説明

駆動部間の結合が自由に定められる機械を制御する方法

【課題】機械、殊に工作機械および/または加工機械の制御を、個々の駆動部の結合に関して容易にすること
【解決手段】複数の駆動部を備えた機械を制御する方法であって、当該複数の駆動部の各駆動部を制御し、当該駆動部のうちの1つは第1のリード駆動部であり、当該駆動部のうちの1つは第2のリード駆動部であり、当該駆動部のうちの少なくとも1つは従属駆動部であり、当該従属駆動部を、前記第1のリード駆動部に特徴的な少なくとも1つのパラメータMと、前記第2のリード駆動部に特徴的なパラメータMとに依存して制御し、前記従属駆動部の制御に特徴的な制御パラメータLを、前記第1のパラメータMと前記第2のパラメータMの数学的な結合Fによって求める方法において、前記数学的な結合Fを自由に定めることができる、ことを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の駆動部を有する機械を制御する方法に関する。本発明は、歯車を製造または加工する機械に関連して記載されているが、本発明は別の機械にも、オートメーション技術の別の領域、例えばCNC機械にも使用可能である。しかし本発明は一般的に、Robotic、MotionおよびSPS等の領域にも使用可能であることに留意されたい。しかし製造および/または加工のための使用、殊に特別な問題を抱えている歯車等の製品の切削加工のための使用が有利である。
【背景技術】
【0002】
このような機械は通常、複数の駆動部ないしは軸を有している。これらは、別の軸のその時々の位置を考慮して制御されなければならない。例えば、EP1319457号は、実質的に円筒状の、内側または外側に歯が設けられる歯車を切削加工するための方法を開示している。この方法では、ワークピースが加工機械上に正確には配向されていない、という事情が考慮されるべきである。ここでは複数の座標によって、歯車ガイド軸が特定される。固定された補正値をベースにして、中心から外れているワークピースの加工が行われる。この方法では、中心に固定されていない歯車の補償は、拡張された四則演算並びに円関数によって行われる。
【0003】
EP1319457B1の構成要件は、広い範囲で、本願の構成要件に関連している。
【0004】
DE3712454A1号は、部分回転方法における加工時に、ワークピースが偏心して固定されていることによって生じる、ギヤ歯形成時エラーを補償する方法を開示している。この方法においても、ローラー運動に対する特定の付加運動が、所定の数学的関係を用いて求められる。
【0005】
さらに従来技術から、複数の駆動部が結合されて、各結合結果が所定の補間周期で求められ、付加的に、各補間周期においてこの結合結果が後から、プログラミング可能な計算によって修正されることが知られている。殊にカスケード結合の場合、すなわちある駆動部が別の駆動部に依存して制御され、付加的な駆動部が同様に、既に制御されているこの駆動部に依存して制御される機械の場合には、ユーザーによる補償はしばしば手間をかけて、既存の規則な結合をシミュレーションしなければならない、または補間周期ぶんだけ古くなった値を計算の対象にしなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP1319457B1号
【特許文献2】DE3712454A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、機械、殊に工作機械および/または加工機械の制御を、個々の駆動部の結合に関して容易にすることである。
【0008】
本発明は殊に、歯車を加工する加工機械において、歯車が正確に固定されていない場合、殊に中心から外れて、計画通りに固定されていない場合に、加工を改善するために用いられる。殊にここでは、揺動補償が加工結合と重なり合う。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題は、複数の駆動部を備えた機械を制御する方法であって、当該複数の駆動部の各駆動部を制御し、前記複数の駆動部のうちの1つは第1のリード駆動部であり、前記複数の駆動部のうちの1つは第2のリード駆動部であり、前記複数の駆動部のうちの少なくとも1つは従属駆動部であり、当該従属駆動部を、前記第1のリード駆動部に特徴的な少なくとも1つのパラメータMと、前記第2のリード駆動部に特徴的なパラメータMとに依存して制御し、前記従属駆動部の制御に特徴的な制御パラメータLを、前記第1のパラメータMと前記第2のパラメータMの数学的な結合Fによって