説明

駆動信号の設定方法及び液滴吐出装置の駆動方法

【課題】液滴吐出ヘッドにおける各ノズルの吐出特性に起因する液滴吐出量のバラツキを抑制し、均一な膜層を形成することが可能な駆動信号の設定方法及び液滴吐出装置の駆動方法を提供する。
【解決手段】各駆動素子に所定の基準駆動電圧を印加し、各駆動素子に対応するノズルから液滴を吐出させる第1の工程と、各ノズルの液滴吐出量を測定する第2の工程と、各ノズル毎に複数種類の駆動信号の中のいずれかを割り当てる第3の工程と、同一種類の駆動信号が割り当てられたノズルの液滴吐出量が所定の適正量に近づくように、前記駆動信号の電圧値を決定する第4の工程と、各ノズルと当該ノズルに割り当てられた駆動信号の種類との対応関係を示す駆動信号選択データを設定する第5の工程と、前記第4の工程で決定された電圧値を有する各種類の駆動信号の波形データを設定する第6の工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動信号の設定方法及び液滴吐出装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば表示装置用のカラーフィルタ基板に、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタ層を形成する装置として液滴吐出装置(インクジェット装置)が注目されている。この液滴吐出装置は、ピエゾ素子等の圧電素子を駆動することで液滴を吐出可能なノズルが複数形成された液滴吐出ヘッドを備え、この液滴吐出ヘッドを走査させつつ、上記ノズルからカラーフィルタ材料の液滴をカラーフィルタ基板上の画素領域に吐出することによりカラーフィルタ層を形成するものである。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、インク吐出量に対応した複数の駆動電圧波形を発生する共通波形発生手段を備え、当該共通波形発生手段が生成する複数の駆動電圧波形の中から1つの駆動電圧波形を、階調データ信号に基づいて選択して各圧電素子に供給するインクジェットヘッドの駆動装置が開示されている。
【特許文献1】特開平9−174883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液滴吐出ヘッドにおける各ノズルの吐出特性にはバラツキがあるため、同一の駆動信号を全ノズルに対応する圧電素子に印加した場合、駆動信号が吐出特性に適合せずに吐出状態が不良となるノズルが発生する。その結果、各ノズルの液滴吐出量にバラツキが発生し、均一な膜厚のカラーフィルタ層を形成することができず、すじムラなどの表示不良の原因となる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、液滴吐出ヘッドにおける各ノズルの吐出特性に起因する液滴吐出量のバラツキを抑制し、均一な膜層を形成することが可能な駆動信号の設定方法及び液滴吐出装置の駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る駆動信号の設定方法は、複数のノズル及び各ノズルに対応して設けられた駆動素子を有する液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置の前記駆動素子に供給する駆動信号の設定方法であって、各駆動素子に所定の基準駆動電圧を印加し、各駆動素子に対応するノズルから液滴を吐出させる第1の工程と、各ノズルの液滴吐出量を測定する第2の工程と、各ノズル毎に複数種類の駆動信号の中のいずれかを割り当てる第3の工程と、同一種類の駆動信号が割り当てられたノズルの液滴吐出量が所定の適正量に近づくように、前記駆動信号の電圧値を決定する第4の工程と、各ノズルと当該ノズルに割り当てられた駆動信号の種類との対応関係を示す駆動信号選択データを設定する第5の工程と、前記第4の工程で決定された電圧値を有する各種類の駆動信号の波形データを設定する第6の工程とを有することを特徴とする。
このような特徴を有する駆動信号の設定方法によると、各ノズルの液滴吐出量を適正量に近づけることのできる電圧値を有する駆動信号を、各ノズルの吐出特性に応じて割り当てることができる駆動信号選択データ及び波形データを設定できる。従って、このような駆動信号選択データ及び波形データを使用することにより、液滴吐出ヘッドにおける各ノズルの吐出特性に起因する液滴吐出量のバラツキを抑制し、均一な膜層を形成することが可能である。
【0007】
また、前記駆動信号を第1駆動信号〜第n駆動信号のn種類(nは2以上の整数)使用する場合において、前記第3の工程では、前記第2の工程で測定した各ノズルの液滴吐出量の最小値から最大値までの範囲を、各第1駆動信号〜第n駆動信号のそれぞれに1対1に対応付けられた第1分割範囲〜第n分割範囲に均等にn分割し、各第1分割範囲〜第n分割範囲に含まれるノズルに、それぞれの分割範囲に対応する駆動信号を割り当て、前記第4の工程では、各第1分割範囲〜第n分割範囲の中心値が前記適正量になるように、各分割範囲に対応する駆動信号の電圧値を決定することが好ましい。
このような設定方法を採用することにより、簡単且つ短時間で駆動波形選択データ及び波形データを設定することができる。
【0008】
また、前記駆動信号を第1駆動信号〜第n駆動信号のn種類(nは2以上の整数)使用する場合において、前記第3の工程は、前記第2の工程で測定した各ノズルの液滴吐出量の最小値を、前記第1駆動信号の許容バラツキ電圧値に応じて予め設定されている第1バラツキ範囲の最小値に合わせ、当該第1バラツキ範囲内に含まれるノズルを液滴吐出量の小さい順に抽出してノズル数をカウントする工程と、前記ノズル数が、前記第1駆動信号の電流容量に応じて予め設定されている許容最大ノズル数より大きいと判定された場合、前記第1バラツキ範囲内に含まれる前記許容最大ノズル数分のノズルに前記第1駆動信号を割り当てる一方、前記ノズル数が前記許容最大ノズル数以下と判定された場合、前記第1バラツキ範囲内に含まれる前記ノズル数分のノズルに前記第1駆動信号を割り当てる工程とを有し、残ったノズルの液滴吐出量の最小値を、第i駆動信号(iは2からnまでの整数)の許容バラツキ電圧値に応じて予め設定されている第iバラツキ範囲の最小値に合わせ、当該第iバラツキ範囲内に含まれるノズルを液滴吐出量の小さい順に抽出してノズル数をカウントする工程と、前記ノズル数が、前記第i駆動信号の電流容量に応じて予め設定されている許容最大ノズル数より大きいと判定された場合、前記第iバラツキ範囲内に含まれる前記許容最大ノズル数分のノズルに前記第i駆動信号を割り当てる一方、前記ノズル数が前記許容最大ノズル数以下と判定された場合、前記第iバラツキ範囲内に含まれる前記ノズル数分のノズルに前記第i駆動信号を割り当てる工程とをi=2〜nまで繰り返し、前記第4の工程では、各第1駆動信号〜第n駆動信号毎に割り当てられたノズルの液滴吐出量の最小値と最大値との中心値が前記適正量になるように、各駆動信号の電圧値を決定することが好ましい。
このような設定方法を採用することにより、各種類の駆動信号の電流容量を考慮したノズルの割り当てを行うことができ、駆動信号の電圧低下や歪の発生を防止することができる。
【0009】
また、上述した駆動信号の設定方法において、前記駆動信号選択データ及び波形データを液滴吐出ヘッド毎に設定することが好ましい。
各ノズルの吐出特性に起因する液滴吐出量のバラツキは、液滴吐出ヘッド毎に異なるため、駆動信号選択データ及び波形データを液滴吐出ヘッド毎に設定することにより、液滴吐出ヘッド毎に正確に液滴吐出量のバラツキを抑制することができる。
【0010】
また、上述した駆動信号の設定方法において、前記駆動信号選択データ及び波形データを、液滴吐出ヘッドにおける未使用ノズルと使用ノズルとの比率であるノズルデューティに応じて設定することが好ましい。
同一の液滴吐出ヘッドであっても、ノズルデューティの変化によって液滴吐出量のバラツキは変化する。よって、駆動信号選択データ及び波形データをノズルデューティに応じて設定することによって、液滴吐出対象物(カラーフィルタ基板など)の吐出パターンに依存して発生するノズルデューティの変化に対応することができる。
【0011】
また、上述した駆動信号の設定方法において、4種類の駆動信号を用いることが好ましい。
駆動信号の種類を増やすとより精度良く液滴吐出量のバラツキを抑制することができる
が、部品点数の増加に伴い、装置コストの上昇や装置サイズの大型化などの問題が生じる。そこで、少なくとも4種類の駆動信号を使用することにより、各ノズルの吐出特性に起因する液滴吐出量のバラツキを目標レベルまで低減することができるので、必要最小限の部品点数及び装置コストに抑えることができる。
【0012】
また、本発明に係る液滴吐出装置の駆動方法は、複数のノズル及び各ノズルに対応して設けられた駆動素子を有する液滴吐出ヘッドを備える液滴吐出装置の駆動方法であって、
上述した駆動信号の設定方法によって設定された前記駆動信号選択データ及び波形データを用い、前記駆動信号選択データに基づいて、各ノズルに対応する駆動素子に供給する駆動信号の種類を選択し、前記選択された種類の駆動信号を前記波形データに基づいて生成することを特徴とする。
このような特徴を有する液滴吐出装置の駆動方法によると、上述した駆動信号の設定方法によって設定された前記駆動信号選択データ及び波形データを用いるので、液滴吐出ヘッドにおける各ノズルの吐出特性に起因する液滴吐出量のバラツキを抑制し、均一な膜層を形成することが可能である。
【0013】
さらに、本発明に係る駆動信号の設定方法は、複数のノズル毎に設けられた駆動素子にそれぞれ駆動信号を供給して前記ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドの駆動信号の設定方法であって、前記複数のノズルのそれぞれについて、仮条件の前記駆動信号を供給した際の吐出量を測定するA工程と、前記A工程で測定した吐出量に基づいて、前記複数のノズルを、吐出量分布のレンジに関するn個のグループに分類するB工程と、前記n個のグループについて、それぞれ略適正量の吐出量で吐出するための適正条件の前記駆動信号を設定するC工程とを有することを特徴とする。
【0014】
また、上述した駆動信号の設定方法において、前記適正条件の駆動信号は、前記仮条件の駆動信号について電圧成分を補正したものであることが好ましい。
また、上述した駆動信号の設定方法において、前記適正条件は、対応する前記グループに属する前記ノズルの吐出量分布のレンジの中央値が、前記適正量となるための条件であることが好ましい。
また、上述した駆動信号の設定方法において、前記適正条件は、対応する前記グループに属する前記ノズルの平均の吐出量が、前記適正量となるための条件であることが好ましい。
