駆動装置、振動アクチュエータ、及び、電子機器
【課題】振動体の振動面の精度が良い駆動装置、振動アクチュエータ及び電子機器を提供する。
【解決手段】 振動体(11)は振動面(12a)とは異なる面にフランジ部(12d)を有する。取付部材(40)はフランジ部(12d)に取り付けられる取付部(42)を有する。取付部(42)はフランジ部(12d)に対向する部分に複数の凹部(43)を有することを特徴とする駆動装置(10)である。
【解決手段】 振動体(11)は振動面(12a)とは異なる面にフランジ部(12d)を有する。取付部材(40)はフランジ部(12d)に取り付けられる取付部(42)を有する。取付部(42)はフランジ部(12d)に対向する部分に複数の凹部(43)を有することを特徴とする駆動装置(10)である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置、振動アクチュエータ及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動アクチュエータとして、超音波の振動域を利用した進行波モータである超音波モータが知られている。超音波モータは、一般に、振動面に進行性振動波を発生させる弾性体と、上面側が弾性体に取付けられた圧電体と、弾性体の振動面に加圧接触されて駆動される移動子とを含み、例えば、カメラ鏡筒を駆動するモータ等として使用される。
【0003】
このような超音波モータは、振動面に良好な進行性振動波を生じさせるため、振動面の平面度を維持した状態で支持される必要がある。
超音波モータの支持構造に関する技術として、特許文献1は、弾性体の側面に備えられたフランジ部と、フランジ部に取付けられ弾性体を支持する取付部材とを含む超音波モータを開示している。
【0004】
この種の超音波モータは、一般に、圧電体の上面側の端子電極を引き出すため、圧電体の下面側から弾性体に至る領域にハンダなどの導電接合部を形成する必要があり、製品の量産時においては、導電接合部の形成領域を厳密に制御することが困難であるから、導電接合部が弾性体のフランジ部に達する場合がある。
【0005】
この場合、取付部材を弾性体に取り付ける際に、フランジ部に形成された導電接合部が取付部材と弾性体との間に挟み込まれ、挟み込まれた導電接合部の盛り上がり分だけ弾性体の振動面が変形し、振動面の平面度が失われることとなる。
【0006】
弾性体が取付部材に取り付けられた状態において、弾性体の平面度が悪いと、弾性体の振動面と移動子との接触状態が悪くなり、モータの駆動時に異音が発生するという問題や、駆動トルクが低下するという問題を生じるおそれがある。このような性能劣化を避けるためには、研削、ラッピング等の手段を用いて振動面を平坦にする必要がある。
【0007】
ところが、振動面の変形が大きい場合には、ラッピングのサグ量が多くしても、十分な平面度が得られないおそれがある。また、サグ量が多くなると、振動面に形成された薄いメッキ膜等が削り取られ、モーターの使用時に安定した特性が得られなくなるおそれもある。
【0008】
弾性体と取付部材との間に挟み込まれた導電接合部に起因する振動面の変形を回避するための手段として、導電接合部が形成された領域に対応するように、取付部材の一面に溝を1箇所だけ形成する技術も知られている。
【0009】
しかしながら、取付部材に1箇所の溝を設けると、溝が設けられた1箇所のみに変形が集中し、溝が設けられていない部分との間で形状の異方性が生じ、十分な平面度が得られなくなるという問題があった。
【特許文献1】特開2005−287160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、安定した駆動特性が得られる駆動装置、振動アクチュエータ及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の一実施例を示す図面に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0012】
請求項1に記載の発明は、振動面(12a)に進行性振動波を生じさせる振動体(11)と、振動体(11)に取り付けられる取付部材(40)とを含む駆動装置であって、振動体(11)は振動面(12a)とは異なる面にフランジ部(12d)を有し、取付部材(40)はフランジ部(12d)に取り付けられる取付部(42)を有し、取付部(42)はフランジ部(12d)に対向する部分に複数の凹部(43)を有することを特徴とする駆動装置(10)である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載された駆動装置であって、複数の凹部(43)が3つ以上であることを特徴とする駆動装置(10)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載された駆動装置であって、フランジ部(12d)が振動面(12a)と略直交する振動体(11)の側面(112,113)に備えられていることを特徴とする駆動装置(10)である。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載された駆動装置であって、振動体(11)は、駆動信号により励振される圧電体(13)と、圧電体(13)に取付けられた弾性体(12)とを含み、弾性体(12)は、その側面にフランジ部(12d)を有し、圧電体(13)の励振により振動面(12a)に進行性振動波を生じさせることを特徴とする駆動装置(10)である。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載された駆動装置であって、導電性を有する導電接合部(50)を含み、導電接合部(50)の少なくとも一部は、振動面(12a)の裏面において、圧電体(13)からフランジ部(12d)にわたって設けられ、圧電体(13)と弾性体(12)とを電気的に接続しており、凹部(43)のうち少なくとも一つは、導電接合部(50)に対応して備えられていることを特徴とする駆動装置(10)である。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5までの何れか1項に記載された駆動装置であって、凹部(43)は、切欠きであり、凹部(43)のそれぞれは、取付部(42)の外周に沿って、互いに間隔を隔てて形成されていることを特徴とする駆動装置(10)である。