説明

食パン切断装置

【課題】 スライスされて得られた食パン(パン片)から耳部分を切断しつつ、好ましい形状の角部や切断面を形成し、商品性の高い高品質のサンドイッチパンを得るための食パン切断装置の提供。
【解決手段】 食パン切断装置3は、食パン1Aがスライスされて得られる矩形状のパン片1Bから耳部分1C,1Dを切除するものであって、パン片1Bが載置される載置台33と、直線状の刃先65を下向きにして載置台33の上方に配置された耳切断刃32と、該耳切断刃32を上下動させる駆動部31とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食パンをスライスして得られる略矩形扁平状のパン片から耳部分を切除する食パン切断装置に関し、特に、サンドイッチ用のパンを製造するための食パン切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食パンから所謂耳部分が切除されて更にスライスされたパン片は、その複数枚が梱包されてサンドイッチパンとして販売されている。サンドイッチパンは、直方体形状に大きく焼き上げられた食パンを利用して製造され、一般にその製造装置は、耳落とし用の帯状切刃とスライス用の帯状切刃とを備える。該製造装置を用いる場合、直方体形状の食パンからその耳部分を含む各外面部分を所定厚みで切除する工程の後、長手方向に交差する向きに所定厚みでスライスする工程を経ることによって、サンドイッチパンが製造される。スライスする工程では、多数の帯状切刃が同時に往復動して食パンをスライスし、一時に多数のサンドイッチパンが切り出される。
【0003】
ところで、焼き上げられた食パンは、その外面部分が比較的硬く、これに対し内部は柔らかくなっており、また、焼き上がり後の時間の経過に伴って、各部は若干硬くなっていく。従って、上述した従来の製造装置のように初めに食パンの外面部分(耳部分)を切除した後にスライスする場合、焼き上がってから比較的長時間(一般に、少なくとも24時間程度)経た後でないと、耳部分を切除された食パンは変形し易く加工するのが困難である。従って、従来の製造装置では、食パンの焼き上がり時からサンドイッチ用のパンが製造されるまで比較的長時間を要するため、サンドイッチパンの鮮度を維持するのが困難であった。
【0004】
更に、従来の製造装置では帯状切刃を往復動させて食パンを切断するため、切断面の滑らかさに欠ける場合があるため、より滑らかな切断面を得て商品性を高めたいという要望もあった。
【0005】
このような要望に対応するべく本願出願人は、食パンを丸刃によってスライスしてパン片を得た後、このパン片を押圧固定した状態で各辺の耳部分を丸刃によって切除することのできる優れた食パン加工装置を発明した(特許文献1参照)。この食パン加工装置によれば、焼き上がり後間もない比較的柔らかい状態の食パンであっても、スライスしてパン片を得ることが可能であり、得られたパン片から耳部分を切除することが可能である。従って、鮮度の優れたサンドイッチパンを得ることができる。更に、スライス及び耳部分の切断において丸刃を用いるため、滑らかな切断面を得ることができるという利点も有している。
【特許文献1】特開2005−297110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された発明による場合、スライスして得られたパン片から耳部分を切除した際、その切断面が曲面状になってしまうことがある。即ち、特許文献1に開示された発明では、押圧固定されたパン片の耳部分を、回転する丸刃をパン片の各辺の長手方向に沿って移動させて切断する。そのため、パンの切断面が丸刃の面に摺接して丸刃の回転方向へ引っ張られてしまう。このように、パンが丸刃の回転方向へ引っ張られながら切断されると、その切断面は平行な面とはならず、若干湾曲した曲面状となる。そして、パン片が有する4辺のうち直交する2辺がこのような曲面状となると、2辺の交差部分が変形して90度の角部を形成することができなくなってしまう。サンドイッチパンの角部や切断面の形状は、サンドイッチパンの商品性に影響を与える大きな要因となるため、このような事情が改善されることが望ましい。
【0007】
そこで本発明は、スライスされて得られた食パン(パン片)から耳部分を切断しつつ、好ましい形状の角部や切断面を形成することができる食パン切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上述したような事情を鑑みてなされたものであり、本発明に係る食パン切断装置は、食パンがスライスされて得られる矩形状のパン片から耳部分を切除する食パン切断装置であって、前記パン片が載置される載置台と、直線状の刃先を下向きにして前記載置台の上方に配置された耳切断刃と、該耳切断刃を上下動させる駆動部とを備えている。
【0009】
このような構成とすることにより、上方から下降する耳切断刃によって叩き切るようにして耳部分を切除するため、切断時にパン片がその各辺の長手方向へ引っ張られることがない。従って、ほぼ90度を成す角部を有するサンドイッチパンを製造することができ、商品性の向上を図ることができる。
【0010】
また、前記耳切断刃は一方の面にのみ刃付け部を有する片刃から成り、前記刃付け部を外方へ向けて設けられていてもよい。このような構成とすることにより、耳切断刃において刃付け部が形成された側の面をパン片の外側(即ち、耳部分のある側)へ向け、刃付け部が形成されていない平坦な面をパン片の中央側へ向けることができる。これにより、鉛直方向に沿った切断面形状も平坦な好ましい形状とすることができる。
