説明

食品包装用バッグ

【課題】 繰返し開閉可能なチャックシール部を有し、固形成分が溶解若しくは分散している液体を含有する食品の包装用バッグであって、易開封性を保ちつつ、流通過程などにおけるチャックシール部分への液漏れを低減できる食品包装用バッグを提供する。
【解決手段】 本発明の食品の包装用バッグは、ヒートシール性フィルムをバッグ本体を構成する基材とし、前記食品を充填するための開口部と、充填された食品を取り出すための開閉部と、前記ヒートシール性フィルムをヒートシールすることによって形成される側端部とを有し、前記開閉部は、前記食品と接触する側から順に、イージーピール性の第1開閉部、チャックシールによって形成されている第2開閉部、及び、ヒートシール性フィルムをヒートシールすることによって形成されている第3開閉部とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品包装用バッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品包装容器には、保存中には内容物の食品が劣化したり、こぼれたりしないようにするために密閉性が求められているのと同時に、使用をする際には開封の容易性が求められている。さらには、内容物の食品を一度に使用せず、残ったものを保存して使用する場合には、再度密閉できるような開閉手段が必要とされている。このような状況の下、例えば、香辛料、乾燥昆布などの乾燥食品の軽包装用として、ヒートシール性フィルムを構成基材とする食品包装用バッグであって、繰返し開閉可能なチャックシール部が設けられたものが使用されている。例えば、特許文献1には、内層がヒートシール性を有する樹脂フィルムを基材とし、繰返勘合可能なチャックテープを設けた易開封性包装用袋が開示されている。
【特許文献1】特開2000−25795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
食品包装容器に設けられているチャックシール部は、内容物の食品を再度密閉できるように繰返し開閉することができ、チャックシール部分に少し力を加えることによって開封できるように設計されている(易開封性)。
【0004】
しかしながら、チャックシール部を有する食品包装バッグを用いて、液体を含有する食品を包装すると、該食品を充填してから消費者に至るまでの流通および取引過程において、食品に含有されている液体が、チャックシール部分に滲み込んで、チャックシール部の外側に液漏れが生じる場合があった。流通および取引過程において液漏れが生じると、商品価値が著しく低下するので、チャックシール部への液漏れを防ぐことが求められている。
【0005】
特に、充填される食品が含有する液体に、糖分若しくは塩分などの固形成分が溶解若しくは分散している場合には、前記固形成分がチャックシール部分に析出して、チャックシールの開閉を困難にするという問題も顕著化してきた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、繰返し開閉可能なチャックシール部を有し、固形成分が溶解若しくは分散している液体を含有する食品の包装用バッグであって、易開封性を保ちつつ、流通過程における前記チャックシール部分への液漏れを低減できる食品包装用バッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできた本発明の食品包装用バッグは、固形成分が溶解若しくは分散している液体を含有する食品の包装用バッグであって、前記バッグ本体は、ヒートシール性フィルムをバッグ本体を構成する基材とし、前記食品を充填するための開口部と、充填された食品を取り出すための開閉部と、前記ヒートシール性フィルムをヒートシールすることによって形成される端部とを有し、前記開閉部は、前記食品と接触する側から順に、前記バック本体の一面を構成するヒートシール性フィルムに積層されたイージーピール性フィルムと、前記一面に対面するヒートシール性フィルム又は前記対面のヒートシール性フィルムに積層されたイージーピール性フィルムとをヒートシールすることによって形成されている第1開閉部、開閉可能なチャックシールによって形成されている第2開閉部、及び、前記一面を構成するヒートシール性フイルムと前記対面のヒートシール性フィルムとをヒートシールすることによって形成されている第3開閉部とを有することを特徴とする。
【0008】
すなわち、本発明の食品包装用バッグは、固形成分が溶解若しくは分散している液体(以下、単に「固形分含有液体」と称する場合がある)を含有する食品(以下、単に「液体含有食品」と称する場合がある)と開閉可能なチャックシールによって形成される第2開閉部との間に、イージーピール性(易剥離性若しくは易開封性)の第1開閉部を設けたところに最大の特徴がある。イージーピール性を有する第1開閉部は、液体含有食品の流通過程における液漏れに対してシール作用を奏し、固形分含有液体が第2開閉部へ漏れるのを防ぐことができる。さらに、消費者が液体含有食品を開封して使用する際には、消費者が第1開閉部が開く方向に少し力を加えることによって、第1開閉部を容易に開くことができ、易開封性が維持されている。
