説明

駆動機構及び画像形成装置

【課題】比較的廉価であって、且つ、安全性の高い駆動機構及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】所定の処理を行う処理装置を駆動する駆動機構であって、前記処理装置を駆動するための駆動力を発生させる駆動源と、前記駆動力を伝達する伝達部と、該伝達部を収容する筐体と、前記処理装置と前記伝達部とに接続され、前記処理装置へ前記駆動力を出力する出力部と、を備え、該出力部は、前記伝達部よりも高い難燃性を有することを特徴とする駆動機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的廉価であって、且つ、安全性の高い駆動機構及び駆動機構を用いてシートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの機械装置は、駆動力を発生させる駆動源と所定の処理を行う処理装置との間で駆動力を伝達する伝達部を備える。伝達部として、例えば、駆動ベルトや、複数のギアを含むギア列が用いられる。伝達部を介して駆動力を伝達する結果、駆動源及び処理装置は、適切な位置に配設され、且つ、処理装置に入力される出力が調整される。
【0003】
特許文献1及び2は、伝達部として、ギア列を開示する。特許文献1によれば、ギア列は、画像形成装置の感光体ドラムを回転させるための駆動力を伝達する。特許文献2に示される如く、ギア列は、筐体内に収容されることもある。
【0004】
伝達部が、加熱源を有する処理装置或いは加熱源の近くに配設される処理装置へ駆動力を伝達するとき、ギア列を収容する筐体は、多くの場合、高い難燃性の材料を用いて形成される。この結果、装置全体(例えば、画像形成装置全体)の耐火性は確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−231301号公報
【特許文献2】特開2007−292124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の駆動機構は、伝達部を収容する筐体に高い難燃性の材料を用いて、高い耐火性を確保しているが、筐体内に収容される伝達部の延焼を潜在的に生ずる。
【0007】
高い難燃性の材料は、一般的に、比較的高価である。したがって、筐体内の全ての伝達部の要素(例えば、ギア)を高い難燃性の材料を用いて製造することは、駆動機構の製造コストの著しい増大に帰結する。
【0008】
本発明は、比較的廉価であって、且つ、安全性の高い駆動機構及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面に係る所定の処理を行う処理装置を駆動する駆動機構は、前記処理装置を駆動するための駆動力を発生させる駆動源と、前記駆動力を伝達する伝達部と、該伝達部を収容する筐体と、前記処理装置と前記伝達部とに接続され、前記処理装置へ前記駆動力を出力する出力部と、を備え、該出力部は、前記伝達部よりも高い難燃性を有することを特徴とする(請求項1)。
【0010】
上記構成によれば、駆動源からの駆動力を伝達する伝達部は、筐体内に収容される。出力部は、伝達部と処理装置とに接続されるので、駆動力は適切に処理装置へ出力される。出力部は、伝達部よりも高い難燃性を有するので、筐体内の伝達部は適切に保護される。かくして、比較的廉価であって、且つ、安全性の高い駆動機構が提供される。
【0011】
上記構成において、前記出力部の難燃性は、UL V2以上であることが好ましい(請求項2)。
【0012】
上記構成によれば、出力部の難燃性は、UL V2以上であるので、筐体内の伝達部は適切に保護される。
【0013】
上記構成において、前記処理装置は、前記駆動力が入力される入力ギアを備え、前記出力部は、前記入力ギアと噛み合う出力ギアを含み、前記伝達部は、前記駆動源から前記出力ギアまで前記駆動力を伝達する複数のギアを含むことが好ましい(請求項3)。
【0014】
上記構成によれば、出力ギアは、処理装置の入力ギアと伝達部のギアとに噛み合うので、駆動源からの駆動力は適切に処理装置へ伝達される。出力ギアは、伝達部の複数のギアよりも高い難燃性を有するので、複数のギアは適切に保護される。
【0015】
上記構成において、前記筐体は、前記出力部よりも高い難燃性を有することが好ましい(請求項4)。
