説明

駆動ユニット及びこれを備えた画像形成装置

【課題】装置本体から取り外して床面上等に載置してもモータやギヤの傷付きや変形が発生することがない駆動ユニットを提供すること。
【解決手段】金属プレート25にモータ26及び複数のギヤG1〜G4を配置して成る駆動ユニット24において、前記金属プレート25の一辺を略直角に折り曲げて折曲部25aを形成するとともに、金属プレート25に前記折曲部25a方向へ曲げないでストレートに突出する突片25bを形成する。又、前記モータ25を前記金属プレート25の前記折曲部25aが形成された側とは反対側の面に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属プレートにモータ及び複数のギヤを配置して成る駆動ユニットとこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置においては、感光ドラム等の像担持体上に形成された静電潜像が現像装置にて現像されてトナー像として顕像化され、このトナー像は、搬送ローラによって搬送経路を搬送される用紙等の記録材上に転写装置によって転写される。そして、トナー像が転写された記録材は、定着装置へと搬送され、該定着装置において加熱及び加圧されてトナー像の定着を受けた後、搬送ガイドリブに沿って排紙ローラへと搬送され、該排紙ローラによって本体外へと排出される。
【0003】
ところで、斯かる画像形成装置の像担持体や搬送ローラ、排紙ローラ、現像装置の現像ローラ、定着装置の定着ローラと加圧ローラ等は駆動源であるモータによって回転駆動されるが、モータの回転は複数のギヤを経て像担持体や各種ローラに伝達される。
【0004】
而して、画像形成装置には、モータと複数のギヤを金属プレートに集約的に配置してこれらを駆動ユニットとしてユニット化し、この駆動ユニットを装置本体に組み込む構造を採用したものがある(例えば、特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開平8−248717号公報
【特許文献2】特開2000−131906号公報
【特許文献3】特開2002−304031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の駆動ユニットを装置本体から取り外してこれを床面上等に載置する場合、モータ又はギヤが床面等の直接接触するため、モータやギヤが傷付いたり、変形する等の問題があった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、装置本体から取り外して床面上等に載置してもモータやギヤの傷付きや変形が発生することがない駆動ユニット及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、金属プレートにモータ及び複数のギヤを配置して成る駆動ユニットにおいて、前記金属プレートの一辺を略直角に折り曲げて折曲部を形成するとともに、金属プレートに前記折曲部方向へ曲げないでストレートに突出する突片を形成したことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記モータを前記金属プレートの前記折曲部が形成された側とは反対側の面に取り付けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の駆動ユニットと、該駆動ユニットによって駆動される像担持体、現像装置、搬送ローラ、定着装置を含んで画像形成装置を構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、駆動ユニットを装置本体から取り外し、該駆動ユニットを金属プレートの折曲部を下にして床面上等に載置すると、駆動ユニットは折曲部の端部と突片が床面上に当接した状態で自立するため、モータやギヤが床面等に直接接触することがなく、これらが傷付いたり、変形する等の不具合の発生が防がれる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、ギヤ等に比して高重量物であるモータを金属プレートの折曲部が形成された側とは反対側の面、つまり、駆動ユニットが床面上等で傾いた状態で自立した場合の金属プレートの反傾斜側の面に取り付けたため、駆動ユニットの重量バランスが良好に保たれ、駆動ユニットの倒れが防がれて該駆動ユニットの安定した自立が可能となる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、駆動ユニットのモータ及びギヤの傷付きや変形が防がれるため、安定した画像形成動作が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明に係る画像形成装置の一形態としてのレーザビームプリンタの斜視図、図2は同レーザビームプリンタの側断面図である。
【0015】
先ず、レーザビームプリンタ1の基本構成を図1及び図2に基づいて説明すると、該レーザビームプリンタ1は、箱状の装置本体(筐体)2を備えており、図1に示すように、該装置本体2の上面の中央部には傾斜した凹状の排紙トレイ3が設けられている。そして、装置本体2の前面(図1の手前側が前方)上部には開閉可能な手差しトレイ4(図2には開いている状態が示されている)が設けられ、装置本体2の下部には手前側に引き出すことができる矩形箱状の給紙カセット5が設けられている。
【0016】
次に、レーザビームプリンタ1の内部構造を図2に基づいて説明する。
【0017】
レーザビームプリンタ1は、装置本体2内に設けられた搬送路Lに沿って記録材である用紙を搬送しながら、不図示の端末等から送信される画像データに基づいて用紙に画像を形成するものであって、前記搬送路Lは、側面視略L字状を成して前記排紙トレイ3へと延びている。
