説明

飲料提供装置

【課題】注出管が増加することがなく、品質の高いブラックのコーヒーや付加原料を付加したコーヒーを注出できる飲料提供装置を提供する。
【解決手段】コーヒー供給部13および付加原料供給部16を注出管19にそれぞれ接続する。ブラックのコーヒーを提供する場合、コーヒー供給部13から供給するコーヒーを注出管19を通じてカップ17に直接注出し、ブラックのコーヒーの温度低下や付加原料との混合による品質低下を抑制する。コーヒーに付加原料を付加して提供する場合、コーヒー供給部13から供給するコーヒーと付加原料供給部16から供給する付加原料とを注出管19に合流させて混合させ、注出管19からカップ17に注出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒーを提供する飲料提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、レギュラーコーヒーやインスタントコーヒーを提供するコーヒーサーバーやカップ式飲料自動販売機などの飲料提供装置がある。
【0003】
レギュラーコーヒーを提供する場合、コーヒーブルワーでコーヒー豆を原料として抽出したレギュラーコーヒーをミキシングボールに供給し、このミキシングボールにおいて利用者による選択に応じて砂糖やミルクをレギュラーコーヒーに混合し、このミキシングボールで混合したレギュラーコーヒーを注出管を通じてカップに注出している。砂糖やミルクを付加しないブラックのレギュラーコーヒーの場合にも、コーヒーブリューワーからレギュラーコーヒーをミキシングボールに供給し、このミキシングボールから注出管を通じてカップに注出している。
【0004】
インスタントコーヒーを提供する場合、インスタントコーヒーの粉末原料をミキシングボールに供給するとともに利用者による選択に応じて砂糖やミルクの粉末原料も同じミキシングボールに供給して湯と混合し、このミキシングボールで混合したインスタントコーヒーを注出管を通じてカップに注出している。砂糖やミルクを付加しないブラックのインスタントコーヒーを提供する場合にも、インスタントコーヒーの粉末原料を同じミキシングボールに供給し、このミキシングボールでインスタントコーヒーの粉末原料と湯と混合し、このミキシングボールで混合したインスタントコーヒーをミキシングボールから注出管を通じてカップに注出している。
【0005】
ところで、コーヒーブルワーで抽出されたレギュラーコーヒーは、ミキシングボールを経由してカップに注出しているため、ミキシングボールでレギュラーコーヒーの温度が低下したり、ブラックのレギュラーコーヒーを提供する場合にミキシングボールに残留した砂糖やミルクとの混合によって味の品質が低下してしまう。
【0006】
そこで、コーヒーブルワーで抽出されたレギュラーコーヒーは、ミキシングボールを経由せず、ミキシングボールの注出管とは別の注出管を用いてカップに直接注出するようにし、レギュラーコーヒーの温度低下や品質低下を抑制するようにした飲料提供装置がある。この場合、レギュラーコーヒーに砂糖やミルクを付加するには、砂糖やミルクの粉末原料と湯とをミキシングボールで混合して注出管を通じてカップに供給し、カップ内でレギュラーコーヒーに砂糖やミルクを混合するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−200944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、コーヒーブルワーで抽出されたレギュラーコーヒーを、ミキシングボールを経由せず、ミキシングボールの注出管とは別の注出管を用いてカップに直接注出することにより、レギュラーコーヒーの温度低下、砂糖やミルクとの混合による品質低下を抑制できるものの、カップに供給する注出管の数が増加し、複数の注出管のレイアウトが複雑になったり、複数の注出管のメンテナンスが煩雑になる。しかも、レギュラーコーヒーに砂糖やミルクを付加する場合には、これらをカップ内で混合するため、混合が不十分となり、品質低下が生じることがある。
【0009】
また、ブラックのインスタントコーヒーを提供する場合、ミキシングボールを経由してカップに注出するため、インスタントコーヒーの温度低下、砂糖やミルクとの混合による品質低下が生じる。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、注出管が増加することがなく、品質の高いブラックのコーヒーや付加原料を付加したコーヒーを注出できる飲料提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の飲料提供装置は、コーヒーを供給するコーヒー供給部と、コーヒーに付加する付加原料を供給する付加原料供給部と、前記コーヒー供給部および前記付加原料供給部が接続され、前記コーヒー供給部から供給されるコーヒーおよび前記付加原料供給部から供給される付加原料を合流させてカップに注出する注出管とを具備しているものである。