【0016】
上記構成によれば、筐体は出力部よりも高い難燃性を有するので、高い安全性の駆動装置が提供される。
【0017】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、トナーを用いて、シートに画像を形成する画像形成部と、前記トナーを溶融し、前記シートに前記画像を定着させる定着装置と、該定着装置を駆動する駆動機構と、を備え、該駆動機構は、前記定着装置を駆動するための駆動力を発生させる駆動源と、前記駆動力を伝達する伝達部と、該伝達部を収容する筐体と、前記処理装置と前記伝達部とに接続され、前記処理装置へ前記駆動力を出力する出力部と、を備え、該出力部は、前記伝達部よりも高い難燃性を有することを特徴とする(請求項5)。
【0018】
上記構成によれば、画像形成部は、トナーを用いて、シートに画像を形成する。定着装置は、トナーを溶融し、シートに画像を定着させる。駆動機構は、定着装置を駆動する。駆動源は、定着装置を駆動するための駆動力を発生させる。駆動源からの駆動力を伝達する伝達部は、筐体内に収容される。出力部は、伝達部と処理装置とに接続されるので、駆動力は適切に処理装置へ出力される。出力部は、伝達部よりも高い難燃性を有するので、筐体内の伝達部は適切に保護される。かくして、比較的廉価であって、且つ、安全性の高い駆動機構が提供される。
【発明の効果】
【0019】
上述の如く、本発明に従う駆動機構及び画像形成装置は、比較的廉価に製造され、且つ、高い安全性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1に示される画像形成装置の様々な要素を支持するためのフレームの概略的な斜視図である。
【図3】図1に示される画像形成装置の様々な要素を駆動するための駆動機構が取り付けられたフレームの概略的な斜視図である。
【図4】図1に示される画像形成装置の様々な要素を駆動するための駆動機構の概略的な斜視図である。
【図5】図4に示される駆動機構の第2外殻体の概略的な斜視図である。
【図6】図5に示される第2外殻体の内部構造を概略的に示す斜視図である。
【図7】図4に示される駆動機構の内部構造を概略的に示す斜視図である。
【図8】図4に示される駆動機構と定着装置との位置関係を概略的に示す斜視図である。
【図9】図8に示される駆動機構と定着装置との接続部を概略的に示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照しつつ、画像形成装置の様々な実施形態が説明される。以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」といった方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、駆動機構及び画像形成装置の原理を何ら限定するものではない。また、以下の説明において、「シート」との用語は、コピー用紙、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパや画像形成処理を受ける他のシート材料を意味する。以下の説明で用いられる「上流」、「下流」及びこれらに類する用語は、シートの搬送方向における「上流」、「下流」及びこれらに類する概念を意味する。
【0022】
図1は、一実施形態にしたがう画像形成装置を概略的に示す。本実施形態において、複写機が画像形成装置として例示される。代替的に、画像形成装置は、プリンタ、ファクシミリ、これらの機能を備える複合機やシートに画像を形成可能な他の装置であってもよい。
【0023】
(画像形成装置の全体構造)
複写機100は、トナー画像を形成するのに必要とされる機器を収容する主筐体110と、主筐体110の上面に配設される原稿供給装置120とを備える。主筐体110は、下部筐体111と、下部筐体111の上方に配設される上部筐体112と、下部筐体111と上部筐体112との間に配設される連結筐体113とを含む。下部筐体111、上部筐体112及び連結筐体113に取り囲まれた空間Rには、印刷処理がなされたシートSが排出される。
【0024】
上部筐体112は、主に、トナー画像の基となる原稿を読み取るための機器を収容する。下部筐体111は、シートSにトナー画像を形成するための機器を収容する。連結筐体113は、トナー画像が形成されたシートSを排出するための機器を収容する。複写機100は、主筐体110の外面に取り付けられた操作パネル(図示せず)を更に備える。使用者は、操作パネルを操作し、複写機100に所望の指示を与えることができる。
