説明

駆動伝達装置および画像形成装置

【課題】第1駆動伝達部が駆動力を伝達する回転体の速度変動を抑制することができ、かつ、装置の小型化を図ることができる駆動伝達装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1駆動伝達部の感光体ギヤ4Kの回転軸たる第1軸部4bは、第2駆動伝達部のアイドラギヤ9Kを保持する保持部材11の筒状部11aKに対して、隙間を有して貫通している。これにより、現像ローラ81の負荷変動が、アイドラギヤ9K、保持部材11を介して、感光体ギヤ4Kに伝達されることはない。その結果、感光体ギヤ4Kと原動ギヤ3Kとのバックラッシュなどにより、感光体ギヤ4Kに原動ギヤ3Kから駆動力が一瞬伝達されなくなり、感光体24Kに速度変動が生じるのを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動伝達装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置には、感光体や現像ローラなどの複数の回転体を備えており、これら複数の回転体を回転駆動させ、画像を形成している。
特許文献1には、次のような駆動伝達装置が記載されている。すなわち、モータの軸に取り付けられた原動ギヤと、この原動ギヤに噛み合う感光体ギヤなどを有し、感光体に駆動を伝達する第1駆動伝達部、感光体と同じ駆動モータから複数のギヤからなる駆動ギヤ列を介して、感光体とは異なる回転体であるレジストローラと定着ローラとに駆動力を伝達する第2駆動伝達部、感光体と同じ駆動モータから複数のギヤからなる駆動ギヤ列を介して、感光体とは異なる回転体である現像ローラに駆動力を伝達する第3駆動伝達部を有している。
【0003】
この特許文献1に記載の駆動伝達装置は、上記感光体ギヤが固定された回転軸に、第2駆動伝達部の駆動ギヤ列のひとつである薄歯ギヤが固定されている。このように、第2駆動伝達部の少なくとも一つのギヤを、感光体ギヤの回転軸に固定することにより、感光体ギヤの軸方向の投影面積部(感光体ギヤを軸方向から見たとき、感光体ギヤと重なる箇所)を有効利用することができ、駆動伝達装置の小型化を図ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のように、感光体ギヤが固定された回転軸に第2駆動伝達部の駆動ギヤ列のひとつである薄歯ギヤが固定されているため、感光体以外の回転体である定着ローラ、レジストローラの回転負荷などが、上記回転軸を介して感光体に伝達され、感光体が速度変動してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、第1の回転軸が駆動力を伝達する第1の回転体の速度変動を抑制することができる駆動伝達装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、第1の回転体に駆動源の駆動力を伝達する第1の回転軸と、第2の回転体に駆動源の駆動力を伝達する第2の回転軸と、上記第2の回転軸に駆動力を伝達するアイドラギヤとを備えた駆動伝達装置であって、上記第1の回転軸が、その外周に対して隙間を隔ててアイドラギヤを貫通するよう構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1の回転軸が、アイドラギヤと隙間を有して貫通するよう構成したので、アイドラギヤ、第2の回転軸を介して駆動力を伝達する第2の回転体の負荷変動が、上記第1の回転軸を介して第1の回転体に伝達されてしまうことがない。これにより、第1の回転軸が駆動力を伝達する第1の回転体の速度変動を抑制することができる。
また、第1の回転軸がギヤを備える場合には、軸方向から見たとき、アイドラギヤを、上記第1の回転軸のギヤと重なるように配置することができるので、装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図2】プロセスユニットの概略構成図。
【図3】K色駆動伝達装置の正面図。
【図4】K色駆動伝達装置とその周辺の断面図。
【図5】カラー駆動伝達装置の正面図。
【図6】カラー駆動伝達装置とその周辺の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、このプリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット26Y,C,M,Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,C,M,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Kトナー像を形成するためのプロセスユニット26Kを例にすると、図2に示すように、潜像担持体たるドラム状の感光体24K、ドラムクリーニング装置83K、除電装置(不図示)、帯電装置25K、現像装置23K等を備えている。画像形成ユニットたるプロセスユニット26Kは、プリンタ本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
【0010】
上記帯電装置25Kは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体24Kの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体24Kの表面は、レーザー光Lによって露光走査されてK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、図示しないKトナーを用いる現像装置25KによってYトナー像に現像される。そして、後述する中間転写ベルト22上に中間転写される。ドラムクリーニング装置83Kは、中間転写工程を経た後の感光体24K表面に付着している転写残トナーを除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体24Kの残留電荷を除電する。この除電により、感光体24Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色のプロセスユニット(26Y,C,M)においても、同様にして感光体(24Y,C,M)上に(Y,C,M)トナー像が形成されて、後述する中間転写ベルト22上に中間転写される。なお、感光体24Kにおける筒状のドラム部は、中空のアルミ素管のおもて面に有機感光層が被覆されたものである。このドラム部の軸線方向の両端部にそれぞれドラム軸を有するフランジが取り付けられて、感光体24Kを構成している。
