説明

飽和キノキサリン誘導体および代謝型グルタミン酸受容体リガンドとしてのそれらの使用

本発明は、式(I)[式中、Qは部分飽和の環である]の新規な化合物、またはそのN1酸化物、塩、溶媒和物もしくは溶媒和塩、それらの調製方法、それらの調製において使用される新規な中間体、ならびに治療における代謝型グルタミン酸受容体リガンドとしてのそれらの化合物の使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なクラスの化合物、それらの化合物を含む医薬組成物、ならびに治療におけるそれらの化合物の使用に関する。本発明はさらに、それらの化合物の調製方法、およびそれらの調製において用いられる新規な中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
グルタミン酸は、哺乳動物の中枢神経系(CNS)における主要な興奮性神経伝達物質である。グルタミン酸は、細胞表面受容体に結合してそれを活性化することにより、中枢神経に対する作用を発揮する。これらの受容体は、受容体タンパク質の構造特性、受容体が細胞にシグナルを伝達する手段、および薬理学的プロファイルに基づいて、イオン調節型グルタミン酸受容体と代謝型グルタミン酸受容体という2つの主要なクラスに分類される。
【0003】
代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)は、グルタミン酸が結合すると、種々の細胞内セカンドメッセンジャーシステムを活性化するGプロテイン結合型受容体である。無傷の哺乳動物の神経においてmGluRが活性化されると、次の応答のうちの1つ以上が起こる:ホスホリパーゼCの活性化;ホスホイノシチド(PI)の加水分解の増大;細胞内カルシウム放出;ホスホリパーゼDの活性化;アデニルシクラーゼの活性化または抑制;環状アデノシン一リン酸(cAMP)の形成の増大または低下;グアニリルシクラーゼの活性化;環状グアノシン一リン酸(cGMP)の形成の増大;ホスホリパーゼA2の活性化;アラキドン酸放出の増大;および電圧依存型およびリガンド依存型イオンチャンネルの活性の増大または低下。Schoeppら, Trends Pharmacol. Sci. 14:13 (1993), Schoepp, Neurochem. Int 24:439 (1994), Pinら, Neuropharmacology 34:1 (1995), BordiおよびUgolini, Prog. Neurobiol. 59:55 (1999)。
【0004】
分子クローニングにより、mGluRl〜mGluR8と命名された8種の異なるmGluRサブタイプが同定された。Nakanishi, Neuron 13:1031 (1994), Pinら, Neuropharmacology 34:1 (1995), Knopfelら, J. Med. Chem. 38:1417 (1995)。特定のmGluRサブタイプの別のスプライシング形態を発現させることにより、さらなる受容体の多様性が起こる。Pinら, PNAS 89:10331 (1992), Minakamiら, BBRC 199:1136 (1994), Jolyら, J Neurosci. 15:3970 (1995)。
【0005】
代謝型グルタミン酸受容体サブタイプは、アミノ酸配列の相同性およびその受容体が利用するセカンドメッセンジャーシステムに基づき、そしてそれらの薬理学的特徴により、グループI、グループIIおよびグループIIIという3つのグループのmGluRに分類できる。
【0006】
グループIのmGluRは、mGluRl、mGluR5およびそれらの別のスプライシング形態を含む。これらの受容体にアゴニストが結合すると、ホスホリパーゼCが活性化され、続いて細胞内カルシウムが代謝される。
【0007】
神経学的、精神医学的および疼痛性障害
グループI mGluRsの生理学的役割を解明する試みから、これらの受容体が活性化されると、ニューロン興奮が惹起されることが示唆される。種々の研究から、グループI mGluRアゴニストが海馬、大脳皮質、小脳および視床ならびに他のCNS領域のニューロンに適用されると、シナプス後興奮を引き起こす場合があることが実証された。証拠から、この興奮がシナプス後mGluRの直接的な活性化によるものであることを示されるが、しかし、シナプス前mGluRの活性化が起こって、神経伝達物質の放出を増大させることも示唆される。Baskys, Trends Pharmacol. Sci. 15:92 (1992), Schoepp, Neurochem. Int. 24:439 (1994), Pinら, Neuropharmacology 34:1 (1995), Watkinsら, Trends Pharmacol. Sci. 15:33 (1994)。
【0008】
代謝型グルタミン酸受容体は、哺乳動物のCNSにおける多くの正常なプロセスに関与している。mGluRの活性化は、海馬の長期増強および小脳の長期抑制の誘発に必要であることが示されている。Bashirら, Nature 363:347 (1993), Bortolottoら, Nature 368:740 (1994), Aibaら, Cell 79:365 (1994), Aibaら, Cell 79:377 (1994)。また、侵害受容および痛覚脱失におけるmGluR活性化の役割についても実証されている。Mellerら, Neuroreport 4:879 (1993), BordiおよびUgolini, Brain Res. 871:223 (1999)。さらに、mGluRの活性化は、シナプス伝達、神経の発生、アポトーシス性神経細胞死、シナプス形成、空間学習、嗅覚記憶、心臓活性の中枢性調節、歩行、運動調節および前庭動眼反射の調節を含む種々の他の正常なプロセスにおいても調節的な役割を担っていることが示唆されている。Nakanshi, Neuron 13:1031 (1994), Pinら, Neuropharmacology 34:1、Knopfelら, J. Med. Chem. 38:1417 (1995)。
【0009】
さらに、グループI代謝型グルタミン酸受容体は、種々の急性および慢性の病態病理学的プロセスならびにCNSを冒す障害に関与していることが示唆されている。これらとしては、脳卒中、頭部外傷、低酸素性および虚血性損傷、低血糖症、癲癇、アルツハイマー病などの神経変性障害、精神医学的障害ならびに疼痛が挙げられる。Schoeppら, Trends Pharmacol. Sci. 14:13 (1993), Cunninghamら, Life Sci. 54:135 (1994)、Hollmanら, Ann. Rev. Neurosci. 17:31 (1994), Pinら, Neuropharniacology 34:1 (1995), Knopfelら, J. Med. Chem. 38:1417 (1995), Spoorenら, Trends Pharmacol. Sci. 22:331 (2001), Gaspariniら, Curr. Opin. Pharmacol. 2:43 (2002), Neugebauer Pain 98:1 (2002)。これらの症状の病態の多くは、CNSニューロンの過剰なグルタミン酸誘導型興奮によるものと考えられる。グループI mGluRは、シナプス後機構およびシナプス前グルタミン酸放出の増強によりグルタミン酸媒介性ニューロン興奮を増大させると思われるので、それらの活性化はその病態の一因である可能性がある。したがって、グループI mGluR受容体の選択的アンタゴニストは、CNSニューロンの過剰なグルタミン酸誘導型興奮を原因とする全ての症状において、特に神経保護剤、鎮痛剤または鎮痙剤として、治療上有益であると思われる。
【0010】
近年、一般的には代謝型グルタミン酸受容体、特にはグループIの神経生理学的役割の解明が進み、これらの受容体が、急性および慢性の神経学的および精神医学的障害ならびに慢性および急性の疼痛性障害の治療における有望な薬剤標的として確定された。
【0011】
胃腸障害
下部食道括約筋(LES)は、断続的に弛緩する傾向がある。その結果、胃から流体が食道へ流れる際に力学的なバリアが一時的に失われるために、そうした流れが可能になる。この事象を、以後、「弛緩」という。
【0012】
胃食道逆流疾患(GERD)は、もっともよく見られる上部胃腸管疾患である。現代の薬物療法は、胃酸の分泌を抑えること、または食道内の酸を中和することを目標にしている。弛緩の原因となる主要な機構は、低緊張性の下部食道括約筋に依存すると考えられる。しかし、例えばHollowayおよびDent (1990) Gastroenterol. Clin. N. Amer. 19, 517-535頁は、多くの弛緩エピソードが、一過的な下部食道括約部弛緩(TLESR)、すなわち嚥下によって誘起されない弛緩の間に起こることを示した。また、GERD患者では、胃酸の分泌が通常は正常であることも示されている。
【0013】
本発明による新規な化合物は、一過性下部食道括約部弛緩(TLESR)の抑制、したがって胃食道逆流障害(GERD)の治療に有用であると思われる。
【0014】
「TLESR」、すなわち下部食道括約部弛緩という言葉は、本明細書中では、Mittal, R. K., Holloway, R. H., Penagini, R.、Blackshaw, L. A., Dent. J., 1995;Transient lower esophageal sphincter relaxation. Gastroenterology 109, 601-610頁に従って定義される。.
「逆流」という言葉は、本明細書中では、胃から流体が食道へ流れる際に力学的なバリアが一時的に失われるために、そうした流れが可能になることとして定義される。
【0015】
「GERD」、すなわち胃食道逆流疾患という言葉は、本明細書中では、van Heewarden, M.A., Smout A.J.P.M., 2000; Diagnosis of reflux disease. Bailliere's Clin. Gastroenterol. 14, 759-774頁に従って定義される。
【0016】
生理学的および病態生理学的に重要であるため、mGluRのサブタイプ、特にグループI受容体サブタイプに対して高い選択性を示す、新規で強力なmGluRのアゴノストおよびアンタゴニストが必要とされている。
【0017】
従来技術
製薬産業において、投与後に容易に吸収される化合物を開発することが好ましい。一般に、化合物の溶解性が改善されれば、その化合物の投与後の吸収は向上する。
【0018】
特にWO 99/26927では、mGluRグループI受容体に対して抑制作用を示すキノキサリン化合物が記載されている。
【発明の開示】
【0019】
本発明の目的は、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)、特にグループI受容体サブタイプにおいて活性を示し、かつ、WO99/26927に記載されている化合物と比較して溶解性が向上している化合物を提供することである。
【0020】
これは、特に、式Iの化合物の環Qの飽和により達成される。
【0021】
本発明は、式I:
【化1】