【0025】
原稿供給装置120は、上下に回動するように主筐体110に取り付けられる。使用者は、原稿供給装置120に所望の原稿を設置する。使用者は、その後、操作パネルを操作し、原稿供給装置120を動作させ、原稿供給装置120の下面と主筐体110の上面との間に原稿を送り込むことができる。代替的に、使用者は、原稿供給装置120を上方に回動させ、主筐体110の上面に原稿を載置し、その後、原稿供給装置120を下方に回動させることで、原稿を主筐体110の上面と原稿供給装置120の下面との間に配設することができる。
【0026】
複写機100は、原稿供給装置120の下面との間に配設された原稿を走査して読み取る走査機構114を更に備える。走査機構114は、上部筐体112内に配設される。走査機構114は、原稿に付された像を走査して光学的に読み取る。その後、走査機構114は、読み取った像をデジタル信号として出力する。
【0027】
複写機100は、走査機構114から出力されたデジタル信号に基づくトナー画像が形成されるシートSを収容するカセット210を更に備える。下部筐体111内に配設されたカセット210は、リフト板211と、リフト板211の下流端(図1中、右端)をカセット210内で上下に回動させるための昇降機構212とを含む。使用者は、シートSの束をリフト板211上に載置する。昇降機構212がリフト板211の下流端を押し上げる結果、カセット210からシートSが搬送される。
【0028】
複写機100は、下部筐体111の左側板に回動可能に取り付けられた手差トレイ220を更に備える。使用者は、下部筐体111の左側板から突出するように回動された手差トレイ220にシートSを載置してもよい。手差トレイ220上のシートSは、下部筐体111内に引き込まれる。複写機100は、下部筐体111内に引き込まれたシートSにトナー画像の形成処理を行う。
【0029】
カセット210及び手差トレイ220は、シートSの供給源として用いられる。使用者は、操作パネルの操作を通じて、所望の大きさのシートSを収容するカセット210或いは手差トレイ220を選択することができる。選択されたシート供給源(カセット210,手差トレイ220)に配設されたシートSは、下部筐体111内で搬送され、画像形成処理を受ける。
【0030】
複写機100は、リフト板211の上方に配設されたピックアップローラ311を更に備える。昇降機構212がリフト板211の下流端を上昇させると、リフト板211上のシートSはピックアップローラ311に接触する。ピックアップローラ311は、シートSをカセット外へ送り出すように回転する。
【0031】
複写機100は、ピックアップローラ311の下流に配設された給紙ローラ312と、給紙ローラ312に近接した捌きローラ313と、を更に備える。給紙ローラ312は、捌きローラ313の上側に配設される。ピックアップローラ311によってカセット210から送り出されたシートSは、給紙ローラ312と捌きローラ313との間に送り込まれる。給紙ローラ312は、シートSを更に下流に送り出すように回転し、捌きローラ313は逆に、シートSをカセット210へ戻すように回転する。この結果、ピックアップローラ311が複数枚重なったシートSをカセット210から送り出したとき、給紙ローラ312と接触するシートS(最も上側に存するシートS)のみが下流に送られ、他のシートSはカセット210に戻される。かくして、シートSは1枚ずつ下流へ送り込まれることとなる。
【0032】
複写機100は、手差トレイ220の基端部付近に配設された給紙ローラ316と、給紙ローラ316に圧接された捌きローラ317と、を更に備える。手差トレイ220上に載置されたシートSは、給紙ローラ316によって下部筐体111内に引き込まれる。給紙ローラ316によって下部筐体111内に引き込まれたシートSは、給紙ローラ316と捌きローラ317との間を通過する。給紙ローラ316が複数枚のシートSを下部筐体111内に引き込もうとするとき、捌きローラ313は逆に、シートSを手差トレイ220へ戻すように回転する。この結果、給紙ローラ316と接触したシートS(最も上側に存するシートS)のみが下部筐体111内に引き込まれる。かくして、手差トレイ220からシートSが1枚ずつ下部筐体111内に送り込まれる。