【0011】
現像手段たる現像装置23Kは、図示しないKトナーを収容する縦長のホッパ部86Kと、現像部87Kとを有している。ホッパ部86K内には、図示しない駆動手段によって回転駆動されるアジテータ88K、これの鉛直方向下方で図示しない駆動手段によって回転駆動される撹拌パドル89K、これの鉛直方向で図示しない駆動手段によって回転駆動されるトナー供給ローラ80Kなどが配設されている。ホッパ部86K内のKトナーは、アジテータ88Kや撹拌パドル89Kの回転駆動によって撹拌されながら、自重によってトナー供給ローラ80Kに向けて移動する。トナー供給ローラ80Kは、金属製の芯金と、これの表面に被覆された発泡樹脂等からなるローラ部とを有しており、ホッパ部86K内のKトナーをローラ部の表面に付着させながら回転する。
【0012】
現像装置23Kの現像部87K内には、感光体24Kやトナー供給ローラ80Kに当接しながら回転する現像ローラ81Kや、これの表面に先端を当接させる薄層化ブレード82Kなどが配設されている。ホッパ部86K内のトナー供給ローラ80Kに付着したKトナーは、現像ローラ81Kとトナー供給ローラ80Kとの当接部で現像ローラ81Kの表面に供給される。供給されたKトナーは、現像ローラ81Kの回転に伴ってローラと薄層化ブレード82Kとの当接位置を通過する際に、ローラ表面上での層厚が規制される。そして、層厚規制後のKトナーは、現像ローラ81Kと感光体24Kとの当接部である現像領域において、感光体24K表面のK用の静電潜像に付着する。この付着により、K用の静電潜像がKトナー像に現像される。
【0013】
図2を用いてK用のプロセスユニット26Kについて説明したが、Y,C,M用のプロセスユニット26Y,C,Mにおいても、同様のプロセスにより、感光体24Y,C,M表面にY,C,Mトナー像が形成される。
【0014】
先に示した図1において、プロセスユニット26Y,C,M,Kの鉛直方向上方には、光書込ユニット27が配設されている。潜像書込装置たる光書込ユニット27は、画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザー光Lにより、プロセスユニット26Y,C,M,Kにおける感光体24Y,C,M,Kを光走査する。この光走査により、感光体24Y,C,M,K上にY,C,M,K用の静電潜像が形成される。かかる構成においては、光書込ユニット27と、プロセスユニット26Y,C,M,Kとにより、3つ以上の潜像担持体にそれぞれ互いに異なる色の可視像たるY,C,M,Kトナー像を作像する作像手段として機能している。
【0015】
なお、光書込ユニット27は、光源から発したレーザー光(L)を、図示しないポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。LEDアレイの複数のLEDから発したLED光によって光書込を行うものを採用してもよい。
【0016】
プロセスユニット26Y,C,M,Kの鉛直方向下方には、無端状の中間転写ベルト22を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめるベルト装置たる転写ユニット75が配設されている。転写ユニット75は、中間転写ベルト22の他に、駆動ローラ76、テンションローラ20、4つの1次転写ローラ74Y,C,M,K、2次転写ローラ21、ベルトクリーニング装置71、クリーニングバックアップローラ72などを備えている。
【0017】
ベルト部材であり、転写ベルトである中間転写ベルト22は、そのループ内側に配設された駆動ローラ76、テンションローラ20、クリーニングバックアップローラ72及び4つの1次転写ローラ74Y,C,M,Kによって張架されている。そして、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ76の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。
【0018】
4つの1次転写ローラ74Y,C,M,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト22を感光体24Y,C,M,Kとの間に挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト22のおもて面と、感光体24Y,C,M,Kとが当接するY,C,M,K用の1次転写ニップが形成されている。
【0019】
1次転写ローラ74Y,C,M,Kには、図示しない転写バイアス電源によってそれぞれ1次転写バイアスが印加されており、これにより、感光体24Y,C,M,Kの静電潜像と、1次転写ローラ74Y,C,M,Kとの間に転写電界が形成される。なお、1次転写ローラ74Y,C,M,Kに代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
【0020】
Y用のプロセスユニット26Yの感光体24Y表面に形成されたYトナーは、感光体24Yの回転に伴って上述のY用の1次転写ニップに進入すると、転写電界やニップ圧の作用により、感光体24Y上から中間転写ベルト22上に1次転写される。このようにしてYトナー像が1次転写せしめられた中間転写ベルト22は、その無端移動に伴ってM,C,K用の1次転写ニップを通過する際に、感光体24M,C,K上のM,C,Kトナー像が、Yトナー像上に順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト22上には4色トナー像が形成される。
【0021】
転写ユニット75の2次転写ローラ21は、中間転写ベルト22のループ外側に配設されて、ループ内側のテンションローラ20との間に中間転写ベルト22を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト22のおもて面と、2次転写ローラ21とが当接する2次転写ニップが形成されている。2次転写ローラ21には、図示しない転写バイアス電源によって2次転写バイアスが印加される。この印加により、2次転写ローラ21と、アース接続されているテンションローラ20との間には、2次転写電界が形成される。
