説明

食品装置を冷却するための装置及び方法

【課題】環境空気及び製品への細菌侵入を低減することに寄与する、食品を製造又は加工するための装置、及び、対応する方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、装置ハウジング、及び装置ハウジングの内部を冷却するための冷却システムを有する、食品を製造又は加工するための装置に関し、この冷却システムは、細菌で汚染された冷却剤によって環境空気が汚染されないように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の導入部による食品を製造又は加工するための装置、及び、請求項11による前記装置を冷却するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を製造又は加工するとき、衛生面での要求が非常に大きい。具体的には、中身がむき出しの食品と接触する可能性のある環境空気も、可能な限り無菌の状態でなければならない。病原菌は、汚染された環境空気から製品に到達する可能性がある。したがって、例えば、ホッパ又は貯蔵容器内のソーセージの肉が、ソーセージ製造中に汚染された環境空気に接触する可能性がある。これにより、製品の品質の劣化につながったり、最終消費者にとって健康上に影響を与えたりするおそれがある。
【0003】
しかし、食品を製造している間には、念入りに衛生状態に気をつけていても、望ましくない細菌侵入が繰り返し生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に基づき、本発明の目的は、環境空気及び製品への細菌侵入を低減することに寄与する、食品を製造又は加工するための装置、及び、対応する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この課題は、請求項1及び請求項11の特徴によって解決される。
【0006】
食品を製造するための装置の空気冷却は、無視できない汚染源になり得ることが明らかになってきた。食品製造用の装置及びシステム、例えば、カッター、ミキサ、乳化装置、真空充填機、クリッパ、包装機などは、場合によっては高レベルの電力を必要とし、それにより電力消費によって熱が生じる。これらの装置は、通例、環境空気で冷却される。このプロセスでは、換気装置を用いて、空気が空気ダクトを通って装置内部に噴射される。或いは、換気装置を用いて、空気が装置内部から外に噴射される。これらの装置は、通例、比較的涼しい環境で使用されるので、この手法により、効果的で効率のよい冷却が実現する。通例、ここで、清浄目的では装置内部には手が届かない。装置内部も同様に、通常、原理的に衛生的には構成されていない。この結果、特に空気が加熱される結果として、装置内部において制御できない状態で細菌が繁殖して、細菌が入り込むおそれがある。この排気が、期せずして汚染されることがあるので、上記の細菌汚染の問題が生じる。
【0007】
しかし、本発明によれば、細菌で汚染された冷却剤によって環境空気が汚染されないような態様で冷却システムが形成される。ここで、環境空気とは、本装置が設置されている製造区域内の空気であることを理解されたい。環境空気中、したがって製品中の細菌の数は、結果として実質的に低減させることができる。本発明により、環境空気又は装置内部を細菌で汚染することなく、効果的で効率的な装置冷却が可能になる。
【0008】
特に有利な態様では、冷却システムは、装置ハウジングの内部で冷気の流れを生成するための空気入口、空気出口及び換気装置、並びに冷却用空気から細菌を除去するための少なくとも1つの装置(細菌除去装置)を用いる空気冷却を使用する。冷却用空気から細菌が取り除かれることにより、無条件で、また製品が汚染されることになるおそれもなく、この空気を製造区域に噴射することができる。冷却剤の流れは、装置ハウジングの内部を自由に流れるようにする。装置ハウジングの内部は、この装置ハウジングの外壁によって制限されている。装置ハウジングの内部には、発熱体として様々な電子システム構成部品が配置されており、その周りに冷却用空気流が直接流れ、したがって各構成部品を冷却する。個々の構成部品へ選択的に流れるように、冷却剤の流れをさらに別々に導くことができる。
【0009】
