説明

食品用包装材料及び食品用包装材料の保管方法

【課題】
食品用包装材料の製造時期を特定し品質保証期間内か否かを確実に判断することができる食品用包装材料及び食品用包装材料の保管方法を提供する。
【解決手段】食品用包装材料は、印刷インク層と熱可塑性樹脂外層と紙層と熱可塑性樹脂最内層とを含むウェブ状包装材料がリール状に巻き取られた食品用包装材料、若しくは、少なくとも、印刷インク層と熱可塑性樹脂外層と紙層と熱可塑性樹脂最内層とを含む包装材料が所定形状に裁断され複数枚毎に束状に積み重ねられた食品用包装材料であって、印刷インク層の一部に、印刷後に経時的に退色・変色して経過時間を示す示時手段20a,20bが印刷されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジュースや牛乳などの液体食品などを充填した紙容器などに用いる食品用包装材料及びその食品用包装材料を保管する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳、ジュース、ミネラルウォーターなどの飲料、流動食品などの紙包装容器は、例えば、繊維質基材(例えば、紙など)/熱可塑性材料層の積層体に折目線が付けられ、外観デザインが印刷された包装材料から得られる。
レンガ状、正四面体形状紙容器では、ウェブ状の包装材料を巻き取ったリールから包装材料を引出し、長手方向の縦シールによりチューブ状に成形し、チューブ状包装材料内に食品を充填し、チューブ状包装材料を横断方向に横シールし、枕状の一次形状に成形し、個々に切断し、折目線に沿って折畳んで最終形状に成形する。
【0003】
屋根型の紙製包装容器では、表面に製品の外観デザインが印刷された紙製包装材料を所定の形状に裁断し、容器縦方向にシールしたブランクスを得、この包装材料を束状に包装して保管する。保管された包装材料から充填機内でブランクスの底をシールした後に上部開口から牛乳、ジュースの飲料を充填し、上部をシールして得られる。
【0004】
別の包装システムでは、ウェブ状の包装材料を巻き取ったリールから包装材料を引出し、折目線が付けられた包装材料が所定形状に裁断され、容器縦方向に縦シールした容器ブランクスを得、ブランクスの蓋部がインジェクションによって形成され、ブランクスの底部の開口から食品が充填され、底部がシールされる。
【0005】
製品の外観デザインが印刷された包装材料は、包材加工工場で、ウェブ状の紙層と、アルミニウム箔と、プラスチックフィルムとを押出ラミネートなどによって積層する積層工程、その工程の前、途中若しくはその後の、外観デザインの印刷工程によって、リール状に巻かれて高速に効率的に製造される。
リール状包装材は、そのリール形状で若しくはブランクスの束形状で、包材加工工場から、食品工場に搬送され、包装充填機に装填される。
【特許文献1】特開平07−165212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
食品用包装材料は、容器を成形し液体食品を充填する迄、リール形状で若しくは束状の形態で保管されている。食品用包装材料が、例えば、1年間の品質保証期間を持つ場合、この保証期間を徒過しないように、従来、製品番号及び製造日を特定したシールなどを包装材料に貼ってこの食品用包装材料を保管・管理している。
しかしながら、シールが誤って剥がれた場合、リール全体が使用されず残量が有る場合など、食品用包装材料の製造日を特定し品質保証期間内か否かを判断することができない。包装材料の印刷面に日付を印字することも考えられるが、印刷デザインを不要に制限する恐れがある。
【0007】
本発明は、食品用包装材料の製造時期を特定し品質保証期間内か否かを確実に判断することができる食品用包装材料及び食品用包装材料の保管方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決する本発明の食品用包装材料は、少なくとも、印刷インク層と熱可塑性樹脂外層と紙層と熱可塑性樹脂最内層とを含むウェブ状包装材料がリール状に巻き取られた食品用包装材料、若しくは、少なくとも、印刷インク層と熱可塑性樹脂外層と紙層と熱可塑性樹脂最内層とを含む包装材料が所定形状に裁断され複数枚毎に束状に積み重ねられた食品用包装材料であって、
該印刷インク層の一部に、印刷後に経時的に退色・変色して経過時間を示す示時手段が印刷されていることを特徴とする。
【0009】
この発明の好ましい態様において、示時手段が、易変色性インクによる印刷又は、易変色性インクによる印刷と耐変色性インクによる印刷との組み合わせからなる。
【0010】
