説明

食道弁

食道弁(1)などの弁は、弁(1)が閉鎖された常閉構成と、弁(1)が、弁(1)を通じた流動のために開放された開放構成とを有する。弁(1)の支持体(102)は、予め展開された管腔補綴体(140)の近端と遠端の中間において、予め展開された管腔補綴体(140)に装着するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
食道ステントは、良性の狭窄または悪性の閉塞を治療するために下部食道括約筋(LES)にしばしば配置される。しかし、結果として生じる逆流遮断壁の損失は、相当量の酸逆流をもたらすことが多く、これは既に病気の患者の生活の質を低下させるおそれがある。
【0003】
胃噴門に配置されるこのような食道ステントは、ステントの下から胃にぶら下がる軟質のスリーブを備えることもある。これらの所謂「ウィンドソック」(吹き流し、風見用円錐筒)」状装置は、スリーブを平坦化および閉鎖する胃のわずかな圧力の上昇に依存する。
【0004】
しかし、既存のインステント逆流技術にはいくつかの問題がある。患者がげっぷまたは嘔吐したいときに、これらの装置の多くは、完全に封鎖して、逆流を防止し、患者に著しい不快感を与える。場合によっては、スリーブが逆転して逆行の流れを可能にすることができるが、次いで逆の状態を維持し、食道の封鎖を引き起こし得る。加えて、このようなスリーブは、一般に、蠕動が有効でないステントの遠端に存在するため、食物が装置のこの部分に突き刺さる危険性がある。別の問題は、これらの弁を構成する材料が、胃の環境内でしばしば劣化して、装置の効果を経時的に低下させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、
弁が閉鎖された常閉構成と、
弁葉状部が順行力に応答して開放されて、弁を通じた流れを可能にする順行開放構成と、
順行力より実質的に大きい逆行力に応答する逆行開放構成と
を有する食道弁が提供される。
【0006】
一実施形態において、弁は、外側支持枠と、少なくとも3つの弁葉状部と、支持枠と弁葉状部の間に伸びる本体領域とを有するポリマー弁体を含む。
本発明は、また、少なくとも4つの弁葉状部を含む、体管腔に配置するための管腔弁であって、弁葉状部が係合された常閉構成と、弁葉状部が開放された開放構成とを有する管腔弁を提供した。少なくとも5つの弁葉状部が存在してよい。6つの弁葉状部が存在してよい。
【0007】
1つの実例において、弁は食道弁である。1つの実例において、弁は、弁葉状部が順行力に応答して開放されて、弁を通じた流れを可能にする順行開放構成と、順行力より実質的に大きい逆行力に応答する逆行開放構成とを有する。
【0008】
弁は、ポリマー材料の弁体を有することができる。弁は、外側支持領域を有することができる。弁は、支持領域と弁葉状部の間に伸びる本体領域を有することもできる。
1つの実例において、本体領域は、一般には、外側支持枠と弁葉状部の接合領域との間が凹形である。
【0009】
一実施形態において、弁葉状部および本体領域の少なくとも一部が逆転して、逆行方向の流れを可能にする。好ましくは、逆行力が低下すると、主弁領域および弁葉状部が裏返って常閉構成になる。
【0010】
1つの実例において、弁葉状部は接合領域を有し、弁体は接合領域が強化されている。弁体は、接合領域が厚くなっていてよい。
接合領域は、少なくとも1mmの軸方向長さにわたって伸びていてよい。接合領域は、1mmから5mmの深さにわたって伸びていてよい。
【0011】
一実施形態において、弁体の支持枠は強化されている。弁の支持枠は厚くなっていてよい。
一実施形態において、弁は3つの弁葉状部を含む。
【0012】
別の実施形態において、弁は6つの弁葉状部を含む。
本発明はまた、弁の支持構造体を含む食道弁を提供する。
弁は、支持構造体に装着されていてよい。
【0013】
1つの実例において、弁枠は、支持構造体に縫合されている。代替的または追加的に、弁枠は、支持構造体に接合されている。
一実施形態において、支持構造体は、管腔補綴体を含む。
【0014】
1つの実例において、管腔補綴体は、弁の近位方向に伸びる。
別の実例において、管腔補綴体は、弁の遠位方向に伸びる。
一実施形態において、管腔補綴体は、弁の近位および遠位方向に伸びる。
【0015】
管腔補綴体は、コーティングおよび/またはスリーブをその上に有することができる。コーティングまたはスリーブは、管腔補綴体の外側に存在し得る。あるいは、コーティングまたはスリーブは、管腔補綴体の内側に存在する。
【0016】
一実施形態において、順行方向の0.7mmHgの圧力は、140ml/分の流速を可能にするのに十分である。
一実施形態において、弁を開放するのに必要な逆行力は、15mmHgより大きく、40mmHgより小さい圧力である。
【0017】
一実施形態において、ポリマー材料は、胃液に対して、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも7ヶ月間、少なくとも8ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも10ヶ月間、少なくとも11ヶ月間または少なくとも1年間にわたって安定である。
【0018】
1つの実例において、ポリマー材料は、平衡状態で、約5重量%未満、約10重量%未満、約15重量%未満、約20重量%未満、約25重量%未満または約30重量%未満の水を吸収する。
【0019】
1つの実例において、弁体のポリマー材料は、50%から3000%または200%から1200%の伸度(%)を有する。
1つの実例において、弁体のポリマー材料は、0.01から5MPa、または約0.1から1.0MPa、または約0.25から0.5MPaの引張強度を有する。
【0020】
一実施形態において、ポリマー材料は、約0.01から0.6MPa、または約0.1から約0.5MPaのヤング率を有する。
一実施形態において、弁体のポリマー材料は、0.1g/cmから1.5g/cm、または0.3から1.2g/cm、または0.8から0.9g/cm、または0.5から0.6g/cmの密度を有する。
【0021】
一実施形態において、弁体の支持領域の近端と弁葉状部の遠端との距離は、50mm未満、または40mm未満、または30mm未満、または25mm未満、または20mm未満、または15mm未満である。
【0022】
1つの実例において、弁体のポリマー材料は、弾性材料である。
別の実例において、弁体のポリマー材料は、粘弾性材料である。
一実施形態において、弁体のポリマー材料は、発泡体を含む。弁体のポリマー材料は、連続気泡発泡体を含むことができる。
【0023】
一実施形態において、弁体のポリマー材料は、ポリウレタン発泡体を含む。
一実施形態において、食道弁は、予め展開された支持構造体、例えば、ステントなどの食道管腔補綴体に装着されるように構成される。
【0024】
本発明はまた、
弁が閉鎖された常閉構成と、
弁を通じた流れを可能にするために弁が開放された開放構成と、
予め展開された管腔補綴体の近端と遠端との中間において、予め展開された管腔補綴体に装着するように構成される、弁の支持体と
を有する弁を提供する。
【0025】
1つの実例において、弁は、食道ステントに装着する食道弁である。
一実施形態において、弁支持領域は、支持構造体に縫合されている。
弁支持領域は、支持構造体に接合されている。
【0026】
管腔補綴体は、弁の近位方向に伸びていてよい。管腔補綴体は、弁の遠位方向に伸びていてよい。管腔補綴体は、弁の近位および遠位方向に伸びていてよい。
1つの実例において、管腔補綴体は、コーティングおよび/またはスリーブをその上に有する。コーティングまたはスリーブは、管腔補綴体の外側に存在し得る。代替的または追加的に、コーティングまたはスリーブは、管腔補綴体の内側に存在する。
【0027】
一実施形態において、弁は、食道ステントなどの予め展開された食道管腔補綴体に装着されるように構成される。
弁を予め展開された食道管腔補綴体に装着する装着手段が存在し得る。装着手段は、弁に設けられていてよい。
【0028】
1つの実例において、装着手段は、予め展開されたステントとの係合のための係合手段を含む。
弁は、支持構造体を含むことができる。支持構造体は、外側または内側に向かって先細りしてよい。
【0029】
1つの実例において、支持構造体は、一般に、その長さに沿って均一な直径を有する。
一実施形態において、支持構造体は骨格を含む。支持構造体は、ステント様構造体を含むことができる。
【0030】
装着手段は、支持構造体によって設けられていてよい。1つの実例において、装着手段は、支持構造体から伸びる突起を含む。突起は、予め展開されたホスト食道管腔補綴体と係合するように構成されてよい。
【0031】
一実施形態において、突起はループを含む。
1つの実例において、突起の先端が丸められている。
突起は、予め展開されたホスト食道管腔補綴体と解放可能に係合可能であってよい。
【0032】
予め展開されたホスト食道管腔補綴体との係合から弁を解放する解放手段が存在してよい。解放手段は、弁支持構造体の少なくとも一部の直径を小さくする手段を含むことができる。
【0033】
1つの実例において、解放手段は、弁支持構造体付近に伸びる引張糸集合体を含む。第1の引張糸集合体は、支持体の近端付近に伸びていてよい。第2の引張糸集合体は、支持構造体の遠端付近に伸びていてよい。
【0034】
一実施形態において、弁は支持構造体に装着されている。弁は支持構造体に縫合されていてよい。弁は支持構造体に接合されていてよい。弁は支持構造体に接着接合されていてよい。
【0035】
別の実例において、装着手段は、外科用接着剤を含む。
本発明はまた、体管路に弁を設けるための方法であって、
支持構造体に装着された弁を設けるステップと、
支持構造体に装着された弁を、体管路における予め展開された管腔補綴体に送達するステップと、
弁が管腔補綴体に装着されるように弁を配置するステップと
を含む方法を提供する。
【0036】
一実施形態において、弁を配置するステップは、弁支持体を予め展開された管腔補綴体と係合させるステップを含む。
弁支持体を予め展開された管腔補綴体と機械的に係合させることができる。
【0037】
1つの実例において、弁支持体は突起を含み、該方法は、突起と管腔内補綴体の開口との位置を合わせ、突起を開口に係合させるステップを含む。
一実施形態において、弁支持体は、膨張性支持体であり、該方法は、支持体を収縮させた形で送達カテーテルに装填するステップを含み、支持体は、配置されると膨張可能である。
【0038】
支持体は、自己膨張性であり、支持体は、バルーンなどの膨張手段によって膨張される。
一実施形態において、該方法は、弁支持体を管腔補綴体との係合から解放するステップを含む。
【0039】
該方法は、弁支持体を補綴体内に再配置するステップを含むことができる。該方法は、弁を補綴体から除去するステップを含む。
一実施形態において、体管路は食道であり、弁は、予め展開された食道ステントに装着するための食道弁である。
【0040】
1つの実例において、弁の支持構造体が存在する。弁を支持構造体に装着することができる。弁支持領域を支持構造体に縫合することができる。代替的または追加的に、弁支持領域は、支持構造体に接合される。1つの実例において、支持構造体は、弁支持領域にオーバーモールドされる。
【0041】
支持構造体は、管腔補綴体を含むことができる。
一実施形態において、管腔補綴体は、弁の近位方向に伸びる。補綴体は、自己膨張プラスチック網目を含むことができる。補綴体は、1.9kPa未満の半径方向力を加えることができる。
【0042】
一実施形態において、補綴体を原位置で装着するためのアンカーが存在する。アンカーは、補綴体の網目を伸びるように構成されてよい。
1つの実例において、補綴体は、噴門に固定されるように構成される。
【0043】
一実施形態において、支持領域の近端から弁葉状部の遠端までの弁の長さは、50mm未満、40mm未満、30mm未満である。弁の長さは、弁の支持領域の外径とほぼ同じであってよい。弁の長さは、約23mmであってよい。
【0044】
別の態様において、本発明は、逆流性食道炎を治療するための方法であって、本発明の弁を設け、弁を所望の場所に配置するステップを含む方法を含む。所望の場所は、下部食道括約筋の全域であってよい。1つの実例において、弁葉状部は、食道の端部から遠くに配置される。一実施形態において、弁に支持構造体が設けられ、該方法は、支持構造体を所望の場所に装着するステップを含む。該方法は、支持構造体を体壁の所望の場所に固定するステップを含むことができる。1つの実例において、該方法は、支持構造体を噴門に固定するステップを含む。
【0045】
本発明は、例示のみを目的として示されるその以下の説明からより明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による食道弁の(上からの)等角図である。
【図2】食道弁の(下からの)等角図である。
【図3】弁の上平面図である。
【図4】弁の下平面図である。
【図5】弁の正面図である。
【図6】弁の正面図である。
【図7】弁の等角部分切取断面図である。
【図8】弁の等角部分切断断面図である。
【図9】弁の断面図である。
【図10】弁の断面図である。
【図11】順行力が加えられた常閉構成の弁の断面図である。
【図12】順行力に応答する開放構成の弁の断面図である。
【図13】順行流に対して解放した後に閉構成に戻された弁の断面図である。
【図14】逆行力が加えられた常閉構成の弁の断面図である。
【図15】逆行力に応答する開放構成の弁の断面図である。
【図16】逆行流に対して解放された後に閉構成に戻された弁の断面図である。
【図17】常閉構成の弁の(上からの)等角図である。
【図18】順行力に応答する部分開放構成の弁の等角図である。
【図19】順行力に応答する完全開放構成の弁の等角図である。
【図20】常閉構成の弁の(下からの)等角図である。
【図21】逆行力に応答して開放構成に変わる弁の等角図である。
【図22】逆行流を可能にする完全開放構成の弁の等角図である。
【図23】食道補綴体の等角図である。
【図24】図23の補綴体およびその位置に装着されている図1から22の弁の正面図である。
【図25】補綴体に装着された弁の別の図である。
【図26】スリーブ付けまたはコーティングされた食道補綴体の等角図である。
【図27】スリーブ付けまたはコーティングされた食道補綴体の等角図である。
【図28】図1から22の弁を所定位置に有する図26および27の補綴体の等角図である。
【図29】食道の所定位置の図28の補綴体の一部の正面図である。
【図30】本発明の別の実施形態による弁の等角図である。
【図31】図30の弁の正面図である。
【図32】遠方外方向に先細りする支持構造体を有する本発明による別の弁の等角図である。
【図33】図32の弁の正面図である。
【図34】遠方内方向に先細りする支持構造体を有する本発明による別の弁の等角図である。
【図35】弁および付随する支持構造体を所定位置に有する管腔補綴体の正面図である。
【図36】図35の管腔補綴体および弁支持構造体の拡大図である。
【図37】管腔補綴体への弁支持構造体の1つの装着の詳細の拡大図である。
【図38】管腔補綴体への弁支持構造体の1つの装着の詳細の拡大図である。
【図39】送達カテーテルから展開されている弁の図である。
【図40】送達カテーテルから展開されている弁の図である。
【図41】送達カテーテルから展開されている弁の図である。
【図42】送達カテーテルから展開されている弁の図である。
【図43】送達カテーテルから展開されている弁の図である。
【図44】弁が管腔補綴体の管腔に展開されている食道の所定位置の管腔補綴体の図である。
【図45】弁が管腔補綴体の管腔に展開されている食道の所定位置の管腔補綴体の図である。
