説明

食材配送車および食品廃棄物情報管理システム

【課題】食材配送車の配車効率が高く、生ごみ等食品廃棄物の運搬を監視することができる食材配送車および食品廃棄物情報管理システムを提供する。
【解決手段】食材を収容する冷凍コンテナ(食材収容庫と)、食品廃棄物を収容する食品廃棄物回収容器3jを収容して冷却する冷凍ケースとを具備している食材配送車3および、この食品配送車3からの食品廃棄物情報を受信し保存し管理する管理手段を有する情報センタサーバ2とを具備している食品廃棄物情報管理システム1により食材配送車3の配車効率を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレストラン等飲食店に食材等を配送する食材配送車およびこの食材配送車により飲食店等から回収された生ごみ等食品廃棄物の移動を管理する食品廃棄物情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食材配送車は食材をレストラン等飲食店に配送した後は、空荷で食材配送センタに戻ってくることが多く、配送効率が悪い。
【0003】
そこで、従来の生ごみ回収方法の一例としては、食料品店等で発生した生ごみを配送センタや漁港方面へ帰る冷凍庫の空きスペースに乗せて飼料化プラントに運搬するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この冷凍車は、食材をレストラン等飲食店に配送する途中等において、冷凍庫等の空きスペースに生ごみを乗せて飼料化プラントに運搬するので、配車効率を向上させることができる。
【特許文献1】特開2002−165564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の生ごみ回収方法では、生ごみを冷凍車の空きスペースに乗せるので、生ごみ臭が冷凍車内に拡散し、冷凍車内自体や、その車内の食料品等に染み付いてしまうという課題がある。
【0006】
また、生ごみの回収は冷凍車に空きスペースがある場合の偶然性に依存しており、生ごみを計画的に回収することができないという課題もある。
【0007】
さらに、この生ごみ回収の運搬等の移動やその経路を監視できないので、例えば飼料化プラントへの運搬途中で生ごみの一部または全部が不法投棄されてもそれを知ることができず、その不法投棄の事前抑制効果も低い。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は食材配送車の配車効率が高く、生ごみ等食品廃棄物の運搬等移動を監視することができる食材配送車および食品廃棄物情報管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、食材を収容する食材収容庫と、食品廃棄物を収容する食品廃棄物回収容器を収容して冷却する冷凍ケースと、を具備していることを特徴とする食材配送車である。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記冷凍ケースは、商用電源により駆動される冷凍サイクル装置と、この冷凍サイクルにより冷却される蓄冷材と、を具備していることをと特徴とする請求項1記載の食材配送車である。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記食品廃棄物回収容器に配設されてその回収容器を識別する識別情報を記録したICタグと、このICタグの識別情報を読み出すICタグリーダと、食材配送車の位置を検出する位置検出装置と、前記食品廃棄物回収容器の重量を検出する重量検出装置と、この重量検出装置により検出された少なくとも食品廃棄物回収容器の重量検出値と前記ICタグリーダにより検出された識別情報と前記位置検出装置により検出された食材配送車の位置情報とを食品廃棄物情報として保存する一方、管理する管理手段と、この管理手段からの食品廃棄物情報を情報センタサーバに送信する送信手段と、を具備していることを特徴とする請求項1または2記載の食材配送車である。