説明

飲料を準備するためのシステム

本発明は、飲料原材料(5)と液体から飲料抽出物を準備する機器(2)と、保管時に飲料原材料を入れる容器(3)とを有する飲料を準備するシステム(1)であって、容器は、データ(A)が与えられた識別子(4)を有し、機器は、識別子におけるデータを読出しするリーダ(14)と、データに基づいて機器の動作時に飲料ブリューイング処理を制御するコントローラ(6)とを有するシステムに係る。このようにして、飲料抽出物用のブリューイング処理パラメータは、ユーザフレンドリな方法で特定の飲料の種類に対して最適化されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗品を準備する機器と、保管時に消耗品の原材料を入れる容器とを有する、消耗品を準備するシステムに係る。
【0002】
本発明は更に、消耗品を準備する機器、保管時に消耗品の原材料を入れる容器、及び本発明のシステムと共に使用する識別子に係る。
【背景技術】
【0003】
冒頭段落に記載したような消耗品を準備するシステムは、特許文献1から公知である。この公知のシステムは、挽いたコーヒーと水からのコーヒー抽出物を準備する機器を有する。挽いたコーヒーは、フィルター材料から形成された小袋内に入れられ、この小袋は、機器のホルダ内に配置される。動作時に、熱水がこの小袋を通り、コーヒー抽出物を作り、これは、カップに入れられる。コーヒー小袋は、ここでは、多数の小袋を有する袋である容器に入れられて販売される。多数の様々なコーヒー小袋が消費者に提供されており、消費者は、自分の好きな一杯のコーヒーを選択することができる。これらの多様性には、例えば、特別な香り(バニラ、チョコレート等)を有するコーヒー、様々な強さのコーヒー、カフェインなしのコーヒーが含まれうる。
【0004】
現在のシステムの欠点は、このシステムでは飲料の全ての種類に対して最適な飲料結果を得ることができない点である。特に、例えば、粉乳、又は、チョコレートパウダーといった他のタイプの飲料原材料を有する挽かれたコーヒーを含みうる新しい小袋の種類が開発されているので、最適な飲料結果を得ることができないことは問題となる。強いコーヒーの種類に対して最適な飲料結果を得るためのコーヒーの入れ方は、ホットチョコレート又はカプチーノの種類の入れ方とは異なる。水温及び流速といった公知のシステムにおける飲料を入れる方法のパラメータは決まっており、従って、全ての異なる飲料の種類に対しても使用される。このシステム及びこれらのパラメータを用いて様々な種類の飲料の準備をする場合、正しいパラメータを用いて入れられたときに有すると期待される風味を有さない抽出飲料が多くもたらされる。
【特許文献1】欧州特許第0904718号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ユーザフレンドリな方法で特定の消耗品の種類に対してパラメータを最適に調整可能である、消耗品を準備するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明のシステムは、容器は、データが与えられた識別子を有し、機器は、識別子におけるデータを読出しするリーダと、データに基づいて機器の動作時に準備処理を制御するコントローラとを有することを特徴とする。ユーザが、例えばコーヒーである一杯の飲み物といった消耗品を準備したいとき、容器が持ち上げられ、機器の付近に置かれ、ここではコーヒーパッドである原材料を取り出す。この原材料は次に、例えば、飲料を準備する機器である、消耗品を準備する機器内に置かれる。容器が、機器から特定の所定の距離にあると、機器内のリーダは、容器内に含まれる識別子内に設けられたデータを読出しすることが可能である。この情報に基づいて、機器におけるコントローラが、機器の動作時の準備を制御する。この情報は、識別子におけるデータに基づいている。このようにして、準備された消耗品に対して最適な結果を得るよう準備処理のパラメータがその最適に調整されることが可能である。
【0007】