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項5までの何れか1項に記載された駆動装置であって、凹部(43)は、凹溝であり、凹部(43)のそれぞれは、取付部(42)の外周に沿って、互いに間隔を隔てて形成されていることを特徴とする駆動装置(10)である。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7までの何れか1項に記載された駆動装置であって、振動体(11)は、振動面(12a)を貫通する貫通孔(111)を有し、フランジ部(12d)は、貫通孔(111)により形成された振動体(11)の内側面(112)に形成されていることを特徴とする駆動装置(10)である。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項7までの何れか1項に記載された駆動装置であって、フランジ部(12d)は、外側面(113)に形成されていることを特徴とする駆動装置(10)である。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項9までの何れか1項に記載された駆動装置(10)と、振動体(11)の振動面(12a)に加圧接触される移動子(20)とを含む振動アクチュエータ(1)であって、移動子(20)は、進行性振動波によって駆動装置(10)と相対運動することを特徴とする振動アクチュエータ(1)である。
【0021】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載された振動アクチュエータ(1)を用いたことを特徴とする電子機器(3)である。
なお、符号を付して説明した構成は適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、安定した駆動特性が得られる駆動装置、振動アクチュエータ及び電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面等を参照して、本発明の実施例をあげて、さらに詳しく説明する。なお、以下の実施例は、振動アクチュエータとして、超音波モータを例にとって説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は本発明の一実施例を示す断面図、図2は図1の部分拡大図、図3は図1に示した振動体および取付部材の外観を示す図である。
本実施例の振動アクチュエータ1は、固定子(ステータ)10と、固定子10に対して相対運動する移動子(ロータ)20とを含む。固定子10は、本発明に係る駆動装置に含まれる。
【0025】
図1において、駆動装置10は、振動体11と、振動体11に取り付けられた取付部材40とを含む。振動体11は、例えば、共振先鋭度が大きな金属材料(例えば、ステンレスなどの鉄鋼材)から成る弾性体12と、弾性体12に取付けられ駆動信号により励振される圧電体13とを含む。
【0026】
弾性体12は、進行性振動波(例えば、弾性体の1周あたり4波長の進行波)を生じさせる振動面(駆動面)12aと、振動面12aに溝を切って形成された櫛歯12bと、櫛歯12bの下に形成されたベース部12cと、振動面12aと略直交する貫通孔111により形成された内側面112と、取付部材40に固定するためのフランジ部12dとを有する。
【0027】
図において、振動面12aには耐摩耗性や移動子20の摺動性を向上させるためにNiP等の表面処理(メッキ処理等)がなされている。フランジ部12dは、内側面112のうちベース部12cの中央付近に取付けられているが、その取付け位置は任意である。
【0028】
図2は図1のA矢印方向から振動体11を見た拡大図である。圧電体13は、円周方向に沿ってA相131と、B相132とに分かれている。各相131,132には、1/2波長毎に分極が交互となった要素が並べられている。A相131とB相132との間には1/4波長分の間隔が設けられており、この間隔部分がGND部133として使用される。
【0029】
図1に戻って、圧電体13の下面13aには、駆動電圧を供給するフレキシブルプリント基板(FPC)60が設けられている。FPC60に形成された信号線61〜63のそれぞれは、圧電体13のA相131、B相132、及び、GND部133のそれぞれに電気的に接続されている。
【0030】
導電接合部50は、例えば、ハンダ等の導電性材料からなる。導電接合部50の少なくとも一部は、振動面12aの裏面(圧電体の下面13a)側において、圧電体のGND部133から弾性体のフランジ部12dにわたって設けられ、圧電体13と弾性体12とを電気的に接続している。
【0031】
図3は図1に示した振動体11及び取付部材40の外観を示す斜視図である。図1及び図3からわかるように、取付部材40は、土台部41と取付部42とを含む。取付部42は、フランジ部12dに対向するように土台部41の一面に形成されている。取付部42はフランジ部12dに対向する部分に複数の凹部43が形成されている。
【0032】
図3において、凹部43は凹溝であり、取付部42の外周に沿って、互いに等しい間隔を隔てて形成されている。取付部42は、フランジ部12dに締め付けられ、これにより弾性体12が取付部材40に取り付けられる。凹部43は、その少なくとも1つが導電接合部50が形成された領域に対応して配置され、取付部42とフランジ部12dとの間に導電接合部50が挟み込まれないようにしている。
【0033】
具体的には、例えば、図1において、取付部42は、それぞれ対応するねじ溝が形成された第1の部分(雌ねじ)421及び第2の部分(雄ねじ)422からなり、第1の部分421と第2の部分422との間にフランジ部12dを挟み、ねじ締めされている。第1の部分421は、例えば、GF含有ポリカーボネイト等の樹脂材料等の樹脂材料(高分子材料を含む)からなり、第2の部分422は、例えば、銅合金などの金属材料からなる。
【0034】
図1に戻って、土台部41の内側面にはベアリング75の外輪751が取り付けられる。ベアリング75の内輪752には軸71が貫通している。コイルばね74は、軸71に固定された部材72,73と、内輪752との間にばね力を加えるためのものである。
【0035】
移動子20は、例えば、アルミニウム等の軽金属でからなり、耐摩耗性を向上させるため摺動面にアルマイト等の表面処理が施されている。移動子20は、軸71に取り付けられ、コイルばね74のばね力により、弾性体の振動面12aに加圧接触されている。
【0036】
上述したように、本実施例に係る駆動装置(固定子)10は、振動体11のフランジ部12dに取付部材40の取付部42が取付けられて構成される。そして、この駆動装置(固定子)10に、移動子20を加圧接触させることにより本実施例に係る振動アクチュエータ1が得られる。