細菌除去装置が、放射源、好ましくはUV放射源を備える場合には有利である。特にUVC放射源が適している。しかし、X線、ガンマ線、電子衝撃などを用いて、冷却用空気から細菌を除去することも可能である。照射することにより、細菌、例えばウィルス、バクテリア又は胞子のDNAが、その細胞を自己複製できない程度に改変される。99.99%を超える効果を達成することができる。放射源、特にUV放射源を使用する場合、結果として、細菌侵入が著しく低減するので、加工の信頼性及び製造の信頼性が非常に高いレベルになる。これにより、製品の品質レベルが非常に高くなり、保存期間を長くすることできる。従業員のための優れた空気の衛生、したがって、より健康的な作業環境を実現することもできる。化学物質又は他の物質を、環境空気又は製品に取り込んではならない。冷却用空気を照射する結果として、毒性化合物が生じることはない。同様に、微生物の側で耐性が増すことはない。微生物はさらに、照射することにより、短時間で不活性となる。それにもかかわらず、所望の製品特性は保存される。空気が製造区域から装置に吸引され、次いで製造区域に放出されて戻る場合、他の汚染源によって汚染された環境空気から、細菌がやはり自動的に除去される。細菌除去装置としての放射源は、構成がコンパクトで、容易に本装置に組み込むことができる。UV源、特にUVC源は、経済的であり耐用年数が長い。同時に、エネルギー消費量が低く、そのため本装置又は換気装置は、夜通し稼働することもできる。したがって、耐用年数コストが最少になる。ランプの交換は、簡単で経済的な方法で実行することができる。冷却用空気流全体を取り込むことができ、細菌を取り除くことができる。このプロセスは、制御が容易である。
【0010】
細菌除去装置は、空気から細菌を除去するためのチャンバを有することができ、それにより、冷却用空気流が、このチャンバの中に流れ、チャンバから流れ出る。対応するチャンバに放射源を配置することにより、ある一定の放射強度で、確実に冷却用空気流全体から細菌が十分に取り除かれるようにすることができる。しかし、装置ハウジングの内部に、別法として又は任意追加的に、放射源を配置することも容易に可能である。放射源が装置ハウジングの内部に配置されている場合、個々の装置構成部品の表面を照射し、したがって殺菌することもできる。さらに、装置ハウジングの空気入口又は空気出口に接続されている給気ライン及び/又は排気ラインに放射源を設けることも可能である。給気ライン又は排気ラインへの放射源の取付けはまた、事後に非常に容易に実行することができる。放射源はまた、独立型の装置として、すなわち、例えば、ライン、特にホースを介して、例えば装置ハウジングの入口接続片又は出口接続片に取り付けられるドッキングステーションの形態で、給気ライン又は排気ラインに組み込むことができる。次いで、例えば、独立した装置又はドッキングステーションに換気装置を配置することができる。
【0011】
本装置を制御するための電子装置ボックスが装置ハウジングの内部に設けられており、この電子装置ボックスの中に、装置コントローラ及び他の高精度の電子構成部品が配置される。本装置が電源オフになった後で冷えるときに結露が生じるので、この電子装置ボックスは、湿気が蓄積することを防止するために通常は加熱される。ここでは放射源は、電子装置ボックスがこの放射源で加熱されるような有利な方法で、装置ハウジングの内部に配置される。したがって、これにより、電子装置ボックスについては追加の加熱なしで済ませることが可能になり、放射源からの廃熱を上手に使用することができる。
【0012】
さらなる実施形態によれば、少なくとも1つの細菌除去装置は、殺菌用活性物質のミストを冷却用空気流に注入する手段を備える。活性成分のミストの注入により、細菌が死滅する。例えば、特にエアロゾルとしての、フルーツ酸、安息香酸及びソルビン酸、並びに、乳酸又は過酸化水素などが、ここでは活性物質と考えられる。
【0013】
この実施形態ではまた、装置内部で細菌数が少ないという利点がある。この活性物質のミストを、冷却用空気流により、装置ハウジングの内部全体にわたって分散することができる。活性物質のミストが付着することにより、食品の品質が劣化することは少ないか、又は全くない。結果として、加工の信頼性及び製造の信頼性が最高レベルになり、それにより製品の品質レベルが高くなり、保存期間を長くすることができる。微生物の繁殖が効果的に防止され、既存の微生物が確実に死滅する。このプロセスにおいて、汚染された環境空気から、細菌が自動的に取り除かれる。装置ハウジングの内部に、又は、給気ライン及び/若しくは排気ラインに、対応する装置を容易に組み込むことができる。或いは、コンパクトで可搬式の殺菌装置を使用することができる。この可搬式の殺菌装置は、例えば、給気ライン又は排気ラインに組み込むことができ、すなわち、例えば、ライン又はホースを用いて、ハウジングの入口接続片又は出口接続片に接続することのできるドッキングステーションの形態で組み込むことができる。次いで、可搬式の殺菌装置は、場合によっては換気装置を備えることもできる。総合的な結果として、コストが下がり、耐用年数が長くなる。
【0014】
