説明

飲料用容器のための分配キャップ

飲用キャップは、飲料用容器の口部に結合するための第1のチューブ状部分(10)と、少なくとも部分的に、この第1のチューブ状部分(10)内に配置されている、細長い作動部材(26)とを含んでいる。第1のチューブ状部分(10)は、弾性的な環状の一体ウェブ(12)によって作動部材(16)に結合されており、このウェブには、1つ以上の流出口(28)が形成されている。ウェブ(12)は、突出している環状の第1のシールフランジ(30)に結合されており、前記作動部材(26)が、流出口(28)が妨げられていない開位置とその閉位置との間において、軸方向に沿って縦方向に移動可能となっており、前記閉位置では、シールフランジ(30)が第1のチューブ状部分(10)の内表面とシール接触しており、それにより、使用時には、流出口(28)が外気との接触から妨げられて容器がシールされる。このキャップは、さらに、挿入部分(6)とピストン(4)とを備えており、これらは、ともにタンク(56)を規定している。この挿入部分(6)は、円筒形の壁(34)、および、前記タンク内における圧力の作用に基づいて移動可能な部分(40)を含み、この部分(40)には放出開口部(44)が形成されている。ピストン(4)が、円筒形の壁(34)とスライド接触している周辺エッジを含み、開口部(50)を有している。フローチューブ(52)が、前記開口部(50)の周囲において前記ピストン(4)に結合しており、前記挿入部分(6)内において前記放出開口部(44)を通って延びており、この放出開口部のエッジ(46)とともにスライドシールを形成している。前記作動部材(26)が、閉位置から開位置に移動したときに、前記ピストン(4)に係合するように、および、これによって、前記ピストン(4)を前記挿入部分(6)に向けて移動するように構成されており、これにより、前記タンク(56)内に生成された増加した圧力が、前記挿入部分(6)の可動部分(4)を前記ピストン(4)から離れるように移動させ、その結果、前記フローチューブ(52)が、前記挿入部分(6)内において前記放出開口部(44)の外部に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用ボトルあるいは他の容器のための、分配キャップに関し、具体的には、炭酸飲料用の容器のための飲用キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
このような飲用キャップは、典型的に、2つの成形プラスチック部材を有している。これらの部材は、互いに結合しており、第1の位置と第2の位置との間で、相対的に動くことが可能となっている。この第1の位置は、キャップの結合されるボトルがシールされる位置であり、また、第2の位置は、ボトル内の液体が流れることの可能な1つ以上の開口部を介して、ボトルの内部が外部とつながる位置である。したがって、このようなキャップは、再シール構造を与えるものであり、飲用キャップの場合は、キャップを取り外すことなく、ボトルから飲料を飲むことのできる能力を与える。しかしながら、2つの個別の部材については、別々に成形し、その後、互いに結合する必要がある。これには、多大な時間を必要とするとともに、費用もかかる。
【0003】
一体型の分配用キャップが知られており、独国特許第DE−G−8518074.2号は、以下のようなキャップを開示している。すなわち、このタイプのキャップは、容器の口部に結合するための第1の半径を有する第1のチューブ状部分と、この第1の半径より小さい第2の半径を有する円形断面を有する第2のチューブ状部分とを含んでいる。第1のチューブ状部分は、弾性的な環状の一体型ウェブによって、第2のチューブ状部分に結合されている。このウェブには、1つ以上の流出口が形成されており、このウェブの幅は、第1の半径と第2の半径との差と等しいか、これより大きくなっている。第2のチューブ状部分の一端は閉じられており、ウェブおよび第1のチューブ状部分における内表面の一方が、突出している環状の第1のシールフランジに結合されている。第1のチューブ状部分と第2のチューブ状部分とは、同軸であり、かつ、流出口の塞がっていない開位置と閉位置との間において、軸方向において相対的に移動可能である。この閉位置では、ウェブおよび第1のチューブ状部分の内表面の他方に対して、シールフランジがシール係合しており、これによって、ウェブの他方および第1のチューブ状部分の内表面に対する第1のシールフランジのシール係合により、流出口が外気と連通することを防止されるようになっている。
【0004】
しかしながら、この文献に開示されているキャップは、液体ではなく、パウダー状の固形物質を分配するためのものであり、液体容器においての使用には、本質的に適していないはずである。その理由は、特に、液体が炭酸である場合には、信頼性のある液体シールを形成することができないことにある。