また、上述した駆動信号の設定方法において、前記B工程において、前記n個のグループのそれぞれに属する前記ノズルの数が許容最大ノズル数を超えないように、分類を行うことが好ましい。
また、上述した駆動信号の設定方法において、前記B工程において、前記n個のグループのそれぞれに係る吐出量分布のレンジが等しくなるように、分類を行うことが好ましい。
また、上述した駆動信号の設定方法において、液滴吐出ヘッドにおける未使用ノズルと使用ノズルとの比率であるノズルデューティに応じて、前記B工程および前記C工程を行うことが好ましい。
また、上述した駆動信号の設定方法において、前記nは4であることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明に係る液滴吐出装置の駆動方法は、複数のノズル毎に設けられた駆動素子にそれぞれ駆動信号を供給して前記ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドの駆動方法であって、請求項8ないし15のいずれか一項に記載の駆動信号の設定方法を用いて、前記n個のグループのそれぞれに係る前記駆動信号を設定するD工程と、前記D工程で設定された条件の前記駆動信号を、対応する前記グループに属する前記ノズルに供給して、前記液滴を吐出するE工程とを有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明に係る駆動信号の設定方法及び液滴吐出装置の駆動方法の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における液滴吐出装置IJの構成概略図である。本液滴吐出装置IJは、例えばインクジェット方式によりカラーフィルタ基板(液滴吐出対象物)上にカラーフィルタ材料の液滴を吐出してカラーフィルタ層を形成する装置である。図1に示すように、本液滴吐出装置IJは、装置架台1、ワークステージ2、ステージ移動装置3、キャリッジ4、液滴吐出ヘッド5、キャリッジ移動装置6、チューブ7、第1タンク8、第2タンク9、第3タンク10及び制御装置11から構成されている。
【0017】
なお、以下の説明においては、図1中に示されたXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がワークステージ2に対して平行となるよう設定され、Z軸がワークステージ2に対して直交する方向に設定されている。図1中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。
【0018】
装置架台1は、ワークステージ2及びステージ移動装置3の支持台である。ワークステージ2は、装置架台1上においてステージ移動装置3によってX軸方向に移動可能に設置されており、上流側の搬送装置(図示せず)から搬送されるカラーフィルタ基板Pを、真空吸着機構によりXY平面上に保持する。ステージ移動装置3は、ボールネジまたはリニアガイド等の軸受け機構を備え、制御装置11から入力される、ワークステージ2のX座標を示すステージ位置制御信号に基づいて、ワークステージ2をX軸方向に移動させる。
【0019】
キャリッジ4は、液滴吐出ヘッド5を保持するものであり、キャリッジ移動装置6によってY軸方向及びZ軸方向に移動可能に設けられている。液滴吐出ヘッド5は、図2(a)に示すように、Y軸方向に対して平行に複数(例えば180個)のノズルN〜N180を備えており、制御装置11から入力される描画データや駆動制御信号に基づいて、カラーフィルタ材料の液滴を吐出する。この液滴吐出ヘッド5は、カラーフィルタ材料のR(赤)、G(緑)、B(青)に対応して設けられており、それぞれの液滴吐出ヘッド5はキャリッジ4を介してチューブ7と連結されている。そして、R(赤)に対応する液滴吐出ヘッド5はチューブ7を介して第1タンク8からR(赤)用のカラーフィルタ材料の供給を受け、G(緑)に対応する液滴吐出ヘッド5はチューブ7を介して第2タンク9からG(緑)用のカラーフィルタ材料の供給を受け、また、B(青)に対応する液滴吐出ヘッド5はチューブ7を介して第3タンク10からB(青)用のカラーフィルタ材料の供給を受ける。
【0020】
図2(b)に、液滴吐出ヘッド5の詳細構成図を示す。この図2(b)に示すように、液滴吐出ヘッド5は、チューブ7と連結される材料供給孔20aが設けられた振動板20と、ノズルN〜N180が設けられたノズルプレート21と、これら振動板20とノズルプレート21との間に設けられた液溜まり22、複数の隔壁23、及び複数のキャビティ24から構成されている。また、振動板20上には、各ノズルN〜N180に対応して圧電素子PZ〜PZ180が配置されている。これら圧電素子PZ〜PZ180は、例えばピエゾ素子である。
【0021】
液溜まり22には、材料供給孔20aを介して供給される液状のカラーフィルタ材料が充填される。キャビティ24は、振動板20と、ノズルプレート21と、1対の隔壁23とによって囲まれるようにして形成されおり、各ノズルN〜N180に1対1に対応して設けられている。また、各キャビティ24には、一対の隔壁23の間に設けられた供給口24aを介して、液溜まり22からカラーフィルタ材料が導入される。
【0022】
図2(c)は、液滴吐出ヘッド5の1ノズル分(ノズルN)の正面断面図である。図
2(c)に示すように、圧電素子PZは、圧電材料25を一対の電極26で挟持したも
のであり、一対の電極26に駆動信号を印加すると圧電材料25が収縮するよう構成され
たものである。そして、このような圧電素子PZが配置されている振動板20は、圧電
素子PZと一体になって同時に外側(キャビティ24の反対側)へ撓曲するようになっ
ており、これによってキャビティ24の容積が増大するようになっている。従って、キャ
ビティ24内に増大した容積分に相当するカラーフィルタ材料が、液溜まり22から供給
口24aを介して流入する。また、このような状態から圧電素子PZへの駆動信号の印
加を停止すると、圧電素子PZと振動板20はともに元の形状に戻り、キャビティ24
も元の容積に戻ることから、キャビティ24内のカラーフィルタ材料の圧力が上昇し、ノ
ズルNからカラーフィルタ基板Pに向けてカラーフィルタ材料の液滴Lが吐出される。
【0023】
なお、液滴吐出ヘッド5に設けるノズル数は任意に変更可能であり、ノズルをY軸方向
に対して平行に一列だけでなく複数列設けても良い。また、キャリッジ4内に配置する液
滴吐出ヘッド5の数も任意に変更可能である。さらに、キャリッジ4をサブキャリッジ単位で複数設けるような構成としても良い。
【0024】
また、図1及び図2では図示を省略したが、上述した圧電素子PZ〜PZ180に駆動信号を供給するための駆動回路基板30(図3参照)が液滴吐出ヘッド5に対応して設けられている。この駆動回路基板30は、制御装置11とPCIバスによって接続されており、制御装置11から入力される描画データや駆動制御信号に基づいて、各圧電素子PZ〜PZ180に印加する駆動信号の選択、駆動信号の生成、吐出タイミングの制御などを行う。この駆動回路基板30の詳細については後述する。
【0025】
図1に戻って説明すると、キャリッジ移動装置6は、装置架台1を跨ぐ橋梁構造をしており、Y軸方向及びZ軸方向に対してボールネジまたはリニアガイド等の軸受け機構を備え、制御装置11から入力される、キャリッジ4のY座標及びZ座標を示すキャリッジ位置制御信号に基づいて、キャリッジ4をY軸方向及びZ軸方向に移動させる。チューブ7は、第1タンク8、第2タンク9及び第3タンク10とキャリッジ4(液滴吐出ヘッド5)とを連結するカラーフィルタ材料の供給用チューブである。第1タンク8は、R(赤)用のカラーフィルタ材料を貯蔵すると共に、チューブ7を介してR(赤)に対応する液滴吐出ヘッド5にカラーフィルタ材料を供給する。第2タンク9は、G(緑)用のカラーフィルタ材料を貯蔵すると共に、チューブ7を介してG(緑)に対応する液滴吐出ヘッド5にカラーフィルタ材料を供給する。第3タンク10は、B(青)用のカラーフィルタ材料を貯蔵すると共に、チューブ7を介してB(青)に対応する液滴吐出ヘッド5にカラーフィルタ材料を供給する。
【0026】
制御装置11は、ステージ移動装置3にステージ位置制御信号を出力し、キャリッジ移動装置6にキャリッジ位置制御信号を出力すると共に、液滴吐出ヘッド5の駆動回路基板30に描画データ及び駆動制御信号を出力して、液滴吐出ヘッド5による液滴吐出動作、ワークステージ2の移動によるカラーフィルタ基板Pの位置決め動作、キャリッジ4の移動による液滴吐出ヘッド5の位置決め動作の同期制御を行うことにより、カラーフィルタ基板P上の所定の位置にカラーフィルタ材料の液滴を吐出する。
【0027】
次に、駆動回路基板30、液滴吐出ヘッド5の回路構成について詳細に説明する。なお、1つの液滴吐出ヘッド5に対して1つの駆動回路基板30が設けられているが、R(赤)、G(緑)、B(青)のそれぞれに対応する液滴吐出ヘッド5及び駆動回路基板30は全て同一構成であるため、以下では便宜上、1つの液滴吐出ヘッド5及び駆動回路基板30を用いて説明する。
【0028】
図3に示すように、駆動回路基板30は、インターフェース31、描画データメモリ32、アドレス変換回路33、第1の駆動波形メモリ34、第2の駆動波形メモリ35、第1のD/Aコンバータ36、第2のD/Aコンバータ37、第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39を備えている。また、液滴吐出ヘッド5は、COM選択回路40、スイッチング回路50及び圧電素子PZ〜PZ180からなる圧電素子群60を備えている。なお、圧電素子PZ〜PZ180は、図3に示すようにコンデンサとして標記することができる。
【0029】
制御装置11と駆動回路基板30のインターフェース31とは図示しないPCIバスで接続されており、制御装置11からPCIバスを介して、描画データSIと、駆動制御信号としてクロック信号CLK、ラッチ信号LT、DACクロック信号CLK1及びCLK2、描画データアドレス信号AD1、描画データライトイネーブル信号WE1、駆動波形データ信号WD、波形データアドレス信号AD2、波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS1及びCS2、アウトプットイネーブル信号OE1及びOE2がインターフェース31に出力される。
【0030】