【0009】
本発明において、前記第1開閉部、第2開閉部、及び、第3開閉部が、略平行に帯状に設けられていることも好ましい態様である。第1開閉部、第2開閉部、及び、第3開閉部を略平行に帯状に設けることによって、固形分含有液体のシール性が一層高くなる。
【0010】
前記第1開閉部、第2開閉部、及び、第3開閉部が、例えば、近接して設けられていることも好ましい態様である。各開閉部の間隔を近接させることによって、固形分含有液体のシール性が高くなるとともに、食品の充填スペースを十分に確保することができるからである。また、前記端部は、バック本体の側端部であることが好ましい態様である。
【0011】
前記第1開閉部の剥離強度は、800g/15mm以上であることが好ましい。
剥離強度を800g/15mm以上とすることによって、流通過程における液漏れに対して十分なシール性が得られるからである。
【0012】
前記第3開閉部の剥離強度は、2500g/15mm以上であることが望ましい。前記第3開閉部は、万一、第1及び第2開閉部に液漏れが生じた場合に、バッグ外部への食品の流出を防止するために設けられているものである。斯かる観点から、第3開閉部には、比較的高い剥離強度が求められているからである。
【0013】
本発明において、前記固形成分としては、例えば、糖分または塩分を挙げることができる。糖分または塩分は、食品が含有する液体に溶解若しくは分散している典型的な固形成分であり、本発明を好適に適用できるからである。
【0014】
本発明の食品包装用バッグを好適に使用できる液体含有食品としては、例えば、ドライフルーツ加工品、及び、漬物を挙げることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の食品包装用バッグは、易開封性を損なうことなく、流通過程におけるチャックシール部分への液漏れを低減できる。従って、糖分又は塩分のような固形成分が溶解若しくは分散し、チャックシール部分で固形成分が析出しやすい液体を含有する食品の包装用バッグとして好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は、図面に示された態様に限定されるものではない。
【0017】
本発明の食品包装用バッグは、固形成分が溶解若しくは分散した液体を含有する食品の包装用バッグであって、図1に示すように、バッグ本体1は、ヒートシール性フィルム15をバッグ本体を構成する基材とし、前記食品を充填するための開口部3と、充填された食品を取り出すための開閉部5と、前記ヒートシール性フィルム15をヒートシールすることによって形成される端部7(好ましくは側端部7)とを有し、前記開閉部5が、前記食品と接触する側から順に、前記バック本体の一面を構成するヒートシール性フィルムに積層されたイージーピール性フィルムと、前記一面に対面するヒートシール性フィルム又は前記対面のヒートシール性フィルムに積層されたイージーピール性フィルムとをヒートシールすることによって形成されている第1開閉部9、開閉可能なチャックシールによって形成されている第2開閉部11、及び、前記一面を構成するヒートシール性フイルムと前記対面のヒートシール性フィルムとをヒートシールすることによって形成されている第3開閉部13とを有することを特徴とする。
【0018】
図1に示した態様は、バッグ形状が矩形状であり、開閉部5は、食品を容易に取り出すことができるように端部(図1中、上端部)に設けられ、開閉部5を構成する第1開閉部、第2開閉部、及び、第3開閉部が、略平行に帯状に近接して設けられている。本発明のバックの形状は、特に限定されるものではなく、必要に応じて、略楕円形状、円形状、三角形状などの形状に適宜変形することができるが、好適には上述した矩形状である。
【0019】
図2は、図1のA−A'における開閉部5の概略的断面図である。第1開閉部9は、バック本体の一面を構成するヒートシール性フィルム15に積層されたイージーピール性フィルム17と前記一面に対面するヒートシール性フィルム15'とをヒートシールすることによって形成され、第2開閉部11は、開閉可能なチャックシール19によって形成され、第3開閉部13は、前記一面を構成するヒートシール性フィルム15と前記一面に対面するヒートシール性フィルム15'とをヒートシールすることによって形成されている。
【0020】
次に、本発明における開閉部の詳細について説明する。
【0021】
