説明

顕微鏡

【課題】良好な照明状態のもとでの観察を行う。
【解決手段】ステッピングモータ114の駆動に応じてリードスクリューが正回転した場合、可動ユニットがバーガイドにより先端方向に案内され、円形開口部131Aと矩形開口部131B−1乃至131B−8から、対物レンズ鏡筒111と、集光レンズ116A−1乃至116A−8の先端部分のそれぞれが突き出してくる一方、ステッピングモータ114の駆動に応じてリードスクリューが逆回転した場合、可動ユニットがバーガイドにより後端方向に案内され、突き出ていた対物レンズ41と、集光レンズ116A−1乃至116A−8の先端部分が、本体先端部32の筐体121内に引っ込むので、対物レンズ41と照明光学系とが同期して光軸方向を駆動することとなり、良好な照明状態のもとでの観察を行うことができる。本発明は、顕微鏡に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
スタンドと、そのスタンドに着脱可能な顕微鏡本体からなる顕微鏡システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開2010−256438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の顕微鏡システムでは、顕微鏡本体をスタンドから取り外して使用する場合、観察者は、その顕微鏡本体を手で保持し、先端側の対物レンズを標本に向けることで、観察を行う。その際、標本に対する対物レンズの位置を手動で移動させて、焦点位置の調整を行うことになるが、この調整を、対物レンズを光軸方向に駆動させることで、実現したいという要求がある。
【0005】
しかしながら、対物レンズのみが光軸方向に駆動されると、最適な状態に合っていた照明がずれてしまい、良好な照明状態のもとでの観察を行うことができない。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、対物レンズが光軸方向に駆動されたときに、良好な照明状態のもとでの観察が行えるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の顕微鏡は、ステージに載置された標本を観察させるためのスタンドに着脱可能な顕微鏡であって、標本からの観察光を集光する対物レンズと、光源からの照明光により、前記標本を照明する照明光学系と、前記対物レンズからの観察光を結像する結像光学系と、前記結像光学系により結像された前記標本の像を撮像する撮像手段とを収容する本体筐体と、前記本体筐体内に設けられ、前記スタンドから取り外されて使用される場合、前記標本の観察状態に応じて、前記対物レンズ及び前記照明光学系のうちのいずれか一方又は双方を、光軸方向に駆動する駆動手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、良好な照明状態のもとでの観察を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を適用した顕微鏡観察システムの一実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】顕微鏡本体の外観を先端側から見たときの斜視図である。
【図3】本体先端部の取り付け方法を説明する図である。
【図4】本体先端部の取り付け方法を説明する図である。
【図5】対物レンズ鏡筒の外観を先端側から見たときの斜視図である。
【図6】対物レンズ鏡筒の外観を後端側から見たときの斜視図である。
【図7】可動ユニットの外観を先端側から見たときの斜視図である。
【図8】本体先端部の筐体の外観を先端側から見たときの斜視図である。
【図9】可動ユニットを収容した筐体を先端側から見たときの斜視図である。
【図10】可動ユニットを収容した筐体を後端側から見たときの斜視図である。
【図11】筐体前端面部を後端側から見たときの斜視図である。
【図12】本体先端部の外観を示す斜視図である。
【図13】可動ユニットを駆動させたときの本体先端部の外観を示す斜視図である。
【図14】第1可動ユニットの外観を先端側から見たときの斜視図である。
【図15】第1可動ユニットの外観を後端側から見たときの斜視図である。
【図16】第2可動ユニットの外観を先端側から見たときの斜視図である。
【図17】第2可動ユニットの外観を後端側から見たときの斜視図である。
【図18】本体先端部の筐体の外観を先端側から見たときの斜視図である。
【図19】本体先端部の筐体の外観を先端側から見たときの正面図である。
【図20】本体先端部の筐体の外観を後端側から見たときの正面図である。
【図21】第1可動ユニットを収容した筐体を先端側から見たときの斜視図である。
【図22】筐体内に収容された第1可動ユニットを先端側から見たときの斜視図である。
【図23】筐体内に収容された第1可動ユニットを後端側から見たときの斜視図である。
【図24】第2可動ユニットを収容した筐体を先端側から見たときの斜視図である。
【図25】筐体内に収容された第2可動ユニットを後端側から見たときの斜視図である。
【図26】第1可動ユニットと第2可動ユニットを収容した筐体を先端側から見たときの斜視図である。
【図27】筐体前端面部を後端側から見たときの斜視図である。
【図28】第1可動ユニットと第2可動ユニットを収容した筐体を先端側から見たときの斜視図である。
【図29】本体先端部の外観を示す斜視図である。
【図30】電源制御処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.変形例