求める方法において、前記数学的な結合Fを自由に定めることができる、ことを特徴とする方法、および、少なくとも1つの第1の駆動部と、少なくとも1つの第2の駆動部と、前記駆動部を制御する少なくとも1つの制御装置と、結合モジュールCとを備えた機械であって、前記複数の駆動部のうちの少なくとも2つはリード駆動部であり、前記複数の駆動部のうちの少なくとも1つは従属駆動部であり、前記結合モジュールは、前記従属駆動部を、前記リード駆動部に特徴的な、各少なくとも1つのパラメータに依存して制御し、前記従属駆動部の制御に特徴的な制御パラメータLは、前記第1のパラメータMと前記第2のパラメータMとの数学的な結合Fによって求められる装置において、前記数学的な結合Fは自由に定められる、ことを特徴とする装置によって解決される。有利な実施形態および発展形態は従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】歯車を加工する機械の概略図
【図2】従来技術による結合モジュールの図
【図3】本発明による結合モジュールの図
【発明を実施するための形態】
【0011】
複数の駆動部を備えた機械を制御する本発明の方法では、これらの各駆動部が制御され、これらの駆動部のうちの1つが第1のリード駆動部であり、これらの駆動部のうちの別の1つが第2のリード駆動部であり、これらの駆動部のうちの少なくとも1つが従属駆動部である。ここでこの従属駆動部は、第1のリード駆動部に特徴的なパラメータ(ないしは(リード)値)と、第2のリード駆動部に特徴的なパラメータ(ないしは(リード)値)とに依存して制御され、従属駆動部のこの制御に特徴的な制御パラメータ(ないしは制御(リード)値)が、この第1のパラメータと第2のパラメータとの数学的なおよび/または論理的な結合によって求められる。本発明では、この数学的な結合を自由に定めることができる。
【0012】
上述の駆動部は任意の駆動部であってよく、これは殊に、電動式の回転駆動部またはリニヤ駆動部である。本発明の方法によっては、例えば工具とワークピース担体軸の、加工幾何学に必要な運動基準が求められる。この算出はここで有利には不連続に、特に有利には短い時間間隔で、以降で補間周期と称される周期で行われる。
【0013】
従来技術では、このような結合は通常、線形の結合法則によってあらわされる。これに従って、従属駆動部ないしは従属軸に対する総合的なリード値が、リード軸位置から次のように形成される:
【数1】

【0014】
ここでNはリード軸の数であり、Pはリード軸iの位置であり、fは結合ファクタであり、Oはシフト値である。
【0015】
非線形の関係の場合には、多くの場合に付加的にテーブルTが個別リード値に対する結合法則内に組み込まれる:
【数2】

【0016】
短かくするために以降では個別リード値
【数3】

が使用される。
【0017】
従来技術では通常、従属値、すなわち上述の制御パラメータを求めるために、これらの個別リード値が合算される。
【0018】
有利には、複数のこのような特徴的なパラメータが使用され、または例えば1つの全体的なパラメータセットも使用される。複数の従属パラメータを出力することも可能である。
【0019】
有利には、パラメータの算出はリアルタイムで行われ、制御パラメータも周期に合わせて算出され、有利には、各従属駆動部に相応に設定される。
【0020】
有利にはこの方法は、機械に対するワークピースの(エラー)配向を補償するために使用される。
【0021】
別の有利な方法では、特徴的なパラメータは、時間に依存したパラメータである。これは殊に所定の補間周期で求められる、ないしは問い合わせされる。
【0022】
従って、従来技術において関数として構成されている個別リード値「N」の結合は、一般的かつ殊に、ユーザーによって自由に規定可能な計算規則「F」と置き換えられる。従って、個別のリード値「N」を相互に結合するための規則は、ユーザーによって自由に設定可能である。計算規則を周期毎に変えることも可能である。このような変化をユーザーによって設定することもできる。従って、関係を部分的に規定することもできる。
【0023】
別の有利な方法では、少なくとも1つの特徴的なパラメータが所定の補間周期で繰り返し、検出される。この場合には例えばミリ秒毎に、パラメータが問い合わされ、相応の制御パラメータが求められる。
【0024】
別の有利な方法では、リード駆動部に対する全ての特徴的なパラメータが、等しく設定された補間周期で繰り返し、検出される。1つまたは複数の制御パラメータも、同じ補間周期で求められる、ないしは出力される。
