説明

食品包装容器

【課題】蓋体に摘み片を備えた食品包装容器において、外側にフィルムを被せて包み込んだときに、摘み片によりフィルムが破れたり切れ目ができたりすることを防止する。
【解決手段】容器本体2の四隅角部に肩部24から下方傾斜して外側壁26に連なる傾斜面部27を設け、蓋体3の周辺に外方へ略水平に張り出したフランジ部34を設け且つその角部を摘み片35となし、容器本体2に蓋体3を装着し、フィルムFによって込んだときに、フィルムFとともに摘み片35が傾斜面部27上に折れ重なるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンビニエンスストアやスーパーマーケットの食品売り場で陳列し販売される、弁当や総菜その他各種食品の包装に用いられる合成樹脂製の食品包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアなどで販売されている弁当は、例えばステーキなどの洋風のおかずや中華料理といった食材や食品の種類や調理方法などに応じ、収納される料理や食品のボリューム感を引き出しておいしそうに見える外観や形態の容器を用いて包装されている。
このうち、幕の内弁当などの和風の食品を包装する容器として、図6に示されるように、容器本体100が、ご飯やおかずが盛られるポリプロピレン製の内容器101と、表面に竹の節などの木目調の模様が付されたポリスチレン製の外枠102からなり、外枠102の内周面に形成された溝部102aに内容器101の周辺縁部101aを係合して外枠102内に内容器101を一体化させ、これに透明な蓋体103を被せて、容器に収納された食品が恰も木製の折箱や重箱の中に盛られた如き外観を呈する形態のものが知られている(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3060611号公報
【特許文献2】特開2005−263284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記図示した容器は、内容器101と外枠102を個別に成形し、これらを一体化して形成されるため、容器の製造コストが高くならざるを得ず、内容器101と外枠102を一体化させた容器本体100は保管や運搬の際に嵩を小さくして積重ねることができない。また、弁当を食べた後に廃棄する資材が内容器101、外枠102及び蓋体103と嵩み、ゴミの減量化の観点からも好ましいものではない。容器をリサイクル処理する場合は、内容器101と外枠102を分離するという煩わしい手間を要する。
また、前記容器を用いた弁当は、食品を収納した容器本体100に蓋体103を被せて密閉し、その外側にラップフィルムやシュリンクフィルムを被せて食品売り場に陳列されるが、図7に示されるように、蓋体103を容器本体100に被せると蓋体103の周縁コーナー部に設けた摘み片103aが外枠102の上面よりも外側に突出し、容器にフィルムを巻く際にフィルムが摘み片103aに引っ掛かって破れたり、或いは容器にシュリンクフィルムを被せて収縮させた後、容器を取り扱う際に摘み片103aがフィルムを貫通してフィルムに切れ目ができたりし易いという問題があった。
【0005】
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑み、容器本体に蓋体を装着し、これにシュリンクフィルムやラップフィルムを被せて包み込んだときにフィルムが破れたり切れ目ができたりしないようにし、また、容器に盛られる食品がおいしく見えるように容器の外観を見栄えの良いものとすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明は、平面視略方形の開口面内に収納凹部を有し、収納凹部の上部に外方へ折れた肩部を設けるとともに肩部の端部に外側壁が連設されてなる容器本体と、前記肩部に装着して容器本体の開口面を閉鎖する蓋体とを有する合成樹脂製の食品包装用容器において、
前記容器本体の四隅角部に肩部から下方傾斜して外側壁に連なる傾斜面部を設け、
蓋体の周辺に外方へ略水平に張り出したフランジ部を設けるとともに当該蓋体の四隅角部の少なくとも一つの角部を摘み片となし、
前記収納凹部に食品が収納された容器本体に蓋体を装着し、フィルムによって前記容器本体及び蓋体を包み込んだときに、前記フィルムとともに蓋体の摘み片が容器本体の傾斜面部上に折れ重なるようにした構成を有することを特徴とする。
【0007】
この食品包装容器によれば、容器本体の収納凹部に食品を収納し、これに蓋体を被せて容器内部を密閉し、さらに外側にラップフィルムやシュリンクフィルムを被せて包み込み、包装した食品を展示販売に供することができる。
蓋体を容器本体に装着したときに蓋体の摘み片が水平に突出するものの、当該摘み片が位置する容器本体の四隅角部には下り傾斜した傾斜面部を設けてあるので、フィルムで包み込む際に摘み片が屈曲してフィルムとともに傾斜面部上に折れ重なるため、フィルムが摘み片に引っ掛かって破れたり切れ目ができたりするなどのフィルムで包み込む操作に支障を来すことはなく、また、フィルムを取り外さない限り摘み片は折れたままなので、容器取り扱い中に摘み片がフィルムを貫通してしまうようなこともない。
また、容器からフィルムを取り外せば、折れ曲がっていた蓋体の摘み片は元の位置まで弾性復帰し、水平に突出した摘み片を摘んで蓋体を容器本体から簡単に取り外すことができる。