【0011】
また、前記耳切断刃は、前記パン片の対向する二辺に位置する耳部分に対応して2枚一対で備えられ、各耳切断刃は、下方へ向かうに従って互いの離隔距離が大きくなるように鉛直方向に対して傾斜して設けられていてもよい。このような構成とすることにより、耳部分を切断した後の鉛直方向に沿った切断面形状を、上面及び下面に略直交する好ましい形状とすることができる。
【0012】
即ち、耳切断刃を鉛直方向に平行に下降してパン片を切断する場合、比較的柔らかいパン片は、耳切断刃のパン片上面への当接後、下降するに伴って若干変形する。その結果、切断面は上部に比べて下部が外方に位置するように変形し、上面及び下面に対して直交する切断面を得ることが比較的困難であることを、本出願人は見知した。そして、上述したように一対を成す2枚の耳切断刃を傾斜して設けることにより、切断面の上部と下部との位置を一致させ、上面及び下面に対して略直交する好適な切断面を有するサンドイッチパンを得ることに成功したのである。
【0013】
また、前記耳切断刃の鉛直方向に対する傾斜角度は、3度乃至7度の範囲内であってもよい。本出願人は、耳切断刃にもたせる角度を試行錯誤の末に見い出した。そして、本発明に係る食パン切断装置は、耳切断刃を上記範囲内の角度に設定することにより、上述したような好適な切断面を得ることができる。
【0014】
また、対を成す前記耳切断刃の夫々は、下降時に前記パン片に当接するタイミングが互いに異なっていてもよい。このような構成とすることにより、上面と側部の切断面とが略直交する好適なサンドイッチパンを得ることができる。
【0015】
即ち、対を成す2枚の耳切断刃によって同一タイミングでパン片を切断した場合、両方の耳切断刃がパン片の上部に食い込む際に柔らかいパン片の上部が互いに反対の方向へ若干引っ張られるため、得られたサンドイッチパンの上面と側部の切断面との交差部に丸みが生じる場合がある。そこで、上述したように対を成す2枚の耳切断刃がパン片に当接するタイミングを互いに異ならせることにより、一方の耳切断刃がパン片に食い込んで上部を切断し、パン片上部の変形が治まった後に、他方の耳切断刃がパン片に食い込むこととなる。従って、切断面と上面との交差部に丸みが生じにくく、好適な形状のサンドイッチパンを得ることができる。
【0016】
また、一対を成す前記耳切断刃は、一方の耳切断刃が前記パン片の耳部分を切断している間に、他方の耳切断刃が前記パン片に当接するタイミングで動作するように構成されていてもよい。このような構成とすることにより、一方の耳切断刃によってパン片の位置が固定された状態で、他方の耳切断刃がパン片の対応する部分を切断するため、適切な位置を切断することができ、得られるサンドイッチパンの寸法精度の向上を図ることができる。
【0017】
また、前記載置台は、下降した前記耳切断刃の刃先が当接する床面が弾性素材から成っていてもよい。このような構成とすることにより、耳切断刃の刃先が厳密に直線状になっていない場合であっても、刃先が載置台の床面に食い込むことにより、パン片を確実に切断することができる。
【0018】
また、前記載置台は、載置された前記パン片を搬送するコンベアを有し、一対を成す前記耳切断刃は前記パン片の搬送方向に沿って二対設けられ、一方の対の前記耳切断刃は前記食パンの搬送方向に刃先が沿うようにして設けられ、他方の対の耳切断刃は前記パン片の搬送方向に刃先が直交するようにして設けられていてもよい。このような構成とすることにより、略矩形のパン片が有する4辺の耳部分を流れ作業的に切除することができるため、効率的である。
【0019】
また、パン片の搬送方向の上流側に配置された一対の前記耳切断刃は、下流側に配置された一対の前記耳切断刃に比べ、対向する刃先の離隔距離が大きくなるように設けられていてもよい。このような構成とすることにより、切断面形状をより平坦な好ましい形状とすることができる。
【0020】
即ち、載置台に置かれたパン片を平面視すると、一般に長方形状を成しており、耳部分としては長辺部分と短辺部分とに位置するものがある。そして、上述した構成によれば、対向する刃先の離隔距離が大きくなるよう設けられた耳切断刃によって最初に短辺部分に位置する耳部分が切除され、次に長辺部分に位置する耳部分が切除されることとなる。このようにすると、最初の切断後も長辺部分に位置する耳部分が残っているため、最初の切断で短辺部分に位置する耳部分を残す場合に比べてパン片の変形を抑制しやすくなる。その結果、パン片が好適な形状を保持した状態で、次の長辺部分に位置する耳部分の切除を行うことができ、好適な切断面形状を有するサンドイッチパンを得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る食パン切断装置によれば、スライスされて得られた食パン(パン片)から耳部分を切断しつつ、好ましい形状の角部や切断面を形成することができ、商品性の高い高品質のサンドイッチパンを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る食パン切断装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は食パン切断装置を備える食パン加工装置の全体平面図であり、図2は、図1に示す食パン加工装置をII矢視方向から見た側面図である。また、図3は、図1に示す食パン加工装置を用いてサンドイッチパンを製造する工程の概略を示す模式図である。
