説明

風力発電装置

【課題】発電時の振動を低減できる、風力発電装置を提供する。
【解決手段】風力発電装置1では、ステータ12は、複数のU相巻線、V相巻線およびW相巻線を有し、支持軸11に固定的に設けられている。一方、ロータ13は、永久磁石を有し、支持軸11に対して支持軸11の中心軸線Cを中心に回転可能に設けられている。ロータ13の周囲には、ロータ13からロータ13の回転半径方向に間隔を空けて、3枚のブレード32が支持軸11の中心軸線Cを中心とする等角度間隔で設けられている。そして、ロータ13とブレード32とは、ロータ13から各ブレード32に向けて延びるアーム33によって連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直軸風車を用いた風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電用の風車は、風向き(風の流れ)に対して回転軸が水平に延びる水平軸風車と、風向きに対して回転軸が垂直に延びる垂直軸風車とに大別される。
【0003】
水平軸風車は、変化する風向きに対して回転軸を常に水平に保たなければならないため、その方向を制御する機構が必要になる。これに対し、垂直軸風車は、風向きに対する方向の制御が不要であり、小型かつ軽量に設計することができるうえ、季節や時間帯で風向きが変動する日本の風況に適しているとして、とくに日本国内で注目を集めている。
【0004】
図5は、従来の垂直軸風車を採用した風力発電装置の側面図である。
【0005】
風力発電装置101は、鉛直方向に延びる支柱102と、支柱102の上端部に設けられた発電機103と、発電機103に結合された垂直軸風車104とを備えている。
【0006】
発電機103は、ステータおよびロータを備える三相交流発電機である。ステータは、支柱102に対して相対回転不能に設けられている。ステータからその回転軸線に沿って上方に支持軸(図示せず)が延びており、ロータは、ハウジング105内で、その支持軸に対して回転可能に設けられている。
【0007】
垂直軸風車104は、発電機103のロータから支柱102の中心軸線に沿って上方に延びる回転軸106と、回転軸106の周囲に等角度間隔(120°間隔)で設けられた3枚のブレード107と、回転軸106と各ブレード107とを連結するアーム108とを備えている。
【0008】
ブレード107は、鉛直方向に延びる直線翼である。
【0009】
アーム108は、各ブレード107に対して2本設けられている。各ブレード107に対する2本のアーム108は、それぞれ回転軸106の上端部および下端部に接続され、互いに平行をなして水平に延びている。そして、2本のアーム108の先端部は、ブレード107に接続されている。これにより、ブレード107は、2本のアーム108を介して、回転軸106に連結されている。
【0010】
垂直軸風車104が風力によって回転すると、発電機103のロータが垂直軸風車104の回転軸106と一体的に回転し、電磁誘導により、発電機103のステータに設けられた各相巻線に交流電流が流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−206849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
垂直軸風車104の回転時には、ブレード107が風を受けるので、各ブレード107に接続された2本のアーム108の先端部が回転力の作用点となる。一方、垂直軸風車104の支点は、回転軸106の下端部の1点であり、各作用点から最も離れた部分にある。
【0013】
そのため、垂直軸風車104の回転時、つまり発電時に、回転軸106の下端部に過大な荷重が加わり、支柱102および回転軸106などが振動し、また、垂直軸風車104の回転数によっては、支柱102と回転軸106との共振が生じる。その結果、振動による騒音やロータを回転可能に保持するベアリングにおけるフレッティング摩耗などの問題が生じる。
【0014】
