説明

食品改良材及びその改良材を用いた加工食品

【課題】 コンニャクを利用し、食感、保湿及び保存の各面において優れた食品改良材及びその改良材を用いた加工食品を提供する。
【解決手段】 食物繊維の1種であるグルコマンナンを主成分とした食品改良材をパンや麺類等に配合して、糖尿病、高血圧症、高コレステロール症又は便秘等の各症状の改善が可能で低カロリーといったグルコマンナン特有の効能を備え、食感、保湿性及び保存性に優れた各種加工食品を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品改良材及びその改良材を用いた加工食品に関し、特に、グルコマンナンを利用した食品改良材及びその改良材を用いた加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
コンニャクにはグルコマンナンと呼ばれる食物繊維が含まれており、このグルコマンナンの健康における効能が従来からよく知られている。
例えば、グルコマンナンは、水を吸収しやすい性質から、食すると胃の中でふくらんで満腹感を与えてくれるので、摂取カロリーをカットし、ダイエットに効果がてき面である。その他にも、グルコマンナンは、糖尿病、高血圧症、高コレステロール症又は便秘等の各症状の改善等、様々な効果がある。
昨今、このようなグルコマンナンの効能に注目し利用した加工食品が数多く見られるようになってきた。
例えば、グルコマンナンをゼリーや麺類、パン等に入れて、ダイエット効果をうたったもの等様々なグルコマンナンの加工食品が提供されている。
【0003】
このようなグルコマンナンを利用した加工食品に関するものとして、特許文献1が開示するところの加工食品が提案されている。
この特許文献1の加工食品には、1mm〜15mmとなるように切断されたこんにゃく片が含まれている。この加工食品を摂食することで、パンの主原料である小麦粉には含まれない繊維質、ミネラル、必須アミノ酸を豊富に摂取することができ、かつ低カロリーという効果がある。
【特許文献1】特開2004−229638
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、その特許文献1に開示される加工食品には、食感、保湿、保存の各面で問題がある。
このうち食感の面では、その加工食品には、切断したこんにゃくのかけらが含まれているので、摂食すると、口の中でパンとこんにゃくが分離し、こんにゃくのコロコロとした食感が残り食べづらいという問題がある。
また、こんにゃく自体には保湿(保水)効果あるが、そのまま放置すると、パン自体が乾燥してしまい食べづらくなる。特に航空機の機内食のような飲料水が十分にとりづらい場合にはその問題が顕著となる。また、病人や高齢者等、食べ物を飲み込むのが困難な人にとっても、このような問題は無視できない。
また、パン自体は、冷凍・解凍が可能であり長期間の保存が可能であるが、こんにゃくは1度冷凍し解凍すると、その保水効果が失われ食感が悪化してしまう。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、コンニャクを利用し、食感、保湿及び保存の各面において優れた食品改良材及びその改良材を用いた加工食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するため、本発明は、所定の食品に混入し又は合わせて加工食品を製造する食品改良材であって、コンニャク粉微粉、植物繊維、植物タンパク、カルシウム化合物及びデンプンを所定の比率で含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明によれば、前述の食品改良材は、個々の粒径が125〜200μmのコンニャク粉微粉を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明によれば、前述の食品改良材(食品改良材A)は、コンニャク粉微粉、植物繊維、植物タンパク、カルシウム化合物及びデンプンをそれぞれ、18〜22重量%、8〜12重量%、0.8〜1.2重量%、0.8〜1.2重量%、67〜69重量%の