説明

風力洗浄機

【課題】鉱物と土砂を効率よく分離及び選別できるとともに、分離した後に汚濁水等を発生させない風力洗浄機を提供する。
【解決手段】鉱物等の原材料200が投入され、回転軸がほぼ横向きになるように配置されるとともに、内部空間33を有する筒本体30と、筒本体30の一端において、内部空間33に連通して設けられる供給部20と、筒本体30の他端において、内部空間33に連通して設けられる排出部40を有する回転ドラム10と、回転ドラム10のうち少なくとも筒本体30を回転可能に支持するドラム回転装置と、筒本体30の内部空間33内に圧縮空気を噴射する空気噴射装置60と、を備える風力洗浄機1とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱物に付着した土砂等を風力により剥離、分離する風力洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石等の鉱物やコンクリート片の表面に、土砂が付着している場合、洗浄機で加水しながら土砂同士の摩擦により鉱物等の表面に付着した土砂を剥離する装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−254063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した特許文献1に開示されている発明は、洗浄機により鉱物等から土砂を剥離した後に汚濁水が生成されるという問題があった。これにより、特許文献1に開示されている発明では、処理後の汚濁水を処理するのに多大な労力と処理コストがかかってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、鉱物に付着した土砂等を風力により分離する風力洗浄機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者の鋭意研究により、上記目的は以下の手段によって達成される。
【0007】
即ち、上記目的を達成する本発明は、回転軸がほぼ横向きになるように配置されるとともに、内部に原材料が投入される回転ドラムと、前記回転ドラムを回転可能に支持するドラム回転装置と、前記回転ドラム内に投入された前記原材料に対して圧縮空気を噴射する空気噴射装置と、を備え、前記回転ドラムは、前記原材料を一時的に貯留する内部空間を有する筒本体、該筒本体の一端側において、前記内部空間に連通して設けられるとともに、前記内部空間に前記原材料を供給する供給部、前記筒本体の他端側において、前記内部空間に連通して設けられるとともに、前記原材料を処理した後の物質を排出する排出部、を有することを特徴とする風力洗浄機である。
【0008】
また、上記目的を達成する風力洗浄機は、前記筒本体の前記内部空間内において、前記原材料に対して液体を噴射する液体噴射装置をさらに備えていることを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成する風力洗浄機の前記筒本体は、前記内部空間を形成する外筒と、該外筒の前記内部空間内に設けられる内筒を備えて構成され、前記外筒と前記内筒の間に前記原材料が投入されることを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成する風力洗浄機の前記空気噴射装置は、前記外筒側から前記内筒側に前記圧縮空気を噴射する外側ノズルを備えることを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成する風力洗浄機の前記空気噴射装置は、前記内筒側から前記外筒側に前記圧縮空気を噴射する内側ノズルを備えることを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成する風力洗浄機は、前記筒本体の前記供給部側には、前記筒本体の軸方向に任意の範囲を有する液体噴射領域が形成され、前記液体噴射領域と前記排出部との間には、前記筒本体の軸方向に任意の範囲を有する空気噴射領域が形成され、前記液体噴射装置は、前記液体噴射領域に設けられるとともに、前記空気噴射装置は、前記空気噴射領域に設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成する風力洗浄機の前記液体噴射領域が形成される範囲は、前記空気噴射領域が形成される範囲よりも狭いことを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成する風力洗浄機の前記空気噴射装置は、前記筒本体の下側から前記内部空間方向に向けて、前記圧縮空気を噴射することを特徴とする。
【0015】