【0022】
転写ユニット75の鉛直方向下方には、記録紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット41がプリンタの筐体に対してスライド着脱可能に配設されている。この給紙カセット41は、紙束の一番上の記録紙Pに給紙ローラ42を当接させており、これを所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転させることで、その記録紙Pを給紙路に向けて送り出す。
【0023】
給紙路の末端付近には、レジストローラ43,44からなるレジストローラ対が配設されている。このレジストローラ対は、給紙カセット41から送り出された記録部材たる記録紙をローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録紙を上述の2次転写ニップ内で中間転写ベルト22上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙Pを2次転写ニップに向けて送り出す。
【0024】
2次転写ニップで記録紙に密着せしめられた中間転写ベルト22上の4色トナー像は、2次転写電界やニップ圧の影響を受けて記録紙P上に一括2次転写され、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録紙Pは、2次転写ニップを通過すると、2次転写ローラ21や中間転写ベルト22から曲率分離する。そして、転写後搬送路を経由して、定着装置40に送り込まれる。
【0025】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト22には、記録紙に転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト22のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置71によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト22のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ72は、ベルトクリーニング装置71によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
【0026】
定着手段たる定着装置40には、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ45と、定着ローラ45に所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ47とが設けられており、定着ローラ45と加圧ローラ47とによって定着ニップを形成している。定着装置40内に送り込まれた記録紙は、その未定着トナー像担持面を定着ローラ45に密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。
【0027】
図示しないテンキー等からなる操作部に対する入力操作や、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる制御信号などにより、片面プリントモードが設定されている場合には、定着装置40内から排出された記録紙Pは、そのまま機外へと排出される。そして、筐体の上カバーの上面であるスタック部56にスタックされる。
【0028】
本実施形態においては、プロセスユニット26Y,C,M,K、光書込ユニット27でトナー像を形成するトナー像形成手段を構成している。
【0029】
次に、本プリンタの特徴点であるプロセスユニットの感光体、現像ローラに駆動源たるモータの駆動力を伝達する駆動伝達装置について説明する。
本プリンタは、K色のプロセスユニットの感光体や現像ローラに駆動力を伝達するK色駆動伝達装置と、Y,C,M色のプロセスユニットの感光体や現像ローラに駆動力を伝達するカラー駆動伝達装置とを備えている。
【0030】
図3は、K色のプロセスユニット26Kの感光体24Kや現像ローラ81Kに駆動力を伝達するK色駆動伝達装置1Kの正面図であり、図4は、K色駆動伝達装置1Kとその周辺の断面図である。
図4に示すように、装置本体の本体側板13と、支持板12との間に、K色の駆動伝達装置1Kが設けられている。K色の駆動伝達装置1Kは、第1の回転体である感光体24Kに駆動力を伝達する第1駆動伝達部と、第2の回転体である現像ローラに駆動力を伝達する第2駆動伝達部とを有している。第1駆動伝達部は、駆動源たる駆動モータ2Kの駆動力を感光体24Kへ伝達する駆動伝達部材たる感光体ギヤ4Kを有し、第2駆動伝達部は、駆動モータ2Kの駆動力を現像ローラ81Kに伝達する現像駆動ギヤ列を有している。現像駆動ギヤ列は、感光体ギヤ4Kの軸方向幅に収まるよう配置し、駆動伝達装置1Kの軸方向長さの増大を抑制している。
【0031】
駆動源たるK色駆動モータ2Kは、支持板12の背面に取り付けられ、その回転軸を支持板12に形成された不図示の穴に背面から貫通させることで、モータ本体を支持板12の外部に位置させた状態で回転軸2aKの先端側を支持板12と本体側板13との間に位置させている。K色駆動モータ2Kの回転軸は、直接歯切りされて原動ギヤ3Kとなっている。
【0032】
駆動モータ2Kの回転軸の上方には、駆動伝達部材としての感光体ギヤ4Kが配設されている。感光体ギヤ4Kは、円盤状のギヤ部4aKと、第1の回転軸としての第1軸部4bKと、係合部たる凸状カップリング部4cKと、第2軸部4dkとを有し、これらは、それぞれ同じ材料(例えば樹脂材料)からなる一体成形品である。ギヤ部4aKと、軸部4bKと、凸状カップリング部4cKとが一体成形された感光ギヤ4Kとすることで、ギヤの回転軸への取り付け偏心や、凸状カップリングの回転軸への取り付け偏心が発生することがない。これにより、ギヤと凸状カップリングとの回転軸への取り付け偏心に起因する感光体24Kの速度変動をなくすことができる。
【0033】