【0005】
したがって、このキャップが閉配置にある場合には、シールフランジとウェブとは、表面接触する。このような表面接触では、信頼性のあるシールを提供することは不可能である。その理由は、接触力が本質的に非常に弱く、かつ、この力が十分なエリアに及ばず、そのために、接触圧力が著しく小さいことにある。事実上、2つの係合表面を、完全に滑らかにかつ相補的に形成することは不可能であり、その結果として生じる不可避的なギャップは、容器内のいかなる液体であっても、漏洩を免れない、ということを意味することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許第DE−G−8518074.2号
【特許文献2】国際公開第2005/092732号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
より具体的には、本発明は、多数の素材(特に、2つの素材)の飲料のための飲用キャップに関する。多くの飲料は、液体、典型的には水を含んでいる。これは、炭酸を含んでいたり、液状の香味料と混合されていたり、シロップ状のものであったりする可能性がある。香味料は、水と混ぜられた場合、高い頻度で貯蔵中に不安定になり、このことは、安定剤の添加を必然的に伴うが、安定剤は、高価なだけでなく、健康上の理由で望ましくないと考えられることが多くなっている。安定剤のある場合であっても、香味料は、時間とともに、例えば光化学的に劣化し、このことは、高い頻度で、飲料が直ちに消費される場合に必要になる量より多くの高価な香味料を添加することを、余儀なくさせる。香味料は、一般的に、高い砂糖含有量を有しており、この砂糖含有量は、水と香味料との混合物をボトルに充填する際に、充填ノズルにおける累進的な目詰まりを引き起こすことが分かっている。
【0008】
したがって、ボトル内において、他の液体とは分離した状態で香味料を格納することができること、および、飲料が消費される直前に、香味料が液体に混入されることが望ましい。したがって、本発明の目的は、これを達成することが可能であって、製造および使用することの容易な、飲料用容器のための飲用キャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、前記タイプの飲用キャップは、飲料用容器の口部に結合するための第1のチューブ状部分と、少なくとも部分的に、この第1のチューブ状部分内に配置されている、細長い作動部材とを含んでいる飲用キャップであって、前記第1のチューブ状部分が、弾性的な環状の一体型ウェブによって、前記作動部材に結合されており、このウェブには、1つ以上の流出口が形成されており、このウェブおよび前記第1のチューブ状部分における内表面の一方が、突出している環状の第1のシールフランジに結合されており、前記作動部材が、流出口の塞がっていない開位置と閉位置との間において、軸方向に沿って縦方向に移動可能となっており、この閉位置では、前記ウェブおよび前記第1のチューブ状部分の内表面の他方に対して、前記シールフランジがシール係合しており、これによって、使用時に、前記流出口が外気と連通することを防止されるようになっているとともに、前記容器がシールされるようになっている、飲用キャップにおいて、ともにタンクを規定する挿入部分およびピストンと、フローチューブとをさらに含んでおり、この挿入部分が、円筒形の壁、および、前記タンク内における圧力の作用に基づいて移動可能な部分であって、放出開口部の形成されている部分を含んでおり、前記ピストンが、前記円筒形の壁とスライド接触している周辺エッジを含んでいるとともに、開口部を有しており、前記フローチューブが、前記開口部の周囲において前記ピストンに結合しており、前記挿入部分内において前記放出開口部を通って延びており、さらに、この放出開口部のエッジとともにスライドシールを形成していること、を特徴とするとともに、前記作動部材が、閉位置から開位置に移動したときに、前記ピストンに係合するように、および、これによって、前記ピストンを前記挿入部分に向けて移動するように構成されており、これにより、前記タンク内に生成された増加した圧力が、前記挿入部分の可動部分を前記ピストンから離れるように移動させ、その結果、前記フローチューブが、前記挿入部分内において前記放出開口部の外部に移動すること、を特徴とする飲用キャップである。
【発明の効果】
【0010】
したがって、本発明の飲用キャップは、2つのまったく異なる機能を実行するものである。本発明の飲用キャップは、飲料用容器に関する、何度も閉じることの可能な封止を構成する。これは、第1のチューブ状部分に対して作動部材を動かすことによって容易に開けることが可能であり、その後、ユーザは、その容器からキャップを外すことなく、この容器から飲料を飲むことが可能である。そして、作動部材をもとの位置に戻すように動かすことによって、再び閉めることが可能である。