また、上記目的を達成する風力洗浄機は、前記筒本体をほぼ密閉状態で覆うように設けられる防塵カバーをさらに備え、前記防塵カバーは、該防塵カバー内の空気を外部に排出する送風機を有し、前記送風機は、粉塵を通さずに空気のみを通すフィルタを介して、前記空気噴射装置から噴射された単位時間当たりの前記圧縮空気の空気量よりも多くの空気を単位時間当たりに外部に排出する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、鉱物と、鉱物に付着した土砂等を風力により剥離、分離する風力洗浄機を提供できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)第1実施形態に係る風力洗浄機の側面図であり、(b)同風力洗浄機の側面から見た断面図である。
【図2】図1(a)(b)の矢視I−I方向から見た風力洗浄機の断面図である。
【図3】同風力洗浄機による鉱物選別方法の流れを示すフロー図である。
【図4】(a)(b)第2実施形態に係る風力洗浄機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1、2を用いて、本発明の第1実施形態に係る風力洗浄機1について説明する。
【0019】
風力洗浄機1は、回転ドラム10と、回転ドラム10の外側に配置される液体噴射装置50と、同じく回転ドラム10の外側に配置される空気噴射装置60と、防塵カバー70を備えて構成されている。防塵カバー70の上面にはブロワ80が設けられている。
【0020】
回転ドラム10は、供給部20、筒本体30、排出部40を備えて構成されている。供給部20及び排出部40は、円筒状の筒本体30の両端に連設して設けられている。筒本体30は、回転軸がほぼ横向きに配置されるとともに、図示しないドラム回転装置により回転可能に支持されている。また、筒本体30は、供給部20及び排出部40に対して相対的に回転できるように設けられている。したがって、本実施形態に係る回転ドラム10は、筒本体30のみが回転軸回りに回転できるようになっており、供給部20及び排出部40は、回転しないように設けられている。また、ほぼ横向きに配置された筒本体30は、供給部20から排出部40に向かって下向きに傾斜(例えば、5〜10°傾斜)するように配置されており、原材料200を供給部20から排出部40方向に転がり落しながら搬送するようになっている。つまり、原材料200は、供給部20側から排出部40側に転がり落ちる間に、後述する空気噴射装置60から噴射される圧縮空気をほぼ全面に吹き付けられ、付着した土砂が万遍無く落とされる。
【0021】
また、筒本体30は、外周が網目状のスクリーンで構成されている。したがって、原材料200から剥離した土砂220は、網目32Bを通り、筒本体30の下側に落下するようになっている(詳細は後述)。この網目の大きさや形状等は、原材料とする鉱物やコンクリート片等の大きさによって適宜変更できるものとする。
【0022】
なお、筒本体30の形状は、円筒形状に限定されるものではなく、四角形や五角形等の多角形形状であっても良く、また楕円形状であっても好ましい。また、筒本体30の形状は、供給部20から排出部40方向に向かって連続的に広がるように設けられる円錐台形状であっても好ましい。
【0023】
また、本実施形態では、筒本体30は、モータ等で構成されるドラム回転装置により軸周りに回転するようになっている。筒本体30の動作は回転するだけでなく、連続的に又は間欠的に振動するように構成されていても好ましい。例えば、筒本体30を回転と共に振動させることによって、原材料200から処理物質(例えば、後述する砂利210や土砂220等)をより効率よく剥離することができる。
【0024】
また、筒本体30の回転軸は、筒本体30の中心を通る軸に限定されるものではなく、中心から外れた位置に回転軸を設けても好ましい。このように、中心軸を筒本体30の中心から外して設けることにより、筒本体30の回転が不均一になり、筒本体30内の原材料200の攪拌を効率よく行うことができ、原材料200から土砂220を剥離し易くすることができる。
【0025】
液体噴射装置50は、筒本体30において、供給部20側に設けられている。液体噴射装置50は、送水ポンプ51と、配水管52と、配水管52を介して送水ポンプ51に配管される液体噴射ノズル54を有して構成されている。筒本体30の下側には、液体噴射ノズル54が筒本体30の周方向に複数(例えば、18個)設けられている。さらに液体噴射ノズル54は、筒本体30の軸方向に複数列(例えば、8列)設けられている。
【0026】
上記により、液体噴射装置50の液体噴射ノズル54は、筒本体30の網目孔32B(詳細は後述)を通して、供給部20から排出部40方向に移動する原材料200に対して液体を噴射することができる。液体噴射ノズル54が配置される筒本体30の軸方向の範囲を液体噴射領域Eと言う。なお、液体噴射ノズル54の数や配置場所は、筒本体30内を搬送される原材料200に万遍無く液体を噴射できる形態であれば、本実施形態に限定されるものではない。例えば、液体噴射ノズル54を内筒36側にも内装し、原材料200を上側と下側の両側から挟み込んで、同時に多方面から液体を噴射するようにしても好ましい。
