説明

飲料機械

本発明は飲料販売機械、特にコーヒー販売機械に関する。本発明によれば、制御装置は、スタンバイモード(エネルギー節約モード)において、水ヒータの温度、特にパススルーヒータやベアワイヤヒーティングシステムのそれのようなボイラ温度を低減することによってエネルギー消費を低減するために設けられ、制御装置は、水ヒータの温度、すなわちボイラ温度の低減、及び/又は低減の開始までの待機時間を、以前の時間期間における飲料提供プロセスの関数として制御または調整するよう構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料販売機に関し、特に、請求項1の前文による自動コーヒーメーカーに関する。本発明は、飲料販売機をスタンバイモード(エネルギー節約モード)に変更する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
飲料販売機および特に自動コーヒーメーカーは、商業分野だけでなく、ますます個人分野でも用いられており、増加するエネルギーコストのために現在の飲料機械においてはエネルギー効率の問題にますます注意が払われるようになっている。低エネルギー消費は、エネルギーコストの上昇のために、いっそう強いセールスポイントでもある。一般には、飲料を用意するためのエネルギー要件は、高いエネルギー要件のために、多くの自動コーヒーメーカーでほぼ同じとされているが、スタンバイモードについては明らかな差異が存在する。このため、最近の自動コーヒーメーカーは、「エコモード」として知られるモードを有し、このモードにおいては、自動コーヒーメーカーは、所定の選択できる時間の後に、自動で電源がオフになる。自動コーヒーメーカーは、エネルギー節約モード(エコモード)がオンのときは、飲料が購入されない状態が2,3分続くと、ケトル温度を所定の値まで下げることも知られている。しかしこの温度を下げるまでの時間は常に同じである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、一般的な飲料機械のための改良されたまたは少なくとも代替の実施形態を特定する問題に関し、エネルギー消費がスタンバイモードで低減されるが、高いレベルのユーザ利便性を有する飲料機械を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、独立請求項1の主題の本発明によって解決される。優位な実施形態は、従属請求項の主題を形成する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、飲料機械、特に自動コーヒーメーカーにおいてエネルギー節約モード(スタンバイモード)のためにパラメータを事前定義するという一般的な概念に基づいており、パラメータの事前定義が固定されたやり方ではなく可変してなされるので、エネルギー節約モードは適応可能である。この目的のために、本発明による飲料機械は、制御/調整装置を有し、この装置はスタンバイモード、すなわちエネルギー節約モードにおいて、ケトル温度、特に水ヒータの温度、例えば連続フローのヒータまたはベアワイヤヒーティングシステムの温度を下げることによって、エネルギー消費を低減する。もちろんこれは、水ヒータおよびそこに蓄えられる水が維持されているスタンバイ温度を意味し、水ヒータそのものの種類や実施形態は重要ではない。したがって水ヒータが、ベアヒーティングワイヤ、連続フローのヒータ、ユニットヒータ、ケトルまたはボイラのいずれで構成されていてもかまわない。したがってケトル温度は、ケトル、連続フローのヒータなどの中で優勢である水温度を意味する。同時に、本発明によるこの制御/調整装置は、ケトル温度の低減、及び/又はその低減の開始までの待機時間を、低減の開始までのある期間に発生する飲料提供に依存して、制御つまり調整するよう構成される。したがって本発明による飲料機械がエネルギー節約モードに変わる時刻は、硬直して事前に定められているのではなく、それ以前に起こった払出の振る舞い、例えばそれ以前に起こった提供飲料の数や、個々の飲料提供の間の時間間隔に依存する。同時に、本発明による制御/調整装置は、飲料機械のスタンバイモードへの変更を、以前に選択された飲料の種類に依存して制御または調整できる。よって例えば、冷たい飲料が提供されるときは、コーヒーのような熱い飲料が繰り返し提供されるときよりも、エネルギー節約モードへの変更がより早くになされる。後者の場合、エネルギー節約モードはより遅くにオンされるが、その結果、飲料機械はより速やかに使用可能な状態になる。特に、それまでに熱い飲料が払出されていて、ごくたまにしか払出が起こらず、払出の間の間隔が長い使用場所においては、本発明による飲料機械によってユーザの利便性が増す。この飲料機械は、それまでに熱い飲料が提供されているときには、エネルギー節約モードにより遅く切り替わるので、飲料機械が完全に使用可能な状態になるまでの待機時間は、例えば飲料機械が事前に定められた時間間隔とちょうど等しい期間の後でエネルギー節約モードに切り替わる場合よりも、より短い。さらにエネルギー節約機能は、本発明による制御/調整装置を用いると、現在の払出の振る舞いに、よってそれぞれの動作条件に、連続的に適応され得る。さらに本発明は、既に以前から用いられている制御/調整装置のソフトウェアを簡単に修正することによって実現できるので、本発明を実現するための追加の金銭的支出は比較的小さい。スタンバイモードへの変更を自動で適応することによって、ユーザにはしばしば不便と感じられる調整の労力が減らされ、その結果、ユーザにとっての不便さは改善され得る。
【0006】
本発明による解決策の優位性をもつ改良点においては、飲料機械は、エコモードおよび長期レディモード(long-term ready mode)を有し、制御/調整装置はエコモードにおいて起動されている。これら2つのモードは異なるので、飲料機械が長期間にわたって準備が整った状態を維持するのがよいか、または飲料機械がエネルギー節約機能を果たすのがよいかは、カスタマーまたはユーザーに任されている。
【0007】