比率で含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明によれば、前述の食品改良材(食品改良材B)は、コンニャク粉微粉、植物繊維、植物タンパク、カルシウム化合物及びデンプンをそれぞれ、15〜20重量%、12〜18重量%、0.8〜1.2重量%、0.04〜0.06重量%、65〜67重量%の比率で含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明によれば、前述の食品改良材(食品改良材C)は、コンニャク粉微粉、植物繊維、植物タンパク、カルシウム化合物及びデンプンをそれぞれ、5〜10重量%、0重量%、0.8〜1.2重量%、0.04〜0.06重量%、89〜94重量%の比率で含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前述の食品改良材を含有する加工食品であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明における加工食品は、70〜75重量%の下味スープに、10重量%の魚介類のすり身及び15〜20重量%の食品改良材Aを混入して加熱凝固させたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明における加工食品は、75〜90重量%の所定の風味のスープに、10〜25重量%の食品改良材Aを混入して加熱凝固させたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明における加工食品は、90〜95重量%のパン生地に、5〜10重量%の食品改良材Bを混入して焼き上げたことを特徴とする加工食品。
【0015】
また、本発明における加工食品は、30〜40重量%の麺粉又はパスタ粉に、2〜5重量%の食品改良材B及び55〜68重量%の水を加えて練り込み、成型したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明における加工食品は、40〜65重量%の水に、15〜20重量%の食品改良材A及び20〜40重量%の米粉を加え、粒状に成型して蒸し上げたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明における加工食品は、95〜97重量%の果実水に、3〜5重量%の食品改良材Cを加え、加熱凝固させたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明における加工食品は、99〜99.7重量%の餃子又はシューマイの生地に、0.3〜1重量%の食品改良材Bを均一に混入し、成型したことを特徴とする。
【0019】
また、本発明における加工食品は、60〜65重量%の所定の風味のスープに、10〜15重量%の食品改良材A及び25〜30重量%の具材を加え、練り上げ、成型し、具材には、蓄肉のミンチ、魚介肉のミンチ及び野菜の小片のうち少なくとも1つが含まれることを特徴とする。
【0020】
また、本発明における加工食品は、75重量%の魚肉又は蓄肉のミンチ又は小片に、25重量%の食品改良材Aを加え、練り上げたものを、所定の動物の腸に詰めて成型したことを特徴とする。
【0021】
また、本発明における加工食品は、97〜99.5重量%の饅頭皮又はケーキの原料粉に、0.5〜3重量%の食品改良材Bを加えたものを原料粉とすることを特徴とする。
【0022】
また、本発明における加工食品は、97〜98重量%のクッキーの生地粉に、2〜3重量%の食品改良材を加えたものを原料粉とすることを特徴とする。
【0023】
また、本発明における加工食品は、97〜98重量%のついている途中の餅に、2〜3重量%の食品改良材Bを加えつき上げたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明における加工食品は、45〜48重量%の蕎麦粉、40重量%の小麦粉、2〜5重量%の食品改良材B、10重量%の水を混ぜ合わせて打ち込み、任意の太さで裁断したことを特徴とする。
【0025】