【0011】
<1.第1の実施の形態>
図1は、本発明を適用した顕微鏡観察システムの一実施の形態の構成例を示す図である。
【0012】
図1の顕微鏡観察システムは、観察対象となる標本を拡大した画像(以下、観察画像という)を取得する顕微鏡11と、顕微鏡11により取得された観察画像を表示するモニタ12とが接続されて構成される。
【0013】
顕微鏡11は、顕微鏡本体21と、モニタ12に接続されているスタンド22とから構成されており、顕微鏡本体21は、スタンド22に対して着脱可能となる。図1においては、顕微鏡本体21がスタンド22から取り外された状態が図示されており、さらに、顕微鏡本体21とスタンド22の筐体内の構造が破線により示されている。
【0014】
モニタ12は、顕微鏡本体21により取得された観察画像を表示する他、顕微鏡本体21のズーム倍率や照明光の光量等の観察条件に関する各種の情報等を表示する。また、モニタ12には、タッチパネルが重畳されて設けられており、観察者が、モニタ12に表示されるボタン等をタッチすることにより、顕微鏡11に対する各種の操作を行うことができる。
【0015】
顕微鏡本体21は、本体部31、本体先端部32、表示操作部33、及びグリップ部34から構成される。
【0016】
本体部31と本体先端部32は、共に円筒状の形状からなり、本体先端部32は、本体部31の先端側に取り付けられる。本体部31と本体先端部32が結合されて形成される本体筐体のうち、本体先端部32側には、対物レンズ41が配置され、本体部31側には、ズームレンズ42a乃至42d、結像レンズ43、及び撮像素子44が配置される。すなわち、筐体内には、先端側から後端側に向かって、対物レンズ41乃至撮像素子44が、光軸L1に沿って配置される。また、本体部31には、顕微鏡本体21の各部の動作を制御する制御基板46と、観察画像のデータを記録する記録部47が設けられる。
【0017】
標本からの観察光は、本体先端部32内に配置される対物レンズ41を介して、本体部31の内部に導入され、ズームレンズ42a乃至42dにより所定の倍率に拡大された後、結像レンズ43により撮像素子44の受光面に標本の像が結像され、それにより得られる観察画像のデータが、記録部47に記録される。
【0018】
また、本体先端部32には、標本に照明光を照射する光源として、複数のLED45が実装される。複数のLED45は、対物レンズ41の円周外側に沿うように、輪帯状に並んで配置されるリング照明である。なお、対物レンズ41やLED45等、本体先端部32の詳細な構成については後述する。
【0019】
表示操作部33には、複数の操作ボタンを供えた操作部(不図示)が本体部31の側面に固定されており、観察画像を表示する表示部(不図示)がヒンジ部を介して、本体部31に対して開閉可能かつ回転可能に取り付けられる。
【0020】
グリップ部34は、例えば、リチウムイオン2次電池等のバッテリ48を収容可能に構成される。バッテリ48は、顕微鏡本体21がスタンド22から取り外されたときに、顕微鏡本体21内の各部への電力の供給を行う。また、バッテリ48の充電は、例えば、顕微鏡本体21がスタンド22に接続されているときに、スタンド22に内蔵されている充電ユニット60から供給される電力により行ったり、グリップ部34からバッテリ48を抜き出して専用の充電装置に装着して行ったりすることができる。
【0021】
また、グリップ部34と本体部31との接続部分の近傍の、グリップ部34の先端側の側面には、撮像ボタン49が配設される。例えば、観察者が撮像ボタン49を操作すると、撮像素子44により撮像された観察画像のデータが記録部47に記録される。
【0022】
スタンド22は、水平方向に広がる基部22aと、鉛直方向に延びる支柱部22bとにより略L字状に形成されており、基部22aの上面に、標本13が載置されるステージ51が配設され、支柱部22bのステージ51側の側面にアーム部52が配設される。
【0023】
アーム部52は、支柱部22bから延びる先端側に、顕微鏡本体21と機構的に接続される嵌合部53と、顕微鏡本体21と電気的に接続されるコネクタ部54とが設けられる。嵌合部53とコネクタ部54が、それぞれ、顕微鏡本体21の対応する位置に設けられた嵌合部とコネクタ部(いずれも不図示)と接続されることで、顕微鏡本体21とスタンド22とは機構的に接続されるのと同時に、電気的にも接続される。すなわち、顕微鏡本体21とスタンド22とが電気的に接続されることで、コネクタ部54を介して、スタンド22から顕微鏡本体21に電力及び制御信号が供給され、顕微鏡本体21からスタンド22に観察画像のデータが供給される。
【0024】
スタンド22の内部には、電源(不図示)からの電力を、コネクタ部54を介して顕微鏡本体21の各部に供給する給電部59が設けられる。給電部59は、充電ユニット60を備える。この充電ユニット60は、電源(不図示)から給電部59に供給された電力を、コネクタ部54を介してバッテリ48に供給することで、バッテリ48を充電することも可能である。
【0025】
スタンド22の内部にはまた、スタンド22の各部の動作を制御する制御基板61と、観察画像のデータを記録する記録部62が設けられる。顕微鏡本体21からコネクタ部54を介して供給された観察画像のデータは、制御基板61による制御に基づいて、記録部62に記録される。
【0026】
また、アーム部52は、支柱部22bの長手方向に沿って移動可能に構成される。支柱部22bの手前側の側面には、アーム部52の上下動ハンドル55が設けられ、基部22aの手前側の側面には、ステージ51の上下動ハンドル56が設けられる。制御基板61が、上下動ハンドル55又は56の操作に応じて各部を制御することで、顕微鏡本体21と標本13との距離が調整され、これにより標本13を撮像する際の焦点位置の調整が行われる。