インターフェース31は、描画データSI、描画データライトイネーブル信号WE1、描画データアドレス信号AD1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1を描画データメモリ32に出力する。また、インターフェース31は、クロック信号CLK及びラッチ信号LTを液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40及びスイッチング回路50に出力する。また、インターフェース31は、DACクロック信号CLK1を第1のD/Aコンバータ36及び第3のD/Aコンバータ38に出力し、DACクロック信号CLK2を第2のD/Aコンバータ37及び第4のD/Aコンバータ39に出力する。また、インターフェース31は、波形データライトイネーブル信号WE2、波形データアドレス信号AD2、駆動波形データ信号WD、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2を第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に出力する。
【0031】
描画データメモリ32は、例えば32ビットのSRAMであり、描画データライトイネーブル信号WE1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1によってデータ書き込みが要求されている場合、描画データアドレス信号AD1が指定するアドレスに描画データSIを記憶する。ここで、描画データSIは、吐出データSIA及びCOM選択データSIB(駆動信号選択データ)から構成される。吐出データSIAとは、カラーフィルタ基板P上に形成された画素パターンをマトリクス状に区分し、このマトリクスを構成する各ドット毎に、液滴を吐出するか否かを規定する2値データをマッピングしたビットマップデータである。このマトリクスのY軸方向のドットピッチは、液滴吐出ヘッド5のノズルピッチと対応しており、つまり上記の吐出データSIAは、液滴吐出ヘッド5を所定の位置に移動させた場合に、各ノズルN〜N180に対応する圧電素子PZ〜PZ180に駆動信号を供給するか否かを規定するデータである。
【0032】
本実施形態では、圧電素子PZ〜PZ180に駆動信号を供給するか否かを規定するために2ビットのデータを使用する。この2ビットのデータの内、上位ビットをSIH、下位ビットをSILと呼び、(SIH、SIL)=(0、0)の場合は、駆動信号の非供給(非吐出)を規定するものとし、(SIH、SIL)=(0、1)、(1、0)、(1、1)の場合は、駆動信号の供給(吐出)を規定するものとする。つまり、圧電素子PZ〜PZ180の各々に対応するSIHデータ(SIH〜SIH180)と、SILデータ(SIL〜SIL180)とが吐出データSIAに含まれている。このような吐出データSIAは、カラーフィルタ基板Pの画素パターンに応じて異なるため、画素パターンの数に対応して制御装置11から送られ、描画データメモリ32に記憶される。なお、本実施形態では、圧電素子PZ〜PZ180に駆動信号を供給するか否かを規定するために2ビットのデータを使用したが、これに限らず、1ビットのデータを用いても勿論良い。
【0033】
一方、COM選択データSIBとは、各圧電素子PZ〜PZ180に供給する駆動信号の種類を規定するデータである。本実施形態では、各圧電素子PZ〜PZ180毎に4種類の駆動信号の中から1つの駆動信号を選択して供給する。また、本実施形態では、4種類の駆動信号をそれぞれCOM1、COM2、COM3、COM4と呼ぶ。つまり、COM選択データSIBは、各圧電素子PZ〜PZ180に印加する駆動信号としてCOM1、COM2、COM3、COM4のいずれかを規定するデータである。さらに、このCOM選択データSIBには、各駆動信号COM1、COM2、COM3、COM4の波形(駆動波形)を規定するための駆動波形番号データWNが含まれている。
【0034】
本実施形態では、駆動信号を4種類の中から選択するため、駆動信号を規定するには2ビットのデータが必要である。本実施形態では、駆動信号を規定する2ビットのデータの内、上位ビットをWSH、下位ビットをWSLと呼び、(WSH、WSL)=(0、0)の場合はCOM1を規定するものとし、(WSH、WSL)=(0、1)の場合はCOM2を規定するものとし、(WSH、WSL)=(1、0)の場合はCOM3を規定するものとし、(WSH、WSL)=(1、1)の場合はCOM4を規定するものとする。つまり、圧電素子PZ〜PZ180の各々に対応するWSHデータ(WSH〜WSH180)と、WSLデータ(WSL〜WSL180)とがCOM選択データSIBに含まれている。また、本実施形態では、駆動信号COM1〜COM4の駆動波形の組み合わせを64種類の中から1つ選択できるものとする。つまり、駆動波形を規定するための駆動波形番号データWNは6ビットのデータである。
【0035】
上記のCOM選択データSIBは、液滴吐出ヘッド5の各ノズルN〜N180の液滴吐出量のバラツキ特性に応じて設定される。図4に、液滴吐出量のバラツキ分布の一例を示す。図4において、横軸はノズル番号、縦軸は液滴吐出量(重量)である。なお、液滴吐出ヘッド5の特性上、両端のノズル(ノズルN〜N及びノズルN171〜N180)では液滴吐出量のバラツキが非常に大きいため、これらのノズルのバラツキ分布を省略している。実際に液滴吐出ヘッド5を使用する場合でも、180個のノズルの内、ノズルN10〜N170の160個が使用される。
【0036】
図4に示すような液滴吐出量のバラツキを補正するためには、各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正重量に近づくように、各圧電素子PZ10〜圧電素子PZ170に供給する駆動信号を変えれば良い。例えば、図4に示すように、バラツキ分布1において適正重量から大きくずれているノズルの液滴吐出量を適正重量に補正するには、このノズルに対応する圧電素子に供給する駆動信号の電圧値を大きくすれば良い。
【0037】
実際には、事前に(例えば本液滴吐出装置IJの出荷検査時などに)、図4に示すような液滴吐出量のバラツキ分布(吐出量分布)を測定し、各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正重量に近づくような各圧電素子PZ10〜PZ170の駆動信号を求める。原理的には、各圧電素子PZ10〜PZ170毎に求めた駆動信号を用意して供給すれば良いが、その場合、駆動信号を最大で160種類も用意しなければならず、部品点数の増加、装置コストの増大、駆動回路基板30の大型化及び消費電力の増大などの問題が生じるため、現実的には実現困難である。そこで、本実施形態では、4種類の駆動信号を使用して各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正重量に近づくように設定する。これは、少なくとも4種類の駆動電信号を使用することにより、液滴吐出量のバラツキをすじムラとして人に視認されないレベル(バラツキ1.2%以内)まで抑えることができるためである。このように求めた4種類の駆動信号をCOM1〜COM4としてCOM選択データSIBに設定する。以下、COM選択データSIB及び駆動波形データの設定方法(駆動信号の設定方法)の具体例について説明する。
【0038】
(COM選択データSIB及び駆動波形データの設定方法の具体例1)
最初に、COM選択データSIBの設定方法の具体例1について図5のフローチャートを用いて説明する。まず、事前に、各圧電素子PZ10〜PZ170に所定の基準駆動電圧V0(仮条件の駆動信号)を印加し、図6に示すようなノズルN10〜N170の液滴吐出量のバラツキ分布を測定する(本発明のA工程としてのステップS1)。そして、バラツキ分布における最小重量から最大重量までのレンジを均等に4分割してレンジ1、レンジ2、レンジ3、レンジ4を設定し、レンジ1〜4にそれぞれ含まれるノズルをグループ化する(本発明のB工程としてのステップS2)。次に、下記(1)式に基づいて、各レンジ1〜4に係るグループ毎にCOM設定電圧を算出し、レンジ1のグループについて算出したCOM設定電圧をCOM1、レンジ2のグループについて算出したCOM設定電圧をCOM2、レンジ3のグループについて算出したCOM設定電圧をCOM3、レンジ4のグループについて算出したCOM設定電圧をCOM4と設定する(本発明のC工程としてのステップS3)。なお、下記(1)式において、Kは液滴重量を電圧値に変換するための定数である。また、下記(1)式において、「レンジの中心重量(グループ内の全ノズルにおける吐出量の中央値)」を「各レンジ内における全ノズルの平均重量(グループ内の全ノズルにおける吐出量の平均値)」に替えても良い。
COM設定電圧=V0−K・(レンジの中心重量−適正重量) ・・・・(1)
【0039】
そして、レンジ1に含まれるノズルにCOM1を割り当て(ステップS4)、レンジ2に含まれるノズルにCOM2を割り当て(ステップS5)、レンジ3に含まれるノズルにCOM3を割り当て(ステップS6)、レンジ4に含まれるノズルにCOM4を割り当てる(ステップS7)。以上のように求めたノズルとCOM1〜COM4との対応関係に基づきCOM選択データSIBを設定する(ステップS8)。図7は、上記のようにして求めた電圧値を有するCOM1〜COM4の駆動波形の一例である。これらCOM1〜COM4の駆動波形のデジタルデータ(駆動波形データ)を設定し、これらCOM1〜COM4の駆動波形データの組み合わせを示す駆動波形番号データWNを設定する。
【0040】
(COM選択データSIB及び駆動波形データの設定方法の具体例2)
次に、COM選択データSIBの設定方法の具体例2について図8のフローチャートを用いて説明する。まず、事前に、各圧電素子PZ10〜PZ170に所定の基準駆動電圧V0を印加し、具体例1と同様にノズルN10〜N170の液滴吐出量のバラツキ分布を測定する(本発明のA工程としてのステップS10)。そして、バラツキ分布の最小重量を許容バラツキレンジの最小値に合わせ、この許容バラツキレンジ内に含まれるノズルの内、液滴重量の小さい方から順にピックアップ(グループ化)し、ピックアップしたノズル数をカウントする(本発明のB工程を構成するステップS11)。ここで、許容バラツキレンジとは、品質管理上許容することができるノズル間の吐出量バラツキの許容レンジを指すものであって予めユーザが設定することができる値である。
【0041】
続いて、ステップS11でピックアップしたノズル数が、COM1に割り当て可能な最大許容ノズル数より大きいか否かを判定する(ステップS12)。ここで、この最大許容ノズル数は、第1のD/Aコンバータ36の電流容量に応じて設定されており、本実施形態では80個とする。ステップS12において、ピックアップしたノズル数が最大許容ノズル数(つまり80個)より大きい場合(「YES」)、80個目までのノズルにCOM1を割り当てる(ステップS13)。一方、ステップS12において、ピックアップしたノズル数が80個以下の場合(「NO」)、ピックアップした全ノズルにCOM1を割り当てる(本発明のC工程を構成するステップS14)。