【0027】
また、液体噴射ノズル54が噴射する液体は、原材料200に付着している土砂220を湿らせ、原材料200の砂利210から土砂220を剥離し易くできるものであれば特に限定されるものではない。例えば、真水や加熱水を用いても良い。また、液体噴射ノズル54が噴射する液体の量は、原材料200に固着した土砂220等を剥離し易くできる量であるとともに、噴射した液体が、土砂220から滴り落ちない程度(つまり土砂220を湿らす程度)であることが望ましい。また、液体噴射ノズル54から噴射される液体の状態は、微量の液体を広範囲に霧状に噴射されることが好ましいが、上記に限定されるものではなく、例えば、シャワー状に噴射するようにしても好ましい。
【0028】
空気噴射装置60は、コンプレッサ61と、空気配管62と、空気配管62を介してコンプレッサ61と配管される外側ノズル64を有して構成されている。外側ノズル64は、根本側よりも先端側の口径が小さくなった高圧ノズル(例えば、ノズル先端部の直径1〜5mm)であり、コンプレッサ61で圧縮された圧縮空気を高圧(例えば、5〜15kg/cm)で噴射できるようになっている。外側ノズル64は、液体噴射領域Eと排出部40の間で、筒本体30の軸方向に複数列(例えば、8列)設けられている。この外側ノズル64が設けられている筒本体30の範囲を空気噴射領域Fという。
【0029】
外側ノズル64は、筒本体30の下側で、筒本体30の周方向に複数(本実施形態では、8個)設けられている(図2(a)参照)。また、外側ノズル64は、筒本体30の鉛直方向の直径の下半分よりも下側で、筒本体30の中心を通る鉛直線を中心として、筒本体30の周方向に左右30〜40°の範囲に設けられている。外側ノズル64は、筒本体30の下側周方向から原材料200に向けて圧縮空気を噴射することで、液体噴射装置50により湿らされて剥離し易くなっている原材料200の表面に付着した土砂220を吹き飛ばすことができる(図2(a)参照)。なお、空気噴射装置60は、圧縮空気に砂や鉄粉などを混ぜて、エアーブラストを行うようにしても好ましい。空気噴射装置60は、砂や鉄粉が混ざった圧縮空気を原材料200に吹き付けることにより、圧縮空気の負圧と砂等の衝撃により原材料200の表面に付着した土砂220を剥離することができる。
【0030】
また、筒本体30の下側から噴射された圧縮空気によって、一部の原材料200は、外筒32と内筒36の間で吹き飛ばされるが、内筒36に衝突して遠くまで飛ばされることはない。したがって、外側ノズル64は、内筒36に衝突した原材料200に対して近くから圧縮空気を噴射することができる。また、吹き飛ばされた原材料200は、内筒36に衝突したり、他の原材料と衝突する。このように、原材料200が内筒36へ衝突したり、他の原材料と衝突することで、圧縮空気やエアーブラストで剥離できない原材料200の土砂220が剥離される(図2(b)参照)。
【0031】
上記のように風力洗浄機1は、筒本体30の空気噴射領域Fにおいて、空気噴射装置60による圧縮空気の風圧(エアーブラストの場合は、風圧及び砂など)によって原材料200に付着した土砂220を剥離することができる。また、風力洗浄機1は、投入空間35において、高圧の圧縮空気を原材料200に吹き付け、原材料200を内筒36へ衝突、又は自重により外筒32に落下させ、原材料200に付着した土砂220を衝撃で剥離させる処理を繰り返す。これによって、風力洗浄機1は、原材料200に固着した土砂220をより確実に、且つ効率的に剥離することができる。
【0032】
また、風力洗浄機1は、筒本体30の回転によって、原材料200を筒本体30の内壁に沿って転がり落すだけでなく、原材料200に圧縮空気を勢いよく吹き付けることで、原材料200が転がり落ちるための付勢力を与える。
【0033】
図1に戻って、風力洗浄機1の供給部20には、ベルトを回転させて、原材料200を搬送するベルトフィーダ100が近設されている。そして、ベルトフィーダ100により搬送された原材料200は、供給部20の投入口22から投入され、供給部20と連設する筒本体30内に供給される。
【0034】