【0012】
請求項2記載の飲料提供装置は、請求項1記載の飲料提供装置において、前記付加原料供給部は、前記コーヒー供給部から前記注出管にコーヒーを供給している間に、前記注出管への付加原料の供給を開始しかつ完了するものである。
【0013】
請求項3記載の飲料提供装置は、請求項1または2記載の飲料提供装置において、前記コーヒー供給部は、レギュラーコーヒーを抽出するブルワーを有するレギュラーコーヒー供給部であるものである。
【0014】
請求項4記載の飲料提供装置は、請求項1または2記載の飲料提供装置において、前記コーヒー供給部は、インスタントコーヒーを調合するミキシングボール、およびこのミキシングボールから供給されるインスタントコーヒーを注出管に合流させる供給管を有するインスタントコーヒー供給部であるものである。
【0015】
請求項5記載の飲料提供装置は、請求項4記載の飲料提供装置において、前記供給管は、前記注出管に着脱可能に設けられ、前記インスタントコーヒー供給部を別の飲料供給に用いる場合に前記注出管から分離独立させることによって飲料をカップに直接注出可能とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の飲料提供装置によれば、コーヒー供給部および付加原料供給部を注出管にそれぞれ接続するため、ブラックのコーヒーを注出する場合には、コーヒー供給部から供給するコーヒーを付加原料供給部を経由せずに注出管を通じてカップに直接注出し、ブラックのコーヒーの温度低下や付加原料との混合による品質低下を抑制でき、また、コーヒーに付加原料を付加して注出する場合には、コーヒー供給部から供給されるコーヒーと付加原料供給部から供給される付加原料とを注出管に合流させてこれらを注出管内で混合し、付加原料が十分に混合されたコーヒーを注出管からカップに注出でき、したがって、注出管が増加することがなく、品質の高いブラックのコーヒーや付加原料を付加したコーヒーを注出できる。
【0017】
請求項2記載の飲料提供装置によれば、請求項1記載の飲料提供装置の効果に加えて、付加原料供給部は、コーヒー供給部から注出管にコーヒーを供給している間に、注出管への付加原料の供給を開始しかつ完了することにより、注出管内でコーヒーと混合されずに付加原料だけが注出管を通じてカップに注出されることがなく、注出管内で付加原料をコーヒーに確実に混合させることができ、品質の高い付加原料を付加したコーヒーを注出できる。
【0018】
請求項3記載の飲料提供装置によれば、請求項1または2記載の飲料提供装置の効果に加えて、レギュラーコーヒー供給部からのレギュラーコーヒーを付加原料供給部を経由せずに注出管を通じてカップに直接注出することにより、品質の高いブラックのレギュラーコーヒーを注出でき、そのうえで、付加原料を付加する場合でも、レギュラーコーヒーと付加原料とを注出管に合流させてこれらを注出管内で混合し、付加原料が十分に混合された品質の高いレギュラーコーヒーを注出できる。
【0019】
請求項4記載の飲料提供装置によれば、請求項1または2記載の飲料提供装置の効果に加えて、インスタントコーヒー供給部は、付加原料供給部に対して独立していて、インスタントコーヒーを混合するミキシングボール、およびこのミキシングボールで混合したインスタントコーヒーを注出管に供給する供給管を備えるため、ブラックのインスタントコーヒーを注出する場合には、付加原料との混合による品質低下を抑制し、品質の高いインスタントコーヒーを注出でき、そのうえで、インスタントコーヒーに付加原料を付加する場合でも、インスタントコーヒーと付加原料とを注出管に合流させて注出管内で混合し、付加原料が十分に混合された品質の高いインスタントコーヒーを注出できる。
【0020】
請求項5記載の飲料提供装置によれば、請求項4記載の飲料提供装置の効果に加えて、インスタントコーヒー供給部の供給管を注出管から分離独立させてカップに直接注出可能とすることにより、インスタントコーヒー供給部をコーヒー以外の別の飲料供給に用いる場合に、注出管においてコーヒーと別の飲料とが混合し、双方の品質が低下するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態を示す飲料提供装置の配管図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態を、図1を参照して説明する。