【0042】
そして、COM1を割り当てたグループにおけるノズルの最大重量と最小重量との中心重量を算出し、下記(2)式に基づいて、COM1の電圧値(COM設定電圧)を決定する(ステップS15)。なお、下記(2)式において、Kは液滴重量を電圧値に変換するための定数である。また、下記(2)式において、「中心重量」を「COM1を割り当てた全ノズルの平均重量(吐出量の平均値)」に替えても良い。
COM設定電圧=V0−K・(中心重量−適正重量) ・・・・(2)
【0043】
次に、残ったノズルの最小重量をC許容バラツキレンジの最小値に合わせ、この許容バラツキレンジ内に含まれるノズルの内、液滴重量の小さい方から順にピックアップ(グループ化)し、ピックアップしたノズル数をカウントする(本発明のB工程を構成するステップS16)。続いて、ステップS16でピックアップしたノズル数が、COM2に割り当て可能な最大許容ノズル数より大きいか否かを判定する(ステップS17)。ここで、この最大許容ノズル数は、第2のD/Aコンバータ37の電流容量に応じて設定されており、本実施形態では80個とする。ステップS17において、ピックアップしたノズル数が最大許容ノズル数(つまり80個)より大きい場合(「YES」)、80個目までのノズルにCOM2を割り当てる(ステップS18)。一方、ステップS17において、ピックアップしたノズル数が80個以下の場合(「NO」)、ピックアップした全ノズルに対応する圧電素子にCOM2を割り当てる(ステップS19)。そして、COM2を割り当てたグループにおけるノズルの最大重量と最小重量との中心重量を算出し、上記(2)式に基づいて、COM2の電圧値(COM設定電圧)を決定する(本発明のC工程を構成するステップS20)。
【0044】
次に、残ったノズルの最小重量を許容バラツキレンジの最小値に合わせ、この許容バラツキレンジ内に含まれるノズルの内、液滴重量の小さい方から順にピックアップ(グループ化)し、ピックアップしたノズル数をカウントする(本発明のB工程を構成するステップS21)。続いて、ステップS21でピックアップしたノズル数が、COM3に割り当て可能な最大許容ノズル数より大きいか否かを判定する(ステップS22)。ここで、この最大許容ノズル数は、第3のD/Aコンバータ38の電流容量に応じて設定されており、本実施形態では80個とする。ステップS22において、ピックアップしたノズル数が最大許容ノズル数(つまり80個)より大きい場合(「YES」)、80個目までのノズルにCOM3を割り当てる(ステップS23)。一方、ステップS22において、ピックアップしたノズル数が80個以下の場合(「NO」)、ピックアップした全ノズルに対応する圧電素子にCOM3を割り当てる(ステップS24)。そして、COM3を割り当てたグループにおけるノズルの最大重量と最小重量との中心重量を算出し、上記(2)式に基づいて、COM3の電圧値(COM設定電圧)を決定する(本発明のC工程を構成するステップS25)。
【0045】
次に、残ったノズルの最小重量を許容バラツキレンジの最小値に合わせ、この許容バラツキレンジ内に含まれるノズルの内、液滴重量の小さい方から順にピックアップ(グループ化)し、ピックアップしたノズル数をカウントする(本発明のB工程を構成するステップS26)。続いて、ステップS26でピックアップしたノズル数が、COM4に割り当て可能な最大許容ノズル数より大きいか否かを判定する(ステップS27)。ここで、この最大許容ノズル数は、第4のD/Aコンバータ39の電流容量に応じて設定されており、本実施形態では80個とする。ステップS27において、ピックアップしたノズル数が最大許容ノズル数(つまり80個)より大きい場合(「YES」)、80個目までのノズルにCOM4を割り当てる(ステップS28)。一方、ステップS27において、ピックアップしたノズル数が80個以下の場合(「NO」)、ピックアップした全ノズルに対応する圧電素子にCOM4を割り当てる(ステップS29)。そして、COM4を割り当てたグループにおけるノズルの最大重量と最小重量との中心重量を算出し、上記(2)式に基づいて、COM4の電圧値(COM設定電圧)を決定する(本発明のC工程を構成するステップS30)。
【0046】
そして、ノズルとCOM1〜COM4との対応関係に基づきCOM選択データSIBを設定する(ステップS31)。そして、具体例1と同様に、上記のように決定した電圧値を有するCOM1〜COM4の駆動波形のデジタルデータ(駆動波形データ)を設定し、これらCOM1〜COM4の駆動波形データの組み合わせを示す駆動波形番号データWNを設定する。なお、ステップS30が終了した時点で、残りノズルがあった場合、警報を発生し、この液滴吐出ヘッド5を不良品とするか、または再組み立てを行うかを判断する。
【0047】
上述したCOM選択データSIBの設定方法の具体例1は、具体例2と比較して簡単且つ短時間にノズルに対するCOM1〜COM4の割り当てを行うことができるが、COM毎に、つまりD/Aコンバータ毎に最大許容ノズル数が設定されている場合、4分割したレンジ1〜4に含まれるノズル数が最大許容ノズル数を越えてしまうと、D/Aコンバータの駆動能力が低下し、駆動信号の電圧値が低下したり波形に歪が生じたりするなどの問題が発生するという欠点がある。よって、各レンジ1〜4に含まれるノズル数が最大許容ノズル数を越えた場合は、警報を発生し、液滴吐出ヘッド5を不良品とするか、または再組み立てを行うかを判断する必要がある。具体例2の方法では、D/Aコンバータ毎に最大許容ノズル数が設定されている場合であっても、問題なく各ノズルに対するCOM1〜COM4の割り当てを行うことができる。また、具体例2では、液滴吐出量のバラツキがほとんどなく均一に近い特性であった場合、ほとんどのノズルがCOM1及びCOM2に割り当てられるが、具体例1では各ノズルが必ず均等にCOM1〜COM4に割り当てられることになる。
【0048】
なお、上記の図6及び図8に示す方法では、液滴重量が適正重量になるような駆動信号の条件として電圧値を決定したが、これに限らず、この条件として例えば駆動信号の充放電成分の時間成分値を決定しても良い。つまり、駆動信号の時間成分を変えて液滴重量の補正をすることも可能である。
【0049】
また、上述したように、液滴吐出ヘッド5のノズルデューティが変化すると液滴吐出量のバラツキ特性は変化する。よって、事前に、ノズルデューティ毎に液滴吐出量のバラツキ分布を測定し、各ノズルN10〜N170の液滴吐出量が適正重量に近づくような各圧電素子PZ10〜PZ170の駆動信号COM1〜COM4を求め、ノズルデューティに対応するCOM選択データSIBを設定する。なお、0〜100%までの全てのノズルデューティについてCOM選択データSIBを設定する必要はなく、実際によく使用されるノズルデューティ(例えば25%、50%、75%、100%)についてCOM選択データSIBを設定すれば良い。
【0050】
図3に戻って説明すると、描画データメモリ32は、描画データライトイネーブル信号WE1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1によってデータ読み出しが要求されている場合、描画データアドレス信号AD1が指定するアドレスに記憶されている吐出データSIAをシリアルデータとして液滴吐出ヘッド5のスイッチング回路50に出力し、また、COM選択データSIBをシリアルデータとして液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。なお、駆動波形番号データWNは、アドレス変換回路33に出力される。
【0051】
アドレス変換回路33は、駆動波形番号データWNが指定する駆動波形番号に該当する駆動波形データの記憶先アドレスを示すアドレス信号AD3を第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に出力する。第1の駆動波形メモリ34は、32Kワード×16ビットのSRAMであり、COM1及びCOM2に対応する駆動波形のデジタルデータ(駆動波形データ)を記憶するメモリである。第2の駆動波形メモリ35も同様に、32Kワード×16ビットのSRAMであり、COM3及びCOM4に対応する駆動波形データを記憶するメモリである。
【0052】
これら第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35は、波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2によってデータ書き込みが要求されている場合、波形データアドレス信号AD2で指定されるアドレスに、駆動波形データ信号WDを記憶する。なお、この駆動波形データ信号WDは、上位2バイトがCOM3及びCOM4に対応する駆動波形データに割り当てられ、下位2バイトがCOM1及びCOM2に対応する駆動波形データに割り当てられた4バイトのデータ信号であり、上位2バイト分の駆動波形データ信号WDは第1の駆動波形メモリ34に入力され、上位2バイト分の駆動波形データ信号WDは第2の駆動波形メモリ35に入力される。
【0053】
本実施形態では、1つの駆動波形の最大長さを25μsとし、後述する第1のD/Aコンバータ36、第2のD/Aコンバータ37、第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39の時間軸分解能を20MHzと想定する。この場合、1つの駆動波形データは500バイトになるが、メモリ上はアドレス操作を容易に行うために200h(512バイト)バウンダリとする。図9は、第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35における駆動波形データの記憶先アドレスを示すものである。図9に示すように、第1の駆動波形メモリ34のアドレス「00000h」〜「07FFFh」には、200h毎に各駆動波形番号「0」〜「63」のCOM1に対応する駆動波形データが記憶され、アドレス「08000h」〜「0FFFFh」にはCOM2に対応する駆動波形データが記憶される。また、同様に第2の駆動波形メモリ35のアドレス「00000h」〜「07FFFh」には、200h毎に各駆動波形番号「0」〜「63」のCOM3に対応する駆動波形データが記憶され、アドレス「08000h」〜「0FFFFh」にはCOM4に対応する駆動波形データが記憶される。
なお、上述したように、第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35によって64種類の駆動波形データを記憶することができるが、これらの駆動波形データはCOM選択データSIBの数(つまりノズルデューティの数)に対応して記憶すれば良い。