この発明の食品用包装材料の保管方法は、少なくとも、印刷インク層と熱可塑性樹脂外層と紙層と熱可塑性樹脂最内層とを含むウェブ状包装材料がリール状に巻き取られた食品用包装材料、若しくは、少なくとも、印刷インク層と熱可塑性樹脂外層と紙層と熱可塑性樹脂最内層とを含む包装材料が所定形状に裁断され複数枚毎に束状に積み重ねられた食品用包装材料を保管する方法であって、
該印刷インク層の一部に、印刷後に経時的に退色・変色して経過時間を示す示時手段が印刷され、
該示時手段に示された経過時間によって、食品用包装材料としての適否を判定して管理する、
ことを特徴とする。
【0011】
この発明の好ましい態様において、示時手段が、易変色性インクによる印刷又は、易変色性インクによる印刷と耐変色性インクによる印刷との組み合わせからなり、変色の程度によって経過時間を表す。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明によれば、以下の有利な効果が得られる。
これにより、食品用包装材料の最外表面に印刷された印刷インク層の一部に、印刷後に経時的に退色・変色して経過時間を示す示時手段が印刷されているので、退色・変色の程度に応じて、印刷された後どの程度に時間的に経過しているかを表示される。
この表示に基づいて、食品用包装材料としての適否を判定して管理することができる。
【0013】
食品用包装材料の最外表面又は外部から見える表面に印刷されているので、シールやラベルのように輸送中に又は使用中に脱落する場合、また、リール全体が使用されず残量が有る場合などの様に、食品用包装材料の製造日を特定することができないことは無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図2に、少なくとも、印刷インク層と熱可塑性樹脂外層と紙層と熱可塑性樹脂最内層とを含むウェブ状包装材料が巻き取られたリール1に、製品名などの情報が記載されたラベル2が貼付され、次いでフィルムで覆って包装し、更にパレットに複数個載置して、倉庫等に保管する態様を示す。
【0015】
この態様で用いられるウェブ状包装材料は、食品用の積層材料である。その他の積層材料として、アルミ箔、無機化合物蒸着フィルム、樹脂製バリア層、接着剤層等があり、適宜選択変更することができる。
リールの形状、寸法などは、この発明において、適宜選択変更することができる。
【0016】
他の態様で使用できる食品用包装材料には、図3に示すような少なくとも、印刷インク層と熱可塑性樹脂外層と紙層と熱可塑性樹脂最内層とを含む包装材料が所定形状に裁断されたブランクス4が複数枚毎に束状に積み重ねられた食品用包装材料がある。この包装材料は更にパレット上に積み上げられ、ラベル5が貼付されて倉庫等に保管される。
上記のリールと同様に、包装材料は、食品用の積層材料であり、その他の積層材料として、アルミ箔、無機蒸着フィルム、樹脂バリア層、接着剤層等があり、適宜選択変更することができる。
ブランクスの形状、寸法などは、この発明において、適宜選択変更することができる。
【0017】
この発明において、印刷インク層の一部に、印刷後に経時的に退色・変色して経過時間を示す示時手段が印刷されている。
ここで、印刷後に経時的に退色・変色して経過時間を示すとは、印刷時の色が時間に比例して変化し、変化の程度によって、経過時間が推測できることを示す。
【0018】
示時手段の印刷は、所定の位置に、特定のインクを印刷することによって行われる。
示時手段の特定のインクは、顔料、ベヒクル(ロジン変性フェノール樹脂、ポリアミド樹脂等)、乾性油(アマニ油・桐油・大豆油等の植物油)、石油系溶剤、ロジン類、バンド、蛍光染料、填料、ラテックス(合成ゴム)、染料などを含み、必要に応じて、変色・退色促進剤若しくは抑制剤を含む。
これらの組成により、所定の色と、その色の経時変色程度を設計することができる。この発明における好ましい変化の程度は、包装材料の品質保証期間に相当する程度であり、例えば、その期間が1年であれば、1年で変化が顕著である程度である。
【0019】
この発明の好ましい態様において、示時手段が、易変色性インクによる印刷又は、易変色性インクによる印刷と耐変色性インクによる印刷との組み合わせからなる。
より好ましい態様は、易変色性インクによる印刷と耐変色性インクによる印刷との組み合わせである。この態様により、経時変色を顕著にきわださせることができる。
【0020】
図1に、示時手段の一実施例を示す。示時手段は、耐変色性インクによる印刷部分10と易変色性インクによる印刷20aとからなる。印刷時は、耐変色性インクによる印刷部分10と易変色性インクによる印刷20aとの差異は殆どなく、識別できない。時間の経過によって、例えば1年の経過により、易変色性インクによる印刷20bに経時変化する。その結果、耐変色性インクによる印刷部分10との差異が鮮明になり、この例では、星印が鮮明に現れる。この印の表示から経過時間を推測することができる。