本発明の目的は、発電時の振動を低減できる、風力発電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の目的を達成するため、本発明に係る風力発電装置は、支持軸と、前記支持軸の周囲で前記支持軸の周方向に並べられた複数の巻線を有し、前記支持軸に固定的に設けられた固定子と、前記支持軸に対して前記支持軸の中心軸線を中心に回転可能に設けられ、その回転に伴って前記複数の巻線と順次に対向する永久磁石を有する回転子と、前記回転子の周囲に前記回転子から前記回転子の回転半径方向に間隔を空けて、前記支持軸の前記中心軸線を中心とする等角度間隔で設けられ、それぞれ前記中心軸線に沿う方向に延びる複数のブレードと、前記回転子から各ブレードに向けて延び、前記回転子と各ブレードとを連結するためのアームとを含む。
【0016】
この風力発電装置では、固定子(ステータ)は、複数の巻線を有し、支持軸に固定的に設けられている。複数の巻線は、支持軸の周囲で支持軸の周方向に並べられている。一方、回転子(ロータ)は、永久磁石を有し、支持軸に対して支持軸の中心軸線を中心に回転可能に設けられている。回転子の回転に伴って、永久磁石が複数の巻線と順次に対向し、各巻線に誘導電流が流れる。
【0017】
回転子の周囲には、回転子から回転子の回転半径方向に間隔を空けて、複数のブレードが支持軸の中心軸線を中心とする等角度間隔で設けられている。そして、回転子とブレードとは、回転子から各ブレードに向けて延びるアームによって連結されている。
【0018】
この構成では、図5に示される回転軸106に相当する部材が存在しないので、支持軸が支柱の上端部に固定されても、ブレードおよびアームと一体的に回転子が回転する時、つまり発電時に生じる支柱の振動を低減でき、また、支柱とその他の部材との共振が生じることを防止できる。その結果、振動による騒音を低減することができる。また、振動による各部の摩耗を防止することができる。たとえば、支持軸と回転子との間にベアリングが介在される場合、そのベアリングにおけるフレッティング摩耗を防止することができる。
【0019】
また、図5に示される回転軸106に相当する部材が不要であるので、図5に示される構成と比較して、その分のコストを低減することができる。
【0020】
回転子に対して中心軸線に沿う方向の一方側および他方側にベース板が設けられ、各ベース板が回転子に固定されていてもよい。そして、各ブレードに対して2本のアームが設けられて、そのうちの一方のアームは、基端部が一方側のベース板に固定され、ブレードに向けて一方側に傾斜して直線的に延び、先端部がブレードに固定されており、他方のアームは、基端部が他方側のベース板に固定され、ブレードに向けて他方側に傾斜して直線的に延び、先端部がブレードに固定されていてもよい。
【0021】
この場合、各ブレードに対する2本の各アームの基端部から当該アームに沿ってベース板側に延ばした直線が支持軸の中心軸線上かつ回転子の中心軸線に沿う方向の中央で交差するように、その2本のアームが延びていることが好ましい。言い換えれば、各ブレードに対する2本の各アームの基端部から当該アームに沿って延ばした直線の交点が回転子の重心と一致するように、その2本のアームが延びていることが好ましい。
【0022】
これにより、ブレードおよびアームと一体的に回転子が回転するときに、回転子に生じる応力のバランスを保つことができる。その結果、回転子の回転時の振動を低減することができる。
【0023】
また、回転子に対して中心軸線に沿う方向の一方側のみにベース板が設けられ、そのベース板が回転子に固定されていてもよい。そして、各ブレードに対して2本のアームが設けられて、そのうちの一方のアームは、基端部がベース板に固定され、ブレードに向けて一方側に傾斜して直線的に延び、先端部がブレードに固定されており、他方のアームは、基端部がベース板に固定され、ブレードに向けて他方側に傾斜して直線的に延び、先端部がブレードに固定されていてもよい。
【0024】
この構成では、ベース板が1枚でよいので、回転子に対して支持軸の中心軸線に沿う方向の一方側および他方側にそれぞれベース板が設けられる構成と比較して、コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、発電時に生じる振動を低減できる。その結果、振動による騒音を低減することができる。また、振動による各部の摩耗を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る風力発電装置の使用状態における側面図である。
【図2】図2は、風力発電装置の断面図である。
【図3】図3は、風力発電装置の要部の分解断面図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施形態に係る風力発電装置の要部の断面図である。