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項3記載の食材配送車と、この食材配送車から前記食品廃棄物情報を受信する受信手段およびこの受信手段により受信した食品廃棄物情報を保存し管理する管理手段を有する情報センタサーバと、を具備していることを特徴とする食品廃棄物情報管理システムである。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記複数の食材配送車により前記食品廃棄物回収容器が集荷される集荷センタに配設されて、この集荷センタに集荷された食品廃棄物回収容器のICタグから識別情報を読み出すICタグリーダおよびこのICタグリーダにより読み出された識別情報と少なくとも集荷日を含む集荷管理に必要な集荷情報を保存する一方、前記情報センタサーバにデータ送信する集荷センタ端末を、具備していることを特徴とする請求項4記載の食品廃棄物情報管理システムである。
【0014】
請求項6に係る発明は、食品廃棄物回収容器に収容されて前記食材配送車により搬入された食品廃棄物を処分する処分センタに配設されて、この処分センタに搬入された食品廃棄物回収容器の識別情報を読み出すICタグリーダおよびこのICタグリーダにより読み出された識別情報と少なくとも搬入日を含む処分管理に必要な処分情報を保存する一方、前記情報センタサーバにデータ送信する処分センタ端末を、具備していることを特徴とする請求項4または5記載の食品廃棄物情報管理システムである。
【0015】
請求項7に係る発明は、食品廃棄物回収容器に収容されて前記食材搬送車の食品廃棄物回収容器により搬入された食品廃棄物をリサイクル処理するリサイクル処理センタに配設されて、このリサイクル処理センタに搬入された食品廃棄物回収容器の識別情報を読み出すICタグリーダおよびこのICタグリーダにより読み出された識別情報と少なくとも処理搬入日を含むリサイクル処理の管理に必要にリサイクル処理情報を保存する一方、前記情報センタサーバにデータ送信するリサイクル処理工場端末を、具備していることを特徴とする請求項4記載の食品廃棄物情報管理システムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、食品廃棄物を食品廃棄物回収容器内に収容するうえに、さらに、この回収容器を冷凍ケース内に収容して2重に収容し、この冷凍ケースは食材を収容する食材収容庫と別体により構成されているので、食品廃棄物臭が食材収容庫内の食材に拡散するのを2重に防止することができる。
【0017】
また、食品廃棄物を、これを収容する食品廃棄物回収容器を介して冷凍ケースにより冷却するので、食品廃棄物の腐敗を防止または低減し、腐食臭を低減ないし防止することができる。さらに、食材配送車により食材配送後、空荷となる食材配送車により食品廃棄物を回収するので、食材配送車の配車効率の向上を図ることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、食材配送車の駐車時等において、冷凍ケースの冷凍サイクル装置の電源として、その電源コードのプラグを商用電源のコンセントに差し込む等により、商用電源を使用して蓄冷材を予め冷却することができる。このために、冷凍サイクル装置の電源として車載バッテリを使用しないので、車載バッテリの充電のために、食材配送車のエンジンの運転を継続させる必要がなく、停止させることができる。
【0019】
このために、食材配送車のエンジンの運転による排気ガスの排出を停止し、環境を向上させることができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、食品廃棄物回収容器の重量変化により、この食品廃棄物回収容器内に食品廃棄物が収容されているか否かと、収容されている食品廃棄物の重量を食品廃棄物回収容器毎に検出することができる。
【0021】
また、この食品廃棄物回収容器を搭載した食材配送車の走行径経路や駐,停車位置、その時間等がGPS装置等の位置検出装置により検出される。これら位置情報を含む食品廃棄物情報は情報センタサーバに送信されるので、この食品廃棄物情報を情報センタサーバにより監視することにより、食品廃棄物回収容器内に収容された食品廃棄物の移動経路や飲食店等の立寄り先を監視することができる。
【0022】
