説明

食品搬送システム及び振動式コンベヤ

【課題】重なって供給された平たい形状の多数の食品を搬送方向にずらすことができる食品搬送システム及び振動式コンベヤを提供する。
【解決手段】本発明による食品搬送システム(1)は、多数のポテトチップ(F)を供給する供給装置(2)と、供給装置(2)によって供給されたポテトチップ(F)を搬送方向(4)に搬送する本発明による振動式コンベヤ(6)を有する。振動式コンベヤ(6)は、搬送方向(4)に延び且つ幅を有する搬送面(30)と、搬送面(30)の上に重なるように供給装置(2)によって供給された多数のポテトチップ(F)を搬送方向(4)にずらすために、搬送面(30)から突出した複数の突起部(36)を有する。突起部(36)の各々は、搬送方向(4)を横切る方向に延び、複数の突起部(36)は、搬送方向(4)に間隔をおいて設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動式コンベヤ及びそれを有する食品搬送システムに係わり、更に詳細には、平たい形状の多数の食品を搬送する振動式コンベヤ及びそれを有する食品搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポテトチップ、スナック菓子等の平たい形状のフライ食品を、振動式コンベヤによって搬送することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−169623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、フライ後のポテトチップは、重なった状態で振動式コンベヤに供給される。次いで、ポテトチップは、振動式コンベヤの下流側の工程において、調味料で味付けされたり、チョコレートやチーズ等でトッピングされたりする。調味料で味付けする場合、ポテトチップは、ドラム内で調味料と一緒に混合される。従って、ポテトチップが振動式コンベヤ上で重なっていることはあまり問題とならない。他方、ポテトチップをチョコレート等でトッピングする場合、ポテトチップは、振動式コンベヤの下流側に配置された搬送コンベヤで搬送される間に、トッピング材料が上方から供給される。この場合、ポテトチップが完全に重なっていると、下側のポテトチップにトッピング材料が供給されないことになる。また、ポテトチップ同士の間をあけて搬送すると、生産量が減少し、搬送コンベヤを長くする必要があると共に、トッピング材料が搬送コンベヤを汚すことがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、重なって供給された平たい形状の多数の食品を搬送方向にずらすことができる食品搬送システム及び振動式コンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による食品搬送システムは、平たい形状の多数の食品を供給する供給装置と、供給装置によって供給された食品を搬送方向に搬送する振動式コンベヤと、を有し、振動式コンベヤは、搬送方向に延び且つ幅を有する搬送面と、搬送面の上に重なるように供給装置によって供給された平たい形状の多数の食品を搬送方向にずらすために、搬送面から突出した複数の突起部と、を有し、突起部の各々は、搬送方向を横切る方向に延び、複数の突起部は、搬送方向に間隔をおいて設けられることを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明の食品搬送システムでは、平たい形状の多数の食品が、供給装置によって重なるように振動式コンベヤの搬送面に供給される。搬送面上の多数の食品は、振動式コンベヤによって搬送方向に搬送される。重なっている食品のうち下側の食品は、搬送方向を横切る方向に延びるように搬送面から突出した突起部によって、搬送方向の移動が妨げられる。これに対して、重なっている食品のうち上側の食品は、下側の食品の上を滑るように搬送方向に移動する。その結果、重なって供給された平たい形状の多数の食品を搬送方向にずらすことができる。
【0008】
本発明による食品搬送システムの実施形態において、好ましくは、突起部の各々は、搬送方向を横切る方向に搬送面の幅全体にわたって連続して延びる。
【0009】
本発明による食品搬送システムの実施形態において、好ましくは、突起部の少なくとも1つは、搬送方向を横切る方向に間隔をおいて設けられた少なくとも2つの部分を有する。
【0010】
このように構成された食品搬送システムでは、平たい形状の食品が、間隔が設けられている部分を通して下流方向に移動することができる。それにより、下側の食品は、突起部によって搬送方向の移動を妨げられ、上側の食品を効果的にずらすことができると共に、その後、幅方向に移動して、下流方向への移動を確保することができる。
