説明

食品成形装置

【課題】手作り感の高いおにぎりなどの食品を製造可能とした食品成形装置を提供する。
【解決手段】所定量に計量された食材を下方に投下する供給部と、この供給部から投下された食材を中央成形型枠と、この中央成形型枠の左側に設けた左側成形型枠と、中央成形型枠の右側に設けた右側成形型枠とで受け止めるとともに、左側成形型枠上の米飯と、右側成形型枠上の米飯を中央成形型枠上に折り返して食材を所定形状に成形する成形部とを備えた食品成形装置であって、左側成形型枠は、水平状態に突出させた左側回転軸に装着した左側支持型枠と左側押圧型枠とで構成するとともに、右側成形型枠は、水平状態に突出させた右側回転軸に装着した右側支持型枠と右側押圧型枠とで構成し、左側回転軸及び右側回転軸の回転に基づいて左側押圧型枠及び右側押圧型枠を回転させて、左側押圧型枠と、右側押圧型枠と、中央成形型枠とで食材を所定形状に押圧成形するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品成形装置に関するものであり、特におにぎりのように具材を包皮した食品の成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、米飯を平面視三角形状の塊としたいわゆるおにぎりを形成する装置として様々な装置が提案されている。
【0003】
一般的には、平面視三角形状としたおにぎり成形孔を複数設けたターンテーブルを用い、おにぎり成形孔に所定量の米飯を挿入して、おにぎり成形孔の上下からそれぞれ型枠で米飯を押圧して成形する方法が用いられている。
【0004】
このような食品成形装置において、特におにぎりの成形装置では、できるだけ手作り感がある成形が求められるようになっており、ただ単に米飯を三角形状に押し固めるのではなく、米飯を握り固めるように成形する成形機構も提案されている。
【0005】
このような米飯の成形装置の一形態として、次のような成形装置が知られている。すなわち、米飯を供給する供給手段によってあらかじめ所定幅に成形した帯状の米飯を上下方向に送給するとともに、この供給手段の下方に配置した成形手段によって帯状の米飯を所定形状に成形しているものである。
【0006】
特に、成形手段は、帯状の米飯の左右両側にそれぞれ五角柱体の左側成形体と右側成形体とを配置して構成しており、この左右側成形体を回転させながら左右側成形体の周面で帯状の米飯を挟持して、たとえばにぎり寿司のしゃり玉を形成しているものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
すなわち、この成形機構では、左側成形体及び右側成形体における五角柱体の5つの周面にそれぞれ型穴を凹設しており、左側成形体の型穴と右側成形体の型穴とにそれぞれ米飯を送入しながら左側成形体の周面と右側成形体の周面とを重ね合わせることにより、米飯を左右方向から押圧して左側成形体の型穴と右側成形体の型穴とによってしゃり玉を形成している。
【特許文献1】特開平11−056274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、左側成形体と右側成形体とで帯状の米飯を左右から挟持して所定形状の米飯の塊を形成する場合には、押圧方向が左右の一方向でしかなく、実際の手での握りによる全方向からの押圧とは異なるために手作り感が乏しいという不具合があった。
【0009】
本発明者は、米飯などの食材を全方向的に押圧することにより手作り感を出すように研究開発を行った結果、本発明を成すに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の食品成形装置は、所定量に計量された食材を下方に投下する供給部と、この供給部から投下された食材を中央成形型枠と、この中央成形型枠の左側に設けた左側成形型枠と、中央成形型枠の右側に設けた右側成形型枠とで受け止めるとともに、左側成形型枠上の米飯と、右側成形型枠上の米飯を中央成形型枠上に折り返して食材を所定形状に成形する成形部とを備えた食品成形装置であって、左側成形型枠は、水平状態に突出させた左側回転軸に装着した左側支持型枠と左側押圧型枠とで構成するとともに、右側成形型枠は、水平状態に突出させた右側回転軸に装着した右側支持型枠と右側押圧型枠とで構成し、左側回転軸及び右側回転軸の回転に基づいて左側押圧型枠及び右側押圧型枠を回転させて、左側押圧型枠と、右側押圧型枠と、中央成形型枠とで食材を所定形状に押圧成形するように構成した。