【0033】
複写機100は、トナーを用いて、シートSに画像を形成する画像形成部400と、画像形成部400にシートSを送るためのレジストローラ対318と、を更に備える。カセット210又は手差トレイ220から送り出されたシートSは、レジストローラ対318へ向かう。レジストローラ対318の下流に形成された画像形成部400は、走査機構114から出力されたデジタル信号に基づいてトナー画像を形成し、その後、シートSにトナー画像を転写する。レジストローラ対318は、画像形成部400の画像形成工程にタイミングを合わせて、シートSを画像形成部400へ送り込む。かくして、シートSの所定位置にトナー画像が形成される。
【0034】
本実施形態において、ピックアップローラ311、給紙ローラ312,316、捌きローラ313、317、レジストローラ対318は、シートSを画像形成部400へ供給する供給部として用いられる。
【0035】
画像形成部400は、略円筒形状の感光体ドラム410を備える。感光体ドラム410は、後述される如く、回転シャフトを含み、下部筐体111内で回転可能に支持される。感光体ドラム410の周面に静電潜像が形成された後、静電潜像に合致するトナー画像が形成される。その後、感光体ドラム410はトナー画像を担持しつつ回転し、レジストローラ対318によって画像形成部400に送り込まれたシートSにトナー画像を転写する。
【0036】
画像形成部400は、帯電器411と露光装置412とを更に備える。帯電器411は、感光体ドラム410の周面を一様に帯電させる。露光装置412は、走査機構114から出力されたデジタル信号に基づいて、レーザ光を感光体ドラム410の周面に照射する。レーザ光が照射された部分の電荷が消失することによって、原稿に表された像に合致する静電潜像が感光体ドラム410の周面に形成される。
【0037】
画像形成部400は、トナーを収容するトナーコンテナ413と、トナーコンテナ413から供給されたトナーを感光体ドラム410に供給する現像装置414とを更に備える。現像装置414は、静電潜像を担持しつつ回転する感光体ドラム410にトナーを供給する。現像装置414から感光体ドラム410へ供給されたトナーは、感光体ドラム410の周面に静電的に付着する。この結果、感光体ドラム410の周面にトナー画像が形成される。
【0038】
画像形成部400は、感光体ドラム410に圧接された転写ローラ415を更に備える。レジストローラ対318は、感光体ドラム410と転写ローラ415との間にシートSを送り込む。転写ローラ415は、感光体ドラム410が担持するトナーとは逆のバイアスをシートSに与える。この結果、感光体ドラム410上のトナーは電気的にシートSの表面に引き剥がされ、トナー画像がシートSに転写される。その後、感光体ドラム410及び転写ローラ415は、下流へシートSを送り出す。
【0039】
画像形成部400は、クリーニング装置416と除電器417とを更に備える。クリーニング装置416は、シートSへのトナー画像の転写後の感光体ドラム410の周面に残存するトナーを除去する。その後、除電器417は、清浄化された感光体ドラム410の周面を除電する。感光体ドラム410は、更にその後、帯電器411によって再度一様に帯電され、新たな画像形成処理を受ける。
【0040】
複写機100は、画像形成部400で形成されたトナー画像をシートSに定着させる定着装置500を更に備える。画像形成部400の下流に配設された定着装置500は、ヒータ511を内蔵する加熱ローラ510と、加熱ローラ510に圧接される加圧ローラ520とを含む。感光体ドラム410及び転写ローラ415は、加熱ローラ510と加圧ローラ520との間にシートSを送り込む。
【0041】
加熱ローラ510からの熱エネルギによって、シートS上のトナーが溶融される。加熱ローラ510と加圧ローラ520との間で生ずる圧力によって、トナー画像はシートSに定着される。加熱ローラ510及び加圧ローラ520は、その後、シートSを下流へ送り出す。
【0042】