また、本発明における加工食品は、88〜90重量%の蕎麦粉、2重量%の食品改良材B、8〜10重量%の水を混ぜ合わせて打ち込み、任意の太さで裁断したことを特徴とする。
【0026】
また、本発明における加工食品は、75〜80重量%の所定の風味のスープに、15〜20重量%の食品改良材A及び5重量%の端材を加え、加熱凝固させたものを小片に成型したことを特徴とする。
【0027】
また、本発明における加工食品は、70〜75重量%の所定の風味のスープに、20〜25重量%の食品改良材A及び5重量%の具材を加え、加熱凝固させたことを特徴とする。
【0028】
また、本発明における加工食品は、60〜70重量%の水に、15〜20重量%の食品改良材A、10〜15重量%の植物性粉及び5〜10重量%のフリーズドライ加工した具材を加え、加熱凝固させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、コンニャク粉微粉、デンプン、植物繊維、植物タンパク及びカルシウム化合物を所定の比率で配合し様々な食材とあわせることで、糖尿病、高血圧症、高コレステロール症又は便秘等の各症状の改善や摂食カロリーの調整といったコンニャク特有の効能を備えるとともに、食感、保湿及び保存の各面において優れた加工食品を容易に製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本実施の形態では、食物繊維の1種であるグルコマンナンを主成分とした食品改良材をパンや麺類等に配合して、糖尿病、高血圧症、高コレステロール症又は便秘等の各症状の改善が可能で低カロリーといったグルコマンナン特有の効能を備え、食感、保湿性及び保存性に優れた各種加工食品を製造する。
【0031】
(1)食品改良材の製造工程
はじめに、その食品改良材の製造工程について説明する。
まず、コンニャク芋を裁断し乾燥させる。
この乾燥させたコンニャクチップを粉砕機にかけコンニャク精粉に加工する。
次に、このコンニャク精粉を超高速でパイプを循環させ、高純度・微粒子のコンニャク粉微粉を製造する。
そして、このコンニャク粉微粉に、それぞれ粉状のデンプン、植物繊維、植物タンパク及びカルシウム化合物を所定の配合比で加えて混合し、食品改良材を製造する。
【0032】
なお、このコンニャク粉微粉の個々の粒子の粒径は、125〜200μm程度であり、一般的なコンニャク粉微粉よりも粒径が小さい。従って、同重量のコンニャク粉微粉を用いるとき、全粒子の表面積の合計が、従来のものより大きくなるので、接触する水分を捕獲し保水する機能が向上している。
また、植物繊維は、大豆繊維、小麦繊維又はこれらの混合物等であってよい。
【0033】
(2)加工食品の製造工程
次に、前述のように製造した食品改良材を用いて、加工食品を製造する工程について説明する。
(1)の製造工程で製造した食品改良材に水を加えて混合し、撹拌して糊状とする。なお、このとき、水の代わりに、チキンスープ又はブイヨン等の各種スープ、あるいはシロップ等の他の水分を加えてもよい。
次に、その糊状の物質に、蓄肉や魚介類のすり身や固形の小片等を混入し撹拌して均一な状態にする。
その後、凝固剤の作用により、加熱凝固させることで各種加工食品が完成する。
【0034】
(3)食品改良材の配合比
この加工食品には、製造する加工食品の種類に応じて、混入する食品改良材の配合比を調整する。
表1には、その食品改良材の配合比が示されている(単位は重量%)。
【0035】
【表1】


【0036】
表に示すように、食品改良材は、コンニャク粉微粉、デンプン、植物繊維、植物タンパク及びカルシウム化合物が所定の比率で配合されている。
この配合比は、表に示す範囲で適宜変更し、最終的にデンプンで合計100%に調整するものとする。
また、表には、食品改良材A,B,Cと、配合比の異なる3種類の食品改良材が示されている。使用する食品改良材は、製造する加工食品の種類に応じて、これらの食品改良材から適宜選択される。
【0037】
なお、配合するデンプンの種類としては、タピオカデンプン、緑豆デンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、小麦デンプン、粳米デンプン、コーンスターチ又はワキシーコンスターチを用いてもよい。また、これらの各種デンプンを混合して用いてもよい。