【0027】
また、基部22aの手前側の側面には、顕微鏡本体21をスタンド22に取り付けた状態で使用する際、顕微鏡本体21のズーム倍率を変化させるときに操作されるズームスイッチ57と、LED45による照明光の光量を調整させるときに操作される調光スイッチ58とが設けられる。
【0028】
以上のように、顕微鏡観察システムにおいて、顕微鏡本体21は、スタンド22に取り付けられた状態で使用する場合、本体部31の先端側が、略鉛直方向の下方(標本13に対向する位置)を向くように、顕微鏡本体21がスタンド22に接続されて観察が行われる。また、顕微鏡本体21は、スタンド22から取り外された状態で標本の観察に必要なブロックを全て備えており、顕微鏡本体21単独で使用することができる。
【0029】
次に、スタンド22から取り外された状態で使用される、顕微鏡本体21について説明する。
【0030】
図2は、顕微鏡本体21を先端側から見たときの斜視図である。
【0031】
図2に示すように、本体先端部32の先端面には、対物レンズ41が配置される円形開口部と、その円形開口部の円周外側に沿うように、等角度間隔で配置された8個の矩形開口部が形成される。これらの矩形開口部に対応して、本体先端部32の内部にはLED45が配置されており、それらのLED45からの照明光が、後述する照明光学部材等の照明光学系により集光され、対応する矩形開口部を通過して標本に照射される。また、照明光学系は、対物レンズ41の焦点位置が合った状態で、標本に対して最適な照明光を照射できるように、調整されているため、観察者は、顕微鏡本体21の先端側の対物レンズ41を標本に向けることで、良好な照明状態のもとで観察を行うことができる。
【0032】
なお、図2では図示していないが、顕微鏡本体21をスタンド22から取り外して使用する場合には、焦点合わせの支援や、標本面に焦点を合わせたときの対物レンズ41の先端から標本面までの作動距離を一定に保つ目的で、顕微鏡本体21の姿勢を保持させる姿勢保持部材が本体先端部32の先端側に取り付けられる場合がある。この姿勢保持部材は、点(3点以上が望ましい)又はある程度の面積以上の領域で荷重を支持する。姿勢保持部材としては、例えば、光軸L1の方向(光軸方向)の両端面が開口した中空円筒の形状からなるキャップ等が用いられる。
【0033】
顕微鏡本体21の本体筐体は、本体部31と本体先端部32の筐体が結合されて構成されることは前述したとおりであるが、それらの筐体の結合の状態を分かり易くするために、本体先端部32については筐体部分のみを図示すると、図3及び図4に示すようになる。すなわち、図3には、本体部31の筐体と、本体先端部32の筐体とが結合され、それらの筐体が本体筐体として一体化している状態が示されている一方、図4には、本体部31の筐体と、本体先端部32の筐体とが分離された状態が示されている。
【0034】
このように、本体先端部32は、本体部31とは別の筐体として構成されており、所定の固定方法により、本体部31に取り付けられることで、本体筐体が構成される。ここで、図5乃至図13を参照して、本体筐体を構成する筐体のうち、本体先端部32の筐体の内部構造について説明する。
【0035】
本体先端部32の内部構造であるが、図5に示すように、対物レンズ41を収容する対物レンズ鏡筒111の後端側には、その対物レンズ鏡筒111の円筒に沿ったフランジ状の突起であるフランジ部111Aが設けられる。このフランジ部111Aには、LED基板112がねじ止め等により固定される。LED基板112上には、前述した複数のLED45、すなわち、LED45−1乃至45−8が等角度間隔で配置されており、LED45−1とLED45−2の間には、後述する照明光学部材116の位置決め用の位置決め孔112Bが形成され、LED45−5とLED45−6の間には、位置決め孔112Aが形成される。また、フランジ部111Aには、対物レンズ41を光軸方向に案内するためのバーガイド113−1及び113−2が挿通するガイド孔111B−1及び111B−2(不図示)が、対物レンズ鏡筒111を挟んで対向する位置に形成される。
【0036】
図5に示した対物レンズ鏡筒111を、反対の後端側から見ると、図6に示すようになる。図6に示すように、対物レンズ鏡筒111に設けられたフランジ部111Aの裏面には、前述したガイド孔111B−1(不図示)及び111B−2をバーガイド113−1及び113−2が挿通している他、ステッピングモータ114と、原点センサ115が取り付けられている。
【0037】
ステッピングモータ114には、光軸方向に延び正逆自在に回転するリードスクリューが取り付けられている。リードスクリューの先端には、ポリアセタール等からなるナットがねじにより嵌合される。このナットの一部は、フランジ部111Aの裏面に形成された取付部111Cに固定され、ステッピングモータ114の回転を光軸方向の運動に変換する。ステッピングモータ114は、制御基板46の制御にしたがって、先端部が取付部111Cに固定されたリードスクリューを正回転方向又は逆回転方向に回転させる。なお、ステッピングモータ114として、モータの回転軸が出入りするタイプを使用することも可能である。この場合、モータの回転軸と、取付部111Cとの接続にばねや磁石を利用することができる。
【0038】