本発明の液体含有食品の包装用バッグには、前記食品と接触する側から順に、第1開閉部、第2開閉部、及び、第3開閉部が設けられている。前記第1開閉部、第2開閉部、及び、第3開閉部のそれぞれを設ける態様は、充填された液体含有食品の取出性を損なわない態様であれば特に限定されないが、例えば、前記第1開閉部、第2開閉部、及び、第3開閉部を略平行に帯状に設けることによって、流通過程における液漏れに対するシール性を高めることができる。また、前記第1開閉部、第2開閉部、及び、第3開閉部とを近接して設ければ、流通過程における液漏れに対するシール性をさらに高めることに加えて、バッグ内部の液体含有食品の充填スペースを大きくできる。ここで、「近接」とは、バッグ本体の大きさに応じて適宜変化する概念ではあるが、1辺が10cm〜30cm程度の矩形の食品包装バッグであれば、各開閉部の間隔を2cm以下、より好ましくは、1.0cm以下、さらに好ましくは0.5cm以下とすればよい。また、各開閉部の間隔は、等間隔である必要はない。
【0022】
尚、本発明の効果を損なわない範囲であれば、前記第1〜第3開閉部に加えて、さらに開閉部を設けることもできる。
【0023】
本発明における第1開閉部は、バック本体の一面を構成するヒートシール性フィルムに積層されたイージーピール性フィルムと、前記一面に対面するヒートシール性フィルム又は前記対面のヒートシール性フィルムに積層されたイージーピール性フィルムとをヒートシールすることによって形成されている。
【0024】
前記イージーピール性フィルムとしては、イージーピール性(易剥離性若しくは易開封性)を有するフィルムとして市販されているものを好適に使用することできるが、図3(a)又は3(b)に示すように、イージーピール層17aとヒートシール層17bとを積層したものであることが望ましい。すなわち、前記イージーピール性フィルムをヒートシールすることによって、ヒートシール性フィルム15に対してはヒートシール層17bが接着して十分な接着強度を発現するので、イージーピール性フィルム17をバック本体を構成する基材のヒートシール性フィルム15に容易に取り付けることができる。一方、ヒートシール性フィルム15'に対してはイージーピール層17aが接して、消費者が少しの力を加えることによって容易に剥離できる程度の接着強度を発現する。前記イージーピール層17aとヒートシール層17bの間に、加工安定性若しくはヒートシール性などを向上するために中間層を設けることも好ましい態様である。
【0025】
また、前記第1開閉部を、図4(a)に示すようにバック本体を構成する一面のヒートシール性フィルムと、前記一面に対面するヒートシール性フィルムのそれぞれのバッグ本体内側にイージーピール性フィルムを積層して、これをヒートシールすることによって形成することも好ましい態様である(図4(b))。
【0026】
前記イージーピール性フィルムのイージーピール層を構成する樹脂組成物としては、市販のイージーピール性フィルムに使用されている公知の樹脂を使用することができ、例えば、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂若しくはブテン系樹脂、又は、これらの中の少なくとも2種以上の混合物を挙げることができる。前記エチレン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、又は、その混合物などを挙げることができ、前記α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどを挙げることができる。前記プロピレン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、又は、その混合物などを挙げることができ、前記α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどを挙げることができる。前記ブテン系樹脂としては、ポリブテン、ブテン−α−オレフィン共重合体などを挙げることができ、前記α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどを挙げることができる。
【0027】
前記イージーピール性フィルムのヒートシール層を構成する樹脂としては、市販のヒートシール性フィルムに使用されている公知の樹脂を使用することができ、加熱によって溶融若しくは軟化してヒートシール性を発現する樹脂であれば特に限定されない。
【0028】
前記ヒートシール層を構成する樹脂としては、例えば、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ブテン系樹脂などのポリオレフィン樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、及び、アクリル系樹脂、又は、これらの混合物を挙げることができる。
【0029】