【0011】
本発明による食品搬送システムの実施形態において、好ましくは、突起部の断面形状は、三角形、半円形、又は台形である。
【0012】
本発明による食品搬送システムの実施形態において、好ましくは、複数の突起部の高さは、搬送方向上流側から下流側に向かって減少する。
【0013】
このように構成された食品搬送システムでは、下側の平たい形状の食品の移動速度を変えることなしに、上側の平たい形状の食品の上流側の移動速度を下流側の移動速度よりも遅くすることができるので、平たい形状の食品を効率的にずらすことができる。
【0014】
また、本発明による食品搬送システムの実施形態において、好ましくは、隣接した突起部の搬送方向の間隔は、搬送方向上流側から下流側に向かって増大又は減少する。
【0015】
このように構成された食品搬送システムでは、振動式コンベヤの上流側において、下側の平たい形状の食品の移動速度を比較的遅くして、上側の平たい形状の食品をずらした後、振動式コンベヤの下流側において、平たい形状の食品全体を比較的速い速度で搬出させることができる。
【0016】
また、本発明による食品搬送システムの実施形態において、好ましくは、更に、振動式コンベヤの下流側に配置された搬送コンベヤと、搬送コンベヤの上方に配置されたトッピング装置を有する。
【0017】
また、上記目的を達成するために、本発明による振動式コンベヤは、重なるように供給された平たい形状の多数の食品を搬送する振動式コンベヤであって、搬送方向に延び且つ幅を有する搬送面と、重なるように搬送面に供給された平たい形状の食品を搬送方向にずらすために、搬送面から突出した複数の突起部と、を有し、突起部の各々は、搬送方向を横切る方向に延び、複数の突起部は、搬送方向に間隔をおいて設けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明による食品搬送システム及び振動式コンベヤによれば、重なって供給された平たい形状の多数の食品を搬送方向にずらすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図面を参照して、本発明による食品搬送システム及び振動式コンベヤの実施形態を説明する。図1は、本発明による食品搬送システムの実施形態の概略的な正面図である。図2は、本発明による振動式コンベヤの実施形態の概略的な平面図である。
【0020】
図1に示すように、食品搬送システム1は、平たい形状の多数の食品であるポテトチップFを供給する供給装置2と、供給装置2によって供給されたポテトチップFを搬送方向4に搬送する振動式コンベヤ6と、振動式コンベヤ6の下流側に配置された搬送コンベヤ8と、搬送コンベヤ8の上方に配置されたトッピング装置10とを有している。振動式コンベヤ6は、本発明による振動式コンベヤの実施形態である。
【0021】
供給装置2は、図示のように、多数のポテトチップFを振動式コンベヤ6に供給する搬送コンベヤであってもよいし、そのように機能するホッパー等(図示せず)であってもよい。
【0022】
また、トッピング装置10は、溶融したチョコレートやチーズ等の液状のトッピング材料を食品に連続的に又は間欠的にポテトチップの上に供給するための装置であってもよいし、固形のチョコレートやチーズ等の固形のトッピング材料をポテトチップするための装置であってもよい。
【0023】
振動式コンベヤ6は、設置面12に対して台13及びコイルバネ14を介して取り付けられたベースフレーム16と、ベースフレーム16に板バネ18を介して取り付けられた搬送部20と、搬送部20に振動を加えるためにベースフレーム16に取り付けられた振動発生部22とを有している。
【0024】
振動発生部22は、ベースフレーム16に取り付けられたモータ22aと、モータ22aからの動力が伝動される偏心回転部22bと、偏心回転部22bと搬送部20とを連結する連結部22cとを有している。モータ22aの回転により、偏心回転部22bが偏心回転し、この偏心回転が連結部22cを介して搬送部20に搬送方向4の振動として伝達される。
【0025】
コイルバネ14は、上記振動が設置面12に伝わることを防止するように構成されたバネである。コイルバネ14は、その他任意の形態の弾性部材であってもよい。板バネ18は、搬送方向4の振動周波数を所望の値にするように構成されたバネである。板バネ18は、その他任意の形態の弾性部材とリンクを組合せたものであってもよい。
【0026】
図1及び図2に示すように、搬送部20は、搬送方向4に延び且つ幅30aを有する搬送面30と、搬送面30の幅方向32両側に配置された壁部材34とを有している。本実施形態では、搬送面30及び壁部材34は、ステンレス板材で形成されており、幅30aは搬送方向4に一定である。
【0027】