複写機100は、定着装置500の下流に形成された排出部600を更に備える。排出部600は、排出ローラ対610を含む。使用者が、操作パネルを通じて、片面印刷の指示を複写機100に与えると、排出ローラ対610は、定着装置500から送られたシートSを空間Rに排出する。使用者が、操作パネルを通じて、両面印刷の指示を複写機100に与えると、排出ローラ対610は、シートSを空間Rへ排出する方向と、シートSを、再度、連結筐体113内へ引き戻す方向との間で回転方向を切り換えるスイッチバック動作を行う。
【0043】
複写機100は、カセット210及び/又は手差トレイ220からのシートSをレジストローラ対318へ案内する供給搬送路320と、主筐体110の右側板に沿って形成された戻し搬送路319と、を更に備える。主筐体110に形成された戻し搬送路319は、画像形成部400がシートSに画像を形成した後、シートSをレジストローラ対318に向けて、再度、案内する。戻し搬送路319の下端(下流端)は、供給搬送路320に接続される。使用者からの両面印刷の指示を受け、スイッチバック動作により連結筐体113内に引き戻されたシートSは、戻し搬送路319を通じて、レジストローラ対318の上流へ送られる。その後、シートSは、画像形成部400及び定着装置500を通過する。この結果、シートSの両面にトナー画像が形成されることとなる。両面印刷処理がなされたシートSは、排出ローラ対610によって、空間Rに排出される。
【0044】
(フレームの構造)
図2は、図1に示される複写機100の要素を支持するフレームの概略的な斜視図である。図1及び図2を用いて、フレームが説明される。
【0045】
主筐体110は、導電性のフレーム710を含む。フレーム710は、例えば、金属板から形成される。フレーム710は、主筐体110の内部壁を形成する。フレーム710には、感光体ドラム410、定着装置500、給紙ローラ312、レジストローラ対318や搬送ローラ対321といった様々な要素が取り付けられる。フレーム710は、略矩形状の主板711と、主板711の周縁から直角に折れ曲がって突出する側板712とを含む。主板711は、感光体ドラム410、定着装置500、給紙ローラ312、レジストローラ対318や搬送ローラ対321といった様々な要素が取り付けられる第1面713と、第1面713とは反対側の第2面714と、を含む。側板712によって取り囲まれた第2面714には、後述される駆動機構が取り付けられる。
【0046】
主板711には、第1面713に取り付けられる様々な要素とこれらを駆動する駆動機構とを接続するための多数の貫通穴が形成される。貫通穴は、例えば、手差トレイ220から下部筐体111内へシートSを給紙するための給紙ローラ316を駆動するためのギアを第1面713側に露出させるための貫通穴716と、カセット210からのシートSを給紙するための給紙ローラ312が接続される回転シャフトを第1面713側に露出させるための貫通穴717と、画像形成部400の上流に配設されるレジストローラ対318を駆動するために用いられるギアを第1面713側に露出させるための貫通穴718と、現像装置414を駆動するために用いられるギアを第1面713側に露出させるための貫通穴719と、感光体ドラム410と駆動機構とを接続させるための貫通穴715と、戻し搬送路319中のシートSを搬送する搬送ローラ対321を駆動するために用いられるギアを第1面713に露出させるための貫通穴720と、定着装置500の加熱ローラ510を駆動するギアを第1面713に露出させるための貫通穴721と、を含む。
【0047】
図3は、駆動機構が取り付けられたフレーム710の概略的な斜視図である。図1乃至図3を用いて、フレーム710が更に説明される。
【0048】
駆動機構800は、手差トレイ220から下部筐体111内へシートSを給紙するための給紙ローラ316を駆動するギア831を備える。ギア831は、貫通穴716を介して、第1面713側に突出し、給紙ローラ316に設けられたギア(図示せず)と噛み合う。
【0049】
駆動機構800は、レジストローラ対318を駆動するために用いられるギア833を更に備える。ギア833は、貫通穴718を介して、第1面713側に突出し、レジストローラ対318に設けられたギア(図示せず)と噛み合う。
【0050】
駆動機構800は、カセット210からのシートSを給紙するための給紙ローラ312が取り付けられる回転シャフト832を更に備える。回転シャフトは、貫通穴717を介して、第1面713側に突出する。
【0051】