【0022】
[式中、
Xlは、OまたはSであり;
X2は、結合またはC1-3アルキルであり;
Pは、C3-7シクロアルキルまたはC4-7シクロアルケニルであり;
R1は、水素、C1-6アルキル、シアノ、ハロゲンおよびCl-6アルキルハロであり、1個以上のR1が、互いにまたはPを構成する原子の1個に結合して、架橋またはスピロ環を形成していてもよく;
R2は、水素、C1-3アルキル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、C0-3アルキルアミノ、C0-3アルキルヒドロキシまたはC0-3アルキルジメチルアミノであり;
R4は、水素、C1-3アルキル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、C0-3アルキルアミノ、C0-3アルキルヒドロキシまたはC0-3アルキルジメチルアミノであり;
Qは、C、S、OおよびNから独立して選択される原子を4個、5個、6個または7個含む環であり、これは飽和であっても部分不飽和であってもよく、この環はさらにSO、SO2、CO、シアノおよびCSから独立して選択される基を含んでいてもよく;
R3は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OC1-3アルキルハロ、C1-3アルキルハロ、C1-3アルキル、C1-3アルコキシC0-3アルキル、C0-3アルキルOC2-4アルカノールC1-3アルカノール、アミノ、C1-3アルキルアミノC0-3アルキル、(C1-3アルキル)2アミノC0-3アルキル、アミド、C1-3アルキルアミドC0-3アルキルまたは(C1-3アルキル)2アミドC0-3アルキルであり;
nは、0、1、2、3または4であり;
mは、0、1、2、3または4である]
の化合物またはそのNl酸化物、塩、溶媒和物もしくは溶媒塩を提供する。
【0023】
本発明のさらなる態様において、治療上有効量の式Iの化合物および薬学的に許容される希釈剤、賦形剤および/または不活性担体を含む医薬組成物が提供される。
【0024】
本発明のさらに別の態様において、グループI mGluR受容体媒介性障害の治療において使用するため、ならびに神経学的障害、精神医学的障害、胃腸障害および疼痛性障害の治療において使用するための、式Iの化合物を含む医薬組成物が提供される。
【0025】
本発明のさらに別の態様において、治療において使用するため、特にグループI mGluR受容体媒介性障害の治療、ならびに神経学的障害、精神医学的障害、胃腸障害および疼痛性障害の治療のための式Iの化合物が提供される。
【0026】
本発明の別の態様において、式Iの化合物の調製方法、およびそれらの調製において用いられる中間体が提供される。
【0027】
本発明のこれらおよび他の態様を、以下にさらに詳細に説明する。
【0028】
本発明の目的は、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)、特にグループI受容体において活性を示し、かつ良好な吸収を示す化合物を提供することである。
【0029】
本発明を説明するために明細書および特許請求の範囲において用いられる種々の用語の定義を以下に示す。
【0030】
明確にするために、本明細書においてある基を「上記で定義される(hereinbefore defined、defined hereinbefore、defined above)」で限定する場合、その基は、最初に記載した定義、および最も広義の定義、ならびにその基についての他の定義のそれぞれおよび全てを包含するものと理解すべきである。
【0031】
明確にするために、本明細書において、「C1-6」とは、1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子を有する炭素基を意味するものと理解すべきである。
【0032】
下付き文字が整数0(ゼロ)である場合、その下付き文字が言及する基は、その基が存在しないことを示す。
【0033】
本明細書において、特に明記しない限り、「アルキル」という用語は、直鎖状および分岐鎖状両者のアルキル基を含み、限定するものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、t-ペンチル、neo-ペンチル、n-ヘキシルまたはi-ヘキシル、t-ヘキシルとすることができる。「C1-3アルキル」という用語は、1〜3個の炭素原子を有し、メチル、エチル、n-プロピルまたはi-プロピルとすることができる。
【0034】
本明細書において、特に明記しない限り、「シクロアルキル」という用語は、場合により置換されている飽和環状炭化水素環系をいう。「C3-7シクロアルキル」という用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルとすることができる。
【0035】
本明細書において、特に明記しない限り、「シクロアルケニル」という用語は、1個または2個の二重結合を含む、場合により置換されている非芳香族環状炭化水素環系をいう。「C4-7シクロアルケニル」という用語は、限定するものではないが、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルまたはシクロヘプテニルとすることができ、シクロペンテニル基は、例えばシクロペンテン-3-イルまたはシクロペンテン-4-イルとすることができる。
【0036】
本明細書において、特に明記しない限り、「アルコキシ」という用語は、直鎖状または分岐鎖状両者のアルコキシ基を含む。Cl-3アルコキシは、限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシまたはi-プロポキシとすることができる。
【0037】
本明細書において、特に明記しない限り、「アルカノール」という用語は、直鎖状および分岐鎖状両者のアルカノール基を含む。1〜3個の炭素原子および1個のヒドロキシ基を有するCl-3アルカノールという用語は、限定するものではないが、メタノール、エタノールおよびプロパノールとすることができ、プロパノール基は、例えば1-プロパノールまたは2-プロパノールとすることができる。
【0038】
本明細書において、特に明記しない限り、「C、S、OおよびNから独立して選択される4個、5個、6個または7個の原子を含む環であって、これは飽和であっても部分不飽和であってもよく、この環はさらに、SO、S02、CO、C=NおよびCSから独立して選択される基を含んでいてもよい」という用語は、非芳香族炭素環式および複素環式の環を含む。そのような環の例は、限定するものではないが、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピペリドニル、ピラゾリジニル、ピアゾリニル、ピロリジニル、ピノリニル、テトラヒドロピラニルまたはチオモルホリニルとすることができる。例えば、下記の構造において、Qは、はシクロヘキシルと定義される。
【化2】

【0039】
本明細書において、特に明記しない限り、「結合」という用語は、飽和または不飽和の結合とすることができる。
【0040】
本明細書において、特に明記しない限り、「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロまたはブロモとすることができる。
【0041】
本明細書において、特に明記しない限り、「アルキルハロ」という用語は、上記で記載したようなハロで置換されている上記で定義したようなアルキル基を意味する。「Cl-6アルキルハロ」という用語は、限定するものではないが、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチルまたはブロモプロピルが挙げられる。「OCl-6アルキルハロ」という用語は、限定するものではないが、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、フルオロエトキシまたはジフルオロエトキシが挙げられる。
【0042】
本明細書において、特に明記しない限り、「架橋」という用語は、1個以上の原子または結合を含み、1つの環上の離れている2個の原子を連結して二環状式または三環式の系を形成する分子断片を意味する。
【0043】
本明細書において、特に明記しない限り、「スピロ環」という用語は、2つの環が、各環の原子の1個を同時に構成している1個の原子を介して互いに連結されている分子または断片を定義する。
【0044】
本発明の1つの実施形態において、Pは、C3-7シクロアルキルまたはC4-7シクロアルケニルである。本発明の別の実施形態では、PはC5-7シクロアルキルである。本発明のさらなる実施形態では、Pは、シクロペンタン、シクロヘキサンおよびシクロヘプタンからなる群から選択される。さらに別の実施形態では、Pはシクロヘキサンである。本発明のさらに別の実施形態では、PはC4-7シクロアルケニルである。さらに別の実施形態では、Pは、シクロペンテニル、シクロヘキセニルおよびシクロヘプテニルからなる群から選択される。
【0045】
本発明の1つの実施形態において、Pは、0個、1個、2個、3個または4個の基R1で置換されており、ここで、P環のR1置換基の数は、mという用語で指定される。本発明の別の実施形態では、mは、1または2である。本発明のさらなる実施形態では、環Pは、1位のX2の結合点から数えて2位、3位および/または4位でR1で置換されている。さらに別の実施形態では、環Pは、4位で1個または2個のR1で置換されている。本発明のさらなる実施形態では、P環は、シクロヘキシルであり、4位で1個または2個のメチル基で置換されている。
【0046】
本発明の1つの実施形態において、R1は、水素、C1-6アルキル、シアノ、ハロゲンおよびCl-6アルキルハロからなる群から選択される。別の実施形態では、R1は水素、Cl-6アルキルであり、1個以上のR1が、互いにまたはPを構成する原子の1個に結合して、架橋またはスピロ環を形成していてもよい。本発明のさらなる実施形態では、R1は、Cl-6アルキルである。さらに別の実施形態では、R1は、メチルである。
【0047】
本発明は、式Iの化合物であって、式中、Pは、1個以上のR1で置換されているC3-7シクロアルキルであり、ここで、R1は、水素、C1-6アルキル、シアノ、ハロゲンまたはCl-6アルキルハロであり、1種以上のR1は、互いにまたはPを構成する原子の1個に結合して、架橋またはスピロ環を形成していてもよい化合物に関する。
【0048】
本発明はまた、式Iの化合物であって、式中、Pは、1個以上のR1で置換されているC5-7シクロアルキルであり、ここでR1はメチルである化合物に関する。
【0049】
本発明はさらに、式Iの化合物であって、式中、Pは、1個以上のR1で置換されているC4-7シクロアルケニルであり、ここでR1は、Cl-6アルキル、シアノ、ハロゲンまたはCl-6アルキルハロであり、1個以上のR1が、互いにまたはPを構成する原子の1個に結合して、架橋またはスピロ環を形成していてもよい化合物に関する。
【0050】
本発明の1つの実施形態において、X1は、酸素またはイオウである。本発明は、式中、X1が酸素である、式Iの化合物に関する。
【0051】
本発明の別の実施形態では、P環は、X2により窒素に結合しており、ここで、X2は、結合またはリンカー基C1-3アルキルとすることができる。本発明はさらに、式中、X2が結合である、式Iの化合物に関する。
【0052】
本発明のさらなる実施形態では、R2は、水素、C1-3アルキル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、C0-3アルキルアミノ、C0-3アルキルヒドロキシおよびC0-3アルキルジメチルアミノからなる群から選択される。本発明のさらなる態様は、式中、R2が水素またはメチルである、式Iの化合物に関する。本発明はまた、式中、R2が水素である、式Iの化合物に関する。
【0053】
本発明のさらなる実施形態では、R4は、水素、C1-3アルキル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、C0-3アルキルアミノ、C0-3アルキルヒドロキシおよびC0-3アルキルジメチルアミノからなる群から選択される。本発明はまた、式中、R4が水素またはメチルである、式Iの化合物に関する。
【0054】
本発明はさらに、式中、R2が水素であり、R4がメチルである、式Iの化合物に関する。
【0055】
本発明の1つの実施形態において、Qは、C、S、OおよびNから独立して選択される原子を4個、5個、6個または7個含む環であり、これは飽和であっても部分不飽和であってもよく、この環はさらに、SO、SO2、COおよびCSから独立して選択される基を含んでいてもよい。
【0056】
本発明は、式Iの化合物であって、式中、Qは、C、OおよびNから独立して選択される原子を5個、6個または7個含む環であり、これは飽和であっても部分不飽和であってもよい化合物に関する。
【0057】
別の実施形態では、Qは、飽和のC5-7シクロアルキル環である。さらなる実施形態では、Qは、シクロペンタン、シクロヘキサンまたはシクロヘプタンである。
【0058】
Qは、0個、1個、2個、3個または4個の基R3で置換されていてもよく、ここで、Q環のR3置換基の数は、用語nで指定される。本発明のさらなる実施形態では、nは、0、1、2または3である。
【0059】
本発明のさらに別の実施形態では、R3は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OC1-3アルキルハロ、C1-3アルキルハロ、C1-3アルキル、C1-3アルコキシC0-3アルキル、C0-3アルキルOC2-4アルカノール、C1-3アルカノール、アミノ、C1-3アルキルアミノC0-3アルキル、(C1-3アルキル)2アミノC0-3アルキル、アミド、C1-3アルキルアミドC0-3アルキルおよび(Cl-3アルキル)2アミドC0-3アルキルからなる群から選択される。本発明のさらなる実施形態では、R3は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、Cl-3アルキルまたはC1-3アルコキシC0-3アルキルである。
【0060】
本発明は、式Iの化合物であって、式中、R3は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、C1-3アルキルまたはC1-3アルコキシC0-3アルキルである化合物に関する。
【0061】
本発明の1つの実施形態において、R3は、水素、ヒドロキシ、フルオロ(fluor)、シアノ、フルオロメチル、メチル、メトキシ、メタノール、アミノまたはカルボキサミドである。
【0062】
本発明の別の実施形態では、R3は、ヒドロキシまたはメチルである。
【0063】
本発明はまた、式Iの化合物であって、式中、Qは、1個以上のR3で置換されている飽和C5-7シクロアルキル環であり、ここでR3は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、OC1-3アルキルハロ、C1-3アルキルハロ、C1-3アルキル、C1-3アルコキシC0-3アルキル、C1-3アルカノール、シアノ、アミノまたはカルボキサミドである化合物に関する。
【0064】
本発明は、上記で定義するような式Iの化合物、ならびにそのNl酸化物、塩、溶媒和物もしくは溶媒塩に関する。
【0065】
本発明はまた、以下の化合物に関する。
【0066】
N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド、
N-(4,4-ジメチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド、
N-(4,4-ジメチルシクロヘキシル)-3-メチル5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド、
8-メチル-N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド、
7-ヒドロキシ-5、7-ジメチル-N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピラジン-2-カルボキサミド、
N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-6,7,8、9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピラジン-2-カルボキサミド、
7-メチル-N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド、
6-メチル-N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド、
N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピラジン-2-カルボキサミド、
N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[3,4-b]ピラジン-2-カルボキサミド、
N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[3,4-b]ピラジン-3-カルボキサミド、
7-ヒドロキシ-N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド、
6-ヒドロキシ-N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド、
N-(4,4-ジメチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド 4-オキサイド、および
6,7-ジメチル-N-(4-メチルシクロヘキシル)-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピラジン-2-カルボキサミド、
またはそれらの塩、溶媒和物もしくは溶媒和塩。
【0067】
本発明の1つの実施形態は、式I:
【化3】