【0023】
図1及び図2に示すように、食パン加工装置1は、スライス装置2と、食パン切断装置3と、スライス装置2及び食パン切断装置3の間に設けられた搬送用の第1ベルトコンベア4と、これらスライス装置2、食パン切断装置3、及び第1ベルトコンベア4の動作を制御する制御部5とを備える。この食パン加工装置1は、直方体形状を成す食パン1Aを加工してサンドイッチパンを製造するものである。
【0024】
図3に示すように、スライス装置2は食パン1Aをスライスしてパン片1Bを得るスライス工程を担い、より具体的には、焼き上がり後の直方体形状を成す食パン1Aを、長手方向に直交する向きにスライスしてパン片1Bを得る第1工程を担う。食パン切断装置3はパン片1Bの一部を切除する切除工程を担い、より具体的には、ベルトコンベアのベルト上に載置されたパン片1Bの一対の耳部分1Cを切除する第2工程と、他の一対の耳部分1Dを切除してサンドイッチパン1Eを得る第3工程とを担う。なお、以下の説明では、食パン1A又はパン片1Bの搬送方向を前方、その逆方向を後方とし、左右方向は、搬送される食パン1A又はパン片1Bから見たときの左右方向と一致するものとする。また、以下では工程順にそれを担う装置の構成について説明する。
【0025】
図1及び図2に示すように、スライス装置2は、焼き上がった食パン1Aを搬送するローラコンベア6と、該ローラコンベア6の前部左側に配置されて搬送されてきた食パン1Aをスライスするパン切り機7とを備えている。図4は、図1及び図2に示されるパン切り機7を拡大してその概略構成を示す側面図であり、図5は図4に示すパン切り機7をV矢視方向から見た平面図、図6は図4に示すパン切り機7をVI矢視方向から見た正面図である。
【0026】
図4乃至図6に示すように、パン切り機7は、搬送されてきた食パン1Aが載せられる載置台8と、該載置台8に載せられた食パン1Aを前方へ間欠的に押し出す押出機構9と、該押出機構9によって押し出された食パン1Aをスライスする円盤カッター10とを備えている。更に、パン切り機7は、スライスして得られたパン片1Bを受け取るパン片受台11と、該パン片受台11に受け取られたパン片1Bを第1ベルトコンベア4へ載せ替えるパン片載替台12とを備えている。なお、図1に示すように本実施の形態では、1つのローラコンベア6に対して2機のパン切り機7が並設されているが、ローラコンベア6の基数とそれに対応するパン切り機7の基数とはこれに限定されるものではない。
【0027】
図4に示すように、パン片受台11は載置台8の前方に配置され、その上部の背面及び前面の夫々には、鉛直方向に沿って延びる鉛直面13と、該鉛直面13の前方にて前方斜め下方の方向に沿った傾斜面を成す立掛面14とを有している。また、パン片受台11の上端は、図4に示すように側方から見た場合に鉛直面13と立掛面14とによって尖がって形成された尖端部15を成している。鉛直面13には、押出機構9により押し出される食パン1Aの進行方向に対してその回転軸が平行となるようにして円盤カッター10が枢支されており、該円盤カッター10の上端は、パン片受台11の尖端部15よりも所定寸法だけ上方へ突出している。この円盤カッター10は、パン片受台11の下方に設けられたモータ16によって回転駆動する。
【0028】
パン片受台11の上部前面の立掛面14には、円盤カッター10によってスライスされたパン片1Bが立て掛けられるようになっており、図5に示すように該立掛面14の左右寸法(幅寸法)は、パン片1Bよりも小さくなるように構成されている。また、立掛面14の下端部からは、立掛面14に直交する略前方へ向かって載置座17が突設されている。立掛面14に立て掛けられたパン片1Bは、この載置座17によって下部が支持されるようになっている。
【0029】
図4に示すように、上述した円盤カッター10、パン片受台11、及びモータ16は、載置台8の下方にて直立して設けられたシリンダ機構18によって、一体的に上昇動及び下降動し得るようになっている。従って、載置台8に載せられた食パン1Aが押出機構9によって前方へ押し出され、載置台8の前端から所定寸法だけ突出した状態でシリンダ機構18が駆動すると、円盤カッター10が上昇して食パン1Aの突出部分を下方から切断していく。円盤カッター10の上昇と共にパン片受台11も上昇し、その尖端部15は、食パン1Aの下部にできた切り口へ該切り口を押し広げるようにして入り込む。そしてパン片受台11は、上方位置にてパン片1Bが食パン1Aから切り離されると同時に該パン片1Bを受け取る。パン片1Bは、載置座17に下端を当接させて立掛面14に凭れ掛かるようにしてパン片受台11に受け取られる。
【0030】
図4及び図5に示すように、パン片載替台12はパン片受台11と第1ベルトコンベア4との間に配置されている。図5及び図6に示すように、パン片載替台12は、左右方向へ延びた板状の載置台20と、該載置台20の両端から上方へ平行に延設された左右一対の受取面部21とを有している。この受取面部21は、パン片受台11を間に挟める寸法だけ離隔して平行に配置され、夫々の外側端からは立壁24が前方へ向けて立設されている。
【0031】