駆動機構800は、現像装置414を駆動するために用いられるギア834を更に備える。ギア834は、貫通穴719を介して、第1面713側に突出し、現像装置414に設けられたギア(図示せず)と噛み合う。
【0052】
駆動機構800は、戻し搬送路319中のシートSを搬送する搬送ローラ対321を駆動するためのギア835を更に備える。ギア835は、貫通穴720を介して、第1面713側に突出する。図1に示される如く、複写機100は、戻し搬送路319に沿って配設された複数の搬送ローラ対321を備える。ギア835は、最も下方(最も下流)の搬送ローラ対321に設けられたギア(図示せず)と噛み合う。他の搬送ローラ対321は、最も下方の搬送ローラ対321と、駆動ベルトを用いて接続される。
【0053】
駆動機構800は、感光体ドラム410をフレーム710に対して位置決めするための位置決め筒823を備える。位置決め筒823は、貫通穴715を介して、第1面713側に突出する。感光体ドラム410の回転シャフト(図示せず)は、位置決め筒823内に挿入され、駆動機構800から駆動力を伝達される。
【0054】
駆動機構800は、定着装置500の加熱ローラ510を駆動するギア836を更に備える。定着装置500に接続されるギア836は、貫通穴721を介して、第1面713側に突出する。ギア836は、定着装置500の加熱ローラ510に設けられたギア(図示せず)と噛み合う。本実施形態において、定着装置500は、処理装置として例示される。代替的に、他の処理を行う装置が、処理装置として用いられてもよい。
【0055】
ギア836は、比較的高い難燃性を有する樹脂から形成される。ギア836は、好ましくは、難燃性の等級として、UL V2以上の樹脂材料を用いて成型される。本実施形態において、ギア836は、定着装置500へ駆動力を出力する出力部及び出力ギアとして例示される。
【0056】
(駆動機構)
図4は、主板711側から見た駆動機構800の斜視図である。図4を用いて、駆動機構800が説明される。
【0057】
駆動機構800は、上述のギア831,833,834,835,836、回転シャフト832及び位置決め筒823に加えて、ギア831,833,834,835,836及び回転シャフト832へ伝達される駆動力を作り出す駆動源として用いられるモータ(後述される)と、モータからの駆動力をギア831,833,834,835,836及び回転シャフト832へ伝達する伝達部(後述される)と、伝達部を収容する筐体820と、を備える。筐体820は、第1外殻体821と、第2外殻体822とを含む。第1外殻体821は、フレーム710の主板711と第2外殻体822との間に配設される。筐体820は、好ましくは、ギア836よりも高い難燃性を有する樹脂材料から形成される。例えば、筐体820は、UL V0以上の難燃性を有する樹脂材料から成型される。
【0058】
図5は、第2外殻体822の概略的な斜視図である。図4及び図5を用いて、駆動機構800が更に説明される。
【0059】
第2外殻体822は、第1外殻体821と重なり合う本体部842を含む。本体部842は、第1外殻体821と重なり合い、第1収容部843を形成する。第1収容部843は、伝達部が収容される第1収容空間を形成する。ギア831,833,834,835,836及び回転シャフト832は、第1収容空間に部分的に収容される。
【0060】
第2外殻体822は、本体部842から外方に突出する第2収容部844を更に含む。第2収容部844は、ギア833、835及び回転シャフト832への駆動力の伝達を制御する電磁クラッチ(後述される)が収容される第2収容空間を形成する。
【0061】
第2収容部844は、本体部842から外方に突出する周壁845を含む。周壁845は、第2収容空間内の電磁クラッチを取り囲む。本実施形態において、周壁845は、略L字状の第2収容空間を規定する。第2収容空間内には、3つの電磁クラッチが配設される。
【0062】
第2収容部844は、第2収容空間内の電磁クラッチを支持するための支持壁846を含む。支持壁846は、L字状の第2収容空間を規定する周壁845の先端縁と接続され、第2収容空間を閉塞する。図5には、第2収容空間内の電磁クラッチを支持壁846に固定するための固定具847が示されている。
【0063】