また、植物タンパクとしては、大豆タンパクを用いてもよい。
また、カルシウム化合物としては、炭酸カルシウム又は水酸化カルシウムを用いてもよい。
また、この表に示すものの他に、増粘剤として、グアガム、ローカストビーンズガム、キサンタンガム又はカラギーナン等の多糖類のいずれか又はそれらの混合物を適宜加えてもよい。
例えば、これらの増粘剤は0.5〜1重量%程度加えてもよく、このときには、最終的にデンプン量で全体を100%に調整する。
【0038】
(4)効果
このように、食物繊維を豊富に含みかつ低カロリーである食品改良材を用いて加工食品を製造することにより、その食品本来の機能性及び食感を失うことなく、コレステロール過多、肥満、糖尿病、癌、高血圧といった各症状を効果的に予防及び改善することが可能となる。
また、本実施の形態における食品改良材を含む加工食品を摂食すると、この食品改良材中の食物繊維が腸内の発癌性物質や有害物質の濃度を希釈し、これらの物質の排泄を迅速にすることができる。
【0039】
また、本実施の形態における食品改良材を用いることにより、何度も冷解凍を繰り返しても、食感や品質を保つことができる高い耐冷凍性を備えた加工食品を製造することが可能となる。このことにより、今までは困難であったコンニャク加工食品の冷凍保存が可能となり、保存期間の延長を実現できる。
【0040】
また、食品改良材に水や材料を加え、撹拌して加熱凝固するといった簡便な加工作業でコンニャク加工食品を製造でき、その高い生産性を実現できる。
【0041】
また、食品改良材は、魚肉練り製品、蓄肉加工製品、麺製品類又は製菓製品等、様々な種類の食品に利用可能であり、汎用性が高い。
【0042】
また、食品改良材は、ともに投入された様々な具材(固形の魚肉、魚肉すり身、蓄肉、蓄肉片、野菜片、果物片等)をコンニャクで固めて結着するので、これら投入した具材が加工食品から剥離又は分離することを防ぐことができる。
【0043】
また、食品改良材を用いた加工食品は、そのまま摂食する他、調理しても、同様に、摂食カロリーの低減、不要物の排泄の促進といった効能は低下しないので、その加工食品に対して煮る、焼く、炒める、揚げる等の様々な調理をすることができ、その利用範囲は非常に広い。
【0044】
(5)実施例
以下、実施例1〜19により、本実施の形態における食品改良材を用いた加工食品の製造方法について説明する。
【実施例1】
【0045】
(すり身入り水産練り製品)
70〜75重量%の下味スープ(魚介系スープ等)に食品改良材Aを15〜20重量%加え撹拌した。その後、魚介類のすり身を10重量%加え撹拌した。その後、所定時間静置して加熱凝固させ成型した。そして、その成型物を約80℃でボイルして、水産練り製品を得た。
【0046】
得られた水産練り製品は、従来のかまぼこ等の水産練り製品と同様の食感を備えていた。また、この水産練り製品は、何度も冷解凍しても食感が損なわれることなく優れたままであり、長期間保存可能であった。
さらに、この水産練り製品には、すり身投入時に、その他任意の食品を混入することができる。この場合でも、その食品が水産練り製品から剥離及び分離することがなかった。
【実施例2】
【0047】
(魚味植物繊維練り製品)
75〜80重量%の下味スープ(魚介系スープ等)に食品改良材Aを20〜25重量%加え撹拌した。その後、静置し、加熱凝固させ成型した。そして、その成型物を約80℃でボイルして、魚味植物繊維練り製品を得た。
【0048】
得られた魚味植物繊維練り製品も、前述の水産練り製品と同様に、優れた食感を備えるとともに、何度も冷解凍可能であることから保存性に優れていた。
【実施例3】
【0049】
(パン)
90〜95重量%のパン生地に食品改良材Bを5〜10重量%を加え、撹拌して練った。その後、所定の熟成時間を置いてオーブン等で焼き上げ、パンを得た。
なお、このパン生地は、一般的なものであって、例えば、小麦粉、食塩、砂糖、牛乳、油脂、卵、イースト、水、その他を選択的に含むものである。
【0050】