第2軸部4dKは、ギヤ部4aKの支持板12との対向面の回転中心に設けられており、支持板12に回転自在に支持されている。第1軸部4bKは、ギヤ部4aKの側板13との対向面の回転中心に設けられており、その先端の凸状カップリング4cKが設けられている。
【0034】
感光体ギヤ4Kのギヤ部4aKの半径は、感光体24Kの軸中心から現像ローラ81Kの軸中心の長さよりも大きくなっており、原動ギヤ3Kと噛み合っている。ギヤ部4aKを大径とすることで、一段減速にすることができ、かつ、ギヤ1歯噛み合いに対応する感光体表面上でのピッチ誤差を小さくして、副走査方向の印字濃度むら(バンディング)の影響を少なくすることができる。また、原動ギヤ3Kから感光体24Kに至るまでの減速段数を1段とすることで、部品点数を少なくし低コストにする他、噛み合い誤差や偏心による伝達誤差の要因を少なくすることができる。減速比は、感光体24Kの目標速度とモータ特性との関係から、高効率、高回転精度が得られる速度領域に基づいて決定される。また、凸状カップリング部4cKは、軸の外周に歯が形成された所謂スプライン軸となっている。感光体ギヤ4Kは、ポリアセタール樹脂などといった摩擦係数の比較的小さな樹脂材料からなっている。
【0035】
第2駆動伝達部の現像駆動ギヤ列は、クラッチ7K、アイドラギヤ9K、現像ギヤ10Kを有している。
クラッチ7Kは、原動ギヤ3Kと噛み合う入力ギヤ7aKと、アイドラギヤ9Kと噛み合う出力ギヤ7bKとクラッチ軸7cKとを備えている。クラッチ軸7cKは、支持板12と側板13とに回転自在に支持されている。クラッチ7Kは、図示しない制御部によって電源供給がオンオフ制御されるのに伴って、入力ギヤ7aKの回転駆動力をクラッチ軸7cKに繋いだり、入力ギヤ7aKを空転させたりする。具体的には、クラッチ7Kに電源が供給されると、入力ギヤ7aKの回転駆動力がクラッチ軸7cKに繋がれて、出力ギヤ7bKが回転する。これに対し、クラッチ7Kへの電源供給が切られると、たとえ駆動モータ2Kが回転していても、入力ギヤ7aKがクラッチ軸7cK上で空転するため、出力ギヤ7bKの回転が停止する。
【0036】
アイドラギヤ9Kは、貫通孔を有しており、この貫通孔に保持部材11Kの筒状部11aKを挿入することで、アイドラギヤ9Kは、筒状部11aKの外周面に回転自在に保持される。現像ギヤ10Kは、アイドラギヤ9Kと噛み合うギヤ部10aKと、第2の回転軸としての筒状の凹状カップリング部10bKとを有している。現像ギヤ10Kは、凹状カップリング部10bKの外周面が、本体側板13に設けられた軸受13bKに回転自在に係合することで、本体側板13に回転自在に支持されている。
【0037】
また、本実施形態においては、アイドラギヤ9Kの回転中心と、感光体ギヤ4Kの回転中心を合わせている。アイドラギヤ9Kの回転中心と、感光体ギヤの回転中心とを合わせることにより、アイドラギヤ9Kの貫通孔をなるべく小さくすることができ、アイドラギヤの剛性の低下を抑制することができる。
【0038】
アイドラギヤ9Kを保持する保持部材11Kは、例えば、ポリアセタール樹脂などといった摩擦係数の比較的小さな樹脂材料からなり、本体側板13に取り付けられている。保持部材11Kの筒状部11aKのモータ側の内径は、感光体ギヤ4Kの第1軸部4bKの外径よりも大きくなっており、感光体ギヤ4Kの第1軸部4bKが、保持部材11の筒状部11aKの内周面と隙間を有して貫通している。筒状部11aKよりも感光体側には、筒状部よりも内径が小さい倒れ規制部11eKが設けられている。倒れ規制部11eKは、感光体ギヤ4Kの凸状カップリング部4cKと対向しており、凸状カップリング部4cKが倒れ規制部11eKに突き当たることにより、感光体ギヤ4Kの倒れが抑制される。これにより、凸状カップリング部4cKと凹状カップリング部84Kとの係合をスムーズに行うことができ、プロセスユニット26Kをスムーズに装置本体に装着することができる。また、倒れ規制部11eKの内径は、感光体ギヤ4Kの第1軸部4bKの外径よりも小さくなっている。このため、筒状部11aKの内周面と倒れ規制部11eKとの間に形成される段差部11dkに感光体ギヤ4Kの第1軸部4bKの端面が突き当り、感光体ギヤ4Kの軸方向に移動が規制される。すなわち、上記段差部11dKが、移動規制部として機能する。これにより、感光体ギヤの第2軸部4dKが、支持板12から脱落するの防止することができる。
【0039】
また、保持部材11Kの感光体側には、側板13のモータ側の面と当接する当接面11cKと、側板13の位置決め孔13aKに嵌合する嵌合突起11bKが設けられている。保持部材11Kは、この嵌合突起11bKを位置決め孔13aKに嵌合させ、当接面11cKを側板13のモータ側の面に当接させることにより、側板13に位置決めされて、取り付けられる。これにより、アイドラギヤ9Kが、貫通する第1軸部4bKに対して隙間を有した状態で、回転自在に装置本体に取り付けることができる。
【0040】
K色の感光体24Kの本体側板13側には、凹状カップリング部84Kが設けられており、凹状カップリング84Kの内周面には、内歯が形成されている。凹状カップリング84Kの外周面には、プロセスユニット26Kのケース26aKに設けられた軸受26bKが嵌合しており、軸受26bKの一部は、ケース26aKから突出している。
感光体ギヤ4Kのカップリング部4cKを凸状とし、感光体24K側のカップリング84Kを凹状とすることで、感光体ギヤ4Kのカップリング部を凹状とし、感光体側のカップリングを凸状とする場合に比べて、次の利点がある。すなわち、感光体ギヤ4Kのカップリング部を凹状とし、感光体側のカップリングを凸状とする場合、凸状カップリングが、プロセスユニットのケース26aKから突出し、カップリングの噛み合い位置が、ケース26aKから離れた位置になる。一方、感光体ギヤ4Kのカップリング部を凸状とし、感光体24K側のカップリングを凹状とすることで、カップリングの噛み合い位置をケース26aK側にすることができる。その結果、カップリングの噛み合い位置を感光体側のカップリングを凸状とした場合に比べて、感光体側に近づけることができ、感光体24Kの振れを抑えることができるという利点がある。
【0041】