【0037】
本実施例に係る駆動装置10は、圧電体13の励振により駆動装置10の振動面12aに進行性振動波を発生させ、振動面12aに加圧接触した移動子(ロータ)20を駆動させる。
【0038】
具体的には、例えば、位相が90゜ずれた駆動信号のそれぞれが圧電体13のA相131およびB相132に印加されることにより、A相から発生する曲げ振動(例えば、4次曲げ振動)とB相から発生する曲げ振動との位置的な位相が1/4波長ずれ、2つの曲げ振動が合成され、例えば、4波の進行性振動波が振動面12aに発生する。また、図示の実施例では、振動面12aに櫛歯12bを形成することにより、進行性振動波の中立面を圧電体13側に接近させ、進行性振動波の振幅を増幅させている。
【0039】
本実施形態において、振動アクチュエータ1は、フランジ部12dに対向する部分に凹部43を有するから、導電接合部50が形成された領域に凹部43を対応させることにより、導電接合部50の盛り上がり分に起因した振動面12aの変形が回避され、振動面12aの平面度の劣化が防止される。
【0040】
更に、凹部43が複数であるから、振動面12aにおいて、凹部43に対応した変形箇所が複数の箇所に分散し、1箇所当たりの変形量が小さくなるとともに、形状の異方性(振動面の位置に依存する変形量の偏り)が低減し、振動面12aの平面度の劣化が防止される。
【0041】
本実施形態の振動アクチュエータ1は、このような平面精度の高い振動面により、弾性体12の振動面12aと移動子20との接触状態が良好になり、アクチュエータの駆動時に異音が発生するという問題や、駆動トルクが低下するという問題を回避し、安定した駆動特性が得られる。
【0042】
特に、振動体11や移動子20の径を、例えば、従来の1/3〜1/5倍程度に小型化し、出力性能を維持するために回転数を上げた場合には、振動面12aの平面度の影響が大きくなるから、上述した優れた作用効果が顕著に表れることとなる。
【0043】
凹部43の数は、3つ以上であることが好ましい。凹部43の数が2箇所である場合、それぞれの凹部43の位置関係によっては、振動面12aが2つに折れた形状となり振動面12aの平面度が低下するおそれがあるのに対し、凹部43の数が3箇所以上であれば、振動面12aが折れた形状になることがなく、良好な平面度が確実に得られるからである。
【0044】
また、複数の凹部43のそれぞれは、取付部42の外周を等分割した位置に配置することが好ましい。凹部に対応して変形する箇所が均等に分散し、形状の異方性が更に低減し、更に良好な平面度が得られるからである。
【0045】
本実施形態の振動アクチュエータは、振動面12aの平面度が良いから、平面度を更に良好にすべく研削を施す場合でも、ラッピングのサグ量が少なくて済む。このため、振動面12aに形成された薄いメッキ膜等が削り取られる等の不具合が生じることがなく、モーターの使用時に安定した特性が得られる。
【0046】
更に、本実施形態の振動アクチュエータでは、ラッピングのサグ量が少なくて済むから、ラッピングで削り取られる分を考慮して振動面12aの表面に厚いメッキ膜を形成する必要がなくなり、製品製造に要する期間が短縮される。
【0047】
次に、別の実施例を用いて本発明に係る振動アクチュエータを説明する。以下に示す各実施例では、図1〜図3に示した振動アクチュエータと同一又は同様な機能を果たす部分には、同一又の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【実施例2】
【0048】
図4は別の一実施例を示す部分平面図である。図示の振動アクチュエータは、凹部43が4つ設けられている点が図1〜図3に示した振動アクチュエータと相違する。
本実施例の振動アクチュエータは、図1〜図3に示した振動アクチュエータと同様の構成要素を含むので、同様の優れた作用効果を奏することができる。
【0049】
また、本実施例の振動アクチュエータは、凹部が4つ設けられているから、凹部が3つ設けられている図1〜図3の振動アクチュエータと比較して、凹部に対応する振動面12aの変形が更に均等に分散し、振動面12aの平面度の劣化が更に低減し、更に良好な平面度が得られる。
【実施例3】
【0050】
図5は更に別の一実施例を示す部分平面図である。図示の振動アクチュエータは、取付部42の外周側のみに凹部43が形成されている点が図1〜図4に示した振動アクチュエータと相違する。
【0051】
本実施例の振動アクチュエータは、図1〜図4に示した振動アクチュエータと同様の構成要素を含むので、同様の優れた作用効果を奏することができる。
また、本実施例では、軸71(図1参照)と対向する取付部42の内周(内側面)に凹部43が形成されておらず、取付部42の内側面が凹凸のない滑らかな形状であるから、軸71の回転特性が向上することとなる。
【実施例4】
【0052】
図6は更に別の一実施例を示す部分正面図である。図示の振動アクチュエータは、取付部材40の側面から見て、凹部43が略三角形の切欠きである点が図1〜図5に示した振動アクチュエータと相違する。
【0053】
図6に示した振動アクチュエータは、図1〜図5に示した振動アクチュエータと同様の構成要素を含むので、同様の優れた作用効果を奏することができる。
【実施例5】
【0054】
図7は更に別の一実施例を示す部分正面図である。図7において、凹部43は、取付部材40の側面から見て曲線形状である。
図7に示した振動アクチュエータは、図1〜図6に示した振動アクチュエータと同様の構成要素を含むので、同様の優れた作用効果を奏することができる。
【実施例6】
【0055】
図8は更に別の一実施例を示す断面図である。図示の振動アクチュエータは、弾性体12の外側面113にフランジ部12dが形成されている点が図1〜図7に示した振動アクチュエータと相違する。
【0056】
図8に示した振動アクチュエータは、図1〜図7に示した振動アクチュエータと同様の構成要素を含むので、同様の優れた作用効果を奏することができる。
【実施例7】
【0057】
図9は電子機器の一実施例を説明するブロック図である。以下の実施例は、電子機器として、カメラを例にとって説明するが、本発明の電子機器は、カメラ鏡筒、スチールカメラ、ビデオカメラ等の光学機器に限らず、携帯電話等の通信機器などであってもよい。
【0058】