本実施例で得られたパンは、弾力性に富む、優れた食感を備えていた。また、従来のパン同様、冷凍保存が可能で高い保存性を備えていた。さらに、常温で放置しても、グルコマンナンや他の繊維質等による保水効果により、従来のパンのように短時間で表面がパサパサに乾燥することなく、しっとりとした食感を長時間維持可能である。
また、本実施例で得られたパンには、パン生地を練る際に、任意の食品を練り込むこともできる。この場合、この練り込んだ食品をパンから剥離及び分離することがなかった。
【実施例4】
【0051】
(麺製品・パスタ)
2〜5重量%の食品改良材Bに任意の調味料を入れて低速で撹拌した。数分静置後、その撹拌した食品改良材Bに、30〜40重量%の麺粉又はパスタ粉を加え高速で撹拌した。30分間静置した後、その混合粉に55〜68重量%の水を加え、練り上げて例えば麺状に成型し任意に裁断し麺製品又はパスタを得た。
【0052】
本実施例で得られた麺製品及びパスタは、腰が強く、茹で伸びが少ないといった優れた食感を備えていた。また、何度も冷解凍可能であり保存性に優れていた。
【実施例5】
【0053】
(植物繊維ライス)
40〜65重量%の常温水に食品改良材Aを15〜20重量%加え、低速で撹拌した。次に、この食品改良材Aを含む水に、20〜40重量%の米粉を混入し、高速で撹拌した。そして、30分間静置して加熱凝固させた後、成型機を通して粒状に成型してボイルし、植物繊維ライスを得た。
【0054】
本実施例で得られた植物繊維ライスは、従来のライスと同様の食感を保ちつつ、従来のライスに比べて低カロリーであり、摂取カロリーの調整を容易に行うことができる。
また、前述の高速撹拌する際に、各種栄養成分を混入することができ、この場合には、より栄養価の高い植物繊維ライスを提供することが可能となる。
【実施例6】
【0055】
(ゼリー)
常温水に任意の果汁を加えて撹拌し、果実水を生成した。この95〜97重量%の果実水に3〜5重量%の食品改良材Cを適時加え撹拌した。そして、所定時間静置して加熱凝固させ、成型器に充填し、ゼリーを得た。
【0056】
本実施例で得たゼリーは、従来のゼリーと同様の食感を保ちつつ、何度も冷解凍可能であることから保存性に優れていた。
また、成型機により予め小粒状のゼリーを成型しておき、食品改良材C混入時に、この小粒状のゼリーも共に混入することで、優れた食感のゼリーを製造することができる。また、このゼリーに果肉を加えてもよい。
【実施例7】
【0057】
(ハム風加工食品)
常温水に蓄肉エキスを入れ撹拌した。この75〜85重量%の蓄肉風味のスープに、15〜25重量%の食品改良材Aを入れ撹拌する。30分静置し加熱凝固した後、成型してボイルし、ハム風加工食品を得た。
【0058】
本実施例で得たハム風加工食品は、従来のハムと同様の食感を保ちつつ、何度も冷解凍可能であることから保存性に優れていた。また、このハム風加工食品は、従来のハムと比べて低カロリーであり、摂取カロリーの調整を容易に行うことができる。
【実施例8】
【0059】
(餃子の皮、シューマイの皮)
99〜99.7重量%の餃子、シューマイの皮の生地に、0.3〜1重量%の食品改良材Bを均一に行きわたるように混入して練りこんだ。その後、餃子やシューマイの皮用に薄くカットし、5分間静置し、餃子・シューマイの皮を得た。
【0060】
本実施例で得た餃子・シューマイの皮は、従来の餃子・シューマイの皮に比べて腰が強く、皮が裂けてしまう可能性も軽減するので、歩留まりが向上した。
また、本実施例の餃子・シューマイの皮は、従来のものよりも透明感もあるので見た目も美しい。
また、本実施例の餃子・シューマイの皮は、食品改良材Aにより、従来のものよりも保水性が高く、短時間で表面が乾燥することなく、しっとりとした食感を長時間保つことができる。
【実施例9】
【0061】
(畜産練り製品)
60〜65重量%の常温の蓄肉スープ(チキンスープ等)に、10〜15重量%の食品改良材Aを加え撹拌した。20分間静置後、5分間低速撹拌しながら、25〜30重量%の蓄肉のミンチを加え粘度を調整する。その後、所定時間静置して加熱凝固させ成型した後、約80℃でボイルし、畜産練り製品を得た。
【0062】
