説明

顧客管理システム

【課題】低コストで、給油所等を含む複数の商業施設において、顧客に共通したサービスを提供して顧客の囲い込みを図る。
【解決手段】複数の商業施設2〜4において顧客を管理するための管理サーバ7を備え、複数の商業施設の各々は、各々の商業施設における顧客のサービス利用履歴が付加された識別コードを印字する印字手段2e等を備え、顧客が通信端末5によって印字手段で印字された識別コードを読み取った際に、管理サーバは、ネットワーク6を介して通信端末から送信される識別コードに付加されるサービス利用履歴に関する情報を受信し、該サービス利用履歴と、該通信端末の端末情報とを関連付けて記憶する。管理サーバは、記憶された利用履歴及び端末情報と関連付けてポイント情報を記憶することもでき、記憶された利用履歴及び端末情報に基づいて家計簿を作成することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油所等を含む複数の商業施設において、顧客に共通したサービスを提供して顧客の囲い込みを図るために用いられる顧客管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給油所において、自動車等に給油する顧客へポイントを付与したり、購買実績に基づいて値引を行うことが行われている。このようなサービスを提供する際には、リライトカードや、磁気カードを利用し、その給油所だけの実績で顧客管理を行っている。また、複数の給油所の各々の決済端末より、購買データを独自プロトコルを用いて後方サーバにオンライン送信してデータベース管理することで、複数の給油所間で顧客管理を行う給油所システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、複数の商業施設において共通の顧客管理システムを用い、これらの商業施設を利用した顧客に対し、いずれの商業施設においても利用することのできるポイントを付与したり、購買実績に基づいて割引を行うなど、種々のサービスを提供することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−117743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記複数の給油所間や、複数の商業施設において顧客に共通したサービスを提供するには、各々の給油所や商業施設に高速回線を引いたり、固定IPを設定したり、プロバイダ契約を行ってネットワークを介して管理サーバに通信可能に接続する必要があり、システムの構築に高額の費用が必要になる。特に、複数の商業施設の一つ、例えば給油所が既に独自のシステムを用いて上記サービスを提供し、この給油所に隣接する商業施設においても同様のサービスを共通して顧客に提供しようとすると、各々の商業施設にも給油所と同様、管理サーバに接続可能な端末装置を設置する必要があり、各々の商業施設のコスト負担が大きくなるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、低コストで、給油所等を含む複数の商業施設において、顧客に共通したサービスを提供して顧客の囲い込みを図ることが可能な顧客管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、複数の商業施設において顧客を管理するための管理サーバを備えた顧客管理システムであって、前記複数の商業施設の各々は、各々の商業施設における顧客のサービス利用履歴が付加された識別コードを印字する印字手段を備え、顧客が通信端末によって前記印字手段で印字された識別コードを読み取った際に、前記管理サーバは、ネットワークを介して該通信端末から送信される前記識別コードに付加されるサービス利用履歴に関する情報を受信し、該サービス利用履歴と、該通信端末の端末情報とを関連付けて記憶することを特徴とする
【0008】
そして、本発明によれば、商業施設の各々は、各々の商業施設における顧客のサービス利用履歴が付加された識別コードを印字する印字手段を備えるだけの簡易な構成であるため、低コストで、給油所等を含む複数の商業施設において顧客の囲い込みを図ることができる。
【0009】
上記顧客管理システムにおいて、前記管理サーバは、前記記憶された利用履歴及び端末情報と関連付けてポイント情報を記憶することができる。これによれば、複数の商業施設において共通のポイントを利用することができ、利用客の利便性をさらに向上させることが可能になる。
【0010】
また、上記顧客管理システムにおいて、前記管理サーバは、前記記憶された利用履歴及び端末情報に基づいて家計簿を作成することができる。これによれば、顧客に家計簿を提供することができ、利用客の利便性をさらに向上させることが可能になる。
【0011】
さらに、上記顧客管理システムにおいて、前記ネットワークと接続される商業施設の少なくとも1つを給油所とすることができ、給油所を含む複数の商業施設において顧客の囲い込みを図ることができる。
【0012】
上記顧客管理システムにおいて、前記識別コードを、前記サービス利用履歴をURL化し、該URLをさらにコード化したものとすることができ、URLで自動的に管理サーバにエントリーすることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、低コストで、給油所等を含む複数の商業施設において顧客の囲い込みを図ることが可能な顧客管理システムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかる顧客管理システムの一実施の形態を示す全体構成図である。
【図2】図1の顧客管理システムの装置構成を示すブロック図である。