原点センサ115は、例えば、フォトインタラプタであり、フランジ部111Aの裏面に形成された突起部111Dが、フォトインタラプタの遮光板となる。フォトインタラプタは、本体先端部32の筐体内の所定の位置に固定され、発光部からの光を突起部111Dが遮るのを受光部で検出する。なお、フォトインタラプタを対物レンズ鏡筒111側に設け、遮光板を本体先端部32の筐体側に設けてもよい。
【0039】
図7は、図5に示したLED基板112上に形成された位置決め孔112A及び112Bに合わせて、照明光学部材116を取り付けた状態を図示している。照明光学部材116は、LED45からの照明光を集光して、標本に照射するために設けられ、それらのLED45と照明光学部材116が照明光学系を構成する。照明光学部材116は、所定の形状からなる集光レンズ116A−1乃至116A−8が環状に結合されて形成される。集光レンズ116A−1乃至116A−8は、LED基板112上の対応する位置に設けられたLED45−1乃至45−8に対して、覆い被さるように取り付けられ、各LED45からの照明光を集光して、標本に向けて照射する。
【0040】
図8は、本体先端部32の筐体121を図示している。図8に示すように、筐体121は、光軸方向の両端面が開口した中空円筒であり、後端面の円形開口部は、対物レンズ鏡筒111の径よりも若干大きな径とされる。後端面にはまた、バーガイド113−1及び113−2をねじで固定するための孔121A−1及び121A−2と、ステッピングモータ114を固定するためのねじ孔121B−1及び121B−2やリードスクリュー軸用の軸孔121Cと、LED45のケーブル類等を通すための開口部121Dとが形成される。
【0041】
すなわち、筐体121の後端面に形成された孔121A−1及び121A−2には、バーガイド113−1及び113−2の後端側が固定され、後端面に形成された円形開口部には、対物レンズ鏡筒111の後端面側が隙間嵌めされる。また、対物レンズ鏡筒111において、LED基板112や照明光学部材116が取り付けられるフランジ部111Aは、ドーナツ型の形状を有しており、その内周円は、対物レンズ鏡筒111に収容された対物レンズ41の光路となるが、その外周円は、筐体121の内壁に対応する形状になっている。従って、筐体121の後端面にねじ止め等により固定されたバーガイド113−1及び113−2のそれぞれが、フランジ部111Aに形成されたガイド孔111B−1及び111B−2を挿通することで、対物レンズ鏡筒111が、筐体121に取り付けられる。これにより、図9に示すように、筐体121の内部に、図7に示した対物レンズ鏡筒111や照明光学系等が収容される。
【0042】
なお、図9に示すように、筐体121の内部では、2本のバーガイドが、光軸と平行に設置されることになるが、一方のバーガイドは、対物レンズ鏡筒111を光軸方向に案内するためのものであり、他方のバーガイドは、対物レンズ鏡筒111の回転止めのためのものである。また、これらのバーガイドが挿通するガイド孔の直径は、例えば2.5mmとすることができ、それらの孔の長さは孔径の5倍以上とり、20mm程度とするのが好適である。その際、嵌合ガタ量は光学性能を損ねない値とする。
【0043】
また、図6に示したように、対物レンズ鏡筒111のフランジ部111Aの裏面には、ステッピングモータ114と原点センサ115が直接取り付けられているが、実際には、それらの機器は、筐体121の後端面にねじ止めされるものである。すなわち、図10に示すように、ステッピングモータ114は、筐体121の後端面の裏面からねじ孔121B−1及び121B−2(図8)に螺合されたねじにより取り付けられ、そのリードスクリュー軸のみが、軸孔121C(図8)を通じて磁石などによりフランジ部111Aの裏面の取付部111Cに固定される。また、原点センサ115についても同様に、筐体121の後端面の裏面からねじ止めされ、フランジ部111Aの裏面の突起部111Dが、フォトインタラプタの遮光板とされる。
【0044】
図11は、筐体121の前端側に取り付けられる筐体前端面部131を図示している。図11に示すように、筐体前端面部131は円形の形状を有し、その径は、筐体121の先端側の内径よりも若干小さな径とされる。また、筐体前端面部131には、対物レンズ鏡筒111の径よりも若干大きな径とされる円形開口部131Aと、その円形開口部131Aの円周外側に沿うように、矩形開口部131B−1乃至131B−8が形成される。
【0045】
また、筐体前端面部131には、周上の所定の位置に、筐体121の内壁に形成される位置決めピン121E(図9)に対応する位置決めピン溝131Cが形成される。さらに、筐体前端面部131には、筐体121の後端面に形成された孔121A−1及び121A−2の光軸方向の対応する位置に、バーガイド113−1及び113−2の先端側を取り付けるための取付穴131D−1及び131D−2が形成される。
【0046】
すなわち、図9に示した対物レンズ鏡筒111等が収容された筐体121に対して、その内壁に形成された位置決めピン121Eと、位置決めピン溝131Cとが合うように筐体前端面部131(図11)を筐体121の先端面側に嵌め込み、筐体121の側面をねじ止めして固定すると、図12に示すようになる。このとき、筐体前端面部131の取付穴131D−1及び131D−2には、バーガイド113−1及び113−2の先端側が固定され、円形開口部131Aには、対物レンズ鏡筒111の先端面側が隙間嵌めされる。また、矩形開口部131B−1乃至131B−8には、照明光学部材116の集光レンズ116A−1乃至116A−8の先端部分が隙間嵌めされる。
【0047】