現像ローラ81Kの回転軸81aKは、ケース26aKに設けられた軸受26cKにより回転自在に支持されており、先端がケース26aKから突出している。現像ローラ81Kの回転軸81aKの本体側板側の先端には、凸状カップリングとしてのスプライン軸部材85Kが設けられている。現像ローラは、感光体ほど速度変動を気にする必要がないので、内歯の成型が難しく、コストが高い凹状カップリングを本体側にすることで、プロセスユニット26Kのコストダウンを図っている。
【0042】
K色のプロセスユニット26Kを装置本体に装着する際、感光体24Kを支持する軸受26bKのケース26aKから突出している部分を、本体側板13の位置決め孔13aKに嵌合させる。これにより、K色のプロセスユニット26Kの装置本体に対する位置決めがなされる。また、このとき、感光体24Kに設けられた凹状カップリング84Kの内歯に、感光体ギヤ4Kの凸状カップリング部4cKの歯が噛み合う。また、現像ローラ81Kの軸81aKに設けられたスプライン軸部材85Kの歯が、現像ギヤ10Kの凹状カップリング部10bKの内歯と噛み合う。本実施形態においては、保持部材11Kの倒れ規制部11eKにより、感光体ギヤ4Kの倒れが規制されているので、感光体24Kに設けられた凹状カップリング84Kを感光体ギヤ4Kの凸状カップリング部4cKにスムーズに挿入することができ、プロセスユニット26Kをスムーズに装置本体に装着することができる。
【0043】
駆動モータ2Kの駆動力は、原動ギヤ3K、感光体ギヤ4K(ギヤ部4bK、第1軸部4bK、凹状カップリング4cK)を介して、感光体24Kに伝達されるとともに、原動ギヤ3、クラッチ7K(入力ギヤ7aK、出力ギヤ7bK)、アイドラギヤ9K、現像ギヤ10K(ギヤ部10aK、凹状カップリング10bk)を介して、現像ローラ81Kに伝達される。このとき、アイドラギヤ9Kが、保持部材11Kの筒状部11aKの外周面を摺動するが、アイドラギヤ9Kおよび保持部材11Kは、摩擦係数の比較的小さな樹脂材料で形成しているので、アイドラギヤ9Kと、筒状部11aKとの磨耗を抑制することができる。また、アイドラギヤ9Kと保持部材11Kの筒状部11aKの外周面との間に、ボールベアリングを設けて、ボールベアリングでアイドラギヤ9Kを保持部材11Kに回転自在に保持してもよい。
【0044】
保持部材11Kで保持するアイドラギヤ9Kは、現像駆動ギヤ列の複数のギヤのうち、最も回転数(rpm)の小さいギヤにするのが好ましい。保持部材11Kに保持されたアイドラギヤ9Kの内周面は、保持部材11の筒状部11aKとの外周面と摺動するため、摺動抵抗がどうしても発生する。保持部材11Kに保持するアイドラギヤ9Kを、最も回転数(rpm)の小さいギヤにすることにより、現像ローラ一回転当たりの筒状部11aK外周面との摺動距離を最も短くすることができる。これにより、伝達効率の悪化や、発熱を抑えることができる。また、アイドラギヤ9Kを、現像駆動ギヤ列の複数のギヤのうち、最もトルクが小さいギヤとなるよう構成してもよい。これにより、保持部材11の筒状部11aKとの外周面と摺動抵抗を、抑えることができ、伝達効率の悪化や、発熱を抑えることができる。
【0045】
また、本実施形態においては、感光体ギヤ4Kの第1の回転軸たる第1軸部4bは、アイドラギヤ9Kを保持する保持部材11の筒状部11aKに対して、隙間を有して貫通している。これにより、現像ローラ81の負荷変動が、アイドラギヤ9K、保持部材11を介して、感光体ギヤ4Kに伝達されることはない。その結果、感光体ギヤ4Kと原動ギヤ3Kとのバックラッシュなどにより、感光体ギヤ4Kに原動ギヤ3Kから駆動力が一瞬伝達されなくなり、感光体24Kに速度変動が生じるのを抑制することができる。
【0046】
また、保持部材11Kの線膨張係数を感光体ギヤの線膨張係数よりも小さい材質とするのがこのましい。保持部材11Kは、上述したようにアイドラギヤ9Kとの摺動による発熱により、温度上昇しやすい。このため、保持部材11Kの線膨張係数を感光体ギヤの線膨張係数よりも小さい材質とすることにより、保持部材が熱膨張して、感光体ギヤと当接してしまうのを抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態においては、アイドラギヤ9Kを、感光体ギヤ4Kのギヤ部4aKよりもプロセスユニット26K側に設けている。本実施形態においては、感光体ギヤ4Kのギヤ部4aKの半径が、感光体24Kの軸中心と現像ローラ81Kの軸中心との距離よりも長くなっている。アイドラギヤ9Kを感光体ギヤ4Kのギヤ部4aKよりもモータ側に設けた場合、アイドラギヤ9Kと現像ギヤ10aKとを噛み合せることができない。その結果、この場合は、感光体ギヤのギヤ部4aKの外側に回転軸を設け、この回転軸にアイドラギヤ9Kと噛み合う第1中継ギヤと、現像ギヤのギヤ部10aKと噛み合う第2中継ギヤとを設ける必要がある。その結果、部品点数の増大、装置の大型化を招くおそれがある。よって、本実施形態のように、アイドラギヤ9Kを、感光体ギヤ4Kのギヤ部4aKよりもユニット26K側に設けることにより、アイドラギヤ9Kを直接、現像ギヤ10Kのギヤ部10aKに噛み合せることができ、アイドラギヤ9Kを感光体ギヤ4Kのギヤ部4aKよりもモータ側に配置した場合に比べて、部品点数の削減、装置の小型化を図ることができる。また、感光体ギヤのギヤ部4aKを、モータの原動ギヤ3Kの根本で噛み合わせることができる。その結果、原動ギヤ3Kの撓みなどの影響を受けにくくすることができ、高精度にモータの回転駆動力を原動ギヤから感光体ギヤのギヤ部4aKへ伝達することができる。
【0048】
次に、カラー駆動伝達装置について説明する。
図5は、カラー駆動伝達装置1YCMの正面図であり、図6は、カラー駆動伝達装置1YCMとその周辺の断面図である。なお、以下の説明では、カラー駆動伝達装置1YCMの特徴点のみを説明し、K色の駆動伝達装置1Kと同じ構成の部分については、説明を省略する。
本実施形態におけるカラー駆動伝達装置1YCMは、装置本体の本体側板13と、支持板12との間に設けられている。カラー駆動伝達装置1YCMは、駆動源たるカラー感光体駆動モータ2aの駆動力をY,C,Mそれぞれの感光体24Y,C,Mへ伝達するカラー感光体駆動ギヤ列を備えた第1駆動伝達部と、駆動源たる現像駆動モータ2bの駆動力をY,C,Mそれぞれの現像ローラ81Y,C,Mへ伝達するカラー現像駆動ギヤ列を備えた第2駆動伝達部とを有している。
【0049】