このために、食品廃棄物が運搬途中で不法投棄される虞れを低減し、不法投棄の事前抑制効果を向上させることができる。
【0023】
請求項4の発明によれば、請求項3に係る発明と同様に、情報センタサーバにより食品廃棄物の移動を監視することができるので、食品廃棄物の不法投棄の虞れを低減し、その事前抑制効果を向上させることができる。
【0024】
請求項5に係る発明によれば、食材配送車が例えば集荷センタで停車すると、その停車位置が位置検出装置により検出され、食材配送車がどこの集荷センタに到着したかと、重量検出装置の重量検出値の変化から食品廃棄物が集荷センタに積み降ろされたことが食材配送車の管理手段により検出される。
【0025】
そして、この集荷センタでは、食品廃棄物回収容器のICタグから、その識別情報がICタグリーダにより読み出され、集荷情報と共に集荷センタ端末に入力されて保存され、さらにこの集荷センタ端末から情報センタサーバにデータ送信される。
【0026】
このために、飲食店等から回収された食品廃棄物が食材配送車により集荷センタに移送され、集荷された日時や重量等集荷管理に必要な集荷管理情報を情報センタサーバにより監視することができる。
【0027】
請求項6に係る発明によれば、請求項5に係る発明とほぼ同様に、食品廃棄物回収容器が食材配送車により処分センタに移送されると、その移送の事実が処分センタ端末から情報センタサーバに送信される。
【0028】
このために、飲食店等から回収された食品廃棄物が食材配送車により処分センタに移送され、ここで処分される日時や重量等処分情報を情報センタサーバにより監視することができる。
【0029】
請求項7に係る発明によれば、請求項5,6に係る発明とほぼ同様に、食品廃棄物回収容器が食材配送車によりリサイクル処理センタに移送されると、このリサイクル処理センタでは、食品廃棄物回収容器のICタグから、その識別情報がICタグリーダにより読み出され、リサイクル処理情報が食品廃棄物情報と共にリサイクル処理センタ端末に保存され、さらに、このリサイクル処理センタ端末から情報センタサーバにデータ送信される。
【0030】
このために、飲食店等から回収された食品廃棄物が食材配送車によりリサイクル処理センタに移送され、ここで肥料や家畜等の飼料によりリサイクル可能に処理される日時や重量等リサイクル処理情報を情報センタサーバにより監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、複数の添付図面中、同一または相当部分には同一符号を付している。
【0032】
図1は本発明の一実施形態に係る食品廃棄物情報管理システムの構成図、図2は同食材配送車の斜視図である。
【0033】
図1に示すように食品廃棄物情報管理システム1は、情報センタサーバ2、食材配送車3、集荷センタ端末4、処分センタ端末5およびリサイクル処理センタ端末6を具備している。
【0034】
図2に示すように食材配送車3は、例えばアーム式リアゲート付きカーゴ仕様冷凍車であり、トラック等の自動車本体3aの荷台に、食材収納庫の一例である冷凍コンテナ3bを配設し、自動車本体3a下部に、食品廃棄物収容用の冷凍ケース3cを配設している。
【0035】
図3に示すように冷凍ケース3cは図3中横方向に長い横長角筒状のケース本体3dの図3中前面開口端の図中上端部に、例えば2枚の開閉扉3e,3eの上端部を図示しない跳ね上げドア開閉機構により図中上方へ跳ね上げ開扉可能に取り付けると共に、開扉状態を適宜維持し得るように構成されている。
【0036】
ケース本体3dは、例えばカラーアルミ製の外板とステンレス製の内板とにより、厚さが例えば35mmのノンフロンスチレンフォーム等の断熱材を挟んだサンドイッチパネルから形成されている。
【0037】
冷凍ケース3cは、このケース本体3dの開口端に対向する内面に、冷凍板3fを配設し、ケース本体3dの内底面に例えば4台の重量計3g,3g,…を配設し、ケース本体3dの上端内面にICタグリーダ3hを配設し、内側面にサーミスタ等の温度センサ3iを設け、食品廃棄物回収容器の一例である複数の回収容器3j,3j,…をケース本体3d内に収容し得るようになっている。
【0038】