図9に示した電子機器3は、CPU等から供給された駆動指令(目標位置情報)および検出部95から供給された検出信号等に基づいて、光学要素99を目標位置に位置決めする制御信号を生成する制御部91と、制御部91から供給される制御信号により駆動信号を生成する発振部92と、発振器で発生した駆動信号を90゜位相の異なる2つの駆動信号に分ける移相部93と、移相部93によって分けられた2つの駆動信号をそれぞれ所望の電圧に昇圧する増幅部941、942と、上述した本発明に係る振動アクチュエータ1と、レンズなどの光学要素99(駆動体)と、光学要素99の位置情報、速度情報、振動アクチュエータ1の駆動状態等を検出する検出部95とを含む。
【0059】
上述した電子機器3は、以下の様にして動作する。
まず、発振部92は制御部91から供給された制御信号により所望の周波数の駆動信号を生成する。駆動信号は、位相部93により90゜位相の異なる2つの駆動信号に分割され、増幅部941、942により所望の電圧に増幅され、振動アクチュエータ1に含まれる圧電体13(図2参照)のA、B相131、132(図2参照)に印加される。駆動信号が印加された圧電体13は励振し、その励振により弾性体12の振動面12aに進行性振動波が生じる。
【0060】
振動アクチュエータ1は、レンズなどの光学要素99(駆動体)に接続されており、光学要素99を駆動する。検出部95は、光学要素99に取付けられた光学式エンコ−ダ、磁気エンコ−ダ等から光学要素99の位置情報等に対応する電気パルスが供給され、これをを制御部91にフィードバックする。
【0061】
図9に示した電子機器3は、図1〜図8に示した振動アクチュエータ1を含むので、上述した振動アクチュエータ1により得られる優れた作用効果を享受することができる。
(変形例)
本実施例は、以下の変形も可能である。
(1)本発明に係る駆動装置は、固定子に限定されるものではなく、移動子等であってもよい。
(2)本発明に係る駆動装置は、取付部材40の土台部41及び取付部42の一方はGF含有ポリカーボネイト等の樹脂材料で構成し、他方は銅合金などの金属材料で構成することが好ましい。双方を金属材料で構成すると、ビビリによる異音が発生するおそれがあり、双方を樹脂材料で構成すると締め付け力が得られないおそれがあるからである。
(3)本発明において、振動体は圧電体により振動するものに限定されるものでなく、例えば、磁歪素子等により振動するものであってもよい。
(4)本発明に係る振動アクチュエータは、いわゆるリング型の振動アクチュエータに限定されるものではなく、いわゆるペンシル型など種々の振動アクチュエータに適用することができる。
【0062】
なお、本第1実施例〜第7実施例及び変形例は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は、以上説明した各実施例によって限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施例1の断面図である。
【図2】図1に示した振動アクチュエータの部分拡大図である。
【図3】図1に示した振動アクチュエータの振動体および取付部材の外観を示す図である。
【図4】実施例2の部分平面図である。
【図5】実施例3の部分平面図である。
【図6】実施例4の部分正面図である。
【図7】実施例5の部分正面図である。
【図8】実施例6の断面図である。
【図9】電子機器の実施例のブロック図である。
【符号の説明】
【0064】
駆動装置 10
移動子 20
振動体 11
圧電体 13
弾性体 12
振動面 12a
フランジ部 12d
取付部材 40
取付部 42
凹部 43
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置、振動アクチュエータ及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動アクチュエータとして、超音波の振動域を利用した進行波モータである超音波モータが知られている。超音波モータは、一般に、振動面に進行性振動波を発生させる弾性体と、上面側が弾性体に取付けられた圧電体と、弾性体の振動面に加圧接触されて駆動される移動子とを含み、例えば、カメラ鏡筒を駆動するモータ等として使用される。
【0003】
このような超音波モータは、振動面に良好な進行性振動波を生じさせるため、振動面の平面度を維持した状態で支持される必要がある。
超音波モータの支持構造に関する技術として、特許文献1は、弾性体の側面に備えられたフランジ部と、フランジ部に取付けられ弾性体を支持する取付部材とを含む超音波モータを開示している。
【0004】
この種の超音波モータは、一般に、圧電体の上面側の端子電極を引き出すため、圧電体の下面側から弾性体に至る領域にハンダなどの導電接合部を形成する必要があり、製品の量産時においては、導電接合部の形成領域を厳密に制御することが困難であるから、導電接合部が弾性体のフランジ部に達する場合がある。
【0005】
この場合、取付部材を弾性体に取り付ける際に、フランジ部に形成された導電接合部が取付部材と弾性体との間に挟み込まれ、挟み込まれた導電接合部の盛り上がり分だけ弾性体の振動面が変形し、振動面の平面度が失われることとなる。
【0006】
弾性体が取付部材に取り付けられた状態において、弾性体の平面度が悪いと、弾性体の振動面と移動子との接触状態が悪くなり、モータの駆動時に異音が発生するという問題や、駆動トルクが低下するという問題を生じるおそれがある。このような性能劣化を避けるためには、研削、ラッピング等の手段を用いて振動面を平坦にする必要がある。
【0007】
ところが、振動面の変形が大きい場合には、ラッピングのサグ量が多くしても、十分な平面度が得られないおそれがある。また、サグ量が多くなると、振動面に形成された薄いメッキ膜等が削り取られ、モーターの使用時に安定した特性が得られなくなるおそれもある。
【0008】
弾性体と取付部材との間に挟み込まれた導電接合部に起因する振動面の変形を回避するための手段として、導電接合部が形成された領域に対応するように、取付部材の一面に溝を1箇所だけ形成する技術も知られている。
【0009】
しかしながら、取付部材に1箇所の溝を設けると、溝が設けられた1箇所のみに変形が集中し、溝が設けられていない部分との間で形状の異方性が生じ、十分な平面度が得られなくなるという問題があった。
【特許文献1】特開2005−287160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、安定した駆動特性が得られる駆動装置、振動アクチュエータ及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の一実施例を示す図面に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0012】