本実施例で得た、ハンバーグ等の畜産練り製品は、従来の畜産練り製品と同様の食感を保ちつつ、何度も冷解凍可能であることから保存性に優れていた。また、この畜産練り製品は、従来のものと比べて低カロリーであり、摂取カロリーの調整を容易に行うことができる。
【実施例10】
【0063】
(ソーセージ)
75重量%の魚肉・蓄肉等ミンチまたは小片に、25重量%の食品改良材Aを加えて撹拌して成型機により腸詰めして抽出した。この抽出物を90℃でボイルし燻煙処理し、ソーセージを得た。
【0064】
本実施例で得たソーセージは、従来のものと同様の食感を保ちつつ、何度も冷解凍可能であることから保存性に優れていた。また、このソーセージは、従来のものと比べて低カロリーであり、摂取カロリーの調整を容易に行うことができる。
また、ミンチ等に食品改良材Aを混入して撹拌する際に、任意の食品を混入することにより、ウインナーソーセージ、フランクフルト、ボローニャソーセージ等、様々なソーセージを製造することができる。
【実施例11】
【0065】
(饅頭皮・ケーキの原料粉)
97〜99.5重量%の従来の饅頭皮又はケーキ(パウンドケーキ等)の原料粉に、0.5〜3重量%の食品改良材Bを加え撹拌し、饅頭皮・ケーキの原料粉を得た。
その後、水や卵等、任意の材料を加え、焼き上げる、蒸し上げる等して、饅頭の皮やケーキを製造することができる。
【0066】
本実施例で得た饅頭皮・ケーキの原料粉は、従来のものと比べて低カロリーであり、この原料粉を用いた饅頭やケーキは、摂取カロリーに比して十分な豊腹感が得られた。
また、食品改良材Bにより饅頭皮やケーキの保水性が高まり、表面が乾燥することなく、しっとりとした食感の饅頭やケーキを提供することができた。
【実施例12】
【0067】
(クッキーの生地粉)
97〜98重量%の従来のクッキーの生地粉に、2〜3重量%の食品改良材Bを均一に行きわたるように混入し、クッキーの生地粉を得た。
その後、この食品改良材Bを混入したクッキーの生地粉に、水や卵等、任意の材料を加え、焼き上げることでクッキーを製造することができる。
【0068】
本実施例で得た生地粉により焼き上げたクッキーは、コンニャクによる増量効果で、従来のクッキーと比べてカロリーを軽減することができた。また、従来のクッキーと比べて、焼き上げ時間を10%短縮することができた。
【実施例13】
【0069】
(餅)
餅がつき上がる前に、97〜98重量%の餅に、2〜3重量%の食品改良材Bを加えてつき上げ、コンニャク成分含有の餅を得た。
【0070】
本実施例では、食品改良材Bにより餅に一定の粘度を与えることができるので、餅米の種類の違いに起因する粘度のバラツキが小さくなり、安定した粘度の餅を容易に提供することができるようになった。
【実施例14】
【0071】
(日本蕎麦)
本実施例では、45〜48重量%の蕎麦粉、40重量%の小麦粉、2〜5重量%の食品改良材B、10重量%の水を混ぜ合わせて打ち込み、任意の太さで裁断することで、日本蕎麦を得た。
【0072】
本実施例では、食品改良材Bを蕎麦原料に混入することで、つなぎが良く、腰が強い、蕎麦本来の風味を損なわない蕎麦を製造することができた。
また、88〜90重量%の蕎麦粉、2重量%の食品改良材B、8〜10重量%の水を混ぜ合わせることで、同様につなぎが良く、腰が強い、蕎麦本来の風味を損なわない10割蕎麦を製造することもできる。
【実施例15】
【0073】
(シューマイの具)
75〜80重量%の常温の下味スープ(野菜系、蓄肉系、水産系)に、15〜20重量%の食品改良材Aを加え撹拌して20分間静置する。その後、5分間低速で撹拌しながら、5重量%の野菜、魚肉、蓄肉等の端材を加える。その後、加熱凝固すると、その加熱凝固した具材料を小片に裁断する等して成型し、適時ボイルしてシューマイの具を得た。
その後、そのシューマイの具を皮で包んで蒸し上げ、シューマイを製造する。
【0074】
本実施例で得たシューマイの具は、従来のものと比べて低カロリーであるので、摂取カロリーの調整を容易に行うことができる。
また、本実施例では、余った野菜、魚肉、蓄肉等の端材を食品改良材Aで結着してシューマイの具としたので、それらの余った端材等を有効に活用することができた。