【0025】
別の有利な方法では、少なくとも1つのパラメータは駆動部の位置である、またはこの駆動によって操作されるまたは動かされる部材の位置でもある。殊にこれは、リード軸の位置である。さらにこれは、仮想軸の位置であってもよい。
【0026】
これによって、特定の結合モジュールないしは結合に数学的な式が割り当てられる。この式は有利には各補間周期で、新たなリード値ないしは制御パラメータを求める。この式はここでマイクロプログラムとして、結合モジュールによって処理される。さらにカスケード制御時には、1つのカスケード内の結果を、直接的に、後続の結合モジュール内でさらに、精算することも可能である。
【0027】
殊に、複雑な結合カスケードにおける数学分析的な結合関係の場合には、ユーザーはここにコンパクトかつ明快な式を、高いないしは絶対的な精度で組み込むことができる。関数近似のための手間のかかる表作成も不必要である。このようにして、連鎖補償も容易に実現される。
【0028】
別の有利な方法では、制御パラメータを求めるために付加的に、測定可能な量が使用される。これは有利には特徴的なパラメータには依存しない。従って、外部の量、例えば温度、摩耗等に関する測定データを式計算に取り入れることができる。このような複数の測定可能な量を使用することもできる。
【0029】
ここで有利には、これらの測定可能な量が量のグループから選択される。これは、温度、気圧、空気湿度、摩耗を表すデータ、例えば特定の部品の年数およびこれらの組み合わせ等を含む。
【0030】
有利には数学的な結合は、殊にユーザーによって変えられる。
【0031】
別の有利な方法では、複数のこのような数学的な結合ないしは結合モジュールが制御のために使用される。ここで、種々の数学的な結合を使用することが可能である。ここでこれらの結合のうちの少なくとも1つは自由に選択可能であり、有利には複数のこれらの結合は自由に選択可能であり、特に有利にはこれらの結合の全てが自由に選択可能である。上述した結合はここで、総計形成、差分形成、平均値形成、円関数、指数関数またはこれらの組み合わせ等からなる。
【0032】
従って例えば、2つの駆動部を設定された第1の方式で結合し、別の2つの駆動部を設定された第2の方式で結合し、場合によっては次に、ここから生じた従属パラメータを再び別の結合規則で相互に結合することができる。
【0033】
別の有利な方法では、制御パラメータ並びに別の結合を用いて、別の駆動部の別の制御パラメータが求められる。従って例えば、上述したように、まずは2つの駆動部ないしはその運動を或る所定の方式で結合し、相応する従属値を同様に別の値と結合して、別の駆動部に対する別の制御パラメータを得ることができる。このようにしてカスケード制御が行われる。このようなカスケードを継続し、連続して多数回、結合を行うことも可能である。
【0034】
別の有利な方法では、機械は、歯車を製造および/または加工するための機械である。殊にこの方法は、例えばエラーを有するまたは偏差を有する、機械に対するワークピースの位置付けに対処する、ないしはこのようなエラーを補償するために用いられる。一般的にこの機械は、殊にワークピースを切削加工するための機械である。有利には、加工されるべきワークピースが、機械に対して所定の位置に配置される。
【0035】
別の有利な方法では、少なくとも3つ、有利には少なくとも4つ、特に有利には少なくとも5つのリード駆動部が設けられている。これらのリード駆動部の特徴的なパラメータは、制御パラメータを求めるための1つまたは複数の数学的な結合によって、結合される。上述のように、ここで複数の数学的な結合も並列にまたは、直列に使用される。
【0036】
本発明はさらに、機械、殊に、ワークピースを加工するための加工機械に関する。この加工機械は、第1の駆動部と少なくとも1つの第2の駆動部、並びに、これらの駆動部を制御するための少なくとも1つの制御装置を有している。ここで、これらの駆動部のうちの少なくとも2つはリード駆動部であり、これらの駆動部のうちの少なくとも1つは従属駆動部である。さらに結合モジュールが設けられている。この結合モジュールは、従属駆動部を、少なくとも1つの、リード駆動部に特徴的な各パラメータに依存して制御する。ここで、従属駆動部の制御のための特徴的な制御パラメータは、第1のパラメータと第2のパラメータの数学的な結合によって求められる。本発明ではここで、この数学的な結合が自由に定められる。
【0037】