請求項1に記載の発明は、振動面(12a)に進行性振動波を生じさせる振動体(11)と、振動体(11)に取り付けられる取付部材(40)とを含む駆動装置であって、振動体(11)は振動面(12a)とは異なる面にフランジ部(12d)を有し、取付部材(40)はフランジ部(12d)に取り付けられる取付部(42)を有し、取付部(42)はフランジ部(12d)に対向する部分に複数の凹部(43)を有することを特徴とする駆動装置(10)である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載された駆動装置であって、複数の凹部(43)が3つ以上であることを特徴とする駆動装置(10)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載された駆動装置であって、フランジ部(12d)が振動面(12a)と略直交する振動体(11)の側面(112,113)に備えられていることを特徴とする駆動装置(10)である。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載された駆動装置であって、振動体(11)は、駆動信号により励振される圧電体(13)と、圧電体(13)に取付けられた弾性体(12)とを含み、弾性体(12)は、その側面にフランジ部(12d)を有し、圧電体(13)の励振により振動面(12a)に進行性振動波を生じさせることを特徴とする駆動装置(10)である。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載された駆動装置であって、導電性を有する導電接合部(50)を含み、導電接合部(50)の少なくとも一部は、振動面(12a)の裏面において、圧電体(13)からフランジ部(12d)にわたって設けられ、圧電体(13)と弾性体(12)とを電気的に接続しており、凹部(43)のうち少なくとも一つは、導電接合部(50)に対応して備えられていることを特徴とする駆動装置(10)である。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5までの何れか1項に記載された駆動装置であって、凹部(43)は、切欠きであり、凹部(43)のそれぞれは、取付部(42)の外周に沿って、互いに間隔を隔てて形成されていることを特徴とする駆動装置(10)である。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項5までの何れか1項に記載された駆動装置であって、凹部(43)は、凹溝であり、凹部(43)のそれぞれは、取付部(42)の外周に沿って、互いに間隔を隔てて形成されていることを特徴とする駆動装置(10)である。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7までの何れか1項に記載された駆動装置であって、振動体(11)は、振動面(12a)を貫通する貫通孔(111)を有し、フランジ部(12d)は、貫通孔(111)により形成された振動体(11)の内側面(112)に形成されていることを特徴とする駆動装置(10)である。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項7までの何れか1項に記載された駆動装置であって、フランジ部(12d)は、外側面(113)に形成されていることを特徴とする駆動装置(10)である。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項9までの何れか1項に記載された駆動装置(10)と、振動体(11)の振動面(12a)に加圧接触される移動子(20)とを含む振動アクチュエータ(1)であって、移動子(20)は、進行性振動波によって駆動装置(10)と相対運動することを特徴とする振動アクチュエータ(1)である。
【0021】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載された振動アクチュエータ(1)を用いたことを特徴とする電子機器(3)である。
なお、符号を付して説明した構成は適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、安定した駆動特性が得られる駆動装置、振動アクチュエータ及び電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面等を参照して、本発明の実施例をあげて、さらに詳しく説明する。なお、以下の実施例は、振動アクチュエータとして、超音波モータを例にとって説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は本発明の一実施例を示す断面図、図2は図1の部分拡大図、図3は図1に示した振動体および取付部材の外観を示す図である。
本実施例の振動アクチュエータ1は、固定子(ステータ)10と、固定子10に対して相対運動する移動子(ロータ)20とを含む。固定子10は、本発明に係る駆動装置に含まれる。
【0025】
図1において、駆動装置10は、振動体11と、振動体11に取り付けられた取付部材40とを含む。振動体11は、例えば、共振先鋭度が大きな金属材料(例えば、ステンレスなどの鉄鋼材)から成る弾性体12と、弾性体12に取付けられ駆動信号により励振される圧電体13とを含む。
【0026】
弾性体12は、進行性振動波(例えば、弾性体の1周あたり4波長の進行波)を生じさせる振動面(駆動面)12aと、振動面12aに溝を切って形成された櫛歯12bと、櫛歯12bの下に形成されたベース部12cと、振動面12aと略直交する貫通孔111により形成された内側面112と、取付部材40に固定するためのフランジ部12dとを有する。
【0027】
図において、振動面12aには耐摩耗性や移動子20の摺動性を向上させるためにNiP等の表面処理(メッキ処理等)がなされている。フランジ部12dは、内側面112のうちベース部12cの中央付近に取付けられているが、その取付け位置は任意である。
【0028】
図2は図1のA矢印方向から振動体11を見た拡大図である。圧電体13は、円周方向に沿ってA相131と、B相132とに分かれている。各相131,132には、1/2波長毎に分極が交互となった要素が並べられている。A相131とB相132との間には1/4波長分の間隔が設けられており、この間隔部分がGND部133として使用される。
【0029】