【図46】弁が管腔補綴体の管腔に展開されている食道の所定位置の管腔補綴体の図である。
【図47】本発明の別の実施形態による弁の正面図である。
【図48】図47の弁の支持構造体の詳細の拡大図である。
【図49】送達カテーテルから展開されている図47および48の弁の等角図である。
【図50】送達カテーテルから展開されている図47および48の弁の等角図である。
【図51】図49および50の弁を原位置に有する補綴体の正面図である。
【図52】補綴体の網目に係合した図47から51の弁支持構造体の係合の詳細の拡大図である。
【図53】図52の管腔補綴体および弁支持構造体の一部の拡大図である。
【図54】食道管腔補綴体の正面図である。
【図55】本発明の食道弁の正面図である。
【図56】図54の予め展開された食道管腔補綴体への図55の弁の展開に含まれるステップの正面図である。
【図57】図54の予め展開された食道管腔補綴体への図55の弁の展開に含まれるステップの正面図である。
【図58】図54の予め展開された食道管腔補綴体への図55の弁の展開に含まれるステップの正面図である。
【図59】図54の予め展開された食道管腔補綴体への図55の弁の展開に含まれるステップの正面図である。
【図60】図54の予め展開された食道管腔補綴体への図55の弁の展開に含まれるステップの正面図である。
【図61】図54の予め展開された食道管腔補綴体への図55の弁の展開に含まれるステップの正面図である。
【図62】図61の管腔補綴体に展開された図55の弁の正面図である。
【図63】弁が、展開された補綴体から除去されている図62と類似の正面図である。
【図64】本発明による別の弁の等角図である。
【図65】本発明による別の弁の等角図である。
【図66】図64および65の弁の上平面図である。
【図67】図64および65の弁の下平面図である。
【図68】図64および65の弁の正面図である。
【図69】図64および65の弁の断面図である。
【図70】図64および65の弁の切取等角図である。
【図71】弁および付随する支持体の等角図である。
【図72】図71の弁および支持体の正面図である。
【図73】閉構成の弁を有する図71および72の装置の平面図である。
【図74】開放構成の弁を有する図73と類似の平面図である。
【図75】閉構成の弁を有する図73の装置側面図である。
【図76】閉構成の弁を有する図73の装置の側面図である。
【図77】開放構成の弁を有する図73の装置の側面図である。
【図78】開放構成の弁を有する図73の装置の側面図である。
【図79】閉構成での使用における図72の装置の断面図である。
【図80】装置が所定位置に固定された図79と類似の図である。
【図81】閉構成の装置の断面図である。
【図82】バルブが順行開放構成の装置の断面図である。
【図83】図71と類似の別の装置の正面図である。
【図84】図83の装置の平面図である。
【図85】尿素およびウレタン結合がホモポリマー軟質部の間に散在する先行技術の図である。
【図86】尿素およびウレタン結合がトリブロックコポリマー軟質部に散在する本発明によるポリウレタン/尿素発泡体の図である。
【図87】異なる形のシロキサンおよびポリプロピレンオキシド系トリブロックコポリマーの図である。
【図88】ホモ(VF130309)およびトリブロックコポリマー(VF230209A)軟質部の比較機械特性のグラフである。
【図89】ホモ(VF190309)およびトリブロックコポリマー(VF090309A)軟質部の比較機械特性のグラフである。
【図90】シミュレートされた胃液における加速エージング中のトリブロックコポリマー軟質部対ホモポリマー軟質部の機械性能を示すグラフである。
【図91】実施例10で利用された胃の降伏圧力試験装置を示す図である。
【図92A】本発明の粘弾性発泡体から製造された弁の加速安定性の結果を示す図である。
【図92B】本発明の粘弾性発泡体から製造された弁の加速安定性の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図面として最初に図1から22を参照すると、順行方向(食物摂取方向)および逆行方向(胃から口への方向)で自動的に開放することができる食道弁1が示されている。
弁1は、枠2を有する近位外側支持領域と、少なくとも3つの弁葉状部(弁リーフレット、尖頭部)3、4、5と、支持枠2と弁葉状部3、4、5の間に伸びる本体領域6とを有するポリマー弁体を含む。弁葉状部3、4、5は、内方向および遠方に伸び、それぞれ遠端面7、8、9で終端する。弁葉状部3、4、5は、それぞれ、互いに120°の先端角で伸びる脚a、bを有する。脚3a;4a:4b;5b;5a;3b;の隣接対は、弁が常閉構成であるときに弁葉状部の間の空隙を閉鎖するように接合する。
【0048】
弁1は3つの構成を有する。第1の構成は、弁葉状部3、4、5が弁を閉鎖するように接合する常閉構成である。第2の構成は、弁葉状部脚対3a;4a;4b;5b;5a;3bが順行力F1に応答して開放および離間されて、弁を通じた流れを可能にするように、弁葉状部3、4、5が開放される順行開放構成である。第3の構成は、順行力より実質的に大きい逆行力F2に応答する逆行開放構成である。
【0049】
弁1の様々な構成が図11から22に示されている。第1のまたは常閉構成(図11、17)において、弁葉状部3、4、5が接合する。順行力F1が弁葉状部3、4、5に加えられると、弁葉状部脚対3a;4a;4b;5b;および5a;3bが開放して順行流の流れを可能にする(図12、19)。図18は、順行流に応答する部分開放構成を示す。順行力F1が除去されると、弁葉状部3、4、5は、弁体のポリマー材料の固有偏倚下で閉鎖位置に戻る(図13)。
【0050】
逆行力F2が弁体に加えられる。この力は、最初に弁葉状部3、4、5を互いに押しつけ、圧力が設定値を超えると、弁体が逆転する。逆転の開始が図21に示される。弁が、逆行力に応答して完全に開放されると、弁本体(および弁葉状部3、4、5)が、図15および22に示されるように近方向に(上方に)伸びる。これは、逆行流のバルブを通じた流れを可能にする。逆行力F2が除去されると、弁本体は、ポリマー材料の偏倚に応答して裏返ることによって本来の構成に戻ることで、図16および20に示されるように弁葉状部が遠方に伸びる常閉構成に戻る。
【0051】
弁葉状部3、4、5は、接合の領域で強化される。この場合、これは、この領域におけるポリマー材料を局部的に厚くすることによって達成される。同様に、支持枠2は、ポリマー材料を局部的に厚くすることによって強化される。
【0052】
弁葉状部3、4、5の接合領域は、典型的には1から5mmである軸方向の広がりを有する。これは、弁が常閉構成であるときに大きな界面領域にわたる弁葉状部の完全な接合を保証する。接合領域における弁葉状部の厚さは、典型的には、0.1mmから10mmである。
【0053】
弁体は、全体的に凹形の外面および全体的に凸形の内面を有する。
弁1は二方弁である。近方向または遠方向から弁を開放するのに異なる力が必要である。弁1は、順行方向で開放するために非常にわずかな力しか必要とせず、140ml/分の流量を可能にするのに順行方向での0.7mmHgの圧力で十分である。逆行方向において、弁1は、15mmHgから40mmHg以上の圧力を保持することができる。弁の材料の特性(密度など)を変えることによって、変化する降伏圧力に対応するように弁を調整することができる。弁は、逆行方向の圧力下に配置されると、制御可能に逆転することによってこれを達成する。
【0054】
本発明の弁1は、逆行方向で完全に開放された後に、その本来の使用位置に戻る。これは、使用弁を損なうことなく達成される。
食物が逆行方向に流れることによって弁が開放されると、弁葉状部が開放する。弁の外面は、形状の変化に対してより大きな抵抗を有するため、逆行方向で本体を開放するのに必要な力はより大きくなる。
【0055】
弁の機能に影響を与える重要な特性は、互いに衝突する弁葉状部脚である。弁葉状部3、4、5の幾何学的構造および長さを変えることによって、弁1を異なる圧力で逆行方向に開放させることができる。順行方向の開放は、弁葉状部の幾何学構造への依存が幾分小さく、装置を構成する材料の弾性および密度により大きく依存する。また、全直径、および弁葉状部が開放する直径は、両方向の開放力に影響を与える。
【0056】
胃は、食道よりわずかに大きな圧力を有する(平均の差はほぼ12mmHgである)ため、閉じた弁は、その遠端面でこの圧力を受けることになる。この遠端圧力は、遠方に伸びる面または先細りする面の閉鎖を改善することができる。しかし、文献における弁の先の実施例は、胃の圧力差を利用するために平滑面に依存していた。したがって、胃の圧力によって生成される力を最大にする唯一の手段は、遠方に伸びる面または先細りする面の長さを大きくするものであった。これは、次に、細長い構造体が食物の順行流および逆行流で封鎖されることに伴う問題を生じた。本発明は、弁構造体の長さを短く維持し、表面積対長さの比の増加を介して胃の圧力により生成される力を最大にする方法を教示する。これは、プリーツまたはヒダ(弁葉状部)を導入することによって弁の遠端面の表面積を増加させることによって達成される。
【0057】
弁は、任意の好適な生体適合性ポリマー材料で構成されてよい。弁が上記のように機能することを可能にする特性を有する生体適合性ポリマー材料であってよい。
この弁の製造に使用される材料は、50%から3000%の伸度(%)を有する。その材料は、また、0.01から5MPaの引張強度を有する。また、その材料は、インビトロでコロニー形成を防止する抗微生物作用を有することが可能である。また、その材料は、弾性または粘弾性であり、場合によって連続気泡発泡体であり得る。その材料の密度は、0.1g/cm3から1.5g/cm3である。
【0058】
本発明の弁を任意の好適な管腔補綴体、特に食道補綴体またはステントに装着することができる。弁の枠2は、ステント20内に装着するための装着環を提供し、例えば、図24および図25に示される縫合糸21を使用して枠2をステント網目に縫合することによって弁1をステントに装着することができる。
【0059】
ステントは任意の好適なタイプであってよい。コーティングまたはスリーブが施されていないステント20が、図23から25に示されている。あるいは、組織内植を防止することが望まれる場合は、スリーブ31を有するステント30を使用することができる(図26から29)。この場合、スリーブ31は、ステントの外部である。他の実例において、代替的または追加的に内部スリーブが存在し得る。さらに、ステントは、コーティングを有することができる。
【0060】
上記のような弁を予め展開された管腔補綴体に入れることもできる。例えば、弁は、食道における予め展開されたステントに入れるための食道弁であってよい。
1つの実例において、弁100は、共軸支持構造体を有することができ、または骨格102が図31および31に示されている。骨格102は、図35に示される任意の好適な食道ステント140と係合するように設計される。係合の機構は、既存の予め展開されたステント140の網目に係合する骨格102の近位および/または遠位先端103であってよい突起によるものであり得る。代替的または追加的に、骨格102は、図37および38に示される食道ステントの支柱の内側に掛かるように設計された特徴150を有することができる。
【0061】
図32および33を参照すると、骨格の遠位先端111が既存の予め展開されたホストステント140の網目と係合するように、支持構造体または骨格102が遠方外方向に先細りする本発明の別の実施形態による弁110が示されている。
【0062】
図34を参照すると、骨格102の近位先端121が既存の予め展開されたステント140の網目と係合するように、支持構造体または骨格102が遠方内方向に先細りする本発明による別の弁120が示されている。
【0063】
骨格102の半径方向力は、突起を必要とすることなく弁を所定位置に保持するのに十分な摩擦力を加えることができる。別の実施形態において、外科用接着剤を使用して、レトロフィット弁を所定位置に固定することができる。
【0064】
図39から43を参照すると、弁100は、展開のために送達システム130に導入される。送達システム130の外径は、予め展開された食道ステント140の内径より小さい。この場合の送達システム130は、弁が収縮構成で収容される、遠位ポッド131を有する送達カテーテルを含む。カテーテルは、予め展開されたステント140のたるみを回避するために先細りした遠位先端132を有する。ポッド131は、ポッド131から弁を解放するために先端132に対して軸方向に移動可能である。
【0065】
送達システム130は、図44に示される予め展開されたステント140に弁を送達するのに使用される。ステント140は網目を有し、弁の骨格は、特に図45および46示されるように、弁を送達カテーテルから解放すると、予め展開されたステント140の網目と係合するように構成される。
【0066】
図35から38を参照すると、弁支持骨格102を原位置に有する理想ステント140が示されている。明確にするために、弁の詳細をこれらの図面から省略する。この場合、骨格102は、ステントの上部近位先端に位置する。この場合、骨格102は、図37および38に示されているステント140の網目と係合するためのフック様構成要素150を有する。ステント140と骨格102との相互係合は、骨格102、およびそれに固定された弁を所定位置に保持し、近位移動防止機構を提供する。
【0067】
示されている実例において、弁支持骨格102は、形状記憶材料、例えばニチノールなどの自己膨張材料で構成される。弁および骨格は、圧縮/減径構成で送達カテーテルポッド131に導入される。展開箇所でポッド131の拘束が取り除かれると、骨格および弁が自己膨張して、骨格が予め展開されたホストステント140と係合された常構成になる。いくつかの構成において、骨格は、バルーン等のエキスパンダーによって膨張される膨張性材料で構成される。
【0068】
図47から50を参照すると、上記のものと同様の本発明による別の弁装置151が示されており、同様の部品には同じ参照番号が割り当てられている。この場合、弁1は、支持構造体または骨格102内に収容され、図51から53に示されているステント140の管腔に入れられる。支持構造体は、ニチノールなどの形状記憶材料から構成された比較的長さの短い(典型的には40mmの)網目を含むことができる。網目をレーザ切断によって形成することができ、かつ/または織物構造体で構成することができる。ホストステント140の管腔への展開は、図49および50に示される送達カテーテル130内での半径方向に折りたたまれた状態からの自己膨張を介する。装置151は、支持構造体102の軸方向摩擦力を大きくする特定の相互作用機構の手段によってステント140内の所定位置に保持される。図51から53は、ホストステント140との相互作用を示す。本実施形態において、支持構造体102は、その表面から垂直方向に伸びる一連のループまたは突起155を有する。これらの突起155は、図52および53に示される既存の網目と連結することによって任意のホストステント140の構造と係合する。各突起155の先端は、この場合、丸められているか、または突起155に接触し得る組織を損なわないように設計されている。支持構造体102の固有半径方向力、ならびに突起155の曲げ強度が相互作用して、支持構造体102の保持性能を有効にする。したがって、突起155の剛性または曲げ強度および支持構造体102の半径方向力を改めて、装置の連結機能および保持性能を変えることができる。
【0069】