第1駆動伝達部のカラー感光体駆動ギヤ列は、Y,C,M色の感光体ギヤ4Y,C,Mと、感光体アイドラギヤ17とを備えている。Y,C,M色の感光体ギヤ4Y,C,Mは、K色の感光体ギヤ4Kと同様の構成である。M色の感光体ギヤ4Mのギヤ部4aMと、C色の感光体ギヤ4Cのギヤ部4aCとが、カラー感光体駆動モータ2aの回転軸に形成された原動ギヤ3aと噛み合っている。感光体アイドラギヤ17は、Y色の感光体ギヤ4YとC色の感光体ギヤ4Cとの間に配設され、Y色の感光体ギヤ4Yのギヤ部4aYと、C色の感光体ギヤ4Cのギヤ部4aCと噛み合っている。
【0050】
カラー感光体駆動モータ2aの駆動力が、感光体原動ギヤ3a、M色の感光体ギヤ4Mを介して、M色の感光体24Mに伝達される。また、感光体原動ギヤ3aからC色の感光体ギヤ4Cを介して、C色の感光体24Cに伝達される。また、感光体原動ギヤ3aからC色の感光体ギヤ4C、アイドラギヤ17、Y色の感光体ギヤ4Yを順次介して、Y色の感光体24Yに伝達される。
【0051】
次に、カラー現像駆動ギヤ列について説明する。
現像駆動モータ2bの回転軸に形成された現像原動ギヤ3bには、第1中継ギヤ14と第2中継ギヤ15とが噛み合っている。第1中継ギヤ14には、Y色のアイドラギヤ9Yが噛み合っている。Y色のアイドラギヤ9Yは、K色のアイドラギヤ9Kと同様、Y色の保持部材11Yの筒状部11aYの外周面に回転自在に保持されている。Y色のアイドラギヤ9Yには、Y色の現像ギヤ10Yと噛み合っている。
【0052】
また、第2中継ギヤ15には、C色のアイドラギヤ9Cが噛み合っており、C色のアイドラギヤ9Cは、C色の保持部材11Cの筒状部11aCの外周面に回転自在に保持されている。C色のアイドラギヤ9Cには、C色の現像ギヤ10Cと、第3中継ギヤ16とが噛み合っている。第3中継ギヤ16には、M色のアイドラギヤ9Mが噛み合っており、M色のアイドラギヤ9Mは、M色の保持部材11Mの筒状部11aMの外周面に回転自在に保持されている。M色のアイドラギヤ9Mは、M色の現像ギヤ10Mと噛み合っている。各色の現像ギヤ10Y,C,Mは、K色の現像ギヤ10Kと同様な構成である。
【0053】
現像駆動モータ2bの駆動力が、現像原動ギヤ3b、第1中継ギヤ14、Y色のアイドラギヤ9Y、Y色の現像ギヤ10Yを介してY色の現像ローラ81Yに伝達される。また、現像原動ギヤ3b、第2中継ギヤ15、C色のアイドラギヤ9C、C色の現像ギヤ10Cを介してC色の現像ローラ81Cに伝達される。また、現像原動ギヤ3b、第2中継ギヤ15、C色のアイドラギヤ9C、第3中継ギヤ16、M色のアイドラギヤ9M、M色の現像ギヤ10Mを介してM色の現像ローラ81Mに伝達される。
【0054】
このカラー駆動伝達装置においても、各色の感光体ギヤ4Y,C,Mの第1軸部4bY,C,Mは、各色の保持部材11Y,C,Mの筒状部11aY,C,Mに対して、隙間を有して貫通している。これにより、各色の感光体ギヤ4Y,C,Mに現像ローラ81Y,C,Mの負荷変動が加わることがなくなり、感光体24Y,C,Mの速度変動を抑制することができる。
【0055】
また、各色のアイドラギヤ9Y,C,Mを感光体ギヤのギヤ部4aY,C,Mよりもユニット側に設けることで、感光体ギヤのギヤ部4aY,C,Mの半径が、感光体の軸中心から現像ローラの軸中心までの距離よりも長くても、アイドラギヤ9Y,C,Mを、現像ギヤのギヤ部10aY,C,Mに噛み合せることができる。これにより、部品点数の削減、装置の小型化を図ることができる。また、M色の感光体ギヤ4Mのギヤ部4aMと、C色の感光体ギヤ4Cのギヤ部4aCとを、感光体原動ギヤ3aの根本で噛み合わせることができ、高精度にモータの回転駆動力を感光体原動ギヤ3aからギヤ部4aM,4aCへ伝達することができる。
【0056】
また、カラー駆動伝達装置1YCMは、各色の現像ローラ81Y,C,Mに駆動力を付与する駆動源と、各色の感光体24Y,C,Mに駆動力を付与する駆動源とを異ならせている。これにより、各色の感光体24Y,C,Mに駆動力を伝達する経路と、各現像ローラ81Y,C,Mに駆動力を伝達する経路を完全に別にすることができる。これにより、各色の現像ローラ81Y,C,Mの負荷が、各色の感光体24Y,C,Mの回転に影響を与えることがなくなり、各色の感光体24Y,C,Mの回転速度変動を抑制することができる。
【0057】
また、このカラー駆動伝達装置1YCMにおいても、カラー現像駆動ギヤ列を各色の感光体ギヤ4Y,C,Mの軸方向幅に収めることで、カラー駆動伝達装置1YMCの軸方向の大型化を抑えている。
【0058】
また、このカラー駆動伝達装置1YCMにおいても、各色保持部材11Y,C,Mが保持するアイドラギヤ9Y,C,Mの回転数や負荷トルクを、カラー現像駆動ギヤ列の他のギヤよりも小さくするのが好ましい。これにより、上述同様、伝達効率の悪化や、発熱を抑えることができる。
【0059】
また、このカラー駆動伝達装置1YCMにおいても、各色保持部材11Y,C,Mの線膨張係数を、各感光体ギヤ4Y,M,Cの線膨張係数よりも小さくすることで、保持部材の熱膨張を抑制することができ感光体ギヤと保持部材とが当接するのを抑制することができる。
【0060】
なお、本実施形態の駆動伝達装置は、プロセスユニットの感光体24と現像ローラ81とに駆動モータの駆動力を伝達しているが、現像ローラ81ではなく、帯電ローラ25や供給ローラ80に駆動モータの駆動力を伝達する構成でもよい。また、現像ローラ81に伝達された駆動力をトナー供給ローラ81、帯電ローラ25に伝達する構成でもよい。また、上述では、駆動伝達部を2つ有する駆動伝達装置について、説明したが、3以上駆動伝達部を有してもよい。また、上記では、感光体ギヤの第1軸部は、ひとつのギヤに対して隙間を有して貫通させているが、複数のギヤに対して隙間を有して貫通させてもよい。
【0061】
以上、本実施形態の駆動伝達装置によれば、第1駆動伝達部のギヤである感光体ギヤ部4aと一体で回転する第1の回転軸である第1軸部4bが、アイドラギヤと隙間を有して貫通するよう構成したので、上述したように、感光体の速度変動を抑制することができる。また、ギヤ部4aの軸方向の投影面積部を有効利用することができ、装置の小型化を図ることができる。
【0062】
