説明

食品用容器

【課題】ゼリー、ヨーグルト、プリン等の軟らかくて形崩れし易いゲル状食品や、ジュース等の飲料等の上に、ソフトクリーム等を載せて混ぜ合わせた食品を提供するのに非常に好適なプラスチック製の食品用容器を提供する。
【解決手段】本体20と蓋体30とからなるプラスチック製の食品用容器10であって、本体のフランジ部22の上側面22aと蓋体のフランジ部32の下側面32aとが接するようにして、本体内に蓋体を収容した際に、本体の内側底面24から蓋体の外側底面34までの寸法Lが、本体の深さ寸法Dの1/2以下となるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼリー、ヨーグルト、プリン等の軟らかくて形崩れし易いゲル状食品や、ジュース等の飲料等(以下、単に「ゲル状食品等」という。)を包装するためのプラスチック製の食品用容器に関するものである。特に、包装されているゲル状食品等の上に、ソフトクリームやアイスクリーム等(以下、単に「ソフトクリーム等」という。)を載せて混ぜ合わせた食品を提供するために非常に好適なプラスチック製の食品用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゲル状食品等を包装するためのプラスチック製の食品用容器として、図4に示したような食品用容器110が知られている。この食品用容器110は、本体120と、蓋130とから構成されており、本体120は、図示されているように、カップ形をしており、その開口部121の外周囲に沿って本体フランジ部122を有している。また、本体フランジ部122の上側面122aにおいて蓋130が密着するようになっており、ゼリー等の内容物150を密閉できるように構成されている。そして、蓋130の一部に設けられた把持部133を指でつまんで蓋130を本体フランジ部122から剥がすことによって、内容物150を提供できるようになっている。
【0003】
なお、このような食品用容器110は、搬送中における内容物150の形崩れ等を極力阻止し、また、無駄な空間を極力少なくして搬送・保管コストを抑制するため、内容物150が、本体120の開口部121まで目一杯に充填された状態で蓋130がされているものが一般的である。
【0004】
ところで、本願発明者は、新たなデザートに係る食品として、ゲル状食品等の上にソフトクリーム等を載せてから、これらを混ぜ合わせたものを、ファストフード店やコンビニエンスストア等(以下、単に「ファストフード店等」という。)において提供することを検討している。このような食品は、例えば、ゲル状食品等としてゼリーを使用し、その上にソフトクリームを載せて混ぜ合わせたものの場合、透明感のあるゼリーの砕片が、ソフトクリーム内に散りばめられ、見た目にも美しい食品となる。それ故、このような食品は、ファストフード店等の顧客に対し、非常に魅力的なデザートに係る食品を提供できるという効果を期待できるものである。なお、当該食品は、主にファストフード店等において提供することを想定しており、オペレーションの簡略化、及び、当該食品の風味・食感・外観の維持の点から、ゲル状食品等については包装用容器に入ったものを使用し、ソフトクリーム等の付与、及び、ゲル状食品等とソフトクリーム等との混ぜ合わせの作業は、顧客への提供直前に、各ファストフード店等にて行うことを前提としている。
【0005】
ところが、このようなデザートに係る食品を、ファストフード店等において、従来の食品用容器110に入ったゲル状食品等を利用して提供しようとする場合、次のような問題が生じてしまうことになる。すなわち、内容物150が、開口部121まで目一杯に充填されているため、蓋130を剥がしてからソフトクリーム等を載せて混ぜ合わせようとしても、これらを混ぜ合わせたものが、ソフトクリーム等の容量分、食品用容器110の容量を超過してしまい、混ぜ合わせたものがこぼれ落ち、好適に混ぜ合わせることができないという問題である。
【0006】
なお、このような問題を回避するため、次のような二つの手段を採ることが考えられる。第一の手段は、内容物150とソフトクリーム等とを合わせたものの容量よりも大きな容量の容器を用意しておき、ここに食品用容器110に充填された内容物150を移し換えてから、ソフトクリーム等を載せ、これらを混ぜ合わせるというものである。また、第二の手段は、内容物150が目一杯には充填されておらず、後で載せるソフトクリーム等の容量以上分の空間が確保された状態で容器に入っている食品用容器110を利用するというものである。
【0007】