【0011】
しかしながら、さらに、2つの飲料素材のうちの1つの素材を、ピストンおよび挿入部分によって規定されるタンク内に格納することが可能である。タンク内における素材は、容器の本体内の液体から分離されて格納されている。しかし、分配用キャップを最初に開けたときに、作動部材が閉位置から開位置に動かされると、キャップが、ピストンに接触するようになって、それを挿入部分に向けて押し進める。これにより、タンクの内容物が加圧され、増加した圧力が、挿入部分の可動部分に作用し、これは、この圧力の作用に基づいて、ピストンから離れるように移動する。
【0012】
したがって、挿入部分における放出開口部は、フローチューブに対して移動する。このフローチューブは、それを介して延びており、そのエッジとともにシールを形成している。その結果、このフローチューブは、放出開口部の外部に移動する。そして、このタンクの内部は、挿入部分における放出開口部を介して、容器の外部と連通し、その後、重力およびタンク内の圧力の作用に基づいて、タンク内の素材が容器内に向けて流れる。したがって、タンク内の素材は、容器内において液体との混合物となる。また、容器が逆さまにされた場合、液体は、フローチューブを介して、作動部材を第1のチューブ状部分に結合しているウェブの真下のスペースに向けて流れる。そして、この液体は、そこからウェブに形成された開口部を介して、外気に向けて、あるいは、より一般的には、直接的にユーザの口内に向けて流れる。
【0013】
2成分飲料の2つの素材を、消費の直前まで分離して維持する能力は、複数の利点に関連している。したがって、容器の本体内の液体は、典型的には、水あるいは炭酸水となり、したがって、安定剤を追加する必要はない。これは、香味料が、タンクによって構成された小さくシールされた区画内に、分離されて保持されているからである。したがって、タンク内の香味料は、光などによる劣化を生じにくくなっており、より少ない量の香味料で間に合うことが分かる。これにより、大幅な金銭的節約を実現することが可能となる。香味料を含まない液体によって容器を満たすので、充填ノズルにおける目詰まりのリスクが、実質的に減少あるいは排除される。
【0014】
本発明の分配用キャップは、第1のチューブ状部分を含んでおり、これは、好ましくは、円形の断面を有している。このキャップは、また、作動部材を含んでおり、この作動部材は、好ましくは、第2のチューブ状部分によって構成されている。この第2のチューブ状部分も、好ましくは、円形の断面を有している。これら2つのチューブ状部分は、弾性的な環状のウェブによって結合されている。このウェブの幅、すなわち、大まかに言うと半径方向の長さは、これら2つのチューブ状部分の半径の間の差より大きくなる。これは、これら2つのチューブ状部分における、必要となる相対的な可動性を与えるためである。
【0015】
より大きい半径を有するチューブ状部分は、その一端部において、ボトルの口部などに結合するために適している。また、他のチューブ状部分における他端部は、好ましくは、閉じている。弾性的なウェブは、その内部に形成された、少なくとも1つ、好ましくは複数の分散された流出口を有している。好ましい実施形態では、このウェブは、軸方向断面図において見られるように、その両端部の中間のポイントにおいて、その上部の表面あるいは外表面に結合された、シールフランジを備えている。したがって、第2のチューブ状部分は、流出口の塞がっていない開位置と閉位置との間において、軸方向に沿って、第1のチューブ状部分に対して移動可能となっている。閉位置では、第1のチューブ状部分の内表面に対して、シールフランジが係合しており、これによって、流出口を外気からシールするようになっている。これは、飲用キャップの結合される容器もシールされ、このために、そこから液体が出る可能性がない、ということを意味する。
【0016】
前記2つのチューブ状部分が開位置にあり、第2の、すなわち小さい方のチューブ状部分に対して、それを閉位置に動かすような力が加えられた場合、第2のチューブ状部分における最初の動きは、必然的に、ウェブの圧縮および/または歪みを引き起こすことになる。これは、その長さが、必然的に、2つのチューブ状部分の間の距離よりも長くなる、という事実に起因する。この圧縮および/または歪みは、ウェブが、より小さい直径を有するチューブ状部分に対して回復力を及ぼすことになり、このチューブ状部分を開位置に向けて戻そうとする。
【0017】