【0023】
飲料提供装置11は、例えば、少なくともレギュラーコーヒーやインスタントコーヒーを提供するコーヒーサーバーやカップ式飲料自動販売機などの機体内に配置されるものである。
【0024】
飲料提供装置11は、湯を供給する湯供給部12、コーヒーを供給するコーヒー供給部13としてのレギュラーコーヒー供給部14およびインスタントコーヒー供給部15、コーヒーに付加する付加原料を供給する付加原料供給部16、カップ17を配置するベントステージ18、およびベントステージ18のカップ17にコーヒーを注出する注出管19を備えている。
【0025】
湯供給部12は、ヒータ21によって所定温度に沸き上げられる湯を貯湯する湯タンク22を有し、この湯タンク22の上部側に複数の給湯管23a,23b,23cの一端が給湯電磁弁24a,24b,24cを介して接続されており、これら給湯管23a,23b,23cによってレギュラーコーヒー供給部14、インスタントコーヒー供給部15および付加原料供給部16にそれぞれ湯を供給可能とする。
【0026】
また、レギュラーコーヒー供給部14は、例えば種類別にコーヒー豆を収納する複数のキャニスタ26、これらキャニスタ26から所定量ずつ吐出されるコーヒー豆を一括して受け入れるシュート27、このシュート27によって導かれるコーヒー豆を挽くコーヒーミル28、このコーヒーミル28で挽かれて供給されるコーヒー粉と湯タンク22から給湯管23aで供給される湯とを混合してレギュラーコーヒー(コーヒー抽出液)を抽出するコーヒーブルワー29、このコーヒーブルワー29から注出管19に接続された例えばホースやチューブなどの供給管30、およびこの供給管30を通じてコーヒーブルワー29からレギュラーコーヒーを強制的に抽出させて注出管19に送り込むポンプ31を備えている。
【0027】
また、付加原料供給部16は、付加原料としての砂糖およびミルクの粉末原料をそれぞれ収納する複数のキャニスタ33、これらキャニスタ33から所定量ずつ吐出される砂糖やミルクの粉末原料を一括して受け入れるシュート34、このシュート34によって導かれる砂糖やミルクの粉末原料と湯タンク22から給湯管23bで供給される湯とを混合する付加原料用のミキシングボール35、およびこのミキシングボール35で混合されて流出される付加原料(付加原料液)を注出管19に供給する例えばホースやチューブなどの供給管36を備えている。ミキシングボール35は、容器とこの容器内で回転する攪拌羽根を有し、モータによる攪拌羽根の回転により容器内の粉末原料と湯とを攪拌混合して付加原料を調合し、攪拌羽根の回転停止により付加原料が容器の底部の流出口から供給管36に流出するように構成されている。なお、湯タンク22からミキシングボール35に供給する湯の量は、粉末原料を溶かすのに必要な量とされている。
【0028】
また、インスタントコーヒー供給部15は、インスタントコーヒーの粉末原料を収納するキャニスタ38、このキャニスタ38から所定量ずつ吐出されるインスタントコーヒーの粉末原料を受け入れるシュート39、このシュート39によって導かれるインスタントコーヒーの粉末原料と湯タンク22から給湯管23cで供給される湯とを混合するインスタントコーヒー用のミキシングボール40、およびこのミキシングボール40で混合されて流出されるインスタントコーヒー(インスタントコーヒー液)を注出管19に供給する例えばホースやチューブなどの供給管41を備えている。ミキシングボール40は、容器とこの容器内で回転する攪拌羽根を有し、モータによる攪拌羽根の回転により容器内の粉末原料と湯とを攪拌混合してインスタントコーヒーを調合し、攪拌羽根の回転停止によりインスタントコーヒーが容器の底部の流出口から供給管41に流出するように構成されている。
【0029】
また、ベントステージ18は、例えば、機体内に設置されたカップ供給装置から供給されるカップ17を受け取り、このカップ17にコーヒーが注出された後に、機体の取出口からカップ17を取り出し可能としている。
【0030】
また、注出管19は、例えば、複数のパイプを接続して一体に構成され、ベントステージ18に配置されたカップ17内へ向けて斜めに配置されており、カップ17に臨む先端である下端にコーヒーをカップ17内に注出するノズル43が取り付けられている。注出管19には、上端側から下端側の順に、レギュラーコーヒー供給部14からの供給管30、付加原料供給部16のミキシングボール35からの供給管36、インスタントコーヒー供給部15のミキシングボール40からの供給管41が接続されている。