また、図6に示すように載置台20の下部には、該載置台20と平行に左右方向へ延設された回転軸23が取着されている。この回転軸23の一端部にはモータ22の出力軸が接続されており、モータ22の駆動によって回転軸23は回転するようになっている。そして、パン片載替台12は、モータ22が駆動することによって回転軸23を軸にして前後に揺動可能になっている。即ち、パン片載替台12は、その受取面部21がパン片受台11の立掛面14に略平行を成す後方位置から、その受取面部21が第1ベルトコンベア4の上に覆い被さる前方位置までの間を揺動可能になっている。
【0032】
ここで、図6に示すように、上方位置にてパン片1Bを受け取ったパン片受台11は、パン片載替台12が後方に位置する状態で、該パン片載替台12が有する左右一対の受取面部21の間を通って下降する。パン片受台11に受け止められた状態で共に下降するパン片1Bは、パン片受台11がパン片載替台12を通過する際、該パン片載替台12の受取面部21によって左右部分が受け止められ、その結果、パン片1Bはパン片受台11からパン片載替台12へ移載される。
【0033】
次に、図4に示すように、パン片載替台12はモータ22の駆動により後方位置から前方位置へ倒伏し、パン片1Bは第1ベルトコンベア4上に載せかえられる。パン片載替台12が倒伏する際、パン片1Bは立壁24によって左右の側部が支持され、且つ、載置台20によって下端部が支持されているため位置ずれが生じ難い。従って、次々と第1ベルトコンベア4へ載せ換えられるパン片1Bは、夫々がほぼ一定の位置に一定の姿勢で移載される。
【0034】
このように、食パン1Aをスライスし、得られたパン片1Bを第1ベルトコンベア4に載せ換える工程において、全てが機械化されて人手が介入することがない。従って、作業員の作業能力に左右されず生産性の向上を図ることができると共に、衛生面の向上を図ることもできる。
【0035】
図7は、第2工程及び第3工程(図3参照)を担う食パン切断装置3の構成を示す側面図であり、図8は、図7に示す食パン切断装置3をVIII矢視方向から見た背面図である。なお、図1に示す食パン加工装置1においては、図7及び図8に示す食パン切断装置3が2基併設されている。
【0036】
図7及び図8に示すように、食パン切断装置3は、略立方体を成すの枠体30と、該枠体30の上部に設けられた駆動部31と、該駆動部31によって上下動される耳切断刃32と、該耳切断刃32によって切断されるパン片1Bが載置される載置台33とを備えている。
【0037】
略立方体の枠体30は、より詳しくは、同一の矩形状を成す天板30a及び底板30bを有し、天板30a及び底板30bの対応する頂部間に立設された4本の脚部30cによって天板30aは底板30bの上部に支持されている。
【0038】
駆動部31は、枠体30の天板30a上部に設けられた電動モータ40を備えている。該電動モータ40は出力軸41が前後方向に沿うようにして設けられており、該出力軸41にはギヤ42が同軸状に設けられている。枠体30の天板30a上部には、電動モータ40の出力軸41と平行に前後方向へ軸芯が向くようにして伝達軸43が配設されており、該伝達軸43の前後の端部は天板30a上部に立設された軸受部44によって軸支されている。また、伝達軸43には、チェーン45を介して電動モータ40の出力軸41に設けられたギヤ42と連結されるギヤ46が同軸状に設けられている。
【0039】
軸受部44から突出した伝達軸43の前後の端部には、伝達軸43の回転運動を上下方向の運動に変更しつつ伝達する伝達機構50が設けられている(便宜上、図7において前側の伝達機構50の下部分は図示を省略している)。この伝達機構50は、伝達軸43の端部に設けられた円盤状のクランク51と、該クランク51に連結された伝達ロッド52とを有している。クランク51はその回転軸芯53を伝達軸43の軸芯と一致するようにして設けられ、周端部近傍に偏芯軸54を有している。この偏芯軸54には伝達ロッド52の上端部が回転自在に枢支され、該伝達ロッド52は下方へ延設されている。
【0040】
このような伝達機構50は、電動モータ40の駆動に伴ってクランク51が軸芯53周りに自転する。クランク51が回転すると、偏芯軸54が軸芯53周りを公転し、該偏芯軸54に枢支された伝達ロッド52は上昇動及び下降動することとなる。なお、本実施の形態の図7乃至図8において、前後に設けられた伝達機構50が夫々有する偏芯軸54は、クランク51の回転軸芯53周りの位相が互いに一致するようになっている。従って、前後の伝達ロッド52は、同一タイミングで上昇動及び下降動する。
【0041】
伝達ロッド52の下端部には、耳切断刃32を支持する刃支持枠55が枢支されている。刃支持枠55は平面視すると矩形枠状であり、左右に配置されて前後方向へ延びる長寸板状の側方フレーム55aと、その前端部間を接続する板状の前方フレーム55bと、後端部間を接続する板状の後方フレーム55cとから構成されている。伝達ロッド52の下端部は、刃支持枠55が有する前方フレーム55b及び後方フレーム55cの夫々における左右方向中央部分で枢支されている(図8参照)。
【0042】
また、図7に示すように、刃支持枠55は枠体30に設けられたガイド部57によっても支持されている。このガイド部57は、上下方向へ延びる4本のガイドロッド57aと、このガイドロッド57aに挿通されると共に該ガイドロッド57aに沿って上下方向へ摺動するロッド受部57bとから構成されている。ロッド受部57bは筒状を成し、その軸芯を上下方向へ向けた状態で、刃支持枠55の前後における左右部分の夫々に取り付けられている。このロッド受部57aに挿通するガイドロッド57aは、その上端部及び下端部が枠体30の天板30a及び底板30bにて夫々固定されている。このようなガイド部57は、電動モータ40が駆動して伝達機構50の伝達ロッド52が上下動すると、ガイドロッド57aに沿って刃支持枠55を正確に上下方向へ動作させる。