有利な実施形態ではこの装置は、1つまたは複数のリード駆動部に特徴的なパラメータを検出する、1つないしは複数の検出装置を有している。この検出装置は例えばロータリーエンコーダーであるが、この検出装置がその時々の特徴パラメータを計算で求めてもよい。
【0038】
別の有利な実施形態では、この装置はさらに、外部パラメータを検出する検出装置を有する。これは例えば温度測定装置、圧力測定装置等である。
【0039】
別の有利な実施形態では、この装置は当接部材および/または当接面を有しており、ここに、加工されるべきワークピースが置かれる。さらに、有利には、位置検出装置も設けられる。これは、機械に対するワークピースの幾何学的位置を検出する。
【0040】
有利にはユーザーには、多数の可能な結合が与えられ、ユーザーはこれらの結合に基づいて、該当する結合を選択することができる。しかし、プロセッサー装置を用いて、例えば経験値に基づいて自動的に特定の結合が選択されてもよい。
【0041】
さらなる利点および実施形態が、添付の図面から読み取れる。
【実施例】
【0042】
図1は、歯車10を加工する機械1の概略図を示している。この機械は例えばホブ盤または創作歯形研削で使用される。製造されるべきまたは加工されるべき歯車10はここで担体22上に固定して配置されており、この担体は回転可能である。ここでこの回転運動は、(概略的にのみ示されている)駆動部16によって生成される。従って、加工されるべきワークピースを、所定の回転軸を中心に回転させる駆動部16が設けられている。
【0043】
加工のために、ここでは螺旋状の工具20と、形成されるべき歯車10とによって、ウォームギヤがシミュレートされる。この工具はここで工具担体14上に配置されており、概略的にのみ示されている駆動部24によって駆動される。従って有利には、ワークピースを加工する工具20も、所定の回転軸を中心に回転する。
【0044】
歯のエッジを形成するために、および均一に工具を使用するためにさらなる軸が必要である。工具の、歯車への正確なコンタクト点は、工具担体22の運動学的に連鎖している軸位置X,Y,Z,Aおよび回転方向における工具20の位置および回転方向における歯車未加工鋳造部材10の位置から得られる。
【0045】
上述した方向X,Y,Z,Aにおける工具担体14の位置はここで、概略的にのみ示されている駆動部2,4,6および8によってのみ始動される、ないしは調整される。
【0046】
歯車位置Cないしは属する駆動部16の位置は、簡単なケースでは、軸A,YおよびZの線形の結合関数として特定される。CNC制御部は、この結合関数を用いて、離散的な時間間隔で−補間周期−で、必要な歯幾何学形状のための駆動部4,6,8の正確な軸位置ないしは位置を特定する。CNC制御部は、ワークピース軸位置Cを特定するために、結合モジュールを使用する。結合関数は、結合モジュールを介して決められる。しかしワークピースが中心に固定されていない場合には、結合関数は、非線形の成分を含む。これは本発明によって考慮される。ここで、特定の歯幾何学形状が設定され、この歯の幾何学的形状が、個別の軸位置を求める際にも考慮される。
【0047】
従ってこの場合には、例えば駆動部4、6および8はリード駆動部であり、その各位置から、従属駆動部16の位置、ひいては歯車10の位置が得られる。運動X、Y、Zはここでそれぞれ、相応の方向における線形運動であり、運動Aは工具担体14の旋回運動である。工具を駆動させる駆動部24の位置も、さらに考慮される。
【0048】
有利には工具20を駆動させる駆動部24は、リード駆動部(ないしはリード軸)である。ここでは機械1は有利には次のように制御される。すなわち、工具20も回転する場合のみ、歯車が回転するように制御される。別の駆動部2,4,6は有利には、歯のエッジを形成する工具20の駆動部24に重なる。
【0049】
参照番号30は、装置1を制御する制御装置を示している。制御装置30はここで、駆動部16も、駆動部2,4,6,8に依存して制御する。別の駆動部、例えば駆動部16を、リード駆動部として定めることも可能であり、各従属駆動部(例えば歯車10の非対称固定時の駆動部2)の計算が、変化した結合モジュールをベースにして行われる。
【0050】
この目的のために、個々の駆動部は位置検出装置も有することができる。これは、駆動部、ないしは例えば工具担体の位置を検出する。(概略的にのみ示されている)位置検出装置を設けることもできる。これは、駆動部16の位置または、ワークピース10の正確な幾何学的位置も検出する。自身の担体22に対するワークピース10の位置を検出する位置検出装置34を設けることもできる。このようにして、ワークピースが担体22に対して中央に固定されているか否かが確認され、さらに有利には、担体22に対するワークピース10の相応の位置付けエラーも検出され、有利には考慮される(これは殊に制御装置30によって行われる)。