さらなる実施形態によれば、空気は、別法として又は追加的に、製造区域に噴射されることはなく、代わりに、空気出口が排気ラインに接続され、それにより、冷却用空気流を製造区域の外側に噴射することができる。このようにして、汚染された冷却用空気は、食品と接触しない。閉路内に冷却剤を導くことも可能である。すなわち、排気が次いで冷却用の給気としての働きを再びすることが可能である。このプロセスでは、冷却用空気として本装置に再び供給する前に、暖かい排気を冷却する熱交換手段が設けられる。外側の区域から冷却用空気を供給することも可能である。この実施形態は、環境空気と無関係な閉システムを表す。この結果、環境空気、したがって製品の劣化は起きない。ここで再び、加工の信頼性及び製造の信頼性が最高レベルになり、それとともに製品の品質レベルが高くなる。さらに、コストが下がり、保存期間が長くなる。ここで再び、化学薬品及び他の物質を、環境空気又は製品に取り込むことなしで済ませることが可能になる。この解決策は、非常に経済的であり、耐用年数が長く、容易に制御可能なプロセスであることが分かる。消耗材料は必要でない。
【0015】
最後に、空気冷却は、別法として又は追加的に、液体冷却、特に閉路での水冷で置き換えることができ、液体冷却は同様に空気汚染を防止する。冷却システムはまた、別法として又はさらに、冷却装置、特に圧縮冷却装置によって実施することができる。ここでもやはり、汚染された排気は存在しない。この場合、装置内部は熱交換によって冷却される。
【0016】
給気ライン及び/又は排気ラインに、少なくとも1つのフィルタ要素を組み込むことも可能である。各フィルタ(粗いフィルタ、細かいフィルタ、静電フィルタなど)はまた、微生物の繁殖を低減させることができ、装置内部の細菌数を少なく抑えることに寄与することができる。ここでもやはり、食品の品質の劣化はないが、加工の信頼性及び製造の信頼性が向上し、したがって製品の品質レベルが高くなる。製品の保存期間を長くすることができる。製品の特性が保存される。汚染された環境空気が濾過され、これにより細菌が取り除かれ濾過されることになる。特に、細菌を取り除くための下流側の装置と組み合わせると、死滅した細菌及び他の望ましくない空気成分を捕らえることが可能である。
【0017】
装置ハウジングが、追加的に又は別法として、開放した装置構成又は開放可能な装置構成として形成される場合は、同様に有利である。この態様では、装置ハウジングの内部は、周期的に清浄及び殺菌することができ、これにより、冷却用空気流の細菌侵入が著しく低減することになる。
【0018】
本装置は、食品を製造又は加工するための装置であることが好ましく、具体的には以下のグループからの装置、すなわち、充填機、カッター、乳化装置、クリッパ、包装機などであることが好ましい。
【0019】
本発明による方法では、冷却手段は、結果として前述のように、環境空気が細菌で汚染されないように取り扱われ、又は実施される。これは特に、照射又は殺菌用活性物質のミストによってもたらされる。冷却剤の流れが、UV放射線、特にUVC放射線で照射される。冷却用空気流が照射されている間、放射熱によって電子装置ボックスを加熱することができる。
【0020】
ここで、細菌除去装置用の、場合によって必要となるコントローラは、任意選択として装置コントローラに組み込むことができ、又は独立型のコントローラとして実行することができる。放射源の強度は調節可能であり、特に、空気中の細菌密度及び/又は照射持続時間に応じて調節又は制御又は調整される。照射強度の変化は、例えば、1つ若しくは複数の放射源をオンにすることによって、又は出力を変化させることによって生じる。空気流に注入される殺菌剤の量は、時間によって、それ相応に調節又は制御又は調整することができ、殺菌剤の注入持続時間は、細菌密度に応じて、それ相応に調節又は制御又は調整することができる。
【0021】
上述の実施形態のうちの少なくとも2つを組み合わせることも可能である。
【0022】
以下の図面を参照しながら、本発明を以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1a】流出する冷却用空気流の区域において装置ハウジングの内部の空気から細菌を除去するために、チャンバ内に細菌除去装置が配置された、本発明の第1の実施形態による装置の概略断面図である。
【図1b】細菌除去装置が排気ラインに設けられている、本発明による一実施形態の詳細を示す概略断面図である。
【図2a】流入する冷却用空気流の区域内の空気から細菌を除去するために、装置ハウジングの内部のチャンバ内に細菌除去装置が配置された、本発明のさらなる実施形態による装置の概略断面図である。
【図2b】細菌除去装置が給気ラインに設けられている、本発明による一実施形態の概略断面図である。
【図3】細菌除去装置が装置ハウジングの内部に自由に配置された、本発明による一実施形態の概略断面図である。
【図4】電子装置ボックスの区域に放射源が配置された、本装置の一実施形態の概略断面図である。
【図5】冷却システムが冷却装置を備える、本発明による一実施形態の概略図である。
【図6】空気が外側から供給され、製造区域の外側に噴射される、本発明による一実施形態の概略断面図である。