【図3】本発明にかかる顧客管理システムの管理サーバの利用履歴記憶部及びポイント情報記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
【図4】図1の顧客管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明にかかる顧客管理システムの一実施の形態を示し、この顧客管理システム1は、給油所2、コンビニエンスストア(以下「コンビニ」という)3、レストラン4等の複数の商業施設と、インターネット6に接続された管理サーバ7とで構成される。
【0017】
図2に示すように、給油所2には、給油装置2aと、洗車装置2bと、POS端末2c等が設置される。POS端末2cは、給油装置2aや洗車装置2b等での販売実績を集計すると共に、顧客のサービス利用履歴を含むURL情報を付加したQRコードを作成するQRコード作成部2dと、QRコード作成部2dによって作成されたQRコードを印字する印字部2e等を備える。
【0018】
コンビニ3、レストラン4等の給油所2以外の商業施設においては、従来用いられているレジスターなどの精算装置3a、4aに、顧客のサービス利用履歴を含むURL情報を付加したQRコードを作成するQRコード作成部3b、4bと、発行する伝票(領収証等)に、QRコード作成部3b、4bによって作成されたQRコードを印字する印字部3c、4cが設けられる。
【0019】
上記QRコードは、URL情報が付加されたものであって、このURL情報は、例えば、(アドレス+利用サービス/サービスを受けた日時/商業施設コード/数量/金額等)からなり、これにより、顧客は、携帯電話端末5を介してQRコードを読み取るだけで、利用履歴を管理サーバ7に送信することができる。
【0020】
管理サーバ7は、インターネット6を介して通信するための通信制御部7aと、携帯電話端末5から送信された識別コードに付加されたサービス利用履歴を、携帯電話端末5の端末情報と関連付けて記憶する利用履歴記憶部7bと、携帯電話端末5がQRコードを読み取ることにより送信されるポイント情報等を、顧客毎に記憶するポイント情報記憶部7cと、利用履歴記憶部7bに記憶された利用履歴及び端末情報に基づいて家計簿を作成する家計簿作成部7dと、前記利用履歴、ポイント情報及び家計簿をインターネット6を介して閲覧可能に表示するための表示制御部7e等を備える。
【0021】
利用履歴記憶部7bは、図3(a)に示すような情報を記憶し、携帯電話端末5の端末情報と関連付けて、いつ、どこで、どのようなサービスを利用したかを管理する。ここで、図3(a)の商業施設コードは、給油所2、コンビニ3、レストラン4等のコードを示す。この利用履歴記憶部7bに記憶される利用履歴は、給油所2、コンビニ3、レストラン4等の間で共有化され、例えば、端末情報「AAA1」の携帯電話端末5を所有する顧客が、給油所2で給油を行った後、コンビニ3で食品を購入した場合、給油及び食品の購入の履歴は、いずれも端末情報「AAA1」に対応する利用履歴として一元的に管理される。
【0022】
ポイント情報記憶部7cは、図3(b)に示すような情報を記憶し、携帯電話端末5の端末情報と関連付け、利用可能なポイント数(現ポイント)、発生ポイント数及び利用ポイント数等を管理する。ここで、図3(b)の「ランク」は、年間の所得ポイント数に応じて付与される格付けを示すものであり、また、「優待」は、ランクに応じた特典の内容を示すものである。このポイント情報記憶部7cに記憶されるポイント情報も、給油所2、コンビニ3及びレストラン4の間で共有化され、端末情報「AAA1」の携帯電話端末5を所有する顧客は、給油所2及びその他の商業施設の全てでポイントを貯めることができると共に、使用することができる。
【0023】
家計簿作成部7dは、利用履歴記憶部7bに記憶された利用履歴及び端末情報に基づいて家計簿を作成するために備えられ、上記利用履歴を利用して所定のフォームで家計簿を作成する。
【0024】
表示制御部7eは、予め、顧客が携帯電話端末5や自宅のPC等を介して利用履歴、ポイント情報及び家計簿を閲覧するためのサイトを作成し、このサイトは、携帯電話端末5がQRコードを読み取った後、表示部に表示されたURL情報をクリックすることで利用履歴等を閲覧することができる。
【0025】
携帯電話端末5は、給油所2、コンビニ3、レストラン4等で発行される伝票に印字されたQRコードを読み取るためのQRコード読取部5aと、読み取ったURLへとインターネット6を介して接続するための通信制御部5bと、表示部5cとを備える。尚、これらの各部を備える端末であれば、携帯電話端末に限らずその他の汎用情報端末を使用することもできる。
【0026】
次に、上記構成を有する顧客管理システム1の動作について、図4を中心に参照しながら説明する。ここでは、まず、顧客が給油所2の給油装置2aを利用して車両に給油する場合について説明する。
【0027】
給油所2において、顧客が給油装置2aで給油を行い、所定の料金を支払うと(ステップS1)、POS端末2cのQRコード作成部2dによって、利用履歴を含むURL情報を付加したQRコードを作成し(ステップS2)、印字部2eによって前記QRコードが印字された領収証を発行する(ステップS3)。
【0028】
顧客は、領収証を受け取ると、携帯電話端末5のQRコード読取部5aを用いて領収証に印字されたQRコードを読み取る(ステップS4)。すると、QRコードに付加されたURLに含まれる利用履歴(利用サービス/サービスを受けた日時/商業施設コード等)と、利用履歴に対応するポイント情報とが通信制御部5bを介して自動的に管理サーバ7に送信される(ステップS5)。
【0029】