【0051】
図2a−2bは、従来技術による方法を概略的に示している。ここで略語Cは結合モジュールをあらわしている。この結合モジュールは、リード駆動部ないしはリード軸の結合を行う。図2aに示されている場合には、個々のリード値M(t)・・・・M(t)が合算され、制御パラメータないしは制御値L(t)が生じる。これらの値ないしはパラメータがそれぞれ時間に依存していることが分かる。
【0052】
結合モジュールCvはここで、複数の入力位置を処理して、補間周期における新たな従属軸位置にする。従って、入力側位置と出力側位置との間の正確な関係が生じる。
【0053】
図2bに示されているように、この制御値L(t)は同じように、さらなる結合モジュールCv+1に対する入力として使用される。従って結合カスケードが生じる。しかし実際には、従来技術で使用されている、リード値の加法計算は、例えば歯車加工の場合に生じるような複雑な補償の場合、充分ではないことが判明している。さらなる四則演算ぶんの拡張もしばしば充分ではない。
【0054】
図3は相応に、数学分析的に表すことができる結合関係のために、個々のリード値M(t)・・・・M(t)を結合する結合モジュールCの本発明による構成を示している。計算規則「+」はここでは一般的に、殊にユーザーによって定められる計算規則Fと置き換えられる。
【0055】
ここでは、機械を制御するために、図3に示された複数の結合モジュールCを使用することもできる。
【0056】
計算規則Fを各結合モジュールCに対して別個に定めることができる。上述したように、計算規則が変化しても、または計算規則が段階ごと定められていてもよい。計算規則が、リード値M(t)・・・・M(t)に依存していてもよい。従って例えば特定の限界値までのリード値に対して第1の計算規則が使用され、この限界値からのリード値に対して別の計算規則が使用される。計算規則は個別値Mを結合して、従属軸リード値Lにする:
【数4】

【0057】
計算規則Fに対してユーザーには、一連の単項演算(sin,cos,v等)および二項演算(「+」、「−」、「*」等)が使用可能に供給される。
【0058】
を求めるための計算規則(4)は、有利には数学的に通常のシンタックス形状で形成される:ここでこの計算規則は、リード値M(t)・・・・M(t)と、その時々の単項演算または二項演算から成る。この他の、定数も使用可能である。
【0059】
計算規則Fの例は:
【数5】

【数6】

である。
【0060】
各補間周期において、有利には全ての結合モジュールの全ての計算規則が、結合カスケードに相応に再帰的に処理される。この他に、論理的な結合も使用可能である。これは例えばAND結合であり、例えば、Mが第1の所定の値をとり、かつMが第2の所定の値をとる場合にのみ、従属軸ガイド値Lを特定の値に加えるという指示である。
【0061】
本発明によって、各仮想の従属軸および実際の従属軸に対して、明確な数学的結合法則を使用することが可能になる。
【0062】
このようにして、ユーザーは、数学分析的に特定可能な結合法則を直接的にプログラミングすることができる。しかもこれを表でシミュレートする必要はない。パラメータ変更時の手間のかかる表作成が省かれる。
【0063】
より複雑な計算式Fによって、多くの場合には、表および加法結合モジュールによって表される表現への分解を省くことができる。すなわち、分解によって生じる、仮想軸に対する付加的な要求も省かれる。
【0064】
任意の結合モジュールの結合法則は、CNCの加工プログラムにおいて、修正または交換可能である。殊に、一連の結合トポロジーにおける結果が同一の補間周期内で矛盾無く形成される。補間と同期しているアクションによる、結合結果の後からの修正は必要ではない。とりわけ、カスケード接続された非線形の結合関数をシミュレートするのは困難である。
【0065】
出願人は、個別に、または組み合わせて、従来技術に対して新しい場合には、この出願書類に開示された全ての特徴を、発明の本質的なものとして請求する。
【符号の説明】
【0066】