【0011】
さらに、以下の点にも特徴を有するものである。すなわち、
(1)食材の押圧成形時に、中央成形型枠を上方に押し上げること。
(2)食材の押圧成形後、左側回転軸及び右側回転軸をさらに回転させて、左側押圧型枠とともに左側支持型枠と、右側押圧型枠とともに右側支持型枠を回転させるように構成したこと。
(3)食材は米飯であって、左側押圧型枠、右側押圧型枠、中央成形型枠には、米飯を握り飯形状に成形する成形面を設けたこと。
(4)供給部は食材をシート状として投下すること。
(5)シート状とした食材には中央成形型枠で支持される領域に具材を載置したこと。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、左側成形型枠は、水平状態に突出させた左側回転軸に装着した左側支持型枠と左側押圧型枠とで構成するとともに、右側成形型枠は、水平状態に突出させた右側回転軸に装着した右側支持型枠と右側押圧型枠とで構成し、左側回転軸及び右側回転軸の回転に基づいて左側押圧型枠及び右側押圧型枠を回転させて、左側押圧型枠と、右側押圧型枠と、中央成形型枠とで食材を所定形状に押圧成形するように構成したことによって、食材に対してあたかも手で握っているかのように押圧力を加えることができるので、手作り感を醸し出させることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の食品成形装置において、食材の押圧成形時に中央成形型枠を上方に押し上げることによって、食材に加える押圧力を全方向的とすることができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の食品成形装置において、食材の押圧成形後、左側回転軸及び右側回転軸をさらに回転させて、左側押圧型枠とともに左側支持型枠と、右側押圧型枠とともに右側支持型枠を回転させるように構成したことによって、左側成形型枠及び右側成形型枠の制御機構を簡潔とすることができ、コンパクトな食品成形装置とすることができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれか1項に記載の食品成形装置において、食材は米飯であって、左側押圧型枠、右側押圧型枠、中央成形型枠には、米飯を握り飯形状に成形する成形面を設けたことによって、手作り感の高いおにぎりを形成することができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の食品成形装置において、供給部が食材をシート状として投下することによって、食材による具材の包皮を容易に行うことができるだけでなく、シート状に広げられた食材を所定形状の塊に成形することにより、食材の密度バラツキを抑制して、手作り感を向上させることができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の食品成形装置において、シート状とした食材には中央成形型枠で支持される領域に具材を載置したことによって、具材を食材で確実に包皮した食品を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の食品成形装置では、所定量に計量した食材を所定形状に押圧成形する食品成形装置であって、所定形状に押圧成形を、中央成形型枠と、この中央成形型枠の左側に設けた左側成形型枠と、中央成形型枠の右側に設けた右側成形型枠とを有する成形部で行っているものである。
【0019】
特に、成形部は食材を所定量に計量する供給部の下方位置に配置して、供給部から成形部に食材を投下することによって供給し、成形部では、供給された米飯を中央成形型枠と、左側成形型枠と、右側成形型枠とで押圧成形している。
【0020】
しかも、左側成形型枠は、水平状態に突出させた左側回転軸に装着した左側支持型枠と左側押圧型枠とで構成するとともに、右側成形型枠は、水平状態に突出させた右側回転軸に装着した右側支持型枠と右側押圧型枠とで構成して、左側回転軸及び右側回転軸の回転に基づいて左側押圧型枠及び右側押圧型枠を回転させることにより、左側成形型枠上の米飯と、右側成形型枠上の米飯を中央成形型枠上に折り返して、中央成形型枠と、左側成形型枠の左側押圧型枠と、右側成形型枠の右側押圧型枠とで米飯を押圧して、所定形状の成形を行っているものである。