【実施例】
【0021】
(実施例1)
印刷インク層と低密度ポリエチレン外層と紙層と低密度ポリエチレン最内層とを含むウェブ状包装材料を調製する。
印刷工程の際に、包材に、黄色顔料20%、ベヒクル(ロジン変性フェノール樹脂、ポリアミド樹脂等)30%、乾性油(アマニ油・桐油・大豆油等の植物油)10%、石油系溶剤10%及び過酸化系変色剤1%を含む易変色性インクで、所定の模様文字を印刷する。その背景に、黄色顔料20%、ベヒクル(ロジン変性フェノール樹脂、ポリアミド樹脂等)30%、乾性油(アマニ油・桐油・大豆油等の植物油)10%、石油系溶剤10%を含む耐変色性インクでベタ印刷する。
【0022】
得られたウェブ状包装材料をリール状に巻き取り、半年後に、外光の影響を受けない箇所で、示時手段を観察する。その結果、易変色性インクによる印刷部分が半年後に白に変色し、周りの印刷部分から際立って識別することができる。なお、過酸化系変色剤の添加量を増やすことにより、経時変化の速度を調整することができる。
【0023】
(実施例2)
過酸化系変色剤を含まない易変色性インクと、電子線硬化性樹脂を含む耐変色性インクとを用い、印刷時に、耐変色性インクの印刷部分に選択的に電子線を照射したこと以外、実施例1と同様に、実施する。その結果、易変色性インクによる印刷部分が半年後に黄色白に変色し、周りの色固定された印刷部分から際立って識別することができる。
上記実施例から実証されるように、食品用包装材料の製造時期を特定し品質保証期間内か否かを確実に判断することができる。
【0024】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
この発明の食品用包装材料及び食品用包装材料の保管方法は、ジュースや牛乳などの液体食品などを充填した紙容器などに用いる包装材料の製造に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明による一実施例の印刷時及び経時変化後の印刷図である。
【図2】この発明による一実施例のリールの形態及び保管を説明する外観図である。
【図3】この発明による一実施例のブランクスの形態及び保管を説明する外観図である。
【符号の説明】
【0027】
1 ・・・リール状包装材料
2 ・・・ラベル
3 ・・・ブランクス
4 ・・・ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、印刷インク層と熱可塑性樹脂外層と紙層と熱可塑性樹脂最内層とを含むウェブ状包装材料がリール状に巻き取られた食品用包装材料、若しくは、少なくとも、印刷インク層と熱可塑性樹脂外層と紙層と熱可塑性樹脂最内層とを含む包装材料が所定形状に裁断され複数枚毎に束状に積み重ねられた食品用包装材料であって、
該印刷インク層の一部に、印刷後に経時的に退色・変色して経過時間を示す示時手段が印刷されていることを特徴とする食品用包装材料。
【請求項2】
該示時手段が、易変色性インクによる印刷又は、易変色性インクによる印刷と耐変色性インクによる印刷との組み合わせからなる、請求項1記載の食品用包装材料。
【請求項3】
少なくとも、印刷インク層と熱可塑性樹脂外層と紙層と熱可塑性樹脂最内層とを含むウェブ状包装材料がリール状に巻き取られた食品用包装材料、若しくは、少なくとも、印刷インク層と熱可塑性樹脂外層と紙層と熱可塑性樹脂最内層とを含む包装材料が所定形状に裁断され複数枚毎に束状に積み重ねられた食品用包装材料を保管する方法であって、
該印刷インク層の一部に、印刷後に経時的に退色・変色して経過時間を示す示時手段が印刷され、
該示時手段に示された経過時間によって、食品用包装材料としての適否を判定して管理する、
ことを特徴とする食品用包装材料の保管方法。
【請求項4】
該示時手段が、易変色性インクによる印刷又は、易変色性インクによる印刷と耐変色性インクによる印刷との組み合わせからなり、変色の程度によって経過時間を表す、請求項3記載の食品用包装材料の保管方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−234585(P2006−234585A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−49881(P2005−49881)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】