【0043】
刃支持枠55の後部及び前部の2箇所には、2枚で対を成す耳切断刃32が一対ずつ支持されており、後側の一対の耳切断刃32は、パン片1Bの前後の耳部分1Cを切断するための前後用耳切断刃32Aを成し、前側の一対の耳切断刃32は、パン片1Bの左右の耳部分1Cを切断するための左右用耳切断刃32Bを成している。これらの耳切断刃32(32A,32B)は、刃支持枠55の下部に取り付けられたフランジ60に、ブラケット61を介して支持されており、後側に支持された前後用耳切断刃32Aと、前側に支持された左右用耳切断刃32Bとは、互いに向きを違えて設けられている。
【0044】
図9は、前後用耳切断刃32Aの構成を説明するために図7における一部分を拡大して示す側面図である。図9に示すように、刃支持枠55の左右の側方フレーム55a(図9では右側の側方フレーム55aのみを示している)には、前後用耳切断刃32Aを取り付けるためのフランジ60が、下方へ突出するようにして側方フレーム55aに沿って2つずつ取り付けられている。このフランジ60は矩形板状を成し、その表裏の面が左右方向を向くようにして設けられている。各フランジ60には相対的に前後に配置されたボルト孔60a,60bが形成されており、ブラケット61は、このボルト孔60a,60bに通されたボルト63によってフランジ60に締結されている。
【0045】
ブラケット61は、フランジ60に締結される締結板61aと、前後用耳切断刃32Aを成す各耳切断刃32,32を支持する横長板状の支持板61bとから成る。そして、左右に対向配置された2枚の締結板61a間に1枚の支持板61bが架設されるようにして一組のブラケット61は構成されている(図8も参照)。このようなブラケット61の端部の締結板61aが、フランジ60にボルト締結される。そして、ブラケット61が有する支持板61bの下部に前後用耳切断刃32Aが取り付けられている。
【0046】
図8及び図9に示すように、この前後用耳切断刃32Aは左右方向へ直線状に延びる刃先65を有し、この刃先65を下向きにして、基部66が支持板61bに支持されている。更に、前後用耳切断刃32Aは、一方の面のみに刃付け部67を有する片刃から成り、この刃付け部67を外方へ向けて設けられている。即ち、図9に示すように、前後用耳切断刃32Aを構成する前後2枚の耳切断刃32のうち、後側の耳切断刃32は後方へ刃付け部67を向けて設けられ、前側の耳切断刃32は前方へ刃付け部67を向けて設けられている。これにより、前後2枚の耳切断刃32は、刃付け部67が存在しない平坦面が対向するようになっている。
【0047】
また、図9に示すように、フランジ60に設けられたボルト孔60a,60bのうち、一方のボルト孔60aは略長円状に形成され、他方のボルト孔60bは真円状に形成されている。具体的には、前後に並ぶ2つのフランジ60のうち後側のフランジ60では、後側に略長円状のボルト孔60aが形成され、前側に真円状のボルト孔60bが形成されている。前側のフランジ60では、前側に略長円状のボルト孔60aが形成され、後側に真円状のボルト孔60bが形成されている。また、ボルト孔60aの形状をより詳述すると、他方のボルト孔60bを中心として円弧状に延びる略長円状となっている。
【0048】
従って、各ボルト孔60a,60bにボルト63を通し、ブラケット61を遊びを有してフランジ60に取り付けると、ボルト孔60aに通したボルト63は略上下方向へ上下動させることができ、ブラケット61に支持される前後用耳切断刃32Aの傾斜角度を調節することができる。図9では、前後用耳切断刃32Aを成す前後の耳切断刃32が、下方へ向かうに従って互いの離隔距離が大きくなるように(即ち、側面視で下方へ開くように)調節され、この状態でボルト63が締結されてフランジ60にブラケット61が固定されている。また、このときの耳切断刃32は、鉛直方向(図9中の二点鎖線参照)に対して約5度の傾斜角度αを有している。なお、この角度αは、切断するパン片1Bの厚みや硬さ、及び、環境(湿度、温度)等の条件に応じて3度乃至7度の範囲内で適宜調整すればよい。
【0049】
一方、図7に示すように、刃支持枠55の前部に支持された左右用耳切断刃32Bは、これを構成する一対の耳切断刃32が、表裏の面を前後方向へ向くようにして配置されている。そして、各耳切断刃32は、上述したのと同様のブラケット61及びフランジ60を介して刃支持枠55に支持されている。但し、左右用耳切断刃32Bを成す一対の耳切断刃32の刃先65の離隔距離dBは、前後用耳切断刃32Aを成す一対の耳切断刃32の刃先65の離隔距離dAよりも小さくなるように設定されている(図1参照)。このような前後用耳切断刃32A及び左右用耳切断刃32Bは、電動モータ40の駆動に伴って上昇動及び下降動する。
【0050】
図7に示すように、耳切断刃32の下方には、枠体30を支持する載置台33が設けられ、具体的には、本実施の形態ではこの載置台33として第2ベルトコンベア70、第3ベルトコンベア71、及び第4ベルトコンベア72が備えられている。第2ベルトコンベア70は相対的に後方に位置する前後用耳切断刃32Aの下方に配置され、図示しないモータに連結されて回転する駆動プーリ70a、従動プーリ70b、及びこれらに巻回されて弾性素材から成るベルト70cを備えている。第3ベルトコンベア71は相対的に前方に位置する左右用耳切断刃32Bの下方に配置され、同様に図示しないモータに連結されて回転する駆動プーリ71a、従動プーリ71b、及びこれらに巻回されて弾性素材から成るベルト71cを備えている。また、第4ベルトコンベア72は第3ベルトコンベア71の前方に配置され、第2,第3ベルトコンベア70,71と同様に駆動プーリ72a、従動プーリ72b、及びベルト72cを備えている。なお、ベルト72cは弾性素材である必要はない。