各回収容器3jは、その図中上端等所要の開閉蓋から食品廃棄物を出入し密閉し得る密閉構造に構成されており、その例えば上面には、ICタグ3kがそれぞれ固定されている。各ICタグ3kには、その各々を識別するための識別情報であるユニークコードが予め記録されており、これらユニークコードは情報センタサーバ2に予め登録されている。
【0039】
そして、冷凍板3fは、その内部に共晶溶液等の蓄冷材を封入しており、この蓄冷材を図示しないヒートポンプ式の冷凍サイクル装置により冷却させるようになっている。
【0040】
この冷凍サイクル装置は、食材配送車3の駐車時等において、図3で示す電源コード3lのプラグを、駐車場等の100Vまたは200Vの商用電源のコンセントに挿入することにより給電されて駆動し、食材配送車3の駐車時等エンジン停車時に、冷凍板3fの蓄冷材を冷却する。
【0041】
この冷凍サイクル装置の運転は図3で示す制御装置3mにより制御される。制御装置3mはシステムLSI等のマイクロプロセッサにより構成され、図示しないCPU,ROM,RAMを具備している。
【0042】
図5はこの制御装置3mによる冷凍サイクル装置の運転制御モードの一例を示しており、その運転は冷却開始(蓄冷開始)してから8〜10時間の冷却(蓄冷)時間、すなわち、食材配送車3の駐車時間で蓄冷して冷凍板3fを例えば−30℃に冷却し、その蓄冷を完了したときに冷却運転を自動的に停止させる。この冷却停止後の食材配送中は、蓄冷材により例えば−30℃程度に冷却された冷凍板3fにより8〜10時間冷凍ケース3c内を冷却することができる。
【0043】
この後、制御装置3mは、再び食材配送車3の駐車中に冷凍サイクル装置を所要時間運転して蓄冷材を冷却させ、以後、蓄冷材による冷凍ケース3cの冷凍を繰り返す。
【0044】
そして、制御装置3mは、各ICタグ3kのユニークコード等を管理する管理手段としての機能も有し、各重量計3g、ICタグリーダ3h、温度センサ3iに電気的に接続されている。
【0045】
すなわち、各重量計3gは、例えば機械マット式等によりそれぞれ構成されており、冷凍ケース3cの内底面上に、各回収容器3jがそれぞれ載置されたときに、各重量をそれぞれ検出する。これら重量検出値は制御装置3mにより読み込まれ、ここで予め登録されている空の回収容器3jの重量と各ユニークコード毎に比較されて差分が算出され、この差分に基づいて、各回収容器3jに食品廃棄物が収容されているか否かと、食品廃棄物の重量がそれぞれ検出され、これら検出値はRAM等のメモリに記録される。
【0046】
また、冷凍ケース3c内に、回収容器3j,3j,…が挿入されると、その上面のICタグリーダ3hにより各回収容器3jのICタグ3kからユニークコードがそれぞれ読み出され、制御装置3mのメモリに記録される。
【0047】
さらに、制御装置3mは、温度センサ3iにより検出された冷凍ケース3c内の温度検出値も読み込み、この温度検出値が予め設定されている所要値よりも高いときに、温度高のアラームを検出する。
【0048】
また、制御装置3mは食材配送車3の運転席等に搭載された図示しないカードリーダに接続されており、このカードリーダにより読み出された運転手IDカード3nに記録されている運転手コード(CD)、車両コード、食材配送等収集運搬社コード、担当者コードを読み込み、所要のメモリに保存する。
【0049】
さらに、制御装置3mは、食材配送車3に搭載されている位置検出装置である図示しないGPS(Global Positioning System)装置に電気的に接続されており、GPS装置により検出された食材配送車3の位置を時系列で保存し、食材配送車3が立ち寄ったレストラン等飲食店(排出事業者)の場所、立ち寄った日時、時間等の情報を上記重量検出データ、温度検出データ、運転カードデータを含めて食品廃棄物情報として所要のメモリに保存する。
【0050】
そして、制御装置3mは、食材配送車3が所要のレストラン等飲食店に到着したことをGPSを介して検出したときに、その位置情報を含む食品廃棄物情報を、食材配送車3に搭載されたMCA等の移動無線通信装置により、情報センタの図示しない無線通信装置へ無線送信し、または図示しない移動情報端末により所要のデータ通信網を介して情報センタサーバ2にデータ送信するようになっている。情報センタサーバ2はこれら食品廃棄物情報を図示しないメモリやデータベースに保存するようになっている。