図1に戻って、圧電体13の下面13aには、駆動電圧を供給するフレキシブルプリント基板(FPC)60が設けられている。FPC60に形成された信号線61〜63のそれぞれは、圧電体13のA相131、B相132、及び、GND部133のそれぞれに電気的に接続されている。
【0030】
導電接合部50は、例えば、ハンダ等の導電性材料からなる。導電接合部50の少なくとも一部は、振動面12aの裏面(圧電体の下面13a)側において、圧電体のGND部133から弾性体のフランジ部12dにわたって設けられ、圧電体13と弾性体12とを電気的に接続している。
【0031】
図3は図1に示した振動体11及び取付部材40の外観を示す斜視図である。図1及び図3からわかるように、取付部材40は、土台部41と取付部42とを含む。取付部42は、フランジ部12dに対向するように土台部41の一面に形成されている。取付部42はフランジ部12dに対向する部分に複数の凹部43が形成されている。
【0032】
図3において、凹部43は凹溝であり、取付部42の外周に沿って、互いに等しい間隔を隔てて形成されている。取付部42は、フランジ部12dに締め付けられ、これにより弾性体12が取付部材40に取り付けられる。凹部43は、その少なくとも1つが導電接合部50が形成された領域に対応して配置され、取付部42とフランジ部12dとの間に導電接合部50が挟み込まれないようにしている。
【0033】
具体的には、例えば、図1において、取付部42は、それぞれ対応するねじ溝が形成された第1の部分(雌ねじ)421及び第2の部分(雄ねじ)422からなり、第1の部分421と第2の部分422との間にフランジ部12dを挟み、ねじ締めされている。第1の部分421は、例えば、GF含有ポリカーボネイト等の樹脂材料等の樹脂材料(高分子材料を含む)からなり、第2の部分422は、例えば、銅合金などの金属材料からなる。
【0034】
図1に戻って、土台部41の内側面にはベアリング75の外輪751が取り付けられる。ベアリング75の内輪752には軸71が貫通している。コイルばね74は、軸71に固定された部材72,73と、内輪752との間にばね力を加えるためのものである。
【0035】
移動子20は、例えば、アルミニウム等の軽金属でからなり、耐摩耗性を向上させるため摺動面にアルマイト等の表面処理が施されている。移動子20は、軸71に取り付けられ、コイルばね74のばね力により、弾性体の振動面12aに加圧接触されている。
【0036】
上述したように、本実施例に係る駆動装置(固定子)10は、振動体11のフランジ部12dに取付部材40の取付部42が取付けられて構成される。そして、この駆動装置(固定子)10に、移動子20を加圧接触させることにより本実施例に係る振動アクチュエータ1が得られる。
【0037】
本実施例に係る駆動装置10は、圧電体13の励振により駆動装置10の振動面12aに進行性振動波を発生させ、振動面12aに加圧接触した移動子(ロータ)20を駆動させる。
【0038】
具体的には、例えば、位相が90゜ずれた駆動信号のそれぞれが圧電体13のA相131およびB相132に印加されることにより、A相から発生する曲げ振動(例えば、4次曲げ振動)とB相から発生する曲げ振動との位置的な位相が1/4波長ずれ、2つの曲げ振動が合成され、例えば、4波の進行性振動波が振動面12aに発生する。また、図示の実施例では、振動面12aに櫛歯12bを形成することにより、進行性振動波の中立面を圧電体13側に接近させ、進行性振動波の振幅を増幅させている。
【0039】
本実施形態において、振動アクチュエータ1は、フランジ部12dに対向する部分に凹部43を有するから、導電接合部50が形成された領域に凹部43を対応させることにより、導電接合部50の盛り上がり分に起因した振動面12aの変形が回避され、振動面12aの平面度の劣化が防止される。
【0040】
更に、凹部43が複数であるから、振動面12aにおいて、凹部43に対応した変形箇所が複数の箇所に分散し、1箇所当たりの変形量が小さくなるとともに、形状の異方性(振動面の位置に依存する変形量の偏り)が低減し、振動面12aの平面度の劣化が防止される。
【0041】
本実施形態の振動アクチュエータ1は、このような平面精度の高い振動面により、弾性体12の振動面12aと移動子20との接触状態が良好になり、アクチュエータの駆動時に異音が発生するという問題や、駆動トルクが低下するという問題を回避し、安定した駆動特性が得られる。
【0042】
特に、振動体11や移動子20の径を、例えば、従来の1/3〜1/5倍程度に小型化し、出力性能を維持するために回転数を上げた場合には、振動面12aの平面度の影響が大きくなるから、上述した優れた作用効果が顕著に表れることとなる。
【0043】
凹部43の数は、3つ以上であることが好ましい。凹部43の数が2箇所である場合、それぞれの凹部43の位置関係によっては、振動面12aが2つに折れた形状となり振動面12aの平面度が低下するおそれがあるのに対し、凹部43の数が3箇所以上であれば、振動面12aが折れた形状になることがなく、良好な平面度が確実に得られるからである。
【0044】
また、複数の凹部43のそれぞれは、取付部42の外周を等分割した位置に配置することが好ましい。凹部に対応して変形する箇所が均等に分散し、形状の異方性が更に低減し、更に良好な平面度が得られるからである。
【0045】
本実施形態の振動アクチュエータは、振動面12aの平面度が良いから、平面度を更に良好にすべく研削を施す場合でも、ラッピングのサグ量が少なくて済む。このため、振動面12aに形成された薄いメッキ膜等が削り取られる等の不具合が生じることがなく、モーターの使用時に安定した特性が得られる。
【0046】
更に、本実施形態の振動アクチュエータでは、ラッピングのサグ量が少なくて済むから、ラッピングで削り取られる分を考慮して振動面12aの表面に厚いメッキ膜を形成する必要がなくなり、製品製造に要する期間が短縮される。
【0047】
次に、別の実施例を用いて本発明に係る振動アクチュエータを説明する。以下に示す各実施例では、図1〜図3に示した振動アクチュエータと同一又は同様な機能を果たす部分には、同一又の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【実施例2】
【0048】
図4は別の一実施例を示す部分平面図である。図示の振動アクチュエータは、凹部43が4つ設けられている点が図1〜図3に示した振動アクチュエータと相違する。
本実施例の振動アクチュエータは、図1〜図3に示した振動アクチュエータと同様の構成要素を含むので、同様の優れた作用効果を奏することができる。
【0049】