【0021】
したがって、食材に対してあたかも手で握っているかのように押圧力を加えることができるので、製造された食品に手作り感を醸し出すことができる。
【0022】
このとき、左側支持型枠及び右側支持型枠は、左側回転軸及び右側回転軸によっては回転せず、押圧成形される食品の側面を支持して、所定形状への成形が行われるようにしている。
【0023】
また、中央成形型枠と、左側押圧型枠と、右側押圧型枠とで米飯を押圧成形する際には、左側押圧型枠及び右側押圧型枠の回転操作だけでなく、中央成形型枠を上方に押し上げる押上操作によって、食材をできるだけ全方向から押圧するようにしている。したがって、製造された食品に手作り感をより醸し出すことができる。
【0024】
食材の押圧成形後には、左側回転軸及び右側回転軸をさらに回転させて、左側押圧型枠とともに左側支持型枠と、右側押圧型枠とともに右側支持型枠を回転させ、左側押圧型枠及び右側押圧型枠を、初期位置に復帰させている。
【0025】
すなわち、左側押圧型枠及び右側押圧型枠を逆回転させて初期位置に復帰させるのではなく、順方向に回転させて初期位置に復帰させることにより、左側押圧型枠及び右側押圧型枠の復帰機構を簡潔とすることができ、食品成形装置のコンパクト化を図ることができる。
【0026】
以下において、図面に基づいて本発明の実施形態を詳説する。なお、以下においては、食品成形装置はおにぎり成形装置として説明するが、本発明はおにぎりに限定されるものではなく、肉まんなどのような具材が皮材によって被覆された食材の製造に適用することができるものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0027】
図1は、本実施形態のおにぎり成形装置の概略模式図である。おにぎり成形装置は、米飯を供給する供給部10と、この供給部10から供給された米飯を所定形状に成形する成形部20とこの成形部20で成形された米飯を排出する排出部30とで構成している。
【0028】
供給部10は、米飯を収容したホッパー11と、このホッパー11から供給された米飯を解しながら送給して所定量の計量を行う計量器12と、この計量器12で計量された所定量の米飯を搬送する搬送コンベア13と、この搬送コンベア13で搬送されている米飯をシート状に引き延ばす成形ローラ14を備え、成形ローラ14によってシート状とされたシート状米飯Rを成形部20に投入している。
【0029】
図1中、15は、米飯補給器であって、米飯を収容した櫃箱16を棚板17に載置すると、この棚板17を上昇させて、ホッパー11上で櫃箱16を引っ繰り返すことによって櫃箱16内の米飯をホッパー11に供給可能としている。
【0030】
計量器12では、ホッパー11から解されて供給された米飯を受け止めるシャッター(図示せず)を設けており、このシャッターで支持した米飯の重量を計測して、所定量に達したところでシャッターを開くことにより、所定量に計量された米飯を搬送コンベア13に投下している。
【0031】
成形ローラ14によって形成されたシート状米飯Rは、搬送コンベア13の先端まで搬送されると、シート状米飯Rを検知するシート状米飯検知センサ部18で検知され、搬送コンベア13の先端下方位置に設けた成形部20に投下される。
【0032】
成形部20にシート状米飯Rを投下する場合には、シート状米飯Rを搬送しながら搬送コンベア13の先端部を後退させることにより、速やかに投入することができる。
【0033】
成形部20では、後述するようにシート状米飯Rをおにぎり形状に成形して排出部30の排出コンベア31に受け渡し、排出コンベア31で成形されたおにぎりを後工程へと搬送するようにしている。
【0034】
なお、搬送コンベア13で搬送されているシート状米飯Rに所要の具材を載置することにより、具材入りおにぎりを容易に製造することができる。具材の載置は、図示しない適宜の具材供給装置によって行ってもよいし、場合によっては作業者が手作業で載置してもよい。
【0035】
以下において、本発明の要部である成形部20について詳説する。成形部20は、図2に示すように、中央成形型枠21と、左側支持型枠22aと左側押圧型枠22bとで構成した左側成形型枠22と、右側支持型枠23aと右側押圧型枠23bとで構成した右側成形型枠23とを備えており、左側成形型枠22と右側成形型枠23とは前側フレーム24と後側フレーム25との間に回転自在に架設している。