【0051】
これら第2ベルトコンベア70,第3ベルトコンベア71,第4ベルトコンベア72は、何れも第1ベルトコンベア4(図1参照)からのパン片1Bを同一方向へ搬送するものであり、パン片1Bが載置されるベルト70c〜72cが略面一となっている。また、第2ベルトコンベア70と第3ベルトコンベア71との間には、前後用耳切断刃32Aによって切断された耳部分1Cを落下させるための隙間75が設けられている。また、図1に示すように、第4ベルトコンベア72のベルト72cの幅は第3ベルトコンベア71のベルト71cの幅より小寸となっており、左右用耳切断刃32Bによって切断されて第3ベルトコンベア71により搬送される左右の耳部分1Cが、第4ベルトコンベア72のベルト72cに移載されずに第4ベルトコンベア72の側方から落下するようになっている。
【0052】
上述したような食パン切断装置3の場合、電動モータ40の回転駆動により伝達機構50が刃支持枠55を上昇動及び下降動させる。これに伴って耳切断刃32は同一タイミングで上昇動及び下降動する。本実施の形態における耳切断刃32は、約60mmのストロークで上下へ往復動するようになっており、最も下方に位置するときに耳切断刃32の刃先65は、第2ベルトコンベア70及び第3ベルトコンベア71の各ベルト70c,71cの上面に若干食い込むようになっている。
【0053】
次に、食パン切断装置3によるパン片1Bからの耳部分1Cの切除動作について、主に図7を用いて説明する。図1乃至図6を用いて説明したように、食パン1Aをパン切り機7にてスライスして得られたパン片1Bは、第1ベルトコンベア4によって搬送され、食パン切断装置3の第2ベルトコンベア70のベルト70c上に移載される。第2ベルトコンベア70は図示しないセンサによってベルト70c上のパン片1Bの位置を検出し、前後用耳切断刃32Aの下方における所定位置にてパン片1Bを停止させる。
【0054】
停止したパン片1Bは、電動モータ40の駆動により下降してくる前後用耳切断刃32Aによって、その前後の耳部分1Cが切断される(図1中に示す第2工程を参照)。このとき、下降した前後用耳切断刃32Aは、その刃先65がベルト70cの上面に若干食い込むため、パン片1Bから耳部分1Cを確実に切断することができる。また、前後用耳切断刃32Aを成す一対の耳切断刃32は、図9を用いて説明したように下部の刃先65へ向かうに従って開くようにして設けられている。従って、耳部分1Cを切断した後のパン片1Bにおいて、上面と切断面との交差部分に丸みができにくく、好適な角を形成することができる。更に、一対の耳切断刃32は、刃付け部67を外方(即ち、前後)へ向けて平坦面を対向させるようにして設けられているため、切断面をより平坦に形成することができる。
【0055】
前後用耳切断刃32Aによって前後の耳部分1Cが切断され、前後用耳切断刃32Aが上昇して所定位置以上に達すると、第2ベルトコンベア70は再び駆動する。そして、ベルト70c上のパン片1Bは次の第3ベルトコンベア71が有するベルト71c上に移載される。この際、第2ベルトコンベア70のベルト70c上に残されていた切除後の耳部分1Cは、第2ベルトコンベア70と第3ベルトコンベア71との間に設けられた隙間75から落下して除去される(図7参照)。
【0056】
第3ベルトコンベア71は図示しないセンサによってベルト71c上に移載されたパン片1Bの位置を検出し、左右用耳切断刃32Bの下方における所定位置にてパン片1Bを停止させる。停止したパン片1Bは、電動モータ40の駆動により下降してくる左右用耳切断刃32Bによって、その左右の耳部分1Dが切断され、サンドイッチパン1Eが得られる(図1中に示す第3工程を参照)。左右用耳切断刃32Bと前後用耳切断刃32Aとは刃先65の向きが違うだけで、その他の構成は同じであるため、ここでも上述したように耳部分1Dを確実に切断することができ、切断後のサンドイッチパン1Eの上面と切断面との交差部分に好適な角を形成することができ、更に、切断面を平坦に形成することができる。
【0057】
左右用耳切断刃32Bによって左右の耳部分1Dが切断され、左右用耳切断刃32Bが上昇して所定位置以上に達すると、第3ベルトコンベア71は再び駆動する。そして、ベルト71c上のサンドイッチパン1Eは次の第4ベルトコンベア72が有するベルト72c上に移載される。ここで、上述したように第4ベルトコンベア72のベルト72cは、第3ベルトコンベア71のベルト71cよりも幅寸法が小さい(図1参照)。従って、左右用耳切断刃32Bによって切除されて第3ベルトコンベア71のベルト71cの左右部分に残されていた耳部分1Dは、サンドイッチパン1Eが第4ベルトコンベア72のベルト72c上に移載される際に該ベルト72cの左右の側方から落下して除去される(図7参照)。このように、食パン切断装置3を経たパン片1Bは、前後及び左右の耳部分1C,1Dが切除され、サンドイッチパン1Eが得られることとなる。
【0058】