【0054】
また、第1の駆動波形メモリ34は、波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2によってデータ読み出しが要求されている場合、アドレス信号AD3で指定されるアドレスに記憶されている駆動波形データを第1のD/Aコンバータ36及び第2のD/Aコンバータ37に出力する。第2の駆動波形メモリ35は、波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2によってデータ読み出しが要求されている場合、アドレス信号AD3で指定されるアドレスに記憶されている駆動波形データを第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39に出力する。
【0055】
第1のD/Aコンバータ36は、DACクロック信号CLK1の立ち上がりに同期して、第1の駆動波形メモリ34から入力される駆動波形データをラッチし、当該ラッチした駆動波形データをアナログ変換して駆動信号COM1を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。第2のD/Aコンバータ37は、DACクロック信号CLK2の立ち上がりに同期して、第1の駆動波形メモリ34から入力される駆動波形データをラッチし、当該ラッチした駆動波形データをアナログ変換して駆動信号COM2を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。第3のD/Aコンバータ38は、DACクロック信号CLK1の立ち上がりに同期して、第2の駆動波形メモリ35から入力される駆動波形データをラッチし、当該ラッチした駆動波形データをアナログ変換して駆動信号COM3を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。第4のD/Aコンバータ39は、DACクロック信号CLK2の立ち上がりに同期して、第2の駆動波形メモリ35から入力される駆動波形データをラッチし、当該ラッチした駆動波形データをアナログ変換して駆動信号COM4を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。
【0056】
図10に示すように、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40は、シフトレジスタ回路41、ラッチ回路42、COM選択スイッチ回路CSW〜CSW180から構成されている。シフトレジスタ回路41は、クロック信号CLK及びCOM選択データSIBを入力とし、クロック信号CLKに同期してシリアルデータであるCOM選択データSIBをパラレル変換してラッチ回路42に順次出力する。具体的には、シフトレジスタ回路41は、圧電素子PZ〜PZ180に対応するWSHデータ(WSH〜WSH180)及びWSLデータ(WSL〜WSL180)をパラレルに順次出力する。
【0057】
ラッチ回路42は、上記のWSHデータ(WSH〜WSH180)及びWSLデータ(WSL〜WSL180)を、ラッチ信号LTに同期してラッチし、各WSHデータ(WSH〜WSH180)及びWSLデータ(WSL〜WSL180)を一括してCOM選択スイッチ回路CSW〜CSW180に出力する。具体的には、ラッチ回路42は、WSH及びWSLをCOM選択スイッチ回路CSWに出力し、WSH及びWSLをCOM選択スイッチ回路CSWに出力し、以下同様に、WSH180及びWSL180をCOM選択スイッチ回路CSW180に出力する。
【0058】
各COM選択スイッチ回路CSW〜CSW180は、駆動信号COM1〜COM4を入力とし、ラッチ回路42から入力されるWSH及びWSLデータに応じて駆動信号COM1〜COM4のいずれかを選択し、選択した駆動信号をV〜V180として後述するスイッチング回路50のスイッチング素子SW〜SW180に出力する。具体的には、COM選択スイッチ回路CSWは、(WSH、WSL)=(0、0)の場合、駆動信号COM1を選択し、(WSH、WSL)=(0、1)の場合、駆動信号COM2を選択し、(WSH、WSL)=(1、0)の場合、駆動信号COM3を選択し、(WSH、WSL)=(1、1)の場合、駆動信号COM4を選択し、選択した駆動信号をVとしてスイッチング回路50のスイッチング素子SWに出力する。以下同様に、COM選択スイッチ回路CSW180は、(WSH180、WSL180)=(0、0)の場合、駆動信号COM1を選択し、(WSH180、WSL180)=(0、1)の場合、駆動信号COM2を選択し、(WSH180、WSL180)=(1、0)の場合、駆動信号COM3を選択し、(WSH180、WSL180)=(1、1)の場合、駆動信号COM4を選択し、選択した駆動信号をV180としてスイッチング回路50のスイッチング素子SW180に出力する。
【0059】
続いて、図11に示すように、スイッチング回路50は、シフトレジスタ回路51、ラッチ回路52、論理和回路OR〜OR180、レベルシフタ回路53、スイッチング素子SW〜SW180から構成されている。シフトレジスタ回路51は、クロック信号CLK及び吐出データSIAを入力とし、クロック信号CLKに同期してシリアルデータである吐出データSIAをパラレル変換してラッチ回路52に順次出力する。具体的には、シフトレジスタ回路51は、圧電素子PZ〜PZ180に対応するSIHデータ(SIH〜SIH180)及びSILデータ(SIL〜SIL180)をパラレルに順次出力する。
【0060】
ラッチ回路52は、上記のSIHデータ(SIH〜SIH180)及びSILデータ(SIL〜SIL180)を、ラッチ信号LTに同期してラッチし、各SIHデータ(SIH〜SIH180)及びSILデータ(SIL〜SIL180)を一括して論理和回路OR〜OR180に出力する。具体的には、ラッチ回路52は、SIH及びSILを論理和回路ORに出力し、SIH及びSILを論理和回路ORに出力し,以下同様に、SIH180及びSIL180を論理和回路OR180に出力する。
【0061】
論理和回路ORは、SIHとSILとの論理和であるスイッチング信号Sをレベルシフタ回路53に出力する。つまり、SIHとSILとの少なくとも一方が「1」であれば駆動信号の供給(吐出)を規定しているので、「1」を示すスイッチング信号Sが出力される。論理和回路ORは、SIHとSILとの論理和であるスイッチング信号Sをレベルシフタ回路53に出力する。以下同様に、論理和回路OR180は、SIH180とSIL180との論理和であるスイッチング信号S180をレベルシフタ回路53に出力する。
【0062】
レベルシフタ回路53は、スイッチング信号S〜S180を各スイッチング素子SW〜SW180を駆動可能なレベルまで電圧増幅する。具体的には、レベルシフタ回路53は、スイッチング信号Sを電圧増幅してスイッチング素子SWに出力し、スイッチング信号Sを電圧増幅してスイッチング素子SWに出力し、以下同様に、スイッチング信号S180を電圧増幅してスイッチング素子SW180に出力する。
【0063】
スイッチング素子SWは、駆動信号V及びスイッチング信号Sを入力とし、「1」を示すスイッチング信号Sが入力された場合にON状態となり、駆動信号Vを図3に示す圧電素子PZの一方の電極に出力する。スイッチング素子SWは、駆動信号V及びスイッチング信号Sを入力とし、「1」を示すスイッチング信号Sが入力された場合にON状態となり、駆動信号Vを図3に示す圧電素子PZの一方の電極に出力する。以下同様に、スイッチング素子SW180は、駆動信号V180及びスイッチング信号S180を入力とし、「1」を示すスイッチング信号S180が入力された場合にON状態となり、駆動信号V180を図3に示す圧電素子PZ180の一方の電極に出力する。
【0064】
図3に戻って説明すると、各圧電素子PZ〜PZ180の他方の電極は、液滴吐出ヘッド5内で互いに接続され、且つ駆動回路基板30側のグランドと共通接地されている。つまり、圧電素子PZは、駆動信号Vとグランド間の電位差によって伸縮し、これにより駆動信号Vに応じた重量のカラーフィルタ材料の液滴がノズルNから吐出される。また、圧電素子PZは、駆動信号Vとグランド間の電位差によって伸縮し、これにより駆動信号Vに応じた重量のカラーフィルタ材料の液滴がノズルNから吐出される。以下同様に、圧電素子PZ180は、駆動信号V180とグランド間の電位差によって伸縮し、これにより駆動信号V180に応じた重量のカラーフィルタ材料の液滴がノズルN180から吐出される。
【0065】
次に、このように構成された本液滴吐出装置IJの動作について説明する。
まず、カラーフィルタ基板Pの画素パターンに応じて事前に設定した吐出データSIAと、ノズルデューティ毎に設定したCOM選択データSIBとを駆動回路基板30の描画データメモリ32に記憶し、また、COM選択データSIBに対応するCOM1〜COM4の駆動波形データを第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に予め記憶する。
【0066】
具体的には、制御装置11は、インターフェース31を介して、描画データSI(吐出データSIA及びCOM選択データSIB)と、これら吐出データSIA及びCOM選択データSIBの記憶先アドレスを示す描画データアドレス信号AD1と、データ書き込み要求を示す描画データライトイネーブル信号WE1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1とを描画データメモリ32に出力する。これにより、描画データメモリ32には、描画データアドレス信号AD1が指定する記憶先アドレスに、吐出データSIA及びCOM選択データSIBが順次記憶される。
【0067】
また、制御装置11は、インターフェース31を介して、駆動波形データWDと、波形データアドレス信号AD2と、データ書き込み要求を示す波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2とを第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に出力する。図9を参照して詳細に説明すると、例えば駆動波形番号「0」の駆動波形データを記憶する場合、アドレス「+00000h」を指定する波形データアドレス信号AD2を第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に入力し、COM1の駆動波形データに割り当てられた下位2バイト分の駆動波形データWDを第1の駆動波形メモリ34に入力し、COM3の駆動波形データに割り当てられた上位2バイト分の駆動波形データWDを第2の駆動波形メモリ35に入力する。これにより、第1の駆動波形メモリ34のアドレス「+00000h」には、2バイト分のCOM1の駆動波形データが記憶され、第2の駆動波形メモリ35のアドレス「+00000h」には、2バイト分のCOM3の駆動波形データが記憶される。同様な処理をアドレス「+001FFh」まで繰り返すことにより、駆動波形番号「0」に該当するCOM1の1波形分(512バイト)の駆動波形データが第1の駆動波形メモリ34に記憶され、COM3の1波形分の駆動波形データが第2の駆動波形メモリ35に記憶される。そして、駆動波形番号「1」〜「63」についても同様な処理を行い、それぞれの駆動波形番号に該当するCOM1の1波形分の駆動波形データを第1の駆動波形メモリ34に記憶し、COM3の1波形分の駆動波形データを第2の駆動波形メモリ35に記憶する。