【実施例16】
【0075】
(煮凝り)
70〜75重量%の常温の下味スープ(野菜系、蓄肉系、水産系)に、20〜25重量%の食品改良材Aを加え撹拌して10分間静置する。その後、10分間低速で撹拌しながら、5重量%の野菜、果肉、魚肉、蓄肉等の具材を加える。その後、加熱凝固すると、その加熱凝固した具材料を適時ボイルして、煮凝りを得た。
【0076】
本実施例で得た煮凝りは、従来のものと比べて低カロリーであるので、摂取カロリーの調整を容易に行うことができる。
また、本実施例の煮凝りは、何度も冷解凍可能であり保存性に優れていた。
【実施例17】
【0077】
(つみれ・ミートボール)
60〜65重量%の常温の下味スープ(野菜系、蓄肉系、水産系)に、10〜15重量%の食品改良材Aを加え撹拌して20分間静置する。その後、10分間低速で撹拌しながら、野菜の細片や魚肉・蓄肉のミンチ等の具材を25〜30重量%加える。その後、圧力をかけ成型し適時ボイルして、つみれ・ミートボールを得た。
【0078】
本実施例で得たつみれ・ミートボールは、低カロリーの食品改良材Aにより増量したので、摂取カロリーの調整を容易に行うことができる。
また、食品改良材Aは、具材を結着するので、つみれやミートボールが崩れにくい。
さらに、本実施例のつみれ・ミートボールは、何度も冷解凍可能であり保存性に優れていた。
【実施例18】
【0079】
(非常食)
15〜20重量%の食品改良材Aと、10〜15重量%の米粉と、5〜10重量%のかやく類(フリーズドライ加工した魚肉、蓄肉、野菜、果肉等)と、60〜70重量%の常温水とを撹拌した後、静置して加熱凝固させ、適当な大きさに成型し、非常食を得た。
【0080】
本実施例では、食品改良材により様々な具材を固めることにより、バランスがよく栄養価が高い、優れた食感の非常食を製造できた。
なお、混合する米粉は、大豆粉やコーンスターチ等でもよく、それらの混合物であってもよい。
【実施例19】
【0081】
(ペットフード)
85〜90重量%の常温の下味スープ(野菜系、蓄肉系、水産系)に、10〜15重量%の食品改良材Aを加え撹拌し、20分間静置し加熱凝固した後に、成型しボイルして、ペットフードを得た。
【0082】
本実施例で得たペットフードは、コンニャク成分が豊富に含まれ低カロリーであるので、摂取カロリーの調整を容易に行うことができる。
また、このペットフードは、植物繊維が豊富に含まれているので、ペットの習慣病の元である異物の排泄を促進することができる。
【0083】
なお、上記の実施例は本発明の好適な実施の一例であり、本発明の実施例は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の食品に混入し又は合わせて加工食品を製造する食品改良材であって、
コンニャク粉微粉、植物繊維、植物タンパク、カルシウム化合物及びデンプンを所定の比率で含むことを特徴とする食品改良材。
【請求項2】
前記食品改良材は、
個々の粒径が125〜200μmのコンニャク粉微粉を含むことを特徴とする請求項1記載の食品改良材。
【請求項3】
前記食品改良材は、
コンニャク粉微粉、植物繊維、植物タンパク、カルシウム化合物及びデンプンをそれぞれ、18〜22重量%、8〜12重量%、0.8〜1.2重量%、0.8〜1.2重量%、67〜69重量%の比率で含むことを特徴とする請求項1記載の食品改良材。
【請求項4】
前記食品改良材は、
コンニャク粉微粉、植物繊維、植物タンパク、カルシウム化合物及びデンプンをそれぞれ、15〜20重量%、12〜18重量%、0.8〜1.2重量%、0.04〜0.06重量%、65〜67重量%の比率で含むことを特徴とする請求項1記載の食品改良材。
【請求項5】
前記食品改良材は、
コンニャク粉微粉、植物繊維、植物タンパク、カルシウム化合物及びデンプンをそれぞれ、5〜10重量%、0重量%、0.8〜1.2重量%、0.04〜0.06重量%、89〜94重量%の比率で含むことを特徴とする請求項1記載の食品改良材。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の食品改良材を含有することを特徴とする加工食品。