【図7】冷却剤が回路内に導びかれた一実施形態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、食品を製造又は加工するための装置1の概略断面図である。ここで、この装置は、食品を製造又は加工するためのもの、例えばソーセージを製造するための充填機である。この装置は、環境空気12を有する製造区域に設置される。ここで本装置は、例えば、充填機に例えばソーセージの肉を充填するためのホッパ8、ソーセージの肉を充填パイプ9にまで滑らせて移動させるための対応するドライブを有するコンベア5a、及び、充填パイプに取り付けられたシャーリングされたソーセージケーシングにソーセージの肉を押し出す充填パイプ9を備える。かかる充填機は周知である。この充填機の精密な構造及び機能は、例えば、欧州特許第0250733号明細書に示してあるので、かかる装置の詳細説明は省く。
【0025】
ここで本装置は閉じた装置ハウジング10を備え、このハウジング内には、様々なシステム構成部品、特に発熱体が配置されている。発熱体として、このシステムは、例えば充填物を輸送するための対応するドライブを有するコンベア5aを有する。さらに本装置は、発熱体として、例えば、充填パイプ9及びトランス5cを回転させるためのドライブ5bを有する。さらに、例えば、付属通過装置(attachment passing machine)など、外部取付け用のドライブ5dを設けることもできる。発熱体5a、5b、5c、5dなどは、閉じたハウジング10の比較的小さい区域に配置される。食品製造における装置及びシステムは、高レベルの電力を必要とし、それに応じて、廃熱のレベルが大きくなり、その結果、ハウジング10の内部16を冷却しなければならない。
【0026】
この実施形態では、冷却システムは、ハウジング内に空気入口2及び空気出口4、並びに、装置ハウジング10の内部16で冷却用空気流を生成するための換気装置3を有する、空気冷却システムである。ここで、換気装置3は、ハウジング10内の空気入口2の区域に配置される。しかし、冷却用空気流を生成する換気装置3は、同様にして給気ライン14内に設けることができる。換気装置3としては、例えば、径方向又は軸方向の換気装置が使用される。追加的に又は別法として、空気はまた、排気区域内、すなわち排気ライン15内又は空気出口4の前にある換気装置(図示せず)を介して、装置ハウジングの内部16から吸入され排出されることができる。この実施形態では、環境空気は、冷却用空気流Lとして製造区域12から吸入され、次いでやはり、矢印で示すようにハウジングの空気出口を通して排出される。空気入口2及び空気出口4は、対応する給気ライン14及び排気ライン15、又は対応する接続片に接続することができるが、単にハウジングの開口として形成することもできる。これらの装置は、通例、比較的涼しい環境で使用されるので、この手法により、効果的で効率のよい空気冷却が実現する。
【0027】
製造区域内の細菌に感染した冷却用空気で空気12が汚染されるのを防止するために、冷却用空気から細菌を除去するための装置7が設けられている。この特別な実施形態では、空気から細菌を除去するためのチャンバ6が、このために空気出口4の区域に設けられている。閉じたチャンバは、冷却用空気流L用の流入開口6a及び流出開口6bを有する。ここで、このチャンバは、ハウジング壁に配置されるので、開口6bは実質的に空気出口4に対応する。第1の実施形態によれば、細菌を除去するための放射源7がチャンバ内に設けられている。この放射源は、1つ又は複数のUV、特にUVC放射源とすることができる。しかし、X線若しくはガンマ線の放射源を使用すること、又は電子衝撃などによって空気流から細菌を除去することも可能である。しかし、特にUVC放射源が有利である。ここでUVC放射源は、出力が15〜250ワット、冷却剤の流れが1〜600m/hであり、ハウジングの容積が100リットル〜10,000リットルの範囲であることが望ましい。放射線、特にUVC放射線によってDNAの突然変異の形成がもたらされ、これにより、細菌のDNAらせんが構造変化を起こし、複製及び転写を阻害することになる。DNAが変化するので、ウィルス、バクテリア及び胞子はすべて、これによって不活性化される。こうして数多くのDNAエラーが生ずるので、細胞はもはや分裂することができない。達成可能な効果(細菌の死滅率)は>99.99%である。冷却用空気流Lがチャンバ6を通って流れることから、確実に、冷却用空気流全体が十分な強度で一度照射される。出てくる冷却用空気は、可能な限り無菌であり、したがって環境空気12を汚染しない。したがって、事実上、汚染された環境空気12からの空気流によって、病原菌が製品例えばソーセージの肉に到達することはない。製品の品質は劣化せず、最終消費者又は区域12内の従業員に対して生じる健康への影響もない。
【0028】
