説明

食道癌の判別方法

【課題】食道癌に対する、遺伝子レベルの新たな検出方法を提供すること。
【解決手段】食道上皮細胞における特定の103種類の遺伝子の変異、例えば、(1)当該遺伝子発現値の低値若しくは高値への偏り、(2)当該遺伝子のゲノムDNAのメチル化、又は、(3)当該遺伝子がコードする蛋白質レベルの低値若しくは高値への偏り、を指標として、当該食道上皮細胞の癌化を検出する、食道癌の検出方法を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の癌関連遺伝子を指標として用いる癌の検出方法に関する発明である。より具体的には、食道上皮細胞を検体として用いて、当該検体における癌関連遺伝子のゲノムDNAのメチル化等の変異を検出して、食道癌を検出することを特徴とする食道癌の検出方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
食道癌(Esophageal carcinoma)は、食道に発生する上皮性由来の腫瘍(癌)である。組織学的分類では、扁平上皮癌(Esophageal Squamous-cell Carcinoma)と腺癌がある。前者は食道の粘膜上皮細胞が癌化するもので、全体の90%以上を占める。日本人では食道癌全体の93%を占める。後者は食道腺の細胞が癌化するもので、両者を合わせると食道癌全体の95%以上を占める。診断法としては、食道造影、内視鏡、超音波内視鏡検査、CT(コンピュータトモグラフィー)、PET(ポジトロン放射断層撮影装置)等の画像所見とSCC(扁平上皮癌関連抗原)及びCEA(癌胎児抗原)等の腫瘍マーカーに基づく方法が知られているが、精度が高いとはいえず、初期に悪性度を含めて診断する事は困難な状況である。一方、食道癌は初期の診断が困難である事も一因であるが、その予後が極めて悪く、手術或いは放射線・化学療法の奏効率が悪い癌である。これはリンパ節転移が多い事と、食道は他の消化器臓器と異なり、漿膜(外膜)を有していないために、比較的周囲に浸潤しやすいことが上げられる。
【0003】
ごく最近、Low Density Lipoprotein Receptor-Related Protein 1B (LRP1B)の発現低下或いは当該ゲノム遺伝子の欠失が食道癌の診断に使用できることが報告された(非特許文献1)。
【非特許文献1】Sonoda I, Imoto I, Inoue J, Shibata T, Shimada Y, Chin K, Imamura M, Amagasa T, Gray J W, Hirohashi S, and Inazawa J: Frequent Silencing of Low Density Lipoprotein Receptor-Related Protein1B(LRP1B) Expression by Genetic and Epigenetic Mechanisms in Esophaseal Squamous Cell Carcinoma, Cancer Research 64, 3741-3747, 2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現状において、食道癌の遺伝子検査法については、非特許文献1の技術が公知となっているものの、さらに新たな遺伝子検査法を見出し、それらを用いた総合的な食道癌の検出手段の確立が要望されている状況である。すなわち、本発明が解決すべき課題は、食道癌に対する、さらに新たな遺伝子レベルの検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一般に、癌細胞では、遺伝子の変異、例えば、ゲノム遺伝子の欠失及び増幅、CpGアイ
ランドのメチル化による発現抑制、ヒストン蛋白質の脱アセチル化による遺伝子の発現抑制、遺伝子点突然変異等、が起こっている場合が多くの例で報告されている。食道癌細胞において、染色体DNA及び遺伝子発現について詳細に検討し、食道癌の悪性度及び早期診断に結びつく遺伝子群を探索し、診断の決め手となる遺伝子を見出す事は極めて重要である。さらに、食道癌細胞で特徴的な遺伝子の変化を見出し、遺伝子変化と癌の臨床病理学的所見との相関を解析することにより、食道癌の診断法を確立することができると考えられる。
【0006】
本発明者等は、ゲノム上での食道上皮細胞由来の癌細胞株でのメチル化の亢進を、BAMCA法を用いて網羅的に解析した。BAMCA法は、Bacterial Artificial chromosome array-based Methylated CpG island Amplificationの略称である。本方法の概略を示せば、まず、食道癌細胞と正常食道細胞よりDNAを調製し、制限酵素SmaI(メチル化感受性制限酵素)で消化する。SmaIサイトがメチル化されている場合には、SmaIで消化されないために、次のステップのXmaI(メチル化非感受性制限酵素)消化、アダプターライゲーション、PCRによる増幅の過程で特異的に標識される。その結果、食道癌細胞由来のゲノムDNAを蛍光色素Cy3で標識し、正常食道細胞に由来するDNAを蛍光色素Cy5で標識し、全染色体を網羅的に解析することが可能な4523種類の BAC(Bacterial Artificial Chromosome) DNAを搭載した高密度ゲノムアレイであるMCG Whole Genome Array-4500上で競合ハイブリダイゼーション(Comparative Genomic Hybridization:CGH)を行うと、食道癌細胞においてメチル化されたゲノムDNAが存在する場合に、Cy3/Cy5の比が上昇する。この値が特定値以上(例えば、1.5以上)であることを指標として、癌で特異的にメチル化されたDNA断片に一致する配列を含むBACクローンを同定することができる。この一連のBAMCA法の過程を図1に示す。