なお、本実施の形態では、パン切り機7にてスライスして得られるパン片1Bが長方形状の場合、短辺を前後にして第1ベルトコンベア4に載置するようになっている。この場合、食パン切断装置3では最初の第2工程で前後の短辺に相当する耳部分1Cが切除され、次の第3工程で左右の長辺に相当する耳部分1Dが切除される。パン片1Bにおいて耳部分1C,1Dはその他の部分に比べて比較的硬いため、耳部分1Cに比べて長寸の耳部分1Dの切断を第3工程で行うことにより、第2工程から第3工程に至る間、パン片1Bの形状又は姿勢を維持しやすくなる。その結果、第3工程において、より正確に耳部分1Dを切断することができる。
【0059】
また、上述した説明では、食パン切断装置3によって耳部分1C,1Dを切除する一連の動作中、耳切断刃32(前後用耳切断刃32A及び左右用耳切断刃32B)が常に上下動している場合について記載しているが、各パン片1Bに対して第2工程及び第3工程が終了する度に耳切断刃32を上方位置にて停止させるようにしてもよい。
【0060】
図10は、食パン切断装置3の他の構成例として、食パン切断装置3を構成する1つのユニット80の構成を示す図面である。このユニット80は、図7に示す食パン切断装置3において、左右用耳切断刃32Bに関連する構成を取り外し、前後寸法を短縮したような構成となっている。このユニット80は、第2〜第4ベルトコンベア70〜72(図7参照)を跨ぐようにして適宜の向きで適宜の場所に配置することにより、食パン切断装置3を構成することができる。この場合、ユニット80が有する耳切断刃32は、ユニット80が配置されたときの向き及び場所に応じて前後用耳切断刃32A及び左右用耳切断刃32Bの何れの役割も担うことができ、汎用性が高い。なお、図10に示すユニット80は、その大部分が図7に示す食パン切断装置3の構成と対応するものとなっているため、対応する構成に同一の符号を付してその説明は省略する。
【0061】
図11は、図10に示すユニット80と異なる構成を有するユニット90を示す図面である。このユニット90では、対を成す2枚の耳切断刃32(32a,32b)が、上下方向の位置が異なるようにして設けられている。より詳述すると、ユニット90は、電動モータ40と連動回転する伝達軸43の一方の端部に接続された伝達機構50aと、他方の端部に接続された伝達機構50bとを備えている。これらの伝達機構50a,50bは、既に説明した伝達機構50(図7参照)と基本構成において同じであるが、夫々のクランク51a,51bに設けられた偏芯軸54a,54bは、軸芯53回りの位相が互いに所定角度ずらされている。また、耳切断刃32a,32bを支持する刃支持枠55は、一方の耳切断刃32aを支持する刃支持枠551と、他方の耳切断刃32bを支持する刃支持枠552とに分割されている。そして、偏芯軸54a,54bの位相差に起因して、刃支持枠551,552に支持された耳切断刃32a,32bの刃先65は、上下方向に所定寸法dだけずれて位置している。
【0062】
このようなユニット90によってパン片1Bの耳部分1C,1Dを切断する場合、一方の耳切断刃32aと他方の耳切断刃32bとは異なるタイミングでパン片1Bの上部に切り込むこととなる。これにより、耳切断刃32a,32bによって切断されたパン片1Bは、上面と切断面との交差部分がより直交する好適な形状を成す。このようになる技術的理由については必ずしも明確ではないが、およそ以下のような理由によると考えられる。
【0063】
耳切断刃32a,32bが同一のタイミングでパン片1Bに切り込んだ場合、パン片1Bの上面において耳切断刃32a,32bとの2箇所の接触部分が窪む。このとき、一方の耳切断刃32aとの接触部分と、他方の耳切断刃32bとの接触部分との間で、パン片1Bが両側へ引っ張られるようになる。すると、例えば一方の耳切断刃32aとの接触部分の近傍は他方の耳切断刃32bとの接触部分の方へ引っ張られる。その結果、一方の耳切断刃32aが更に下降したとき、耳切断刃32aはパン片1Bの所望位置より外側の部分を切断してしまうこととなる。即ち、耳切断刃32aは、最初にパン片1Bの上面に接触した後、下降していくにつれて最初の接触箇所より外側の部分を切断することとなる。これにより、耳切断刃32a,32bにより同一タイミングでパン片1Bを切断すると、耳切断刃32aによる切断面は上部が丸みを帯び、上面と切断面との交差箇所に好適な角を形成できない場合がある。他方の耳切断刃32bによる切断面についても同様である。
【0064】
これに対し、図11に示すようなユニット90によって耳切断刃32a,32bを異なるタイミングでパン片1Bに切り込ませた場合は、一方の耳切断刃32aがパン片1Bに切り込んでいる状態で他方の耳切断刃32bはパン片1Bに接触しないため、パン片1Bが上述したように両側へ引っ張られることがない。従って、耳切断刃32aは、最初にパン片1Bの上面に接触した後、下降していっても、最初の接触箇所の鉛直下方位置をほぼ正確に切断することができる。これにより、耳切断刃32aによる切断面は平坦になり、上面と切断面との交差箇所に好適な角を形成することができる。
【0065】
ここで、偏芯軸54a,54bの位相差、即ち、耳切断刃32a,32bの刃先65のずれ寸法dについては、一方の耳切断刃32aがパン片1Bの耳部分1Cを切断している間に、他方の耳切断刃32bがパン片1Bの上面に当接するように設定することができる。具体的に寸法dは、製造するサンドイッチパン1Eの厚み寸法以内とすることができる。この場合、一方の耳切断刃32aによってパン片1Bの位置が固定されるため、パン片1Bの位置ずれが生じにくく、他方の耳切断刃32bは適切な位置を切断しやすくなる。