本発明のシステムの実施例は、容器は、データが与えられた識別子を有し、機器は、識別子におけるデータを読出しするリーダと、機器の動作時にデータに依存して飲料ブリューイング処理を制御するコントローラとを有することを特徴とする。ユーザが、例えばコーヒーである一杯の飲み物といった消耗品を準備したいとき、容器が持ち上げられ、機器の付近に置かれ、飲料原材料を取り出される。この飲料原材料は次に、飲料を準備する機器内に置かれる。容器が、機器から特定の所定の距離にあると、機器内のリーダは、容器内に含まれる識別子内に設けられたデータを読出しすることが可能である。この情報に基づいて、機器におけるコントローラが、機器の動作時の飲料ブリューイング処理を制御する。この情報は、識別子におけるデータに基づく。このようにして、ブリューイング処理のパラメータを、最適な飲料結果を得るよう最適化可能である。
【0008】
本発明のシステムの実施例は、データは、容器内にある飲料原材料のタイプを識別する情報を有することを特徴とする。このようにすると、ブリューイング処理パラメータは、例えば、コーヒー又はホットチョコレートといった特定のタイプの飲料に対して最適化されることが可能である。
【0009】
本発明のシステムの実施例は、データは、飲料原材料の保管期間を識別する情報を有することを特徴とする。飲料のタイプの識別の次に、容器内に含まれる識別子は、保管期間、従って、容器内の飲料原材料の鮮度を識別するよう機能しうる。例えば、容器は、過去において予め決定された日付前の包装日を有すると識別されると、飲料原材料の経過時間により、結果として得られる飲料の風味は最適ではない場合がありうるという警告がユーザに与えられ得る。もう1つの可能性は、ブリューイング処理のパラメータが、飲料原材料があまり新鮮ではない場合でも良好な品質の飲料抽出物を与えるよう調整されることである。
【0010】
識別子が、無線周波数トランスポンダ及びバーコードの群から選択される識別子を有し、リーダが、無線周波数リーダ及びバーコードリーダの群から選択されるリーダを有することが有利である。
【0011】
本発明のシステムの実施例は、コントローラは、複数の予めプログラムされたブリューイング処理パラメータを有する処理ユニットを有し、複数の予めプログラムされたブリューイング処理パラメータから、読出しされたデータに依存して動作時に選択がなされることを特徴とする。様々な飲料タイプに対する様々なブリューイング処理パラメータが、処理ユニット内に予めプログラムされ、異なる整数が割り当てられる。容器内の飲料原材料に最も適したプログラムに対応する整数は、識別子内にデータとして存在し、容器が機器から特定の所定距離にあるとリーダによって読出しされる。この読出しされた整数に基づいて、適切なブリューイング処理パラメータを有するプログラムが次に機器内において、飲料抽出物を準備するためのコントローラにより作動される。
【0012】
本発明のシステムの実施例は、識別子は、容器に切り離し可能に接続される素子を有することを特徴とする。このようにすると、ユーザには、容器を別の場所においたままで識別子自体のみを機器の付近に持ってくるオプションが与えられる。更に、このことは、識別子を機器内のリーダと共に格納する可能性を提供する。これは、ユーザが、一種類のみの飲料を準備する習慣がある場合に有利である。
【0013】
素子が、誘電値を有するタグ、パンチ穴を有するタグ、及び抵抗値を有するタグを有するタグの群からの1つを有し、リーダが、誘電タグを受容するコンデンサ配置、光学並びに機械的リーダ、及び抵抗測定配置を有するリーダの群から1つを有すると有利である。
【0014】
本発明は更に、本発明のシステムと共に使用する、保管時に飲料原材料を入れる容器に係り、容器は、データが与えられた識別子を有し、データは、飲料を準備する機器におけるリーダにより読出し可能であり、飲料ブリューイング処理は、機器の動作時にデータに依存して制御されることを特徴とする。
【0015】
本発明は更に、本発明のシステムと共に使用する、飲料原材料及び液体から飲料抽出物を準備する機器に係り、機器は、飲料原材料を入れる容器内にある識別子内のデータを読出しするリーダと、機器の動作時にデータに依存して飲料ブリューイング処理を制御するコントローラとを有することを特徴とする。
【0016】