弁装置151は、また、遠位および近位引張糸集合体(ストリングス)170、171によって容易に半径方向に折りたたみ可能である。遠位引張糸集合体170は、弁装置151の遠端で支持構造体102に装着されたアイレット172を通る。遠位引張糸集合体170は、引っ張ると、引張糸集合体171を内側に引っ張ることで、支持構造体102の遠端の径を小さくする接触可能な引き糸173を有する。同様に、近位引張糸集合体171は、弁装置151の近端で支持構造体102に装着されたアイレット175を通る。近位引張糸集合体171は、引っ張ると、引張糸集合体171を内側に引っ張ることで、支持構造体102の近端の径を小さくする接触可能な引き糸177を有する。弁装置151を容易に取り除くために、支持構造体102の近位および遠端を内側に引っ張るためにグラスパーなどの好適な器具を使用して、引き糸173、177を容易に把持することができる。
【0070】
図54から63を参照すると、上記のものと同様の本発明による別の弁装置200が示されており、同様の部品には同じ参照番号が割り当てられている。この場合、弁1は、支持構造体または骨格102内に収容され、図59から62に示されているステント140の管腔に入れられる。支持構造体102は、ニチノールなどの形状記憶材料から構成された比較的長さの短い(典型的には40mmの)網目を含むことができる。網目をレーザ切断によって形成することができ、かつ/または織物構造体で構成することができる。ホストステント140の管腔への展開は、図56から61に示される送達カテーテル130内での半径方向に折りたたまれた状態からの自己膨張を介する。装置200は、支持構造体102の軸方向摩擦力を大きくする特定の相互作用機構の手段によってステント140内の所定位置に保持される。図62は、ホストステント140との相互作用を示す。本実施形態において、支持構造体102は、その表面から垂直方向に伸びる一連のループまたは突起155を有する。これらの突起155は、図62に示される既存の網目と連結することによって任意のホストステント140の構造と係合する。各突起155の先端は、この場合、丸められているか、または突起155に接触し得る組織を損なわないように設計されている。支持構造体102の固有半径方向力、ならびに突起155の曲げ強度が相互作用して、支持構造体102の保持性能を有効にする。したがって、突起155の剛性または曲げ強度および支持構造体102の半径方向力を改めて、装置の連結機能および保持性能を変えることができる。
【0071】
弁装置200は、また、遠位および近位引張糸集合体170、171によって容易に半径方向に折りたたみ可能である。遠位引張糸集合体170は、弁装置200の遠端で支持構造体102に装着されたアイレット172を通る。遠位引張糸集合体170は、引っ張ると、引張糸集合体171を内側に引っ張ることで、支持構造体102の遠端の径を小さくする接触可能な引き糸173を有する。同様に、近位引張糸集合体171は、弁装置200の近端で支持構造体102に装着されたアイレット175を通る。近位引張糸集合体171は、引っ張ると、引張糸集合体171を内側に引っ張ることで、支持構造体102の近端の径を小さくする接触可能な引き糸177を有する。弁装置200を容易に取り除くために、支持構造体102の近位および遠端を内側に引っ張るためにグラスパーなどの好適な器具を使用して、引き糸173、177を容易に把持することができる。
【0072】
装置200の場合は、支持骨格の直径が比較的均一であり、装置200の遠端201、202が先細りしていないことを注記する。ステント140の網目構造体に画定された隙間における丸い突起155の相互係合は、装置200をステント140における所定位置に保持するのに十分であることを見いだした。典型的には、膨張支持構造体102の直径は、骨格102を原位置に維持するのに役立つ所望の展開位置において、ホストステント140よりわずかに大きく、例えば1から5%大きい。
【0073】
いくつかの実例において、図63に示されているように、装置200などの本発明の装置は、例えば、置換えおよび/またはホストステント140の置換えのために、弁装置200をステント140とともに移動させるか、または装置200を引き出すことが示される場合は、半径方向に折りたたまれた状態であってよい。
【0074】
したがって、弁が崩壊可能であるため、突起155をホストステント140から外すことによってそれを随意に取り外すことで、ホストステント140に伴う軸方向摩擦力を除去することが可能である。
【0075】
図1から63の弁は、一部に、例えば食道癌の結果として食道に狭窄を有する患者に有用である。弁を食道の遠端の近くおよびそれが装着/展開される補綴体の遠端の近くに配置することができる。弁は、比較的短く、典型的には30mm未満、25mm未満、20mm未満、15mm未満であり、典型的には、約10.6mmの長さで外枠の直径が18mmであるか、または約11mmの長さで外枠の直径が20mmである。
【0076】
弁は、所望の数の弁葉状部を有することができ、例えば、図64から70に示されている弁250は、6つの弁葉状部251を有する。これらの弁葉状部251は、食物の流れ方向に対して垂直に配向して、さらに弁開口のより大きな伸長性を可能にする。
【0077】
図71から83を参照すると、本発明による別の弁装置が示されている。装置300は、順行方向(食物摂取方向)および逆行方向(胃から口への方向)で自動的に開放することができる食道弁300を含む。
【0078】
弁301は、図64から70の弁と類似しており、枠302を含む近位外側支持領域と、6つの弁葉状部303と、支持枠302と弁葉状部303の間に伸びる本体領域306とを含む。弁葉状部303は、内側および遠方に伸び、それぞれ遠端面303で終端する。弁葉状部303は、それぞれ、互いに60°の先端角で伸びる脚を有する。弁が常閉構成であるときに、隣接する脚の対が接合して、弁葉状部303の間の隙間を閉鎖する。
【0079】
弁301は3つの構成を有する。第1の構成は、弁葉状部303が弁を閉鎖するように接合する常閉構成である。第2の構成は、弁葉状部脚対が順行力F1に応答して開放および離間されて、弁301を通じた流れを可能にするように、弁葉状部303が開放される順行開放構成である。第3の構成は、順行力より実質的に大きい逆行力F2に応答する逆行開放構成である。
【0080】
弁1の様々な構成が図71から82に示されている。第1のまたは常閉構成(図71、72)において、弁葉状部303が接合する。順行力F1が弁葉状部303に加えられると、弁葉状部脚対が開放して順行流の流れを可能にする(図74、77、78)。順行力F1が除去されると、弁葉状部303は、弁体のポリマー材料の固有偏倚下で閉鎖位置に戻る(図71)。
【0081】
逆行力F2が弁体に加えられる。この力は、最初に弁葉状部303を互いに押しつけ(図80)、圧力が設定値を超えると、図81に示されるように弁体が逆転する。弁が、逆行力F2に応答して完全に開放されると、弁本体(および弁葉状部303)が、図81に示されるように近接して(上方に)伸びる。これは、逆行流のバルブを通じた流れを可能にする。逆行力F2が除去されると、弁本体は、ポリマー材料の偏倚に応答して裏返ることによって本来の構成に戻ることで、図71に示されるように弁葉状部が遠方に伸びる常閉構成に戻る。
【0082】
弁葉状部303は、接合の領域で強化される。この場合、これは、この領域におけるポリマー材料を局部的に厚くすることによって達成される。同様に、支持枠302は、ポリマー材料を局部的に厚くすることによって強化される。
【0083】
弁葉状部303の接合領域は、典型的には1から5mmである軸方向の広がりを有する。これは、弁が常閉構成であるときに大きな界面領域にわたる弁葉状部の完全な接合を保証する。接合領域における弁葉状部の厚さは、典型的には、0.1mmから10mmである。
【0084】
弁体306は、全体的に凹形の外面および全体的に凸形の内面を有する。
弁300は二方弁である。近方向または遠方向から弁を開放するのに異なる力が必要である。弁300は、順方向で開放するために非常にわずかな力しか必要とせず、140ml/分の流量を可能にするに順行方向での0.7mmHgの圧力で十分である。逆行方向において、弁1は、15mmHgから40mmHg以上の圧力を保持することができる。弁の材料の特性(密度など)を変えることによって、変化する降伏圧力に対応するように弁を調整することができる。弁300は、逆行方向の圧力下に配置されると、制御可能に逆転することによってこれを達成する。
【0085】
本発明の弁300は、逆行方向で完全に開放された後に、その本来の使用位置に戻る。これは、使用弁を損なうことなく達成される。
食物が逆行方向に流れることによって弁300が開放されると、弁葉状部303が開放する。弁の外面は、形状の変化に対してより大きな抵抗を有するため、逆行方向で本体を開放するのに必要な力はより大きくなる。
【0086】
弁300の機能に影響を与える重要な特性は、互いに衝突する弁葉状部脚である。弁葉状部303の幾何学的構造および長さを変えることによって、弁300を異なる圧力で逆行方向に開放させることができる。順行方向の開放は、弁葉状部の幾何学構造への依存が幾分小さく、装置を構成する材料の弾性および密度により大きく依存する。また、全直径、および弁葉状部が開放する直径は、両方向の開放力に影響を与える。
【0087】
胃は、食道よりわずかに大きな圧力を有する(平均で12mmHg)ため、閉じた弁は、その遠端面でこの圧力を受けることになる。この遠端圧力は、遠方に伸びる面または先細りする面の閉鎖を改善することができる。しかし、文献における弁の先の実施例は、胃の圧力差を利用するために平滑面に依存していた。したがって、胃の圧力によって生成される力を最大にする唯一の手段は、遠方に伸びる面または先細りする面の長さを大きくするものであった。これは、次に、細長い構造体が食物の順行流および逆行流で封鎖されることに伴う問題を生じた。本発明は、弁構造体の長さを短く維持し、表面積対長さの比の増加を介して胃の圧力により生成される力を最大にする方法を教示する。これは、プリーツまたはヒダ(弁葉状部)を導入することによって弁の遠端面の表面積を増加させることによって達成される。
【0088】
弁は、任意の好適な生体適合性ポリマー材料で構成されてよい。弁が上記のように機能することを可能にする特性を有する生体適合性ポリマー材料であってよい。
この弁の製造に使用される材料は、50%から3000%の伸度(%)を有する。その材料は、また、0.01から5MPaの引張強度を有する。また、その材料は、インビトロでコロニー形成を防止する抗微生物作用を有することが可能である。また、その材料は、弾性または粘弾性であり、場合によって連続気泡発泡体であり得る。その材料の密度は、0.1g/cm3から1.5g/cm3である。
【0089】
本発明の弁300を任意の好適な管腔補綴体、特に食道補綴体350に装着することができる。弁の枠302は、補綴体内に装着するための装着環を提供し、例えば、図71に示される縫合糸351を使用して枠2をステント網目に縫合することによって弁300をステントに装着することができる。
【0090】
補綴体350は、任意の好適なタイプであってよい。コーティングまたはスリーブが施されていないステント350が、図71から81に示されている。
この場合、弁300は、補綴体350の遠端に装着される。胃は、7mmHgの圧力を生成する。弁の遠端は、材料を圧縮して、既に閉鎖された弁に対する閉鎖圧力をさらに大きくするこの圧力に曝される。補綴体350は、例えば、胃噴門、すなわち胃の入口と下部食道括約筋との間の組織の領域における組織アンカー361によって容易に所定位置に固定され得るように配置される。概して、この領域における組織壁が厚くなって、補綴体350の固定が容易になる。組織アンカーは、USGIから商業的に入手可能なG−Cathシステムに使用されるものなどであってよい。
【0091】
補綴体350は、長時間にわたって原位置にあるように設計される。標準的なニチノール金属ステントを用いると、ステントによって半径方向力が加えられるため、患者がその存在を認識し得る。補綴体350は、対照的に、組織アンカー361を使用して、例えば固定中にそれが原位置にとどまるのに十分に自己膨張する編組プラスチック網目で構成されてよい。ステントの網目は、網目を損傷することなく組織アンカーを受けるのに十分に開放されるべきであるが、組織アンカーの引き通しを防止するのに十分に高密度である必要がある。補綴体は、典型的には、患者に不快感を与えることなく原位置にそれを保持するために1.9Kpa未満の半径方向力を有する。
【0092】
本実施形態による弁装置は、GERDの処理に特に有用である。弁は、食道の遠端の遠位に配置される。
弁は、比較的短く、胃の中に有意に入り込まないことに留意されたい。先行技術の「ウィンドソック」型装置は長いため、胃の内容物による詰まりをもたらし得る。さらなる材料が、当該ウィンドソック装置における毛管作用によって胃から上昇し得る。対照的に、本発明のGERD弁は、典型的には、50mm未満、40mm未満、30mm未満であり、23mmの直径に対しては典型的に約23mm長である。
【0093】
図83および84を参照すると、図71から82の装置に類似する本発明による別の装置400が示されており、同様の部品には同じ参照番号が割り当てられている。この場合、弁301は、補綴体350の遠端への弁の枠302のオーバーモールド401によって補綴体350に装着される。オーバーモールドは、補綴体350と弁枠302の間に大きな内容物領域が存在するときに軸方向の負荷を分散させるのに役立つ。
【0094】
本発明の食道弁は、順行方向(食物摂取方向)および逆行方向(胃から口への方向)に自動的に開放することができる。
弁は二方弁である。近方向または遠方向から弁を開放するのに異なる力が必要である。弁は、順行方向で開放するために非常にわずかな力しか必要とせず、0.7mmHg程度の圧力の水が、少なくとも140ml/分の流量を可能にする。逆行方向において、弁は、30mmHg以上の圧力を保持することができる。弁の材料の特性(密度など)を変えることによって、変化する降伏圧力に対応するように弁を調整することができる。弁は、逆行方向の圧力下に配置されると、制御可能に逆転することによってこれを達成する。
【0095】
本発明の弁は、逆行方向で完全に開放された後に、その本来の使用位置に戻る。これは、使用弁を損なうことなく達成される。
予め展開された食道ステントに装着するための食道弁に関して本発明を説明したが、それを、動脈または尿道を含む他の体管路、あるいは小腸と大腸の間に配置された回盲弁の代用などの胃腸系における他の箇所の弁の装着に適用することもできる。
【0096】
以下のセクションには、本発明の弁を製造するのに好適な一群の生体材料が記載されている。
ポリウレタン発泡体における軟質部分としてポリエーテルを使用すると、水素結合の動的強化効果により、軟質の弾性および粘弾性材料が得られることが知られている。逆に、非水素結合の疎水性軟質部分を使用すると、より硬く、より低弾性の材料が得られる。ウレタン/尿素結合を介する図85に示される当該疎水性および親水性軟質部分のブレンドは、特定の用途に適する機械特性を達成することが当該技術分野で既知である。
【0097】
ポリウレタン材料内のウレタン結合において、酸に触媒された加水分解劣化が生じる。したがって、これらのウレタン/尿素結合は、ポリウレタン材料の「弱いリンク」である。ポリウレタン材料の固有の親水性は、吸水量の調節を介して加水分解の速度に影響を与えることがわかる。したがって、当該材料は、胃環境(強酸性水性環境)での使用に適さない。
【0098】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、胃環境において生体模倣的および加水分解安定的なマルチブロックコポリマーを提供する。当該マルチブロックコポリマーは、式Iを有する。
【0099】
【化1】