【0068】
次に、アドレス「+08000h」を指定する波形データアドレス信号AD2を第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に入力し、駆動波形番号「0」に該当するCOM2の駆動波形データに割り当てられた下位2バイト分の駆動波形データWDを第1の駆動波形メモリ34に入力し、COM4の駆動波形データに割り当てられた上位2バイト分の駆動波形データWDを第2の駆動波形メモリ35に入力する。これにより、第1の駆動波形メモリ34のアドレス「+08000h」には、2バイト分のCOM2の駆動波形データが記憶され、第2の駆動波形メモリ35のアドレス「+08000h」には、2バイト分のCOM4の駆動波形データが記憶される。同様な処理をアドレス「+081FFh」まで繰り返すことにより、駆動波形番号「0」に該当するCOM2の1波形分の駆動波形データが第1の駆動波形メモリ34に記憶され、COM4の1波形分の駆動波形データが第2の駆動波形メモリ35に記憶される。そして、駆動波形番号「1」〜「63」についても同様な処理を行い、それぞれの駆動波形番号に該当するCOM2の1波形分の駆動波形データを第1の駆動波形メモリ34に記憶し、COM4の1波形分の駆動波形データを第2の駆動波形メモリ35に記憶する。
【0069】
以上のような処理により、カラーフィルタ基板Pの画素パターンに応じて事前に設定した吐出データSIAと、ノズルデューティ毎に設定したCOM選択データSIBとが描画データメモリ32に記憶され、また、COM選択データSIBに対応するCOM1〜COM4の駆動波形データが第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に記憶される。
【0070】
次に、実際にカラーフィルタ基板Pにカラーフィルタ材料を吐出する動作について図12のタイミングチャートを用いて説明する。
制御装置11は、ワークステージ2にカラーフィルタ基板Pが搬送され、上位の制御装置からカラーフィルタ基板Pに関する情報(画素パターンや基板サイズなどの情報)を取得すると、搬送されたカラーフィルタ基板Pに対応する吐出データSIAを決定する。
また、制御装置11は、カラーフィルタ基板Pに関する情報に基づいてノズルデューティを求め、そのノズルデューティに対応するCOM選択データSIBを決定する。そして、制御装置11は、ステージ移動装置3及びキャリッジ移動装置6を制御して、液滴吐出ヘッド5をカラーフィルタ基板P上の所定のXYZ座標に移動させる。
【0071】
続いて、制御装置11は、上記のように決定した吐出データSIA及びCOM選択データSIBの記憶先アドレスを示す描画データアドレス信号AD1と、データ読み出し要求を示す描画データライトイネーブル信号WE1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1とを駆動回路基板30の描画データメモリ32に出力する。これにより、搬送されたカラーフィルタ基板Pに対応する吐出データSIAが液滴吐出ヘッド5のスイッチング回路50(具体的にはシフトレジスタ回路51)に出力され、カラーフィルタ基板Pのノズルデューティに対応するCOM選択データSIBが液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40(具体的にはシフトレジスタ回路41)に出力される。また、COM選択データSIBに含まれる駆動波形番号データWNは、アドレス変換回路33に出力される。
【0072】
図12に示すように、時刻T1に、吐出データSIAがスイッチング回路50のシフトレジスタ回路51に出力され、COM選択データSIBがCOM選択回路40のシフトレジスタ回路41に出力されたと想定する。シフトレジスタ回路51は、時刻T1からT2までの期間、クロック信号CLKに同期してシリアルデータである吐出データSIAをパラレル変換してラッチ回路52に順次出力する。つまり、圧電素子PZ〜PZ180に対応するSIHデータ(SIH〜SIH180)及びSILデータ(SIL〜SIL180)がパラレルに順次出力される。一方、シフトレジスタ回路41は、クロック時刻T1からT2までの期間、クロック信号CLKに同期してシリアルデータであるCOM選択データSIBをパラレル変換してラッチ回路42に順次出力する。つまり、圧電素子PZ〜PZ180に対応するWSHデータ(WSH〜WSH180)及びWSLデータ(WSL〜WSL180)がパラレルに順次出力される。
【0073】
ここで、この時刻T1からT2までの期間におけるアドレス変換回路33、第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35、第1のD/Aコンバータ36、第2のD/Aコンバータ37、第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39の動作について図13のタイミングチャートを用いて説明する。
【0074】
図13に示すように、時刻T1’においてアドレス変換回路33は、クロック信号CLKの立ち上がりに同期して、駆動波形番号データWNが指定する駆動波形番号に該当する駆動波形データの記憶先アドレスを示すアドレス信号AD3を第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に出力する。例えば駆動波形番号「0」が指定されている場合を想定すると、アドレス信号AD3はアドレス「+00000h」を示す。時刻T2’において、第1の駆動波形メモリ34は、アドレス「+00000h」に記憶されているCOM1の2バイト分の駆動波形データを第1のD/Aコンバータ36及び第2のD/Aコンバータ37に出力し、第2の駆動波形メモリ35は、アドレス「+00000h」に記憶されているCOM3の2バイト分の駆動波形データを第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39に出力する。
【0075】
そして、時刻T3’において、DACクロック信号CLK1の立ち上がりが発生すると、第1のD/Aコンバータ36は、DACクロック信号CLK1の立ち上がりに同期してCOM1の2バイト分の駆動波形データをラッチして取り込み、同様に第3のD/Aコンバータ38も、DACクロック信号CLK1の立ち上がりに同期してCOM3の2バイト分の駆動波形データをラッチして取り込む。
【0076】
また、この時刻T3’において、アドレス変換回路33は、クロック信号CLKの立ち上りに同期して、アドレス「+08000h」を示すアドレス信号AD3を第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35に出力する。そして、時刻T4’において、第1の駆動波形メモリ34は、アドレス「+08000h」に記憶されているCOM2の2バイト分の駆動波形データを第1のD/Aコンバータ36及び第2のD/Aコンバータ37に出力し、第2の駆動波形メモリ35は、アドレス「+08000h」に記憶されているCOM4の2バイト分の駆動波形データを第3のD/Aコンバータ38及び第4のD/Aコンバータ39に出力する。
【0077】
そして、時刻T5’において、DACクロック信号CLK2の立ち上がりが発生すると、第2のD/Aコンバータ37は、DACクロック信号CLK2の立ち上がりに同期してCOM2の2バイト分の駆動波形データをラッチして取り込み、同様に第4のD/Aコンバータ39も、DACクロック信号CLK2の立ち上がりに同期してCOM4の2バイト分の駆動波形データをラッチして取り込む。
【0078】
このように、第1のD/Aコンバータ36はCOM1の駆動波形データだけ取り込み、第2のD/Aコンバータ37はCOM2の駆動波形データだけ取り込み、第3のD/Aコンバータ38はCOM3の駆動波形データだけ取り込み、第4のD/Aコンバータ39はCOM4の駆動波形データだけ取り込むことになる。以降、アドレス変換回路33は、クロック信号CLKの立ち上りに同期してアドレスをインクリメントしていき、第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35から駆動波形番号「0」に該当する512バイト分(1波形分)のCOM1〜COM4の駆動波形データが出力される。
【0079】
そして、第1のD/Aコンバータ36は、1波形分のCOM1の駆動波形データを取り込み、アナログ変換して駆動信号COM1を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。また、第2のD/Aコンバータ37は、1波形分のCOM2の駆動波形データを取り込み、アナログ変換して駆動信号COM2を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。また、第3のD/Aコンバータ38は、1波形分のCOM3の駆動波形データを取り込み、アナログ変換して駆動信号COM3を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。また、第4のD/Aコンバータ39は、1波形分のCOM4の駆動波形データを取り込み、アナログ変換して駆動信号COM4を生成し、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力する。
【0080】
このように、図12の時刻T1〜T2の期間において、図13に示す動作が行われ、液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40には、駆動信号COM1〜COM4が入力される。なお、図13に示す動作中において、第1の駆動波形メモリ34及び第2の駆動波形メモリ35にはデータ読み出し要求を示す波形データライトイネーブル信号WE2、チップセレクタ信号CS2及びアウトプットイネーブル信号OE2が入力される。
