説明

骨の備蓄を促進し、維持する活性を有する魚類タンパク質の加水分解産物、該加水分解産物を含む栄養補助食品及び医薬品の組成物、及び、その製造方法。

本発明は興味のある生物活性、特に、骨を促進し、維持する効果を有する魚類タンパク質の加水分解産物に関する。前記魚類タンパク質の加水分解産物は、それが、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)、トラクルス属の複数種(Trachurus spp.)、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)及びコリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)の魚類の種と、シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類の種とから選択される少なくとも1種類のタンパク質の供給源を酵素的加水分解することによって得られ、該酵素的加水分解はバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素によって行われることを特徴とする。本発明に応じる前記タンパク質の加水分解産物は、骨量を維持することか、骨芽細胞の増殖を促進し、破骨細胞の増殖を抑制することを通じて骨の成長を促進することかを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は興味のある生物活性、特に、骨の備蓄(bone capital)を促進し、維持する効果を有する魚類タンパク質の加水分解産物に関する。また本発明は、かかる魚類タンパク質の加水分解産物と、該魚類タンパク質の加水分解産物を含む、食品組成物、補助栄養食品及び薬品との製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
骨組織は、特に、骨芽細胞、骨細胞及び破骨細胞と、コラーゲン線維と、石灰化基質とで構成される特殊化した結合組織である。骨芽細胞は骨組織の合成、特に、I型コラーゲン、プロテオグリカン及び糖タンパク質からなる骨基質の合成を担う一方、破骨細胞は骨吸収、すなわち、前記骨組織の分解を担う。
【0003】
骨組織は、生涯を通じて起こる動的なリモデリング過程によって常に再生されている。このリモデリングは、基本多細胞単位(Basic Multicellular Unit(BMU))を介する破骨細胞及び骨芽細胞を組み合わした作用によって行われる。これらの単位は約6月間の生存期間を有し、1年あたり骨格の約10%を再生する。
【0004】
リモデリング周期は、骨の不活性表面上で新しいBMUを活性化することで開始する。その後、骨の外形を縁取っている細胞は消失し、約2週間で前記骨の骨内膜表面上の間隙をくり抜く破骨細胞に取って換わられるであろう。これが吸収期である。いったん終結すると、前記破骨細胞はアポトーシスによって殺され、前骨芽細胞が分化する。その後、成熟骨芽細胞は、特に、骨の有機成分の骨質を連続的に生成することによって新しい骨基質を合成する場合がある。その後、この基質は徐々に石灰化され、骨芽細胞は前記基質の中心に閉じ込められ、その結果、骨細胞となる(非特許文献1)。
【0005】
骨粗鬆症、すなわち、骨の備蓄の減少は高齢化集団の全体で観察される現象である。「骨粗鬆症は骨密度の低下によって特徴付けられる骨格の全般性障害であり、前記骨組織の微小構造の障害が、前記骨の脆弱性の増加と、その結果としての骨折のリスクとの原因である」(WHOの定義、1992)。これは優先的に女性に影響を与える疾患であるが、平均余命の延長のために、男性はもはや免れられない。この疾患は、例えば、椎骨の圧迫か、手首の骨折か、大腿骨頚部の骨折かを引き起こすことが知られる。前記大腿骨頚部の骨折の事象が、該事象は、骨折後のその年の死亡率20%と、重篤な症例50%と、普通に生活できなくなる後遺症とを伴うため、重要である。
【0006】
閉経時、エストロゲンの欠乏が、骨形成の低下と、骨の構造の劣化と、骨量の減少とを引き起こし、その結果、長期間の骨折の著しいリスクを生じる。このエストロゲンの欠乏のために、骨再生は促進し(BMUsの数を増加し)、より高い多孔性の状況を生じる。骨吸収は、構造の一部が改変されていない構造と比較して大いに増大する。これは主に破骨細胞の生存期間が増大するためである。
【0007】
平均余命が連続的に増大しているフランスのような国の最新の人口統計学的状況では、骨粗鬆症は今日の主要な公衆衛生問題である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Hadjidakisら、2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
今日、骨の備蓄の獲得と、その維持とにおいて食物によって果たされる役割の重要性がこの病態の非常に本格的な予防に道を開くように思える。したがって、最初のアプローチは食生活の変化を含む生活様式を改変することである。補助栄養食品のみを摂取することか、あるいは生活様式の変化と関係させて補助栄養食品を摂取することが骨の備蓄の維持をもたらすために有益である。
【0010】
その後、出願人は、特定の魚類からなるタンパク質の供給源を酵素的加水分解して得られた魚類タンパク質又はペプチドの加水分解産物が骨量の増加を促進する性質を有することを発見した。より具体的には、前記出願人は、かかる加水分解産物が骨芽細胞の増殖を活性化し、破骨細胞の増殖を抑制することができたことを発見した。