【図5】図5は、従来の垂直軸風車を採用した風力発電装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る風力発電装置の使用状態における側面図である。
【0029】
風力発電装置1は、鉛直方向に延びる略円筒状の支柱2の上端部に取り付けられて、屋外で使用される。
【0030】
図2は、風力発電装置の断面図である。図3は、風力発電装置の要部の分解断面図である。
【0031】
風力発電装置1は、略円筒状の支持軸11と、支持軸11に固定的に設けられたステータ12と、支持軸11に対して支持軸11の中心軸線Cを中心に回転可能に設けられたロータ13と、支持軸11を支柱2(図1参照)の上端部に固定するための固定部材14とを備えている。
【0032】
支持軸11は、その中心軸線Cが鉛直方向に延びている。
【0033】
ステータ12は、支持軸11の上端から少し下方の位置に設けられ、全体として支持軸11の周囲を取り囲む略円環板状(フランジ状)をなしている。ステータ12には、それぞれ複数のU相巻線、V相巻線およびW相巻線(いずれも図示せず)が支持軸11の周方向に並べて設けられている。
【0034】
ロータ13は、たとえば、上下2つに分割して構成されている。そして、ロータ13は、その2つの分割部分が互いに結合した状態で、ステータ12を包囲するように設けられ、扁平な略円環板状をなしている。より具体的には、ロータ13は、2つの分割部分が違いに結合した状態で、支持軸11の周囲を取り囲む円筒状の円筒部15と、円筒部15の上下方向の中央部から周囲に張り出すフランジ状の本体部16とを有している。ロータ13の上下方向の中央部には、円筒部15の内周面から本体部16の径方向の途中部に至るスペース17が形成されており、ロータ13は、そのスペース17に収容されている。
【0035】
円筒部15には、スペース17の上方および下方に、それぞれ円筒部15の内周面から径方向に窪む凹部18が形成されている。各凹部18には、ベアリング19が収容されている。ベアリング19の内輪の内周面は、円筒部15の内周面とほぼ段差なく連続しており、ベアリング19の内輪は、支持軸11に相対回転不能に外嵌されている。
【0036】
本体部16には、複数の永久磁石(図示せず)がロータ13の回転に伴ってU相巻線、V相巻線およびW相巻線と順次に対向するように設けられている。
【0037】
固定部材14は、略円筒状の挿入部20と、挿入部20の周囲に張り出すフランジ状のフランジ部21とを一体的に有している。
【0038】
挿入部20は、支持軸11の外径とほぼ等しい内径を有している。挿入部20には、支持軸11の下端部が上方から挿入されて、ねじ22(図3参照)により、その支持軸11の下端部が固定されている。
【0039】
また、挿入部20は、支柱2の外径よりやや大きい内径を有している。風力発電装置1が支柱2に取り付けられるときには、図1に示されるように、挿入部20の下端部が支柱2の上端部に上方から冠着される。そして、フランジ部21が支柱2の上端に当接した状態で、ねじ(図示せず)により、挿入部20が支柱2に対して固定される。これにより、支持軸11が固定部材14を介して支柱2に対して相対回転不能に固定される。
【0040】
風力発電装置1は、1対(2枚)のベース板31、3枚のブレード32、6本のアーム33、各アーム33をベース板31に連結するための6個の基端側連結部材34および各アーム33をブレード32に連結するための6個の先端側連結部材35をさらに備えている。
【0041】
ベース板31は、ロータ13とほぼ同じ外径の略円板状をなし、ロータ13の上下にそれぞれ設けられている。上側のベース板31は、図2に示されるように、平面視でロータ13と同じ位置に配置されて、ロータ13の円筒部15に上方から当接した状態で、ねじ36でロータ13に固定されている。下側のベース板31は、図2に示されるように、平面視でロータ13と同じ位置に配置されて、ロータ13の円筒部15に下方から当接した状態で、ねじ37でロータ13に固定されている。
【0042】
3枚のブレード32は、ロータ13の周囲にロータ13から水平方向(ロータ13の回転半径方向)に間隔を空けて、支持軸11の中心軸線(ロータ13の回転軸線)を中心とする等角度間隔(120°間隔)で設けられている。各ブレード32は、CFRP(carbon fiber reinforced plastics)からなり、鉛直方向に延びる略長方形板状の中空体に形成されている。