本発明の解決策の優位性をもつ実施形態においては、制御/調整装置は、水ヒータの温度、すなわちケトル温度を段階的に下げるように構成される。飲料機械がエネルギー節約モードに切り替わるとき、ケトル温度は、急にではなく段階的に、よってよりゆっくりと下げられることによって、必要なら比較的短い時間の後の飲料機械の所望の再スタートが、もし水ヒータの温度、すなわちケトル温度が段階的ではないように下げられる場合よりも速く行われ得ることがしたがって想定される。
【0008】
豆を挽くこと、プレスすること、及び/又は淹れることのプロセスは、淹れる温度に達する前に適宜行われるので、より迅速な再スタートが達成され得る。飲料のリクエストが飲料機械に入力されると、それにより直接に加熱装置が起動されて淹れるプロセスに必要な水を加熱すると同時に、飲料機械のケトル内で淹れる温度に達する前に、コーヒー豆を挽くこと、豆をプレスすること、またはコーヒーを淹れる前段階が行われる。その結果、飲料リクエストの入力と、実際の飲料の提供との間の待機時間は短くなり、したがってカスタマーのメリットが増す。
【0009】
本発明による解決策の優位性をもつ実施形態においては、飲料機械は、水ヒータの温度、すなわちケトル温度の低下状態が表示されるディスプレイを有する。これにより容易にいつでも飲料機械のユーザは、現在、飲料機械が動作モードまたは待機モードのいずれに入っているか、およびどのくらい長くユーザは所望の飲料のために待たなければならないかを知ることができる。もちろん、飲料機械上に通常、配置されているディスプレイがこのために用いられてもよく、または別個のディスプレイが設けられてもよく、これは例えば所望の機器ラインにしたがって異なり得る。
【0010】
飲料提供に依存してエネルギー節約モードを制御または調整する本発明の飲料機械によれば、それぞれの払出の振る舞いに適応され得て、特に飲料機械がちょうど起こったばかりの払出の振る舞いに自動的に調節するように、特にエネルギーを節約し、同時に特にユーザフレンドリーである器具が市場に提供され得る。特に、より短い再スタート期間が達成され得るので、それにより同様にカスタマーに対するメリットが増すことに貢献する。常に動作モードにある飲料機械と比較して、本発明による飲料機械では、エネルギーを相当に節約することが達成され得て、これはますます上昇するエネルギーコストの点でも有利である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動コーヒーメーカーである飲料機械であって、
制御/調整装置が設けられ、前記制御/調整装置はスタンバイモード(エネルギー節約モード)において、水ヒータの温度、特に例えばケトルまたは連続フローのヒータの温度を低減することによってエネルギー消費を低減し、
前記制御/調整装置は、前記水ヒータの前記温度の、特に前記ケトル温度の前記低減、及び/又は前記低減の開始までの待機時間を、以前の時間期間において起こった飲料提供に依存して制御/調整するよう構成される
ことを特徴とする飲料機械。
【請求項2】
前記制御/調整装置は、前記水ヒータの前記温度の、特に前記ケトル温度の前記低減、及び/又は前記低減の開始までの待機時間を、飲料提供の種類及び/又は提供のサイクルに依存して制御/調整するよう構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の飲料機械。
【請求項3】
前記飲料機械は、エコモードおよび長期レディモードを有し、前記制御/調整装置は、エコモードにおいてだけ起動される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の飲料機械。
【請求項4】
前記制御/調整装置は、前記水ヒータの前記温度、特に前記ケトル温度を段階的に低減するよう構成される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料機械。
【請求項5】
コーヒー豆を挽くこと、豆をプレスすること、及び/又はコーヒーを淹れる前段階は、より速い再スタートを達成するために、コーヒーを淹れる温度になる前に行われる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の飲料機械。
【請求項6】
前記飲料機械は、前記ケトル温度の低減状態が表示され得るディスプレイを有する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の飲料機械。
【請求項7】
特に自動コーヒーメーカーである飲料機械をスタンバイモード(エネルギー節約モード)に切り替える方法であって、
制御/調整装置は、スタンバイモードにおいて、水ヒータの温度、特にケトル温度を低減することによってエネルギー消費を低減し、
前記制御/調整装置は、前記水ヒータの前記温度の、特に前記ケトル温度の前記低減、及び/又は前記低減の開始までの待機時間を、以前の時間期間において起こった飲料提供に依存して制御/調整するよう構成される
ことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2012−533376(P2012−533376A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521051(P2012−521051)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060708
【国際公開番号】WO2011/009939
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(502241800)ヴェーエムエフ ヴュルテンベルギッシェ メタルヴァーレンファブリーク アクチエンゲゼルシャフト (18)
【氏名又は名称原語表記】WMF Wuerttembergische Metallwarenfabrik AG
【住所又は居所原語表記】Eberhardstrasse, 73309 Geislingen/Steige, Die Bundesrepublik Deutschland
【Fターム(参考)】