【0051】
図1に示すように集荷センタは、複数の食材配送車3により回収された生ごみ等の複数の食品廃棄物の回収容器3jを地域的にまとめて一時的に集荷する集荷場であり、食材配送車3によりここに集荷されて来た回収容器3jのICタグ3kのユニークコードを読み出す図示しない固定ゲート式または携帯式のICタグリーダと、このICタグリーダにより読み出されたユニークコードとその読み出し日、すなわち、集荷日を入力する一方、食材配送車3の制御装置3mから食品廃棄物情報や集荷日等を含む集荷管理に必要な情報(集荷管理情報)を入力して所要のメモリに保存するパーソナルコンピュータ(PC)等の集荷センタ端末4と、を具備している。
【0052】
この集荷センタ端末4は、これに入力された上記食品廃棄物情報と集荷管理情報を例えばインターネットWEBまたは専用回線を介して情報センタサーバ2にデータ送信する機能を有する。
【0053】
このために、情報センタサーバ2は食品廃棄物情報と集荷管理情報を所要のメモリやデータベース等に蓄積することができる。
【0054】
同じく処分センタは、食品廃棄物を焼却処分等の処分を行う処分場であり、食材配送車3によりここに搬入されてきた回収容器3jのICタグ3kのユニークコードを読み出す図示しない固定ゲート式リーダまたは携帯式のハンディリーダ5aと、これらICタグリーダから読み出した回収容器3jのユニークコードとその読み出し日、すなわち処分受入日を入力する一方、食材配送車3の制御装置3mから食品廃棄物情報や処分センタ受入日を含む処分管理に必要な処分管理情報を入力させるPC等の処分センタ端末5と、を具備している。
【0055】
この処分センタ端末5は、これに入力された上記食品廃棄物情報と処分管理情報を例えばインターネットWEBまたは専用回線を介して情報センタサーバ2にデータ送信する機能を有する。
【0056】
したがって、情報センタサーバ2は、上記集荷管理情報と処分管理情報の少なくとも一方を受信して所要のメモリやデータベースに記録し蓄積することができる。
【0057】
そして、リサイクル処理センタは、食品廃棄物を動植物の肥料や飼料等リサイクル可能物に加工する処理場であり、ここに搬入されて来た回収容器3jのICタグ3kのユニークコードを読み出す図示しない固定ゲート式またはハンディタイプのICタグリーダと、このICタグリーダにより読み出されたユニークコードとその読み出し日、すなわち、リサイクル処理センタへの搬入日や処理日を入力する一方、食材配送車3の制御装置3mから上記食品廃棄物情報と、処理日を含むリサイクル処理の管理に必要な情報を入力して所要のメモリに保存するPC等のリサイクル処理センタ端末6と、を具備している。
【0058】
このリサイクル処理センタ端末6は、これに入力された上記食品廃棄物情報等を含むリサイクル処理管理情報を例えばインターネットWEBまたは専用回線を介して情報センタサーバ2にデータ送信する機能を有する。
【0059】
したがって、情報センタサーバ2は、上記集荷管理情報、処分管理情報およびリサイクル処理管理情報の少なくともいずれか一つを受信して所要のメモリやデータベース等に記録し蓄積することができる。
【0060】
次に、この食品廃棄物情報管理システム1の作用について説明する。
【0061】
まず、収集運搬業者(図1参照)は、例えば食材配送前等において、自己の食材配送車3の駐車時に、冷凍ケース3cの電源コード3lのプラグを図示しない商用電源給電装置の100Vまたは200Vのコンセントに挿入して所要時間(例えば8時間)冷凍サイクル装置を駆動し、図5に示すように冷凍板3fの蓄冷材を冷却しておく。この冷凍サイクル装置の運転は制御装置3mにより、その制御プログラムに従って自動的に制御される。
【0062】
この後、食材配送車3の冷凍コンテナ3b内に所要の食材を収容し、運転手IDカード3nの記録情報をそのカードリーダにより読み出す。これにより、食材配送車3の運転手名、収集(食材配送)業者名、食材配送車3等食材配送(食品廃棄物回収)に必要な情報が制御装置3mにより読み込まれ、RAM等所要のメモリに記録される。
【0063】