【0043】
アーム33は、図1に示されるように、各ブレード32に対して2本設けられている。各ブレード32に対する2本のアーム33は、それぞれ上側のベース板31とブレード32との間および下側のベース板31とブレード32との間で直線状に延びている。具体的には、上側のアーム33は、上側のベース板31の近傍からブレード32に向かって、水平面(支持軸11の中心軸線Cと直交する平面)に対して上方に約26°の傾斜角で傾斜して延びている。下側のアーム33は、下側のベース板31の近傍からブレード32に向かって、水平面に対して下方に約26°の傾斜角で傾斜して延びている。
【0044】
基端側連結部材34は、アーム33と同じ幅を有する細長い板状部材を途中部で屈曲させて形成されており、図2に示されるように、ベース板31の表面(上面または下面)に沿って延びるベース板側部分38およびアーム33に沿って延びるアーム側部分39を一体的に有している。
【0045】
ベース板側部分38が上側のベース板31の上面に接した状態で、ベース板側部分38がベース板31にボルト40およびナット41で固定され、アーム側部分39がアーム33の下面に接した状態で、アーム側部分39がアーム33にボルト42およびナット43で固定されることにより、アーム33の基端部が上側のベース板31に基端側連結部材34を介して連結固定されている。
【0046】
また、ベース板側部分38が下側のベース板31の下面に接した状態で、ベース板側部分38がベース板31にボルト44およびナット45で固定され、アーム側部分39がアーム33の上面に接した状態で、アーム側部分39がアーム33にボルト46およびナット47で固定されることにより、アーム33の基端部が下側のベース板31に基端側連結部材34を介して連結固定されている。
【0047】
上側のベース板31に固定される基端側連結部材34と下側のベース板31に固定される基端側連結部材34とは、平面視で互いに重なるように配置されている。これにより、各ブレード32に対する2本のアーム33は、平面視で互いに重なり、水平面に対してそれぞれ上方および下方に同じ傾斜角度で傾斜して延びている。そして、図2に示されるように、各アーム33の基端部からアーム33に沿ってベース板31側に延ばした直線L1,L2が中心軸線C上かつロータ13の上下方向の中央で交差するように、水平面に対するアーム33の傾斜角度が設定されている。
【0048】
先端側連結部材35は、アーム33と同じ幅を有する細長い板状部材を途中部で屈曲させて形成されており、アーム33に沿って延びるアーム側部分48および水平面に沿って延びる水平部分49を一体的に有している。
【0049】
アーム側部分48が上側のアーム33の下面に接した状態で、アーム側部分48がアーム33にボルト50およびナット51で固定され、水平部分49がブレード32に突設された接続板52の下面に接した状態で、水平部分49が接続板52にボルト53およびナット54で固定されることにより、上側のアーム33がブレード32に先端側連結部材35を介して連結固定されている。
【0050】
また、アーム側部分48が下側のアーム33の上面に接した状態で、アーム側部分48がアーム33にボルト55およびナット56で固定され、水平部分49がブレード32に突設された接続板57の下面に接した状態で、水平部分49が接続板57にボルト58およびナット59で固定されることにより、下側のアーム33がブレード32に先端側連結部材35を介して連結固定されている。
【0051】
ブレード32に突設された接続板52,57は、ブレード32の上下方向の中央に対してそれぞれ上方および下方に等間隔を空けた位置に配置されている。これにより、各ブレード32に関して、ブレード32、アーム33、基端側連結部材34、先端側連結部材35および接続板52,57を含む構造物は、上下対称の構成を有している。また、ブレード32の上下方向の中央は、ロータ13の上下方向の中央と上下方向の位置がほぼ一致している。
【0052】
ブレード32が風を受けると、各ブレード32とアーム33を介して連結されたロータ13が回転する。ロータ13が回転すると、その回転に伴って、ロータ13に保持された永久磁石がステータ12のU相巻線、V相巻線およびW相巻線と順次に対向し、U相巻線、V相巻線およびW相巻線に電磁誘導による交流電流が流れ、風力による発電が達成される。