さらに、容器本体に前記傾斜面部を設けた場合、容器本体に蓋体を装着すると傾斜面部上で摘み片が水平に張り出し、傾斜面部と摘み片の間に指を差し入れる空隙ができるので摘み片を長く設ける必要もない。摘み片は、容器本体に蓋体を装着したときに容器外方に摘み片が突出する長さに設けてもよく、蓋体のフランジ部の各四隅角部に設けてもよい。
また、容器本体は一の材料による一体成形品なので、容器の保管や運搬の際に嵩を小さくして積み重ねることが可能である。
【0008】
前記構成の食品包装容器において、蓋体は少なくともフランジ部と摘み片にメッシュ加工を施して形成してあることが好ましい。
蓋体に施すメッシュ加工は、例えば蓋体を構成するシートの表面に微細な凹部を多点列状或いは格子状などのメッシュ状に設ける加工であり、メッシュ加工を施すことでシートに可撓性が付与される。
摘み片にメッシュ加工を施してあれば、摘み片をスムーズに折り曲げることができ、摘み片を容器本体の傾斜面部上に折り重ねても摘み片の根元部分が割れたり切れたりするようなことはない。メッシュ加工を施すことで摘み片が摘みやすくもなる。また、フランジ部にメッシュ加工を施してあれば、容器本体に装着した蓋体を粘着テープで留め付ける際に重合する粘着テープに沿ってフランジ部を撓ませて容器本体の上面に確実に接合させることができ、また、粘着テープを取り外す際にフランジ部に外力がかかってもフランジ部が割れるようなことはなく、粘着テープをスムーズに除去することができる。
【0009】
また、前記構成の食品包装容器において、容器の外観を見栄えの良いものとするため、容器本体はその肩部と外側壁の境界に沿って当該容器本体の表面に付された色又は模様を異ならせて形成することが好ましい。
合成樹脂製の容器の成形は、容器表面に付す文様が印刷された印刷フィルムと原反とを貼り合わせてシートにし、これを成型金型で加熱し変形させ、冷却固化した後、成形された容器をシートから打ち抜く加工工程により行われ、前記容器本体は、肩部と外側壁の境界に沿って色や模様が異なる印刷フィルムを用い、印刷フィルムの文様の位置と成形金型の容器型の位置とを位置決めして熱成形することにより成形することができる。
本発明を和風料理の弁当容器に適用する場合、外側壁の表面には竹の節や木目状の模様を付して容器本体を形成すれば、食品が恰も木製の折箱や重箱の中に盛られた如き外観のものとなる。
また、前記構成の食品包装容器は、容器本体の肩部に設けられた凹所に蓋体の下部周辺部が外嵌合するように構成することができる。
【0010】
本発明の食品包装容器は、例えば延伸ポリスチレンや耐衝撃性ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの適宜なプラスチックを用い、圧空乃至真空成形などのサーモフォーミング法により成形することができる。蓋体は透明なポリプロピレンや二軸延伸ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートなどを用いて成形することが好ましい。その他任意の成形材料を用いて任意の成形方法により形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の食品包装容器の容器本体と蓋体を分離した状態の外観斜視図である。
【図2】図1の容器本体の側面図である。
【図3】図1の容器本体と蓋体の側端部の要部切断端面図である。
【図4】容器本体に蓋体を被せた状態の容器の隅角部の切断端面図である。
【図5】容器本体に蓋体を被せた容器の外側にフィルムを巻き付けた状態の容器の隅角部の切断端面図である。
【図6】従来の食品包装容器の容器本体を破断して示した構成図である。
【図7】(A)は図6の容器の隅角部の拡大図、(B)はB−B線に沿った切断端面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好適な一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の食品包装容器の外観を示しており、図示されるように、この食品包装容器1は、上部を平面視略矩形の開口面とし、この開口面内に食品が収納される収納凹部21を設けた容器本体2と、容器本体2の上部に装着して開口面を閉鎖する透明な蓋体3により構成されている。
【0013】
詳しくは、図1〜図3に示されるように、容器本体2は、底部22の周辺から内側壁23を適宜な高さに立ち上げて収納凹部21を形成するとともに、底部22から上方へ突設した仕切り24により、収納凹部21内を複数の収納領域に区画して形成してある。
収納凹部21の上部には、内側壁23の上端から略水平に外方へ折れ、且つ端部を下方へ屈曲させた堤部25aと堤部25aの下端から略水平に折れた蓋受け面部25bからなる肩部25が周設され、さらに肩部25の端部から外側壁26をスカート状に垂下させ、収納凹部21の周囲を外側壁26で囲った形状に設けてある。前記肩部25の堤部25aの蓋受け面部25bとの境界部分には、後述する蓋体3の周縁下端部に設けた凸部33aが嵌合する凹部25cが形成してある。
容器本体2の四隅角部には、肩部25から下方傾斜して外側壁26に連なる傾斜面部27を設けてあり、また、外側壁26の表面の四側辺の中央と四隅角部の両側の位置には補強用の縦リブ26aを設け、さらに各縦リブ26a間にも補強用の縦筋(図示せず)を列設してある。
また、容器本体2は、肩部25と外側壁26の境界に沿って表面の色及び模様が異ならせて形成し、肩部25よりも内側の収納凹部21の領域は例えば赤色で着色し、外側壁26の表面には木目状の模様を付した装飾が施してある。
【0014】