しかし、以上の二つの手段においては、新たな別の問題が生じることになる。すなわち、第一の手段においては、容器を移し換えるという操作が必要となるため、オペレーションが煩雑になるという問題が生じてしまう。この問題は、迅速かつ清潔なオペレーションを、主にアルバイト従業員等によって行うことが要求されるファストフード店等において、非常に重大なものとなってしまう。また、第二の手段においては、食品用容器内に、不要の空間が生じてしまうため、ゲル状食品等のうち、特に軟らかくて形崩れし易いものについては搬送中の形崩れを招き、また、この無駄な空間により、搬送・保管コストの増加という問題を引き起こすことにもなってしまう。
【0008】
本願発明者は、このような実情のもと、軟らかくて形崩れし易いゲル状食品等の上に、ソフトクリーム等を載せて混ぜ合わせたものを、ファストフード店等において非常に簡単に提供でき、かつ、形崩れや搬送・保管コストの問題も解決することができる手段について鋭意検討を重ねた。その結果、本願発明者は、食品用容器に特殊な形体の蓋(蓋体)を採用することによって、以上のような問題を解決することができるという知見を得、本発明を創作するに至った。
【0009】
なお、本発明を出願するにあたって、本願発明者において過去の特許文献等を調査したところ、ゲル状食品等を包装するためのプラスチック製の食品用容器について、下記の文献を発見することができたが、本発明に係る技術的思想等を詳述した特許文献については、発見することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−41608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ゲル状食品等の上に、ソフトクリーム等を載せて、これらを混ぜ合わせた食品を提供するのに非常に好適なプラスチック製の食品用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのための手段として、本発明に係るプラスチック製の食品用容器は、本体と蓋体とからなるプラスチック製の食品用容器であって、前記本体は、カップ形をしており、その開口部において本体フランジ部を有しており、また、前記蓋体も、カップ形をしており、その開口部において蓋体フランジ部を有しており、前記本体フランジ部の上側面と前記蓋体フランジ部の下側面とが接するようにして、前記本体内に前記蓋体を収容した際に、前記本体の内側底面から前記蓋体の外側底面までの寸法が、前記本体の深さ寸法の1/2以下となるように構成されていることを特徴としている。
【0013】
また、この場合において、本発明に係るプラスチック製の食品用容器は、前記本体フランジ部の上側面と前記蓋体フランジ部の下側面とが、密着するように構成されていることや、前記蓋体フランジ部において把持部が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ゲル状食品等の上に、ソフトクリーム等を載せて、これらを混ぜ合わせた食品を提供するのに非常に好適なプラスチック製の食品用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る食品用容器10の斜視図。
【図2】食品用容器10を構成する本体20及び蓋体30の斜視図。
【図3】食品用容器10の断面図。
【図4】従来の食品用容器110の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る食品用容器を実施するための形態について説明する。図1〜図3は、本実施形態に係る食品用容器10を示したものである。なお、図3は、食品用容器10の断面を示したものである。これらの図に示されているように、食品用容器10は、プラスチック製の本体20と、同じくプラスチック製の蓋体30とから構成されている。
【0017】
本体20は、図示されているように、カップ形をしており、その開口部21(図2)の外周囲に沿って本体フランジ部22を有している。また、蓋体30も、カップ形をしており、その開口部31の外周囲に沿って蓋体フランジ部32を有している。そして、蓋体フランジ部32の一部には、把持部33が設けられている。
【0018】
本体20は、その本体フランジ部22の上側面22aと蓋体フランジ部32の下側面32aとが互いに接するように、その内側に蓋体30を収容できるようになっている。そして、本体20の内壁面と蓋体30の外壁面とによって囲まれる空間Sに、ゼリー等の内容物(図示せず)を充填することができるようになっている。
【0019】
なお、この場合において、本体フランジ部22の上側面22aと蓋体フランジ部32の下側面32aとは、熱溶着等によって密着するように構成されていることが好ましい。これらが密着することで、本体20の内壁面と蓋体30の外壁面とによって囲まれる空間Sを密閉空間とすることができ、この空間Sに充填される内容物の容器漏れを防止し、かつ、その保存性を向上させることができるからである。
【0020】