【0053】
以上のように、風力発電装置1では、ステータ12は、複数のU相巻線、V相巻線およびW相巻線を有し、支持軸11に固定的に設けられている。U相巻線、V相巻線およびW相巻線は、支持軸11の周囲で支持軸11の周方向に並べられている。一方、ロータ13は、永久磁石を有し、支持軸11に対して支持軸11の中心軸線Cを中心に回転可能に設けられている。ロータ13の回転に伴って、永久磁石が複数のU相巻線、V相巻線およびW相巻線と順次に対向し、各U相巻線、V相巻線およびW相巻線に誘導電流が流れる。
【0054】
ロータ13の周囲には、ロータ13からロータ13の回転半径方向に間隔を空けて、3枚のブレード32が支持軸11の中心軸線Cを中心とする等角度間隔で設けられている。そして、ロータ13とブレード32とは、ロータ13から各ブレード32に向けて延びるアーム33によって連結されている。
【0055】
この構成では、図5に示される回転軸106に相当する部材が存在しないので、支持軸11が支柱2の上端部に固定されても、ロータ13の回転時、つまり発電時に生じる支柱2の振動を低減でき、また、支柱2とその他の部材との共振が生じることを防止できる。その結果、振動による騒音を低減することができる。また、振動による各部の摩耗を防止することができる。たとえば、支持軸11とロータ13との間にベアリングが介在される場合、そのベアリングにおけるフレッティング摩耗を防止することができる。
【0056】
また、図5に示される回転軸106に相当する部材が不要であるので、図5に示される構成と比較して、その分のコストを低減することができる。
【0057】
ロータ13に対して中心軸線Cに沿う方向の上側および下側にベース板31が設けられ、各ベース板31がロータ13に固定されている。そして、各ブレード32に対して2本のアーム33が設けられて、そのうちの一方のアーム33は、基端部が上側のベース板31に固定され、ブレード32に向けて上方に傾斜して直線的に延び、先端部がブレード32に固定されており、他方のアーム33は、基端部が下側のベース板31に固定され、ブレード32に向けて上方に傾斜して直線的に延び、先端部がブレード32に固定されている。
【0058】
そして、各アーム33の基端部から当該アーム33に沿ってベース板31側に延ばした直線が中心軸線C上かつロータ13の中心軸線Cに沿う方向の中央で交差するように、各ブレード32に対する2本のアーム33が延びている。言い換えれば、各アーム33の基端部から当該アーム33に沿って延ばした直線の交点がロータ13の重心と一致するように、各ブレード32に対する2本のアーム33が延びている。
【0059】
これにより、ブレード32と一体的にロータ13が回転するときに、ロータ13に生じる応力のバランスを保つことができる。その結果、ロータ13の回転時の振動を低減することができる。
【0060】
図4は、本発明の他の実施形態に係る風力発電装置の要部の断面図である。
【0061】
図4において、図2に示される各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号が付されている。また、以下では、その同一の参照符号が付された部分の説明を省略する。
【0062】
図2に示される構成では、ロータ13の上側および下側にそれぞれベース板31が設けられている。これに対し、図4に示される構成では、ロータ13の上側のみにベース板61が設けられている。
【0063】
ベース板61は、ロータ13より大きい外径の略円環板状をなしている。ベース板61は、平面視でその中心がロータ13の中心と重なるように配置されて、中央の円形孔にロータ13の円筒部15が挿通されて、ロータ13の本体部16に上方から当接した状態で、ねじ62で本体部16に固定されている。
【0064】
そして、各ブレード32に対する2本のアーム33は、基端側連結部材34を介して、それぞれベース板61の上面および下面に連結固定されている。すなわち、上側のアーム33に固定された基端側連結部材34のベース板側部分38がベース板31の上面に接し、下側のアーム33に固定された基端側連結部材34のベース板側部分38がベース板31の下面に接した状態、言い換えれば、2本のアーム33に固定された基端側連結部材34のベース板側部分38でベース板61を挟んだ状態で、それらのベース板側部分38がベース板61にボルト63およびナット64で一括して固定されている。