【0068】
[式中、
X1は、OまたはSであり;
X2は、結合またはC1-3アルキルであり;
Pは、C3-7シクロアルキルまたはC4-7シクロアルケニルであり;
R1は、水素、C1-6アルキル、シアノ、ハロゲンおよびC1-6アルキルハロであり、1個以上のR1が、互いにまたはPを構成する原子の1個に結合して、架橋またはスピロ環を形成していてもよく;
R2は、水素、C1-3アルキル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシまたはトリフルオロメトキシであり;
R4は、水素であり;
Qは、C、S、OおよびNから独立して選択される原子を4個、5個、6個または7個含む環であり、これは飽和であっても部分不飽和であってもよく、この環はさらにSO、SO2、CO、シアノおよびCSから独立して選択される基を含んでいてもよく;
R3は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、OC1-3アルキルハロ、C1-3アルキルハロ、C1-3アルキル、C1-3アルコキシC0-3アルキル、C1-3アルカノール、シアノ、アミノまたはアミドであり;
nは、0、1、2、3または4であり;
mは、0、1、2、3または4である]
の化合物またはそのNl酸化物、塩、溶媒和物もしくは溶媒塩に関する。
【0069】
医薬組成物において用いられる塩は、薬学的に許容される塩であるが、他の塩が式Iの化合物の製造において有用である場合もある。本発明の化合物の適切な薬学的に許容される塩は、例えば、無機または有機酸の酸付加塩である。さらに、本発明の化合物の適切な薬学的に許容される塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩または有機塩基との塩である。他の薬学的に許容される塩およびこれらの塩の調製方法は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (第18版, Mack Publishing Co.) 1990に見ることができる。
【0070】
幾つかの式Iの化合物は、キラル中心および/または幾何異性体中心(E-異性体およびZ-異性体)を有することができ、本発明は、そのような光学異性体、ジアステレオマー異性体および幾何異性体を全て包含すると理解すべきである。
【0071】
本発明は、環PのR1とX2との間にtrans関係があり、Pがシクロヘキサンである場合は、RlおよびX2は、Pのそれぞれ4位および1位に結合している、式Iの化合物に関する。
【0072】
本発明はまた、式Iの化合物の任意および全ての互変異性形態に関する。
【0073】
医薬組成物
本発明の1つの態様によれば、活性成分として治療上有効量の式Iの化合物またはそのN1酸化物、塩、溶媒和物もしくは溶媒和塩を、1種以上の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤および/または不活性担体と共に含む医薬組成物が提供される。
【0074】
この組成物は、例えば錠剤、丸剤、シロップ剤、散剤、顆粒剤もしくはカプセル剤として経口投与に適する形態、無菌の溶液、懸濁液もしくは乳濁液として非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、血管内もしくは輸液を含む)に適する形態、または例えば軟膏、パッチ、クリームとして局所投与に適する形態、あるいは例えば坐剤として直腸内投与に適する形態とすることができる。
【0075】
一般に、上記の組成物は、1種以上の慣用の賦形剤、薬学的に許容される希釈剤および/または不活性担体を用いて、一般的な方法で調製できる。
【0076】
ヒトを含む哺乳動物の治療における式Iの化合物の適切な一日用量は、経口投与1回当たり約0.01〜25 mg/kg(体重)、非経口投与1回当たり約0.001〜250mg/kg(体重)である。
【0077】
活性成分の典型的な一日用量は、広い範囲内でさまざまに異なり、妥当な指示、治療する疾患の重篤度、投与経路、患者の年齢、体重および性別ならびに使用する特定の化合物などの種々の要因に応じて決まり、医師により決定され得る。
【0078】
医療での使用
本発明による化合物またはそのNl酸化物、塩、溶媒和物もしくは溶媒塩は、個々の代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)サブタイプに対して高度の有効性および選択性を示すことが判った。したがって、本発明の化合物は、mGluRグループI受容体の興奮性活性化に関連する症状の治療において、およびmGluRグループI受容体の興奮性活性化により引き起こされる神経損傷の抑制に有用であると予期される。これらの化合物は、ヒトを含む哺乳動物において、mGluRグループIの抑制効果を発現させるのに使用できる。
【0079】
mGluRグループI受容体は、中枢および末梢神経系ならびに他の組織において高度に発現される。したがって、本発明の化合物は、急性および慢性の神経学的および精神医学的障害、胃腸障害、ならびに慢性および急性の疼痛性障害などのmGluRグループI受容体媒介性障害の治療に十分に適すると予期される。
【0080】
本発明は、治療において使用するための、上記で定義したような式Iの化合物に関する。
【0081】
本発明は、mGluRグループI受容体媒介性障害の治療において使用するための、上記で定義したような式Iの化合物に関する。
【0082】
本発明は、アルツハイマー型老年性痴呆(Alzheimer's disease senile dementia)、AIDS誘発性痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、片頭痛、癲癇、精神分裂病、鬱病、不安、急性不安、網膜症、糖尿病性網膜症、緑内障などの眼科学的障害、耳鳴などの聴神経障害、化学療法誘発神経障害、帯状疱疹後神経痛、および三叉神経痛、耐性、依存性、脆弱X、自閉症、精神遅滞、精神分裂病ならびにダウン症候群の治療において使用するための、上記で定義したような式Iの化合物に関する。
【0083】
本発明は、片頭痛に関連する疼痛、炎症性疼痛、糖尿病性神経障害などの精神病性疼痛性障害、関節炎およびリウマチ様疾患、腰痛、手術後疼痛、ならびにアンギナ、腎仙痛もしくは胆石仙痛、月経、片頭痛および痛風を含む種々の症状に伴う疼痛の治療において使用するための、上記で定義したような式Iの化合物に関する。
【0084】
本発明は、脳卒中、頭部外傷、低酸素性および虚血性損傷、低血糖症、心血管性疾患ならびに癲癇の治療において使用するための、上記で定義したような式Iの化合物に関する。
【0085】
本発明はまた、mGluRグループI受容体媒介性障害および上記で挙げた任意の障害を治療するための医薬の製造における、上記で定義したような式Iの化合物の使用に関する。
【0086】
本発明の1つの実施形態は、胃腸障害の治療における、式Iに従う化合物の使用に関する。
【0087】
本発明の別の実施形態は、一過性下部食道括約部弛緩の抑制、GERDの治療、弛緩の予防、吐き戻しの治療、喘息の治療、咽頭炎の治療、肺疾患の治療、および発育不全の管理のための医薬を製造するための、式Iに従う化合物の使用に関する。
【0088】
本発明はまた、mGluRグループI受容体媒介性障害および上記で挙げた任意の障害に罹患しているか、またはその危険がある患者におけるそうした障害の治療方法であって、その患者に有効量の上記で定義したような式Iの化合物を投与することを含む上記方法を提供する。
【0089】
特定の障害の治療または予防を目的とする処置に必要な投与量は、必然的に、処置する宿主、投与経路、および治療する疾患の重篤度に応じて決まる。
【0090】
本明細書の文脈において、「治療(療法)(therapy)」および「治療(処置)(treatment)」という用語は、特にそうではないと明示されていない限り、予防(prevention/prophylaxis)を含む。「治療の」および「治療上で」という用語は、それに従って解釈されるべきである。
【0091】
本明細書において、特に明記しない限り、「アンタゴニスト」および「抑制物質」という用語は、あらゆる意味で、上記リガンドによる応答を導く伝達経路を部分的または完全に遮断する化合物を意味するものとする。
【0092】
「障害」という用語は、特に明記しない限り、代謝型グルタミン酸受容体の活性に関連する任意の症状および疾患を意味する。
【0093】
医療以外の使用
式Iの化合物またはそのNl酸化物、塩、溶媒和物もしくは溶媒塩は、治療用薬剤における使用以外にも、新規な治療用薬剤の探索の一部として、ネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラットおよびマウスなどの実験動物においてmGluR関連活性の抑制効果を評価するためのin vitroおよびin vivo試験系の開発および標準化における薬理学的ツールとしても有用である。
【0094】
調製方法
本発明の別の態様は、式Iの化合物またはそのNl酸化物、塩、溶媒和物もしくは溶媒塩の調製方法を提供することである。
【0095】
そうした方法についての以下の記載全体にわたり、それが適切である場合には、適当な保護基を、有機合成の当業者に容易に理解される方法で、各種の反応物および中間体に付加し、次にそこから除去するものであると理解すべきである。そのような保護基の一般的な使用手順および適切な保護基の例は、例えば、”Protective Groups in Organic Synthesis”, T. W. Green, P. G. M. Wuts, Wiley-Interscience, New York, (1999)(参照文献1)に記載されている。他の適切な反応についての参照および記載は、例えば”Advanced Organic Chemistry”, March、第4版, McGraw Hill (1992)(参照文献2)、または”Organic Synthesis”, Smith, McGraw Hill, (1994)(参照文献3)などの有機化学の教科書に記載されている。ピラジン化学の代表的な例については、例えば、”Heterocyclic Chemistry” J.A.Joule, K.Mills, G.F.Smith, 第3版, Chapman and Hall(1995), 189-224頁(参照文献4)および”Heterocyclic Chemistry”, T.L. Gilchrist, 第2版, Longman Scientific and Technical (1992), 248-282(参照文献5)を参照されたい。
【0096】
「室温」および「周囲温度」という用語は、特に明示されていない限り、16〜25℃の温度を意味するものとする。
【0097】
中間体の調製方法
中間体[式中、P、Q、X1、X2、R1、R2、R3、R4、mおよびnは、特に指示しない限り、式Iで定義したとおりである]の調製方法は、以下を含む。
【化4】