【0100】
[式中、
【0101】
【化2】

【0102】
はそれぞれ、ウレタン結合または尿素結合に対する結合点を表し;
XおよびYはそれぞれ、独立して、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートまたはフルオロポリマーの1種または複数種から形成されたポリマー鎖またはコポリマー鎖であり;
、R、R、R、RおよびRはそれぞれ、R、OR、−COR、フッ化炭化水素、ポリエーテル、ポリエステルまたはフルオロポリマーの1種または複数種から独立して選択され;
Rはそれぞれ、独立して、水素、場合によって置換されたC1−20脂肪族基、またはフェニル、8〜10員二環式アリール、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員単環式飽和または部分不飽和複素環式環、あるいは窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員単環式または8〜10員二環式ヘテロアリール基から選択される場合によって置換された基であり;
m、nおよびpはそれぞれ、独立して、2から100であり;
およびLはそれぞれ、独立して、炭化水素鎖の1〜4個のメチレン単位が、−O−、−S−、−N(R)−、−C(O)−、−C(O)N(R)−、−N(R)C(O)−、−SO−、−SON(R)−、−N(R)SO、−OC(O)−、−C(O)Oによって場合によって、かつ独立して置換された二価のC1−20炭化水素鎖、あるいは二価のシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロシクレンまたはヘテロアリーレンであり、但し、LもLも尿素またはウレタン部分を含まない。]
2.定義
本発明の化合物は、以上に概ね記載されているものを含み、本明細書に開示されているクラス、サブクラスおよび種によってさらに例示される。本明細書に使用されているように、他に指定する場合を除いて、以下の定義が適用されることになる。本発明の目的のために、化学元素は、元素周期律表、CASバージョン、化学・物理ハンドブック、第75版に従って特定される。また、有機化学の一般原理は、それらの開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれている「有機化学」、Thomas Sorrell University Science Books,Sausalito:1999、および「マーチ有機化学(March’s Advanced Organic Chemistry)」、第5版、編集:Smith,M.B.and March,J.,John Wiley & Sons,New York:2001に記載されている。
【0103】
本明細書に記載されているように、本発明の化合物は、以上に概ね例示されている、または本発明の特定のクラス、サブクラスおよび種によって例示されている1つまたは複数の置換基で場合によって置換されていてよい。「場合によって置換された」という表現は、「置換または非置換の」という表現と区別なく使用されることが理解される。概して、「置換された」という用語は、その前に「場合によって」という用語があるか否かにかかわらず、所定の構造の水素基が指定の置換基の基で置き換えられていることを指す。他に指定される場合を除いて、場合によって置換された基は、基の各置換可能位置に置換基を有することができ、所定の構造における1つを超える位置が、特定の基から選択される1つを超える置換基で置換され得るときは、置換基は、あらゆる位置において同一であっても異なっていてもよい。本発明により考えられる置換基の組合せは、好ましくは、安定化合物または化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。「安定な」という用語は、本明細書に使用されているように、それらの製造、検出、好ましくはそれらの回収、精製、および本明細書に開示されている1つまたは複数の目的のための使用を可能にする条件に曝露されても実質的に変化しない化合物を指す。いくつかの実施形態において、安定化合物または化学的に実現可能な化合物は、少なくとも1週間にわたって水分または他の化学反応条件の不在下で40℃以下の温度に維持されても実質的に変化しない化合物を指す。
【0104】
「脂肪族」または「脂肪族基」という用語は、本明細書に使用されているように、直鎖(すなわち非分枝状)、分枝状または環式(縮合、架橋およびスピロ縮合多環式を含む)であってよく、完全飽和であるか、または1つまたは複数の不飽和単位を含むことができるが、芳香族でない炭化水素部分を表す。他に指定する場合を除いて、脂肪族基は、1〜20個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1〜10個の炭素原子を含む。他の実施形態において、脂肪族基は、1〜8個の炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、脂肪族基は、1〜6個の炭素原子を含み、さらに他の実施形態において、脂肪族基は1〜4個の炭素原子を含む。好適な脂肪族基としては、直鎖状または分枝状のアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基、ならびに(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニルなどのそれらの混成体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0105】
「低級アルキル」という用語は、C1−4の直鎖状または分枝状アルキル基を指す。例示的な低級アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルおよびtert−ブチル。
【0106】
「低級ハロアルキル」という用語は、1個または複数個のハロゲン原子で置換されたC1−4の直鎖状または分枝状アルキル基を指す。
「ヘテロ原子」という用語は、酸素、硫黄、窒素、リンまたはケイ素の1種または複数種を指す(窒素、硫黄、リンまたはケイ素の任意の酸化形態;任意の塩基性窒素の四級化形態;または複素環式環の置換可能窒素、例えばN(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルなどの)、NH(ピロリジニルなどの)、またはNR(N置換ピロリジニルなどの)を含む)。
【0107】
「不飽和」という用語は、本明細書に使用されているように、部分が1つまたは複数の不飽和単位を有することを意味する。
本明細書に使用されているように、「二価のC1−8[またはC1−6]飽和または不飽和直鎖状または分枝状炭化水素鎖」という用語は、本明細書に定義されているように直鎖状または分枝状である二価のアルキレン鎖、アルケニレン鎖およびアルキニレン鎖を指す。
【0108】
「アルキレン」という用語は、二価アルキル基を指す。「アルキレン鎖」は、ポリメチレン基、すなわち−(CH)n−[nは、正の整数、好ましくは1から6、1から4、1から3、1から2、または2から3である。]である。置換アルキレン鎖は、1つまたは複数のメチレン水素原子が置換基で置換されたポリメチレン基である。好適な置換基としては、置換脂肪族基について以下に記載されているものが挙げられる。
【0109】
「アルケニレン」は、二価アルケニル基を指す。置換アルケニレン鎖は、1個または複数個の水素原子が置換基で置換された少なくとも1つの二重結合を含むポリメチレン基である。好適な置換基としては、置換脂肪族基について以下に記載されているものが挙げられる。
【0110】
「ハロゲン」という用語は、F、Cl、BrまたはIを指す。
単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」もしくは「アリールオキシアルキル」などのより大きい部分の一部として使用される「アリール」という用語は、系における少なくとも1つの環が芳香族であり、系における各環が3から7個の環員を含む、計5から14個の環員を有する単環式または二環式環系を指す。「アリール」という用語を「アリール環」という用語と区別なく使用することができる。
【0111】
本明細書に記載されているように、本発明の化合物は、「場合によって置換された」部分を含むことができる。概して、「置換された」という用語は、その前に「場合によって」という用語があるか否かにかかわらず、指定部分の1つまたは複数の水素が好適な置換基で置換されていることを意味する。他に指定される場合を除いて、「場合によって置換された」基は、基の各置換可能位置に置換基を有することができ、所定の構造における1つを超える位置が、特定の基から選択される1つを超える置換基で置換され得るときは、置換基は、あらゆる位置において同一であっても異なっていてもよい。本発明により考えられる置換基の組合せは、好ましくは、安定化合物または化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。「安定な」という用語は、本明細書に使用されているように、それらの製造、検出、一部の実施形態ではそれらの回収、精製、および本明細書に開示されている1つまたは複数の目的のための使用を可能にする条件に曝露されても実質的に変化しない化合物を指す。
【0112】
「場合によって置換された」基の置換可能炭素原子上の好適な一価置換基は、独立して、ハロゲン;−(CH0−4;−(CH0−4OR;−O−(CH0−4C(O)OR;−(CH0−4CH(OR;−(CH0−4SR;Rで置換されていてよい−(CH0−4Ph;Rで置換されていてよい−(CH0−4O(CH0−1Ph;Rで置換されていてよい−CH=CHPh;−NO;−CN;−N;−(CH0−4N(R;−(CH0−4N(R)C(O)R;−N(R)C(S)R;−(CH0−4N(R)C(O)NR;−N(R)C(S)NR;−(CH0−4N(R)C(O)OR;−N(R)N(R)C(O)R;−N(R)N(R)C(O)NR;−N(R)N(R)C(O)OR;−(CH0−4C(O)R;−C(S)R;−(CH0−4C(O)OR;−(CH0−4C(O)SR;−(CH0−4C(O)OSiR;−(CH0−4OC(O)R;−OC(O)(CH0−4SR−、SC(S)SR;−(CH0−4SC(O)R;−(CH0−4C(O)NR;−C(S)NR;−C(S)SR;−SC(S)SR;−(CH0−4OC(O)NR;−C(O)N(OR)R;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−C(NOR)R;−(CH0−4SSR;−(CH0−4S(O);−(CH0−4S(O)OR;−(CH0−4OS(O);−S(O)NR;−(CH0−4S(O)R;−N(R)S(O)NR;−N(R)S(O);−N(OR)R;−C(NH)NR;−P(O);−P(O)R;−OP(O)R;−OP(O)(OR;SiR;−(C1−4直鎖状または分枝状アルキレン)O−N(R;または−(C1−4直鎖状または分枝状アルキレン)C(O)O−N(Rであり、Rはそれぞれ、以下に定義されるように置換されていてよく、独立して、水素、C1−6脂肪族、−CHPh、−O(CH0−1Ph、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、部分不飽和もしくはアリール環であり、あるいは上記定義にかかわらず、2つの独立したR基は、それらの介在原子と一緒になって、以下に定義されるように置換されていてよい、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する3〜12員の飽和、部分不飽和もしくはアリール単環式もしくは二環式環を形成する。
【0113】
(2つの独立したR基をそれらの介在原子と一緒にすることによって形成された環)上の好適な一価置換基は、独立して、ハロゲン、−(CH0−2、−(ハロR)、−(CH0−2OH、−(CH0−2OR、−(CH0−2CH(OR;−O(ハロR)、−CN、−N、−(CH0−2C(O)R、−(CH0−2C(O)OH、−(CH0−2C(O)OR、−(CH0−2SR、−(CH0−2SH、−(CH0−2NH、−(CH0−2NHR、−(CH0−2NR、−NO、−SiR、−OSiR、−C(O)SR、−(C1−4直鎖状または分枝状アルキレン)C(O)OR、または−SSRであり、Rはそれぞれ、非置換であるか、または「ハロ」が先行する場合は、1つまたは複数のハロゲンのみで置換されており、C1−4脂肪族、−CHPh、−O(CH0−1Ph、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、部分不飽和もしくはアリール環から独立して選択される。Rの飽和炭素原子上の好適な二価置換基は、=Oおよび=Sを含む。
【0114】
「場合によって置換された」基の飽和炭素原子上の好適な二価置換基は、=O、=S、=NNR、=NNHC(O)R、=NNHC(O)OR、=NNHS(O)、=NR、=NOR、−O(C(R))2−3O−または−S(C(R))2−3S−を含み、それぞれの独立したR基は、水素、以下に定義されているように置換されていてよいC1−6脂肪族、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、部分不飽和もしくはアリール環窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、部分不飽和もしくはアリール環を含む。「場合によって置換された」基の近隣の置換可能炭素に結合する好適な二価置換基は、−O(CR2−3O−を含み、それぞれの独立したR基は、水素、以下に定義されているように置換されていてよいC1−6脂肪族、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する非置換の5〜6員の飽和、部分不飽和もしくはアリール環から選択される。
【0115】
の脂肪族基上の好適な置換基は、ハロゲン、−R、−(ハロR)、−OH、−OR、−O(ハロR)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR、−NH、−NHR、−NRまたは−NOを含み、Rはそれぞれ、非置換であるか、または「ハロ」が先行する場合は、1つまたは複数のハロゲンのみで置換されており、独立して、C1−4脂肪族、−CHPh、−O(CH0−1Ph、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、部分不飽和もしくはアリール環である。
【0116】
「場合によって置換された」基の置換可能窒素上の好適な置換基は、−R、−NR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−S(O)、−S(O)NR、−C(S)NR、−C(NH)NRまたは−N(R)S(O)を含み、Rはそれぞれ、独立して、水素、以下に定義されているように置換されていてよいC1−6脂肪族、非置換−OPh、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する非置換の5〜6員の飽和、部分不飽和もしくはアリール環であるか、あるいは上記定義にかかわらず、2つの独立したR基は、それらの介在原子と一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する非置換の3〜12員の飽和、部分不飽和もしくはアリール単環式もしくは二環式環を形成する。
【0117】
の脂肪族基上の好適な置換基は、独立して、ハロゲン、−R、−(ハロR)、−OH、−OR、−O(ハロR)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR、−NH、−NHR、−NRまたは−NOであり、Rはそれぞれ、非置換であるか、または「ハロ」が先行する場合は、1つまたは複数のハロゲンのみで置換されており、独立して、C1−4脂肪族、−CHPh、−O(CH0−1Ph、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和、部分不飽和もしくはアリール環である。
【0118】
3.例示的実施形態の説明
A.マルチブロックコポリマー
以上に概ね定義されているように、本発明の一実施形態は、式I:
【0119】
【化3】