筒本体30は、図1(b)及び図2に示されるように、円筒状の外筒32と、外筒32の内部空間33に、外筒32と同心円状に設けられた内筒36を備えて構成されている。外筒32及び内筒36は、金網で形成されている。つまり、外筒32の外周には複数の網目孔32Bが形成され、内筒36の外周には複数の網目孔36Bが形成されている。外筒32の内壁32Aと内筒36の外壁36Aの間に形成される空間を投入空間35という。供給部20に投入された原材料200は、供給部20に連通する筒本体30の投入空間35に供給される。投入空間35は、内筒36の外壁36Aにより内部空間33の一部を隔離して形成された空間であり、空気噴射装置60により吹き飛ばされた原材料200の飛散範囲を所定の範囲(外筒32と内筒36の間)に規制することができる。これによって、原材料200は、外側ノズル64の近傍でしか飛散することができないようになっている。また、外筒32と内筒36の間の限られた投入空間35内で、原材料200は前述したように反転、横転する。つまり、空気噴射装置60及び空気噴射装置65(詳細は後述)は、原材料200の近くから高圧の圧縮空気を万遍無く確実に当てることができ、原材料200から土砂220を効率よく確実に剥離することができる。
【0035】
外筒32の内壁32Aには、螺旋状に形成された案内板34が、外筒32の軸方向に延在して設けられている(図2では省略)。案内板34は、外筒32の回転に伴って螺旋回転するようになっている。これにより、筒本体30に供給された原材料200は、螺旋回転する案内板34に案内されて、供給部20から排出部40方向に回転と共に均一に搬送される。つまり、風力洗浄機1は、筒本体30の傾斜が小さい場合でも、回転する案内板34によって原材料200を搬送することができる。したがって、風力洗浄機1は、筒本体30の回転速度を制御することにより、原材料200の搬送速度を容易に調整することができる。
【0036】
内筒36の中空部37には、内筒の軸方向、且つ周方向に複数の内側ノズル68が配設されている。内側ノズル68は、空気配管67を介して回転ドラム10の外部に設けられたコンプレッサ66と接続されており、内筒36の網目孔36Bを通して、高圧の圧縮空気(例えば、5〜15kg/cm)を、内筒36方向から外筒32方向に向けて噴射することができる。つまり、内側ノズル68は、投入空間35に投入された原材料200に対し、内筒36側から圧縮空気を噴射し、原材料200の表面に付着した土砂220を吹き飛ばすことができる。内側ノズル68による圧縮空気の噴射は、筒本体30の回転で反転しないような大きな原材料に対し、外側ノズル64の圧縮空気が届かない内筒36側の土砂を剥離する場合、特に有効となる。
【0037】
内側ノズル68は、固定部材69に配置されている。固定部材69は、筒状部材であり、両端側が防塵カバー70に固定され、内筒36の中空部37に挿通して設けられている。したがって、内側ノズル68は、筒本体30から独立して設けられ、筒本体30と共に回転しないようになっている。
【0038】
なお、内側ノズル68の噴射位置は、外側ノズル64の噴射位置と対向しないようにずらして設けられている。これによって、外側ノズル64からの圧縮空気と内側ノズル68からの圧縮空気が互いに衝突して、風圧を相殺しないようになっている。
【0039】
また、内側ノズル68は、根元部側に対して先端部側の直径(例えば、ノズル先端部の直径1〜5mm)が小さくなっているので、コンプレッサ66で発生した圧縮空気を高速で原材料200に噴射することができる。
【0040】
上記のように内側ノズル68は、内筒36の軸方向に一定の距離を有して設けられるとともに、内筒36の周方向に複数設けられている。したがって、内側ノズル68は、案内板34によって攪拌されながら軸方向に移動する原材料200に、多方向から連続的に圧縮空気を吹き付けることができ、原材料200から土砂220を効率よく剥離することができる。
【0041】
つまり、本実施形態では、圧縮空気を噴射するノズルは、原材料200に対して、下側から上側に吹き付ける外側ノズル64と、上側から下側に噴射する内側ノズル68を有し、原材料200を上下の両方向から挟み込むように多方向からほぼ同時に噴射するようになっている。したがって、外側ノズル64及び内側ノズル68は、原材料200に対して万遍無く圧縮空気を噴射することができ、原材料200から土砂220を効率よく剥離する。また、原材料200は、外側ノズル64、内側ノズル68から噴射された圧縮空気で内筒36又は外筒32の両側に吹き飛ばされて、外筒32、内筒36又は他の原材料200と衝突することにより、衝突の衝撃で土砂220が剥離される。
【0042】
なお、外側ノズル64と内側ノズル68の圧縮空気の噴射は、交互に行うようにしても好ましい。つまり、外側ノズル64から噴射された圧縮空気により内筒36側に吹き飛ばされた原材料200は、連続して内側ノズル68から噴射された圧縮空気により外筒32側に吹き飛ばされる。これを連続して行うことにより、原材料200は、内筒36又は外筒32への衝突の際に、より大きな衝撃力を受け、自身に固着した土砂220を剥離される。
【0043】
