憶部、19・・・演算部、20・・・入力部、25・・・ビームエクスパンダ、SP・・・標本面、R1、R2・・・照射領域、L1、L2、L3、L4・・・照明手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を射出するレーザ光源と、
標本に前記レーザ光を照射する対物レンズと、
前記レーザ光源と前記対物レンズの間で、且つ、前記対物レンズの瞳位置と光学的に共役な位置に配置された位相変調型SLMと、
前記レーザ光源と前記位相変調型SLMとの間に配置されて、前記位相変調型SLMに入射するレーザ光のビーム径を可変するビーム径可変手段と、を含む
ことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項2】
請求項1に記載の顕微鏡装置において、さらに、
前記対物レンズと前記レーザ光源から射出される前記レーザ光の波長とに応じて、前記ビーム径可変手段を制御する制御部を含み、
前記ビーム径可変手段は、前記制御部による制御に従って、前記位相変調型SLMに入射するレーザ光のビーム径を変更する
ことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項3】
請求項2に記載の顕微鏡装置において、さらに、
対物レンズに関する第1の情報とレーザ光の波長に関する第2の情報とに関連付けて、前記制御部のパラメータを記憶する記憶部を含み、
前記制御部は、前記対物レンズに対応する前記第1の情報と、前記レーザ光源から射出される前記レーザ光の波長に対応する前記第2の情報とに関連付けられた、前記記憶部に記憶された前記制御部の前記パラメータに従って、前記ビーム径可変手段を制御する
ことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項4】
請求項3に記載の顕微鏡装置において、
前記第1の情報は、対物レンズの瞳径であり、
前記第2の情報は、波長、ビーム径、及び、ダイバージェンスである
ことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項5】
請求項4に記載の顕微鏡装置において、
前記制御部は、前記対物レンズと前記レーザ光源から射出される前記レーザ光の波長とに応じて、前記位相変調型SLMを制御し、
前記位相変調型SLMは、前記制御部による制御に従って、前記レーザ光の位相を変調する
ことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項6】
請求項5に記載の顕微鏡装置において、さらに、
前記位相変調型SLMと前記対物レンズの間に配置されて、前記対物レンズの光軸と直交する方向に前記標本を走査するように、前記レーザ光を偏向する光偏向手段を含む
ことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項7】
請求項6に記載の顕微鏡装置において、さらに、
第2のレーザ光源と、
前記位相変調型SLMと前記対物レンズの間に配置されて、前記レーザ光源から射出されるレーザ光と前記第2のレーザ光源から射出されるレーザ光とを合成して前記対物レンズの光軸方向に導く光路合成手段と、を含み、
前記レーザ光源から射出されたレーザ光が前記標本上で集光する第1のフォーカス面と前記第2のレーザ光源から射出されたレーザ光が前記標本上で集光する第2のフォーカス面とが一致するように、前記制御部は前記ビーム径可変手段及び前記位相変調型SLMを制御する
ことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の顕微鏡装置において、
前記ビーム径可変手段は、光軸方向に移動可能に配置された、屈折力を有する1群の光学素子からなる
ことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の顕微鏡装置において、
前記ビーム径可変手段は、少なくとも一方が光軸方向に移動可能に配置された、2群の光学素子からなる
ことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の顕微鏡装置において、
前記ビーム径可変手段は、位相変調型SLMである
ことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項11】
請求項1に記載の顕微鏡装置において、さらに、
前記対物レンズに応じて、前記ビーム径可変手段を制御する制御部を含み、
前記ビーム径可変手段は、前記制御部による制御に従って、前記位相変調型SLMに入射するレーザ光のビーム径を変更する
ことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項12】
請求項1に記載の顕微鏡装置において、さらに、
前記レーザ光源から射出される前記レーザ光の波長に応じて、前記ビーム径可変手段を制御する制御部を含み、
前記ビーム径可変手段は、前記制御部による制御に従って、前記位相変調型SLMに入射するレーザ光のビーム径を変更する
ことを特徴とする顕微鏡装置。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−189792(P2012−189792A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53070(P2011−53070)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】