【0066】
なお、図11に示すユニット90は、その一部分が図10に示すユニット80の構成と対応するものとなっているため、対応する構成に同一の符号を付してその説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、スライスされて得られた食パン(パン片)から耳部分を切断しつつ、好ましい形状の角部や切断面を形成し、商品性の高い高品質のサンドイッチパンを得るための食パン切断装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態に係る食パン切断装置を備える食パン加工装置を示す全体平面図である。
【図2】図1に示す食パン加工装置をII矢視方向から見た側面図である。
【図3】図1に示す食パン加工装置を用いてサンドイッチ用のパンを製造する工程の概略を示す模式図である。
【図4】図1に示すパン切り機を拡大してその概略構成を示す側面図である。
【図5】図4に示すパン切り機をV矢視方向から見た平面図である。
【図6】図4に示すパン切り機をVI方向から見た正面図である。
【図7】図3に示す第2工程及び第3工程を担う食パン切断装置の構成を示す側面図である。
【図8】図7に示す食パン切断装置をVIII矢視方向から見た背面図である。
【図9】前後用耳切断刃の構成を説明するために図7における一部分を拡大して示す側面図である。
【図10】食パン切断装置の他の構成例として、食パン切断装置を構成する1つのユニットの構成を示す図面である。
【図11】図10に示すユニットと異なる構成を有するユニットを示す図面である。
【符号の説明】
【0069】
1 食パン加工装置
1A 食パン
1B パン片
1C,1D 耳部分
1E サンドイッチパン
3 食パン切断装置
5 制御部
31 駆動部
32,32a,32b 耳切断刃
32A 前後用耳切断刃
32B 左右用耳切断刃
33 載置台
40 電動モータ
50,50a,50b 伝達機構
51 クランク
53 回転軸芯
54,54a 偏芯軸
65 刃先
70 第2ベルトコンベア
71 第3ベルトコンベア
72 第4ベルトコンベア
60a,60b ボルト孔
80,90 ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食パンがスライスされて得られる矩形状のパン片から耳部分を切除する食パン切断装置であって、前記パン片が載置される載置台と、直線状の刃先を下向きにして前記載置台の上方に配置された耳切断刃と、該耳切断刃を上下動させる駆動部とを備えることを特徴とする食パン切断装置。
【請求項2】
前記耳切断刃は一方の面にのみ刃付け部を有する片刃から成り、前記刃付け部を外方へ向けて設けられていることを特徴とする請求項1に記載の食パン切断装置。
【請求項3】
前記耳切断刃は、前記パン片の対向する二辺に位置する耳部分に対応して2枚一対で備えられ、各耳切断刃は、下方へ向かうに従って互いの離隔距離が大きくなるように鉛直方向に対して傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の食パン切断装置。
【請求項4】
前記耳切断刃の鉛直方向に対する傾斜角度は、3度乃至7度の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の食パン切断装置。
【請求項5】
対を成す前記耳切断刃の夫々は、下降時に前記パン片に当接するタイミングが互いに異なるように構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の食パン切断装置。
【請求項6】
対を成す前記耳切断刃は、一方の耳切断刃が前記パン片の耳部分を切断している間に、他方の耳切断刃が前記パン片に当接するタイミングで動作するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の食パン切断装置。
【請求項7】
前記載置台は、下降した前記耳切断刃の刃先が当接する床面が弾性素材から成ることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の食パン切断装置。
【請求項8】
前記載置台は、載置された前記パン片を搬送するコンベアを有し、対を成す前記耳切断刃は前記パン片の搬送方向に沿って二対設けられ、一方の対の前記耳切断刃は前記食パンの搬送方向に刃先が沿うようにして設けられ、他方の対の耳切断刃は前記パン片の搬送方向に刃先が直交するようにして設けられていることを特徴とする請求項3乃至7の何れかに記載の食パン切断装置。
【請求項9】
パン片の搬送方向の上流側に配置された一対の前記耳切断刃は、下流側に配置された一対の前記耳切断刃に比べ、対向する刃先の離隔距離が大きくなるように設けられていることを特徴とする請求項8に記載の食パン切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−331053(P2007−331053A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164762(P2006−164762)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000238050)冨士島工機株式会社 (9)
【Fターム(参考)】