図1に戻って、排出部40は、供給部20と反対側で、筒本体30の空気噴射領域Fの後段に設けられている。排出部40は、液体噴射領域E及び空気噴射領域Fを通過し、原材料200から土砂220が剥離された後の砂利210(処理物質)を風力洗浄機1外部に排出する、排出口42が設けられている。なお、排出口42の下側には、ベルトフィーダ150が設けられている。排出口42から排出された砂利210は、ベルトフィーダ150により所定の場所に搬送されるようになっている。
【0044】
また、風力洗浄機1は、回転ドラム10を防塵カバー70で覆っている。防塵カバー70は、カバー本体72と、カバー本体72の上部に形成されたブロワ取付部74と、カバー本体72の底面に受け面76を有している。カバー本体72は、回転ドラム10の全体を覆うように設けられた箱形のカバー部材である。カバー本体72は、回転ドラム10を含め、回転ドラム10の外側の一定の空間をほぼ密閉状態にすることができ、回転ドラム10から発生した粉塵を外部に排出するのを防止できるようになっている。
【0045】
ブロワ取付部74には、少なくとも空気噴射装置から筒本体30に噴射され圧縮空気に相当する量の空気を外部に排出するブロワ80が取り付けられている。ブロワ80は、カバー本体72の内部の空気を外部に排出する送風機である。なお、ブロワ取付部74又はブロワ80には、フィルタ75が設けられている。フィルタ75は、原材料200から土砂220等を剥離する処理の際に発生する粉塵は通さずに、空気のみを通すことができる。
【0046】
したがって、防塵カバー70及びブロワ80は、筒本体30において、原材料200から土砂220を剥離する際に舞い上がる粉塵を風力洗浄機1の外側に排出することなく、周囲の作業環境を改善することができる。なお、防塵カバー70は、原材料200から土砂220を剥離する際に発生する粉塵を風力洗浄機1の外部に排出しないようにできれば良く、必ずしも回転ドラム10全体を覆う必要は無い。例えば、防塵カバー70は、少なくとも、原材料200から土砂220を剥離する筒本体30の空気噴射領域Fを覆うことができるようになっていれば良い。
【0047】
また、受け面76は、筒本体30の空気噴射領域Fの下側で、防塵カバー70の底面に設けられている。受け面76は、開閉可能な板状部材から構成されている。したがって、受け面76に一定の土砂220が堆積した場合、風力洗浄機1を停止して、受け面76を開いて土砂220を取り出す。その後、受け面76を閉じて防塵カバー70内を密閉し、風力洗浄機1を再稼働させる。このようにすることにより、粉塵を粉塵カバー70の外部に出さずに、土砂220を外部に排出することができる。
【0048】
なお、ブロワ80は、空気噴射装置60及び65から噴射される単位時間当たりの圧縮空気の空気量よりも多くの空気量を、同じ単位時間当たりに排出できるものであることが好ましい。つまり、ブロワ80は、防塵カバー70内に噴射される圧縮空気の空気量よりも多くの空気を排出することによって、外部の圧力よりも防塵カバー70内の圧力を低圧状態にすることができる。このようにすることによって、回転ドラム10は、投入口22や排出口42から外部の空気を吸引する状態となり、防塵カバー70内の粉塵を投入口22や排出口42を通して外部に排出しないようになっている。
【0049】
なお、防塵カバー70は、回転ドラム10とは独立して設けられ、自身は回転しないようになっている。
【0050】
また、本実施形態では、筒本体30は、外筒32と同心円状に設けられた内筒36を設ける構造としたが、原材料200の飛散範囲を規制できるものであれば、これに限定されるものではない。例えば、外筒32の内部空間33に1又は複数枚の板を配置しても良い。例えば、外側ノズルの圧縮空気により原材料200が吹き飛ばされた場合、原材料200は、広い内部空間33内を自在に飛散せず、板に当たって止る。したがって、外側ノズル64は、原材料200の近傍から圧縮空気を噴射することができ、原材料200の表面に付着した土砂220を効果的に剥離することができる。また、原材料200が板に当たった時の衝撃で、表面に付着した土砂220が剥離される。
【0051】
また、本実施形態では、内筒36には、空気噴射装置65の内側ノズル68のみを配置する構造とし、コンプレッサは内筒36の外部に設けているが、これに限定されるものではない。例えば、空気噴射装置65のコンプレッサ66を内筒36に内装することにより、空気配管67の配管距離を短くすることができ、これにより圧縮空気の制御レスポンスの向上と配管コストの削減ができる。
【0052】
また、本実施形態では、空気噴射装置60のコンプレッサ61と空気噴射装置65のコンプレッサ66を別個に設け、外側ノズル64と内側ノズル68の圧縮空気の吐出圧力をそれぞれ個別に制御できるようにしている。しかし、コンプレッサ61と、コンプレッサ65は、共通に使用しても良い。コンプレッサを共通にすることにより、圧力制御を共通にすることができ、制御装置の簡素化、設備コストの削減を行うことができる。
【0053】