図1bに示すように、細菌除去装置7は、ハウジング10内のみならず、図1bに示すように排気ライン15に配置することができる。細菌除去装置はまた、独立型の装置を意味するドッキングステーションの形態で排気ライン15に組み込むことができ、それによりドッキングステーションは、ライン又はホースを用いて、出口接続片に接続することができる。このドッキングステーションはまた、換気装置3を備えることができる。
【0029】
図2aには、図1に示した実施形態に対応する本発明のさらなる実施形態が示してあるが、それによると、細菌除去装置7は、空気入口2の区域に、同様に、空気から細菌を取り除くために、冷却用空気流Lが通り抜けて流れるチャンバ6内に配置され、それにより、照射によって細菌が空気から除去される。図2bから分かるように、細菌除去装置7はまた、給気ライン14に配置することができ、この給気ライン14は空気入口2に連通している。ドッキングステーションの形態での独立型装置として、細菌除去装置7はまた、ハウジングの入口又は出口の接続片に、例えばホース又はラインを用いて接続することができ、したがって、給気ラインの一部分を形成する。このドッキングステーションはまた、任意選択として換気装置3を備えることができる。図1a、1bに示す実施形態の場合には、確実に、細菌が完全に除去された冷却用空気流のみが区域12に直接入るが、図2、2bに示す実施形態には、細菌が既に除去された空気が装置ハウジングの内部16に流れるので各表面の細菌汚染を低減させることができるという利点がある。冷却用空気から細菌を除去するための対応する装置が、空気入口の区域、及び空気出口の区域の両方に設けられる場合には、特に有利である。
【0030】
しかし、さらなる実施形態によれば、細菌除去装置7を、ハウジング10の内部、装置ハウジングの内部16に、自由に配置することもまた可能である。この実施形態には、ハウジングの内部の個々の装置構成部品の各表面を、例えば放射源によって殺菌することもできるという利点がある。
【0031】
図4には、本発明によるさらなる実施形態が示してある。ここで、放射源7、特にUVC放射源は、電子装置ボックス11に近接して配置することができ、そのためこの電子装置ボックス11は、放射線及び/又は放射源の廃熱によって、例えば10〜20°Kだけ加熱される。電子装置ボックスは、例えば装置コントローラを備える。この電子装置ボックスを加熱することが有利であるというのも、このようにして、結露した水分が電子部品に蓄積することが防止されるからである。このようにして、電子装置ボックス11を加熱することなしで済ませることが可能である。
【0032】
放射源を備える細菌除去装置7に関連して、図1〜3を説明してきた。しかし、放射源の代わりに、殺菌用活性物質のミストを冷却用空気流に注入する装置を設けることもできる。この装置には、図示していないラインを介し、ポンプを介して活性物質用の貯蔵容器に接続されたノズルが設けられることが好ましい。ポンプの代わりに気化器を設けることもできる。ノズルは、細かいミストを生成することができるように形成される。エアロゾルのミストを冷却用空気流に注入することによって、細菌が死滅する。これについては、以下の活性物質、すなわち、フルーツ酸、安息香酸、ソルビン酸、乳酸、過酸化水素などが考えられる。それにより、細かいエアロゾルのミストが生成されることが好ましい。図1a、1b、2a、2b及び図3とともに前述の実施形態に関連して説明してきたように、ノズルは、放射源7も配置されている対応する位置、すなわち、空気から細菌を除去するための対応するチャンバ6内の空気入口及び/若しくは空気出口の区域、並びに/又は給気ライン14及び排気ライン15、並びに/又は装置ハウジングの内部16にも自由に配置することができる。例えば10〜450ml/hの少量で、エアロゾルのミストを絶えず注入することができる。しかし、連続ではなく、ある一定の間隔を置いてエアロゾルのミストを注入することも可能である。殺菌用活性物質が表面に沈着し、結果として、細菌の形成が増大するのが防止され、既存の細菌が死滅するので、これで十分である。
【0033】
したがって、この実施形態にはまた、冷却用空気流Lにより装置内部全体にエアロゾルのミストが均一に分散され、表面の殺菌に至る場合には、装置内部での細菌数が少なくなるという利点がある。したがって、食品の品質は、ほんのわずかに劣化するだけか、又は全く劣化しない。この解決策はまた、本装置に組み込むことが簡単である。同等な解決策は、特に経済的に実施できる。細菌を除去することは、本装置を用いて製造している間に実施できるが、停止中又は他の休止期間中、例えば夜通し実施することもできる。細菌除去装置は、細菌除去装置の個々のアクチュエータを始動させるコントローラを有することが好ましい。それにより、このコントローラを、任意選択として装置コントローラに組み込むことができ、又は独立型のコントローラとして実行することもできる。このコントローラを装置コントローラに組み込むことが有利であるというのも、そうすると、操作者のインターフェースから、冷却及び冷却用空気の殺菌を含め、ユーザが装置全体を操作することができるからである。