本発明は更に、本発明のシステムと共に使用する識別子に係り、識別子は、保管時に消耗品の原材料を入れる容器内に入れるための別個の素子を有し、別個の素子は、消耗品を準備する機器におけるリーダにより読出し可能なデータが与えられ、機器の動作時の準備処理は、データに基づいて制御されることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を、図面を参照しながら以下により詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明のシステム1を示し、このシステムは、この実施例では、飲料原材料5と水から飲料抽出物を準備するための機器である機器2と、保管時に飲料原材料を入れる容器3を有する。この実施例では、飲料原材料5は、フィルター材料から形成され、挽いたコーヒーが入った複数の小袋51を有する。1杯又は2杯の飲料が準備されるべきであるか否かに依存して1つ又は2つの小袋が、機器のホルダ内に配置され、それにより、挽いたコーヒーと、機器におけるブリューイング処理の間に小袋を通り流れる水からコーヒー抽出物を準備する。しかし、飲料原材料5は、例えば、軽く挽いたコーヒー、チョコレート粉乳、又は、ティーバッグ内の茶葉といったような、フィルター材料の同封物を有する又は有さない別のタイプの飲料原材料を有しうることに留意されたい。この実施例における容器3は、複数のコーヒー小袋を有する弾性袋を有するが、この容器は、任意のタイプの飲料原材料を入れるための、例えば、スズ製容器、キャニスタ、箱などの任意の周知のタイプの容器を有しうることに留意されたい。
【0019】
容器3は、データAが設けられた識別子4を有し、機器2は、データAを読出しするためのリーダ14を有する。この実施例における識別子は、機器内に含まれる無線周波数リーダにより読み出しされることが可能な無線周波数トランスポンダを有する。この実施例では、無線周波数トランスポンダは各袋内に入れられ、無線周波数リーダは飲料メーカ内に組み込まれる。RFIDを用いて対象物を識別する方法は幾つかある。しかし、最も一般的な方法は、製品を識別する製造番号及び可能な場合には他の情報を、アンテナに取り付けられたマイクロチップ上に保管することである(チップとアンテナは共にRFIDトランスポンダ、又はRFIDタグと呼ばれる)。リーダは、タグのアンテナ内に電流をもたらし、チップに電力を供給し、リーダに識別情報を戻す伝送を可能にするよう電磁波を送り出す。リーダは、RFIDタグから戻された無線波を復調し、次に製造番号を解釈する。この適用例では、リーダの範囲は、タグ上に保管されたデータが袋を飲料メーカの付近に持ち込むことにより読み出し可能であり、ユーザが購入したかもしれない他の袋と衝突しないよう制限されうる。
【0020】
タグのデータの解釈は、製造業者の確認と、パッド内の様々な飲料の一意の識別をもたらし、それにより、その飲み物についてブリューリングパラメータが最適化される。この最適化は、予めプログラムされたパラメータの選択によって、又は、RFタグにより与えられるデータのブリューイング指示への解釈により達成可能であり、それにより、ブリューイングの汎用性を増加し、また、飲料メーカの製造後の新しい飲料タイプの導入も可能にする。タグが検出されない、又は、見分けられない形式のタグが検出されると、デフォルトのブリューイングパラメータが採用される。
【0021】
例えば、容器上のバーコード及び機器内又は機器に接続されたバーコードリーダといった他の既知のタイプの識別子技術も適用しうることに留意されたい。機器2は更に、データAに基づいて機器2の動作の間の飲料ブリューイング処理「A」を制御するコントローラ6を有する。
【0022】