【0098】
(i-a)Van Rheenenら, Tetrahedron Letters (1976), 第17巻, 1973頁に記載されているように、または参照文献2に記載されているようにして、式IIの化合物を、例えば触媒量の四酸化オスミウムと、化学量論量の第三級アミンN酸化物と共に反応させて、式IIIaの化合物を得るか、あるいは
(i-b)参照文献2に記載されているようにして、鎖状ジアルデヒドのピナコール環化を行って、式IIIaの化合物を得るか、あるいは
【化5】

【0099】
(i-c)参照文献2に記載されているようにして鎖状ジエステルのアシロイン縮合を行って、式IIIbの化合物を得て、
【化6】

【0100】
(ii)式IIIaまたはIIIbの化合物を、例えばSwern酸化(参照文献1または2)などの当業者に公知の方法により酸化して、式IVの化合物を得る。あるいはまた、例えばHunterら, Tetrahedron Letters (1984), 第25巻, 603-606頁に従って式IIIcの化合物をα-酸化して、式IVの化合物を得る。全ての化合物のR3基は、例えば保護により適当に操作してもよいし、あるいは式Iの化合物を調製する途中のステップの間に導入してもよく、
【化7】

【0101】
(iii-a)例えばJonesら, Med. Chem., (1998), 第41巻, 3062頁に記載されているように、ジクロロメタン、アセトニトリル、DMF、水またはアルコール(メタノールなど)のような適当な溶媒中で、好ましくはジエチルエーテルまたはベンゼン中で、式IVの化合物を、遊離塩基の形態または塩(例えば塩酸塩または臭素酸塩)の形態の式Vの化合物[式中、X1はCH2、OまたはSであり、Rxは分岐していてもよいC1-6アルキル(例えばtert-ブチル)または置換フェニルまたベンジルである]と反応させ、遊離塩基または塩の形態の場合は、式Vの化合物はまず、適切な溶媒(例えばメタノールなどのアルコール、アセトニトリル、ジクロロメタン)中で、好ましくはジエチルエーテルまたはベンゼン中で、場合によってはLewis酸または乾燥剤(例えばモレキュラーシーブ)の存在下で、用いる溶媒および置換基の性質に応じて-20〜120℃の温度にて、適切な塩基(例えば水酸化ナトリウムもしくはカリウム、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン)を用いて中和して、酸素の存在下で自発的に芳香族化した後で、式VIaの化合物を得るか、
あるいはまた、自発的な芳香族化が起こらない場合には、例えばKobayashiら, Tetrahedron, (1999), 第55巻, 13179頁により記載されている方法に従って、金属塩の存在下で、対応する縮合生成物のさらなる酸化を行ってもよく、あるいは
(iii-b)AntoniottiおよびDunach, Tetrahedron Letters, (2002), 第43巻, 3971頁に記載されているように、酸化的条件下で、環状エポキシドを式Vのジアミン化合物と反応させて、式VIaの化合物を得るか(ここで、X1は、縮合の前に、式Vの化合物に付けてもよいし、X1=Oの場合は五硫化リンなどの適切な試薬での処理により(参照文献2または3)、X1=CH2の場合は例えば酸化的オゾン分解条件下での酸化により(参照文献2または3)式VIaの化合物に導入してもよい)、
【化8】

【0102】
あるいは、
(iii-c)例えばHoffmanら, J. Org. Chem., (1990), 第55巻, 2820-2822頁に従って、適切な非プロトン性溶媒(例えばベンゼン、ジクロロメタンまたはジエチルエーテル)中で、式Xのジアミンを式XIIbのトリカルボニル(in situでは塩基での処理により式XIIbの化合物の形態で生じる)と縮合させて、式VIaの化合物[式中、X1は酸素である]を得て、
【化9】

【0103】
(iv)式VIaの化合物を、適切な酸化剤(例えばmCPBA)と反応させて、式VIbのN1酸化化合物を得る。これは、存在する官能基の適合性に応じて合成の後のほうの段階で行ってもよく、
【化10】

【0104】
(v-a)強塩基(例えば水酸化カリウムもしくはリチウム)または酸(例えば塩酸)の存在下で、式VIaまたはXIbの化合物[式中、X1およびRxは上記で定義したとおりである]を反応させて、式VIIの化合物[式中、RyはHまたは式VIIの化合物の塩であり、ここでRyはナトリウムまたはカリウムなどの有機または無機カチオンである]を得るか、あるいは
(v-b)例えばYves, Fortら, J. Org. Chem., (2002), 第67巻, 234頁に記載されているように、式VIIIの化合物[式中、R4は水素である]を、適切なアルキルリチウム試薬(例えばメチルリチウムまたはブチルリチウム)と反応させ、続いて二酸化炭素と反応させて式VIIの化合物を得るか、あるいはアルキルクロロギ酸またはアルキルシアノギ酸と反応
させて式VIaの化合物を得るか、あるいは
(v-c)例えばCoppaら, Tetrahedron Letters, (1992), 第33巻, 3057-3060頁に従って、式VIIIの化合物についてシュウ酸モノエステルとのMinisci反応を行って、式VIaの化合物を得て、
【化11】

【0105】
(vi)式VIIIの化合物は、例えばJustus K. Landquist, J. Chem. Soc., (1953), 2816頁に記載されているように、適切な溶媒(例えばジクロロメタン、アセトニトリル、DMF、水、ジエチルエーテル、ベンゼン、またはメタノールなどのアルコール)中で、式IVの化合物を式IX、XまたはXIの化合物と反応させることにより得ることができ、
【化12】

【0106】
(vii)式XVbの化合物は、参照文献1に記載されているように、アミド形成のための標準的な手順を用いて、例えば化学量論量のN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドを触媒量の1-ヒドロキシベンゾトリアゾールと共に用いて、DMF中で、0〜50℃にて、適切にN保護した式XIIIのアミノ酸を式XIVのアミンとカップリングさせ、続いてその保護基(図中のPG)を除去することにより得ることができる。好ましい保護基の例はBOCであり、
(viii)式XIVのアミン(R2として水素を有する)は、対応するアルデヒドまたはケトンから、ヒドロキシルアミンとの縮合、続いて、得られたオキシムを、例えばエタノール還流下でナトリウムを用いて還元することにより、2ステップで調製できる。あるいはまた、式XIVのアミンは、対応するアルデヒドまたはケトンの還元的アミノ化によって調製でき
る。
【0107】
式Iの最終化合物の調製
本発明のもう1つの目的は、式Iの化合物の調製方法であって、特に指定されていない限り、式中でP、Q、Xl、X2、Rl、R2、R3、R4、mおよびnは式Iで定義したとおりであり、
A:
【化13】

【0108】
式VIIの化合物[式中、RyはHである]を活性化剤(例えば塩化オキソリルまたは塩化チオニル)と反応させ、続いて、非求核性塩基(例えばトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン)の存在下で、適切な溶媒(例えば塩化メチレンまたはジエチルエーテル)中で、得られた酸ハロゲン化物または求核剤活性化酸誘導体を式XIVのアミンで処理して、式Iの化合物を得るか、あるいは、
B:
【化14】

【0109】
適切な溶媒(例えばアセトニトリルまたはDMF)中で、適切な除水性カップリング試薬(例えばHBTUまたはEDC)の存在下で、求核触媒(例えばヒドロキシベンゾトリアゾール)を用いて、または用いずに、非求核性塩基(例えばトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン)を用いて、あるいはアミンカップリングのための他の標準的な方法により、式XIVのアミンを式VIIの化合物[式中、RyはHである]と反応させて、式Iの化合物を得るか、あるいは
C:
【化15】

【0110】
遊離塩基の形態または塩酸塩もしくは臭素酸塩などの塩の形態である式VIaの化合物またはそのNl酸化物(VIb)[式中、RxはC1-6アルキル(tert-ブチルのように分岐鎖状であってもよい)または置換フェニルもしくはベンジルである]を適切なアミン(例えば式XIVの化合物)と反応させて、式Iの化合物を得る。この反応は、ニートで、または適切な溶媒(例えばN,N-ジメチルホルムアミド、塩化メチレンまたは酢酸エチル)を用いて、周囲温度〜+150℃の範囲の温度にて行うことができる。この反応は、塩基(例えば炭酸カリウム、トリエチルアミンまたは1,8-ジアザボシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)または酸(例えばトリメチルアンモニウムまたはp-トルエンスルホン酸)を用いて補助してもよく、
D:
【化16】

【0111】
上記で記載した式VIa〜IVの中間体の形成と同様に、式IVおよび式XVbの中間体の直接縮合を行って、式Iの化合物を得る。
【0112】
本発明はさらに、式VII、XVbおよびXIVの化合物に関するものであり、これらは式Iの化合物の調製における中間体として使用できる。
【0113】
本発明の1つの態様は、式VII:
【化17】

【0114】
[式中、Q、R3、R4、X1およびnは上記で定義したとおりであり、RyはHである]
の化合物に関する。
【0115】
本発明のもう1つの態様は、式XIV:
【化18】

【0116】
[式中、P、R1、R2、X2およびmは上記で定義したとおりである]
の化合物またはその塩に関する。
【0117】
本発明のさらなる態様は、式XVb:
【化19】