そして、図12の本体先端部32は、前述した内部構造を有して構成されるため、その内部では、対物レンズ鏡筒111(対物レンズ41)と、そのフランジ部111A上に設けられたLED45や照明光学部材116(照明光学系)(以下、これらをまとめて可動ユニットともいう)が、フランジ部111Aを挿通したバーガイド113−1及び113−2により案内され、光軸方向に駆動可能とされる。
【0048】
例えば、ステッピングモータ114の駆動に応じてリードスクリューが正回転することで、可動ユニットがバーガイド113−1及び113−2により先端方向に案内されると、図13に示すように、円形開口部131Aと矩形開口部131B−1乃至131B−8から、対物レンズ鏡筒111と、集光レンズ116A−1乃至116A−8の先端部分のそれぞれが突き出してくる。このように、可動ユニットとして一体的に構成される、対物レンズ41と、照明光学系とが、いわば同期して光軸方向に駆動することになる。
【0049】
例えば、顕微鏡本体21がスタンド22から取り外して使用される場合において、観察者によって表示操作部33に表示されたタッチパネルの所定のボタンが操作され、対物レンズ41の駆動により焦点位置の調整が行われたとき、本体先端部32においては、図13に示すように、標本の観察状態に応じて、対物レンズ41と照明光学系が光軸方向に同期して駆動することになる。このような状態で観察を行うと、対物レンズ41が光軸方向に駆動して、焦点位置が調整されるだけでなく、その対物レンズ41と同期して光軸方向に駆動する照明光学系により、標本に対して最適な照明光が照射されるので、良好な照明状態のもとでの観察を行うことができる。
【0050】
一方、例えば、ステッピングモータ114の駆動に応じてリードスクリューが逆回転することで、可動ユニットがバーガイド113−1及び113−2により後端方向に案内されると、突き出ていた対物レンズ41と、集光レンズ116A−1乃至116A−8の先端部分が、本体先端部32の筐体121内に引っ込むことになる。
【0051】
このとき、筐体121内で駆動する可動ユニットの光軸方向の位置は、前述したように、原点センサ115により検出される。具体的には、光軸方向の所定の基準位置を原点位置として定めて、その原点位置に対応する位置にフォトインタラプタを設けておくことにより、可動ユニットが原点位置に駆動されたとき、フランジ部111Aの裏面の突起部111Dより、発光部からの光が遮られるようにする。これにより、制御基板46は、原点センサ115からの検出信号により可動ユニットが原点位置にあるか否かを判定することが可能となる。例えば、可動ユニットが原点位置にある場合には、対物レンズ41や照明光学系が筐体121内に完全に収容されている状態とされる。
【0052】
以上のように、顕微鏡本体21がスタンド22から取り外されて使用される場合、標本の観察状態に応じて、対物レンズ41及び照明光学系の双方が同期して、光軸方向の任意の位置に駆動されるので、良好な照明状態のもとでの観察を行うことができる。
【0053】
<2.第2の実施の形態>
ところで、前述した第1の実施の形態においては、可動ユニットを光軸方向に駆動させることで、対物レンズと、照明光学系とを同期して駆動させる構成について説明したが、対物レンズ及び照明光学系のうちのいずれか一方又は双方を光軸方向に駆動してもよい。すなわち、この場合、対物レンズと照明光学系は、非同期に駆動される。
【0054】
そこで、次に、図14乃至図29を参照して、対物レンズと照明光学系を非同期に駆動する場合の本体先端部32の内部構造について説明する。
【0055】
図14に示すように、対物レンズ141を収容した対物レンズ鏡筒211には、その円筒に沿ったフランジ状の突起は設けられておらず、その円筒面には、対物レンズ141を光軸方向に案内するための、後述するバーガイド213−1及び213−2が挿通するガイド孔211A−1及び211A−2が対物レンズ鏡筒211を挟んで対向する位置に形成される。
【0056】
図14に示した対物レンズ鏡筒211を、反対の後端側から見ると、図15に示すようになる。図15に示すように、対物レンズ鏡筒211の後端側には、後述する対物用ステッピングモータ214−1のリードスクリューの軸を取り付ける取付部211Bと、後述する対物用原点センサ215−1のフォトインタラプタ用の突起部211Cとが形成される。
【0057】
また、図16は、照明光学系を図示している。この照明光学系は、LED基板212上に設けられたLED145−1乃至145−8(不図示)と、それらのLED145に取り付けられる集光レンズ216A−1乃至216A−8からなる照明光学部材216により構成される。図16に示すように、LED基板212は、前述したような、対物レンズ鏡筒に設けられたフランジ部に固定されるのではなく、それ単独で構成されており、LED基板212には、照明光学系を光軸方向に案内するための、後述するバーガイド213−1及び213−2が挿通するガイド孔212A−1及び212A−2が、中央に形成された円形開口部を挟んで対向する位置に形成される。
【0058】
図16に示したLED基板212を、反対の後端側から見ると、図17に示すようになる。図17に示すように、LED基板212の裏面には、ガイド孔212A−1及び212A−2の他、後述する照明光学系用ステッピングモータ214−2のリードスクリューの軸を取り付ける取付部212Bと、後述する照明光学用原点センサ215−2のフォトインタラプタ用の突起部212Cとが形成される。
【0059】
このように、第2の実施の形態においては、対物レンズと照明光学系は一体化して構成されておらず、対物レンズ(図14,図15)と、照明光学系(図16,図17)とは構造的に分離した状態で構成される。