1 加工機械、 2,4,6,8,16,24 駆動部、 10 ワークピース、歯車、 14 工具担体、 20 工具、 22 担体、 30 制御装置、 34 位置検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駆動部(2,4,6,8,16,24)を備えた機械を制御する方法であって、当該複数の駆動部の各駆動部を制御し、前記複数の駆動部のうちの1つ(4,6,8)は第1のリード駆動部であり、前記複数の駆動部のうちの1つ(4,6,8)は第2のリード駆動部であり、前記複数の駆動部のうちの少なくとも1つ(16)は従属駆動部であり、当該従属駆動部を、前記第1のリード駆動部(4,6,8)に特徴的な少なくとも1つのパラメータMと、前記第2のリード駆動部(4,6,8)に特徴的なパラメータMとに依存して制御し、前記従属駆動部(16)の制御に特徴的な制御パラメータLを、前記第1のパラメータMと前記第2のパラメータMの数学的な結合Fによって求める方法において、
前記数学的な結合Fを自由に定めることができる、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記リード駆動部(4,6,8)に特徴的な少なくとも1つのパラメータ(M,M)を所定の補間周期で繰り返し検出する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記リード駆動部(4,6,8)に特徴的な全てのパラメータを同じ所定の補間周期で繰り返し検出する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つのパラメータは、駆動部の位置である、請求項1から3までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項5】
前記制御パラメータLを求めるために、前記特徴的なパラメータ(M,M)に依存しない、付加的に測定可能な量を使用する、請求項1から4までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項6】
前記測定可能な量を量のグループから選択し、当該グループは、温度、気圧、摩耗を表す値等を含んでいる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記数学的な結合Fは、ユーザーによって変更可能である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
複数の数学的結合を、前記機械の制御に使用する、請求項1から7までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項9】
前記制御パラメータL並びにさらなる結合を使用して、さらなる駆動部のさらなる制御パラメータを求める、請求項1から8までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項10】
前記機械は、ワークピース10、殊に歯車を製造するおよび/または加工する機械である、請求項1から9までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項11】
3つ以上のリード駆動部を設け、当該リード駆動部の特徴的なパラメータを、前記制御パラメータLを求めるために数学的な結合によって結合する、請求項1から10までの少なくとも1項記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの第1の駆動部(2,4,6,8,16,24)と、少なくとも1つの第2の駆動部(2,4,6,8,16,24)と、前記駆動部を制御する少なくとも1つの制御装置(30)と、結合モジュールCとを備えた機械(1)であって、前記複数の駆動部のうちの少なくとも2つ(4,6,8)はリード駆動部であり、前記複数の駆動部のうちの少なくとも1つ(16)は従属駆動部であり、前記結合モジュールは、前記従属駆動部(16)を、前記リード駆動部(4,6,8)に特徴的な、その時々の少なくとも1つのパラメータ(M,M)に依存して制御し、前記従属駆動部(16)の制御に特徴的な制御パラメータLは、前記第1のパラメータMと前記第2のパラメータMとの数学的な結合Fによって求められる装置において、
前記数学的な結合Fは自由に定められる、
ことを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−31918(P2013−31918A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−168418(P2012−168418)
【出願日】平成24年7月30日(2012.7.30)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】