しかしながら、この閉鎖力を及ぼし続けると、より小さい直径を有するチューブ状部分は、閉位置に向けて、軸方向に沿って徐々に移動することになる。それが、ウェブがほぼ半径方向に延びている位置を越えると、より小さい直径を有するチューブ状部分に対してウェブによって及ぼされている力は、それに対して、それを閉位置に向けて圧迫するように作用する。したがって、この作動部材、すなわち、より小さい直径を有するチューブ状部分は、効果的に双安定の状態となり、それに対して外力が加えられていない場合には、それは、開位置あるいは閉位置のいずれか一方に向けて、自動的に移動することになる。
【0018】
シーリングフランジの位置および大きさは、ウェブが完全な弛緩位置に到達する前に、より大きい直径を有するチューブ状部分の内部における反対側の表面とのシール接触を形成するようにシーリングフランジが移動するように、決定されている。これは、閉位置では、シーリングフランジが、反対側の表面と接触するように付勢されており、それとともに途切れのない実質的に線状のシールを形成する、ということを意味する。シーリングフランジが、ウェブの外表面上にあるという事実は、例えば、炭酸飲料からの二酸化炭素の開放の結果として、容器内の圧力が外気より高い圧力となった場合に、その圧力が、シーリングフランジが第1のチューブ状部分と接触する圧力を増加するように作用することとなり、このために、シールの完全性を増加することになる、ということを意味する。
【0019】
本発明の飲用キャップを、2つの、あるいはより多くの異なる材料を、容器の本体内の液体に対して同時に加えることを可能とするように、構成することも可能である。これは、2つ以上の分離された区画にタンクを分割し、各区画に個別の放出開口部を設けることによって、実現される。飲用キャップは、主として、2成分飲料のための容器において使用されることが意図されており、したがって、タンクは、1つだけの区画を有することが意図されている。
【0020】
この場合、挿入部分内における放出開口部およびフローチューブが、作動部材の長さと整合していること、すなわち、第1のチューブ状部分の縦軸上に配置されていることが好ましい。さらに、この作動部材が、前記チューブのエッジの外側における1つ以上の位置においてピストンに係合する一方、フローチューブを介した液体の流れを実質的に阻害しないような形状となっていることが好ましい。
【0021】
したがって、当然のことではあるが、容器から液体が供給されるときには、その全ては、フローチューブを介して流れる必要がある。したがって、この流れが著しく阻害されていないことは、重要である。作動部材におけるピストンと係合する部分は、さまざまな形状を有することが可能であり、例えば、単純なプレートの形状であってもよい。これは、フローチューブを横切って直径方向に延びるものである。しかしながら、前記部分は、十字型形状を有しており、これによって、フローチューブの周囲における円周方向に等間隔に離れた4つの領域において、ピストンに係合することが好ましい。
【0022】
キャップが開位置に移動したときに、内部の材料を放出可能な、挿入部分における放出開口部の開口部は、タンク内において作用している圧力の作用によって、挿入部分の一部が、この挿入部分における残りの部分に対して移動可能である、という事実によって実現される。単純な実施形態では、挿入部分における可動部分を、弾性的な材料、例えばエストラマーの皮膜によって構成することも可能である。この皮膜は、圧力の作用によって膨張し、これによって、ピストンから離れるように移動する。別の実施形態では、挿入部分における可動部分は、カップ型のピストン部材を有しており、この部材の側壁が、挿入部分における残りの部分に備えられている固定された円筒形の壁に対してスライド接触しているとともに、この部材の底部に、開口部が形成されている。しかしながら、これらの構成の双方は、2つの別々の部材から挿入部分を構成することを必要とする。そして、好ましい実施形態では、挿入部分の可動部分は、円筒形の壁と一体化されており、反対向きの2つ以上の環状の折り目によって、この壁に結合されている。
【0023】
好ましい実施形態では、第1のチューブ状部分の内表面が、弾性的な環状の第2のシールフランジを備えており、この第2のシールフランジが、第1のチューブ状部分の軸に対して鋭角に突出しているとともに、キャップが閉位置にある場合に、第2のシールフランジが、第1のシールフランジによって密閉されるように係合されるように配置されている。第1のチューブ状部分の軸に対して、第2のシールフランジの突出部が傾いているということは、第2のシールフランジに対する第1のシールフランジのシール係合が、ほぼ直角となっており、これによって、シールの完全性が最大化されている、ということを意味する。
【0024】
本発明は、さらに、前記タイプの飲用キャップを含む飲料用容器をも包含している。この容器は、第1のチューブ状部分に結合されている口部を含んでおり、挿入部分が、容器の口部内に実質的に配されている。
【0025】