【0060】
図18は、本体先端部32の筐体221を図示している。図18に示すように、筐体221は、光軸方向の両端面が開口した中空円筒であり、後端面の円形開口部は、対物レンズ鏡筒211の径よりも若干大きな径とされる。後端面にはまた、円形開口部を挟んで対向する位置にバーガイド213−1及び213−2が固定される。図18に示した筐体221を、先端側から見ると、図19に示すようになり、後端側から見ると、図20に示すようになる。すなわち、図19及び図20に示すように、筐体221の後端面には、対物用ステッピングモータ214−1がねじ孔221A−1及び221A−2に螺合されたねじにより取り付けられ、照明光学系用ステッピングモータ214−2がねじ孔221B−1及び221B−2に螺合されたねじにより取り付けられる。また、対物用原点センサ215−1と照明光学用原点センサ215−2についても同様に、筐体221の後端面の裏側からねじ止めされる。筐体221の後端面にはまた、LED145のケーブル類等を通すための開口部221Cが形成される。
【0061】
すなわち、筐体221に固定されたバーガイド213−1及び213−2に、対物レンズ鏡筒211に形成されたガイド孔211A−1及び211A−2を挿通させて、対物レンズ鏡筒211を、筐体221に収容すると、図21に示すようになる。このとき、図22及び図23に示すように、筐体221の後端面に取り付けられた対物用ステッピングモータ214−1のリードスクリュー軸が、対物レンズ鏡筒211に形成された取付部211Bに取り付けられる。また、対物レンズ鏡筒211に形成された突起部211Cが、筐体221の後端面に取り付けられた対物用原点センサ215−1のフォトインタラプタの遮蔽板とされる。
【0062】
一方、筐体221に固定されたバーガイド213−1及び213−2に、LED基板212に形成されたガイド孔212A−1及び212A−2を挿通させて、照明光学系を、筐体221内に収容すると、図24に示すようになる。このとき、図25に示すように、筐体221の後端面に取り付けられた照明光学系用ステッピングモータ214−2のリードスクリュー軸が、LED基板212の裏面に形成された取付部212Bに取り付けられる。また、LED基板212の裏面に形成された突起部212Cが、筐体221の後端面に取り付けられた照明光学用原点センサ215−2のフォトインタラプタの遮蔽板とされる。
【0063】
そして、筐体221に固定されたバーガイド213−1及び213−2に対して、LED基板212に形成されたガイド孔212A−1及び212A−2を挿通させた後、さらに、対物レンズ鏡筒211に形成されたガイド孔211A−1及び211A−2を挿通させると、図26に示すように、筐体221の内部に、対物レンズ141と、照明光学系が収容される。
【0064】
図27は、筐体221の前端側に取り付けられる筐体前端面部231を図示している。図27の筐体前端面部231は、図11の筐体前端面部131と同様の形状からなり、円形開口部231Aと、その円形開口部231Aの円周外側に沿うように、矩形開口部231B−1乃至231B−8が形成される。また、筐体前端面部231には、周上の所定の位置に、筐体221の内壁に形成される位置決めピン221D(図28)に対応する位置決めピン溝231Cと、バーガイド213−1及び213−2の先端側を取り付ける取付穴231D−1及び231D−2が形成される。
【0065】
すなわち、図28に示した対物レンズ鏡筒211や照明光学系が収容された筐体221に対して、その内壁に形成された位置決めピン221Dと、位置決めピン溝231Cとが合うように筐体前端面部231(図27)を筐体221の前端面側に嵌め込み、側面をねじ止めして固定すると、図29に示すようになる。このとき、筐体前端面部231の取付穴231D−1及び231D−2に、バーガイド213−1及び213−2の先端側が固定され、円形開口部231Aには、対物レンズ鏡筒211の先端面側が隙間嵌めされる。また、矩形開口部231B−1乃至231B−8には、照明光学部材216の集光レンズ216A−1乃至216A−8の先端部分が隙間嵌めされる。
【0066】
そして、図29の本体先端部32は、前述した内部構造を有して構成されるため、その内部では、対物レンズ鏡筒211(対物レンズ141)(以下、第1可動ユニットともいう)と、LED145や照明光学部材216(照明光学系)(以下、第2可動ユニットともいう)が別個に、バーガイド213−1及び213−2により案内され、光軸方向に駆動可能とされる。
【0067】
例えば、ステッピングモータ214−1の駆動に応じてリードスクリューが正回転することで、第1可動ユニットがバーガイド213−1及び213−2により先端方向に案内されると、円形開口部231Aから、対物レンズ鏡筒211に収容された対物レンズ141の先端部分のみが突き出してくる。一方、例えば、ステッピングモータ214−1の駆動に応じてリードスクリューが逆回転することで、第1可動ユニットがバーガイド213−1及び213−2により後端方向に案内されると、突き出ていた対物レンズ141が、本体先端部32の筐体221内に引っ込むことになる。
【0068】
また、例えば、ステッピングモータ214−2の駆動に応じてリードスクリューが正回転することで、第2可動ユニットがバーガイド213−1及び213−2により先端方向に案内されると、矩形開口部231B−1乃至231B−8から、集光レンズ216A−1乃至216A−8の先端部分のみが突き出してくる。一方、例えば、ステッピングモータ214−2の駆動に応じてリードスクリューが逆回転することで、第2可動ユニットがバーガイド213−1及び213−2により後端方向に案内されると、集光レンズ216A−1乃至216A−8が、本体先端部32の筐体221内に引っ込むことになる。