【0011】
図1は、本発明に応じるプタスダラのタンパク質の加水分解産物のタンパク質断片の分子量分布を示す。
【0012】
図2ないし5は、本発明に応じる別種の魚類タンパク質の加水分解産物のタンパク質断片の分子量分布を示す。
【0013】
図6及び7は、本発明に応じるプタスダラのタンパク質の加水分解産物の骨細胞の増殖における影響を示す。
【0014】
図8は、本発明に応じるプタスダラの加水分解産物による破骨細胞の増殖の抑制を示す。
【0015】
図9は、マウスの骨密度における本発明に応じるプタスダラのタンパク質の加水分解産物の影響を示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】プタスダラのタンパク質の加水分解産物のタンパク質断片の分子量分布を示すチャート図。
【図2】プタスダラ(H1)、サバ(H2)、アジ(H3)及びコソダラ(H4)のタンパク質の加水分解産物のタンパク質断片の分子量分布を示すチャート図。
【図3】プタスダラ(H1)、ビブ(H5)、イワシ(H6)及びニシン(H7)のタンパク質の加水分解産物のタンパク質断片の分子量分布を示すチャート図。
【図4】プタスダラ(H1)、タイセイヨウマダラ(H9)及びモンツキダラ(H11)のタンパク質の加水分解産物のタンパク質断片の分子量分布を示すチャート図。
【図5】プタスダラ(H1)、パンガ(H8)及びシロイトダラ(H10)のタンパク質の加水分解産物のタンパク質断片の分子量分布を示すチャート図。
【図6】骨細胞の増殖における異なる濃度のH1タンパク質の加水分解産物の効果を示すグラフ。
【図7】異なる濃度のH1タンパク質の加水分解産物が添加された際のアルカリホスファターゼ(AP)活性を示すグラフ。
【図8】プタスダラの加水分解産物が破骨細胞の増殖を抑制することを示す写真。
【図9】プタスダラのタンパク質の加水分解産物がマウスの骨密度の経時的な影響を示す棒グラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
したがって、本発明は、魚類タンパク質の加水分解産物が、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)及びトラクルス属の複数種(Trachurus spp.)の浮魚類の種と、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)及びコリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)の底魚類の種と、シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類の種とから選択される少なくとも1種類のタンパク質の供給源を酵素的加水分解することによって得られ、該酵素的加水分解はバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素によって行われること、及び、以下の物理的及び化学的な特徴、300Da未満の分子量の分子が33%から39%まで、300Daから1000Daまでの分子量の分子が34%から37%まで、1000Daから3000Daまでの分子量の分子が21%から24%まで、3000Daから5000Daまでの分子量の分子が3%から4%まで、及び、5000Daから10000Daまでの分子量の分子が1%から2%までと、原材料の百分率として1%未満の脂質含有量と、原材料の百分率として4%未満の糖質含有量と、原材料の百分率として80%よりも多いタンパク質含有量と、原材料の百分率として5%から10%までの無機質含有量との分子プロファイル分布を有することを特徴とする、魚類タンパク質の加水分解産物に関する。
【0018】
本発明に応じる前記タンパク質の加水分解産物は、骨量を維持するか、あるいは骨の成長を促進する。本発明に応じる前記タンパク質の加水分解産物は、骨粗鬆症、例えば、閉経後の骨粗鬆症と、骨脱灰と、カルシウム吸収不良と、ビタミンDの吸収不良と、骨代謝疾患とのような疾患の予防及び治療で用いられる場合がある。本発明に応じる前記タンパク質の加水分解産物は、以下の実施例によって示されるように、骨芽細胞の増殖を促進し、破骨細胞の増殖を阻害する。
【0019】
本発明の1つの特徴によれば、前記魚類タンパク質の加水分解産物は、アミノ酸の総質量に関しての質量あたりの百分率として、グルタミン酸 16.9%、アスパラギン酸 11.7%、リジン 10%、ロイシン 8.2%、アルギニン 6.3%、アラニン 6.8%、バリン 4.8%、イソロイシン 4.4%、グリシン 5%、スレオニン 4.5%、セリン 4.4%、チロシン 3.2%、フェニルアラニン 3.9%、メチオニン 2.6%、プロリン 3.4%、ヒスチジン 2%、システイン 1%、トリプトファン 0.8%のアミノ酸組成を有する。
【0020】
本発明の好ましい実施態様によれば、前記魚類タンパク質の供給源は前記魚類の切り身のすり身(pulp)を含む。
【0021】