【0118】
[式中、P、R1、R2、R4、X2およびmは上記で定義したとおりである]
の化合物またはその塩に関する。
【0119】
本発明はさらに、以下の化合物に関するものであり、これらは式Iの化合物の調製における中間体として使用できる。
【0120】
3-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸エチルエステル、
3-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸、
2,3-ジアミノ-N-(4-メチルーシクロヘキシル)-プロピオンアミド、
4-(tert-ブチル-ジフェニル-シラニルオキシ)-シクロヘキサン-1,2-ジオン、
6,7-ジメチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタピラジン-2-カルボン酸メチルエステル、
5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸メチルエステル、および
5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸。
【実施例】
【0121】
ここで、以下の非限定的な実施例により、本発明を説明する。
【0122】
共通方法
全ての出発物質は、市販されているか、または先の文献に記載されている。1Hおよび13C NMRスペクトルは、Brucker 400またはVarian 400で、それぞれ400MHzおよび100MHzで記録した。質量スペクトルは、エレクトロスプレー(LC-MS;LC:Waters2790、カラムXTerra MS C8 2.5μ×30mm、緩衝液勾配H2O+0.1% TFA:CH3CN+0.04% TFA、MS:マイクロマスZMD)イオン化法を用いて記録した。
【0123】
実施例1
N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド
5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸(100mg)をジクロロメタン(25ml)に溶解させた。trans-メチル-シクロヘキシルアミンHCl(83.6mg)を触媒量のDMAP(スパーテルチップ)と共に添加し、次に氷/水浴で冷却した。EDC(113.1mg)およびトリエチルアミン(80μl)を添加した。室温まで暖めた後、混合物を窒素下で18時間撹拌した。数滴のHCl水溶液を添加した後、混合物を水で2回、希塩化ナトリウム水溶液で1回、続いてブラインで1回洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥して、濃縮後に白色の固体を得た。これを、4gのシリカでヘプタン/酢酸エチル(1/1)を用いて精製して、41.8mg(27%)のN-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミドを得た。1H NMR (CDCl3)δ 9.08,(s,1H),7.58(brd,1H),3.94-3.81(m,1H),2.99(br,2H),2.93(br,2H),2.09-1.86(m,6H),1.79-1.67(br,2H),1.40-1.05(m,5H), 0.89(d,3H)。13C NMR(CDCl3) δ 162.6,156.1,151.0,141.5,140.9,48.3,33.8,33.0,32.11,31.9,31.8,22.4,22.3,22.2。MS(ES)m/z 274(M+1)。
【0124】
5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸メチルエステル
水酸化カリウム(150mg)をメタノール(1ml)に溶解させ、メタノール(1ml)中の2,3-ジアミノ-プロピオン酸メチルエステルジヒドロクロライドの溶液(1ml)に添加した。超音波処理した後、混合物を濾過してメタノール(2ml)中の1,2-シクロヘキサジオン(112mg)の溶液に加えた。この溶液に、4オングストロームMSのビーズを少々添加し、次に3時間にわたり還流加熱した。周囲温度まで冷却した後、濾過によりモレキュラーシーブを除去した。蒸発乾固により固体を得た。これを水およびジエチルエーテルに加え、抽出した。水層をジエチルエーテルでさらに4回抽出した。有機層を回収し、硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発乾固した。シリカゲルでの酢酸エチル/ヘプタン(1/2)を用いるクロマトグラフィーにより精製して、46.4mg(25%)の5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸メチルエステルを得た。1H NMR (CDCl3)δ 8.96(s,1H),3.94(s,3H),2.99(br m,4H),1.91(br m,4H)。13C NMR(CDCl3) δ 194.,157.2,153.1,142.9,139.,52.8,32.2,31.9,22.2,22.0。MS(ES)m/z 193(M+1)。
【0125】
5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸
方法1
水酸化ナトリウム(76.2mg)をメタノール(3ml)に溶解させ、メタノール(8ml)中の5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸メチルエステル(169mg)の溶液に添加し、続いて室温で23時間撹拌した。1N HCl(190ml)および水(50ml)を添加し、続いてメタノールを蒸発させた。この水性混合物をジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固した後、白色の固体が得られた。これを減圧下でさらに乾燥して、100mg(46%)の5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸を得た。1H NMR (CDCl3)δ 9.16(s,1H),3.08(br,2H),3.01(br,2H),1.98(br m,4H) MS(ES)m/z 179(M+1)。
【0126】
方法2
n-BuLi(80ml)をアルゴン雰囲気下で氷/水浴で冷却し、無水ヘキサン(80ml)中のN,N-ジメチルアミノエタノール(10.0ml)の溶液を20分間かけて滴下した。次に、混合物をエタノール/ドライアイス浴で冷却し、その後、ヘキサン(40ml)中の5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン(6.3g)の溶液を添加した。-75〜-78℃で1時間後、反応物をジエチルエーテル中のドライアイス上に注いだ。反応物を-75〜-78℃で30分間保持し、その後、pHが5になるまで1M HCl(水溶液)を添加し、スラリーを室温まで温めた。水層を分離し、ジエチルエーテルで2回抽出し、エーテル相を合わせ、炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出した。次に、これを酸性にし、ジエチルエーテルで3回抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。ヘプタン/酢酸エチル4/1→ニート酢酸エチル→ニートメタノールの勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィーを行って、1.3g、15%の5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸を得た。
【0127】
実施例2
N-(4,4-ジメチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド
水酸化カリウム(47.2g)および5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸メチルエステル(30mg)をメタノール(5ml)に溶解させ、続いて室温で18時間撹拌した。次に、反応混合物を蒸発乾固し、DMF(2ml)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(0.76ml)で処理した。この混合物に、エチルジイソプロピルアミン(0.35ml)を添加し、続いてアミン4,4-ジメチル-シクロヘキシルアミンHCl(33.2mg)、HBTU(60.2mg)および追加のDMF(1ml)を添加した。窒素下で室温にて19時間撹拌した後、反応混合物を蒸発乾固した。ジクロロメタン(20ml)で希釈し、希HClで洗浄し、続いて1M NaOHおよびブラインで洗浄し、続いて有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固後に、粗製物質を得た。これをシリカゲルでのヘプタン/酢酸エチル(3/1)を用いるクロマトグラフィーにより精製した。これにより、31mg(72%)の標題化合物が黄色の油状物として得られた。1H NMR (CDCl3)δ9.09(s,1H),7.66(brd,1H),3.95-3.85(m,1H),2.99(br,2H),2.93(br,2H),1.98-1.79(m,8H),1.54-1.20(m,5H),0.93(d,6H)。13C NMR(CDCl3) δ 162.7,156.1,151.0,141.5,140.9,48.3,37.6,32.1,31.8,29.5,28.7,22.4,22.3。MS(ES)m/z 288(M+1)。
【0128】
実施例3
N-(4,4-ジメチルシクロヘキシル)-3-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド
DMF(1ml)中の3-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸(10.5mg)、HBTU(25mg)およびジイソプロピルエチルアミン(28.5μl)の溶液を5分間撹拌した。次に、4,4-ジメチル-シクロヘキシルアミン塩酸塩(10mg)を添加し、得られた溶液を窒素雰囲気下で3時間撹拌した。反応混合物を2mlの水で希釈し、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機相を1M HCl、NaHCO3(飽和)、水およびブラインで洗浄し、乾燥し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/EtOAc4:1)により、4.1mgの標題化合物が得られた。1H NMR (CDCl3)δ7.85(br,1H),3.79-3.89(m,1H),2.91-2.96(m,4H),2.90(s,3H),1.92(m,4H),1.84(m,2H),1.22-1.50(m,8H),0.95(s,3H),0.93(s,3H)。MS(ES)m/z 302(M+1)。
【0129】
3-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸エチルエステル
アセト酢酸エチル(253μl)を、アセトニトリル(28ml)中の[ヒドロキシ(2,4-ジニトロベンゼンスルホニルオキシ)ヨード]ベンゼン(1030mg)(Koser, G.F.; Wettach, R.H.; J. Org. Chem. 42, 8, (1977), 1476-1478頁を参照)の混合物に添加した。反応混合物を1時間にわたり還流加熱した。反応混合物を冷却し、濃縮した。粗生成物をヘキサンで洗浄し、次にベンゼン(25ml)に溶解させた。トリエチルアミン(1ml)を添加し、得られた赤色の溶液を45分間撹拌した。pTsOH(10mg)を添加し、続いて1,2-アミノシクロヘキサン(cis/trans混合物)(490μl)を添加した。反応混合物を室温にて一夜撹拌し、次に濃縮した。粗生成物を空気中で24時間静置した。生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/EtOAc6:1)で、続いて分取HPLCにより精製して、13.5mgの目的生成物を得た。1H NMR (CDCl3)δ4.45(q,2H),2.96(m,4H),2.73(s,3H),1.92(m,4H),1.41(t,3H)。
【0130】
3-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸
LiOH水和物(3.9mg)を、THF/水1:1(2ml)中の3-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸エチルエステル(13.5mg)の溶液に添加し、得られた溶液を室温にて一夜撹拌した。反応混合物を1M HClで酸性にし、次にエーテルおよびEtOAcで抽出した。有機相を乾燥し、濃縮して、10.5mgの酸を得た。これを次のステップでそのまま用いた。
【0131】
実施例4
8-メチル-N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド
2,3-ジアミノ-N-(4-メチル-シクロヘキシル)-プロピオンアミド(100mg)および3-メチル-シクロヘキサン-1,2-ジオン(63mg)を10mgのPPTS(10mg)と共に、ベンゼン(50ml)中に溶解させた。溶液を一夜にわたり還流し、次いで減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/EtOAc4:1)により、32mgが得られた。1H NMR (CDCl3)δ9.08(s,1H),7.57(bd,1H),3.88(m,1H),3.00(m,3H),2.04(m,4H),1.86(m,1H),1.75(m,2H)1.63(m,1H),1.37(d,3H),1.28(m,2H),1.10(m,2H),0.92(d,3H)。MS(ES)m/z 288(M+1)。
【0132】
2,3-ジアミノ-N-(4-メチル-シクロヘキシル)-プロピオンアミド
BOC2O(17.1g)を、ジオキサン/水1:1(76ml)中のD,L-2,3-ジアミノプロピオン酸(5.0g)およびトリエチルアミン(24.8ml)の溶液に添加した。溶液を一夜撹拌した。EtOAc(100ml)を添加し、水相を1M HClで酸性にした。相を分離させ、有機相をブラインで洗浄し、乾燥し、濃縮して、8.5gの2,3-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ-プロピオン酸を白色の固体として得た。6.0gの生成物をHBTU(8.95g)およびジイソプロピルエチルアミン(10.2ml)と共にDMF(180ml)に溶解させた。得られた溶液を10分間撹拌した後、4,4-ジメチル-シクロヘキシルアミン塩酸塩(3.25g)を添加した。溶液を室温で3.5時間撹拌し、次に250mlのCH2Cl2で希釈した。混合物を1M HCl、水、NaHCO3(飽和)およびブラインで洗浄し、乾燥し、濃縮して、7.63gの粗生成物を得た。これはさらに精製せずに用いた。7.0gのこのカップリング生成物を、30mlの氷冷2.5M HCl/MeOH溶液に添加した。次に、混合物を室温で6時間撹拌した後、1M NaOHで中和した。次に、この水性溶液をCH2Cl2で抽出した。有機相を乾燥し、濃縮して、2.66gを得た。1H NMR (CDCl3)δ7.62(bd,1H),2.98(m,1H),2.64(m,1H),1.72(m,2H),1.63(m,2H),1.28(m,1H),1.15(m,2H),0.94(m,2H),0.84(d,3H)。
【0133】
実施例5
7-ヒドロキシ-5,7-ジメチル-N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピラジン-2-カルボキサミド
2,3-ジアミノ-N-(4-メチル-シクロヘキシル)-プロピオンアミド(100mg)および3,5-ジメチルシクロペンタン-1,2-ジオン(63mg)をPPTS(10mg)と共に、ベンゼン(50ml)に溶解させた。溶液を一夜にわたり還流し、次に減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/EtOAc1:1)により、6.5mgが得られた。1H NMR (CDCl3)δ9.17(s,1H),7.63(bd,1H),3.90(m,1H),3.43(m,1H),2.65(m,1H),2.00-2.11(m,2H),1.80-1.85(m,1H),1.73-1.79(m,2H),1.70(s,3H),1.39(d,3H),1.24-1.36(m,3H),1.06-1.17(m,2H),0.92(d,3H)。MS(ES)m/z 304(M+1)。
【0134】
実施例6
N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピラジン-2-カルボキサミド
ベンゼン(10ml)中の2,3-ジアミノ-N-(4-メチル-シクロヘキシル)-プロピオンアミド(106mg)、シクロペンタン-1,2-ジオン(67mg)およびPPTS(13mg)を、一夜にわたり還流した。冷却後、溶媒を減圧下で除去し、残渣を空気中で72時間静置した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/EtOAc4:1)により、86mgが得られた。1H NMR (CDCl3)δ8.99(s,1H),7.59(bd,1H),3.81-3.91(m,1H),3.00-3.08(m,4H),1.98-2.05(m,2H),1.90(m,2H),1.66-1.76(m,6H),1.29-1.40(m,1H),1.21-1.29(m,2H),1.02-1.14(m,2H),0.88(d,3H)。MS(ES)m/z 288(M+1)。
【0135】
実施例7
7-メチル-N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド
および
6-メチル-N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド
ベンゼン(10ml)中の2,3-ジアミノ-N-(4-メチル-シクロヘキシル)-プロピオンアミド(150mg)、4-メチル-シクロヘキサン-1,2-ジオン(95mg)およびPPTS(13mg)を、一夜にわたり還流した。冷却後、溶媒を減圧下で除去し、残渣を空気中で72時間静置した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/EtOAc4:1)により、19mgの異性体1および10mgの異性体2が得られた。
【0136】
異性体1:1H NMR (CDCl3)δ9.09(s,1H),7.58(d,1H),3.83-3.93(m,1H),3.05-3.11(m,1H),2.92-3.02(m,2H),2.60(dd,1H),1.98-2.07(m,4H),1.70-1.79(m,2H),1.55(m,1H),1.32-1.42(m,1H),1.27(m,2H),1.13(d,3H),1.05-1.11(m,3H),0.91(d,3H)。MS(ES)m/z 288(M+1)。
【0137】
異性体2:1H NMR (CDCl3)δ9.09(s,1H),7.58(d,1H),3.83-3.94(m,1H),2.93-3.12(m,3H),2.56(dd,1H),2.03(m,4H),1.70-1.79(m,2H),1.49-1.59(m,1H),1.33-1.38(m,1H),1.24-1.31(m,2H),1.13(d,3H),1.05-1.13(m,2H),0.91(d,3H)。MS(ES)m/z 288 (M+1)。
【0138】
実施例8
N-(trans-メチルシクロヘキシル)-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピラジン-2-カルボキサミド
ベンゼン(10ml)中の2,3-ジアミノ-N-(4-メチル-シクロヘキシル)-プロピオンアミド(102mg)、シクロペンタン-1,2-ジオン(50mg)およびPPTS(13mg)の溶液を、一夜にわたり還流した。冷却後、溶媒を減圧下で除去し、残渣を空気中で72時間静置した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/EtOAc4:1)により、2.4mgが得られた。1H NMR (CDCl3)δ9.09(s,1H),7.62(s,1H),3.84-3.95(m,1H),3.07(m,3H),2.20-2.31(m,2H),2.00-2.09(m,2H),1.70-1.81(m,2H),1.24-1.34(m,3H),1.05-1.17(m,2H),0.91(d,3H)。MS(ES)m/z 260 (M+1)。
【0139】
実施例9
N-(trans-メチルシクロヘキシル)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[3,4-b]ピラジン-2-カルボキサミド
ベンゼン(15ml)中の2,3-ジアミノ-N-(4-メチル-シクロヘキシル)-プロピオンアミド(154mg)、4-ヒドロキシ-6H-ピラン-3-オン(88mg)およびPPTS(20mg)の溶液を、室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を空気中で72時間静置した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/EtOAc4:1)により、9.6mgのN-(trans-メチルシクロヘキシル)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[3,4-b]ピラジン-2-カルボキサミドおよび11.8mgのN-(trans-メチルシクロヘキシル)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[3,4-b]ピラジン-3-カルボキサミドが得られた。1H NMR (CDCl3)δ9.15(s,1H),7.56(bd,1H),4.86(s,2H),4.10(m,2H),3.84-3.95(m,1H),3.07(t,2H),2.00-2.08(m,2H),1.71-1.79(m,2H),1.34-1.39(m,1H),1.25-1.32(m,2H),1.05-1.17(m,2H),0.91(d,3H)。MS(ES)m/z 276 (M+1)。
【0140】
4-ヒドロキシ-6H-ピラン-3-オン
2,2,6,6-テトラメチル-1-オキソ-ピペリジニウムクロライド(383mg)を、アセトニトリル(2ml)中のテトラヒドロ-4H-ピラン-4-オン(200mg)およびpTsOH(7.6mg)の溶液に0℃でゆっくり添加した。反応混合物を30分間撹拌すると、全部が溶解し、暗橙色が消失した。次に、溶液を15分間還流した。冷却後、エーテルを添加し、塩を濾過により回収した。揮発性成分を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/EtOAc4:1)により、88mgが得られた。1H NMR (CDCl3)δ6.14(t,1H),4.43(dd,2H),4.24(d,2H)。
【0141】
実施例10