【0069】
なお、ステッピングモータ214−1及び214−2を同時に駆動させることで、第1可動ユニットと第2可動ユニットを同時に駆動することも可能である。また、前述した原点センサ115と同様に、対物用原点センサ215−1により、第1可動ユニットの原点位置が検出され、照明光学用原点センサ215−2により、第2可動ユニットの原点位置が検出される。
【0070】
例えば、ある標本の観察では最適な照明状態であっても、その照明状態が、他の標本(例えば、光っている基板や物質のキズ等)を観察する場合には、最適な照明状態とならない場合がある。その場合には、例えば、第1可動ユニットのみを駆動するか、あるいは、第1可動ユニットと第2可動ユニットを非同期で駆動することで、最適な照明状態が他の標本と異なる標本についても、良好な照明状態のもとでの観察を行うことができる。
【0071】
以上のように、顕微鏡本体21がスタンド22から取り外されて使用される場合、標本の観察状態に応じて、対物レンズ141及び照明光学系のうちのいずれか一方又は双方が、光軸方向の任意の位置に駆動されるので、良好な照明状態のもとでの観察を行うことができる。
【0072】
<3.第3の実施の形態>
ところで、顕微鏡本体21は、スタンド22に固定されて使用される場合、給電部59からコネクタ部54を介して供給される電力により駆動される一方、スタンド22から取り外されて使用される場合、バッテリ48に蓄えられた電力により駆動されることは、前述したとおりである。バッテリ48による駆動の場合、蓄えられる電力は限られていることから、できるだけ電力を節約できることが望ましい。
【0073】
そこで、次に、図30のフローチャートを参照して、制御基板46により実行される電源制御処理について説明する。
【0074】
ステップS11において、制御基板46は、スタンド22のアーム部52との接続状況を監視することで、顕微鏡本体21がスタンド22から取り外されたか否かを判定する。
【0075】
ステップS11において、スタンド22から取り外されていないと判定された場合、処理は、ステップS11に戻り、判定処理が繰り返される。この場合、顕微鏡本体21が、スタンド22に固定されているため、顕微鏡本体21は、スタンド22の給電部59からコネクタ部54を介して供給される電力により駆動される。
【0076】
一方、ステップS11において、スタンドから取り外されていると判定された場合、処理は、ステップS12に進み、制御基板46は、可動ユニットを原点位置に駆動させる。
【0077】
具体的には、制御基板46は、原点センサ115からの検出信号を監視しながら、ステッピングモータ114を制御して、可動ユニットを後端方向に駆動させる。そして、制御基板46は、原点センサ115により可動ユニットが原点位置にあることが検出された場合、ステッピングモータ114による可動ユニットの駆動を停止させる。これにより、可動ユニットは原点位置に駆動され、例えば、対物レンズ41や照明光学系は、筐体121内に完全に収容されている状態となる。
【0078】
なお、ここでは、第1の実施の形態の可動ユニットについて説明したが、第2の実施の形態の第1可動ユニット及び第2可動ユニットについても同様である。
【0079】
ステップS13において、制御基板46は、バッテリ48等を制御して、バッテリ48から顕微鏡本体21の各部に供給される電力を停止させる。
【0080】
なお、制御基板46は、バッテリ48等を制御して、顕微鏡本体21の各部を通常より低い消費電力で動作させるようにしてもよい(いわゆる省電力モード)。
【0081】
ステップS13の処理が終了すると、制御基板46により実行される電源制御処理は終了する。
【0082】
以上のように、顕微鏡本体21がスタンド22から取り外された場合、可動ユニットを所定の原点位置に戻した後、強制的に、顕微鏡本体21の電源を切るか、あるいは省電力モードで動作させるので、バッテリ48に蓄えられた電力を節約することができる。また、顕微鏡本体21がスタンド22から取り外された場合には、LED45等の光源からの照明光の照射が停止されるため、その照明光が観察者の目に入ったりすることを未然に防止することができ、観察者は、顕微鏡本体21を、安全に取り扱うことができる。
【0083】
また、顕微鏡本体21がスタンド22から取り外された場合には、可動ユニットが原点位置に戻っているため、観察者が、取り外された顕微鏡本体21を使用して標本の観察を行う際には、迅速に観察を再開することができる。
【0084】
なお、顕微鏡本体21がスタンド22から取り外された場合、可動ユニットを原点位置に戻さずに、顕微鏡本体21の電源を切るか、あるいは省電力モードで動作させる電源制御のみを実行するようにしてもよい。
【0085】
<4.変形例>
前述した説明では、顕微鏡本体21の本体筐体は、本体部31の筐体と、本体先端部32の筐体とが結合されたものであるとして説明したが、本体部31と本体先端部32の筐体を一体に形成して、1つの筐体からなるようにしてもよい。
【0086】