また、本発明は魚類タンパク質の供給源からタンパク質の加水分解産物を製造する方法に関し、前記加水分解産物は、骨量の増加を維持するか、あるいは促進する性質を有する。本発明に応じる方法は、該方法が、魚類のすり身を回収するために、水の存在下で、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)及びトラクルス属の複数種(Trachurus spp.)の前記浮魚類の種と、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)及びコリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)の前記底魚類の種と、前記シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類の種とから選択される少なくとも1種類のタンパク質の供給源をすりつぶすステップと、反応混合物を得るために、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素の添加後、1時間ないし5時間50°Cから75°Cまでの温度で前記タンパク質の供給源を酵素的加水分解するステップと、前記反応混合物の温度を70°Cを下回らないレベルに8ないし20分間上昇させた後、前記酵素を不活性化することによって前記酵素的加水分解を停止するステップと、前記反応混合物の残余から得られた前記タンパク質の加水分解産物を分離するステップとを含むことを特徴とする。
【0022】
本発明に応じる前記方法に従って前記魚類のすり身を前記酵素的加水分解することは、骨量の増加を調節する性質を有する、魚類タンパク質の加水分解産物を得ることを可能にする。前記酵素的加水分解は、探し出された前記性質を有する、タンパク質の加水分解産物を得ることを可能にするために慎重に選択された酵素によって実施される。前記酵素、前記加水分解の温度、及び、溶媒がないことを特徴とする前記方法は、得られた加水分解産物の感覚上及び栄養上の品質を大事にする。その後、この加水分解産物は、食品組成物又は医薬品に取り込まれる場合がある。
【0023】
本発明の1つの特徴によれば、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素は、ABエンザイム社(フェルドバーグ通り78、D−64293、ドイツ国ダルムシュタット郡)によって販売された製品のコロラーゼNである。
【0024】
前記タンパク質の供給源をすりつぶすステップは、水に対するタンパク質の供給源の割合が1となる水の存在下で実施されることが好ましい。
【0025】
本発明の1つの実施態様によれば、前記酵素的加水分解するステップは、タンパク質供給源に対する酵素の割合が0.1%から1%までで実施される。タンパク質供給源に対する酵素の前記割合は0.75%であることが好ましい。
【0026】
前記酵素的加水分解するステップは55°Cの温度で実施されることが好ましい。
【0027】
前記反応混合物の残余から得られた前記タンパク質の加水分解産物を分離するステップは、4000回転/分から7000回転/分までの速度の遠心分離と、得られた残渣の除去とによって実施されることが一般的である。
【0028】
得られた前記タンパク質の加水分解産物を分離するステップは、前記遠心分離前に前記反応混合物を濾過することによって実施されることが好ましい。反応物の濾過は固形物質を除去する。
【0029】
本発明の1つの実施態様によれば、また前記方法は、得られた前記加水分解産物の濃縮及び微粒子化、すなわち、凍結乾燥を含む。
【0030】
本発明の別の実施態様によれば、前記酵素的加水分解するステップは、前記反応混合物の温度を85°Cまで上昇させ、この温度で15分間維持することによって停止される。
【0031】
本発明の1つの実施態様によれば、前記タンパク質の供給源をすりつぶすステップは、前記魚類の切り身を用いて実施される。
【0032】
また本発明は、以前に説明されたような方法によって得られた魚類タンパク質の加水分解産物に関する。前記加水分解産物は以前に定義されたようなものである。
【0033】
また本発明は、以前に説明されたような魚類タンパク質の加水分解産物を含む、組成物、補助栄養食品及び食品組成物に関する。
【0034】
また本発明は、以前に説明されたような魚類タンパク質の加水分解産物を含む薬品と、骨粗鬆症、例えば、閉経後の骨粗鬆症と、骨脱灰と、カルシウム吸収不良と、ビタミンDの吸収不良と、骨代謝疾患とを治療又は予防するための薬品を製造するための魚類タンパク質の加水分解産物の使用とに関する。
【0035】
また、本発明に応じる前記魚類タンパク質の加水分解産物は、骨芽細胞の増殖を促進し、破骨細胞の増殖を抑制するのに用いられる。
【0036】
本発明に応じる魚類タンパク質の加水分解産物を取り込んでいる、栄養補助食品又は医薬品は、結合剤、風味剤、防腐剤又は着色剤のような製剤のタイプで通常使用される成分を含む場合があり、補助栄養食品又は薬品の場合には、錠剤、顆粒剤又はカプセル剤の形状の場合がある。本発明に応じる製剤は、飲料のような食品の形状か、懸濁剤又はシロップ剤の形状かの場合もある。
【0037】
前述した本発明の特徴その他は、以下の実施例の実施態様の明細書を読むことでより明白に明らかになるであろうし、前記実施例は例示することを意図とし、限定することを意図しないであろう。
【実施例1】
【0038】
実施例1 プタスダラから得られたタンパク質の加水分解産物
プタスダラ(ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou))は北大西洋ニューファンドランドで釣られる。魚類は切り身に切り取られ、その後、そのすり身を得るためにすりつぶされる。この魚類のすり身は、加水分解産物を製造するためのタンパク質の供給源の構成要素となる。前記すり身は使用するまで−20°Cで保管される。
【0039】