【0120】
のトリブロックコポリマーであって、該コポリマーは、ウレタン結合および/または尿素結合の間で(すなわち、
【0121】
【化4】

【0122】
で示される結合で)化学的に散在(結合)しており、X、Y、m、n、p、L、L、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ、本明細書に定義および記載されている通りであるトリブロックコポリマーを提供する。
【0123】
以上に概ね定義されているように、式IのX基およびY基はそれぞれ、独立して、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートおよびフルオロポリマーの1種または複数種から形成されたポリマー鎖またはコポリマー鎖である。
【0124】
Xおよび/またはYによって表されるポリマー鎖またはコポリマー鎖の例としては、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ジフルオロメチルエチレンオキシド)、ポリ(トリフルオロメチルエチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ジフルオロメチルプロピレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(トリフルオロメチルプロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)、ポリ(テトラヒドロフラン)、ポリ(オキシメチレン)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテルエーテルケトン)およびそれらのコポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(ジエチルシロキサン)および高級アルキルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、ポリ(ジフェニルシロキサン)、ポリ(メチルジ−フルオロエチルシロキサン)、ポリ(メチルトリフルオロエチルシロキサン)、ポリ(フェニルジフルオロエチルシロキサン)、ポリ(フェニルトリフルオロエチルシロキサン)およびそれらのコポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレンテレフタレートアイオノマー)(PETI)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリ(メチレンナフタレート)(PTN)、ポリ(ブチレンテラファレート)(PBT)、ポリ(ブチレンナフタレート)(PBN)、ポリカーボネートが挙げられる。一部の実施形態において、本発明は、ポリウレタン/尿素発泡体の予備形成軟質部を提供する。
【0125】
いくつかの実施形態において、Xはポリエーテルであり、Yはポリエーテルである。より具体的には、1つの実例において、XおよびYは、ともにポリ(プロピレンオキシド)である。
【0126】
一部の実施形態において、mおよびpは、それぞれ独立して2から50であり、nは2から20である。いくつかの実施形態において、mおよびpは、それぞれ独立して2から30であり、nは2から20である。
【0127】
以上に概ね定義されているように、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ、R、OR、−COR、フッ化炭化水素、ポリエーテル、ポリエステルまたはフルオロポリマーの1種または複数種から独立して選択される。いくつかの実施形態において、R、R、R、R、RおよびRの1種または複数種は−CORである。いくつかの実施形態において、R、R、R、R、RおよびRの1種または複数種は−CORであり、Rはそれぞれ、独立して、場合によって置換されたC1−6脂肪族基である。一部の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRの1種または複数種は−CORであり、Rはそれぞれ、独立して、非置換C1−6アルキル基である。例示的な当該基は、メタン酸またはエタン酸、ならびにメタクリル酸および他のアクリル酸を含む。
【0128】
一部の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRの1種または複数種は、独立してRである。いくつかの実施形態において、R、R、R、R、RおよびRの1種または複数種は、場合によって置換されたC1−6脂肪族基である。一部の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRの1種または複数種は、場合によって置換されたC1−6アルキルである。他の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRの1種または複数種は、フェニル、8〜10員の二環式アリール、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の単環式飽和もしくは部分不飽和複素環式環、あるいは窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式または8〜10員の二環式ヘテロアリール基から選択される場合によって置換された基である。例示的な当該R、R、R、R、RおよびR基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、シクロブチル、フェニル、ピリジル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾリルおよびシクロヘキシルが挙げられる。
【0129】
一部の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRの1種または複数種は、独立して−ORである。いくつかの実施形態において、R、R、R、R、RおよびRの1種または複数種は、独立して−ORであり、Rは、場合によって置換されたC1−6脂肪族基である。一部の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRの1種または複数種は、−ORであり、RはC1−6アルキルである。他の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRの1種または複数種は、−ORであり、Rは、フェニル、8〜10員の二環式アリール、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の単環式飽和もしくは部分不飽和複素環式環、あるいは窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式または8〜10員の二環式ヘテロアリール基から選択される場合によって置換された基である。例示的な当該R、R、R、R、RおよびR基としては、−Oメチル、−Oエチル、−Oプロピル、−Oイソプロピル、−Oシクロプロピル、−Oブチル、−Oイソブチル、−Oシクロブチル、−Oフェニル、−Oピリジル、−Oモルホリニル、−Oピロリジニル、−Oイミダゾリルおよび−Oシクロヘキシルが挙げられる。
【0130】
一部の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRの1種または複数種は、独立してRであり、Rはそれぞれ、1つまたは複数のハロゲンで置換されたC1−6脂肪族基である。いくつかの実施形態において、Rはそれぞれ、1つ、2つまたは3つのハロゲンで置換されたC1−6脂肪族置換基である。他の実施形態において、Rはそれぞれ、ペルフルオロC1−6脂肪族基である。R、R、R、R、RおよびRによって表されるフッ化炭化水素の例としては、モノ、ジ、トリまたは過フッ化メチル、エチル、プロピル、ブチルまたはフェニルが挙げられる。いくつかの実施形態において、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチルまたはトリフルオロプロピルである。
【0131】
一部の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRの1種または複数種は、独立してポリエーテルである。R、R、R、R、RおよびRによって表されるポリエーテルの例としては、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ジフルオロメチルエチレンオキシド)、ポリ(トリフルオロメチルエチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ジフルオロメチルプロピレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(トリフルオロメチルプロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)、ポリ(テトラヒドロフラン)、ポリ(オキシメチレン)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテルエーテルケトン)およびそれらのコポリマーが挙げられる。
【0132】
一部の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRの1種または複数種は、独立してポリエステルである。R、R、R、R、RおよびRによって表されるポリエステルの例としては、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレンテレフタレートアイオノマー)(PETI)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリ(メチレンナフタレート)(PTN)、ポリ(ブチレンテラファレート)(PBT)、ポリ(ブチレンナフタレート)(PBN)、ポリカーボネートが挙げられる。
【0133】
一部の実施形態において、R、R、R、R、RおよびRの1種または複数種は、独立してフルオロポリマーである。R、R、R、R、RおよびRによって表されるフルオロポリマーの例としては、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(メチルジフルオリエチルシロキサン)、ポリ(メチルトリフルオロエチルシロキサン)、ポリ(フェニルジフルオロエチルシロキサン)が挙げられる。
【0134】
いくつかの実施形態において、R、R、R、R、RおよびRは、独立して、水素、ヒドロキシル、メタン酸またはエタン酸などのカルボン酸、ならびにメタクリル酸および他のアクリル酸である。メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニルおよびそれらのエーテルなどのアルキルまたはアリール炭化水素。モノ、ジ、トリまたは過フッ化メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニルなどのフッ化炭化水素。ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ジフルオロメチルエチルオキシド)、ポリ(トリフルオロメチルエチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ジフルオロメチルプロピレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(トリフルオロメチルプロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)、ポリ(テトラヒドロフラン)、ポリ(オキシメチレン)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテルエーテルケトン)およびそれらのコポリマーなどのポリエーテル。ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレンテレフタレートアイオノマー)(PETI)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリ(メチレンナフタレート)(PTN)、ポリ(ブチレンテラファレート)(PBT)、ポリ(ブチレンナフタレート)(PBN)、ポリカーボネートなどのポリエステル、ならびにポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(メチルジフルオロエチルシロキサン)、ポリ(メチルトリフルオロエチルシロキサン)、ポリ(フェニルジフルオロエチルシロキサン)などのフルオロポリマー。
【0135】
いくつかの実施形態において、mおよびpは、2から50であり、nは2から20である。いくつかの実施形態において、mおよびoは、2から30であり、nは、2から20である。
【0136】
以上に概ね定義されているように、LおよびLはそれぞれ、独立して、二価のC1−20炭化水素鎖であり、炭化水素鎖の1〜4個のメチレン単位は、−O−、−S−、−N(R)−、−C(O)−、−C(O)N(R)、−N(R)C(O)−、−SO−、−SON(R)−、−N(R)SO−、−OC(O)−、−C(O)O−、または二価シクロアルキレン、アリーレン、ヘテロシクレンもしくはヘテロアリーレンによって場合によって、かつ独立して置換されており、LもLも尿素またはウレタン部分を含まない。いくつかの実施形態において、LおよびLはそれぞれ、独立して二価のC1−20アルキレン鎖である。一部の実施形態において、LおよびLはそれぞれ、独立して、二価のC1−10アルキレン鎖である。一部の実施形態において、LおよびLはそれぞれ、独立して、二価のC1−6アルキレン鎖である。一部の実施形態において、LおよびLはそれぞれ、独立して、二価のC1−4アルキレン鎖である。例示的な当該LおよびL基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンまたはより高次の二価アルカンが挙げられる。
【0137】
いくつかの実施形態において、LおよびLはそれぞれ、独立して、二価のC1−20アルキレン鎖であり、鎖の1つのメチレン単位が−O−によって置換されている。いくつかの実施形態において、LおよびLはそれぞれ、独立して、二価のC1−10アルキレン鎖であり、鎖の1つのメチレン単位が−O−によって置換されている。いくつかの実施形態において、LおよびLはそれぞれ、独立して、二価のC1−6アルキレン鎖であり、鎖の1つのメチレン単位が−O−によって置換されている。いくつかの実施形態において、LおよびLはそれぞれ、独立して、二価のC1−4アルキレン鎖であり、鎖の1つのメチレン単位が−O−によって置換されている。例示的な当該LおよびL基としては、−OCH−、−OCHCH−、−OCHCHCH−、−OCHCHCHCH−またはより高次の二価アルキレンエーテルが挙げられる。
【0138】
いくつかの実施形態において、LおよびLはそれぞれ、独立して、二価のC1−20アルキレン鎖であり、鎖の少なくとも1つのメチレン単位が−O−によって置換されており、鎖の少なくとも1つのメチレン単位が二価アリーレンによって置換されている。いくつかの実施形態において、LおよびLはそれぞれ、独立して、二価のC1−10アルキレン鎖であり、鎖の少なくとも1つのメチレン単位が−O−によって置換されており、鎖の少なくとも1つのメチレン単位が二価アリーレンによって置換されている。いくつかの実施形態において、LおよびLはそれぞれ、独立して、二価のC1−6アルキレン鎖であり、鎖の少なくとも1つのメチレン単位が−O−によって置換されており、鎖の少なくとも1つのメチレン単位が二価アリーレンによって置換されている。いくつかの実施形態において、LおよびLはそれぞれ、独立して、二価のC1−4アルキレン鎖であり、鎖の少なくとも1つのメチレン単位が−O−によって置換されており、鎖の少なくとも1つのメチレン単位が二価アリーレンによって置換されている。例示的な当該LおよびL基としては、−OCH−フェニレン、−OCHCH−フェニレン、−OCHCH−フェニレン−CH−および−OCHCHCHCH−フェニレン等が挙げられる。
【0139】
当業者は、ポリウレタンがジイソシアネートとヒドロキシル基の反応から得られることを理解するであろう。同様に、ポリ尿素は、ジイソシアネとアミンの反応から得られることを理解するであろう。これらの反応をそれぞれ以下に示す。
【0140】
【化5】

【0141】
したがって、提供された式Iの化合物を、ウレタンおよび/または尿素結合を形成するのに好適な末端基で官能化できることは容易に明らかとなる。一部の実施形態において、本発明は、式IIの化合物を提供する。
【0142】
【化6】