周壁845は、第2収容空間内の電磁クラッチの上方に配設された上部壁848と、第2収容空間内の電磁クラッチの下方に配設された下部壁849と、を含む。上部壁848には、複数の開口部841が形成される。開口部841は、本体部842から支持壁846に向けて延びる。第2収容空間内の電磁クラッチから発生した熱は、開口部841を通じて、筐体820の外へ適切に配設される。
【0064】
駆動機構800は、上述のモータ810に加えて、モータ810を支持するための支持板860を備える。モータ810は、支持板860を介して、本体部842の外面に取り付けられる。モータ810のシャフトは、第1外殻体821及び第2外殻体822が形成する第1収容空間内に挿通され、伝達部へ駆動力を伝達する。
【0065】
図6は、第2外殻体822の内部構造を示す斜視図である。図7は、第2外殻体822の内面側に構築された伝達部の斜視図である。図1、図4乃至図7を用いて、第2外殻体822及び伝達部が説明される。
【0066】
駆動機構800は、上述の如く、電磁クラッチを備える。電磁クラッチは、レジストローラ対318への駆動力の伝達を制御する第1電磁クラッチと、給紙ローラ312を回転させる回転シャフト832への駆動力の伝達を制御する第2電磁クラッチと、戻し搬送路319に沿って配設された搬送ローラ対321への駆動力の伝達を制御する第3電磁クラッチと、を含む。
【0067】
上述の如く、第2外殻体822の第2収容部844は、電磁クラッチを収容するための第2収容空間881を形成する。第2収容空間881は、第1電磁クラッチが収容される第1空間826と、第2電磁クラッチが収容される第2空間825と、第3電磁クラッチが収容される第3空間882と、を含む。
【0068】
第1電磁クラッチは、ギア838に接続される。第1クラッチが、ギア838を、レジストローラ対318を駆動するためのギア833に向けて変位させると、ギア833は回転する。この結果、レジストローラ対318が回転する。
【0069】
第2電磁クラッチは、ギア837に接続される。第2電磁クラッチのオン/オフに応じて、ギア837及びギア837に接続された回転シャフト832が回転する。
【0070】
第3電磁クラッチは、ギア883に接続される。第3電磁クラッチは、ギア883を、ギア883と同軸に配設されたギア884に向けて変位させる。この結果、戻し搬送路319中のシートSを搬送するための搬送ローラ対321を駆動するためのギア835と噛み合うギア884が回転する。かくして、ギア835が回転し、搬送ローラ対321へ駆動力が伝達される。
【0071】
第2外殻体822は、ギア831を支持するシャフト824、ギア834を支持するシャフト827、ギア835を支持するシャフト828及びギア836を支持するシャフト829を更に含む。第2外殻体822は、これらシャフトや空間の他、これらギアへ駆動力を伝達するための多数のギアを支持又は収容するための空間を含む。伝達部830は、第2外殻体822に取り付けられた複数のギアから構成される。伝達部830は、第2外殻体822に取り付けられる複数のギアの中で最も大きい直径の主ギア850を含む。また、第2外殻体は、主ギア850を収容するための空間を形成する隔壁859を含む。主ギア850は、感光体ドラム410の回転に用いられる。
【0072】
伝達部830は、モータ810のシャフトに同軸に接続された駆動ギア812を含む。第1収容空間内の様々なギアは、駆動ギア812からの駆動力を受けて、それぞれ回転する。
【0073】
伝達部830は、現像装置414の駆動に用いられるギア834と同軸のギア861と、ギア861と噛み合うギア862と、ギア862と噛み合うギア863と、ギア863と噛み合うギア864と、ギア864と噛み合うギア865と、ギア865と同軸のギア866と、を備える。ギア861は、駆動ギア812に噛み合う。駆動ギア812の回転は、ギア861、ギア862、ギア863、ギア864、ギア865、ギア866へと、順次、伝達される。ギア866は、ギア836に噛み合う。ギア866へ伝達された駆動ギア812の回転は、最終的に、ギア836へ伝達される。
【0074】
ギア836は、図7に示される伝達部830のギアよりも高い難燃性を有する。上述の如く、ギア836は、UL V2以上の難燃性の等級の樹脂材料から成型されるのに対し、他のギアは、UL HBの難燃性の等級の樹脂材料から成型されてもよい。
【0075】
(定着装置と駆動装置との接続)