この実施例では、データAは、例えば、「レギュラーローストコーヒー」である容器内にある飲料原材料のタイプを識別する情報を有する。ユーザは容器を持ち上げ、この実施例では、コーヒー抽出物である飲料を準備するための機器の付近に容器を持ってくる。容器が、機器の周りの特定の所定の範囲内にあると(この範囲は選択された識別子及びリーダにより決定される)、機器内のリーダ14は、容器内に入れられた飲料原材料のタイプ、ここでは、「レギュラーローストコーヒー」を読み出しすることが可能となる。このデータを読み出しした後、機器2におけるコントローラ6は、この特定のタイプの飲料に特別に設計された飲料ブリューイング処理を開始するよう準備が整う。この特定の飲料ブリューイング処理は、この特定のタイプの飲料に対する流体温度、流体圧力、及び流体パススルー率といった最適パラメータを有し、これらは、機器2における飲料ブリューイング処理の結果もたらされる「レギュラーローストコーヒー」の最適な一杯を確実にする。機器におけるこの特定のブリューイング処理は、ユーザによる機器のオン/オフボタンの作動後、データが読み出された瞬間から特定の所定の時間経過後、又は機器のホルダ内に小袋が配置されたことの検出後に開始しうる。
【0023】
この実施例では、コントローラ6は、複数の予めプログラムされたブリューイング処理パラメータを有する処理ユニットを有し、これらのパラメータから、読み出されたデータに依存して動作時に選択が行われる。機器における処理ユニットは、様々な予めプログラムされたブリューイング処理を有し、これらは、割り当てられた様々な整数である。各容器における識別子におけるデータは、容器内に入れられた飲料原材料の特定のタイプに最も適切なブリューイング処理に対応する整数を有する。リーダにより整数の読み出し後、正しい予めプログラムされたブリューイング処理が、その整数に依存してコントローラにより選択され、それにより、機器の動作を制御する。別の実施例では、識別子自体におけるデータが、予め選択された流量、流体温度、及び流体パススルー率といった特定のブリューイングパラメータを有し、これらは、リーダにより読出しされ、飲料ブリューイング処理を制御するよう制御ユニット6に転送される。
【0024】
更に、機器は、ミルク、砂糖、クリームなどの添加物を飲料抽出物に加える機能を有し得、この追加は、識別子におけるデータへの参照により制御可能である。
【0025】
識別子内に含まれるデータAは、飲料のタイプに関する情報に加えて又はその情報の代わりに飲料の原材料の保管期間を識別する情報も有しうる。このようにして、容器内にある飲料原材料の鮮度が決定可能である。飲料原材料が容器内に入れられていた時間は、最終的に得られる飲料抽出物の風味に重要な影響を与える。最近詰められたコーヒー小袋から得られるコーヒー抽出物は、容器内にしばらくの間保管されていた「古い」コーヒー小袋から得られるコーヒー抽出物とは異なる風味を有する。本発明のシステムでは、最適なブリューイングパラメータが、飲料原材料がしばらくの間保管されていた場合でも良好な飲料抽出物結果を得るために保管期間情報に依存して選択されることが可能である。
【0026】
更に、このデータは、追加的に、又は、データ自体内に、飲料原材料を有する容器を供給する会社を識別する情報を有しうる。機器は、特定の特別に開発された飲料原材料からもたらされる最適な飲料を提供するよう特別に設計される。このようにすると、特定の品質基準をユーザに提供し、また、長時間に亘って維持することが可能である。他社がこの機器において使用するための似たような飲料原材料を販売する場合、その低品質の飲料原材料によって上述したような品質基準を維持することができないという危険性がある。これは更に、機器に低品質の飲料抽出物を生成させ、望ましくない。従って、最良の飲料抽出物結果は、本発明による容器を有する機器を用いて得られることが好適である。この最適な飲料抽出結果を得るためのブリューイングパラメータは、容器内に含まれた識別子から読出しされたデータに基づいて制御される。本発明の識別子を有する容器が使用されない場合、又は、提供された識別子が機器により認識されない場合は、デフォルトのブリューイングパラメータが採用される。
【0027】
図2aは、本発明のシステムと共に使用する保管時に飲料原材料を入れる容器3’を示す。この容器3’は、データA’と共に与えられる識別子4’を有し、このデータA’は、飲料を準備する機器におけるリーダにより読出し可能であり、機器の動作時の飲料ブリューイング処理は、このデータに依存して制御される。この実施例では、識別子4’は、容器3’に切り離し可能に接続される素子41を有する。この実施例における素子41は、切取線を介して容器に接続され、容器3’から引きちぎられることが可能である。素子41は、他の既知のタイプの接続手段によって容器に切り離し可能に接続されえ、素子は、例えば、容器に切り離し可能に取り付けられるステッカー又はクリップを有することに留意されたい。