この挿入部分は、第1のチューブ状部分に対して取り外せないように結合されていてもよいが、これは本質的なことではない。3つの全ての部材、すなわち、作動部材に結合されている第1のチューブ状部分、挿入部分およびピストンを、個別の部材とすることも可能である。ある実施形態では、挿入部分における円筒形の壁の上端部から、周辺フランジが外向きに突出しており、飲用キャップにおける第1のチューブ状部分が、前記容器の口部の周囲に延びている、下向きに垂れ下がった環状のスカートに対して、第1のチューブ状部分の軸に対して垂直方向に延びている環状のウェブによって接続されており、挿入部分上の周辺フランジが、容器の口部における上部表面と環状のウェブとの間に挟まれている。したがって、挿入部分は、その周辺フランジとの係合によって、容器のリム上において、適所に保持されている。この周辺フランジは、容器における開口部の周囲に延びている。また、この挿入部分は、ウェブによってそれに及ぼされる圧力のために、リムの上部表面および環状のウェブにおける下部表面の双方に対して、シールされている。
【0026】
本発明のさらなる特徴および詳細は、以下に示す、ある特定の実施形態に関する記述から、明らかになる。この記述は、ほんの一例として、以下のような添付の図面の参照によって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】閉位置あるいはシール位置にある、炭酸飲料用の容器のための飲用キャップにおける軸方向断面図である。
【図2】開位置あるいは非シール位置にある飲用キャップを示す、図1と同類の図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図示されている飲用キャップは、基本的に、3つの分離された部材、すなわち、封止キャップ2、ピストン4および挿入部分6を備えている。この飲用キャップは、ネック8のみが示されているボトルに取り付けられた状態で示されている。
【0029】
この封止キャップ2は、ポリプロピレンなどのポリマー材料からなる、一体的に射出成形された部材であり、相対的に大きい直径を有する、円形断面を有する第1のチューブ状部分10を備えている。この第1のチューブ状部分10は、その上端部に隣接する位置において、弾性的で柔軟性のあるウェブ12によって、円形断面を有する第2のチューブ状部分14の一端に対して一体的に結合されている。この第2のチューブ状部分14の直径は、下方向に向かって徐々に大きくなっている。
【0030】
大きい方のチューブ状部分10は、ボトルのネック8に結合されるように構成されている。このために、このチューブ状部分10の直径を、ボトルのネックの直径と実質的に同一とすることが可能である。あるいは、この場合には、このチューブ状部分10を、水平の環状フランジ54によって、円形断面を有するコネクタ部16に対して、一体的に結合することも可能である。このコネクタ部16は、より大きな直径、すなわち、ボトルのネックの外径と実質的に等しい内径を有している。このコネクタ部16は、下に垂れ下がった円筒形のスカートあるいは壁の形状を有しており、任意の都合のよい方法で、ボトルに結合することが可能となっている。しかしながら、この場合、ボトルのネックの外部に配されている対応するネジ山20と連携するための、内部のネジ山18が設けられている。あるいは、このキャップを、国際公開第2005/092732号に開示されているタイプのスナップ式の結合によって、ボトルに対してスナップ式にはめ込むことも可能である。
【0031】
小さい方の直径のチューブ状部分14における上端部は、一体的な蓋22によって閉じられている。その直径は、チューブ状部分14の上端部の直径よりも、わずかに大きくなっている。これにより、その半径方向において外側のエッジが、突出したフランジあるいは外郭24を構成している。これは、ユーザによってつかむことの可能なものである。小さい方のチューブ状部分14の内部と一体的に、十字型構造26が配されている。これは、互いに垂直な方向に延びる、2つのプレートを有している。この十字型構造26は、チューブ状部分14の下端部のほぼ下部に延びており、その機能については後述する。
【0032】
複数の穴部28が、弾性的なウェブ12に形成されている。弾性的なウェブ12の幅、すなわち、2つのチューブ状部分の間の長さは、これら2つのチューブ状部分の半径の間の差より大きくなっている。ウェブ12の上部の表面あるいは外表面と一体的に、その両端部の中間のポイントにおいて、軸方向の断面において見られるように、第1の環状シールフランジ30が配されている。これは、キャップが図2に示した開位置にあるときに、ほぼ軸方向に延びている。大きい方のチューブ状部分10における上端部において、内表面と一体的に、第2の弾性的なシールフランジ32が配されている。このフランジ32は、キャップの軸方向に沿って、上方および内側の双方に延びている。これにより、このフランジ32は、キャップの軸方向に対して鋭角をなしている。