そして、図3に示したように、食品用容器10は、本体20内に蓋体30を収容した際に、本体20の内側底面24から蓋体30の外側底面34までの寸法Lが、本体20の深さ寸法Dの1/2以下となるように構成されていることを特徴としている。この特徴により、蓋体30を本体20から取り外した後において、内容物の上に、ソフトクリーム等を載せて、内容物とソフトクリーム等を好適に混ぜ合わせることのできる空間を、充分に確保できるようになっている。
【0021】
本実施形態に係る食品用容器10は、把持部33を指でつまんで持ち上げ、蓋体30を容易に取り外すことができるようになっている。そのため、蓋体30を取り外してからすぐに、内容物の上に、ソフトクリーム等を載せて、これらを混ぜ合わせられるようになっており、これにより、簡単かつ清潔に、アルバイト従業員等、特に作業に熟練した者で無くても、軟らかくて形崩れし易いゲル状食品等の上に、ソフトクリーム等を載せて、これらを混ぜ合わせた食品を提供することができる。
【0022】
また、本実施形態に係る食品用容器10は、図示されているように、蓋体30の内側が、上部において開放された空間となっているので、この空間内に、縦に重ねるようにして別の食品用容器10を積み上げることができる。これにより、同じ容量の内容物を入れた食品用容器であって、内容物が目一杯には充填されておらず、後で載せるソフトクリーム等の容量分の空間が確保された状態で入っている食品用容器よりも、搬送・保管時において、省スペース化が図れ、搬送・保管コストの低減という効果を得ることができる。
【0023】
さらに、本実施形態に係る食品用容器10は、その蓋体30が、カップ形をしているので、これを使用時に本体20から取り外した後に、これらを無駄なスペース無く積み重ねることができる。そのため、蓋体30の廃棄時においても、省スペース化が図れ、搬送・廃棄コストの低減という効果を得ることができる。特に、この効果は、廃棄物の省スペース化が問題とされているファストフード店等において、非常に有利なものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上に説明したように、本発明に係るプラスチック製の食品用容器によれば、軟らかくて形崩れし易いゲル状食品等の上に、ソフトクリーム等を載せて、これらを混ぜ合わせたものを、ファストフード店等において非常に簡単に提供でき、かつ、その場合における形崩れ等の問題や、搬送・保管・廃棄コストの問題も解決することができる。
【符号の説明】
【0025】
10:食品用容器、
20:本体、
21:本体20の開口部、
22:本体フランジ部、
22a:本体フランジ部22の上側面、
24:本体20の内側底面、
30:蓋体、
31:蓋体の開口部、
32:蓋体フランジ部、
32a:蓋体フランジ部32の下側面、
33:把持部、
34:蓋体30の外側底面、
D:本体20の深さ寸法、
L:本体20の内側底面24から蓋体30の外側底面34までの寸法、
S:空間
110:食品用容器、
120:本体、
121:本体120の開口部、
122:本体フランジ部、
122a:本体フランジ部122の上側面、
130:蓋、
133:蓋130の把持部、


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と蓋体とからなるプラスチック製の食品用容器であって、
前記本体は、カップ形をしており、その開口部において本体フランジ部を有しており、また、前記蓋体も、カップ形をしており、その開口部において蓋体フランジ部を有しており、
前記本体フランジ部の上側面と前記蓋体フランジ部の下側面とが接するようにして、前記本体内に前記蓋体を収容した際に、前記本体の内側底面から前記蓋体の外側底面までの寸法が、前記本体の深さ寸法の1/2以下となるように構成されていることを特徴とする、プラスチック製の食品用容器。
【請求項2】
前記本体フランジ部の上側面と前記蓋体フランジ部の下側面とが、密着するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のプラスチック製の食品用容器。
【請求項3】
前記蓋体フランジ部において把持部が設けられていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のプラスチック製の食品用容器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−162201(P2011−162201A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23426(P2010−23426)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(304049008)シムライズ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】