蓋体3は、平面視矩形の天面部31の周辺から側面32を斜め下方へ張り出し、側面部32の周縁下端部に外方へ略水平に折れ且つ先端が下方へ屈曲した段部33を設け、さらに段部33の下端部に外方へ略水平に折れて張り出したフランジ部34を連設して形成してある。
前記天面部31の周辺には、その輪郭に沿って上方凸部31aを突設させてあり、食品包装容器1を積み重ねた際に、上段の容器の容器本体2の底部22が上方凸部31aに係合して積み重ねた容器の位置ズレを防止できるように設けてある。
また、段部33のフランジ部34との境界部分には、内方へ突出した凸部33aが形成されており、容器本体2に蓋体3を装着した際に、前記容器本体2の肩部25の蓋受け面部25bに蓋体3のフランジ部34が重なり、且つ肩部25の凹部25cに凸部33aが嵌合することにより、容器本体2に装着した蓋体3が固定されるように設けてある。なお、容器本体2に設ける凹部25cと蓋体3に設ける凸部33aは、それぞれ肩部25と段部33の全周に連続して設けても、四側辺の中央や四隅角部など対応位置に断続的に設けてもよい。
また、フランジ部34の四隅角部は各々周縁を湾曲形状に縁取ってなる摘み片35としてあり、さらに各摘み片35を含むフランジ部34から段部33に亘る部分には微細な凹部をメッシュ状に配置したメッシュ加工を施してある。
【0015】
このように形成された食品包装容器1によれば、容器本体2の収納凹部21に食品を収納し、図4に示されるように、これに蓋体3を被せて容器内部を密閉し、さらに外側から被せるラップフィルムなどのフィルムFで食品包装容器1を包み込むことで、包装した食品を展示販売に供することができる。
容器本体2に蓋体3を装着した状態で蓋体3の摘み片35が水平に突出するが、摘み片35の下方には容器本体2に設けた傾斜面部27が設けてあるので、図5に示されるように、フィルムFで包み込む際に摘み片35が屈曲してフィルムFとともに傾斜面部27上に折れ重なり、フィルムFが摘み片35に引っ掛かって破れたり切れ目ができたりすることはない。また、フィルムFを取り外さない限り摘み片35は折れたままなので、容器取り扱い中に摘み片35がフィルムFを貫通してしまうようなこともない。フィルムFを取り外せば、折れ曲がっていた摘み片35は元の位置に弾性変形して水平に張り出し、これを摘んで蓋体3を容器本体2から簡単に取り外すことが可能である。
また、容器本体2の外側壁26の表面には木目状の模様を付してあるので、収納した食品が恰も木製の折箱や重箱の中に盛られた如き風情の外観となり、視覚上の訴求力を高めて食品をおいしそうに見せることができる。
【0016】
なお、図示した食品包装容器の形態は一例であり、本発明はこれらの形態に限定されず、食品の種類や容量などに応じて、他の適宜な形態に設けることができる。収納凹部21内は適宜な形態の仕切り24により区画することが可能であり、また、仕切り24のない容器にも本発明は適用可能である。また、収納する食品に応じて、容器本体2の表面を適宜な色や模様に装飾することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 食品包装容器、2 容器本体、21 収納凹部、22 底部、23 内側壁、24 仕切り、25 肩部、26 外側壁、27 傾斜面部、3 蓋体、31 天面部、32 側面部、33 段部、34 フランジ部、35 摘み片



【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略方形の開口面内に収納凹部を有し、収納凹部の上部に外方へ折れた肩部を設けるとともに肩部の端部に外側壁が連設されてなる容器本体と、前記肩部に装着して容器本体の開口面を閉鎖する蓋体とを有する合成樹脂製の食品包装用容器において、
前記容器本体の四隅角部に肩部から下方傾斜して外側壁に連なる傾斜面部を設け、
蓋体の周辺に外方へ略水平に張り出したフランジ部を設けるとともに当該蓋体の四隅角部の少なくとも一つの角部を摘み片となし、
前記収納凹部に食品が収納された容器本体に蓋体を装着し、フィルムで前記容器本体及び蓋体を包み込んだときに、前記フィルムとともに蓋体の摘み片が容器本体の傾斜面部上に折れ重なるようにした構成を有することを特徴とする食品包装容器。
【請求項2】
蓋体はフランジ部と摘み片にメッシュ加工を施して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の食品包装容器。
【請求項3】
容器本体はその肩部と外側壁の境界に沿って当該容器本体の表面に付された色又は模様を異ならせて形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品包装容器。
【請求項4】
容器本体の外側壁の表面に竹の節や木目状の模様を付してなる請求項1〜3の何れかに記載の食品包装容器。
【請求項5】
容器本体の肩部に設けられた凹部に蓋体の下側周辺部が外嵌合する構成を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の食品包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−86878(P2012−86878A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235736(P2010−235736)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(390041058)シーピー化成株式会社 (16)
【Fターム(参考)】