本発明で使用するイージーピール性フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、80μm以上であって、110μm以下であることが望ましい。膜厚が薄くなりすぎると、流通過程における液漏れに対して十分なシール性が得られない場合があり、膜厚が厚くなりすぎると、加工適性が悪くなる場合がある。
【0030】
前記イージーピール性フィルムの具体例としては、例えば、東セロ株式会社製「CMPSシリーズ」、昭和電工プラスチックプロダクツ株式会社製「アルマーフィルム」、住友化学工業株式会社製「アシスト」などを挙げることができる。
【0031】
本発明において、前記第1開閉部の剥離強度は、800g/15mm以上、より好ましくは900g/15mm以上とすることが望ましい。剥離強度を800g/15mm以上とすることによって、流通時の液漏れに対するシール作用が高まる。また、前記第1開閉部の剥離強度の上限は、特に限定されないが、1200g/15mm、より好ましくは1000g/15mmとすることが望ましい。前記第1開閉部の剥離強度を1200g/15mm以下とすることによって、易開封性を確保できるからである。
【0032】
前記第1開閉部の剥離強度は、上述したイージーピール層に使用される樹脂の配合組成、メルトフローレート、及び、分子量などを適宜選択することによって、制御することができる。また、前記剥離強度は、被着体に対する剥離強度であり、前記被着体としては、バッグ本体を構成基材であるヒートシール性フィルム、若しくは、前記ヒートシール性フィルムに積層されるイージーピール性フィルムを挙げることができる。
【0033】
本発明における第2開閉部11は、開閉可能なチャックシールによって形成されている(図2参照)。前記チャックシールは、雄部材19bと雌部材19aとを有し、繰返し勘合できるようになっているものであれば特に限定されない。また、雄部材19bと雌部材19aの裏面側にヒートシール層を設けておくことによって、バッグ本体を構成するヒートシール性フィルム15、15'にヒートシールによって容易に接着できる。
【0034】
本発明における第3開閉部13は、バック本体の一面を構成するヒートシール性フィルム15と、前記一面に対面するヒートシール性フィルム15'とをヒートシールすることによって形成されている(図2参照)。前記開閉部13は、万一、第1及び第2開閉部に液漏れが生じた場合に、バッグ外部への食品または液体の流出を防止するために設けられているものである。そのため、前記第3開閉部の剥離強度を、2500g/15mm以上、より好ましくは3000g/15mm以上とすることが望ましい態様である。前記第3開閉部の剥離強度を上記のように一定以上とすることによって、第3開閉部の密閉性が確保され、万一、第1及び第2開閉部に液漏れが生じた場合に、バッグ外部への食品の流出を防止できる。前記第3開閉部の剥離強度の上限は、特に限定されるものではないが、10000g/15mmであることが望ましい。
【0035】
前記第3開閉部の剥離強度は、ヒートシール性フィルムのヒートシール層に使用される樹脂の配合組成、メルトフローレート、及び、分子量などを適宜選択することによって、制御することができる。また上述のように、前記第3開閉部の剥離強度は高く設計されているので、前記第3開閉部を開封することは実質的に困難であり、使用に際しては第3開閉部を切り取って使用することが好ましい態様である。そのため、第3開閉部と第2開閉部との間の側端部に切り欠き部を設けておくことも好ましい態様である。
【0036】
本発明のバッグ本体の基材を構成するヒートシール性フィルムとしては、包装材料若しくは食品包装用として市販されている公知のヒートシール性フィルムを使用することができる。この際、強度、耐熱性、酸素若しくは水蒸気透過性などの食品包装用バッグとして要求される諸性能を考慮して選択すればよい。前記ヒートシール性フィルムとして好適なものとしては、単層のヒートシール層からなるヒートシール性フィルム、若しくは、ヒートシール層を有する2層以上の積層フィルムを挙げることができ、例えば、基材層とヒートシール層とが積層された積層フィルムや、ヒートシール層と中間層と基材層とが積層された積層フィルムなどが好適である。前記ヒートシール層を構成する樹脂組成物としては、上述したイージーピール性フィルムのヒートシール層を構成する樹脂組成物と同一のものを挙げることができる。また、基材層若しくは中間層を構成する樹脂組成物としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂若しくはポリスチレン系樹脂、又は、これらの混合物を挙げることができる。
【0037】
本発明において使用するヒートシール性フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、55μm以上、より好ましくは65μm以上であって、95μm以下、より好ましくは85μm以下であることが望ましい。