N-(trans-メチルシクロヘキシル)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[3,4-b]ピラジン-3-カルボキサミド
実施例9に記載されているようにして調製した。
【0142】
N-(trans-メチルシクロヘキシル)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[3,4-b]ピラジン-3-カルボキサミド
1H NMR (CDCl3)δ9.20(s,1H),7.49(bd,1H),4.82(s,2H),4.11(m,2H),3.85-3.93(m,1H),3.13(t,2H),2.04(m,2H),1.75(m,2H),1.33-1.41(m,1H),1.23-1.32(m,2H),1.05-1.16(m,2H),0.91(d,3H)。MS(ES)m/z 276 (M+1)。
【0143】
実施例11
7-ヒドロキシ-N-(trans-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド
および
6-ヒドロキシ-N-(trans-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド
TBAF(350μl、1.0MのTHF溶液)を、THF(5ml)中の異性体1(106mg)の溶液に滴下した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶液を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機相をブラインおよび水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/EtOAc1:1)により、9mgが得られた。1H NMR (CDCl3)δ9.12(s,1H),7.58(bd,1H),4.36-4.46(m,1H),3.83-3.94(m,1H),3.29(dd,1H),3.18(m,1H),3.04(dd,1H),2.95(m,1H),2.01-2.12(m,4H),1.71-1.80(m,2H),1.35-1.39(m,1H),1.24-1.32(m,2H),1.05-1.17(m,2H),0.91(d,3H)。MS(ES)m/z 290 (M+1)。
【0144】
TBAF(510μl、1.0MのTHF溶液)を、THF(5ml)中の異性体2(151mg)の溶液に滴下した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶液を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機相をブラインおよび水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/EtOAc1:1)により、48mgが得られた。1H NMR (CDCl3)δ9.08(s,1H),7.58(bd,1H),4.39(m,1H),3.86(m,1H),3.16-3.26(m,2H),3.00(m,2H),1.99-2.11(m,4H),1.74(m,2H),1.34-1.39(m,2H),1.23-1.33(m,2H),1.03-1.14(m,2H),0.90(d,3H)。MS(ES)m/z 290 (M+1)。
【0145】
4-(tert-ブチル-ジフェニル-シラニルオキシ)-シクロヘキサン-1,2-ジオン
767mg(4mmol)の2,2,6,6-テトラメチル-1-オキソ-ピペリジニウムクロライド(767mg)を、アセトニトリル/CH2Cl2 4:1(25ml)中の4-(tert-ブチル-ジフェニル-シラニルオキシ)-シクロヘキサノン(1.41g)およびpTsOH(15mg)の溶液に0℃でゆっくり添加した。反応混合物を、全部が溶解するまで撹拌した。次に、反応混合物を90℃で20にわたり加熱し、冷却し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/EtOAc6:1)により、970mgの生成物が、互変異性体の混合物として得られた。これは、そのまま次のステップで用いた。
【0146】
7-(tert-ブチル-ジフェニル-シラニルオキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸(4-メチル-シクロヘキシル)-アミド
および
6-(tert-ブチル-ジフェニル-シラニルオキシ)-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸(4-メチル-シクロヘキシル)-アミド
ベンゼン(50ml)中の2,3-ジアミノ-N-(4-メチル-シクロヘキシル)-プロピオンアミド(500mg)、4-(tert-ブチル-ジフェニル-シラニルオキシ)-シクロヘキサン-1,2-ジオン(970mg、互変異性体の混合物)およびPPTS(13mg)の溶液を、室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を空気中で72時間静置した。フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/EtOAc4:1)により、106mgの異性体1および151mgの異性体2が得られた。
【0147】
異性体1:1H NMR (CDCl3)δ9.11(s,1H),7.67(dd,2H),7.60(dd,2H),7.32-7.43(m,6H),4.35(m,1H),3.90(m,1H),3.18-3.28(m,1H),3.05(m,2H),2.84(m,1H),1.98-2.11(m,3H),1.84-1.94(m,1H),1.75(m,2H),1.29-1.38(m,1H),1.24-1.28(m,3H),1.05-1.16(m,2H),1.01(s,9H),0.91(d,3H)。MS(ES)m/z 528(M+1)。
【0148】
異性体2:1H NMR (CDCl3)δ9.11(s,1H),7.67(dd,2H),7.58(dd,2H),7.32-7.44(m,6H),4.34-4.11(m,1H),3.89(m,1H),3.21-3.31(m,1H),2.99(m,2H),2.89(m,1H),1.98-2.09(m,3H),1.84-1.95(m,1H),1.70-1.80(m,2H),1.22-1.33(m,3H),1.05-1.17(m,2H),1.01(s,9H),0.91(d,3H)。MS(ES)m/z 528 (M+1)。
【0149】
実施例12
N-(4,4-ジメチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド4-オキシド
5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸(4,4-ジメチル-シクロヘキシル)-アミド(13.5mg)およびmCPBA(88.0mg)をジクロロメタン(2ml)に溶解させ、周囲温度で一夜撹拌した。反応混合物を、シリカでヘプタン/酢酸エチル2:1を溶離液として用いて精製した。単離した生成物をジクロロメタンに加え、Na2S2O4水溶液で、次にNaHCO3水溶液で、最後に水で洗浄した。NaSO4で乾燥し、蒸発させ、減圧乾燥した後で、標題化合物が得られた(4.1mg、29%)。1H NMR (CDCl3)δ8.73(s,1H),7.64(br d,1H),3.96-3.80(m,1H),2.99-2.84(br m,4),2.01-1.77(m,2H),1.56-1.26(m,5H),0.94(d,6H)。13C NMR(CDCl3) δ 160.9,155.4,145.4,145.3,131.0,48.7,37.6,31.8,29.7,29.6,28.7,24.0,21.7,21.3。MS(ES)m/z 304(M+1)。
【0150】
実施例13
6,7-ジメチル-N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピラジン-2-カルボキサミド
6,7-ジメチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタピラジン-2-カルボン酸メチルエステル(6mg)をメタノール(1.5ml)に溶解させた。1M 水酸化ナトリウム(50ml)を添加し、反応物を室温で4時間撹拌した。溶液を1M塩酸で酸性にし、メタノールを蒸発させた。水をジエチルエーテルで洗浄し、有機層を乾燥し、濾過し、蒸発させた。この残渣をDMF(1ml)に溶解させたものに、ジイソプロピルエチルアミン(25ml)、HBTU(15.5mg)およびtrans-4-メチルシクロヘキシルアミン(5.2mg)を添加した。反応物を室温で48時間撹拌し、蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル3:1)により精製して、4mgの生成物を得た。1H NMR (CDCl3)δ9.1(s,1H),7.6(d,1H),3.9(m,1H),3.2(dd,1H),2.7(dd,1H),1.4(d,3H),1.3(d,3H),0.95(d,3H)。MS(ES)m/z 288(M+1)。
【0151】
6,7-ジメチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタピラジン-2-カルボン酸メチルエステル
メタノール(0.5ml)中の2,3-ジアミノ-プロピオン酸メチルエステル二塩酸塩(90mg)の混合物を、水酸化カリウムのメタノール溶液(0.5ml中に94mg)で処理し、室温で5分間にわたり強く撹拌した。溶液を濾過し、メタノール(1ml)に溶解させた3,4-ジメチル-シクロペンタン-1,2-ジオン(64mg)で処理した。モレキュラーシーブ(4Å)を添加し、反応物を40時間にわたり還流した。混合物を濾過し、1M 塩酸で酸性にし、水とジエチルエーテルとで分配した。有機層を乾燥し、濾過し、蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル3:1)で精製して、6mgの生成物を得た。1H NMR (CDCl3)δ9.0(s,1H),4.0(s,3H),3.2(dd,1H),2.7(dd,1H),1.4(d,3H),1.3(d,3H)。MS(ES)m/z 207(M+1)。
【0152】
略語
BOC:tert-ブトキシカルボニル
nBu:ノーマルブチル
mCPBA:meta-クロロペルオキシ安息香酸
DMAP:4(N.N-ジメチルアミノ)ピリジン
DMF:ジメチルホルムアミド
EDC:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
HBTU:o-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
PPTS:p-トルエンスルホン酸ピリジニウム
TBAF:フッ化テトラブチルアンモニウム
THF:テトラヒドロフラン
pTsOH:p-トルエンスルホン酸
薬理学
本発明の化合物の薬理学的特性は、機能活性についての標準的なアッセイを用いて分析できる。グルタミン酸受容体アッセイの例は、例えばAramoriら, Neuron 8:757 (1992), Tanabeら, Neuron 8:169 (1992), Millerら, J. Neuroscience 15:6103 (1995), Balazsら, J. Neurochemistry 69:151 (1997)に記載されているように、当業界で周知である。これらの刊行物に記載されている方法論は、参照により本明細書に組み入れられる。好都合には、本発明の化合物は、mGluR5を発現する細胞における細胞内カルシウムの[Ca2+]iの動態を測定するアッセイにより調べることができる。
【0153】
FLIPR分析では、WO97/05252に記載されているようなヒトmGluR5dまたは組換えmGluR1を発現する細胞を、黒色スライドを備えたコラーゲン被覆透明底96ウェルプレートに播種し、播種の24時間後に[Ca2+]iの動態の分析を行った。FLIPR実験は、0.800Wおよび0.4秒CCDカメラシャタースピードに設定されたレーザーを用いて行った。各FLIPR実験は、細胞プレートの各ウェルに160μlの緩衝液を入れて開始させた。化合物をそれぞれ添加した後、蛍光シグナルを1秒間隔で50回、5秒間隔で3回サンプリングした。応答は、サンプリング期間中の応答のピーク高として測定した。EC50およびIC50の決定は、8点濃度応答曲線(CRC)(二連で行ったもの)から得られたデータから行った。アゴニストCRCは、全ての応答を、プレートで見られる最大応答へと変倍することにより作成した。アゴニストチャレンジのアンタゴニストブロックは、同じプレートの14の対照ウェルにおけるアゴニストチャレンジの平均応答に正規化した。
【0154】
WO97/05252に記載されているようにして、イノシトールリン酸(IP3)のターンオーバーに基づいて、mGluR5dまたは組換えmGluR1についての二次機能アッセイを確認している。IP3の蓄積は、受容体媒介ホスホリパーゼCのターンオーバーの指数として測定する。ヒトmGluR5dまたは組換えmGluR1受容体を安定に発現するGHEK細胞を、[3H]ミオ-イノシトールと共に一夜インキュベートし、HEPES緩衝化食塩水中で3回洗浄し、10mMのLiClと共に10分間プレインキュベートした。化合物(アゴニスト)を添加し、37℃で30分間インキュベートした。アゴニスト活性は、試験化合物を15分間プレインキュベートし、次にグルタミン酸(80μM)またはDHPG(30μM)の存在下で30分間インキュベートすることにより測定した。反応は、過塩素酸(5%)を添加することにより停止させた。サンプルを回収し、中和し、重力式(gravity-fed)イオン交換カラムを用いてイノシトールリン酸を分離させた。
【0155】
本発明の化合物を試験するための詳細なプロトコールを、以下のアッセイで示す。
【0156】
グループI受容体アンタゴニスト活性のアッセイ
FLPR分析では、WO97/05252に記載されているようなヒトmGluR5dまたは組換えmGluR1を発現する細胞を、黒色スライドを備えたコラーゲン被覆透明底96ウェルプレートに播種し、播種の24時間後に[Ca2+]iの動態の分析を行った。96ウェルプレート内の細胞培養物に、蛍光カルシウム指示薬フルオ-3(fluo-3)(Molecular Probes, Eugene, Oregon)のアセトキシメチルステル形態の0.01%プロニック中の4μM溶液を加えた。全てのアッセイは、127mMのNaCl、5mMのKCl、2mMのMgCl2、0.7mMのNaH2PO4、2mMのCaCl2、0.422mg/mlのNaHCO3、2.4mg/mlのHEPES、1.8mg/mlのグルコースおよび1mg/mlのBSAフラクションIV(pH 7.4)を含む緩衝液中で行った。FLIPR実験は、0.800Wおよび0.4秒CCDカメラシャタースピードで、励起波長および発光波長がそれぞれ488nmおよび562nmに設定されたレーザーを用いて行った。各FLIPR実験は、細胞プレートの各ウェルに160μlの緩衝液を入れて開始させた。アンタゴニストプレートから40μlを添加した後、アゴニストプレートから50μl添加した。それぞれ添加した後、蛍光シグナルを1秒間隔で50回、5秒間隔で3回サンプリングした。応答は、サンプリング期間中の応答のピーク高として測定した。EC50およびIC50の決定は、8点濃度応答曲線(CRC)(二連で行ったもの)から得られたデータから行った。アゴニストCRCは、全ての応答を、プレートで見られる最大応答へと変倍することにより作成した。アゴニストチャレンジのアンタゴニストブロックは、同じプレートの14の対照ウェルにおけるアゴニストチャレンジの平均応答に正規化した。
【0157】
無傷細胞全体におけるイノシトールリン酸ターンオーバーの測定
ヒトmGluRdまたは組換えmGluR1受容体を安定に発現するGHEKを、24ウェルポリ-L-リシン被覆プレートの1μCi/ウェルの[3H]ミオーイノシトールを含む培地に40×104個/ウェルで播種した。細胞を一夜(16時間)インキュベートし、次に3回洗浄し、1単位/mlのグルタミン酸/ピルビン酸トランスフェラーゼおよび2mMのピルビン酸を補充したHEPES緩衝化食塩水(146mMのNaCl、4.2mMのKCl、0.5mMのMgCl2、0.1%のグルコース、20mMのHEPES、pH7.4)中で37℃で1時間インキュベートした。細胞をHEPES緩衝化食塩水で1回洗浄し、10mMのLiClを含むHEPES緩衝化食塩水中で10分間プレインキュベートした。化合物(アゴニスト)を添加し、37℃で30分間インキュベートした。アンタゴニスト活性は、試験化合物を15分間プレインキュベートし、次にグルタミン酸(80μM)またはDHPG(30μM)の存在下で30分間インキュベートすることにより測定した。反応は、氷上で過塩素酸(5%)を添加することにより停止させ、4℃で少なくとも30分間インキュベートした。サンプルを15mlのファルコンチューブに回収し、下記に記載するようにDowexカラムを用いてイノシトールリン酸を分離させた。
【0158】
重力型イオン交換カラムを用いるイノシトールリン酸のアッセイ
イオン交換カラムの調製
イオン交換樹脂(Dowex AGI-X8ギ酸形態、200〜400メッシュ、BIORAD)を蒸留水で3回洗浄し、4℃で保存した。各カラムに1.6mlの樹脂を加え、3mlの2.5mM HEPES、0.5mM EDTA、pH7.4で洗浄した。
【0159】
a)サンプルの処理
サンプルを15ml容ファルコンチューブに回収し、0.375M HEPES、0.75M KOHで中和した。4mlのHEPES/EDTA(2.5/0.5mM、pH7.4)を添加して、過塩素酸カリウムを析出させた。上清を分取Dowexカラムに加えた。
【0160】
b)イノシトールリン酸の分離
グリセロホスファチジルイノシトールを、8mlの30mMギ酸アンモニウムで溶出させた。全てのイノシトールリン酸を8mlの700mMギ酸アンモニウム/100mMギ酸で溶出させ、溶離液をシンチレーションバイアルに回収した。8mlのシンチラントと混合した溶離液をカウントした。
【0161】
本発明の1つの態様は、グループI mGluR受容体の活性の抑制方法であって、その受容体を含む細胞を有効量の式Iの化合物で処理することを含む上記方法に関する。
【0162】
tlesrに対して活性な化合物のスクリーニング
パブロフの吊り鎖に立つように訓練されている雌/雄両方の成体ゴールデンレトリバーを用いる。粘膜−皮膚食道フィステルを形成し、そのイヌを、実験を行う前に完全に回復させる。
【0163】
運動性の測定
簡単に述べると、約17時間にわたり、水は自由に与えながら絶食させた後、多孔スリーブ/側穴型アセンブリ(Demtsleeve, Adelaide, South Australia)を食道フィステル形成術により導入して、胃圧、下部食道括約筋(LES)圧および食道圧を測定する。アセンブリは、低コンプライアンス灌流ポンプ(Densleeve, Adelaide, South Australia)を用いて水で灌流する。口から空気灌流チューブを通して嚥下を測定し、LESから3cm上部でアンチモン電極でpHをモニタリングする。全てのシグナルは増幅させ、パーソナルコンピューターで10Hzで得る。
【0164】
絶食時の胃/LES相動態活性を差し引いた基礎測定値が得られたら、プラセボ(0.9%のNaCl)または試験化合物を前肢静脈で静脈投与する(i.v.、0.5ml/kg)。i.v.投与の10分後、栄養食(10%のペプトン、5%のD-グルコース、5%のイントラリピッド、pH3.0)をアセンブリの中央孔から100ml/分で最終容量30ml/kgまで胃に注入する。栄養食の注入の後、胃内圧が10±1mmHgとなるまで500ml/分の速度で空気を注入する。次に、その圧力を、さらに空気を注入したり胃から空気を排出させるための注入ポンプを用いて、実験の間中このレベルで維持する。栄養素注入開始から空気注入完了までの実験時間は45分とする。この手順は、信頼性の高いTLESR誘発手段であることが実証されている。
【0165】
TLESRは、1mmHg/秒を超える速度での(胃内圧と比較した場合の)下部食道圧の低下として規定される。弛緩が起こる前には、咽頭シグナルを2秒以下にすべきである。起こった場合、弛緩は嚥下により誘発されたものとして分類する。LESと胃との圧力の差は、2mmHg未満とすべきであり、完全な弛緩の持続時間は1秒より長いものとする。
【0166】
略語
BSA:ウシ血清アルブミン
CCD:電荷結合素子
CRC:濃度応答曲線
DHPG:3,5-ジヒドロキシフェニルグリシン
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
FLIPR:蛍光測定画像解析プレートリーダー
GHEK:GLAST含有ヒト胚腎
GLAST:グルタミン/アスパラギン酸輸送体
HEPES:4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(緩衝剤)
IP3:イノシトール三リン酸
結果
上記で記載したアッセイで測定した場合の典型的なIC50値は、10μM以下である。本発明の1つの態様では、IC50は2μM未満である。本発明の別の態様では、IC50は0.2μM未満である。本発明のさらに別の態様では、IC50は0.05μM未満である。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
Xlは、OまたはSであり;
X2は、結合またはC1-3アルキルであり;
Pは、C3-7シクロアルキルまたはC4-7シクロアルケニルであり;
R1は、水素、C1-6アルキル、シアノ、ハロゲンおよびCl-6アルキルハロであり、1個以上のR1が、互いにまたはPを構成する原子の1個に結合して、架橋またはスピロ環を形成していてもよく;
R2は、水素、C1-3アルキル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、C0-3アルキルアミノ、C0-3アルキルヒドロキシまたはC0-3アルキルジメチルアミノであり;
R4は、水素、C1-3アルキル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、C0-3アルキルアミノ、C0-3アルキルヒドロキシまたはC0-3アルキルジメチルアミノであり;
Qは、C、S、OおよびNから独立して選択される原子を4個、5個、6個または7個含む環であり、これは飽和であっても部分不飽和であってもよく、この環はさらにSO、SO2、CO、シアノおよびCSから独立して選択される基を含んでいてもよく;
R3は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OC1-3アルキルハロ、C1-3アルキルハロ、C1-3アルキル、C1-3アルコキシC0-3アルキル、C0-3アルキルOC2-4アルカノールC1-3アルカノール、アミノ、C1-3アルキルアミノC0-3アルキル、(C1-3アルキル)2アミノC0-3アルキル、アミド、C1-3アルキルアミドC0-3アルキルまたは(C1-3アルキル)2アミドC0-3アルキルであり;
nは、0、1、2、3または4であり;
mは、0、1、2、3または4である]
を有する化合物またはそのNl酸化物、塩、溶媒和物もしくは溶媒塩。
【請求項2】
式I:
【化2】