そして、食材配送車3の走行に伴う移動軌跡ないし経路はGPS装置により逐次検出され、制御装置3mのメモリに逐次記録される。このために、所要のレストラン等飲食店に食材配送車3が立ち寄ると、その位置がGPS装置により検出され、その検出位置に基づいて制御装置3mにより飲食店の位置とその飲食店の経営者である排出事業者コードが特定されてメモリに記録される。
【0064】
この飲食店において、残飯や生ごみ等食品廃棄物は回収容器3j内に収容され、食品配送車3の冷凍ケース3c内に挿入される。
【0065】
すると、この冷凍ケース3の内底面に配設された各重量計3g,3g,…により、これら回収容器3jの重量が検出され、その重量検出値が制御装置3mにより読み込まれる。制御装置3mは、その重量を読み込んだ日時を食品廃棄物の引取り日として判断(記録)すると共に、この重量検出値から、予め登録されてある各回収容器3jの空箱時の重量を差し引き、その差分から各回収容器3j内に食品廃棄物が収容されているか否かと、その収容されている食品廃棄物の重量が各回収容器3j毎に検出され記録される。
【0066】
また、各回収容器3jが冷凍ケース3c内に挿入されると、各回収容器3jのICタグ3kに記録されている各ユニークコードがICタグリーダ3hにより読み出され、各重量検出値と関連付けられて所要のメモリ等に記録される。
【0067】
さらに、冷凍ケース3c内の温度は温度センサ3iにより検出され、その温度検出値は制御装置3mにより読み込まれる。また、制御装置3mは、この温度検出値を、予め登録されている温度上限値と比較し、この上限値を超過しているときに、温度アラームを出力し、記録する。
【0068】
そして、制御装置3mは、この温度アラーム、上記各ICタグ3kのユニークコード、食品廃棄物の引取り日、収集運搬社コード、車両コード、運転手(担当者)コードを含む食品廃棄物情報がMCAにより情報センタの図示しない通信装置に無線送信され、または、図示しない移動情報端末のデータ通信により情報センタサーバ2に入力されて記録され、所要のメモリ等データベース等に蓄積される。
【0069】
そして、このような食材配送車3による食品廃棄物の回収は、単数または複数の飲食店において順次行なわれ、各飲食店毎に集荷票が発行される。また、食品廃棄物を収容した各回収容器3jは、食材配送車3により所要の集荷センタに集荷される。この集荷センタでは、食材配送車3により搬入された各回収容器3jが図示しないベルトコンベアにより所要の集積エリアに搬送される際に、このベルトコンベアに配設された固定ゲート式のICタグリーダ、またはハンディリーダにより各回収容器3jのICタグ3kのユニークコードが読み込まれる。これらユニークコードの読込み日時は集荷日としてユニークコードと関連付けられて食品廃棄物の重量検出値とGPS装置の位置検出値と共に集荷管理情報として集荷センタ端末4に入力される。
【0070】
集荷センタ端末4からはこの集荷管理情報がインターネットWEBまたは専用回線を介して情報センタサーバ2にデータ送信される。
【0071】
処分センタは、この集荷センタの搬送車を介して間接的に、または食材配送車3から直接、回収容器3jを受入する。
【0072】
この受入時には、回収容器3jのICタグ3kのユニークコードが固定ゲート式ICタグリーダを通過する際に自動的に読み込まれ、またはハンディリーダ5aにより読み込まれる。このユニークコードの読込み日時は処分処理日としてユニークコードと関連付けられて、食品廃棄物の重量検出値とGPS装置の位置検出値と共に処分管理情報として処分センタ端末5に入力される。
【0073】
処分センタ端末5からは、この処分管理情報がインターネットWEBまたは専用回線を介して情報センタサーバ2にデータ送信される。
【0074】
したがって、情報センタサーバ2には、食材配送車3からの食品廃棄物情報、集荷センタからの集荷管理情報、処分センタからの処分管理情報、リサイクル処理センタからのリサイクル処理管理情報が保存されているので、食品廃棄物の飲食店からの回収から集荷センタ、処分センタ、リサイクル処理センタの少なくともいずれかへの移動や移動経路を常に監視することができる。このために、食品廃棄物の不法投棄を未然に防止または抑制することができる。
【0075】