【0028】
別の実施例では、識別子は、保管時に飲料原材料を入れるための容器内に入れるための別個の素子を有する。この素子には、飲料を準備する機器内のリーダにより読出し可能なデータが与えられ、その機器の動作時の飲料ブリューイング処理は、そのデータに基づいて制御される。
【0029】
従って、識別子は、容器に切り離し可能に接続されるか、又は、生産時に飲料原材料と共に容器内に入れられる別個の離された素子を有しうる。これらの切り離し可能又は離された素子は、例えば、図2bに示すように、幾つかのパンチ穴を有するタグ42を有しうる。このタグ42上の穴のパターンが光学的又は機械的に読出し可能であり、それにより、所定の飲料ブリューイングプログラムを選択するか、又は、処理パラメータを決定する。更に、これらの素子は、例えば、図2cに示すように、印刷された伝導トラック又は抵抗ワイヤインサートを有するタグ43を有しうる。このタグ43は、飲料作成機器の本体内の凹部に差し込むことが可能であり、この凹部内で、ピンが抵抗トラックの各端に接続する。このシステムの抵抗値が測定され、その値が入る範囲が、飲料処理プログラムを決定するために使用される。
【0030】
これらの素子の他の実施例は図3a及び3bに示す。図3aは、その自由端から可変の距離において位置付けられるフランジを有する剛性タグ44を示し、このタグは、飲料原材料を有する容器内に含まれる。このタグ44は、飲料作成機器の本体内の凹部に差し込むことが可能であり、凹部において、機器は、タグの長さを示すバネ式スライドスイッチを動作し、それにより、飲料処理パラメータを処理する。図3bは、タグの片面における方向特徴から可変の距離に位置付けられたノッチを有する剛性タグ45を示し、これは、飲料原材料を有する容器内に含まれる。このタグは、飲料作成機器における凹部内に挿入されることが可能であり、凹部において、機器は、ノッチの位置を示すスライドスイッチを動作し、それにより、飲料ブリューイングパラメータを制御する。
【0031】
図3cは、本発明の識別子の更なる実施例を示す。断面(任意の他の断面を通ることができない)の限定された選択が決定され、各断面は、異なる飲料ブリューイングプログラムに割り当てられる。作られるべき飲料のタイプに依存して選択される、この選択からの所定の断面を有する剛性キー素子46は、飲料原材料を有する容器内に含まれる。このキー素子46は、飲料作成機器における一意の係合穴56と相互作用し、所望の飲料ブリューイングプログラムを選択するスイッチを動作させる。
【0032】
挽いたコーヒーと水からのコーヒー抽出物を準備するシステムに加えて、本発明は、飲料原材料及び液体からの飲料抽出物を準備する他のシステムにも有利に適用可能であることに留意されたい。飲料原材料は、例えば、粉乳、チョコレート粉乳、ソフトドリンクシロップ、茶葉、乾燥スープ等の他のタイプの飲料原材料を含みうる。これらの材料は、バラバラの形であっても、フィルター材料又はカプセル内に封じ込まれてもよい。液体は、例えば、ミルク、ビール、炭酸水等の他のタイプの液体を含みうる。飲料ブリューイング処理という用語は、コーヒーといった熱い飲料抽出物の準備に限定はされず、ソフトドリンクといった冷たい飲み物の準備も含まれる。識別子により制御される特定のブリューイングパラメータは、準備されるべき飲料抽出物のタイプに依存する。
【0033】
本発明のシステム、機器、容器、及び識別子を用いて、飲料抽出物用のブリューイング処理パラメータが、ユーザフレンドリな方法で特定の飲料の種類に対して最適化されることが可能である。ユーザは、最適な風味を有する自分好みの飲料抽出物を得るために、多数のボタンを押す、又は、飲料のタイプに依存するブリューイング処理のための全ての関連のパラメータの正しい設定を覚える必要がない。このシステムは、ユーザにとって簡単且つ快適な方法で各特定のタイプの飲料に対する飲料ブリューイング処理の最適化を確実にする。
【0034】