[式中、
X1は、OまたはSであり;
X2は、結合またはC1-3アルキルであり;
Pは、C3-7シクロアルキルまたはC4-7シクロアルケニルであり;
R1は、水素、C1-6アルキル、シアノ、ハロゲンおよびC1-6アルキルハロであり、1個以上のR1が、互いにまたはPを構成する原子の1個に結合して、架橋またはスピロ環を形成していてもよく;
R2は、水素、C1-3アルキル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシまたはトリフルオロメトキシであり;
R4は、水素であり;
Qは、C、S、OおよびNから独立して選択される原子を4個、5個、6個または7個含む環であり、これは飽和であっても部分不飽和であってもよく、この環はさらにSO、SO2、CO、シアノおよびCSから独立して選択される基を含んでいてもよく;
R3は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、OC1-3アルキルハロ、C1-3アルキルハロ、C1-3アルキル、C1-3アルコキシC0-3アルキル、C1-3アルカノール、シアノ、アミノまたはアミドであり;
nは、0、1、2、3または4であり;
mは、0、1、2、3または4である]
を有する化合物またはそのNl酸化物、塩、溶媒和物もしくは溶媒塩。
【請求項3】
Pが、1個以上のR1で置換されているC3-7シクロアルキルであり、ここでR1は、水素、C1-6アルキル、シアノ、ハロゲンまたはC1-6アルキルハロであり、1個以上のR1が、互いにまたはPを構成する原子の1個に結合して、架橋またはスピロ環を形成していてもよい、請求項1または2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
Pが1個以上のR1で置換されているC5-7シクロアルキルであり、ここでR1はメチルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
X1が酸素である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
X2が結合である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R2が水素である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R4が水素またはメチルである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
Qが、C、OおよびNから独立して選択される原子を5個、6個または7個含む環であり、これは飽和であっても部分不飽和であってもよい、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
R3が水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、C1-3アルキルまたはC1-3アルコキシC0-3アルキルである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
環PのR1とX2との間にtrans関係があり、Pがシクロヘキサンである場合は、RlおよびX2がPのそれぞれ4位および1位に結合している、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド、
N-(4,4-ジメチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド
の化合物またはそれらの塩、溶媒和物もしくは溶媒和塩。
【請求項13】
N-(4,4-ジメチルシクロヘキシル)-3-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド、
8-メチル-N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド、
7-ヒドロキシ-5,7-ジメチル-N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピラジン-2-カルボキサミド、
N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピラジン-2-カルボキサミド、
7-メチル-N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド、
6-メチル-N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド、
N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピラジン-2-カルボキサミド、
N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[3,4-b]ピラジン-2-カルボキサミド、
N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-7,8-ジヒドロ-5H-ピラノ[3,4-b]ピラジン-3-カルボキサミド、
7-ヒドロキシ-N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド、
6-ヒドロキシ-N-(trans-4-メチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド、
N-(4,4-ジメチルシクロヘキシル)-5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン-2-カルボキサミド 4-オキサイド、および
6,7-ジメチル-N-(4-メチルシクロヘキシル)-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピラジン-2-カルボキサミド
の化合物、またはそれらの塩、溶媒和物もしくは溶媒和塩。
【請求項14】
活性成分として治療上有効量の請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物を、1種以上の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤および/または不活性担体と共に含む、医薬組成物。
【請求項15】
グループI mGluR媒介性障害の治療において使用するための、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
治療において使用するための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
グループI mGluR媒介性障害の治療において使用するための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
グループI mGluR媒介性障害を治療するための医薬の製造における、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
グループI mGluR媒介性障害の治療方法であって、そのような治療が必要なヒトを含む哺乳動物に、治療上有効量の請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む上記方法。
【請求項20】
神経学的障害の治療において使用するための、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
精神医学的障害の治療において使用するための、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
慢性および急性の疼痛性障害の治療において使用するための、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
胃腸障害の治療において使用するための、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
グループI mGluR受容体の活性化を抑制する方法であって、その受容体を含む細胞を有効量の請求項1または2に記載の化合物で処理することを含む上記方法。
【請求項25】
請求項1または2に記載の化合物の調製方法であって、特に指定されていない限り、式中でP、Q、Xl、X2、Rl、R2、R3、R4、mおよびnは式Iで定義したとおりであり、
A:
【化3】