また、この食品廃棄物情報管理システム1によれば、食品廃棄物を回収容器3j内に収容するうえに、さらに、冷凍ケース3c内に収容して2重に収容し、この冷凍ケース3cは食材を収容する冷凍コンテナ3bと別体により構成されているので、食品廃棄物臭が冷凍コンテナ3b内の食材に拡散するのを2重に防止することができる。
【0076】
また、食品廃棄物を、これを収容する回収容器3jを介して冷凍ケース3cにより冷却するので、食品廃棄物の腐敗を防止または低減し、腐敗臭を低減ないし防止することができる。さらに、食材配送車3により食品廃棄物を回収するので、食材配送後、空荷となる食材配送車3により食品廃棄物を回収するので、配車効率の向上を図ることができる。
【0077】
さらに、食材配送車3の駐車時等において、冷凍ケース3cの冷凍サイクル装置の電源として、その電源コードのプラグを商用電源のコンセントに差し込む等により、商用電源を使用し、車載バッテリを使用しないので、車載バッテリの充電のために、食材配送車3のエンジンの運転を継続させる必要がなく、停止させることができる。
【0078】
このために、食材配送車3のエンジンの運転による排気ガスの排出を停止し、環境を向上させることができる。
【0079】
また、回収容器3jの空箱時の重量変化(差分)により、この回収容器3j内に食品廃棄物が収容されているか否かと、その食品廃棄物の重量を回収容器3j毎に検出することができる。
【0080】
また、この回収容器3jを搭載した食材配送車3の走径経路や停車位置、その時間がGPS装置により検出される。これら位置情報を含む食品廃棄物情報は情報センタサーバ2に送信されるので、この食品廃棄物情報を情報センタサーバ2により監視することにより、回収容器3j内に収容された食品廃棄物の移動経路や飲食店等の立寄り先を監視することができる。
【0081】
このために、食品廃棄物が運搬途中で不法投棄される虞を低減し、不法投棄の事前抑制効果を向上させることができる。
【0082】
また、食材配送車3が例えば集荷センタで停車すると、その停車位置がGPS装置により検出され、食材配送車3が集荷センタに到着したことと、各重量計3gの重量検出値の変化から食品廃棄物が積み降ろされたことが食材配送車3により検出され、情報センタサーバ2にデータ送信される。
【0083】
そして、この集荷センタでは、回収容器3jのICタグ3kから、その識別情報のユニークコードがICタグリーダにより読み出され、集荷情報と共に集荷センタ端末4に入力されて保存され、さらにこの集荷センタ端末4から情報センタサーバ2にデータ送信される。
【0084】
このために、飲食店等から回収された食品廃棄物が食材配送車3により集荷センタに移送され、集荷された日時や重量等集荷管理情報を情報センタサーバ2により集中的に監視することができる。
【0085】
さらに、回収容器3jが食材配送車3により処分センタに移送されると、この移送の事実が処分センタ端末5から情報センタサーバ2に送信されるので、飲食店等から回収された食品廃棄物が食材配送車3により処分センタに移送され、ここで処分される日時や重量等処分情報を情報センタサーバ2により集中的に監視することができる。
【0086】
そして、回収容器3jが食材配送車3によりリサイクル処理センタに移送されると、その移送がリサイクル処理センタ端末6に保存され、さらに、このリサイクル処理センタ端末6から情報センタサーバにデータ2にデータ送信される。
【0087】
このために、飲食店等から回収された食品廃棄物が食材配送車3によりリサイクル処理センタに移送され、ここで肥料や家畜等の飼料によりリサイクル可能に処理される日時や重量等リサイクル処理情報を情報センタサーバ2により監視することができる。
【0088】
すなわち、情報センタサーバ2により、食材配送車3による食品廃棄物の回収と、この食品廃棄物の集荷センタ、処分センタ、リサイクル処理センタの少なくともいずれかへの移動を集中的に監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施形態に係る食品廃棄物情報管理システムの構成図。
【図2】図1で示す食材配送車の外観斜視図。
【図3】図2で示す冷凍ケースと回収容器の斜視図。
【図4】図3で示す冷凍ケースの一部切欠斜視図。