【0007】
本発明者等は、上記の要領による食道上皮細胞由来の癌細胞株の網羅的な解析の結果、食道癌細胞で、CpGアイランドがメチル化されている61種類のBAC DNAが同定され、その結果よりヒト染色体の24ヶ所の染色体座位を同定した。さらに、その領域に局在する遺伝子を調べた結果、103種類のゲノム遺伝子の同定に成功した。
【0008】
すなわち、RP11-99A8 (1p22.2)、RP11-82E1 (1p22.2)、RP11-66D17 (1q23.1)、RP11-180B22 (1q23.1)、RP11-73D7 (1q31.3)、RP11-123I5 (1q42.2)、RP11-81F3 (2q11.2)、RP11-17I9 (4p16.1)、RP11-205N12 (4p15.1)、RP11-17P19 (4q21.21)、RP11-81L1 (5q23.2)、RP11-183F3 (6p22.1)、RP11-451M2 (6p22.1)、RP11-71C20 (6p21.33)、RP11-79J5 (6p21.1)、RP11-177M14 (6q23.2)、RP11-436I24 (6p24.2)、RP11-89B15 (7p21.2)、RP11-34N11(7p15.1)、RP11-115G23 (7p14.3)、RP11-97P11 (7p11.2)、RP11-48O1 (7q31.32)、RP11-235I5 (8p23.1)、RP11-413C16 (9p22.3)、RP11-12P15 (9p13.2)、RP11-159H20 (9q21.13)、RP11-413C10 (9q31.1)、RP11-79H9 (10p15.3)、RP11-66F24 (10p12.31-12.2)、RP11-92I18 (10q11.23)、RP11-52K17 (10q21.3)、RP11-17O5 (10q22.3)、RP11-428P16 (10q22.3)、RP11-248C1 (10q23.3)、RP11-90B18(10q23.3)、RP11-37L21 (10q24.3)、RP11-162A23 (10q26.12)、RP11-88B12 (10q26.2)、RP11-90P9 (11p15.4)、RP11-91I5 (11p15.2)、RP11-49D19 (11q12.3) 、 RP11-97N16 (12q13.1) 、RP11-91K18 (13q13.3) 、RP11-105F9 (14q13.1) 、RP11-458A21 (14q13.3) 、RP11-262M8 (14q22.1) 、RP11-209K10 (15q21.2) 、RP11-85E15 (15q23) 、RP11-207J8 (15q23) 、RP11-79J21 (15q24) 、RP11-10K12 (15q24) 、RP11-215M5 (16q12.1)、RP11-209I14 (16q12.1)、RP11-424K7 (16q12.1)、RP11-3A9 (16q21)、RP11-81D5 (17q12)、RP11-29C11 (17q21.2)、RP11-79L5 (18q21.31)、RP11-124D1 (20q13.1)、RP11-246G22 (Xq21.1)、RP11-99E24 (Xq22.1)のBAC DNAが、上述した網羅的検討により見出された。
【0009】
そして、これらのBAC DNAの中に含まれる103種のゲノム遺伝子、具体的には、BARHL2遺伝子(GenBank番号:NM_020063.1)、NES遺伝子(GenBank番号:NM_006617.1)、CRABP2遺伝子(GenBank番号:NM_001878.2)、ISG20L2遺伝子(GenBank番号:NM_030980.1)、MRPL24遺伝子(GenBank番号:NM_145729.1)、HDGF遺伝子(GenBank番号:NM_004494.1)、PRCC遺伝子(GenBank番号:NM_199416.1)、SH2D2A遺伝子(GenBank番号:NM_003975.2)、NTRK1遺伝子(GenBank番号:NM_001007792.1)、LHX9遺伝子(GenBank番号:NM_001014434.1)、TARBP1遺伝子(GenBank番号:NM_005646.3)、RMND5A遺伝子(GenBank番号:NM_022780.2)、CD8A遺伝子(GenBank番号:NM_001768.5)、SLC2A9遺伝子(GenBank番号:NM_020041.2)、WDR1遺伝子(GenBank番号:NM_005112.4)、PCDH7遺伝子(GenBank番号:NM_032457.1)、FRAS1遺伝子(GenBank番号:NM_025074.4)、BTN1A1遺伝子(GenBank番号:NM_001732.1)、HMGN4遺伝子(GenBank番号:NM_006