【0143】
[式中、
およびRはそれぞれ、独立して、−OH、−NH、保護ヒドロキシルまたは保護アミンであり;
XおよびYはそれぞれ、独立して、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートおよびフルオロポリマーの1種または複数種から形成されたポリマー鎖またはコポリマー鎖であり;
、R、R、R、RおよびRはそれぞれ、R、OR、−COR、フッ化炭化水素、ポリエーテル、ポリエステルまたはフルオロポリマーの1種または複数種から独立して選択され;
Rはそれぞれ、独立して、水素、場合によって置換されたC1−20脂肪族基、あるいはフェニル、8〜10員の二環式アリール、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の単環式飽和もしくは部分不飽和複素環式環、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1から4個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式または8〜10員の二環式ヘテロアリール基から選択される、場合によって置換された基であり;
m、nおよびpはそれぞれ、独立して、2から100であり;
およびLはそれぞれ、独立して、二価のC1−20炭化水素鎖であり、炭化水素鎖の1〜4個のメチレン単位は、−O−、−S−、−N(R)−、−C(O)−、−C(O)N(R)、−N(R)C(O)−、−SO−、−SON(R)−、−N(R)SO−、−OC(O)−、−C(O)O−、または二価シクロアルキレン、アリーレン、ヘテロシクレンもしくはヘテロアリーレンによって場合によって、かつ独立して置換されており、但し、LもLも尿素またはウレタン部分を含まない。]
いくつかの実施形態において、X、Y、m、n、p、L、L、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ、本明細書に定義および記載されている通りである。
【0144】
以上に概ね定義されているように、RおよびRはそれぞれ、独立して、−OH、−NH、保護ヒドロキシルまたは保護アミンである。いくつかの実施形態において、RおよびRの両方が−OHである。他の実施形態において、RおよびRの両方が−NHである。いくつかの実施形態において、RおよびRの一方が−OHであり、他方が−NHである。
【0145】
いくつかの実施形態において、RおよびRはそれぞれ、独立して、保護ヒドロキシルまたは保護アミンである。当該保護ヒドロキシル基および保護アミン基は、当業者に周知であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれているProtecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Green and P.G.M.Wuts、第3版、John Wiley & Sons、1999に詳述されているものを含む。例示的な保護アミンとしては、カルバミン酸メチル、カルバミン酸エチル、カルバミン酸9−フルオレニルメチル(Fmoc)、カルバミン酸9−(2−スルホ)フルオレニルメチル、カルバミン酸9−(2,7−ジブロモ)フルオロエニルメチル、カルバミン酸2,7−ジ−tブチル−[9−(10,10−ジオキソ−10,10,10,10−テトラヒドロチオキサンチル)]メチル(DBD−Tmoc)、カルバミン酸4−メトキシフェナシル(Phenoc)、カルバミン酸2,2,2−トリクロロエチル(Troc)、カルバミン酸2−トリメチルシリルエチル(Teoc)、カルバミン酸2−フェニルエチル(hZ)、カルバミン酸1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル(Adpoc)、カルバミン酸1,1−ジメチル−2−ハロエチル、カルバミン酸1,1−ジメチル−2,2−ジブロモエチル(DB−t−BOC)、カルバミン酸1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチル(TCBOC)、カルバミン酸1−メチル−1−(4−ビフェニル)エチル(Bpoc)、カルバミン酸1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチル(t−Bumeoc)、カルバミン酸2−(2’−および4’−ピリジル)エチル(Pyoc)、カルバミン酸2−(N,N−ジシクロヘキシルカルボキサミド)エチル、カルバミン酸t−ブチル(BOC)、カルバミン酸1−アダマンチル(Adoc)、カルバミン酸ビニル(Voc)、カルバミン酸アリル(Alloc)、カルバミン酸1−イソプロピルアリル(Ipaoc)、カルバミン酸シナミル(Coc)、カルバミン酸4−ニトロシナミル(Noc)、カルバミン酸8−キノリル、カルバミン酸N−ヒドロキシピペリジニル、カルバミン酸アルキルジチオ、カルバミン酸ベンジル(Cbz)、カルバミン酸p−メトキシベンジル(Moz)、カルバミン酸p−ニトベンジル、カルバミン酸p−ブロモベンジル、カルバミン酸p−クロロベンジル、カルバミン酸2,4−ジクロロベンジル、カルバミン酸4−メチルスルフィニルベンジル(Msz)、カルバミン酸9−アントリルメチル、カルバミン酸ジフェニルメチル、カルバミン酸2−メチルチオエチル、カルバミン酸2−メチルスルホニルエチル、カルバミン酸2−(p−トルエンスルホニル)エチル、カルバミン酸[2−(1,3−ジチアニル)]メチル(Dmoc)、カルバミン酸4−メチルチオフェニル(Mtpc)、カルバミン酸2,4−ジメチルチオフェニル(Bmpc)、カルバミン酸2−ホスホニオエチル(Peoc)、カルバミン酸2−トリフェニルホスホニオイソプロピル(Ppoc)、カルバミン酸1,1−ジメチル−2−シアノエチル、カルバミン酸m−クロロ−p−アシルオキシベンジル、カルバミン酸p−(ジヒドロキシボリル)ベンジル、カルバミン酸5−ベンズイソキサゾリルメチル、カルバミン酸2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチル(Tcroc)、カルバミン酸m−ニトロフェニル、カルバミン酸3,5−ジメトキシベンジル、カルバミン酸o−ニトロベンジル、カルバミン酸3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジル、カルバミン酸フェニル(o−ニトロフェニル)メチル、フェノチアジニル−(10)−カルボニル誘導体、N’−p−トルエンスルホニルアミノカルボニル誘導体、N’−フェニルアミノチオカルボニル誘導体、カルビン酸t−アミル、チオカルバミン酸S−ベンジル、カルバミン酸p−シアノベンジル、カルバミン酸シクロブチル、カルバミン酸シクロヘキシル、カルバミン酸シクロペンチル、カルバミン酸シクロプロピルメチル、カルバミン酸p−デシルオキシベンジル、2,2−ジメトキシカルボニルビニルカルバミン酸、カルバミン酸o−(N,N−ジメチルカルボキサミド)ベンジル、カルバミン酸1,1−ジメチル−3−(N,N−ジメチルカルボキサミド)プロピル、カルバミン酸1,1−ジメチルプロピニル、カルバミン酸ジ(2−ピリジル)メチル、カルバミン酸2−フラニルメチル、カルバミン酸2−ヨードエチル、カルビン酸イソボリニル、カルビン酸イソブチル、カルバミン酸イソニコチニル、カルバミン酸p−(p’−メトキシフェニルアゾ)ベンジル、カルバミン酸メチルシクロブチル、カルバミン酸−1−メチルシクロヘキシル、カルバミン酸1−メチル−1−シクロプロピルメチル、カルバミン酸1−メチル−1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル、カルバミン酸1−メチル−1−(p−フェニルアゾフェニル)エチル、カルバミン酸1−メチル−1−フェニルエチル、カルバミン酸1−メチル−1−(4−ピリジル)エチル、カルバミン酸フェニル、カルバミン酸p−(フェニルアゾ)ベンジル、カルバミン酸2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル、カルバミン酸4−(トリメチルアンモニウム)ベンジル、カルバミン酸2,4,6−トリメチルベンジル、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、フェニルアセトアミド、3−フェニルプロパンアミド、ピコリンアミド、3−ピリジルカルボキサミド、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、ベンズアミド、p−フェニルベンズアミド、o−ニトロフェニルアセトアミド、o−ニトロフェノキシアセトアミド、アセトアセトアミド、(N’−ジチオベンジルオキシカルボニルアミノ)アセトアミド、3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、3−(o−ニトロフェニル)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−ニトロフェノキシ)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−フェニルアゾフェノキシ)プロパンアミド、4−クロロブタンアミド、3−メチル−3−ニトロブタンアミド、o−ニトロシナミド、N−アセチルメチオニン誘導体、o−ニトロベンズアミド、o−(ベンゾイルオキシメチル)ベンズアミド、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−オン、N−フタルイミド、N−ジチアスクシンイミド(Dts)、N−2,3−ジフェニルマレイミド、N−2,5−ジメチルピロール、N−1,1,4,4−テトラメチルジシリルアザシクロペンタン付加物(STABASE)、5−置換1,3−ジメチル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、5置換1,3−ジベンジル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、1−置換3,5−ジニトロ−4−ピリドン、N−メチルアミン、N−アリルアミン、N−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチルアミン(SEM)、N−3−アセトキシプロピルアミン、N−(1−イソプロピル−4−ニトロ−2−オキソ−3−ピロリン−3−イル)アミン、四級アンモニウム塩、N−ベンジルアミン、N−ジ(4−メトキシフェニル)メチルアミン、N−5−ジベンゾスベリルアミン、N−トリフェニルメチルアミン(Tr)、N−[(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル]アミン(MMTr)、N−9−フェニルフルオレニルアミン(PhF)、N−2,7−ジクロロ−9−フルオレニルメチレンアミン、N−フェロセニルメチルアミノ(Fcm)、N−2−ピコリルアミノN’−オキシド、N−1,1−ジメチルチオメチレンアミン、N−ベンジリデンアミン、N−p−メトキシベンジリデンアミン、N−1,1−ジメチルチオメチレンアミン、N−ベンジリデンアミン、N−p−メトキシベンジリデンアミン、N−ジフェニルメチレンアミン、N−[(2−ピリジル)メシチル]メチレンアミン、N−(N’,N’−ジメチルアミノメチレン)アミン、N,N’−イソプロピリデンジアミン、N−p−ニトロベンジリデンアミン、N−サリチリデンアミン、N−5−クロロサリチリデンアミン、N−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンアミン、N−シクロヘキシリデンアミン、N−(5,5−ジメチル−3−オキソ−1−シクロヘキシル)アミン、N−ボラン誘導体、N−ジフェニルホウ酸誘導体、N−[フェニル(ペンタカルボニルクロミウム−もしくはタングステン)カルボニル]アミン、N−銅キレート、N−亜鉛キレート、N−ニトロアミン、N−ニトロソアミン、アミンN−オキシド、ジフェニルホスフィンアミド(Dpp)、ジメチルチオホスフィンアミド(Mpt)、ジフェニルチオホスフィンアミド(Ppt)、ジアルキルホスホルアミダート、ジベンジルホスホルアミダート、ジフェニルホスホルアミダート、ベンゼンスルフェンアミド、o−ニトロベンゼンスルフェンアミド(Nps)、2,4−ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2−ニトロ−4−メトキシベンゼンスルフェンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミド、3−ニトロピリジンスルフェンアミド(Npys)、p−トルエンスルホンアミド(Ts)、ベンゼンスルホンアミド、2,3,6−トリメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mtr)、2,4,6−トリメトキシベンゼンスルホンアミド(Mtb)、2,6−ジメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Pme)、2,3,5,6−テトラメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mte)、4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mbs)、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホンアミド(Mts)、2,6−ジメトキシ−4−メチルベンゼンスルホンアミド(iMds)、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホンアミド(Pmc)、メタンスルホンアミド(Ms)、β−トリメチルシリルエタンスルホンアミド(SES)、9−アントラセンスルホンアミド、4−(4’,8’−ジメトキシナフチルメチル)ベンゼンスルホンアミド(DNMBS)、ベンジルスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミドおよびフェナシルスルホンアミドが挙げられる。
【0146】
例示的なヒドロキシル保護基としては、メチル、メトキシメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、t−ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル(SMOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル(PMBM)、(4−メトキシフェノキシ)メチル(p−AOM)、グアイアコルメチル(GUM)、t−ブトキシメチル、4−ペンテニルオキシメチル(POM)、シロキシメチル、2−メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEMOR)、テトラヒドロピラニル(THP)、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルS,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル(CTMP)、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−(フェニルセレニル)エチル、t−ブチル、アリル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニル、2,4−ジニトロフェニル、ベンジル、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−ハロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、p−シアノベンジル、p−フェニルベンジル、2−ピコリル、4−ピコリル、3−メチル−2−ピコリルN−オキシド、ジフェニルメチル、p,p’−ジニトロベンズヒドリル、5−ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p−メトキシフェニル)メチル、4−(4’−ブロモフェナシルオキシフェニル)ジフェニルメチル、4,4’,4’’−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4’,4’’−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4’,4’’−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3−(イミダゾール−1−イル)ビス(4’,4’’−ジメトキシフェニル)メチル、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1’−ピレニルメチル、9−アントリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル、ベンズイソチアゾリルS,S−ジオキシド、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、ジメチルイソプロピルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、ジメチルテキシルシリル、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、t−ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)、ホルメート、ベンゾイルホルメート、アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、フェノキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート(レブリネート)、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート(レブリノイルジチオアセタール)、ピバロエート、アダマントエート、クロトネート、4−メトキシクロトネート、ベンゾエート、p−フェニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート(メシトエート)、アルキルメチルカーボネート、9−フルオレニルメチルカーボネート(Fmoc)、アルキルエチルカーボネート、アルキル2,2,2−トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート(TMSEC)、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート(Psec)、2−(トリフェニルホスホニオ)エチルカーボネート(Peoc)、アルキルイソブチルカーボネート、アルキルビニルカーボネート、アルキルアリルカーボネート、アルキルp−ニトロフェニルカーボネート、アルキルベンジルカーボネート、アルキルp−メトキシベンジルカーボネート、アルキル3,4−ジメトキシベンジルカーボネート、アルキルo−ニトロベンジルカーボネート、アルキルp−ニトロベンジルカーボネート、アルキルS−ベンジルチオカーボネート、4−エトキシ−1−ナフトチルカーボネート、メチルジチオカーボネート、2−ヨードベンゾエート、4−アジドブチレート、4−ニトロ−4−メチルペンタノエート、o−(ジブロモメチル)ベンゾエート、2−ホルミルベンゼンスルホネート、2−(メチルチオメトキシ)エチル、4−(メチルチオメトキシ)ブチレート、2−(メチルチオメトキシメチル)ベンゾエート、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシアセテート、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシアセテート、2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェノキシアセテート、クロロジフェニルアセテート、イソブチレート、モノスクシノエート、(E)−2−メチル−2−ブテノエート、o−(メトキシカルボニル)ベンゾエート、α−ナフトエート、ニトレート、アルキルN,N,N’,N’−テトラメチルホスホロジアミデート、アルキルN−フェニルカルバメート、ボレート、ジメチルホスフィノチオイル、アルキル2,4−ジニトロフェニルスルフェネート、スルフェート、メタンスルホネート(メシレート)、ベンジルスルホネートおよびトシレート(Ts)が挙げられる。1,2−または1,3−ジオールを保護するために、保護基としては、メチレンアセタール、エチリデンアセタール、1−t−ブチルエチリデンケタール、1−フェニルエチリデンケタール、(4−メトキシフェニル)エチリデンアセタール、2,2,2−トリクロロエチリデンアセタール、アセトニド、シクロペンチリデンケタール、シクロヘキシリデンケタール、シクロヘプチリデンケタール、ベンジリデンアセタール、p−メトキシベンジリデンアセタール、2,4−ジメトキシベンジリデンケタール、3,4−ジメトキシベンジリデンアセタール、2−ニトロベンジリデンアセタール、メトキシメチレンアセタール、エトキシメチレンアセタール、ジメトキシメチレンオルトエステル、1−メトキシエチリデンオルトエステル、1−エトキシエチリデンオルトエステル、1,2−ジメトキシエチリデンオルトエステル、α−メトキシベンジリデンオルトエステル、1−(N,N−ジメチルアミノ)エチリデン誘導体、α−(N,N’−ジメチルアミノ)ベンジリデン誘導体、2−オキサシクロペンチリデンオルトエステル、ジ−t−ブチルシリレン基(DTBS)、1,3−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサニリデン)誘導体(TIPDS)、テトラ−t−ブトキシジシロキサン−1,3−ジイリデン誘導体(TBDS)、環式カーボネート、環式ボロネート、エチルボロネートおよびフェニルボロネートが挙げられる。
【0147】
ヒドロキシルおよびアミン保護基を、(例えば、両保護基が酸不安定または塩基不安定であるときに)これらの保護基が同時に除去されるように選択できることを当業者なら理解するであろう。あるいは、当該基を段階的に除去することができる(例えば、第1に一方の保護基を1つの除去条件群によって除去し、第2に他方の保護基を異なる除去条件群によって除去する場合)。当該方法は、当業者に容易に理解される。
【0148】
一部の実施形態において、本発明は、式II−a、II−b、II−cおよびII−dのいずれかの化合物を提供する。
【0149】
【化7】

【0150】
[式中、X、Y、m、n、p、L、L、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ、本明細書に定義および記載されている通りである。]
本発明の例示的なトリブロックコポリマーを以下に示す。
【0151】
【化8】

【0152】
[式中、m、nおよびpはそれぞれ、本明細書に定義および記載されている通りである。]
いくつかの実施形態において、本発明は、
(a)式I:
【0153】
【化9】

【0154】
[式中、X、Y、m、n、p、L、L、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ、本明細書に定義および記載されている通りである]の1つまたは複数のトリブロックコポリマーを含み、
(b)該コポリマーがウレタンおよび/または尿素結合ウレタン結合の間で(すなわち、
【0155】
【化10】

【0156】
で示される結合で)化学的に散在(結合)しているポリマー発泡体を提供する。
本発明は、以上に定義されている式Iの予備形成軟質部をさらに提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、式Iの軟質部トリブロックコポリマーを含むポリウレタン/尿素発泡体を提供する。
【0157】
いくつかの実施形態において、本発明は、
(a)式I:
【0158】
【化11】

【0159】
[式中、X、Y、m、n、p、L、L、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ、本明細書に定義および記載されている通りである]の1つまたは複数のトリブロックコポリマーを含み、
(b)該コポリマーがウレタンおよび/または尿素結合ウレタン結合の間で(すなわち、
【0160】
【化12】