【0065】
このように、図4に示される構成は、図2に示される構成よりも簡素化されている。よって、図4に示される構成では、図2に示される構成と比較して、コストを低減することができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではない。
【0067】
たとえば、3枚のブレード32が設けられた構成を例にとったが、ブレード32の枚数は、2枚であってもよいし、4枚以上であってもよい。
【0068】
また、アーム33、基端側連結部材34、先端側連結部材35および接続板52,57がそれぞれ個別の部品として形成された構成を例にとったが、アーム33および基端側連結部材34が一体に形成されていてもよいし、アーム33および先端側連結部材35が一体に形成されていてもよいし、アーム33、基端側連結部材34および先端側連結部材35が一体に形成されていてもよい。さらには、アーム33、基端側連結部材34、先端側連結部材35および接続板52,57が一体に形成されていてもよい。
【0069】
さらにまた、ベース板31,61が省略されて、アーム33がロータ13に直接に接続されてもよい。
【0070】
なお、このように、ロータ13とベース板31,61とが別部品として考えることもできるが、ベース板31,61は、ロータ13に一体的に設けられているので、ベース板31,61をロータ13の一部と考えることもできる。
【0071】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 風力発電装置
2 支柱
11 支持軸
12 ステータ(固定子)
13 ロータ(回転子)
31 ベース板
32 ブレード
33 アーム
61 ベース板
C 中心軸線
L1 直線
L2 直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持軸と、
前記支持軸の周囲で前記支持軸の周方向に並べられた複数の巻線を有し、前記支持軸に固定的に設けられた固定子と、
前記支持軸に対して前記支持軸の中心軸線を中心に回転可能に設けられ、その回転に伴って前記複数の巻線と順次に対向する永久磁石を有する回転子と、
前記回転子の周囲に前記回転子から前記回転子の回転半径方向に間隔を空けて、前記支持軸の前記中心軸線を中心とする等角度間隔で設けられ、それぞれ前記中心軸線に沿う方向に延びる複数のブレードと、
前記回転子から各ブレードに向けて延び、前記回転子と各ブレードとを連結するためのアームとを含む、風力発電装置。
【請求項2】
前記回転子に対して前記中心軸線に沿う方向の一方側および他方側に設けられ、それぞれ前記回転子に固定される1対のベース板をさらに含み、
前記アームは、各ブレードに対して2本設けられ、
各ブレードに対する2本の前記アームのうちの一方の前記アームは、基端部が前記一方側の前記ベース板に固定され、前記ブレードに向けて前記一方側に傾斜して直線的に延び、先端部が前記ブレードに固定されており、他方の前記アームは、基端部が前記他方側の前記ベース板に固定され、前記ブレードに向けて前記他方側に傾斜して直線的に延び、先端部が前記ブレードに固定されている、請求項1に記載の風力発電装置。
【請求項3】
各ブレードに対する2本の前記アームは、各アームの基端部から当該アームに沿って前記ベース板側に延ばした直線が前記中心軸線上かつ前記回転子の前記中心軸線に沿う方向の中央で交差するように、それぞれ延びている、請求項2に記載の風力発電装置。
【請求項4】
前記回転子に対して前記中心軸線に沿う方向の一方側に設けられ、前記回転子に固定されるベース板をさらに含み、
前記アームは、各ブレードに対して2本設けられ、
各ブレードに対する2本の前記アームのうちの一方の前記アームは、基端部が前記ベース板に固定され、前記ブレードに向けて前記一方側に傾斜して直線的に延び、先端部が前記ブレードに固定されており、他方の前記アームは、基端部が前記ベース板に固定され、前記ブレードに向けて前記他方側に傾斜して直線的に延び、先端部が前記ブレードに固定されている、請求項1に記載の風力発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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