【0034】
次いで、例えば、空気中の細菌密度に応じて、放射源の強度が制御され又は調整される場合には有利である。例えば、細菌密度は、装置内又は環境空気中にそのまま置かれた、対応する装置を用いて記録することができ、また、例えば既知の方法で培養することによって決定することができる。同様に、放射持続時間に応じて、放射源の強度を制御又は調整又は調節することができる。例えば、強度は、1つ又は複数の放射源をオンにすることによって調節することができる。強度は、放射源の出力を変化させることによって調節することもできる。
【0035】
時間当たり冷却流に注入される殺菌剤の量及び注入の持続時間は、調節することができ、特に空気中の細菌密度に応じて制御又は調整することができる。
【0036】
図5には、本発明によるさらなる実施形態が示してある。環境空気12がここで細菌に汚染されることを防止するために、空気冷却システム2、4、3の代わりに冷却装置13、特に圧縮冷却装置13がここに設けられている。装置ハウジングの内部16における空気は、冷却装置の表面全域で熱交換されることによって冷却される。冷却装置は、例えば電気的に、又は例えばガスなどで駆動される。
【0037】
図6には、本発明によるさらなる実施形態が示してある。細菌で汚染された冷却剤により環境空気が汚染されるのを防止するために、空気冷却システムの排気ライン15は、製造区域を越えて冷却用空気流Lを噴射することができるような長さである。このために、パイプ、ホース、又は同様のものを、装置1に接続することができる。冷却用に供給される空気もまた、任意選択として給気ライン14を介して外側から吸入又は噴射することができる。
【0038】
図7には、本発明によるさらなる実施形態が示してある。ここで、対応する閉じたループ15、14を介して、閉路に冷却用空気流Lを導くことができる。これは、冷却用空気流Lが、再び冷却用として、空気出口4から空気入口2を介して、本装置又はハウジング10に注入されることを意味する。このために、加熱された冷却用空気流を冷却する熱交換装置17が設けられることが好ましい。熱交換器から得られる廃熱は、他の目的のために再使用することができる。これには、一方で、ハウジング10の内部を十分に冷却することができ、廃熱を効率的に再使用することができるが、環境空気12を汚染することがないという利点がある。回路内で液体冷却を行うことにより、対応する閉路を構成することもできる。しかし、開路を用いた液体冷却も可能である。
【0039】
図には示していないが、冷却用空気流を清浄化することに加えて、又はそれの別法として、空気入口2及び/若しくは空気出口4の区域、又は、給気ライン14及び/若しくは排気ライン15に、少なくとも1つのフィルタ要素を配置することができる。フィルタ要素としては、例えば、粗い空気フィルタ、細かい空気フィルタ、静電式又は湿式の空気フィルタが考えられる。対応するフィルタも細菌を低減させる働きをする。これらのフィルタは、死滅した細菌及び他の望ましくない空気成分を捕らえることができる。殺菌効果を有するフィルタ、例えば、銀又は二酸化チタンの被覆を有するフィルタを使用することもできる。
【0040】
ハウジングが、開放した装置構成として、又は開放可能な装置構成として形成される場合もまた有利である。これにより、装置内部を清浄化することが可能になる。したがって、存在する微生物を死滅させることができ、冷却用空気中で新しい細菌汚染の広がりを低減させることが可能になる。開放した装置構成の場合、ハウジングは、少なくとも1つの側部において十分大きい開口を有する。ハウジングはまた、例えば、ハウジング10の少なくとも1つの壁を少なくとも部分的に開放することができるか、又はフレームから完全に取り外せることができるように、形成することができる。
【0041】
個別に示した実施形態を互いに組み合わせることもできる。
【符号の説明】
【0042】
1…本発明による装置、2…空気入口(冷却システム)、3…換気装置(冷却システム)、4…空気出口(冷却システム)、5a,5b,5c,5d…発熱体、6…チャンバ、7…放射源(細菌除去装置)、8…ホッパ、9…充填パイプ、10…装置ハウジング、11…電子装置ボックス、12…環境空気、13…冷却装置、14…給気ライン、15…排気ライン、16…装置ハウジングの内部、17…熱交換装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置ハウジング(10)と、前記装置ハウジングの内部(16)を冷却するための冷却システム(2、3、4)とを有する、食品を製造又は加工するための装置(1)であって、
前記冷却システム(2、3、4)が、細菌に汚染されている冷却剤によって環境空気(12)が汚染されないように形成されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記冷却システム(2、3、4)が、