353.2)、ABT1遺伝子(GenBank番号:NM_013375.2)、ZNF184遺伝子(GenBank番号:NM_007149.1)、UNC5CL遺伝子(GenBank番号:NM_173561.1)、BZRPL1遺伝子(GenBank番号:NM_001010873.1)、APOBEC2遺伝子(GenBank番号:NM_006789.2)、NFYA遺伝子(GenBank番号:NM_021705.2)、EYA4遺伝子(GenBank番号:NM_172105.2)、PHACTR2遺伝子(GenBank番号:NM_014721.1)、MEOX2遺伝子(GenBank番号:NM_005924.4)、PRR15遺伝子(GenBank番号:NM_175887.2)、TBX20遺伝子(GenBank番号:NM_001077653.1)、FEZF1遺伝子(GenBank番号:NM_001024613.1)、GATA4遺伝子(GenBank番号:NM_002052.2)、NEIL2遺伝子(GenBank番号:NM_145043.1)、FDFT1遺伝子(GenBank番号:NM_004462.3)、NFIB遺伝子(GenBank番号:NM_005596.2)、MELK遺伝子(GenBank番号:NM_014791.2)、PRUNE2遺伝子(GenBank番号:NM_138818.2)、FOXB2遺伝子(GenBank番号:NM_001013735.1)、NIPSNAP3A遺伝子(GenBank番号:NM_015469.1)、NIPSNAP3B遺伝子(GenBank番号:NM_018376.2)、ADARB2遺伝子(GenBank番号:NM_018702.1)、ERCC6遺伝子(GenBank番号:NM_000124.1)、PGBD3遺伝子(GenBank番号:NM_170753.1)、COL13A1遺伝子(GenBank番号:NM_080814.2)、KCNMA1遺伝子(GenBank番号:NM_002247.2)、MPHOSPH遺伝子(GenBank番号:NM_016195.2)、PCGF5遺伝子(GenBank番号:NM_032373.3)、SEMA4G遺伝子(GenBank番号:NM_017893.2)、MRPL43遺伝子(GenBank番号:NM_176792.1)、PEO1遺伝子(GenBank番号:NM_021830.3)、BUB3遺伝子(GenBank番号:NM_004725.2)、HMX1遺伝子(GenBank番号:NM_005519.1)、FLJ46831遺伝子(GenBank番号:NM_207426.1)、CLRN3遺伝子(GenBank番号:NM_152311.1)、PTPRE遺伝子(GenBank番号:NM_006504.3)、TRIM68遺伝子(GenBank番号:NM_018073.5)、CYP2R1遺伝子(GenBank番号:NM_024514.4)、CALCA遺伝子(GenBank番号:NM_001741.2)、ZBTB3遺伝子(GenBank番号:NM_024784.2)、POLR2G遺伝子(GenBank番号:NM_002696.1)、TAF6L遺伝子(GenBank番号:NM_006473.2)、NXF1遺伝子(GenBank番号:NM_006362.3)、STX5遺伝子(GenBank番号:NM_003164.3)、WDR74遺伝子(GenBank番号:NM_018093.1)、SLC3A2遺伝子(GenBank番号:NM_002394.4)、CHRM1遺伝子(GenBank番号:NM_000738.2)、KRT2遺伝子(GenBank番号:NM_000423.2)、KRT1遺伝子(GenBank番号:NM_006121.3)、SPG20遺伝子(GenBank番号:NM_015087.3)、CCNA1遺伝子(GenBank番号:NM_003914.2)、EGLN3遺伝子(GenBank番号:NM_022073.2)、TITF1遺伝子(GenBank番号:NM_001079668.1)、NKX2-B遺伝子(GenBank番号:NM_014360.2)、PAX9遺伝子(GenBank番号:NM_006194.1)、PTGDR遺伝子(GenBank番号:NM_000953.2)、PTGER2遺伝子(GenBank番号:NM_000956.2)、ONECUP1遺伝子(GenBank番号:NM_004498.1)、IQCH遺伝子(GenBank番号:NM_001031715.1)、LBXCOR1遺伝子(GenBank番号:NM_001031807.1)、ETFA遺伝子(GenBank番号:NM_000126.2)、ISL2遺伝子(GenBank番号:NM_145805.1)、DNAJA4遺伝子(GenBank番号:NM_018602.2)、WDR61遺伝子(GenBank番号:NM_025234.1)、IREB2遺伝子(GenBank番号:NM_004136.1)、NETO2遺伝子(GenBank番号:NM_018092.3)、JMJD5遺伝子(GenBank番号:NM_024773.1)、SALL1遺伝子(GenBank番号:NM_002968.2)、CMTM3遺伝子(GenBank番号:NM_181553.1)、LHX1遺伝子(GenBank番号:NM_005568.2)、AATF遺伝子(GenBank番号:NM_012138.3)、KRT33A遺伝子(GenBank番号:NM_004138.2)