【0036】
中央成形型枠21は、平面視角丸三角形状であって、上面におにぎりの外形形状となる凹状に湾曲させた第1成形面P1を設けている。中央成形型枠21は、中央成形型枠支持体26の上部に上下方向に進退自在に装着しており、特に、中央成形型枠支持体26の内部に設けた付勢バネで上方向に付勢している。
【0037】
さらに、中央成形型枠21は、図示しない昇降機構によって中央成形型枠支持体26自体を昇降させることによって昇降するようにしている。
【0038】
右側支持型枠23aと右側押圧型枠23bは、図3の断面図に示すように、水平状態に突出させた右側回転軸に装着して回転するようにしており、特に、右側回転軸は右側押圧型枠23bを回転操作する第1回転軸41と、この第1回転軸41が挿貫された円筒状の第2回転軸42で構成し、第2回転軸42によって右側支持型枠23aを回転操作するようにしている。
【0039】
すなわち、第1回転軸41は第1駆動モータ43と連動連結して第1駆動モータ43により回転駆動されるとともに、第2回転軸42は、第2回転軸42に装着した従動ギア45に噛合させた駆動ギア46を第2駆動モータ44で回転させることにより回転駆動されるようにしている。なお、本実施形態では、右側回転軸の基端側に右側支持型枠23aを配置し、右側回転軸の先端側に右側押圧型枠23bを配置しているが、これに限定されるものではなく、右側支持型枠23aと右側押圧型枠23bを逆に配置してもよい。
【0040】
図3中、47は第1回転軸41に装着した連動ギアであって、この連動ギア47を介して左側押圧型枠22bを回転駆動させる図示しない左側回転軸の第1回転軸を、同様の連結ギア(図示せず)を介して右側回転軸の第1回転軸41とは逆方向に回転駆動させている。
【0041】
また、図示しない左側回転軸の第2回転軸にも従動ギア45と同様のギアを装着するとともに、このギアと従動ギア45とを噛合させて、左側回転軸の第2回転軸を右側回転軸の第2回転軸42とは逆方向に回転駆動させている。
【0042】
中央成形型枠21の左側に配置した左側成形型枠22の左側支持型枠22a、及び中央成形型枠21の右側に配置した右側成形型枠23の右側支持型枠23aには、図2に示すように、隣り合った左側支持型枠22aと右側支持型枠23aとで、平面視角丸三角形状とした中央成形型枠21を挿通可能とした平面視角丸三角形状の挿通孔27を形成するように、左側支持壁27-1及び右側支持壁27-2を設けている。
【0043】
特に、左側支持壁27-1及び右側支持壁27-2は、周方向に沿ってそれぞれ所定の長さだけ伸延させ、しかも先端に向けて先細り状とした周面壁状であって、左側支持壁27-1及び右側支持壁27-2の内側面を左側押圧型枠22b及び右側押圧型枠23bにそれぞれ摺接させて、左側押圧型枠22b及び右側押圧型枠23bをそれぞれ円滑に回転可能としている。
【0044】
左側押圧型枠22b及び右側押圧型枠23bには、図4に示すように、左側支持型枠22a及び右側支持型枠23aに向けて先細り状に突出させた左側円錐壁28-1及び右側円錐壁28-2を設けており、この左側円錐壁28-1及び右側円錐壁28-2の一部に左側支持型枠22a及び右側支持型枠23aに向けて突出させた左側押圧体29-1及び右側押圧体29-2を設けている。
【0045】
左側円錐壁28-1及び右側円錐壁28-2は、左側支持壁27-1及び右側支持壁27-2の内周面に摺接させている。また、左側押圧体29-1及び右側押圧体29-2には、回転方向の前方側の側面に、おにぎりの外形形状となる凹状に湾曲させた第2成形面P2及び第3成形面P3を設けている。第2成形面P2と第3成形面P3は、第2成形面P2と第3成形面P3で上記した中央成形型枠21の第1成形面P1と対応するようにしている。
【0046】
上記のように構成した成形部20でのオニギリの形成方法について詳説する。まず、図5に示すように、成形部20では、中央成形型枠21を上昇させるとともに、左側押圧型枠22bの第2成形面P2及び右側押圧型枠23bの第3成形面P3が上方を向くように左側押圧型枠22b及び右側押圧型枠23bを回転させ、中央成形型枠21の第1成形面P1と、第2成形面P2と、第3成形面P3とで、供給部10から投下されたシート状米飯Rを受け止める米飯受け面を形成する。
【0047】
このとき、左側支持型枠22a及び右側支持型枠23aは、左側押圧型枠22bと右側押圧型枠23bとで挿通孔27を形成するとともに、この挿通孔27に中央成形型枠支持体26を挿通させた状態とする。