式VIIの化合物[式中、RyはHである]を活性化剤と反応させ、続いて得られた酸ハロゲン化物または求核剤活性化酸誘導体を式XIVのアミンで処理して、式Iの化合物を得るか、あるいは、
B:
【化4】

式XIVのアミンを式VIIの化合物[式中、RyはHである]と反応させて、式Iの化合物を得るか、または
C:
【化5】

式VIaの化合物またはそのNl酸化物[式中、RxはC1-6アルキルである]を適切なアミン(例えば式XIVの化合物)と反応させて、式Iの化合物を得るか、あるいは
D:
【化6】

式IVおよび式XVbの中間体の直接縮合を行って、式Iの化合物を得る
ことを含む上記方法。
【請求項26】
5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸メチルエステル、および
5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸
である化合物。
【請求項27】
3-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸エチルエステル、
3-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸、
2,3-ジアミノ-N-(4-メチル-シクロヘキシル)-プロピオンアミド、
4-(tert-ブチル-ジフェニル-シラニルオキシ)-シクロヘキサン-1、2-ジオン、
6,7-ジメチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタピラジン-2-カルボン酸メチルエステル、
5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸メチルエステル、および
5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-カルボン酸
である化合物。
【請求項28】
請求項1に記載の化合物の調製における中間体として使用するための、請求項26および27に記載の化合物。

【公表番号】特表2006−516628(P2006−516628A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503034(P2006−503034)
【出願日】平成16年1月26日(2004.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/002131
【国際公開番号】WO2004/069813
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(500158948)
【出願人】(301037202)エヌピーエス ファーマシューティカルズ インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】