【0031】
インスタントコーヒー供給部15のミキシングボール40からの供給管41は、注出管19に対して着脱可能に設けられており、インスタントコーヒー供給部15を例えばココアなどのインスタントコーヒーとは別種類の飲料供給に用いる場合に、図1に2点鎖線で示すように、注出管19から分離独立され、カップ17内に直接注出可能に構成されている。この場合、注出管19から供給管41を取り外した部分にはキャップなどを装着して閉塞するようにし、また、供給管41の先端には別種類の飲料をカップ17内に注出するためのノズルを取り付けてもよい。
【0032】
なお、飲料提供装置11は、レギュラーコーヒー供給部14、インスタントコーヒー供給部15および付加原料供給部16を制御し、各供給部14,15から注出管19にコーヒーを供給している間に、付加原料供給部16から注出管19への付加原料の供給を開始しかつ完了させるように制御する制御部を備えている。
【0033】
次に、飲料提供装置11の動作を説明する。
【0034】
飲料提供装置11では、レギュラーコーヒーとインスタントコーヒーの両方について、ブラック、砂糖入り、ミルク入り、砂糖ミルク入りをそれぞれ提供できる。
【0035】
まず、ブラックのレギュラーコーヒーを提供する場合には、レギュラーコーヒー供給部14のキャニスタ26から所定量のコーヒー豆を吐出し、このコーヒー豆をコーヒーミル28で挽き、この挽いたコーヒー粉と湯タンク22から供給される湯とをコーヒーブルワー29で混合してレギュラーコーヒーを抽出する。コーヒーブルワー29で抽出されたレギュラーコーヒーをポンプ31で供給管30を通じて注出管19に送り込み、注出管19からベントステージ18に配置されているカップ17内に注出する。
【0036】
これにより、レギュラーコーヒー供給部14で抽出されたレギュラーコーヒーを、付加原料供給部16のミキシングボール35を経由することなくカップ17に直接注出でき、レギュラーコーヒーの温度低下を抑制できるとともに、ミキシングボール35に残留する砂糖やミルクなどの付加原料との混合による品質低下を抑制でき、高い品質のブラックのレギュラーコーヒーを提供できる。
【0037】
また、付加原料を付加した砂糖入り、ミルク入り、砂糖ミルク入りのレギュラーコーヒーを提供する場合には、上述したようにレギュラーコーヒー供給部14で抽出したレギュラーコーヒーを注出管19に送り込むとともに、レギュラーコーヒーを注出管19に送り込んでいる間に付加原料供給部16から付加原料(付加原料液)を注出管19に供給する。
【0038】
付加原料供給部16では、利用者による選択に応じてキャニスタ33から砂糖およびミルクの粉末原料のいずれか一方、あるいは両方を吐出し、この粉末原料と湯タンク22から供給される湯とをミキシングボール35で混合し、このミキシングボール35で混合された付加原料を供給管36から注出管19に供給する。
【0039】
注出管19には、まず、レギュラーコーヒー供給部14からレギュラーコーヒーの供給が開始され、同時にまたはその所定時間経過後に、付加原料供給部16から付加原料の供給が開始され、レギュラーコーヒーが注出管19内を流れ始めてから、注出管19内を流れるレギュラーコーヒーに付加原料が合流してぶつかり合い、注出管19内を流れる間に十分に混合されていく。さらに、レギュラーコーヒーおよび付加原料が注出管19からベントステージ18に配置されているカップ17内に注出される勢いにより、カップ17内でもレギュラーコーヒーと付加原料との混合が促進される。また、レギュラーコーヒーの供給中であって、レギュラーコーヒーが注出管19内を流れている状態で、付加原料供給部16からの付加原料の供給を完了する。この付加原料の供給完了後は、注出管19内をレギュラーコーヒーのみが流れる。そして、付加原料供給部16からの付加原料の供給を完了してから所定時間経過後、レギュラーコーヒー供給部14からのレギュラーコーヒーの供給を完了する。したがって、注出管19内でレギュラーコーヒーと混合されずに付加原料だけが注出管19を通じてカップ17に注出されることがなく、注出管19内で付加原料がレギュラーコーヒーに確実に混合させる。
【0040】
これらレギュラーコーヒーの供給と付加原料の供給とのタイミング関係は、レギュラーコーヒーの量が多く、付加原料の量が少ないことに依存しているが、レギュラーコーヒーおよび付加原料の供給量によっても調整することができる。
【0041】