搬送部20は、更に、搬送面30から突出した複数の突起部36を有している。突起部36の各々は、搬送面30の上に重なるように供給装置2によって供給されたポテトチップFを搬送方向4にずらすために、搬送方向4を横切る方向に延びている。また、複数の突起部36は、搬送方向4に間隔Pをおいて設けられている。本実施形態では、突起部36の各々は、搬送方向4を横切る方向に搬送面30の幅全体にわたって連続して延びている。突起部36の断面形状は、本実施形態では、三角形である。三角形の底辺の長さL及び高さHは、全て共通であり、適当に定められる。例えば、三角形の底辺の長さLは、5〜35mmであり、高さHは、2〜18mmである。また、隣接した突起部36の間隔Pは一定であり、例えば、30〜350mmである。また、複数の突起部36の数は、適当に定められ、本実施形態では、5つである。
【0028】
次に、上述した食品搬送システムの動作を説明する。
【0029】
ポテトチップFを供給装置2によって振動式コンベヤ6に供給する。供給されたポテトチップFは、振動式コンベヤ6の搬送面30の上で10〜20層に重なっている。ポテトチップFの供給は、ポテトチップFが振動式コンベヤ6に滞留しなければ、連続方式であっても、バッチ方式であってもよい。
【0030】
次いで、ポテトチップFは、振動式コンベヤ6の振動によって搬送方向4に搬送される。重なっているポテトチップFのうち下側のポテトチップは、搬送方向4を横切る方向に延びるように搬送面30から突出した突起部36によって、搬送方向4の移動が妨げられる。これに対して、重なっているポテトチップFのうち上側のポテトチップは、下側のポテトチップの上を滑るように搬送方向4に移動する。かくして、上側にあるポテトチップが下側にあるポテトチップに対して搬送方向にずらされる。例えば、バッチ方式によって、多数のポテトチップの1つの塊のように振動式コンベヤ6に供給されたポテトチップFは、振動式コンベヤ6によって搬送されるうちに、次第に搬送方向4に広がるようにずらされ、全体的に細長い範囲に分布する。
【0031】
次いで、ポテトチップFは、ずらされた状態で搬送コンベヤ8に搬送され、トッピング材料がトッピング装置10によってポテトチップFの上に供給される。重なっていたポテトチップFがずらされているので、まったくトッピング材料が供給されないポテトチップFが生産されるおそれを軽減することができる。
【0032】
次に、本発明による食品搬送システムの変形実施形態を説明する。図3は、振動式コンベヤの搬送部の変形実施形態の概略的な正面図である。また、図4及び図5は、振動式コンベヤの搬送部の変形実施形態の概略的な平面図である。
【0033】
図3に示すように、複数の突起部36の高さH1〜H5は、搬送方向上流側から下流側に向かって減少していてもよい。ここで、搬送方向上流側から下流側に向かって減少するとは、少なくとも1組の隣接した突起部36において、下流側の突起部36が上流側の突起部36よりも低く(例えば、H4>H5)、その他の隣接した突起部36の高さが等しくてもよい(例えば、H1=H2=H3=H4)。このようにすることによって、下側のポテトチップの移動速度を変えることなしに、上側のポテトチップの上流側の移動速度を下流側の移動速度よりも遅くすることができるので、ポテトチップを効率的にずらすことができる。
【0034】
また、図4に示すように、隣接した突起部36の搬送方向4の間隔P1〜P4は、搬送方向上流側から下流側に向かって増大していてもよい。ここで、搬送方向上流側から下流側に向かって増大するとは、少なくとも1組の隣接した間隔において、下流側の間隔が上流側の間隔よりも大きく(例えば、P3<P4)、その他の隣接した間隔が等しくてもよい(例えば、P1=P2=P3)。この場合、最小の間隔から最大の間隔を、例えば100〜200mmから350mmに増大させる。また、それとは逆に、隣接した突起部36の搬送方向4の間隔P1〜P4は、搬送方向上流側から下流側に向かって減少していてもよい(図示せず)。この場合、最大の間隔から最小の間隔を、例えば100〜200mmから30mmへ減少させる。即ち、ポテトチップを搬送する場合、間隔が100〜200mmのとき、それよりも間隔が広い場合及び狭い場合と比べて、搬送速度が遅くなる。このようにすることによって、搬送部20の上流側において、下側のポテトチップFの移動速度を比較的遅くして、上側のポテトチップFをずらした後、搬送部20の下流側において、ポテトチップF全体を比較的速い速度で搬出させることができる。
【0035】