この最適化は、識別子内に含まれる、割り当てられた様々な整数を用いて予めプログラムされたパラメータを選択するか、又は、識別子により与えられるデータのブリューイング指示への変換により実現可能である。婚小用にするとブリューイング汎用性が高まる。更に、これは、飲料作成機器の製造後の新しい飲料タイプの導入を可能にし、というのは、機器における予めプログラムされた飲料ブリューイング処理は、インターネットといった公衆切替え網への接続を介して更新可能でありうる。或いは、この更新は、識別子が、機器内のコントローラに新しい飲料ブリューイングプログラム転送することにより、行われうる。
【0035】
ブリューイング処理パラメータの制御だけではなく、機器の他の機能も識別子に含まれるデータの読み出しにより作動されうることに留意されたい。飲料抽出物への添加物の追加を上述した。例えば、機器にディスプレイが設けられる場合、このディスプレイは、識別子内のデータに基づいて準備されるべき飲料抽出物のタイプを表示しうる。更に、ディスプレイは、例えば、機器の動作時のブリューイング処理の状態を表示しうる。
【0036】
ここまで、飲料原材料及び液体からの飲料抽出物を準備する機器と、保管時に飲料原材料を入れる容器とを有する、飲料原材料から飲料を準備するシステムの特定の実施例を説明したことに留意されたい。
【0037】
しかし、飲料原材料と液体を用いた用途の次に、本発明は、消耗品を用いた他のタイプの適用にも関連する。容器内の飲料原材料及び機器によりその原材料に供給される液体と、識別子により決定される特定の最適ブリューイングパラメータを用いて一杯の飲料である消耗品を準備する代わりに、別の実施例では、容器内の原材料は既に液体、即ち、ビールを有しうる。
【0038】
この実施例では、本発明のシステムは、この実施例ではビール樽である容器は、データが与えられた識別子を有し、この実施例ではビール出し装置である機器は、識別子におけるデータを読出しするリーダと、データに基づいて機器の動作時の準備を制御する制御器を有することを特徴とする。識別子は、例えば、ビールがグラスに注がれる前に、機器がビールを冷却すべき温度や、機器に加えられるべき正しい圧力に関する情報を有する。このようにして、飲料出し処理のための飲料出し装置に使用されるべきパラメータは最適であるよう調整されることが可能であり、それにより、注がれたビールの最適な結果を得ることができる。様々なタイプのビールが、例えば、特に、異なる注ぎ温度及び圧力を必要としうる。
【0039】
更に、飲料原材料と液体を用いた用途の次に、本発明は、例えば、パンを焼くシステムといった消耗品を用い他のタイプの適用にも関連する。この実施例では、本発明の実施例は、この実施例では、パン粉ミックスを保持する容器である容器は、データが与えられた識別子を有し、この実施例では、パン焼き器である機器は、識別子におけるデータを読出しするリーダと、データに基づいて機器の動作時の焼きパンの準備を制御する制御器を有することを特徴とする。ここで制御されるパラメータは、容器内にあるパン粉ミックスのタイプに依存して、例えば、焼き温度、焼き時間、生パンの発酵時間、こね上げ時間などを有しうる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のシステムを示す図である。
【図2a】本発明の容器を示す図である。
【図2b】本発明の識別子の実施例を示す図である。
【図2c】本発明の識別子の実施例を示す図である。
【図3a】本発明の識別子の更なる実施例を示す斜視図である。
【図3b】本発明の識別子の更なる実施例を示す斜視図である。
【図3c】本発明の識別子の更なる実施例を示す斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品を準備する機器と、保管時に前記消耗品の原材料を入れる容器とを有する、該消耗品を準備するシステムであって、
前記容器は、データが与えられた識別子を有し、
前記機器は、前記識別子における前記データを読出しするリーダと、前記データに基づいて前記機器の動作時に準備処理を制御するコントローラとを有することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記システムは、飲料原材料から飲料を準備するシステムであって、