また、本実施例の振動アクチュエータは、凹部が4つ設けられているから、凹部が3つ設けられている図1〜図3の振動アクチュエータと比較して、凹部に対応する振動面12aの変形が更に均等に分散し、振動面12aの平面度の劣化が更に低減し、更に良好な平面度が得られる。
【実施例3】
【0050】
図5は更に別の一実施例を示す部分平面図である。図示の振動アクチュエータは、取付部42の外周側のみに凹部43が形成されている点が図1〜図4に示した振動アクチュエータと相違する。
【0051】
本実施例の振動アクチュエータは、図1〜図4に示した振動アクチュエータと同様の構成要素を含むので、同様の優れた作用効果を奏することができる。
また、本実施例では、軸71(図1参照)と対向する取付部42の内周(内側面)に凹部43が形成されておらず、取付部42の内側面が凹凸のない滑らかな形状であるから、軸71の回転特性が向上することとなる。
【実施例4】
【0052】
図6は更に別の一実施例を示す部分正面図である。図示の振動アクチュエータは、取付部材40の側面から見て、凹部43が略三角形の切欠きである点が図1〜図5に示した振動アクチュエータと相違する。
【0053】
図6に示した振動アクチュエータは、図1〜図5に示した振動アクチュエータと同様の構成要素を含むので、同様の優れた作用効果を奏することができる。
【実施例5】
【0054】
図7は更に別の一実施例を示す部分正面図である。図7において、凹部43は、取付部材40の側面から見て曲線形状である。
図7に示した振動アクチュエータは、図1〜図6に示した振動アクチュエータと同様の構成要素を含むので、同様の優れた作用効果を奏することができる。
【実施例6】
【0055】
図8は更に別の一実施例を示す断面図である。図示の振動アクチュエータは、弾性体12の外側面113にフランジ部12dが形成されている点が図1〜図7に示した振動アクチュエータと相違する。
【0056】
図8に示した振動アクチュエータは、図1〜図7に示した振動アクチュエータと同様の構成要素を含むので、同様の優れた作用効果を奏することができる。
【実施例7】
【0057】
図9は電子機器の一実施例を説明するブロック図である。以下の実施例は、電子機器として、カメラを例にとって説明するが、本発明の電子機器は、カメラ鏡筒、スチールカメラ、ビデオカメラ等の光学機器に限らず、携帯電話等の通信機器などであってもよい。
【0058】
図9に示した電子機器3は、CPU等から供給された駆動指令(目標位置情報)および検出部95から供給された検出信号等に基づいて、光学要素99を目標位置に位置決めする制御信号を生成する制御部91と、制御部91から供給される制御信号により駆動信号を生成する発振部92と、発振器で発生した駆動信号を90゜位相の異なる2つの駆動信号に分ける移相部93と、移相部93によって分けられた2つの駆動信号をそれぞれ所望の電圧に昇圧する増幅部941、942と、上述した本発明に係る振動アクチュエータ1と、レンズなどの光学要素99(駆動体)と、光学要素99の位置情報、速度情報、振動アクチュエータ1の駆動状態等を検出する検出部95とを含む。
【0059】
上述した電子機器3は、以下の様にして動作する。
まず、発振部92は制御部91から供給された制御信号により所望の周波数の駆動信号を生成する。駆動信号は、位相部93により90゜位相の異なる2つの駆動信号に分割され、増幅部941、942により所望の電圧に増幅され、振動アクチュエータ1に含まれる圧電体13(図2参照)のA、B相131、132(図2参照)に印加される。駆動信号が印加された圧電体13は励振し、その励振により弾性体12の振動面12aに進行性振動波が生じる。
【0060】
振動アクチュエータ1は、レンズなどの光学要素99(駆動体)に接続されており、光学要素99を駆動する。検出部95は、光学要素99に取付けられた光学式エンコ−ダ、磁気エンコ−ダ等から光学要素99の位置情報等に対応する電気パルスが供給され、これをを制御部91にフィードバックする。
【0061】
図9に示した電子機器3は、図1〜図8に示した振動アクチュエータ1を含むので、上述した振動アクチュエータ1により得られる優れた作用効果を享受することができる。
(変形例)
本実施例は、以下の変形も可能である。
(1)本発明に係る駆動装置は、固定子に限定されるものではなく、移動子等であってもよい。
(2)本発明に係る駆動装置は、取付部材40の土台部41及び取付部42の一方はGF含有ポリカーボネイト等の樹脂材料で構成し、他方は銅合金などの金属材料で構成することが好ましい。双方を金属材料で構成すると、ビビリによる異音が発生するおそれがあり、双方を樹脂材料で構成すると締め付け力が得られないおそれがあるからである。
(3)本発明において、振動体は圧電体により振動するものに限定されるものでなく、例えば、磁歪素子等により振動するものであってもよい。
(4)本発明に係る振動アクチュエータは、いわゆるリング型の振動アクチュエータに限定されるものではなく、いわゆるペンシル型など種々の振動アクチュエータに適用することができる。
【0062】
なお、本第1実施例〜第7実施例及び変形例は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は、以上説明した各実施例によって限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施例1の断面図である。
【図2】図1に示した振動アクチュエータの部分拡大図である。
【図3】図1に示した振動アクチュエータの振動体および取付部材の外観を示す図である。
【図4】実施例2の部分平面図である。
【図5】実施例3の部分平面図である。
【図6】実施例4の部分正面図である。
【図7】実施例5の部分正面図である。
【図8】実施例6の断面図である。
【図9】電子機器の実施例のブロック図である。
【符号の説明】
【0064】
駆動装置 10
移動子 20
振動体 11
圧電体 13
弾性体 12
振動面 12a
フランジ部 12d
取付部材 40
取付部 42
凹部 43
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動面に進行性振動波を生じさせる振動体と、前記振動体に取り付けられる取付部材とを含む駆動装置であって、
前記振動体は前記振動面とは異なる面にフランジ部を有し、
前記取付部材は前記フランジ部に取り付けられる取付部を有し、
前記取付部は前記フランジ部に対向する部分に複数の凹部を有することを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載された駆動装置であって、