【0048】
このような、左側支持型枠22a、右側支持型枠23a、左側押圧型枠22b、右側押圧型枠23bの状態を初期位置と呼ぶことにする。図5中、Gはシート状米飯Rに載置した具材である。具材Gは、シート状米飯Rの中央成形型枠21で支持される領域に載置することが望ましい。
【0049】
次いで、供給部10からシート状米飯Rが投下されて米飯受け面で受け止めた成形部20では、中央成形型枠21を、左側支持型枠22aと右側支持型枠23aとで形成した挿通孔27部分まで降下させるとともに、左側押圧型枠22b及び右側押圧型枠23bをそれぞれ回転させて、左側押圧型枠22b及び右側押圧型枠23bで支持していたシート状米飯Rの端縁を図6に示すように中央成形型枠21上に折り返すようにしている。
【0050】
次いで、成形部20では、中央成形型枠21を、左側支持型枠22aと右側支持型枠23aとで形成した挿通孔27の下端近傍まで降下させるとともに、左側押圧型枠22b及び右側押圧型枠23bをそれぞれさらに回転させて、左側押圧型枠22b及び右側押圧型枠23bで支持していたシート状米飯Rの端縁を図7に示すように中央成形型枠21上に完全に折り返し、左側押圧型枠22bの第2成形面P2と右側押圧型枠23bの第3成形面P3とを、中央成形型枠21の第1成形面P1と対向させて、左側押圧型枠22b及び右側押圧型枠23bの回転を停止させている。
【0051】
次いで、成形部20では、中央成形型枠支持体26を上昇させて、中央成形型枠21の第1成形面P1と、左側押圧型枠22bの第2成形面P2と、右側押圧型枠23bの第3成形面P3と、左側支持型枠22aの左側支持壁27-1と、右側支持型枠23aの右側支持壁27-2とでシート状米飯Rを押圧して、図8に示すようにおにぎりTを形成している。
【0052】
このとき、中央成形型枠支持体26内に設けた付勢バネ49で上方に向けて付勢された中央成形型枠21は、シート状米飯Rに対する押圧力の反作用によって降下する。付勢バネ49のバネ係数を調整するとともに、中央成形型枠支持体26の上昇量を調整することによって、シート状米飯Rに対する押圧力を調整できる。
【0053】
次いで、成形部20では、中央成形型枠支持体26を降下させるとともに、左側支持型枠22aと右側支持型枠23aとを回転させて中央成形型枠21上のおにぎりTを挿通孔27の下方から抜き出すとともに、左側押圧型枠22b及び右側押圧型枠23bをそれぞれ回転させて、左側支持型枠22a、右側支持型枠23a、左側押圧型枠22b、右側押圧型枠23bをそれぞれ初期位置に復帰させている。
【0054】
この動作を繰り返すことにより、おにぎりTを連続的に形成することができる。成形部20から抜き出されたおにぎりTは、図示しない押送体で中央成形型枠21上から排出部30の排出コンベア31上に受け渡され、排出コンベア31によって後工程へと搬送されるようにしている。
【0055】
以上のように、左側押圧型枠22bと、右側押圧型枠23bと、中央成形型枠21とでシート状米飯Rを所定形状に押圧成形するように構成したことによって、あたかも手で握っているかのようにシート状米飯Rに押圧力を加えることができるので、手作り感を醸し出したおにぎりTを製造することができる。
【0056】
特に、シート状米飯Rの押圧成形時には、おにぎりTの上側面を左側押圧型枠22bの第2成形面P2と、右側押圧型枠23bの第3成形面P3とで押圧するとともに、中央成形型枠21を上方に押し上げて押圧することにより、おにぎりTの中心部に押圧力が集中することがなく、押圧力を全方向的とすることができるので、ふっくらとしたおにぎりTとすることができる。
【0057】
しかも、おにぎりTに内包される具材Gは、シート状米飯Rの中央成形型枠21上の領域にあらかじめ載置して置くことにより、米飯で確実に包皮することができ、手作り感の高いおにぎりTとすることができる。
【0058】
そのうえ、シート状米飯Rを具材Gに巻き付けるようにしていることによって、たとえば天むすなどのエビフライのように、比較的寸法の大きい具材Gの一部を米飯から露出させながら具材Gを米飯で被覆することができ、各種の具材Gに適用することができる。
【0059】
さらに、米飯は供給部10においてシート状のシート状米飯Rとしたことによって、シート状米飯Rで具材Gを確実に被覆することができるだけでなく、米飯に密度バラツキを生じさせることなくおにぎりTとすることができるので、食感が高く、しかも手作り感を向上させたおにぎりTを製造することができる。