飲料原材料と液体から飲料抽出物を準備する機器と、
保管時に前記飲料原材料を入れる容器と、
を有し、
前記容器は、データが与えられた識別子を有し、
前記機器は、前記識別子における前記データを読出しするリーダと、前記機器の動作時に前記データに依存して飲料ブリューイング処理を制御するコントローラとを有することを特徴とするシステム。
【請求項3】
前記データは、前記容器内にある飲料原材料のタイプを識別する情報を有することを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記データは、前記飲料原材料の保管期間を識別する情報を有することを特徴とする2又は3記載のシステム。
【請求項5】
前記識別子は、無線周波数トランスポンダ及びバーコードの群から選択される識別子を有し、
前記リーダは、無線周波数リーダ及びバーコードリーダの群から選択されるリーダを有することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、複数の予めプログラムされたブリューイング処理パラメータを有する処理ユニットを有し、
前記複数の予めプログラムされたブリューイング処理パラメータから、読出しされた前記データに依存して動作時に選択がなされることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項7】
前記識別子は、前記容器に切り離し可能に接続される素子を有することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記素子は、誘電値を有するタグ、パンチ穴を有するタグ、及び抵抗値を有するタグを有するタグの群からの1つを有し、
前記リーダは、前記誘電タグを受容するコンデンサ配置、光学並びに機械的リーダ、及び抵抗測定配置を有するリーダの群からの1つを有することを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちいずれか一項記載のシステムと共に使用する、保管時に飲料原材料を入れる容器であって、
前記容器は、データが与えられた識別子を有し、
前記データは、飲料を準備する機器におけるリーダにより読出し可能であり、
飲料ブリューイング処理は、前記機器の動作時に前記データに依存して制御されることを特徴とする容器。
【請求項10】
請求項1乃至8のうちいずれか一項記載のシステムと共に使用する、飲料原材料及び液体から飲料抽出物を準備する機器であって、
前記機器は、飲料原材料を入れる容器内にある識別子内のデータを読出しするリーダと、前記機器の動作時に前記データに依存して飲料ブリューイング処理を制御するコントローラとを有することを特徴とする機器。
【請求項11】
請求項1乃至8のうちいずれか一項のシステムと共に使用する識別子であって、
前記識別子は、保管時に消耗品の原材料を入れる容器内に入れるための別個の素子を有し、
前記別個の素子は、消耗品を準備する機器におけるリーダにより読出し可能なデータが与えられ、
前記機器の動作時の準備処理は、前記データに基づいて制御されることを特徴とする識別子。
【請求項12】
請求項1乃至8のうちいずれか一項記載のシステムと共に使用する識別子であって、
前記識別子は、保管時に飲料原材料を入れる容器内に入れるための別個の素子を有し、
前記別個の素子は、飲料を準備する機器におけるリーダにより読出し可能なデータが与えられ、
飲料ブリューイング処理は、前記機器の動作時に、前記データに依存して制御されることを特徴とする識別子。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【公表番号】特表2007−526025(P2007−526025A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546448(P2006−546448)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052828
【国際公開番号】WO2005/063091
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】