、KRT33B遺伝子(GenBank番号:NM_002279.3)、KRT34遺伝子(GenBank番号:NM_021013.3)、KRT31遺伝子(GenBank番号:NM_002277.2)、KRT37遺伝子(GenBank番号:NM_003770.4)、KRT38遺伝子(GenBank番号:NM_006771.3)、KRT32遺伝子(GenBank番号:NM_002278.3)、KRT35遺伝子(GenBank番号:NM_002280.4)、KRT36遺伝子(GenBank番号:NM_003771.4)、KRT13遺伝子(GenBank番号:NM_153490.1)、ONECUT2遺伝子(GenBank番号:NM_004852.2)、POU3F4遺伝子(GenBank番号:NM_000307.2)、及び、PCDH19遺伝子(GenBank番号:NM_020766.1)において、CpGアイランドが高頻度にメチル化されていることを見出した。
【0010】
これにより、食道癌細胞では、上記の遺伝子(以下、本明細書において、これらの遺伝子を「食道癌関連遺伝子」と記載する場合がある)のゲノムDNAのCpGアイランドが高頻度にメチル化される変異が認められ、当該ゲノムDNAのCpGアイランドにおけるメチル化を指標として、食道癌を検出することが可能であることが明らかになった。また、一般に、ゲノムDNAのCpGアイランドにおけるメチル化は、当該ゲノムDNAに係わる遺伝子の働きを不活性化することが知られており、CpGアイランドにおけるメチル化は、食道癌を示す指標となり得ることが明らかとなった。
【0011】
すなわち、本発明は、食道上皮細胞における、上記の食道癌関連遺伝子から選ばれる1種以上における、当該遺伝子のゲノムDNAにおけるCpGアイランドのメチル化等の変異を指標として、当該食道上皮細胞の癌化を検出する食道癌の検出方法(以下、本検出方法ともいう)を提供する発明である。
【0012】
本検出方法において、上記の食道癌関連遺伝子の変異を検出する対象となる食道上皮細胞は、検体提供者の生検組織細胞が好適である。この検体組織細胞は、健常人の食道細胞か、食道癌患者の当該食道癌組織であるかを問わないが、現実的には、1)内視鏡検査等の結果、食道に癌化が疑われる病変部が認められた場合の当該病変組織、または、2)食道癌であることが確定しているが、その悪性度や進行度を判定する必要がある食道癌の組織、等が主な対象となり得る。
【0013】
後述するように、本検出方法における「食道癌関連遺伝子の変異」は、(1)食道上皮細胞における前記遺伝子発現値の低値若しくは高値への偏り、(2)食道癌関連遺伝子のゲノムDNAのメチル化、(3)食道癌関連遺伝子がコードする蛋白質レベルの低値若しくは高値への偏り、等として検出される。本検出方法により、「内視鏡検査等の結果、食道に癌化が疑われる病変部が認められた場合の当該病変組織」における、上記食道癌関連遺伝子の異常が認められた場合には、当該病変組織は癌化に向かって進行しているか或いは既に癌化の状態であり、かつ、悪性度が高くなりつつある可能性があることが判明し、早急な本格的治療(手術等による病変部の除去、本格的な化学療法等)を行う必要性が示される。また、「食道癌であることが確定しているが、その悪性度や進行度を判定する必要がある食道癌の組織」における、上記食道癌関連遺伝子の異常が認められた場合にも、当該食道癌組織の悪性度が高くなりつつあり、かつ、リンパ節転移が疑われる場合がある。よって、早急な本格的治療(手術等による病変部の除去、リンパ節隔清、本格的な化学療法等)を行う必要性が示される。検体として採取された食道細胞組織は、必要な処理、例えば、採取された組織からのDNA或いはRNAの調製を行い、本検出方法を行う対象とすることができる。
【0014】
本検出方法において、上記の食道癌関連遺伝子の変異は、食道上皮細胞における、当該遺伝子のゲノムDNA、当該遺伝子を鋳型として発現するmRNA、当該mRNAを鋳型とするcDNA、又は、当該遺伝子がコードする蛋白質、を介して検出される。
【0015】
そして、当該変異の検出は、CGH(Comparative Genomic Hybridization)法、マス
アレイ法、Methylation-specific PCR法、MethylLight法、サザンブロット法、Bisulfiteシーケンス法、COBRA(Combined Bisulfite Restriction Analysis)法、BAMCA(Bacterial artificial chromosome array-based methylated CpG island amplification)法、メチレーションチップ法(以上、DNAのメチル化の検出に好適な手段);
DNAチップ法、ノーザンブロット法、RT−PCR法(以上、発現するmRNAレベルの検出に好適な手段);免疫染色法(蛋白質レベルを検出)等の手段にて行うことができる。
【0016】
本検出方法は、上述したように、食道上皮細胞における上記の食道癌関連遺伝子の異常を検出することにより、当該細胞の癌化を特定することが可能である。この食道癌関連遺伝子の異常の主要な原因の一つとして、当該遺伝子のゲノムDNAのCpGアイランドのメチル化が挙げられる。
【0017】
CpGアイランドのメチル化による不活性化については、CpGリッチプロモーター及びエキソン領域を密にメチル化すると転写不活化がおこることが報告されている(Bird, A.P. &