【0081】
図12に戻って説明すると、時刻T3においてラッチ信号LTの立ち上がりが発生した場合、COM選択回路40のラッチ回路42は、ラッチ信号LTの立ち上がりに同期して、WSHデータ(WSH〜WSH180)及びWSLデータ(WSL〜WSL180)をラッチし、ラッチ信号LTの立ち下がりが発生する時刻T4に各WSHデータ(WSH〜WSH180)及びWSLデータ(WSL〜WSL180)を一括してCOM選択スイッチ回路CSW〜CSW180に出力する。ここでは、図12に示すように、(WSH、WSL)=(0、1)のデータがCOM選択スイッチ回路CSWに入力され、(WSH、WSL)=(0、1)のデータがCOM選択スイッチ回路CSWに入力され、以下同様に、(WSH180、WSL180)=(0、1)のデータがCOM選択スイッチ回路CSW180に入力されたものとする。つまり、COM選択スイッチ回路CSW〜CSW180は、駆動信号COM2を選択し、駆動信号V〜V180をスイッチング回路40に出力する。なお、駆動波形番号「0」に該当する駆動波形データから生成されたCOM1〜COM4は、図12に示すようにグランドレベルより少し高い電圧値を有するフラットな波形であるものとする。このような駆動波形番号「0」に該当する駆動波形データから生成されたCOM1〜COM4は、本液滴吐出装置IJの電源投入時などにおいて、各圧電素子PZ〜PZ180を待機状態に遷移させるためのものであり、液滴が吐出されないレベルの電圧値に設定されている。
【0082】
一方、時刻T3において、スイッチング回路50のラッチ回路52は、ラッチ信号LTの立ち上がりに同期して、SIHデータ(SIH〜SIH180)及びSILデータ(SIL〜SIL180)をラッチし、ラッチ信号LTの立ち下がりが発生する時刻T4に、各SIHデータ(SIH〜SIH180)及びSILデータ(SIL〜SIL180)を一括して論理和回路OR〜OR180に出力する。ここでは、図12に示すように、(SIH、SIL)=(0、1)のデータが論理和回路ORに入力され、(SIH、SIL)=(0、1)のデータが論理和回路ORに入力され、以下同様に、(SIH180、SIL180)=(0、1)のデータが論理和回路OR180に入力されたものとする。つまり、各論理和回路OR〜OR180は、ハイレベルのスイッチング信号S〜S180をレベルシフタ回路53に出力し、レベルシフタ回路53は各スイッチング信号S〜S180を増幅して各スイッチング素子SW〜SW180に出力する。
【0083】
上述したように、時刻T4において、各スイッチング素子SW〜SW180にハイレベルのスイッチング信号S〜S180が入力されることにより、各スイッチング素子SW〜SW180はオン状態となり、COM選択回路40から供給される駆動信号V〜V180を、それぞれに対応する圧電素子PZ〜PZ180に出力する。これにより、各圧電素子PZ〜PZ180には待機状態に遷移し、液滴吐出の準備が完了する。
【0084】
一方、時刻T5において、制御装置11は、次の吐出データSIA及びCOM選択データSIBの記憶先アドレスを示す描画データアドレス信号AD1と、データ読み出し要求を示す描画データライトイネーブル信号WE1、チップセレクタ信号CS1及びアウトプットイネーブル信号OE1とを駆動回路基板30の描画データメモリ32に出力する。ここで、次の吐出データSIA及びCOM選択データSIBとは、液滴吐出ヘッド5の現在位置で液滴を吐出するためのデータである。これにより、液滴吐出ヘッド5の現在位置に対応する吐出データSIAが液滴吐出ヘッド5のスイッチング回路50(具体的にはシフトレジスタ回路51)に出力され、COM選択データSIBは液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40(具体的にはシフトレジスタ回路41)に出力される。また、この時のCOM選択データSIBに含まれる駆動波形番号データWNは、アドレス変換回路33に出力される。ここでは、駆動波形番号「1」が指定されたものとする。
【0085】
そして、時刻T5において、吐出データSIAがスイッチング回路50のシフトレジスタ回路51に出力され、COM選択データSIBがCOM選択回路40のシフトレジスタ回路41に出力される。シフトレジスタ回路51は、時刻T5からT6までの期間、クロック信号CLKに同期してシリアルデータである吐出データSIAをパラレル変換してラッチ回路52に順次出力する。ここで、時刻T5からT6までの期間において、図13で説明したような動作により、第1のD/Aコンバータ36から、駆動波形番号「1」に対応する1波形分の駆動信号COM1が液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力され、第2のD/Aコンバータ37から、駆動波形番号「1」に対応する1波形分の駆動信号COM2が液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力され、第3のD/Aコンバータ38から、駆動波形番号「1」に対応する1波形分の駆動信号COM3が液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力され、第4のD/Aコンバータ39から、駆動波形番号「1」に対応する1波形分の駆動信号COM4が液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40に出力される。
【0086】
そして、時刻T7においてラッチ信号LTの立ち上がりが発生すると、COM選択回路40のラッチ回路42は、ラッチ信号LTの立ち上がりに同期して、WSHデータ(WSH〜WSH180)及びWSLデータ(WSL〜WSL180)をラッチし、ラッチ信号LTの立ち下がりが発生する時刻T8に各WSHデータ(WSH〜WSH180)及びWSLデータ(WSL〜WSL180)を一括してCOM選択スイッチ回路CSW〜CSW180に出力する。ここでは、図12に示すように、(WSH、WSL)=(1、0)のデータがCOM選択スイッチ回路CSWに入力され、(WSH、WSL)=(1、0)のデータがCOM選択スイッチ回路CSWに入力され、(WSH180、WSL180)=(0、0)のデータがCOM選択スイッチ回路CSW180に入力されたものとする。つまり、COM選択スイッチ回路CSW及びCSWは駆動信号COM3を選択し、COM選択スイッチ回路CSW180は駆動信号COM1を選択して、それぞれ駆動信号V〜V180をスイッチング回路40に出力する。
【0087】
一方、時刻T7において、スイッチング回路50のラッチ回路52は、ラッチ信号LTの立ち上がりに同期して、SIHデータ(SIH〜SIH180)及びSILデータ(SIL〜SIL180)をラッチし、ラッチ信号LTの立ち下がりが発生する時刻T8に、各SIHデータ(SIH〜SIH180)及びSILデータ(SIL〜SIL180)を一括して論理和回路OR〜OR180に出力する。ここでは、図12に示すように、(SIH、SIL)=(1、0)のデータが論理和回路ORに入力され、(SIH、SIL)=(1、0)のデータが論理和回路ORに入力され、以下同様に、(SIH180、SIL180)=(1、0)のデータが論理和回路OR180に入力されたものとする。つまり、各論理和回路OR〜OR180は、ハイレベルのスイッチング信号S〜S180をレベルシフタ回路53に出力し、レベルシフタ回路53は各スイッチング信号S〜S180を増幅して各スイッチング素子SW〜SW180に出力する。
【0088】
上述したように、時刻T8において、各スイッチング素子SW〜SW180にハイレベルのスイッチング信号S〜S180が入力されることにより、各スイッチング素子SW〜SW180はオン状態となり、COM選択回路40から供給される駆動信号V〜V180を、それぞれに対応する圧電素子PZ〜PZ180に出力する。これにより、圧電素子PZ及びPZにはCOM3の駆動信号が供給され、圧電素子PZ180にはCOM1の駆動信号が供給され、それぞれの駆動信号に応じた重量の液滴がカラーフィルタ基板P上に吐出される。以上のような動作をカラーフィルタ基板P上の全ての位置に対して繰り返すことにより、カラーフィルタ基板P上の全画素にカラーフィルタ層が形成される。
【0089】
なお、時刻T9では、(SIH、SIL)=(0、0)のデータが論理和回路ORに入力され、(SIH、SIL)=(0、0)のデータが論理和回路ORに入力され、以下同様に、(SIH180、SIL180)=(0、0)のデータが論理和回路OR180に入力されるため、スイッチング信号S〜S180は全てローレベルとなり、各スイッチング素子SW〜SW180はオフ状態となる。従って、この場合、駆動信号COM1〜COM4は液滴吐出ヘッド5に供給されるが、各圧電素子PZ〜PZ180に対する駆動信号V〜V180は供給されない。
【0090】
以上説明したように、本液滴吐出装置IJによると、液滴吐出ヘッド5におけるノズルの液滴吐出バラツキ特性に基づいて予め設定されたCOM選択データSIBに基づいて、各圧電素子毎に、駆動信号COM1〜COM4の中から1つを選択して供給するので、液滴吐出量のバラツキを抑制し、均一な膜層を形成することが可能である。また、各駆動信号COM1〜COM4に割り当てる波形データの組み合わせを複数記憶しておくことにより、各駆動信号COM1〜COM4の波形(電圧値)を、液滴吐出ヘッド5毎の吐出特性に応じて任意に可変することができる。さらに、カラーフィルタ基板Pのノズルデューティに応じた駆動信号を各圧電素子に供給するので、ノズルデューティの変化による液滴吐出量のバラツキを抑制することができる。
【0091】
なお、液晶表示装置などに使用されるカラーフィルタ基板Pでは、各画素がX軸方向及びY軸方向に規則正しく配列しているため、使用する吐出データSIA及びCOM選択データSIBは一種類である場合が多い。従って、この場合、液滴吐出ヘッド5への吐出データSIA及びCOM選択データSIBの転送は初回の1度だけにし、液滴吐出ヘッド5を移動させる毎に同じ吐出データSIA及びCOM選択データSIBを再送しないようにすることが好ましい。例えば回路部品にCOMS−ICを使用すると転送周波数に依存して発熱量が大きくなるので、上記のように不必要な場合には吐出データSIA及びCOM選択データSIBを再送しないことにより、発熱量を抑制することができる。
【0092】