また、第1駆動伝達部は、駆動源の原動ギヤと噛み合うギヤと、ギヤの回転中心から延びる第1の回転軸と、第1の回転軸の先端に設けられ第1の回転体と係合する係合手段とが一体成形された駆動伝達部材たる感光体ギヤ4を有する。これにより、ギヤの第1の回転軸への取り付け偏心や、凸状カップリングの第1の回転軸への取り付け偏心が発生することがない。これにより、ギヤと凸状カップリングとの第1の回転軸への取り付け偏心に起因する感光体24Kの速度変動をなくすことができる。
【0063】
また、感光体ギヤ4の軸方向範囲内に現像駆動ギヤ列を設けることによって、駆動伝達装置の軸方向の大型化を抑制することができる。
【0064】
第1駆動伝達部以外の駆動伝達部のギヤである現像駆動ギヤ列を、第1駆動伝達部のギヤよりも回転体側に配置することにより、感光体ギヤ4のギヤ部を大口径化した場合において、現像駆動ギヤ列を、第1駆動伝達部のギヤよりもモータ側に配置した場合に比べて、ギヤの数を減らすことができ部品点数を削減することができる。また、装置の大型化を抑制することができるとともに、感光体ギヤ4がモータのギヤ3Kと根元で噛み合わせることができ、高精度に感光体を駆動することができる。
【0065】
また、感光体ギヤ4の第1軸部が隙間を有して貫通するアイドラギヤ9を回転自在に保持する保持部材11を有している。具体的には、保持部材11は、外周面にアイドラギヤを回転自在に保持し、内周面が、感光体の軸部が所定の隙間をもって貫通する筒状部11aを有している。保持部材を装置本体に取り付けることにより、アイドラギヤが、貫通する第1軸部に対して隙間を有した状態で、回転自在に装置本体に取り付けることができる。また、感光体ギヤ4の軸方向の移動を規制する移動規制部としての段差部11dKを有している。これにより、感光体ギヤ4が、支持板12から脱落するのを抑制することができる。
【0066】
また、感光体ギヤ4の倒れを規制する倒れ規制部11eを保持部材11に設けることにより、感光体ギヤ4の凸状カップリング部4cと、感光体の凹状カップリング84とをスムーズに係合させることができ、プロセスユニット26をスムーズに装置本体に装着することができる。
【0067】
上記保持部材11を、感光体ギヤ4の線膨張係数よりも小さな線膨張係数を有する材質で構成することにより、保持部材11が、アイドラギヤ9との摺動による発熱で熱膨張しても、感光体ギヤと当接するの抑制することができる。これにより、感光体ギヤ4が保持部材11と摺動して、感光体ギヤ4の回転速度が変動したりするのを抑制することができる。
【0068】
また、感光体ギヤ4の第1軸部4bが隙間を有して貫通するアイドラギヤを、その他の駆動伝達部の複数のギヤのうち、最も回転数が小さいギヤとしたので、アイドラギヤを保持する保持部材11との摺動距離を最も短くすることができ、伝達効率の悪化や、保持部材11との摺動による発熱を抑えることができる。
【0069】
また、感光体ギヤ4の第1軸部4bが隙間を有して貫通するアイドラギヤを、その他の駆動伝達部の複数のギヤのうち、最も回転数が小さいギヤとしてもよい。かかる構成とすることで、アイドラギヤを保持する保持部材11との摺動抵抗を抑えることができ、伝達効率の悪化や、保持部材11との摺動による発熱を抑えることができる。
【0070】
また、アイドラギヤ回転中心と、感光体ギヤとの回転中心と同じ位置することにより、アイドラギヤの貫通孔を小さくすることができ、アイドラギヤの大型化、強度低下を抑制することができる。
【0071】
また、感光体ギヤの係合部たるカップリング部は、感光体に形成された係合凹部たる凹状カップリング部と係合する凸部を有する凸状カップリング部とした。これにより、感光体側のカップリングを凸状とし、感光体ギヤのカップリングを凹状とした場合に比べて、カップリングの噛み合い位置を感光体側にすることができる。よって、感光体側のカップリングを凸状とし、感光体ギヤのカップリングを凹状とした場合に比べて、感光体に振れを抑制することができる。
【0072】
また、現像駆動ギヤ列に駆動力を伝達する駆動源が、感光体ギヤに駆動力を伝達する駆動源とが異なるので、感光体に、現像ローラの回転負荷の影響が生じることがない。これにより、感光体の回転速度変動を抑制することができる。
【0073】
複数の回転体を有する画像形成装置に上述の駆動伝達装置を用いることにより、装置の大型化を抑制することができる。さらに、第1駆動伝達部が駆動を伝達する回転体を像担持体である感光体とすることにより、感光体の速度変動を良好に抑制することができ、濃度ムラが抑制された画像を得ることができる。
【0074】
また、駆動伝達装置を、装置本体側に設けることで、プロセスユニット側に駆動伝達装置を設けた構成に比べて、プロセスユニットを安価にすることができる。
【符号の説明】
【0075】
1K:K色駆動伝達装置
1YCM:カラー駆動伝達装置
2a:カラー感光体駆動モータ
2b:現像駆動モータ
2K:K色駆動モータ
3K:原動ギヤ
3a:感光体原動ギヤ
3b:現像原動ギヤ
4K,4Y,4C,4M:感光体ギヤ
4aK,4aY,4aC,4aM:ギヤ部
4bK,4bY,4bC,4bM:軸部
4cK,4cY,4cC,4cK:凸状カップリング部
6K,14:第1中継ギヤ
7K:クラッチ
8K,15:第2中継ギヤ
9K,9Y,9C,9M:アイドラギヤ
10K,10Y,10C,10M:現像ギヤ
11K,11Y,11C,11M:保持部材
12:支持板
13:本体側板
13aK,13aY,13aC,13aM:位置決め孔
16:第3中継ギヤ
17:感光体アイドラギヤ
24K,24Y,24C,24M:感光体
26K,26Y,26C,26M:プロセスユニット
81K,81Y,81C,81M:現像ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2003−295552号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回転体に駆動源の駆動力を伝達する第1の回転軸と、
第2の回転体に駆動源の駆動力を伝達する第2の回転軸と、
上記第2の回転軸に駆動力を伝達するアイドラギヤとを備えた駆動伝達装置であって、
上記第1の回転軸が、その外周に対して隙間を隔ててアイドラギヤを貫通するよう構成したことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項2】
請求項1の駆動伝達装置において、