【0018】
又、レーザビームプリンタ1は、装置本体2の下部に設けられた給紙部6と、該給紙部6の上方の本体2内の略中央部に設けられた画像形成部7と、該画像形成部7の後方に配された定着部8と、該定着部8上方の装置本体2の上面に設けられた凹状の排紙部9を備えている。
【0019】
上記給紙部6は、用紙を収納するとともに、その用紙を前記画像形成部7に向けて給送するものであって、前記給紙カセット5と前記手差しトレイ4を含んで構成されている。ここで、給紙カセット5は、上面が開放された矩形箱状を成すものであって、その内部には複数枚の用紙が積層状態で収容されている。
【0020】
又、給紙部6には、給紙カセット5内の用紙を1枚ずつ取り出して搬送路Lへと送り出す給紙ローラ10と反転ローラ11が回転可能に設けられており、搬送路Lには、送り出された用紙を一時待機させた後に所定のタイミングで画像形成部7へと供給するレジストローラ12が設けられている。
【0021】
前記画像形成部7は、給紙部6から供給された用紙に画像を形成するものであって、本体2内の略中央部に回転可能に配された像担持体としての感光ドラム13と、その周囲に配置された一次帯電器14、現像装置15、転写ローラ16及びクリーニング装置17と、これらの上方に配置されたレーザスキャナユニット(LSU)18、トナーホッパー19等を備えている。
【0022】
又、前記定着部8は、画像形成部7において用紙に転写されたトナー像を当該用紙に定着させるためのものであって、互いに圧接されて回転する定着ローラ20と加圧ローラ21を備えている。
【0023】
更に、前記排紙部9は、定着部8においてトナー像が定着された用紙を本体2外へと排出するためのものであって、搬送路Lの末端に設けられた一対の排紙ローラ22,23と、搬送路Lを搬送される用紙を前記排紙ローラ22,23へと案内する縦リブ状の搬送ガイドリブ24及び本体2外へと排出される用紙を積載するための前記排紙トレイ3を備えている。
【0024】
次に、以上の構成を有するレーザビームプリンタ1の画像形成動作について説明する。
【0025】
例えばパーソナルコンピュータ(パソコン)等の端末から当該レーザビームプリンタ1にプリント開始信号が送信されると、画像形成部7においては、感光ドラム13は不図示の駆動手段によって図2の矢印方向(時計方向)に回転駆動され、その表面が一次帯電器14によって所定の電位に一様に帯電される。そして、端末から送信された画像データに基づくレーザ光がレーザスキャナユニット18から出力されて感光ドラム13上に照射されると、該感光ドラム13上には静電潜像が形成される。そして、この感光ドラム13上に形成された静電潜像は、現像装置15によって現像剤であるトナーを用いて現像されてトナー像として可視像化される。
【0026】
同時に給紙部6においては、例えば給紙カセット5内に収容された用紙は、給紙ローラ10によって最上位のものから1枚ずつピックアップされ、反転ローラ11を経てレジストローラ12へと搬送される。このとき、給紙ローラ10は、用紙の先端がレジストローラ12に到達するまで駆動力を受けて回転する。
【0027】
レジストローラ12においては、用紙は、一時待機状態とされた後、感光ドラム13上のトナー像に同期する所定のタイミングで画像形成部7へと供給される。このとき、給紙ローラ10は駆動力を受けず、レジストローラ12による用紙の搬送に従動して回転するため、用紙は、給紙ローラ10とレジストローラ12の間で引っ張られる。この状態で用紙にしわが発生するのを防ぐ機能を果たすのが反転ローラ11である。
【0028】
画像形成部7においては、感光ドラム13と転写ローラ16との間の転写ニップへと供給された用紙は、転写ローラ16によって感光ドラム13に押し付けられながら搬送されることによって、その表面(転写面)に感光ドラム13上のトナー像が転写される。そして、トナー像が転写された用紙は、定着部8へと搬送され、この定着部8において定着ローラ20と加圧ローラ21によって挟み込まれて搬送される過程で加熱及び加圧されてトナー像の定着を受ける。尚、用紙へのトナー像の転写後に感光ドラム13の表面に残留するトナー(転写残トナー)はクリーニング装置17によって除去される。
【0029】
而して、定着部8にて表面にトナー像が定着された用紙は、搬送路Lを上方へと搬送され、排紙ローラ22,23によって装置本体2の上部に設けられた排紙トレイ3に排出されて積載され、一連の画像形成動作が終了する。
【0030】
ところで、本実施の形態に係るレーザビームプリンタ1には、後述の駆動ユニット24が本体2に対して着脱可能に組み付けられており、この駆動ユニット24によって前記感光ドラム13、現像装置15の現像ローラ、転写ローラ16、定着部8等が回転駆動される。以下、この駆動ユニット24の詳細を図3〜図8に基づいて説明する。
【0031】
図3は本発明に係る駆動ユニットの正面図、図4は同駆動ユニットを正面側から見た斜視図、図5は同駆動ユニットを背面側から見た斜視図、図6は図5の矢視A方向の図、図7及び図8は同駆動ユニットを装置本体から取り外して床面上に載置した状態を示す側面図である。
【0032】
本発明に係る駆動ユニット24は、金属プレート25にモータ26及び複数のギヤG1〜G9を配置して構成されており、図5に示すように、モータ26の出力軸(モータ軸)26aの端部に形成されたピニオン27はギヤG3とG4に噛合しており、モータ26の回転は、ピニオン27からギヤG3,G2,G1に伝達されてこれらが回転駆動されるとともに、ピニオン27からギヤG4,G5,G6,G7,G8,G9に伝達されてこれらが回転駆動される。尚、各ギヤG1〜G9は、金属プレート25の平面部に垂直に立設された軸28〜38によってそれぞれ回転自在に支持されている。