また、前述した説明では、対物レンズ及び照明光学系のうちのいずれか一方又は双方を、光軸方向に駆動させる場合、表示操作部33に表示されたタッチパネルの所定のボタンにより操作するとして説明したが、他の操作手段を用いてもよく、例えば、本体部31又はグリップ部34に、シーソースイッチ等の専用のスイッチやボタン(不図示)を設けて、そのスイッチ等が操作された場合に、駆動されるようにしてもよい。また、顕微鏡本体21が、スタンド22に取り付けられた状態で、対物レンズ及び照明光学系のうちのいずれか一方又は双方を、光軸方向に駆動する場合には、モニタ12に表示されるボタン等をタッチすることで操作するか、あるいはスタンド22に設けられた専用のスイッチ(不図示)等により操作するようにすればよい。
【0087】
なお、対物レンズ鏡筒111のフランジ部111Aに形成されたガイド孔111B−1及び111B−2の孔の形状を円形から、V溝に変えて、そのV溝の面をバーガイド113−1及び113−2に接触させるようにしてもよい。この場合、バーガイド113−1及び113−2を磁性体又は磁性があるステンレス材で構成し、それらのバーガイドとV溝が離れないように、マグネシウム合金、アルミニウム合金、又は樹脂等の非磁性体からなる対物レンズ鏡筒111のV溝付近に磁石を埋め込むか、又は接着により固定する。なお、固定に用いる磁石としては、例えば、直径4mm、高さ4mm程度のネオジム磁石を用いると好適である。また、顕微鏡本体21が落下した場合など、衝撃で一時的にバーガイドとV溝が離れても磁力で再度吸着できる距離に留まるように、分離防止手段を設けることも可能である。
【0088】
また、バーガイドは、その両端が、筐体121又は筐体前端面部131に固定されるが、バーガイドの両端又はその他の部分を筐体に固定するに際して、例えば、筐体121又は筐体前端面部131に取付穴を設けて固定する他、U溝やV溝を設けて板ばねで固定したり、接着したりしてもよい。なお、板ばねは、ねじで筐体に固定するか、あるいはねじを使用せずに筐体に引っかけ、バーガイドに与圧をかけて固定してもよい。
【0089】
なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0090】
また、本発明の実施の形態は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0091】
11 顕微鏡, 12 モニタ, 21 顕微鏡本体, 22 スタンド, 31 本体部, 32 本体先端部, 33 表示操作部, 34 グリップ部, 41 対物レンズ, 45,45−1乃至45−8,145,145−1乃至145−8 LED, 46 制御基板, 47 記録部, 48 バッテリ, 59 給電部, 60 充電ユニット, 61 制御基板, 62 記録部, 111,211 対物レンズ鏡筒, 111A フランジ部, 112,212 LED基板, 113−1,113−2,213−1,213−2 バーガイド, 114 ステッピングモータ, 115 原点センサ, 116,216 照明光学部材, 116A−1乃至116A−8,216A−1乃至216A−8 集光レンズ, 121,221 筐体, 131,231 筐体前端面部, 214−1 対物用ステッピングモータ, 214−2 照明光学系用ステッピングモータ, 215−1 対物用原点センサ, 215−2 照明光学用原点センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージに載置された標本を観察させるためのスタンドに着脱可能な顕微鏡であって、
標本からの観察光を集光する対物レンズと、
光源からの照明光により、前記標本を照明する照明光学系と、
前記対物レンズからの観察光を結像する結像光学系と、
前記結像光学系により結像された前記標本の像を撮像する撮像手段と
を収容する本体筐体と、
前記本体筐体内に設けられ、前記スタンドから取り外されて使用される場合、前記標本の観察状態に応じて、前記対物レンズ及び前記照明光学系のうちのいずれか一方又は双方を、光軸方向に駆動する駆動手段と
を備える顕微鏡。
【請求項2】
前記駆動手段は、前記対物レンズと前記照明光学系とを同期させて駆動する
請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項3】
前記照明光学系は、前記対物レンズの鏡筒の外周に沿って環状に配置された複数の前記光源からの照明光により前記標本が照明されるように、前記対物レンズの鏡筒に対して固定されており、
前記駆動手段は、前記対物レンズの鏡筒と、その鏡筒に対して固定された前記照明光学系を、同一の案内部材により案内することで、光軸方向に駆動する
請求項2に記載の顕微鏡。
【請求項4】
前記対物レンズ、前記照明光学系、及び前記駆動手段は、前記結像光学系及び前記撮像手段を収容した筐体とは別の筐体に収容される
請求項3に記載の顕微鏡。
【請求項5】
前記本体筐体内の各部に電力の供給を行う電源手段と、
前記スタンドから取り外された場合、前記電源手段からの電力を停止させるか、又は前記本体筐体内の各部を通常より低い消費電力で動作させる電力制御手段と
をさらに備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載の顕微鏡。
【請求項6】
前記電力制御手段は、前記対物レンズ及び前記照明光学系が、光軸方向の所定の基準位置に戻ってから、電力を停止させるか、又は通常より低い消費電力で動作させる
請求項5に記載の顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2013−57750(P2013−57750A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195256(P2011−195256)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】