次に、風力洗浄機1による鉱物選別方法の流れについて説明する。鉱物選別方法の流れのフロー図を図4に示す。
【0054】
まず、ステップS110では、ベルトフィーダ100により原材料(鉱物)の投入処理を行う。具体的には、ベルトフィーダ100を駆動し、ベルトフィーダ100の上に載置されている原材料200を、投入口22から風力洗浄機1の供給部20に投入する。
【0055】
次に、筒本体30の回転を行い、筒本体30内に投入された原材料200を、案内板34に沿って液体噴射領域Eまで搬送する。
【0056】
そして、ステップS120では、液体噴射領域Eに搬送された原材料200に対して、液体噴射装置50の液体噴射ノズル54から液体(水)を噴射する。なお、原材料200に対する液体の噴射は、原材料200に付着している土砂220が湿る程度に行うことが好ましい。
【0057】
そして、筒本体30を、そのまま回転させ、液体を噴射した後の原材料200を空気噴射領域Fまで搬送する。
【0058】
ステップS130では、空気噴射領域Fに搬送された原材料200に対して、空気噴射装置60の外側ノズル64、空気噴射装置65の内側ノズル68により圧縮空気を噴射し、原材料200から土砂220を剥離する。
【0059】
そして、原材料200から剥離した土砂220は、外筒32の網目孔32Bから落下して、受け面76で集められる。そして、原材料200から土砂220を剥離した後の砂利210は、そのまま搬送され、排出部40の排出口42から外部に排出される(ステップS140の排出処理)。
【0060】
上記のステップS110〜S140が連続的に行われることによって、原材料200から砂利210と土砂220に分離できる。
【0061】
上記のように、風力洗浄機1は、供給部20と、排出部40と、筒本体30を有し、少なくとも筒本体10を軸周りに回転可能に支持するドラム回転装置と、供給部20の後に圧縮空気を噴射する空気噴射装置60を備え、供給部20から筒本体30内に投入された原材料200に対して、圧縮空気を高圧で噴射することにより、原材料200に固着した土砂220を剥離するようにした。これによって、単に原材料を攪拌する場合に比べ、原材料に固着した土砂を効率よく剥離させることができる。また、ほぼ乾いた状態で原材料200から土砂220を剥離できるので、剥離された土砂をそのまま後処理に送ることができ、処理費用の低減を図ることができる。
【0062】
また、風力洗浄機1は、筒本体30の内部には螺旋状の案内板34を設け、筒本体30の回転とともに、案内板34が螺旋回転するように設けた。これにより、筒本体30に投入された原材料200を案内板34で軸方向に搬送すると同時に攪拌することができる。原材料200が筒本体30内で攪拌されることにより、原材料200に固着した土砂220が剥離し易くなるとともに、圧縮空気を原材料200に多方面から高圧で当てることができ、原材料200から土砂220をより効率的に剥離することができる。
【0063】
また、風力洗浄機1は、筒本体30の供給部20の後で、空気噴射装置60の前に液体噴射装置50を設けた。これにより、液体噴射装置50は、供給部20から投入された原材料200に固着した土砂220を湿らせ、後行程で行われる空気噴射装置60による圧縮空気の噴射により、原材料200から土砂220を剥離し易くすることができる。
【0064】
また、風力洗浄機1は、筒本体30は、外筒32と、外筒32の内部空間33において、外筒32と同心円状に設けられた内筒36を備えた2重筒構造となっている。つまり、外筒32と内筒36の間には、内部空間33よりも狭い投入空間35が形成される。これにより、空気噴射装置60によって、外筒32の外側から圧縮空気を噴射された原材料200は、外筒32と内筒36の間(投入空間35)で飛散する。飛散した原材料200は、内筒36に当たって止まる。したがって、空気噴射装置60は、原材料200の比較的近くから圧縮空気を噴射することができ、原材料200に付着した土砂220を剥離し易くなる。
【0065】
また、飛散した複数の原材料200は、狭い投入空間35内で互いに衝突することにより、自身に固着した土砂220を効率よく短時間で剥ぎ落すことができる。また、投入空間35内に飛散した原材料200は、外筒32の内壁32Aや内筒36の外壁36Aに衝突することによっても、自身に固着した土砂220を剥ぎ落すことができる。
【0066】
また、風力洗浄機1は、空気噴射装置60の外側ノズル64は、筒本体30の全周の半分よりも下側から、筒本体30の径方向に向けて配設されている。これにより、投入空間35内の原材料200に圧縮空気を当てて、付着した土砂220を剥離すことができる。また、空気噴射装置60により下側から吹き飛ばされた原材料200は、上側に配設される外筒32の内壁32Aに衝突するとともに、その後、自重によって落下するようになっている。これを連続的に繰り返すことにより、原材料200から土砂220が剥離された後に残る砂利210は、外筒32の内壁32Aの下側に堆積して案内板34により搬出部40側に搬送され、剥離した土砂220は、外筒32の網目孔32Bから筒本体30の外側に落下するようになっている。