これにより、特に注出管19内でレギュラーコーヒーと付加原料とが十分に混合され、付加原料が十分に混合された品質の高いレギュラーコーヒーを提供できる。
【0042】
また、ブラックのインスタントコーヒーを提供する場合には、インスタントコーヒー供給部15のキャニスタ38からインスタントコーヒーの粉末原料を吐出し、この粉末原料と湯タンク22から供給される湯とをミキシングボール40で混合し、このミキシングボール40で混合されたインスタントコーヒーを供給管41を通じて注出管19に供給し、注出管19からベントステージ18に配置されているカップ17内に注出する。
【0043】
これにより、インスタントコーヒーを、付加原料供給部16のミキシングボール35を経由することなくカップ17に直接注出でき、ミキシングボール35に残留する砂糖やミルクなどの付加原料との混合による品質低下を抑制でき、高い品質のブラックのインスタントコーヒーを提供できる。
【0044】
また、付加原料を付加した砂糖入り、ミルク入り、砂糖ミルク入りのインスタントコーヒーを提供する場合には、上述したようにインスタントコーヒー供給部15のミキシングボール40で調合したインスタントコーヒーを注出管19に供給するとともに、インスタントコーヒーを注出管19に送り込んでいる間に付加原料供給部16から付加原料を注出管19に供給する。
【0045】
付加原料供給部16では、利用者による選択に応じてキャニスタ33から砂糖およびミルクの粉末原料のいずれか一方、あるいは両方を吐出し、この粉末原料と湯タンク22から供給される湯とをミキシングボール35で混合し、このミキシングボール35で混合された付加原料を供給管36から注出管19に供給する。
【0046】
注出管19には、まず、インスタントコーヒー供給部15からインスタントコーヒーの供給が開始され、同時にまたはその所定時間経過後に、付加原料供給部16から付加原料の供給が開始され、インスタントコーヒーが注出管19内を流れ始めてから、注出管19内を流れるインスタントコーヒーに付加原料が合流してぶつかり合い、注出管19内を流れる間に十分に混合されていく。さらに、インスタントコーヒーおよび付加原料が注出管19からベントステージ18に配置されているカップ17内に注出される勢いにより、カップ17内でもインスタントコーヒーと付加原料との混合が促進される。また、インスタントコーヒーの供給中であって、インスタントコーヒーが注出管19内を流れている状態で、付加原料供給部16からの付加原料の供給を完了する。この付加原料の供給完了後は、注出管19内をインスタントコーヒーのみが流れる。そして、付加原料供給部16からの付加原料の供給を完了してから所定時間経過後、インスタントコーヒー供給部15からのインスタントコーヒーの供給を完了する。したがって、注出管19内でインスタントコーヒーと混合されずに付加原料だけが注出管19を通じてカップ17に注出されることがなく、注出管19内で付加原料がインスタントコーヒーに確実に混合させる。
【0047】
これらインスタントコーヒーの供給と付加原料の供給とのタイミング関係は、インスタントコーヒーの量が多く、付加原料の量が少ないことに依存しているが、インスタントコーヒーおよび付加原料の供給量によっても調整することができる。
【0048】
これにより、特に注出管19内でインスタントコーヒーと付加原料とが十分に混合され、付加原料が十分に混合された品質の高いインスタントコーヒーを提供できる。
【0049】
以上のように、本実施の形態の飲料提供装置11によれば、レギュラーコーヒー供給部14、インスタントコーヒー供給部15および付加原料供給部16を注出管19にそれぞれ接続するため、レギュラーおよびインスタントともブラックのコーヒーを注出する場合には、各コーヒー供給部14,15から供給するコーヒーを付加原料供給部16のミキシングボール35を経由せずに注出管19を通じてカップ17に直接注出し、ブラックのコーヒーの温度低下や付加原料との混合による品質低下を抑制でき、また、コーヒーに付加原料を付加して注出する場合には、各コーヒー供給部14,15から供給されるコーヒーと付加原料供給部16から供給される付加原料とを注出管19に合流させてこれらを注出管19内で混合し、付加原料が十分に混合されたコーヒーを注出管19からカップ17に注出でき、したがって、注出管19の数が増加することがなく、品質の高いブラックのコーヒーや付加原料を付加したコーヒーを注出できる。
【0050】