Wolffe, A.P.: Methylation-induced repression-belts, braces, and chromatin, Cell
99, 451-454, 1999)。癌細胞では、CpGアイランドはそれ以外の領域と比較すると高い頻度で密にメチル化されており、プロモーター領域のHypermethylationは、ヒト癌での癌抑制遺伝子の不活化に深く関与している(Ehrlich, M., Jiang, G., Fiala, E., Dome, J.S., Yu, M.C., Long, T.I., Youn, B., Sohn, O.S., Widschwendter, M., Tomlinson, G.E., Chintagumpala, M., Champagne, M., Parham, D., Liang, G., Malik, K. & Laird,
P.W.: Hypomethylation and hypermethylation of DNA in Wilms tumors, Oncogene, 21, 6694-6702, 2002)。
【0018】
上記の食道癌関連遺伝子における変異が、ゲノムDNAのCpGアイランドのメチル化である場合には、CGH法を用いることは、本検出方法の有利な形態の一つであり、さらに、当該CGH法において用いる検出用基板に定着させる複数種類のゲノムDNAが、BAC DNA、YAC(Yeast Artificial Chromosome) DNA、又は、PAC(Phage Artificial Chromosome) DNA(以下、BAC DNA等ともいう)の遺伝子増幅産物であることが有利である。
【0019】
通常に得られるBAC DNA等は、ゲノムDNA定着基板を多数製造して実用化するには少量であるので、当該DNAを遺伝子増幅産物として得る必要がある(この遺伝子増幅行程を「無尽蔵化又は無尽資源化」ともいう)。無尽蔵化においては、まずBAC DNA等を、4塩基認識酵素、例えば、RsaI、DpnI、HaeIII等で消化した後、アダプターを加えてライゲーションを行う。アダプターは10〜30塩基、好適には15〜25塩基からなるオリゴヌクレオチドで、2本鎖は相補的配列を有し、アニーリング後、平滑末端を形成する側の3'-末端のオリゴヌクレオチドをリン酸化する必要がある。次に、アダプターの一方のオリゴヌクレオチドと同一配列部分を有するプライマーを用いて、PCR法により増幅し、無尽蔵化することができる。一方、各BAC DNA等に特徴的な50〜70塩基のアミノ化オリゴヌクレオチドを、アレイ上にスポットし、検出基板上で使用することもできる。
【0020】
このようにして無尽蔵化したBAC DNA等を基板上、好適には固体基板上に定着させるこ
とにより、所望するDNA定着基板を製造することができる。固体基板としては、ガラス、プラスチック、メンブレン、3次元アレイ等があげられ、スライドガラス等のガラス基板が好ましい。ガラス等の固体基板は、ポリ-L-リジン、アミノシラン、金・アルミニウム等の凝着により基板をコートすることがより好ましい。
【0021】
上記の無尽蔵化したDNAを基板上にスポットして乾燥させることにより、無尽蔵化したBAC DNA等を基板上、好適には固体基板上に定着させることにより、所望するDNA定着基板を製造することができる。
【0022】
さらに、上記の食道癌関連遺伝子のゲノムDNAのCpGアイランドのメチル化の検出手段として、上記した遺伝子のメチル化の検出手段のうち、マスアレイ法、Methylation-specific PCR法、Bisulfiteシーケンス法、メチレーションチップ法、COBRA法、及び、BAMCA法等を好適に用いることができる。
【0023】
マスアレイ法は、塩基特異的切断反応とMALDI-TOF MSを組み合わせた定量的DNAメチル化解析システムで、200〜600塩基対内の個々のCpGサイトのメチル化比率を定量可能であり、メチル化プロファイルの作成ができる。
【0024】
Methylation-specific PCR法は、DNAに対してBisulfite処理を行い、メチル化されていないシトシン(C)をウラシル(U)に変換する。メチル化されたCは変換されないので、それを認識するプライマーを用いてPCRを行うと、メチル化された配列だけが増幅し検出できる。このMethylation-specific PCR法を改良し、リアルタイムPCRを用いて定量する方法としてMethylLight法が知られている。
【0025】
Bisulfiteシーケンス法は、DNAをBisulfite処理することにより、メチル化されていないシトシン(C)はウラシル(U)となり、処理後のDNAをPCRで増幅するとメチル化されていないCはチミン(T)となり、メチル化されたCはCのままとなるため、それをシーケンス解析により判定できる。
【0026】
メチレーションチップ法は、ターゲットDNAをBisulfite処理しビオチンを導入した試料をPCR法により作成し、異なる種類のDNAオリゴマーを多数固定した基板でハイブリダイズさせる。次に、ストレプトアビジン-山葵パーオキシダーゼおよび発色基質溶液を用いて、特異的にハイブリダイズしたターゲットDNAを発色反応により可視化する。これによりハイブリダイズする領域のメチルの程度を定量できる。