空気入口(2)と、
空気出口(4)と、
前記装置ハウジング(10)の内部(16)で冷却用空気流を生成するための換気装置(3)と、
前記冷却用空気から細菌を除去するための少なくとも1つの細菌除去装置(7)と
を有する空気冷却システムであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記細菌除去装置(7)が、放射源、好ましくはUV放射源、特にUVC放射源を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記細菌除去装置(7)は、前記放射源が配置され前記冷却用空気流(L)が通過して流れる、空気から細菌を除去するためのチャンバ(6)を備えること、及び/又は、
前記放射源は、前記装置ハウジングの内部(16)に自由に配置されること、及び/又は、
前記放射源は、給気ライン(14)及び/又は排気ライン(15)に設けられること、を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
電子装置ボックス(11)が前記装置ハウジングの内部(16)に配置され、前記電子装置ボックスが前記放射源又はその廃熱によって加熱されるように前記放射源(7)が配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つの前記細菌除去装置が、前記冷却用空気流に殺菌用活性物質のミストを注入するための手段を備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記空気出口(4)が、前記冷却用空気流を製造区域の外側に排出することができる排気ライン(15)に接続されていること、及び/又は、
前記冷却剤が閉路内に導かれること、及び/又は、
前記冷却システムが、冷却装置、特に圧縮冷却装置を備えること、を特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも1つのフィルタ要素が、給気ライン(14)及び/又は排気ライン(15)に配置されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置ハウジング(10)が、開放した装置構成又は開放可能な装置構成として形成されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
当該装置が、充填機、カッター、乳化装置、クリッパ、包装機その他のソーセージ製造用装置であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の、食品を製造又は加工するための装置を冷却するための方法であって、環境空気が結果として細菌に汚染されないように、冷却剤が取り扱われ、又は導かれる方法。
【請求項12】
前記冷却剤は空気であり、特に放射線により又は殺菌用活性物質のミストにより、細菌が冷却用空気流から除去されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記冷却剤の流れが、UV放射線、特にUVC放射線で照射されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記冷却用空気流の前記照射中に、放射源の放射熱又は廃熱によって、電子装置ボックスが加熱されることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記放射源の強度は調節することができ、特に前記空気中の細菌密度に応じて制御又は調整されること、及び/又は、前記照射の持続時間、若しくは、時間当たりの殺菌剤の量及び前記殺菌用活性物質の注入の持続時間は調節することができ、特に前記空気中の前記細菌密度に応じて制御又は調整されることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記細菌除去装置(7)のコントローラが、当該装置の装置コントローラに組み込まれることを特徴とする、請求項2〜10のいずれか一項に記載の装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−19786(P2012−19786A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−154974(P2011−154974)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(503209940)アルベルト ハントマン マシネンファブリク ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲー (18)
【Fターム(参考)】