【0038】
前記ヒートシール性フィルムの具体例としては、例えば、東洋紡績(株)製「リックス」、「パイレン−CT」、東レ(株)製「トレファン」、東セロ(株)製「TUX」などを挙げることができる。
【0039】
本発明の食品包装用バッグは、固形成分が溶解若しくは分散している液体を含有する食品の包装用として好適である。固形成分が溶解若しくは分散している液体が、チャックシール部分に液漏れして、斯かる固形成分が析出するのを好適に防止できるからである。前記固形成分としては、例えば、糖分若しくは塩分が溶解若しくは分散している液体を挙げることができる。
【0040】
前記液体含有食品としては、固形成分が溶解若しくは分散している液体のみからなるもの、或いは、固形成分が溶解若しくは分散している液体と固形の食品とからなるもののいずれであってもよく、例えば、ドライフルーツ加工品、漬物などを挙げることができる。
【0041】
次に、本発明の食品包装用バッグの製造方法について説明する。本発明の食品包装用バッグの製造方法は、特に限定されるものではないが例えば、バッグ本体の一面を構成するヒートシール性フィルムと前記一面に対面する面を構成するヒートシール性フィルムとを対面するように配置し、その間に、帯状のチャックシールと帯状のイージーピール性フィルムと配置させる。次いで、前記イージーピール性フィルムと前記一面を構成するヒートシール性フィルムとをヒートシール温度170℃〜220℃でヒートシールして第1開閉部に相当する部分を作製し、前記チャックシール(雄部材と雌部材)と前記一面および対面のヒートシール性フィルムとをそれぞれヒートシール温度170℃〜220℃でヒートシールして第2開閉部に相当する部分を作製し、バッグ本体の一面とこれに対向する面を構成するヒートシール性フィルム同士とを帯状にヒートシール温度140℃〜180℃でヒートシールして、第3開閉部に相当する部分を作製する。この際、第1〜第3開閉部を同時に作製することも好ましい態様である。その後、バッグ本体が所望の大きさとなるようにバッグの側端部を構成するように、一面およびこれに対面するヒートシール性フィルムをヒートシールし、袋となるように切り出すことによって得ることができる。
【0042】
上述のようにして得られる本発明の食品包装用バッグは、前記液体含有食品を、バッグ本体に設けた開口部より充填し、前記開口部をヒートシールして閉じることによって包装(密閉)できる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0044】
[評価方法]
(1)イージーピール部分及びヒートシール部分の剥離強度
JIS−Z0238の袋のヒートシール強さ試験に従って測定した。
測定条件は以下の通りである。
引張方法:180°ピール、チャック間距離:30mm、引張速度:300mm/min、測定温度:25℃、養生時間:1日
(2)液漏れ防止性
得られた食品包装用バッグに100gの水を充填して、充填口をヒートシールして密閉した。その後、110℃×30分のレトルト殺菌を行い、液漏れがあるかどうか目視観察した。また、三菱ガス化学(株)製の「エージレスシールチェック」にて、液漏れがあるかどうかを確認した。
(3)易開封性
第3開閉部を取り除いた後、第1開閉部および第2開閉部を実際に開封してみて、容易に開封できるかどうかを確認した。
【0045】
(実施例)
バッグ本体を構成する基材としてのヒートシール性フィルムとしては、ナイロンフィルム(東洋紡績(株)製N1102、膜厚15μm)にヒートシール性のポリプロピレンフィルム(東セロ(株)製RXC18、膜厚70μm)を接着剤で積層したもの(NY/接着剤/PP)を、チャックシールとしては、ポリプロピレン系チャックシール(出光ユニテックP530)を用い、イージーピール性フィルムとしては、ヒートシール性ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製P1128、膜厚30μm)、ポチエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製E5200、膜厚25μm)、及び、イージーピール層としてポリプロピレン系イージーピール性フィルム(昭和電工(株)製TP9、膜厚50μm)を接着剤で積層したもの(PP/接着剤/PET/接着剤/EP)を用いた。
【0046】
バッグ本体を構成する基材としての上記ヒートシール性フィルム2枚の間に、帯状のチャックシールテープ(雄部材、雌部材)と帯状のイージーピール性フィルムとを挟むよう配置させ、所定の温度でヒートシールすることによって、図1に示すように、第1開閉部、第2開閉部、及び、第3開閉部が略平行に帯状に近接して設けられている食品包装用バッグを作製した。得られた食品包装用バッグは、第一開閉部の剥離強度が1100g/15mmであり、第三開閉部の剥離強度は、4500g/15mmであった。また、得られた食品包装用バッグ及び開閉部の液漏れ性について、評価した結果を表1に示した。