【図5】図3,図4で示す冷凍ケースの運転モードと冷凍板の温度変化とを共に示すグラフ。
【符号の説明】
【0090】
1 食品廃棄物情報管理システム
2 情報センタサーバ
3 食材配送車
3b 食材配送車の冷凍コンテナ(食材収容庫)
3c 冷凍ケース
3f 冷凍板
3g 重量計
3h ICタグリーダ
3i 温度センサ
3j 回収容器
3k ICタグ
3l 電源コード
4 集荷センタ端末
5 処分センタ端末
5a ハンディリーダ
6 リサイクル処理センタ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を収容する食材収容庫と、食品廃棄物を収容する食品廃棄物回収容器を収容して冷却する冷凍ケースと、
を具備していることを特徴とする食材配送車。
【請求項2】
前記冷凍ケースは、商用電源により駆動される冷凍サイクル装置と、この冷凍サイクルにより冷却される蓄冷材と、を具備していることをと特徴とする請求項1記載の食材配送車。
【請求項3】
前記食品廃棄物回収容器に配設されてその回収容器を識別する識別情報を記録したICタグと、
このICタグの識別情報を読み出すICタグリーダと、
食材配送車の位置を検出する位置検出装置と、
前記食品廃棄物回収容器の重量を検出する重量検出装置と、
この重量検出装置により検出された少なくとも食品廃棄物回収容器の重量検出値と前記ICタグリーダにより検出された識別情報と前記位置検出装置により検出された食材配送車の位置情報とを食品廃棄物情報として保存する一方、管理する管理手段と、
この管理手段からの食品廃棄物情報を情報センタサーバに送信する送信手段と、
を具備していることを特徴とする請求項1または2記載の食材配送車。
【請求項4】
請求項3記載の食材配送車と、
この食材配送車から前記食品廃棄物情報を受信する受信手段およびこの受信手段により受信した食品廃棄物情報を保存し管理する管理手段を有する情報センタサーバと、
を具備していることを特徴とする食品廃棄物情報管理システム。
【請求項5】
前記複数の食材配送車により前記食品廃棄物回収容器が集荷される集荷センタに配設されて、この集荷センタに集荷された食品廃棄物回収容器のICタグから識別情報を読み出すICタグリーダおよびこのICタグリーダにより読み出された識別情報と少なくとも集荷日を含む集荷管理に必要な集荷情報を保存する一方、前記情報センタサーバにデータ送信する集荷センタ端末を、
具備していることを特徴とする請求項4記載の食品廃棄物情報管理システム。
【請求項6】
前記食品廃棄物回収容器に収容されて前記食材配送車により搬入された食品廃棄物を処分する処分センタに配設されて、この処分センタに搬入された食品廃棄物回収容器の識別情報を読み出すICタグリーダおよびこのICタグリーダにより読み出された識別情報と少なくとも処分搬入日を含む処分管理に必要な処分情報を保存する一方、前記情報センタサーバにデータ送信する処分センタ端末を、
具備していることを特徴とする請求項4または5記載の食品廃棄物情報管理システム。
【請求項7】
前記食品廃棄物回収容器に収容されて前記食材搬送車により搬入された食品廃棄物をリサイクル処理するリサイクル処理センタに配設されて、このリサイクル処理センタに搬入された食品廃棄物回収容器の識別情報を読み出すICタグリーダおよびこのICタグリーダにより読み出された識別情報と少なくとも処理搬入日を含むリサイクル処理の管理に必要にリサイクル処理情報を保存する一方、前記情報センタサーバにデータ送信するリサイクル処理工場端末を、
具備していることを特徴とする請求項4記載の食品廃棄物情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−173156(P2009−173156A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13690(P2008−13690)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(591054886)三友プラントサービス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】