上記第1の回転軸にギヤを設けたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項3】
請求項1または2の駆動伝達装置において、
外周に上記アイドラギヤを回転自在に保持する筒状の保持部材を備え、
上記第1の回転軸が、上記保持部材の内周に対して隙間を隔てて、上記保持部材を貫通するよう構成したことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかの駆動伝達装置において、
上記第1の回転軸と、上記駆動源の原動ギヤと噛み合うギヤと、上記第1の回転軸の先端に設けられ上記第1の回転体と係合する係合手段とが一体成形された駆動伝達部材を有することを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項5】
請求項4の駆動伝達装置において、
少なくとも一つ以上のギヤを介して上記駆動源の駆動力が上記アイドラギヤに伝達され、少なくとも一つ以上のギヤを介して上記アイドラギヤから上記第2回転軸に上記駆動力が伝達されるよう構成されており、
上記アイドラギヤ、上記アイドラギヤに駆動力を伝達するためのギヤ、上記アイドラギヤから上記第2回転軸に上記駆動力を伝達するギヤを、上記駆動伝達部材の軸方向範囲内に配置したことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項6】
請求項4または5の駆動伝達装置において、
少なくとも一つ以上のギヤを介して上記駆動源の駆動力が上記アイドラギヤに伝達され、少なくとも一つ以上のギヤを介して上記アイドラギヤから上記第2回転軸に上記駆動力が伝達されるよう構成されており、
上記アイドラギヤ、上記アイドラギヤに駆動力を伝達するためのギヤ、上記アイドラギヤから上記第2回転軸に上記駆動力を伝達するギヤを、上記駆動伝達部材のギヤよりも第1および第2の回転体側に配置したことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項7】
請求項4乃至6いずれかの駆動伝達装置において、
上記保持部材は、上記第1の回転軸の先端と当接し、上記駆動伝達部材の軸方向の移動を規制する規制部を備えたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項8】
請求項4乃至7いずれかの駆動伝達装置において、
上記保持部材は、上記第1駆動伝達部材の倒れ量を規制する倒れ規制部を備えたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項9】
請求項4乃至8いずれかの駆動伝達装置において、
上記保持部材を、上記駆動伝達部材の線膨張係数よりも小さな線膨張係数を有する材質で構成したことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれかの駆動伝達装置において、
少なくとも一つ以上のギヤを介して上記駆動源の駆動力が上記アイドラギヤに伝達され、少なくとも一つ以上のギヤを介して上記アイドラギヤから上記第2回転軸に上記駆動力が伝達されるよう構成されており、
上記アイドラギヤは、上記アイドラギヤに駆動力を伝達するためのギヤおよび上記アイドラギヤから上記第2回転軸に上記駆動力を伝達するギヤよりも回転数が小さいギヤであることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれかの駆動伝達装置において、
少なくとも一つ以上のギヤを介して上記駆動源の駆動力が上記アイドラギヤに伝達され、少なくとも一つ以上のギヤを介して上記アイドラギヤから上記第2回転軸に上記駆動力が伝達されるよう構成されており、
上記アイドラギヤは、上記アイドラギヤに駆動力を伝達するためのギヤおよび上記アイドラギヤから上記第2回転軸に上記駆動力を伝達するギヤよりもトルクが小さいギヤであることを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項12】
請求項1乃至11いずれかの駆動伝達装置において、
上記第1の回転軸と、上記駆動源の原動ギヤと噛み合うギヤと、上記第1の回転軸の先端に設けられ上記第1の回転体と係合する係合手段とが一体成形された駆動伝達部材を有しており、
上記駆動伝達部材の係合手段を凸形状とし、該係合手段と係合する上記第1の回転体の被係合部を凹形状としたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項13】
請求項1乃至12いずれかの駆動伝達装置において、
上記アイドラギヤの回転中心と、上記第1の回転軸の回転中心とが一致するよう構成したことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項14】
請求項1乃至13いずれかの駆動伝達装置において、
上記第1の回転体を駆動する駆動源と、上記第2の回転体を駆動する駆動源とを異ならせたことを特徴とする駆動伝達装置。
【請求項15】
複数の回転体を有し、これら回転体に駆動源からの駆動力を伝達する駆動伝達手段を備えた画像形成装置において、
上記駆動伝達手段として、請求項1乃至14いずれかの駆動伝達装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項15の画像形成装置において、
上記第1の回転体が像担持体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項15または16の画像形成装置において、
複数の回転体を有し、装置本体に対して着脱可能なユニットを備え、
上記駆動伝達装置は、上記ユニットの複数の回転体に駆動を伝達することを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
請求項17の画像形成装置において、
上記駆動伝達装置を装置本体側に設けたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−208458(P2012−208458A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145656(P2011−145656)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】