【0047】
(比較例)
イージーピール性フィルムを使用しなかったこと以外は、実施例の方法と同様の方法にて、第2開閉部と第3開閉部とのみが略平行に帯状に近接して設けられている食品包装用バッグを作製した。得られた食品包装用バッグ及び開閉部の剥離強度について評価した結果を表1に示した。
【0048】
【表1】

【0049】
また、液漏れ性について評価した結果、実施例の食品包装用バッグは、第1開閉部と第2開閉部との間に液漏れはなく、第3開閉部を取り除いた後の開封性も容易であった。
【0050】
一方、比較例の食品包装用バッグでは、液漏れ性テスト(耐レトルト性、エージレスチェック)において、第2開閉部と第3開閉部との間に液漏れが生じていた。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、糖分または塩分などの固形成分が溶解若しくは分散した液体を含有する食品の包装用バッグとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の食品包装用バッグを例示する平面図である。
【図2】本発明の食品包装用バッグの開閉部の概略断面図である。
【図3】(a)は、本発明の食品包装用バッグのヒートシール前の第1開閉部を模式的に例示する拡大断面図であり、(b)は、本発明の食品包装用バッグのヒートシール後の第1開閉部を模式的に例示する拡大断面図である。
【図4】(a)は、本発明の食品包装用バッグのヒートシール前の第1開閉部を模式的に例示する拡大断面図であり、(b)は、本発明の食品包装用バッグのヒートシール後の第1開閉部を模式的に例示する拡大断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1:バッグ本体、3:開口部、5:開閉部、7:側端部、9:第1開閉部、10:ヒートシール部、11:第2開閉部、12:イージーピール部、13:第3開閉部、15:ヒートシール性フィルム、17a:イージーピール層、17b:ヒートシール層、17:イージーピール性フィルム、19a:チャックシール雌部材、19b:チャックシール雄部材、19:チャックシール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形成分が溶解若しくは分散している液体を含有する食品の包装用バッグであって、
前記バッグ本体は、ヒートシール性フィルムをバッグ本体を構成する基材とし、前記食品を充填するための開口部と、充填された食品を取り出すための開閉部と、前記ヒートシール性フィルムをヒートシールすることによって形成される端部とを有し、
前記開閉部は、前記食品と接触する側から順に、
前記バック本体の一面を構成するヒートシール性フィルムに積層されたイージーピール性フィルムと、前記一面に対面するヒートシール性フィルム又は前記対面のヒートシール性フィルムに積層されたイージーピール性フィルムとをヒートシールすることによって形成されている第1開閉部、
開閉可能なチャックシールによって形成されている第2開閉部、及び、
前記一面を構成するヒートシール性フイルムと前記対面のヒートシール性フィルムとをヒートシールすることによって形成されている第3開閉部とを有することを特徴とする食品包装用バッグ。
【請求項2】
前記第1開閉部、第2開閉部、及び、第3開閉部が、略平行に帯状に設けられている請求項1に記載の食品包装用バッグ。
【請求項3】
前記第1開閉部、第2開閉部、及び、第3開閉部が、近接して設けられている請求項1又は2に記載の食品包装用バッグ
【請求項4】
前記端部は、バッグ本体の側端部である請求項1〜3のいずれかに記載の食品包装用バッグ。
【請求項5】
前記第1開閉部の剥離強度は、800g/15mm以上である請求項1〜4のいずれかに記載の食品包装用バッグ。
【請求項6】
前記第3開閉部の剥離強度は、2500g/15mm以上である請求項1〜5のいずれかに記載の食品包装用バッグ。
【請求項7】
前記固形成分は、糖分又は塩分である請求項1〜6のいずれかに記載の食品包装用バッグ。
【請求項8】
前記糖分含有液体食品は、ドライフルーツ加工品である請求項7に記載の食品包装用バッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−224984(P2006−224984A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39741(P2005−39741)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(505057761)木戸紙業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】