【請求項7】
70〜75重量%の下味スープに、10重量%の魚介類のすり身及び15〜20重量%の請求項1から3のいずれか1項に記載の食品改良材を混入して加熱凝固させたことを特徴とする加工食品。
【請求項8】
75〜90重量%の所定の風味のスープに、10〜25重量%の請求項1から3のいずれか1項に記載の食品改良材を混入して加熱凝固させたことを特徴とする加工食品。
【請求項9】
90〜95重量%のパン生地に、5〜10重量%の請求項1、2又は4記載の食品改良材を混入して焼き上げたことを特徴とする加工食品。
【請求項10】
30〜40重量%の麺粉又はパスタ粉に、2〜5重量%の請求項1、2又は4に記載の食品改良材及び55〜68重量%の水を加えて練り込み、成型したことを特徴とする加工食品。
【請求項11】
40〜65重量%の水に、15〜20重量%の請求項1から3のいずれか1項に記載の食品改良材及び20〜40重量%の米粉を加え、粒状に成型して蒸し上げたことを特徴とする加工食品。
【請求項12】
95〜97重量%の果実水に、3〜5重量%の請求項1、2又は5記載の食品改良材を加え、加熱凝固させたことを特徴とする加工食品。
【請求項13】
99〜99.7重量%の餃子又はシューマイの生地に、0.3〜1重量%の請求項1、2又は4記載の食品改良材を均一に混入し、成型したことを特徴とする加工食品。
【請求項14】
60〜65重量%の所定の風味のスープに、10〜15重量%の請求項1から3のいずれか1項に記載の食品改良材及び25〜30重量%の具材を加え、練り上げ、成型し、
前記具材には、蓄肉のミンチ、魚介肉のミンチ及び野菜の小片のうち少なくとも1つが含まれることを特徴とする加工食品。
【請求項15】
75重量%の魚肉又は蓄肉のミンチ又は小片に、25重量%の請求項1から3のいずれか1項に記載の食品改良材を加え、練り上げたものを、所定の動物の腸に詰めて成型したことを特徴とする加工食品。
【請求項16】
97〜99.5重量%の饅頭皮又はケーキの原料粉に、0.5〜3重量%の請求項1、2又は4記載の食品改良材を加えたものを原料粉とすることを特徴とする加工食品。
【請求項17】
97〜98重量%のクッキーの生地粉に、2〜3重量%の請求項1、2又は4記載の食品改良材を加えたものを原料粉とすることを特徴とする加工食品。
【請求項18】
97〜98重量%のついている途中の餅に、2〜3重量%の請求項1、2又は4記載の食品改良材を加えつき上げたことを特徴とする加工食品。
【請求項19】
45〜48重量%の蕎麦粉、40重量%の小麦粉、2〜5重量%の請求項1、2又は4記載の食品改良材、10重量%の水を混ぜ合わせて打ち込み、任意の太さで裁断したことを特徴とする加工食品。
【請求項20】
88〜90重量%の蕎麦粉、2重量%の請求項1、2又は4記載の食品改良材、8〜10重量%の水を混ぜ合わせて打ち込み、任意の太さで裁断したことを特徴とする加工食品。
【請求項21】
75〜80重量%の所定の風味のスープに、15〜20重量%の請求項1から3のいずれか1項に記載の食品改良材及び5重量%の端材を加え、加熱凝固させたものを小片に成型したことを特徴とする加工食品。
【請求項22】
70〜75重量%の所定の風味のスープに、20〜25重量%の請求項1から3のいずれか1項に記載の食品改良材及び5重量%の具材を加え、加熱凝固させたことを特徴とする加工食品。
【請求項23】
60〜70重量%の水に、15〜20重量%の請求項1から3のいずれか1項に記載の食品改良材、10〜15重量%の植物性粉及び5〜10重量%のフリーズドライ加工した具材を加え、加熱凝固させたことを特徴とする加工食品。

【公開番号】特開2007−143451(P2007−143451A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340732(P2005−340732)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(504050655)
【出願人】(593222676)
【出願人】(505426613)
【Fターム(参考)】