【0161】
で示される結合で)化学的に散在(結合)している粘弾性の生物学的安定性水ブロー発泡体を提供する。
意外にも、本発明のトリブロックコポリマーを含むポリウレタンおよび/またはポリ尿素は、胃液に対して安定であることが判明した。本発明のトリブロックコポリマーを使用して製造された当該ポリウレタンおよびポリ尿素は、粘弾性であり、胃液に対して安定である。いくつかの実施形態において、提供された粘弾性材料は発泡体である。
【0162】
一部の実施形態において、提供された生物学的安定性発泡体は、胃液に対して安定である。いくつかの実施形態において、提供された生物学的安定性発泡体は、少なくとも1年間にわたって胃液に対して安定である。いくつかの実施形態において、提供された生物学的安定性発泡体は、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも7ヶ月間、少なくとも8ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも10ヶ月間、少なくとも11ヶ月間または少なくとも1年間にわたって胃液に対して安定である。シミュレートされた胃液を利用して、提供された生物学的安定性発泡体の安定性を測定するための方法は、当該技術分野で既知であり、以下の例に詳述されているものを含む。
【0163】
いくつかの実施形態において、本発明のトリブロックコポリマーを含む、提供された粘弾性発泡体は、発泡体が平衡状態で約30重量%未満の水を吸収することを特徴とする。一部の実施形態において、提供された粘弾性発泡体は、平衡状態で、約5重量%未満、約10重量%未満、約15重量%未満、約20重量%未満、約25重量%未満または約30重量%未満の水を吸収する。当該化学的安定性(すなわち、胃液内であるため非常に低いpHにおける化学的安定性)および疎水性(すなわち、約30重量%未満の吸水量)は、例えばコンタクトレンズの製造に利用される既知のシロキサンポリマーと大きく異なる特性であることを当業者なら理解するであろう。例えば、コンタクトレンズの製造などに利用されるシロキサンポリマーは、50〜120%の吸水量を必要とする。
【0164】
上記のように、本発明は、本発明のトリブロックコポリマーを含む粘弾性発泡体を提供する。意外にも、提供された発泡体は、高度な伸長力、および伸長後非常に緩慢に回復する能力を有することが判明した。実際、提供された粘弾性発泡体は、約200〜1200%の伸長力を有することが判明した。いくつかの実施形態において、提供された粘弾性発泡体は、約500%の伸長力を有する。
【0165】
いくつかの実施形態において、提供された粘弾性発泡体は、約0.1から約1.0MPaの引張強度を有する。一部の実施形態において、提供された粘弾性発泡体は、約0.25から約0.5MPaの引張強度を有する。
【0166】
いくつかの実施形態において、提供された粘弾性発泡体は、約0.1から約0.6MPaのヤング率を有する。一部の実施形態において、提供された粘弾性発泡体は、約0.1から約0.5MPaのヤング率を有する。
【0167】
提供された発泡体の特定の使用に必要な物理特性に応じて、密度の異なる発泡体を製造できることを当業者なら理解するであろう。例えば、各弁が類似の物理特性(例えば、引張強度等)を有するように、より薄い壁を有する弁は、より厚い壁を有する類似の弁より高い密度を有する発泡体を必要とする。したがって、一部の実施形態において、提供された粘弾性発泡体は、0.1から1.5g/cmの密度を有する。一部の実施形態において、提供された粘弾性発泡体は、0.3から1.2g/cmの密度を有する。一部の実施形態において、提供された粘弾性発泡体は、0.8から0.9g/cmの密度を有する。一部の実施形態において、提供された粘弾性発泡体は、0.5から0.6g/cmの密度を有する。
【0168】
一部の実施形態において、本発明は、図86および図87に示されているように、弱結合の数が極めて少ないポリエーテル−シロキサンおよびポリエーテル−フルオロシロキサンポリウレタン材料を提供する。これは、ポリウレタン反応の前に軟質部を予備形成することによって達成される。以下の実施例において、ポリジメチルシロキサンおよびポリプロピレンオキシドに基づくトリブロックコポリマーを使用したが、ポリシロキサンおよびポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ジフルオロメチルエチレンオキシド)、ポリ(トリフルオロメチルエチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ジフルオロメチルプロピレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(トリフルオロメチルプロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)、ポリ(テトラヒドロフラン)、ポリ(オキシメチレン)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテルエーテルケトン)およびそのコポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(ジエチルシロキサン)およびより高次のアルキルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、ポリ(ジフェニルシロキサン)、ポリ(メチルジフルオロエチルシロキサン)、ポリ(メチルトリフルオロエチルシロキサン)、ポリ(フェニルジフルオロエチルシロキサン)、ポリ(フェニルトリフルオロエチルシロキサン)およびそのコポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレンテレフタレートアイオノマー)(PETI)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリ(メチレンナフタレート)(PTN)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(ブチレンナフタレート)(PBN)およびポリカーボネートから形成される他のトリブロックコポリマーが使用され得ることが理解される。
【0169】
図86を参照すると、ABA、ABCおよびBAB型のコポリマーを、ウレタン/尿素より安定な結合を使用して共有結合されたポリシロキサンおよびポリプロピレンオキシドのホモポリマーから製造した。当該ホモポリマーの分子量および化学特性を調整して、適切なバランスの親水性/疎水性を有する予備軟質部を達成した。特定の理論に束縛することを望まないが、軟質部として構成ホモポリマーの代わりに非ウレタン結合トリブロックコポリマーを使用することによって、得られる材料の機械特性および加水分解安定性が実質的に向上すると考えられる。
【0170】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明のコポリマーを含む発泡体を提供する。当該発泡体は、特に胃腸装置用途について、固体エラストマーに比べて特定の利点を提供する。これらの利点としては、胃環境における生物学的安定性の向上、圧縮性、粘弾性、および高い「表面積対容量比」が挙げられる。本発明の発泡体配合物は、天然の胃腸組織の機械特性を模倣することができる。
【0171】
生物学的安定性水ブロー発泡体を異種の試薬から製造した。
先行技術には、高分子量の固体材料をもたらすポリマー鎖同士の逐次反応によって製造されるポリウレタン発泡体が記載されている。いずれの場合も、先行技術に記載されているポリマー前駆体は、図85に示されるウレタン/尿素結合によって互いに結合されている。しかし、各ウレタン/尿素結合は、分解の可能性のある部位である。
【0172】
本発明において、我々は、図86に示されるコポリマー前駆体を使用することによって、はるかに少ない「弱結合」を有する生物学的安定性ポリウレタン/尿素発泡体を製造した。
【0173】
ポリウレタン反応は、処理が容易であることから、伝統的に単相で実施されてきた。しかし、我々は、物理的に異種の反応前駆体を組み合わせて、安定な二相分散体(「油中水」)を形成し、次いでそれを反応させて発泡体を形成することによって新規の材料を製造した。

2つの具体的な実施例において、XおよびYは、いずれもポリエーテル、すなわちポリ(プロピレンオキシド)(PPO)である。これらを配合して、以下の式に示されるように、それぞれポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)とポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)の比率が異なるコポリマーとした。
【0174】
【化13】

【0175】
および
【0176】
【化14】

【0177】
配合物は、以下の成分を含むいくつかの他の成分を含んでいた。
分岐剤−DEOA
【0178】
【化15】

【0179】
ジエタノールアミン(DEOA)は、分岐剤として使用されるが、架橋剤として知られることもある。DEOAの分子量は、105.14g/molである。DEOAの効果は、最終ポリマーの軟度および弾性に影響を与えることである。
ゲル化触媒−ネオデカン酸ビスマス(BICAT)
【0180】
【化16】

【0181】
ネオデカン酸ビスマスは、BiCat8108MとしてShepherdから供給される。それは、分子量が722.75g/molである。この触媒は、イソシアネートとヒドロイルまたはアミン官能基との完全反応を容易にするために使用される。
発泡触媒−DABCO33−Iv
【0182】
【化17】

【0183】
DABCOは、NCOとHOとの反応のための一般的な発泡触媒である。それは、112.17g/molの分子量を有する。この触媒は、HOと一緒になって、発泡特性を操作する効果を有する。
【実施例1】
【0184】
脂肪族結合フルオロシロキサン系トリブロックコポリマー予備軟質部の合成:
これは、2工程プロセスである。第1の工程において、シラノール末端ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)をその二水素化物に変換する。次の工程において、この二水素化物誘導体とアリル末端ポリ(プロピレングリコール)とを反応させる。
【0185】
合成手順は、以下の通りである。
工程1:
【0186】
【化18】

【0187】
機械的攪拌機を装備した四口セパラブルフラスコに、40gのシラノール末端ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)(Gelest Inc.のFMS−9922)を加え、これを50mlのトルエンと混合し、連続的な窒素流を供給した。反応混合物に7.57gのジメチルクロロシラン(Sigma AldrichのDMCS)を、該混合物の温度を30℃に維持しながら、約20分間にわたって徐々に添加した。ジメチルクロロシランを添加する毎に、混合物が濁ったが、短時間で透明になった。ジメチルクロロシランの添加が完了すると、混合物を3時間にわたって90℃まで加熱した。次いで、反応物を過剰の水で数回洗浄して、混合物の酸性度を低下させた。得られた混合物をシリカゲルで乾燥させ、濾過し、減圧して、終夜65℃で溶媒および微量の水を除去した。次いで、赤外分光分析(IR)において2130cm−1に反応を裏づける非常に強いSi−Hバンドを有する透明の液体が得られた。GPC分析は、分子量が1200g/molであることを示した。
工程2:
【0188】
【化19】

【0189】
機械的攪拌機を装備した四口セパラブルフラスコ内の90mlの試薬級トルエンに対して、46.67gのアリル末端ポリ(プロピレングリコール)(MW=700g/mol、Jiangsu GPRO Group Co.)を添加し、次いで加熱して還流させた。次いで、40gの水素化物末端FMS−9922を50mlの試薬級トルエンに溶解させ、約90℃まで昇温させた。次いで、反応混合物に対して、2滴のイソプロパノール(Merck)中ヘキサクロロ白金(IV)酸(Sigmaの0.01MのHPtCl)溶液を添加した。この触媒溶液を添加した後、混合物を1時間還流させ、最終生成物を得るために溶媒を蒸留除去した。反応をH−NMRによって確認し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、最終分子量が2700g/molであることを確認した。
【0190】
【表1】

【実施例2】
【0191】
脂肪族結合ジメチルシロキサン系トリブロックコポリマー予備形成部の合成:
機械的攪拌機を装備したセパラブルフラスコ内の130mlの試薬級トルエンに対して、64gのアリル末端ポリ(プロピレングリコール)(MW=700g/mol、Jiangsu GPRO Group Co.)を添加し、両者を混合し、加熱して還流させた。次いで、40gの水素化物末端ポリ(ジメチルシロキサン)(Siltech Corp.のSilmer H Di 10)を50mlの試薬級トルエンに溶解させ、約90℃まで昇温させた。この反応混合物に対して、2滴のイソプロパノール中ヘキサクロロ白金(IV)酸(Sigmaの0.01MのHPtCl)溶液を添加した。この触媒溶液を添加した後、混合物を1時間還流させ、次いで最終生成物を得るために溶媒を蒸留除去した。反応をH−NMRによって確認し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、生成物の最終分子量が2300g/molであることを確認した。
【0192】
【化20】

【0193】
【表2】

【実施例3】
【0194】
芳香族結合シロキサン系トリブロックコポリマー予備軟質部の合成:
【0195】
【化21】

【0196】
機械的攪拌機を装備した100mlのセパラブルフラスコに、15gのヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(Gelest Inc.のDMS−S14)を5.36gのジクロロp−キシレン(Sigma)および0.0089gのアセチルアセトン酸銅(II)(SigmaのCu(Acac))とともに加えた。反応混合物を110℃で5時間還流させた。この時点で、19.77gのヒドロキシ末端ポリ(プロピレングリコール)(Sigma)を滴加し、次いで反応混合物をさらに15時間還流させた。反応の進行をH−NMRによって確認し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した最終分子量は3000g/molであった。
H−NMR分析:H−NMR分析に使用した溶媒は、CDClである。
芳香族H=7.25〜7.45ppm、−CH=4.5〜4.6ppm、(PPOの)−CH=1〜1.4ppm、(PPOの)−CH=3.2〜3.8ppm、(PPOの)−−−OH=3.8〜4ppm、−CH(シラノール)=0.5〜0.8ppm。
【0197】
【表3】

【実施例4】
【0198】
芳香族結合フルオロシロキサン系トリブロックコポリマー予備軟質部の合成:
【0199】
【化22】

【0200】
機械的攪拌機を装備した100mlのセパラブルフラスコに対して、15gのヒドロキシ末端ポリトリフルオロメチルシロキサン(FMS−9922、Gelest Inc.)を5.9gのジクロロp−キシレンおよび0.0098gのアセチルアセトン酸銅(II)(SigmaのCu(Acac))とともに加えた。反応混合物を110℃で5時間還流させた。この時点で、21.75gのヒドロキシ末端ポリ(プロピレングリコール)(Sigma)を反応混合物に滴加した。反応物をさらに15時間還流させた。反応の進行をH−NMR分析によって確認し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した分子量は3100g/molであった。
H−NMR分析:H−NMR分析に使用した溶媒は、CDClである。
芳香族H=7.25〜7.45ppm、−CH=4.5〜4.6ppm、(PPOの)−CH=1〜1.4ppm、(PPOの)−CH=3.2〜3.8ppm、(PPOの)−−−OH=3.8〜4ppm、−CH(シラノール)=0.5〜0.8ppm。
【0201】
【表4】

【実施例5】
【0202】
水ブロー発泡体の調製:
調製した予備軟質部を、構成成分PO/SiO/POについてそれぞれ文字m、nおよびoによって数字的に表されるポリマーブロック比を有すると記載することができる。特定のm、n、o比を用いて実施例1および2で調製したトリブロックコポリマーを配合して、表7によって示されるポリウレタン/尿素発泡体とした。
【0203】
発泡体を調製するための方法は、2工程の手順であった。表7における第1の製造物の製造方法を以下に記載する。同じ手順を使用して、表8に記載される他の発泡体を調製した。
工程1)最初に、プラスチックの平底容器において、0.041gのDABCO LV−33(Airproducts)、0.120gのネオデカン酸ビスマス(Shepherd chemicalsのBicat 8108M)、0.467gのジエタノールアミン(SigmaのDEOA)、7.917gの合成ブロックコポリマー、0.200gの水および0.1gの界面活性剤(AirproductsのNiax L−618)を用いて混合物を製造した。次いで、これを、均質の混合物が得られるまで30秒間にわたって手動で十分に混合した。
工程2)上記混合物に対して、15gのジイソシアネートプレポリマー(PPT 95A Airproducts)を添加した。次いで、これを機械的攪拌機によって約5秒間にわたって十分に混合した。次いで、該材料を成形し、70℃で2.5時間硬化させ、50℃でさらに3時間後硬化させた。
【0204】
【表5】