また、図5に示すように、突起部36の少なくとも1つ36a〜36dは、搬送方向を横切る方向に間隔をおいて設けられた少なくとも2つの部分40a〜40dを有していてもよい。図5の実施形態では、搬送部20は、幅方向中央に間隔S1を設けた2つの部分40aを有する突起部36a、幅方向両側に2つの間隔S2を設けた3つの部分40bを有する突起部36b、幅方向中央と両側に3つの間隔S3を設けた4つの部分40cを有する突起部36cを有している。このようにすることにより、下側のポテトチップFは、突起部36a〜36cの部分40a〜40cによって搬送方向の移動を妨げられ、上側のポテトチップFを効果的にずらすことができると共に、その後、幅方向に移動して、間隔S1〜S3を通って下流方向に移動することを確保することができる。特に、突起部36a〜36cの高さが高いときに効果的である。また、搬送部20は、幅方向中央に間隔S4を設けた2つの部分40dを有し且つ搬送方向4に対して斜めに延びる突起部36dを有している。このようにすることにより、ポテトチップFの幅方向32の移動を促進させることができる。これらの突起部36a〜36dの構成の組合せは任意である。
【0036】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0037】
上記実施形態では、突起部の断面形状を三角形としたけれども、その形状は任意であり、半円形又は台形等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による食品搬送システムの実施形態の概略的な正面図である。
【図2】本発明による振動式コンベヤの搬送部の実施形態の概略的な平面図である。
【図3】振動式コンベヤの搬送部の変形実施形態の概略的な正面図である。
【図4】振動式コンベヤの搬送部の変形実施形態の概略的な平面図である。
【図5】振動式コンベヤの搬送部の変形実施形態の概略的な平面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 食品搬送システム
2 供給装置
4 搬送方向
6 振動式コンベヤ
20 搬送部
30a 幅
30 搬送面
36 突起部
40a〜40d 突起部の部分
F 食品
H 突起部の高さ
P 突起部の搬送方向の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平たい形状の多数の食品を供給する供給装置と、前記供給装置によって供給された食品を搬送方向に搬送する振動式コンベヤと、を有する食品搬送システムであって、
前記振動式コンベヤは、搬送方向に延び且つ幅を有する搬送面と、前記搬送面の上に重なるように前記供給装置によって供給された平たい形状の多数の食品を搬送方向にずらすために、前記搬送面から突出した複数の突起部と、を有し、前記突起部の各々は、搬送方向を横切る方向に延び、前記複数の突起部は、搬送方向に間隔をおいて設けられることを特徴とする食品搬送システム。
【請求項2】
前記突起部の各々は、搬送方向を横切る方向に前記搬送面の幅全体にわたって連続して延びることを特徴とする請求項1に記載の食品搬送システム。
【請求項3】
前記突起部の少なくとも1つは、搬送方向を横切る方向に間隔をおいて設けられた少なくとも2つの部分を有することを特徴とする請求項1に記載の食品搬送システム。
【請求項4】
前記突起部の断面形状は、三角形、半円形、又は台形であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の食品搬送システム。
【請求項5】
前記複数の突起部の高さは、搬送方向上流側から下流側に向かって減少することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の食品搬送システム。
【請求項6】
隣接した前記突起部の搬送方向の間隔は、搬送方向上流側から下流側に向かって増大又は減少することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の食品搬送システム。
【請求項7】
重なるように供給された平たい形状の多数の食品を搬送する振動式コンベヤであって、
搬送方向に延び且つ幅を有する搬送面と、
前記搬送面の上に重なるように供給された平たい形状の食品を搬送方向にずらすために、前記搬送面から突出した複数の突起部と、を有し、
前記突起部の各々は、搬送方向を横切る方向に延び、前記複数の突起部は、搬送方向に間隔をおいて設けられることを特徴とする振動式コンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−207393(P2009−207393A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52320(P2008−52320)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(591115578)カルビー株式会社 (28)
【Fターム(参考)】