しかも、付加原料供給部16は、各コーヒー供給部14,15から注出管19にコーヒーを供給している間に、注出管19への付加原料の供給を開始しかつ完了することにより、注出管19内でコーヒーと混合されずに付加原料だけが注出管19を通じてカップ17に注出されることがなく、注出管19内で付加原料をコーヒーに確実に混合させることができ、品質の高い付加原料を付加したコーヒーを注出できる。
【0051】
また、インスタントコーヒー供給部15は、付加原料供給部16に対して独立していて、付加原料を混合するミキシングボール35とは別に、インスタントコーヒーを混合するミキシングボール40、およびこのミキシングボール40で混合したインスタントコーヒーを注出管19に供給する供給管41を備えるため、ブラックのインスタントコーヒーを提供する場合には、付加原料との混合による品質低下を抑制し、品質の高いインスタントコーヒーを提供でき、そのうえで、インスタントコーヒーに付加原料を付加する場合でも、インスタントコーヒーと付加原料とを注出管19に合流させて注出管19内で混合し、付加原料が十分に混合された品質の高いインスタントコーヒーを提供できる。
【0052】
次に、インスタントコーヒー供給部15をインスタントコーヒーとは別種類の飲料、例えばココアの供給に用いる場合について説明する。
【0053】
この場合には、図1に2点鎖線で示すように、ミキシングボール40からの供給管41を注出管19から分離独立させ、カップ17内に直接注出可能とする。このとき、注出管19から供給管41を取り外した部分にはキャップなどを装着して閉塞するようにし、また、供給管41の先端には別種類の飲料をカップ17内に注出するためのノズルを取り付けてもよい。
【0054】
これにより、インスタントコーヒー供給部15から供給されるココアは、注出管19を通過せず、カップ17に直接注出することができる。そのため、注出管19においてコーヒーとココアとが混合し、双方の品質が低下するのを防止できる。
【0055】
なお、別種類の飲料としては、ココア以外に、緑茶や紅茶など、いずれでもよい。
【0056】
また、インスタントコーヒー供給部15や付加原料供給部16において、ミキシングボール35,40を廃止し、粉末原料を湯で供給管30,41および注出管19に流し込み、これらの管内で攪拌混合するようにしてもよく、この場合、インスタントコーヒーや付加原料がミキシングボール35,40を経由しないことで、ブラックのインスタントコーヒーや、付加原料を付加するレギュラーコーヒーおよびインスタントコーヒーの温度低下を抑制できる。
【符号の説明】
【0057】
11 飲料提供装置
13 コーヒー供給部
14 レギュラーコーヒー供給部
15 インスタントコーヒー供給部
16 付加原料供給部
17 カップ
19 注出管
40 ミキシングボール
41 供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒーを供給するコーヒー供給部と、
コーヒーに付加する付加原料を供給する付加原料供給部と、
前記コーヒー供給部および前記付加原料供給部が接続され、前記コーヒー供給部から供給されるコーヒーおよび前記付加原料供給部から供給される付加原料を合流させてカップに注出する注出管と
を具備していることを特徴とする飲料提供装置。
【請求項2】
前記付加原料供給部は、前記コーヒー供給部から前記注出管にコーヒーを供給している間に、前記注出管への付加原料の供給を開始しかつ完了する
ことを特徴とする請求項1記載の飲料提供装置。
【請求項3】
前記コーヒー供給部は、レギュラーコーヒーを抽出するブルワーを有するレギュラーコーヒー供給部である
ことを特徴とする請求項1または2記載の飲料提供装置。
【請求項4】
前記コーヒー供給部は、インスタントコーヒーを調合するミキシングボール、およびこのミキシングボールから供給されるインスタントコーヒーを注出管に合流させる供給管を有するインスタントコーヒー供給部である
ことを特徴とする請求項1または2記載の飲料提供装置。
【請求項5】
前記供給管は、前記注出管に着脱可能に設けられ、前記インスタントコーヒー供給部を別の飲料供給に用いる場合に前記注出管から分離独立させることによって飲料をカップに直接注出可能とする
ことを特徴とする請求項4記載の飲料提供装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−248583(P2011−248583A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120459(P2010−120459)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】