【0067】
また、風力洗浄機1は、筒本体30に対して空気噴射装置60が配置されている空気噴射領域Fは、液体噴射装置50が配置されている液体噴射領域Eよりも軸方向に広範囲に設けられている。つまり、液体噴射装置50により、僅かな量の液体を原材料200に染み込ませることで、原材料200に付着している土砂220を湿らせ、剥離し易くすることができる。また、その後、液体噴射装置50よりも広範囲に設けられた空気噴射装置60により、多方面から広範囲に圧縮空気を原材料200に吹き付けることによって、原材料200から土砂220を確実に且つ効率よく剥離することができる。また、原材料200に噴射される液体の量は非常に少ないため、原材料に固着した土砂から液体が流れ出ないようになっている。したがって、例えば、原材料に固着している土砂に有害物質が含まれている場合、有害物質を含む汚染廃液を発生させないので、汚染廃液の処理等をしなくて済むという効果がある。
【0068】
また、風力洗浄機1は、内筒36の内部から外筒32の内壁32A方向に向けて配置される、内側ノズル68を備えている。つまり、内側ノズル68は、外側ノズル64の反対側となる原材料200の上側から圧縮空気を吹き付けることができ、原材料200の上側に付着した土砂220を吹き飛ばすことができる。
【0069】
また、風力洗浄機1は、空気噴射領域Fを有する筒本体30を密閉する防塵カバー70が設けられている。これによって、空気噴射領域Fで、原材料200から土砂220を剥離する際に発生する粉塵を、筒本体30の周囲から外側に排出しないようになっている。したがって、風力洗浄機1の作業環境を向上することができるとともに、粉塵に有害物質等が含まれている場合、有害物質を含む粉塵が外部に拡散するのを防止することができる。
【0070】
また、風力洗浄機1は、防塵カバー70内の空気を外部に排出するブロワ80が、防塵カバー70に設けられている。また、ブロワ80又はブロワ80に対応する位置の防塵カバー70には、粉塵は通さずに、空気のみを通すフィルタ75が設けられている。したがって、ブロワ80は、防塵カバー70内の空気のみを外部に排出することができる。
【0071】
また、ブロワ80は、防塵カバー70内の空気を外部に排出する単位時間当たりの排出量は、空気噴射装置60及び65により防塵カバー70内に噴射される単位時間当たりの圧縮空気の空気量よりも大きくなっている。これにより、ブロワ80は、外側の気圧よりも防塵カバー70内の圧力を低圧状態にすることで、投入口22や排出口42から粉塵が外部に漏れるのを防止することができる。
【0072】
また、防塵カバー70には、原材料200から剥離した土砂220を受けるとともに、開閉可能な受け面76を備えている。これにより、受け面76は、土砂220を一時的に貯留するとともに、所定のタイミングで外部に排出することができる。
【0073】
なお、本実施形態では、外側ノズル64及び内側ノズル68を備え、原材料200の下側と上側から圧縮空気を噴射して、原材料200から土砂220を効率よく剥離するようにしている。しかし、図4に示される、第2実施形態のように、外側ノズル64のみ備えるようにしても良い。外側ノズル64は、原材料200の所定の表面に対して圧縮空気を噴射する。圧縮空気の風力によって、所定の表面に付着している土砂220が剥離される。そして、筒本体30の回転により、原材料200の方向が変わり、上記の所定の表面と異なる表面が、外側ノズル64側となる。そして、外側ノズル64は、原材料200の先ほどと異なる表面に対して圧縮空気を噴射して、表面に付着している土砂220を剥離することができる。上記の処理を、原材料200が案内板34により攪拌及び案内されて、空気噴射領域Fを通過する間、軸方向に配置された複数の外側ノズル64で連続して行う。これにより、外側ノズル64は、原材料200のほぼ全表面に圧縮空気を噴射することができ、表面に付着した土砂220を剥離することができる。もちろん、上記と同様な理由により、内側ノズル68だけ備えるようにしても良いことは言うまでもない。
【0074】
なお、原材料200に付着した土砂220が乾燥し、協力に付着している場合、本実施形態で示したように、原材料200に圧縮空気を噴射する前に、液体噴射装置50で原材料200に付着した土砂220を湿らせることによって、原材料200から土砂220を剥離し易くするのが特に有効である。しかし、例えば、原材料200に付着している土砂220が既に湿っている場合など、外側ノズル64(又は内側ノズル68)から噴射される圧縮空気だけで、原材料200から土砂220を十分剥離できる場合は、上記の液体噴射装置50を設ける必要はない。