図8は、定着装置500と駆動機構800との位置関係を示す概略的な斜視図である。図9は、定着装置500と駆動機構800との接続部の周囲の概略的な拡大斜視図である。図1、図7乃至図9を用いて、定着装置500と駆動機構800との接続が説明される。
【0076】
定着装置500は、上述の加熱ローラ510及び加圧ローラ520に加えて、これらを駆動するための駆動力が入力される入力ギア530を備える。定着装置500の側面に取り付けられた入力ギア530が駆動機構800のギア836と噛み合うように、定着装置500は配設される。ギア836がモータ810からの駆動力を受けて回転すると、入力ギア530が回転する。この結果、加熱ローラ510及び加圧ローラ520も回転する。
【0077】
上述の如く、ギア836及び筐体820は、比較的高い難燃性を有する。したがって、定着装置500に組み込まれたヒータ511から筐体820内部の伝達部830は適切に保護される。
【0078】
本実施形態の原理は、定着装置500に限らず、他の処理を行う様々な処理装置に適用可能である。また、本実施形態において、伝達部830は、ギア列を用いて形成されている。代替的に、駆動力を伝達可能な他の要素(例えば、駆動ベルト、プーリや減速器)が伝達部830に用いられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、駆動源からの駆動力を用いて、所定の処理を行う処理装置に好適に適用される。
【符号の説明】
【0080】
100・・・・・・・・複写機(画像形成装置)
400・・・・・・・・画像形成部
500・・・・・・・・定着装置
530・・・・・・・・入力ギア
800・・・・・・・・駆動機構
810・・・・・・・・モータ(駆動源)
820・・・・・・・・筐体
830・・・・・・・・伝達部
836・・・・・・・・ギア(出力部:出力ギア)
861・・・・・・・・ギア
862・・・・・・・・ギア
863・・・・・・・・ギア
864・・・・・・・・ギア
865・・・・・・・・ギア
866・・・・・・・・ギア
S・・・・・・・・・・シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の処理を行う処理装置を駆動する駆動機構であって、
前記処理装置を駆動するための駆動力を発生させる駆動源と、
前記駆動力を伝達する伝達部と、
該伝達部を収容する筐体と、
前記処理装置と前記伝達部とに接続され、前記処理装置へ前記駆動力を出力する出力部と、を備え、
該出力部は、前記伝達部よりも高い難燃性を有することを特徴とする駆動機構。
【請求項2】
前記出力部の難燃性は、UL V2以上であることを特徴とする請求項1に記載の駆動機構。
【請求項3】
前記処理装置は、前記駆動力が入力される入力ギアを備え、
前記出力部は、前記入力ギアと噛み合う出力ギアを含み、
前記伝達部は、前記駆動源から前記出力ギアまで前記駆動力を伝達する複数のギアを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動機構。
【請求項4】
前記筐体は、前記出力部よりも高い難燃性を有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の駆動機構。
【請求項5】
トナーを用いて、シートに画像を形成する画像形成部と、
前記トナーを溶融し、前記シートに前記画像を定着させる定着装置と、
該定着装置を駆動する駆動機構と、を備え、
該駆動機構は、
前記定着装置を駆動するための駆動力を発生させる駆動源と、
前記駆動力を伝達する伝達部と、
該伝達部を収容する筐体と、
前記処理装置と前記伝達部とに接続され、前記処理装置へ前記駆動力を出力する出力部と、を備え、
該出力部は、前記伝達部よりも高い難燃性を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−113126(P2012−113126A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261975(P2010−261975)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリュ−ションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】