【0060】
また、おにぎりTの形成後、左側押圧型枠22b及び右側押圧型枠23bを逆回転させるのではなく、左側押圧型枠22bと右側押圧型枠23bを、左側支持型枠22aと右側支持型枠23aとともに回転方向にそのまま回転させて初期状態に復帰させることにより、左側成形型枠22及び右側成形型枠23の制御機構を簡潔とすることができ、コンパクトな食品成形装置とすることができる。
【0061】
しかも、形成したおにぎりTからの、左側支持型枠22a、右側支持型枠23a、左側押圧型枠22b、右側押圧型枠23bからの型離れを円滑に行うことができ、中央成形型枠21上からおにぎりTが転落することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態にかかる食品成形装置の概略模式図である。
【図2】成形部の分解斜視図である。
【図3】成形部の縦断面図である。
【図4】左側押圧型枠及び右側押圧型枠の説明図である。
【図5】成形部での成形工程説明図である。
【図6】成形部での成形工程説明図である。
【図7】成形部での成形工程説明図である。
【図8】成形部での成形工程説明図である。
【図9】成形部での成形工程説明図である。
【符号の説明】
【0063】
10 供給部
20 成形部
21 中央成形型枠
22a 左側支持型枠
22b 左側押圧型枠
22 左側成形型枠
23 右側成形型枠
23a 右側支持型枠
23b 右側押圧型枠
24 前側フレーム
25 後側フレーム
26 中央成形型枠支持体
27 挿通孔
30 排出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量に計量された食材を下方に投下する供給部と、
この供給部から投下された食材を中央成形型枠と、この中央成形型枠の左側に設けた左側成形型枠と、前記中央成形型枠の右側に設けた右側成形型枠とで受け止めるとともに、前記左側成形型枠上の米飯と、前記右側成形型枠上の米飯を前記中央成形型枠上に折り返して前記食材を所定形状に成形する成形部と
を備えた食品成形装置であって、
前記左側成形型枠は、水平状態に突出させた左側回転軸に装着した左側支持型枠と左側押圧型枠とで構成するとともに、
前記右側成形型枠は、水平状態に突出させた右側回転軸に装着した右側支持型枠と右側押圧型枠とで構成し、
前記左側回転軸及び前記右側回転軸の回転に基づいて前記左側押圧型枠及び前記右側押圧型枠を回転させて、前記左側押圧型枠と、前記右側押圧型枠と、前記中央成形型枠とで前記食材を所定形状に押圧成形するように構成した食品成形装置。
【請求項2】
前記食材の押圧成形時に、前記中央成形型枠を上方に押し上げることを特徴とする請求項1記載の食品成形装置。
【請求項3】
前記食材の押圧成形後、前記左側回転軸及び前記右側回転軸をさらに回転させて、前記左側押圧型枠とともに前記左側支持型枠と、前記右側押圧型枠とともに前記右側支持型枠を回転させるように構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品成形装置。
【請求項4】
前記食材は米飯であって、前記左側押圧型枠、前記右側押圧型枠、前記中央成形型枠には、前記米飯を握り飯形状に成形する成形面を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の食品成形装置。
【請求項5】
前記供給部は、前記食材をシート状として投下することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の食品成形装置。
【請求項6】
前記シート状とした食材には、前記中央成形型枠で支持される領域に具材を載置したことを特徴とする請求項5記載の食品成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−49937(P2007−49937A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237481(P2005−237481)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(000236746)不二精機株式会社 (48)
【Fターム(参考)】