【実施例6】
【0205】
トリブロックコポリマー予備軟質部および個々のホモポリマーからの水ブロー発泡体の配合物の比較例:
実施例5のポリウレタン/尿素ポリマーを、化学量論当量のホモポリマー軟質部から製造された発泡体と比較した。図88に示されるホモポリマー系軟質部(VF130309およびVF190309)を有する発泡体を以下のように製造した(VF130309)。
工程1)最初に、0.041gのDABCO LV−33(Airproducts)、0.120gのネオデカン酸ビスマス(Shepherd chemicalsのBicat 8108M)、0.467gのジエタノールアミン(SigmaのDEOA)、3.056gのポリ(ジメチルシロキサン)ジオール(DMS−s14 Gelest Inc.)、1.633gのポリプロピレンオキシド(Mw=700g/mol)、0.200gの水および0.1gの界面活性剤(AirproductsのNiax L−618)を用いて混合物を製造した。これらをプラスチックの平底容器に加え、均質の混合物が得られるまで30秒間にわたって手動で十分に混合した。
工程2)上記混合物に対して、15gのジイソシアネートプレポリマー(PPT 95A Airproducts)を添加した。次いで、これを機械的攪拌機によって約5秒間にわたって十分に混合した。次いで、該材料を成形し、70℃で2.5時間硬化させ、50℃でさらに3時間後硬化させた。
【0206】
本実施例の発泡体を引張試験のためにダンベル形にした。図88および89には、トリブロックコポリマー予備軟質部の弾性率の好適な低下を示す、比較材料の機械特性の差が示されている。
【実施例7】
【0207】
トリブロックコポリマー軟質部とホモポリマー軟質部との安定性比較
引張試験片を実施例4に使用した材料と同様にして調製し、(米国薬局方「USP」に従って)シミュレートされた胃液中で加速エージングさせた。予め合成されたトリブロックコポリマー軟質部を用いて製造した材料は、図90に示されるウレタン/尿素結合ホモポリマー同等物と比較して胃液中の機械安定性が実質的に向上していた。これは、消化環境、より具体的には胃環境での長時間にわたる当該材料の使用を容易にする。
【実施例8】
【0208】
水ブロー発泡体の調製
また、いくつかの水ブローポリウレタン/尿素を、異なるPO/EO/SiOポリマーブロック比を用いて製造した。上記の発泡体を調製するための方法を使用した。
【0209】
【表6】

【0210】
表6に記載されている配合物からの結果を表7に示す。
【0211】
【表7】

【実施例9】
【0212】
使用実施例
胃腸系に使用される装置は、伝統的に特殊設計された材料から製造されてきた。胃の腐食性環境での用途に使用される市販品は、生物学的安定性が限定されており、一般的に短時間でそれらの機能が低下する。
【0213】
本発明の発泡体は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれている我々の米国特許出願公開第2007−0198048号明細書に記載されているタイプの弁の製造に使用され得る。その弁は、開放位置および閉鎖位置を有する。その弁は、近端および遠端を有する。弁材料は、嚥下(液体または固体)の作用がオリフィスを周方向に100%から3000%延伸させると近方向から開放し得る。開放オリフィスは、長時間にわたって場合によって非弾性的に閉鎖することにより、体の自然の応答を模倣する。閉鎖にかかる持続時間は、2から15秒間であり得る。該材料は、気体、液体または固体が25cmHOから60cmHOの所定の力を超えると、該材料は、遠方向から100%〜300%まで延伸し得る。いくつかの実施形態において、該材料は、平衡状態でそれ自体の質量の15%未満の水を吸収する。いくつかの実施形態において、水またはアルコール中において平衡状態でそれ自体の質量の3%未満を失う(浸出する)。いくつかの実施形態において、該材料は、pH1.2のシミュレートされた胃液に30日間浸漬されるとその引張強度の10%未満を失う。いくつかの実施形態において、弁材料は、pH1.2のシミュレートされた胃液に30日間浸漬されるとその伸度(%)の25%未満を失う。
【実施例10】
【0214】
弁機能試験
健康な下部食道括約筋(LES)は、個体が、嚥下することで食物を順行方向に通すことによって筋肉の弛緩を誘発するまで閉鎖した状態を維持する。また、個体がおくびまたは嘔吐すると、それらは、胃において逆行方向に、弁を圧倒するのに十分な圧力を生成する。逆流防止弁は、体内に配置されるとこの機能を有効にしなければならないため、性能を評価するために簡単な機能性試験を実施する。
【0215】
胃底皺襞形成術後の患者は、22〜45mmHgの圧力を生成すること、および胃の降伏圧力が40mmHgを超える患者のほとんどがおくびの問題を経験していることが報告された(Yield pressure,anatomy of the cardia and gastro−oesophageal reflux.Ismail,J.Bancewicz,J.Barow British Journal of Surgery.第82巻、1995、943〜947頁参照)。したがって、おくびを容易にし、逆流を防止するために、40mmHg(550mmHO)の絶対上限GYP値が合理的である。認識できる食道炎の患者は、いずれも15mmHg以下の胃降伏圧力値を有するため、15mmHgを超える最小の胃降伏圧力値を選択的に標的にするのが合理的であることが報告されている(前出の文献を参照)。適切な最小胃降伏圧力値は、15mmHg+25%の誤差マージンであるため、最小有効弁降伏圧力値が18.75mmHgまたは255mmHOになる。
【0216】
試験装置は、蠕動ポンプ、および試験すべき弁を収容するように設計された取付部品が接続された、図91に示される1mの高度垂直管からなる。
試験すべき弁を37℃の水浴に30分間配置して、その温度を平衡させる。弁の温度が平衡になると、弁の閉鎖遠端が試験装置の内側を向くようにそれを筐体に設置する。次いで、ポンプを800ml/分の速度でオンに切り換えて。垂直管の充填を開始する。上昇した水柱は、最初に弁を閉じる圧力を加える。柱の圧力が上昇すると、弁は、それが裏返って、水がそこを流れることを可能にする点に達する。次いで、降伏圧力として知られるこの点を記録し、試験を4回繰り返す。
【実施例11】
【0217】
材料の加速エージングの根拠
臨床条件のシミュレート
有害な副作用をもたらすことなく、正常な患者の下部食道を胃の酸性内容物に定期的に曝露することができる。しかし、逆流性食道炎の患者は、胃内容物への曝露の増大により、下部食道の粘膜が損傷する。酸性の胃内容物への下部食道の曝露は、専用のpH測定装置を使用して、臨床現場で日常的に測定される。典型的な手順は、24時間にわたってpHを測定することを含む。逆流性食道炎患者における酸曝露のレベルを6つの臨床文献から表8に要約する(DeMeester TR、Johnson LF、Joseph GJら、Patterns of Gastroesophageal Reflux in Health and Disease Ann.Surg.、1976年10月、459〜469;Pandolfino JE、Richter JE、Ours Tら、Ambulatory Esophageal pH Monitoring Using a Wireless System Am.J.Gastro 2003;98:4;Mahmood Z、McMahon BP、Arfin Qら、Results of endoscopic gastroplasty for gastroesophageal reflux disease:a one year prospective follow−up Gut 2003;52:34〜9;Park PO、Kjellin T、Appeyard MNら、Results of endoscopic gastroplasty suturing for treatment of GERD:a multicentre trial Gastrointest endosc 2001;53:AB115;Filipi CJ、Lehman GA、Rothstein RIら、Transoral flexible endoscopic suturing for treatment of GERD:a multicenter trial Gastrointest endosc 2001;53 416〜22;およびArts J、Slootmaekers S Sifrim Dら、Endoluminal gastroplication(Endocinch)in GERD patient‘s refractory to PPI therapy Gastroenterology 2002;122:A47参照)。
【0218】
【表8】

【0219】
主要臨床パラメータ
下部食道を、測定時間の平均11%に対応する曝露時間にわたって酸性pHに曝露されることを考慮すると、加速エージング手法を容易に想到することができる。試験材料を胃内容物(またはUSPシミュレート胃液−USP薬局方参照)にコンスタントに曝露すると、エージングの速度がほぼ10倍増大することになる。したがって、下部食道の胃内容物への1年間の曝露をシミュレートするのに必要な時間は、式Iによって表される。
【0220】
【数1】

【0221】
臨床的根拠
37℃で40.27日にわたってUSPシミュレート胃液に試験片を浸漬させることは、逆流性食道炎患者のシナリオにおける酸性の胃内容物に対する下部食道の1年間の曝露にほぼ匹敵する。
【0222】
【表9】

【0223】
本発明の粘弾性発泡体から調製された弁の加速安定性の結果を図92Aおよび92Bに示す。
本発明のいくつかの実施形態を記載したが、我々の基本的な実施例を変更して、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供できることは明らかである。したがって、本発明の範囲は、例として示された具体的な実施形態でなく、添付の請求項によって定義されるべきであることが理解される。
【0224】
本発明は、先に詳述した変更できる実施形態に限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁が閉鎖された常閉構成と、
弁を通じた流れのために弁が開放された開放構成と、
予め展開された管腔補綴体の近端と遠端の中間において、予め展開された管腔補綴体に装着するように構成される、弁の支持体と
を有する弁。
【請求項2】
前記管腔補綴体はステントを含む、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記管腔補綴体は食道ステントを含む、請求項1または2に記載の弁。
【請求項4】
前記弁支持体は支持構造体を含む、請求項1から3のいずれかに記載の弁。
【請求項5】
前記支持構造体は外側に向かって先細りする、請求項4に記載の弁。
【請求項6】
前記支持構造体は、内側に向かって先細りする、請求項4に記載の弁。
【請求項7】
前記支持構造体は、その長さに沿って全体的に均一な直径を有する、請求項4に記載の弁。
【請求項8】
前記支持構造体は骨格を含む、請求項4から7のいずれかに記載の弁。
【請求項9】
前記支持構造体は、ステント様構造体を含む、請求項4から8のいずれかに記載の弁。
【請求項10】
前記弁支持体を予め展開された管腔補綴体に装着する装着手段を含む、請求項4から9のいずれかに記載の弁。
【請求項11】
前記装着手段は、前記支持構造体によって設けられている、請求項10に記載の弁。
【請求項12】
前記装着手段は、前記支持構造体から伸びる突起を含む、請求項11に記載の弁。
【請求項13】
前記突起は、前記支持構造体の近端の近傍から伸びる、請求項12に記載の弁。
【請求項14】
前記突起は、前記支持構造体の遠端の近傍から伸びる、請求項12または13に記載の弁。
【請求項15】
前記突起は、前記支持構造体の近端と遠端の中間から伸びる、請求項12から14のいずれかに記載の弁。
【請求項16】
前記突起は、予め展開されたホスト支持体と係合するように構成される、請求項12から15のいずれかに記載の弁。
【請求項17】
前記突起はループを含む、請求項12から16のいずれかに記載の弁。
【請求項18】
前記突起の先端が丸められている、請求項12から17のいずれかに記載の弁。
【請求項19】
前記突起は、予め展開されたホスト支持体と解放可能に係合可能である、請求項12から18のいずれかに記載の弁。
【請求項20】
予め展開されたホスト支持体との係合から弁を解放する解放手段を含む、請求項12から19のいずれかに記載の弁。
【請求項21】
前記解放手段は、前記弁支持構造体の少なくとも一部の直径を小さくする手段を含む、請求項20に記載の弁。
【請求項22】
前記解放手段は、前記弁支持構造体付近に伸びる引張糸集合体を含む、請求項20または21に記載の弁。
【請求項23】
第1の引張糸集合体は、前記支持構造体の近端付近に伸びる、請求項22に記載の弁。
【請求項24】
第2の引張糸集合体は、前記支持構造体の遠端付近に伸びる、請求項22または23に記載の弁。
【請求項25】
前記支持構造体に装着されている、請求項4から24のいずれかに記載の弁。
【請求項26】
前記支持体に縫合されている、請求項25に記載の弁。
【請求項27】
前記支持体に接合されている、請求項25に記載の弁。
【請求項28】
前記支持体に接着接合されている、請求項25に記載の弁。
【請求項29】
順行方向および逆行方向に自動的に開放するように構成される、請求項1から28のいずれかに記載の弁。
【請求項30】
異なる力が順行方向および逆行方向に加えられると開放されるように構成される、請求項29に記載の弁。
【請求項31】
弁は、順行力に応答して順行方向に開放し、逆行力に応答して逆行方向に開放し、弁を開放するのに必要な逆行力は、弁を開放するのに必要な順行力より実質的に大きい、請求項30に記載の弁。
【請求項32】
食道ステントに装着する食道弁である、請求項1から31のいずれかに記載の弁。
【請求項33】
体管路に弁を設けるための方法であって、
支持構造体に装着された弁を設ける工程と、
支持構造体に装着された弁を、体管路における予め展開された管腔補綴体に送達する工程と、
弁が管腔補綴体に装着されるように弁を展開する工程と
を含む前記方法。
【請求項34】
前記弁を展開する工程は、前記弁支持体と前記予め展開された管腔補綴体とを係合させる工程を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記弁支持体は、前記予め展開された管腔補綴体と機械的に係合される、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
前記弁支持体は突起を含み、前記方法は、突起と管腔内補綴体の開口との位置を合わせ、突起を開口に係合させる工程を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記弁支持体は膨張可能な支持体であり、前記方法は、前記支持体を送達カテーテル上に収縮した形で搭載する工程を含み、前記弁支持体は、展開すると膨張可能である、請求項33から36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記支持体は自己膨張可能である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記支持体は膨張手段によって膨張される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記膨張手段はバルーンを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記弁支持体を前記管腔補綴体との係合から解放する工程を含む、請求項33から40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記弁支持体を前記補綴体内に再配置する工程を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記弁を前記補綴体から除去する工程を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記体管路は食道であり、前記弁は、予め展開された食道ステントに装着する食道弁である、請求項33から43のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図89】
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【図90】
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【図91】
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【図92A】
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【図92B】
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【公表番号】特表2011−524777(P2011−524777A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514193(P2011−514193)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/IE2009/000039
【国際公開番号】WO2009/153770
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(508188503)ヴィセラ・バイオメディカル・リミテッド (6)
【Fターム(参考)】