【0033】
キャップが図2に示した開位置にある場合、チューブ状部分すなわち作動部材14は、ほぼチューブ状部分10の内部に配置されている。ウェブ12は、チューブ状部分10から下方に延びているとともに、軸方向において内側に延びている。また、流出口28は、キャップの内部と連通しており、これにより、液体が、開口部28を介して流れ出ることが可能となっている。ユーザは、チューブ状部分10の外表面の周囲に対して、その唇をあてることによって、ボトルから飲料を容易に飲むことが可能である。このチューブ状部分10は、飲み口のように作用することとなる。
【0034】
小さい方のチューブ状部分14に上向きの力が及ぼされた場合には、それは、上方に移動し始める。これにより、ウェブ12の圧縮および歪みが生じることとなり、したがって、これが、チューブ状部分14に対して回復力を与え、チューブ状部分14を完全な開位置に向けて戻そうとする。この力が小さい方のチューブ状部分に及ぼされ続けると、それは上方へ動き、その結果、ウェブ12が、ほぼ水平方向に(すなわち半径方向に)延びる。チューブ状部分14が、この「死点(dead centre)」位置を通り越して動く際に、ウェブ12によってチューブ状部分14に対して及ぼされる力は、上向きに作用する。チューブ状部分14は、上方に動き続ける。また、これは、ウェブ12における継続的な回転を伴う。この動きは、シールフランジ30の自由エッジが、弾性的なシールフランジ32の表面に係合するまで続く。ウェブ12が完全にゆるみ、これによって、チューブ状部分14にかけられていた上向きの力が取り除かれると、ウェブによって及ぼされていた力は、2つのシールフランジを圧迫し続けて、これらを接触させる。また、フランジ30の自由エッジは、シールフランジ32の表面とともに、シールされた線接触を形成する。この接触線は、流出口28の上方に位置している。このことは、これらの流出口が、外気からシールされていることを意味する。したがって、ボトルの内部はシールされており、液体は、開口部28を介して流出することができない。
【0035】
飲料が炭酸を含んでいる場合には、キャップがシールされるとすぐに、ボトルの上部にできた空間内において、内部の圧力が増加することになる。この圧力は、ウェブ12の底面に作用して、フランジ30とフランジ32との間の接触圧力を増加する。このことは、シールの完全性を、さらに強化することになる。再びボトルを開くことが所望される場合、チューブ状部分14に対して、下向きの力が再び及ぼされ、そして、上述したプロセスが逆向きに実施される。その結果、キャップは、再び、図2に示した開位置となる。
【0036】
この飲用キャップは、また、ピストン4および挿入部分6を含んでいる。この挿入部分6は、垂直方向に延びる円筒形の壁34を備えており、この壁34の上端部が、半径方向において外側に延びているフランジ36と一体化されているとともに、この壁34の下端部が、半径方向において内側に延びているフランジ38と一体化されている。フランジ38における内側のエッジに対して一体的に結合されている、移動可能な部分があり、これは、プレート40を備えている。このプレート40は、複数の(この場合には2つの)、環状の、好ましくは円形の一体化されたヒンジあるいは折り目42によって、フランジ38に対して結合されている。プレート40の中心には、放出開口部44が形成されている。その縁は、直立した小さな弾性的なシール外郭46を備えている。
【0037】
ピストン4は、円形のくぼんだプレートを備えている。このプレートにおける外側のエッジは、浅い直立した壁48と一体化されている。このくぼんだプレートの中心には、開口部50が形成されている。その縁は、下に垂れ下がった円形のフランジあるいはフローチューブ52と一体化されている。
【0038】
使用時には、挿入部分のフランジ36は、ボトルのネックのリム上に支持されている。これにより、挿入部分の残部が、ボトルのネック内に向けて下向きに延びている。ピストン4は、挿入部分における円筒形の壁34に対して、円筒形の壁48がスライド接触するように、配置されている。この挿入部分は、ピストンのためのシリンダーとして作用する。フローチューブ52は、挿入部分において放出開口部44内に収容されており、弾性的な外郭46とともに、スライドシールを形成している。封止キャップが、ネジ山18・20を連携することによりボトルのネックと結合されており、ボトルにおけるリムの上部表面と、チューブ状部分10をより大きいチューブ状部分16と結合している水平フランジ54との間に、フランジ36をはさみこんでいる。
【0039】