また、上記実施形態では、1つの液滴吐出ヘッド5とそれに対応する1つの駆動回路基板30を例示して説明したが、これら液滴吐出ヘッド5及び駆動回路基板30が複数であっても同様な構成、動作を採用することができる。また、駆動素子として圧電素子を例示して説明したが、これに限らず、駆動信号に応じてキャビティ24の容積を変化させて液滴を吐出することが可能な素子ならば他の駆動素子を使用しても良い。また、上記実施形態では、4種類の駆動信号COM1〜COM4を使用する場合を例示して説明したが、装置コストや駆動回路基板30のサイズなどの設計条件に応じて、さらに複数種類の駆動信号を使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の一実施形態における液滴吐出装置IJの構成概略図である。
【図2】本発明の一実施形態における液滴吐出ヘッド5の詳細説明図である。
【図3】本発明の一実施形態における液滴吐出ヘッド5及び駆動回路基板30の回路構成図である。
【図4】本発明の一実施形態における液滴吐出ヘッド5の液滴吐出量のバラツキ分布図である。
【図5】本発明の一実施形態におけるCOM選択データSIBの設定方法の具体例1を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態におけるCOM選択データSIBの設定方法の具体例1に関する第1説明図である。
【図7】本発明の一実施形態におけるCOM選択データSIBの設定方法の具体例1に関する第2説明図である。
【図8】本発明の一実施形態におけるCOM選択データSIBの設定方法の具体例2を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態における駆動信号COM1〜COM4の駆動波形データの記憶例を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施形態における液滴吐出ヘッド5のCOM選択回路40の詳細説明図である。
【図11】本発明の一実施形態における液滴吐出ヘッド5のスイッチング回路50の詳細説明図である。
【図12】本発明の一実施形態における液滴吐出装置IJの動作を示す第1のタイミングチャートである。
【図13】本発明の一実施形態における液滴吐出装置IJの動作を示す第2のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0094】
IJ…液滴吐出装置、1…装置架台、2…ワークステージ、3…ステージ移動装置、4…キャリッジ、5…液滴吐出ヘッド、6…キャリッジ移動装置、7…チューブ、8…第1タンク、9…第2タンク、10…第3タンク、11…制御装置、30…駆動回路基板、31…インターフェース、32…描画データメモリ、33…アドレス変換回路、34…第1の駆動波形メモリ、35…第2の駆動波形メモリ、36…第1のD/Aコンバータ、37…第2のD/Aコンバータ、38…第3のD/Aコンバータ、39…第4のD/Aコンバータ、N〜N180…ノズル、PZ〜PZ180…圧電素子、40…COM選択回路、50…スイッチング回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズル及び各ノズルに対応して設けられた駆動素子を有する液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置の前記駆動素子に供給する駆動信号の設定方法であって、
各駆動素子に所定の基準駆動電圧を印加し、各駆動素子に対応するノズルから液滴を吐出させる第1の工程と、
各ノズルの液滴吐出量を測定する第2の工程と、
各ノズル毎に複数種類の駆動信号の中のいずれかを割り当てる第3の工程と、
同一種類の駆動信号が割り当てられたノズルの液滴吐出量が所定の適正量に近づくように、前記駆動信号の電圧値を決定する第4の工程と、
各ノズルと当該ノズルに割り当てられた駆動信号の種類との対応関係を示す駆動信号選択データを設定する第5の工程と、
前記第4の工程で決定された電圧値を有する各種類の駆動信号の波形データを設定する第6の工程と、
を有することを特徴とする駆動信号の設定方法。
【請求項2】
前記駆動信号を第1駆動信号〜第n駆動信号のn種類(nは2以上の整数)使用する場合において、
前記第3の工程では、前記第2の工程で測定した各ノズルの液滴吐出量の最小値から最大値までの範囲を、各第1駆動信号〜第n駆動信号のそれぞれに1対1に対応付けられた第1分割範囲〜第n分割範囲に均等にn分割し、各第1分割範囲〜第n分割範囲に含まれるノズルに、それぞれの分割範囲に対応する駆動信号を割り当て、
前記第4の工程では、各第1分割範囲〜第n分割範囲の中心値が前記適正量になるように、各分割範囲に対応する駆動信号の電圧値を決定する、
ことを特徴とする請求項1記載の駆動信号の設定方法。
【請求項3】
前記駆動信号を第1駆動信号〜第n駆動信号のn種類(nは2以上の整数)使用する場合において、
前記第3の工程は、
前記第2の工程で測定した各ノズルの液滴吐出量の最小値を、前記第1駆動信号の許容バラツキ電圧値に応じて予め設定されている第1バラツキ範囲の最小値に合わせ、当該第1バラツキ範囲内に含まれるノズルを液滴吐出量の小さい順に抽出してノズル数をカウントする工程と、
前記ノズル数が、前記第1駆動信号の電流容量に応じて予め設定されている許容最大ノズル数より大きいと判定された場合、前記第1バラツキ範囲内に含まれる前記許容最大ノズル数分のノズルに前記第1駆動信号を割り当てる一方、前記ノズル数が前記許容最大ノズル数以下と判定された場合、前記第1バラツキ範囲内に含まれる前記ノズル数分のノズルに前記第1駆動信号を割り当てる工程とを有し、
残ったノズルの液滴吐出量の最小値を、第i駆動信号(iは2からnまでの整数)の許容バラツキ電圧値に応じて予め設定されている第iバラツキ範囲の最小値に合わせ、当該第iバラツキ範囲内に含まれるノズルを液滴吐出量の小さい順に抽出してノズル数をカウントする工程と、
前記ノズル数が、前記第i駆動信号の電流容量に応じて予め設定されている許容最大ノズル数より大きいと判定された場合、前記第iバラツキ範囲内に含まれる前記許容最大ノズル数分のノズルに前記第i駆動信号を割り当てる一方、前記ノズル数が前記許容最大ノズル数以下と判定された場合、前記第iバラツキ範囲内に含まれる前記ノズル数分のノズルに前記第i駆動信号を割り当てる工程とをi=2〜nまで繰り返し、
前記第4の工程では、各第1駆動信号〜第n駆動信号毎に割り当てられたノズルの液滴吐出量の最小値と最大値との中心値が前記適正量になるように、各駆動信号の電圧値を決定する、
ことを特徴とする請求項1記載の駆動信号の設定方法。
【請求項4】
前記駆動信号選択データ及び波形データを液滴吐出ヘッド毎に設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の駆動信号の設定方法。
【請求項5】
前記駆動信号選択データ及び波形データを、液滴吐出ヘッドにおける未使用ノズルと使用ノズルとの比率であるノズルデューティに応じて設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の駆動信号の設定方法。
【請求項6】
4種類の駆動信号を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の駆動信号の設定方法。
【請求項7】
複数のノズル及び各ノズルに対応して設けられた駆動素子を有する液滴吐出ヘッドを備える液滴吐出装置の駆動方法であって、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の駆動信号の設定方法によって設定された前記駆動信号選択データ及び波形データを用い、
前記駆動信号選択データに基づいて、各ノズルに対応する駆動素子に供給する駆動信号の種類を選択し、
前記選択された種類の駆動信号を前記波形データに基づいて生成する、
ことを特徴とする液滴吐出装置の駆動方法。
【請求項8】
複数のノズル毎に設けられた駆動素子にそれぞれ駆動信号を供給して前記ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドの駆動信号の設定方法であって、
前記複数のノズルのそれぞれについて、仮条件の前記駆動信号を供給した際の吐出量を測定するA工程と、
前記A工程で測定した吐出量に基づいて、前記複数のノズルを、吐出量分布のレンジに関するn個のグループに分類するB工程と、
前記n個のグループについて、それぞれ略適正量の吐出量で吐出するための適正条件の前記駆動信号を設定するC工程と、を有することを特徴とする駆動信号の設定方法。
【請求項9】
前記適正条件の駆動信号は、前記仮条件の駆動信号について電圧成分を補正したものであることを特徴とする請求項8に記載の駆動信号の設定方法。
【請求項10】
前記適正条件は、対応する前記グループに属する前記ノズルの吐出量分布のレンジの中央値が、前記適正量となるための条件であることを特徴とする請求項8または9に記載の駆動信号の設定方法。
【請求項11】
前記適正条件は、対応する前記グループに属する前記ノズルの平均の吐出量が、前記適正量となるための条件であることを特徴とする請求項8または9に記載の駆動信号の設定方法。
【請求項12】
前記B工程において、前記n個のグループのそれぞれに属する前記ノズルの数が許容最大ノズル数を超えないように、分類を行うことを特徴とする請求項8ないし11のいずれか一項に記載の駆動信号の設定方法。
【請求項13】
前記B工程において、前記n個のグループのそれぞれに係る吐出量分布のレンジが等しくなるように、分類を行うことを特徴とする請求項8ないし11のいずれか一項に記載の駆動信号の設定方法。
【請求項14】
液滴吐出ヘッドにおける未使用ノズルと使用ノズルとの比率であるノズルデューティに応じて、前記B工程および前記C工程を行うことを特徴とする請求項8ないし13のいずれか一項に記載の駆動信号の設定方法。
【請求項15】
前記nは4であることを特徴とする請求項8ないし14のいずれか一項に記載の駆動信号の設定方法。
【請求項16】
複数のノズル毎に設けられた駆動素子にそれぞれ駆動信号を供給して前記ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドの駆動方法であって、
請求項8ないし15のいずれか一項に記載の駆動信号の設定方法を用いて、前記n個のグループのそれぞれに係る前記駆動信号を設定するD工程と、
前記D工程で設定された条件の前記駆動信号を、対応する前記グループに属する前記ノズルに供給して、前記液滴を吐出するE工程と、を有することを特徴とする液滴吐出ヘッドの駆動方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−178989(P2008−178989A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12267(P2007−12267)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】