次に、管理サーバ7において、通信制御部7aによって携帯電話端末5からのURLを受信し、この携帯電話端末5の端末情報とURLに含まれる利用履歴とを関連づけて利用履歴記憶部7bに記憶すると共に(ステップS6)、URLに含まれるポイント情報をポイント情報記憶部7cに記憶する(ステップS7)。また、 家計簿作成部7dは、上記利用履歴を用いてこの顧客の家計簿を作成する(ステップS8)。
【0030】
顧客は、コンビニ3、レストラン4等においても上記給油所2と同様の要領でQRコードが印字された領収証を受け取り、携帯電話端末5を用いて領収証が印字されたQRコードを読み取ると、QRコードに付加されたURLに含まれる利用履歴と、利用履歴に対応するポイント情報とが自動的に管理サーバ7に送信される。
【0031】
管理サーバ7では、利用履歴記憶部7bにおいて、所定の期間顧客の利用履歴を図3(a)に示すように記憶すると共に、ポイント情報記憶部7cにおいて、ポイント情報を図3(b)に示すように記憶し、家計簿作成部7dは、上記利用履歴を用いてこの顧客の家計簿を作成する。また、記憶したポイント情報に基づいて、顧客を図3(b)に示すように「ランク」付けしたり(ステップS9)、図3(b)の「優待」に示すように、上記ランクに応じた特典を付与する(ステップS10)。
【0032】
上記ポイント、ランク、特典等のサービス情報については、顧客が自宅のPCで印刷したり、携帯電話端末5の画面に保存し、給油所2、コンビニ3、レストラン4等の各々の商業施設においてクーポン割引等のサービスを受けることができる。
【0033】
また、各商業施設でのポイントの利用の際に、各商業施設でポイントの利用に関する情報をQRコードに付与し、顧客が携帯電話端末5を介してQRコードを読み取ることで、ポイント情報を管理サーバ7に送信し、管理サーバ7側でその顧客のポイントを減算することもできる。
【0034】
さらに、顧客は、家計簿作成部7dで作成された顧客毎の家計簿についても、自宅のPCや携帯電話端末5から直接管理サーバ7の家計簿サイトにアクセスして参照したり、家計簿ファイルをcsv又はエクセル(登録商標)形式等でダウンロードしたり、PDF形式のファイルを印刷することもでき、これまで蓄積された利用履歴を確認することもできる。
【0035】
また、管理サーバ7の上記家計簿サイト等に、各々の商業施設の広告や、一般の広告を掲載し、顧客が家計簿サイトなどにログインして家計簿等をチェックする際に、広告が目に入るようにしておくことで、顧客に各々の商業施設の利用を促すと共に、広告収入を得ることもできる。
【0036】
以上のように、本実施の形態においては、給油所2、コンビニ3、レストラン4等の各々の商業施設において、顧客のサービス利用履歴が付加されたQRコードを領収証等に印字する機器を備えるだけの低コストで、ポイントの付与や、家計簿の提供等を行うことができ、これらの商業施設における顧客の囲い込みを図ることが可能となる。
【0037】
尚、上記実施の形態においては、QRコードを識別コードとして用いたが、その他の2次元コード等を用いることもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 顧客管理システム
2 給油所
2a 給油装置
2b 洗車装置
2c POS端末
2d QRコード作成部
2e 印字部
3 コンビニ
3a 精算装置
3b QRコード作成部
3c 印字部
4 レストラン
4a 精算装置
4b QRコード作成部
4c 印字部
5 携帯電話端末
5a QRコード読取部
5b 通信制御部
5c 表示部
6 インターネット
7 管理サーバ
7a 通信制御部
7b 利用履歴記憶部
7c ポイント情報記憶部
7d 家計簿作成部
7e 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の商業施設において顧客を管理するための管理サーバを備えた顧客管理システムであって、
前記複数の商業施設の各々は、各々の商業施設における顧客のサービス利用履歴が付加された識別コードを印字する印字手段を備え、
顧客が通信端末によって前記印字手段で印字された識別コードを読み取った際に、前記管理サーバは、ネットワークを介して該通信端末から送信される前記識別コードに付加されるサービス利用履歴に関する情報を受信し、該サービス利用履歴と、該通信端末の端末情報とを関連付けて記憶することを特徴とする顧客管理システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、前記記憶された利用履歴及び端末情報と関連付けてポイント情報を記憶することを特徴とする請求項1に記載の顧客管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、前記記憶された利用履歴及び端末情報に基づいて家計簿を作成することを特徴とする請求項1又は2に記載の顧客管理システム。
【請求項4】
前記ネットワークと接続される商業施設の少なくとも1つは、給油所であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の顧客管理システム。
【請求項5】
前記識別コードは、前記サービス利用履歴をURL化し、該URLをさらにコード化したものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の顧客管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−168825(P2012−168825A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30325(P2011−30325)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000151346)株式会社タツノ (167)
【Fターム(参考)】