図1に示すように、ピストン4および挿入部分6は、ともに、タンク56を規定している。この容器56は、2成分飲料のうちの1つの素材(例えば、シロップ状の香味料など)を収容することになる。図1から分かるように、キャップが閉配置にある場合には、フローチューブ50の内径よりもやや大きい幅を有する十字型構造26が、ピストン4の上部表面の直上であって、ここからわずかに離れた位置に配されている。
【0040】
しかしながら、上側のチューブ状部分あるいはアクチュエータ14が、図1に示したシール位置から、図2に示した開位置に動かされたときに、それは、ピストンの上部表面に接触するようになり、このため、ピストンを下向きに押圧する。これにより、タンク56の内容物が加圧され、このため、増加した圧力が、挿入部分6の可動部分40に作用する。この力は、折り目42の各側面における、環状のウェブの相対的な回転を引き起こす。そして、これは、同様に、可動部分40における下向きの移動を招来する。この下向きの移動は、フローチューブ52に対する放出開口部44の移動を引き起こし、その結果、フローチューブ52は、放出開口部の外部に移動する。そして、タンク56は、ボトルの内部と連通し、その内容物が、重力およびタンク内に充満している圧力の双方の作用に基づいて、放出開口部44を介して放出される。したがって、タンク内の香味材料は、ボトルの本体において、液体(例えば、炭酸水)と混合される。
【0041】
また、ボトルが逆さまにされた場合、2成分が混合された飲料は、フローチューブ52によって規定されている開口部50を介して、ピストン4およびウェブ12の間に規定されているスペース内に向けて流れることになる。この流れは、作動部材14によってはほとんど阻害されない。その理由は、作動部材14の下端部が、十字型形状を有しており、このために、小さな流れ抵抗しか構成しない、ということにある。その後、液体は、図2において矢印によって示したように、開口部28を介して外向きに、飲料用容器あるいはユーザの口内に向けて流れる。
【0042】
当然のことではあるが、上述した特定の実施形態に対し、多数の変形例を形成することが可能である。例えば、輸送中あるいは保管中において容器に与えられるショックなどによって生じる、タンクの内容物における早すぎる放出あるいは意図しない放出を防止するために、挿入部分およびピストンに、1つ以上の小さな連携している凸部および凹部を設けることが好ましい可能性もある。凸部と凹部との連携は、ショック荷重の作用に対して、ピストンを適所に固定することになる。しかしながら、この場合においても、ピストンは、それを作動部材に結合することによって、移動することが可能である。これは、例えば、挿入部分およびピストンを形成している材料の弾性に起因する。
【0043】
図示した実施形態では、フランジ32は、第1のチューブ状部分10の頂部に位置しており、第2のチューブ状部分は、開位置にある場合においても、第1のチューブ状部分における、わずかに上方に延びている。しかし、当然のことながら、開位置にある場合には、第1のチューブ状部分10を、フランジ32との結合ポイントを越えて、第2のチューブ状部分の頂部よりも高い位置に向けて、上方に延ばすことも可能である。この変形例は、ユーザがボトルから直接的に飲むことに役立つことになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料用容器の口部に結合するための第1のチューブ状部分と、少なくとも部分的に、前記第1のチューブ状部分内に配置されている、細長い作動部材とを含んでいる飲用キャップであって、
前記第1のチューブ状部分が、弾性を有する環状の一体型ウェブによって、前記作動部材に結合されており、前記ウェブには、1つ以上の流出口が形成されており、前記ウェブおよび前記第1のチューブ状部分における内表面の一方が、突出している環状の第1のシールフランジに結合されており、前記作動部材が、流出口の塞がっていない開位置と閉位置との間において、軸方向に沿って縦方向に移動可能となっており、前記閉位置では、前記ウェブおよび前記第1のチューブ状部分の内表面の他方に対して、前記シールフランジがシール係合しており、これによって、使用時に、前記流出口が外気と連通することを防止されるようになっているとともに、前記容器がシールされるようになっている、飲用キャップにおいて、
ともにタンクを規定する挿入部分およびピストンと、フローチューブとをさらに含んでおり、前記挿入部分が、円筒形の壁、および、前記タンク内における圧力の作用に基づいて移動可能な部分であって、放出開口部の形成されている部分を含んでおり、前記ピストンが、前記円筒形の壁とスライド接触している周辺エッジを含んでいるとともに、開口部を有しており、前記フローチューブが、前記開口部の周囲において前記ピストンに結合しており、前記挿入部分内において前記放出開口部を通って延びており、さらに、前記放出開口部のエッジとともにスライドシールを形成していることと、