【0033】
ところで、前記金属プレート25には、その長辺側の一辺(下端部)が図示のように略直角に折り曲げられて折曲部25aが形成されており、該金属プレート25のモータ26が配される側(図3の右側)の下部には、前記折曲部25a方向へ曲げないでストレートに突出する左右2つの突片25bが一体に形成されている。尚、前記折曲部25aの折り曲げ長さに関しては、配置される各ギヤG1〜G9がこれらを折曲部25aの外側から見たときに隠れる長さとし、前記突片25bの長さは折曲部25aの長さより短くすることが好ましい。
【0034】
そして、モータ26は、金属プレート25の前記折曲部25aが形成された側とは反対側の面(ギヤG1〜G9が配される側とは反対側の面)に取り付けられている。このとき、モータ26は、金属プレート25の折曲部25aより近い場所に配置されることがより好ましい。
【0035】
而して、メンテナンス等のために駆動ユニット24を装置本体2から取り外した場合には、図7に示すように、該駆動ユニット24を金属プレート25の折曲部25aを下にして床面FL上等に載置すると、駆動ユニット24は金属プレート25の折曲部25aの端部と突片25bが床面FL上に当接した状態で図示の角度θだけ傾いて自立するため、モータ26やギヤG1〜G9が床面FLに直接接触することがなく、これらが傷付いたり、変形する等の不具体の発生が防がれる。
【0036】
そして、本実施の形態では、ギヤG1〜G9等に比して高重量物であるモータ26を金属プレート25の折曲部25aが形成された側とは反対側の面、つまり、駆動ユニット24が床面FL上等で傾いた状態で自立した場合の金属プレート25の反傾斜側の面に取り付けたため、駆動ユニット24の重量バランスが良好に保たれ、駆動ユニット24の倒れが防がれて該駆動ユニット24の安定した自立が可能となる。尚、図8は図7に示すモータ26よりも大きくて高重量のモータ26’を取り付けて成る駆動ユニット24を床面FL上に載置した状態を示すが、この場合も駆動ユニット24は所定角度傾斜した状態で床面FL上に自立することができる。
【0037】
而して、本発明に係る駆動ユニット24を備えた図1及び図2に示すレーザビームプリンタ1においては、駆動ユニット24のモータ26,26’及びギヤG1〜G9の傷付きや変形が防がれる結果、安定した画像形成動作が可能となる。
【0038】
尚、以上は本発明を特にレーザビームプリンタに適用した形態について説明したが、本発明は、プリンタの他、複写機やファクシミリ装置等の他の任意の画像形成装置及びこれに備えられた駆動ユニットに対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る画像形成装置(レーザビームプリンタ)の斜視図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置(レーザビームプリンタ)の側断面図である。
【図3】本発明に係る駆動ユニットの正面図である。
【図4】本発明に係る駆動ユニットを正面側から見た斜視図である。
【図5】本発明に係る駆動ユニットを背面側から見た斜視図である。
【図6】図5の矢視A方向の図である。
【図7】本発明に係る駆動ユニットを装置本体から取り外して床面上に載置した状態を示す側面図である。
【図8】本発明に係る駆動ユニットを装置本体から取り外して床面上に載置した状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 レーザビームプリンタ(画像形成装置)
2 装置本体
3 排紙トレイ
4 手差しトレイ
5 給紙カセット
6 給紙部
7 画像形成部
8 定着部
9 排紙部
10 給紙ローラ
11 反転ローラ
12 レジストローラ
13 感光ドラム
14 一次帯電器
15 現像装置
16 転写ローラ
17 クリーニング装置
18 レーザスキャナ(LSU)
19 トナーホッパー
20 定着ローラ
21 加圧ローラ
22,23 排紙ローラ
24 駆動ユニット
25 金属プレート
25a 金属プレートの折曲部
25b 金属プレートの突片
26 モータ
26a モータの出力軸(モータ軸)
27 ピニオン
28〜36 軸
FL 床面
G1〜G9 ギヤ
L 搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属プレートにモータ及び複数のギヤを配置して成る駆動ユニットにおいて、
前記金属プレートの一辺を略直角に折り曲げて折曲部を形成するとともに、金属プレートに前記折曲部方向へ曲げないでストレートに突出する突片を形成したことを特徴とする駆動ユニット。
【請求項2】
前記モータを前記金属プレートの前記折曲部が形成された側とは反対側の面に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の駆動ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2記載の駆動ユニットと、該駆動ユニットによって駆動される像担持体、現像装置、搬送ローラ、定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−176121(P2008−176121A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10346(P2007−10346)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】