【0027】
COBRA(Combined Bisulfite Restriction Analysis)法は、Methylation-specificPCR法と制限酵素での消化を組み合わせたメチル化DNAの定量法である。Methylation-specific PCR法を行った後に制限酵素での消化を行いアガロースゲル電気泳動でDNA断片を分離する。制限酵素消化後の断片に含まれるCGCG配列のメチル化の定量について述べる。Cがメチル化されていない場合には、Bisulfite処理とその後のPCR反応によりTに変換されるため、CGCG配列はTGTG配列に変化する。CGCG配列を認識する制限酵素BstUIで消化するとメチル化されている場合は本断片が消化され短くなった断片が生成する。しかし、メチル化されていない場合には消化されないため元のサイズの断片のままであり、この断片の大きさの違いをアガロースゲル電気泳動による分離で検出し、各断片の量を、デンシトメーター等にて定量する。また、BAMCA法の説明は図1に記載した。
【0028】
上記の食道癌関連遺伝子の変異の確認は、遺伝子の転写産物、すなわち、検体における、上記の食道癌関連遺伝子がコードする蛋白質の存在又は不存在、あるいは、増量又は減量、すなわち、食道癌関連遺伝子がコードする蛋白質レベルの低値若しくは高値への偏りを検出することにより行うことができる。代表的な方法として、免疫染色法を挙げることができる。すなわち、検体(代表的には食道癌組織の標本)における、上記の食道癌関連遺伝子がコードする蛋白質を、当該蛋白質に対して特異的な抗体(モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体:既知の食道癌関連遺伝子又は当該食道癌関連遺伝子がコードする蛋白質(通常は組換蛋白)を用いて常法により調製することが可能であり、対象遺伝子の種類によっては市販もされている)を用いて直接的(標識された上記の食道癌関連遺伝子がコードする蛋白質に対する抗体を用いた直接抗体結合法)、又は、好適には間接的に(標識された第2若しくは第3抗体を用いた二重抗体法又は三重抗体法)検出することが可能である。かかる免疫染色法は常法に従い行うことができる。
【0029】
上記の食道癌関連遺伝子の欠失は、ゲノムDNAのCpGアイランドのメチル化に比べれば、頻度はそれほど多くない。遺伝子欠失の検出を直接的に行うことができる代表的方法として、上記のCGH法とFISH法[蛍光in situ ハイブリダイゼーション(FISH:
Fluorescence in situ hybridization): Yasui,K., Imoto,I., Fukuda,Y., Pimkahaokham,A., Yang,Z.Q., Naruto,T., Shimada,Y., Nakamura,Y., and Inazawa: Identification of target genes within an amplicon at 14q12-q13 in esophageal squamous cell carcinoma. Genes Chromosomes Cancer, 32, 112-118, 2001]を挙げることができる。
【0030】
また、上記の食道癌関連遺伝子の欠失を直接的に検出する手段の一つとしてサザンブロット法を挙げることができる。サザンブロット法は、検体から得られるゲノムDNAを制限酵素消化し、それを電気泳動後、ニトロセルロース膜上に固定し、これと、食道癌関連遺伝子とのハイブリダイズを検出することにより、検体中の当該遺伝子の存在を検出する方法である。また、検体から得られるmRNAをニトロセルロース膜に固定するノーザンブロット法を用いることも可能である。
【0031】
このノーザンブロット法等のmRNAを基に食道癌関連遺伝子の欠失等を検出する場合に用いるcDNAは、例えば、RT−PCR法により得られる遺伝子増幅産物を用いることができる。また、mRNAを基に食道癌関連遺伝子の欠失等の検出には、DNAチップ法も好適である。すなわち、食道上皮細胞における前記遺伝子発現値の低値若しくは高値への偏りの検出に好適な手段として、DNAチップ法、ノーザンブロット法、又は、RT−PCR法を挙げることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、遺伝子解析による優れた食道癌の検出手段が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
[参考例1]多数の癌関連遺伝子を搭載した高密度CGHアレイの作製
National Cancer for Biotechnology Information及びUniversity of California Santa Cruz Biotechnologyのゲノムデータベースウエブサイト並びに選択されたDNAのBLAST検索の結果から、ヒトゲノムのユークロマチン領域に存在する4523種類のBAC/PACクローンを選択した。
【0034】