【0075】
また、本実施形態では、外側ノズル64は、筒本体30の中心を通る鉛直線に対して、筒本体30の周方向に左右約30〜40°の範囲で設ける構造とした。しかし、外側ノズル64の配置は、これに限定されるものではなく、例えば、筒本体30の下側の同一面上に、複数の外側ノズルを設けても良い。
【0076】
また、本実施形態では、鉱物やコンクリート片を風力洗浄する例を示したが、原材料は、これに限定されるものではない。例えば、風力洗浄機は、採掘場で採取した土砂に混じった木材やガラス材などを風力洗浄する場合にも、利用することができる。
【0077】
尚、本発明の風力洗浄機は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の風力洗浄機は、鉱物に付着した土砂等を風力により分離する風力洗浄機の分野に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 風力洗浄機
10 回転ドラム
20 投入部
30 筒本体
32 外筒
36 内筒
40 排出部
50 液体噴射装置
60、65 空気噴射装置
70 防塵カバー
80 ブロワ
100、150 ベルトフィーダ
E 液体噴射領域
F 空気噴射領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸がほぼ横向きになるように配置されるとともに、内部に原材料が投入される回転ドラムと、
前記回転ドラムを回転可能に支持するドラム回転装置と、
前記回転ドラム内に投入された前記原材料に対して圧縮空気を噴射する空気噴射装置と、
を備え、
前記回転ドラムは、
前記原材料を一時的に貯留する内部空間を有する筒本体、該筒本体の一端側において、前記内部空間に連通して設けられるとともに、前記内部空間に前記原材料を供給する供給部、前記筒本体の他端側において、前記内部空間に連通して設けられるとともに、前記原材料を処理した後の物質を排出する排出部、
を有することを特徴とする風力洗浄機。
【請求項2】
前記筒本体の前記内部空間内において、前記原材料に対して液体を噴射する液体噴射装置をさらに備えていることを特徴とする、
請求項1に記載の風力洗浄機。
【請求項3】
前記筒本体は、前記内部空間を形成する外筒と、該外筒の前記内部空間内に設けられる内筒を備えて構成され、
前記外筒と前記内筒の間に前記原材料が投入されることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の風力洗浄機。
【請求項4】
前記空気噴射装置は、前記外筒側から前記内筒側に前記圧縮空気を噴射する外側ノズルを備えることを特徴とする、
請求項3に記載の風力洗浄機。
【請求項5】
前記空気噴射装置は、前記内筒側から前記外筒側に前記圧縮空気を噴射する内側ノズルを備えることを特徴とする、
請求項3又は4に記載の風力洗浄機。
【請求項6】
前記筒本体の前記供給部側には、前記筒本体の軸方向に任意の範囲を有する液体噴射領域が形成され、
前記液体噴射領域と前記排出部との間には、前記筒本体の軸方向に任意の範囲を有する空気噴射領域が形成され、
前記液体噴射装置は、前記液体噴射領域に設けられるとともに、前記空気噴射装置は、前記空気噴射領域に設けられていることを特徴とする、
請求項2に記載の風力洗浄機。
【請求項7】
前記液体噴射領域が形成される範囲は、前記空気噴射領域が形成される範囲よりも狭いことを特徴とする、
請求項6に記載の風力洗浄機。
【請求項8】
前記空気噴射装置は、前記筒本体の下側から前記内部空間方向に向けて、前記圧縮空気を噴射することを特徴とする、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の風力洗浄機。
【請求項9】
前記筒本体をほぼ密閉状態で覆うように設けられる防塵カバーをさらに備え、
前記防塵カバーは、該防塵カバー内の空気を外部に排出する送風機を有し、
前記送風機は、粉塵を通さずに空気のみを通すフィルタを介して、前記空気噴射装置から噴射された単位時間当たりの前記圧縮空気の空気量よりも多くの空気を単位時間当たりに外部に排出する、ことを特徴とする、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の風力洗浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−98307(P2011−98307A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255632(P2009−255632)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(509309879)株式会社イマギイレ (1)
【Fターム(参考)】