前記複数の凹部は3つ以上であることを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された駆動装置であって、
前記フランジ部は前記振動面と略直交する前記振動体の側面に備えられていることを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項3に記載された駆動装置であって、
前記振動体は、駆動信号により励振される圧電体と、前記圧電体に取付けられた弾性体とを含み、
前記弾性体は、その側面に前記フランジ部を有し、前記圧電体の励振により前記振動面に進行性振動波を生じさせることを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項4に記載された駆動装置であって、導電性を有する導電接合部を含み、
前記導電接合部の少なくとも一部は、前記振動面の裏面において、前記圧電体から前記フランジ部にわたって設けられ、前記圧電体と前記弾性体とを電気的に接続しており、前記凹部のうち少なくとも一つは、前記導電接合部に対応して備えられていることを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの何れか1項に記載された駆動装置であって、
前記凹部は、切欠きであり、前記凹部のそれぞれは、前記取付部の外周に沿って、互いに間隔を隔てて形成されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5までの何れか1項に記載された駆動装置であって、
前記凹部は、凹溝であり、前記凹部のそれぞれは、前記取付部の外周に沿って、互いに間隔を隔てて形成されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までの何れか1項に記載された駆動装置であって、
前記振動体は、前記振動面を貫通する貫通孔を有し、
前記フランジ部は、前記貫通孔により形成された前記振動体の内側面に形成されていることを特徴とする
駆動装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7までの何れか1項に記載された駆動装置であって、
前記フランジ部は、前記振動体の外側面に形成されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までの何れか1項に記載された駆動装置と、前記振動体の前記振動面に加圧接触される移動子とを含む振動アクチュエータであって、
前記移動子は、前記進行性振動波によって前記駆動装置と相対運動することを特徴とする
振動アクチュエータ。
【請求項11】
請求項10に記載された振動アクチュエータを用いたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
振動面に進行性振動波を生じさせる振動体と、前記振動体に取り付けられる取付部材とを含む駆動装置であって、
前記振動体は前記振動面とは異なる面にフランジ部を有し、
前記取付部材は前記フランジ部に取り付けられる取付部を有し、
前記取付部は前記フランジ部に対向する部分に複数の凹部を有することを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載された駆動装置であって、
前記複数の凹部は3つ以上であることを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された駆動装置であって、
前記フランジ部は前記振動面と略直交する前記振動体の側面に備えられていることを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項3に記載された駆動装置であって、
前記振動体は、駆動信号により励振される圧電体と、前記圧電体に取付けられた弾性体とを含み、
前記弾性体は、その側面に前記フランジ部を有し、前記圧電体の励振により前記振動面に進行性振動波を生じさせることを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項4に記載された駆動装置であって、導電性を有する導電接合部を含み、
前記導電接合部の少なくとも一部は、前記振動面の裏面において、前記圧電体から前記フランジ部にわたって設けられ、前記圧電体と前記弾性体とを電気的に接続しており、前記凹部のうち少なくとも一つは、前記導電接合部に対応して備えられていることを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの何れか1項に記載された駆動装置であって、
前記凹部は、切欠きであり、前記凹部のそれぞれは、前記取付部の外周に沿って、互いに間隔を隔てて形成されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5までの何れか1項に記載された駆動装置であって、
前記凹部は、凹溝であり、前記凹部のそれぞれは、前記取付部の外周に沿って、互いに間隔を隔てて形成されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までの何れか1項に記載された駆動装置であって、
前記振動体は、前記振動面を貫通する貫通孔を有し、
前記フランジ部は、前記貫通孔により形成された前記振動体の内側面に形成されていることを特徴とする
駆動装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7までの何れか1項に記載された駆動装置であって、
前記フランジ部は、前記振動体の外側面に形成されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までの何れか1項に記載された駆動装置と、前記振動体の前記振動面に加圧接触される移動子とを含む振動アクチュエータであって、
前記移動子は、前記進行性振動波によって前記駆動装置と相対運動することを特徴とする
振動アクチュエータ。
【請求項11】
請求項10に記載された振動アクチュエータを用いたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2007−159211(P2007−159211A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−348605(P2005−348605)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]