BAC及びPAC DNAをDpnI、RsaI、HaeIIIで消化し、その後アダプター合成オリゴヌクレオチドとのライゲーションを行った。次に、アダプターの配列を有するプライマーを用いてPCRを2回行った。このプロセスを無尽蔵化といい、得られたDNAを無尽蔵化DNAと定義する。無尽蔵化DNAをインクジェットタイプのスポッター(GENESHOT、NGK Insulators、名古屋)を使用してDuplicateでアレイ上にスポットして、所望の高密度CGHアレイを作製した(MCG Whole Genome Array-4500)。
【0035】
[実施例] 食道扁平上皮癌細胞のゲノムDNAメチル化の状況
食道扁平上皮癌細胞でどのような染色体遺伝子が高度にメチル化されているかを、BAMCA法を用いて調べた。図2は、BAMCA法を用いた解析の要約と結果の一部を示している。BAMCA法を用いた解析の実例は、[Misawa A., Inoue J., Sugino Y., Hosoi
H., Sugimoto T., Hosoda F., Ohki M., Imoto I., Inazawa J.: Methylation-associated silencing of the nuclear receptor 1I2 gene in advanced-type neuroblastomas, identified by bacterial artificial chromosome array-based methylated CpG island amplification, Cancer Research 65, 10233-10242, 2005]に報告されている。
【0036】
食道扁平上皮癌細胞株としてTE-4、TE-5、KYSE-150、KYSE-510を用いた。正常な食道上皮細胞として正常食道上皮由来細胞株NEK2を用いた。癌細胞と正常細胞からDNAを調製し、MCG Whole Genome Array-4500を用いてBAMCA法での解析を行った(図2の番号1と11を参照)。上記4種類の食道扁平上皮癌細胞でCy3(癌細胞)/Cy5(コントロール正常細胞)の比が1.5以上を示す高度にメチル化されている染色体DNAに相当するBACクローンは61種類でその中に103種類の遺伝子を含んでいた(図2の番号2を参照)。
【0037】
表1−1〜9に、上記の要領で選択した61種類のBACクローンとそれらのクローンに含まれる103種類の遺伝子群を表示する(No.(1st)で表示)。これらの103種類の遺伝子は、全て、食道癌関連遺伝子であると認められる。
【0038】
【表1−1】

【0039】
【表1−2】

【0040】
【表1−3】

【0041】
【表1−4】

【0042】
【表1−5】

【0043】
【表1−6】

【0044】
【表1−7】

【0045】
【表1−8】

【0046】
【表1−9】

【0047】
また、図2の番号21と3に示すように、当該表1−1〜9では、転写開始部位に近い領域おけるCpGアイランドの有無(有りはyes/無しはnoにて表示)と、当該近傍領域における制限酵素SmaI認識配列を有する遺伝子群の有無(有りは+/無しは−で表示)を解析した結果を示している。この解析は、http://genome.ucsc.edu/を使用して行った。さらに多数の組織及び癌での発現プロファイルを、http://www.lsbm.org/database/index.html及びhttp://www.ncbi.nih.gov/index.htmlを使用して検討し、食道扁平上皮癌細胞で高度にメチル化されているために発現が著しく低下している58種類の遺伝子を選び出した(No.(2nd)で表示)。上記表と重複するが、これら58種類の遺伝子群を、下記に示す。これらの遺伝子群は、特に、食道癌関連遺伝子として、強い感受性を有する遺伝子であり、本願発明を構成する食道癌関連遺伝子の中でも、特に好適なものである。
【0048】
「BARHL2遺伝子、NES遺伝子、CRABP2遺伝子、ISG20L2遺伝子、HDGF遺伝子、NTRK1遺伝子、LHX9遺伝子、TARBP1遺伝子、RMND5A遺伝子、CD8A遺伝子、WDR1遺伝子、PCDH7遺伝子、FRAS1遺伝子、HMGN4遺伝子、ABT1遺伝子、ZNF184遺伝子、NFYA遺伝子、EYA4遺伝子、PRR15遺伝子、TBX20遺伝子、GATA4遺伝子、NEIL2遺伝子、FDFT1遺伝子、NFIB遺伝子、PRUNE2遺伝子、FOXB2遺伝子、NIPSNAP3B遺伝子、ADARB2遺伝子、ERCC6遺伝子、COL13A1遺伝子、KCNMA1遺伝子、MPHOSPH遺伝子、PCGF5遺伝子、SEMA4G遺伝子、MRPL43遺伝子、PEO1遺伝子、HMX1遺伝子、FLJ46831遺伝子、PTPRE遺伝子、CYP2R1遺伝子、ZBTB3遺伝子、CCNA1遺伝子、EGLN3遺伝子、NKX2-8遺伝子、PTGDR遺伝子、PTGER2遺伝子、ONECUP1遺伝子、IQCH遺伝子、ETFA遺伝子、ISL2遺伝子、DNAJA4遺伝子、JMJD5遺伝子、SALL1遺伝子、CMTM3遺伝子、LHX1遺伝子、ONECUT2遺伝子、POU3F4遺伝子、PCDH19遺伝子」
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】BAMCA法の手順の概略を示した図面である。
【図2】BAMCA法を用いた解析の要約と結果の一部を示した図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食道上皮細胞における下記の遺伝子:
BARHL2遺伝子、NES遺伝子、CRABP2遺伝子、ISG20L2遺伝子、MRPL24遺伝子、HDGF遺伝子、PRCC遺伝子、SH2D2A遺伝子、NTRK1遺伝子、LHX9遺伝子、TARBP1遺伝子、RMND5A遺伝子
、CD8A遺伝子、SLC2A9遺伝子、WDR1遺伝子、PCDH7遺伝子、FRAS1遺伝子、BTN1A1遺伝子、HMGN4遺伝子、ABT1遺伝子、ZNF184遺伝子、UNC5CL遺伝子、BZRPL1遺伝子、APOBEC2遺伝子、NFYA遺伝子、EYA4遺伝子、PHACTR2遺伝子、MEOX2遺伝子、PRR15遺伝子、TBX20遺伝子、FEZF1遺伝子、GATA4遺伝子、NEIL2遺伝子、FDFT1遺伝子、NFIB遺伝子、MELK遺伝子、PRUNE2遺伝子、FOXB2遺伝子、NIPSNAP3A遺伝子、NIPSNAP3B遺伝子、ADARB2遺伝子、ERCC6遺伝子、PGBD3遺伝子、COL13A1遺伝子、KCNMA1遺伝子、MPHOSPH遺伝子、PCGF5遺伝子、SEMA4G遺伝子、MRPL43遺伝子、PEO1遺伝子、BUB3遺伝子、HMX1遺伝子、FLJ46831遺伝子、CLRN3
遺伝子、PTPRE遺伝子、TRIM68遺伝子、CYP2R1遺伝子、CALCA遺伝子、ZBTB3遺伝子、POLR2G遺伝子、TAF6L遺伝子、NXF1遺伝子、STX5遺伝子、WDR74遺伝子、SLC3A2遺伝子、CHRM1遺伝子、KRT2遺伝子、KRT1遺伝子、SPG20遺伝子、CCNA1遺伝子、EGLN3遺伝子、TITF1遺伝子、NKX2-8遺伝子、PAX9遺伝子、PTGDR遺伝子、PTGER2遺伝子、ONECUP1遺伝子、IQCH遺伝子、LBXCOR1遺伝子、ETFA遺伝子、ISL2遺伝子、DNAJA4遺伝子、WDR61遺伝子、IREB2遺伝子
、NETO2遺伝子、JMJD5遺伝子、SALL1遺伝子、CMTM3遺伝子、LHX1遺伝子、AATF遺伝子、KRT33A遺伝子、KRT33B遺伝子、KRT34遺伝子、KRT31遺伝子、KRT37遺伝子、KRT38遺伝子、KRT32遺伝子、KRT35遺伝子、KRT36遺伝子、KRT13遺伝子、ONECUT2遺伝子、POU3F4遺伝子、
及び、PCDH19遺伝子;
からなる群から選ばれる1種以上の遺伝子の変異を指標として、当該食道上皮細胞の癌化を検出する、食道癌の検出方法。
【請求項2】
前記検出方法において、食道上皮細胞における前記遺伝子の変異が、食道上皮細胞における、当該遺伝子のゲノムDNA、当該遺伝子を鋳型として発現するmRNA、当該mRNAを鋳型とするcDNA、又は、当該遺伝子がコードする蛋白質、を介して検出される、請求項1記載の食道癌の検出方法。
【請求項3】
前記検出方法において、食道上皮細胞における前記遺伝子の変異が、(1)当該遺伝子発現値の低値若しくは高値への偏り、(2)当該遺伝子のゲノムDNAのメチル化、又は、(3)当該遺伝子がコードする蛋白質レベルの低値若しくは高値への偏り、により検出される、請求項1又は2記載の食道癌の検出方法。
【請求項4】
前記検出方法において、下記(1)〜(3)の検出手段を行う、請求項3記載の食道癌の検出方法。
(1)食道上皮細胞における前記遺伝子発現値の低値若しくは高値への偏りの検出手段が、DNAチップ法、ノーザンブロット法、又は、RT−PCR法である。
(2)前記遺伝子のゲノムDNAのメチル化の検出手段が、CGH法、マスアレイ法、MethylLight法、Methylation-specific PCR法、サザンブロット法、Bisulfiteシーケン
ス法、メチレーションチップ法、COBRA法、又は、BAMCA法である。
(3)前記遺伝子がコードする蛋白質レベルの低値若しくは高値への偏りの検出手段が、免疫染色法である。
【請求項5】
前記検出方法において、前記遺伝子のゲノムDNAのメチル化が、CpGアイランドのメチ
ル化である、請求項3又は4記載の食道癌の検出方法。
【請求項6】
前記検出方法において、CGH法を前記遺伝子のゲノムDNAのCpGアイランドのメチル
化の検出手段として用い、当該CGH法において用いる検出用基板に定着させる複数種類のゲノムDNAが、BAC DNA、YAC DNA、又は、PAC DNAの遺伝子増幅産物である、請求項
5記載の食道癌の検出方法。
【請求項7】
前記検出方法において、前記遺伝子のゲノムDNAのCpGアイランドのメチル化の検出手
段として、マスアレイ法、Methylation-specific PCR法、Bisulfiteシーケンス法、メチレーションチップ法、COBRA法、又は、BAMCA法を用いる、請求項5記載の食道癌の検出方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−283947(P2008−283947A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−138699(P2007−138699)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2007年4月16日 インターネットアドレス「http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/」に発表
【出願人】(504179255)国立大学法人 東京医科歯科大学 (228)
【出願人】(591083336)株式会社ビー・エム・エル (31)
【Fターム(参考)】