前記作動部材が、閉位置から開位置に移動したときに、前記ピストンに係合するように、および、これによって、前記ピストンを前記挿入部分に向けて移動するように構成されており、これにより、前記タンク内に生成された増加した圧力が、前記挿入部分の可動部分を前記ピストンから離れるように移動させ、その結果、前記フローチューブが、前記挿入部分内において前記放出開口部の外部に移動することと、を特徴とする飲用キャップ。
【請求項2】
前記挿入部分内における前記放出開口部および前記フローチューブが、前記作動部材の長さと整合しており、前記作動部材が、前記チューブのエッジの外側における1つ以上の位置においてピストンに係合する一方、フローチューブを介した液体の流れを実質的に阻害しないような形状となっている、請求項1に記載の飲用キャップ。
【請求項3】
前記作動部材における前記ピストンに最も近接する部分が、十字型形状を有している、請求項2に記載の飲用キャップ。
【請求項4】
前記挿入部分における前記可動部分が、前記円筒形の壁と一体化されているとともに、反対向きの2つ以上の環状の折り目によって、前記壁に結合されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲用キャップ。
【請求項5】
前記挿入部分における前記可動部分が、カップ型のピストン部材を有しており、前記部材の側壁が、固定された円筒形の壁に対してスライド接触しているとともに、前記部材の底部に、前記放出開口部が形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲用キャップ。
【請求項6】
前記第1のシールフランジが、軸方向断面図から分かるように、前記ウェブの外表面に対して、その両端部の中間のポイントにおいて一体的に結合されているか、あるいは、前記第1のチューブ状部分の内表面に対して、一体的に結合されており、これによって、前記キャップが閉位置にある場合、第1のシールフランジにおける前記自由エッジが、第1のチューブ状部分の内表面あるいはウェブの外表面とともに、実質的に線状のシールを形成する、前記請求項のいずれか一項に記載の飲用キャップ。
【請求項7】
前記第1のチューブ状部分の内表面が、弾性的な環状の第2のシールフランジを備えており、前記第2のシールフランジが、前記第1のチューブ状部分の軸に対して鋭角に突出しているとともに、前記キャップが閉位置にある場合に、第2のシールフランジが、前記第1のシールフランジによって密閉されるように係合されるように配置されている、前記請求項のいずれか一項に記載の飲用キャップ。
【請求項8】
前記作動部材が、第2のチューブ状部分によって構成されており、その挿入部分から離れている端部が閉じており、前記閉じている端部が、ユーザによる係合のための半径方向に突出している環状の突出部を備えており、これにより、第1のチューブ状部分に対して第2のチューブ状部分を閉位置に移動するようになっている、前記請求項のいずれか一項に記載の飲用キャップ。
【請求項9】
前記請求項のいずれか一項に記載の飲用キャップを備えた飲料用容器であって、
前記容器が、前記第1のチューブ状部分が結合されている口部を備えており、前記挿入部分が、前記容器の口部内に実質的に配されている、飲料用容器。
【請求項10】
前記挿入部分における円筒形の壁の上端部から、周辺フランジが外向きに突出しており、前記飲用キャップの第1のチューブ状部分が、前記容器の口部の周囲に延びている、下向きに垂れ下がった環状のスカートに対して、第1のチューブ状部分の軸に対して垂直方向に延びている環状のウェブによって接続されており、前記挿入部分上の周辺フランジが、容器の口部における上部表面と環状のウェブとの間に挟まれている、請求項9に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−510137(P2010−510137A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536786(P2009−536786)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004340
【国際公開番号】WO2008/059236
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(506318632)カーボナイト コーポレーション (9)
【氏名又は名称原語表記】CARBONITE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】El Dorado Building, 2nd Floor, 52nd & Elvira Mendez Streets, P.O.Box 1358 WTC, Panama (PA)
【Fターム(参考)】