予め解凍されたプタスダラのすり身3キロは、質量比1で水と混合される。温度は55°Cに上昇され、その後、ABエンザイム社(フェルドバーグ通り78、D−64293、ドイツ国ダルムシュタット郡)によるコロラーゼNという名前で販売されるバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素が、タンパク質の供給源に対する酵素の割合0.75%で反応物に添加される。
【0040】
加水分解反応が2時間実施され、その後、前記酵素は反応物の温度を85°Cに上昇させることによって不活性化される。この温度は15分間維持される。
【0041】
その後、得られたプタスダラのタンパク質の加水分解産物(以下、「H1」という。)が固形物質を除去するために篩(2mm/2mmのメッシュ)上で濾過され、その後、容器に回収される。その後、前記容器に回収された分画は、4000rpmから7000rpmまでの速度で30分間±5分間遠心分離される。残渣の除去後、上清は回収され、凍結され、乾燥され、乾燥した冷暗所で保存される。前記上清は微粒子化される場合もある。
【0042】
プタスダラから得られたH1タンパク質の加水分解物の物理的及び化学的な解析
得られたH1タンパク質の加水分解産物を構成しているペプチドの分子量を決定することが、立体排除クロマトグラフィー(SEC−HPLC)によって実施される。
【0043】
凍結乾燥後の粉末の形状の前記タンパク質の加水分解産物は20mg/mLで超純水に懸濁され、その後、0.45μmの膜上で濾過され、ファルマシア社によって販売されたスパーデックスペプチドHR10/30カラムに付随するゲルを通して濾過することによって解析される。前記カラムの基質は、アガロースとデキストランとを架橋した多孔性ゲル(直径13−15μm)全量24mLから構成される。分画ドメインは100Daから7000Daまでである。前記カラムは、ポンプを装備した(ダイオネクス社によって販売された)HPLC製品(ダイオネクスP680モジュール)に取り付けられる。測定は、多波長紫外線検出器(ダイオネクスUVD 170Uモジュール)によって実施される。HMBタンパク質の加水分解産物は、アセトニトリル、水及びTFAを含む移動相によって溶出される。前記溶出は、0.5mL/分の割合で約1時間続く。
【0044】
分子量分布は、既知の分子量を有する、シトクロムC(12400Da)、アプロチニン(6511Da)、ガストリンI(2126Da)、P物質の断片1−7(1348Da)、グリシン(75Da)及びロイペプチン(463Da)のマーカーのカラムの通過後、得られた検量線のパラメーターから算出される。データはクロメレオンソフトフェア(ダイオネクス)によって採取される。前記分子量の百分率は、ソフトフェア(ポリマーラボラトリーズからのGPCシーラス)によって算出される。取得波長は214nmである。dW/logMの分画としての前記分子量分布は、前記ソフトフェアによって提供され、図1に示される。曲線下面積の百分率は分子の百分率に対応する。サイズ分類による前記分子量分布は表1で提供される。
【0045】
【表1】

【0046】
プタスダラのタンパク質の加水分解産物H1のアミノ酸組成は表2で提供され、欧州指令98/64/CEと、NF EN ISO 13904−2005年10月との指示に従って得られる。
【0047】
【表2】

【0048】
タンパク質含有量は原材料の百分率(ケルダール法によって採取された−NF V18−120−1997年3月)において80%より高い。
【0049】
脂質含有量は、(欧州指令98/64/CEに従う)原材料の百分率として1%未満である。
【0050】
タンパク質の加水分解産物H1の熱量は約350Kcal/100gである。
【0051】
糖質含有量は、(前記タンパク質及び糖質の含有量と、熱量とから推定された)4%未満である。
【実施例2】
【0052】
実施例2 本発明に応じる別種の魚類から得られたタンパク質の加水分解産物
サバ(H2)(スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus))、アジ(H3)(トラクルス属の複数種(Trachurus spp.))、コソダラ(H4)(コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris))(図2)と、ビブ(bib)(H5)(トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki))、イワシ(H6)(サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus))、ニシン(H7)(クルペア・ハレングス(Clupea harengus))、パンガ(panga)(H8)及びスリフォルメ(Suliforme)、シロイトダラ(H10)(ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens))図5と、タイセイヨウマダラ(H9)(ガドゥス・モルア(Gadus morhua))及びモンツキダラ(H11)(メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus))(図4)とのタンパク質の加水分解産物は実施例1の方法に従って調製された。加水分解産物それぞれを構成するペプチドの分子量分布は、実施例1で用いられたような同一方法に従って解析された。
【0053】
dW/logMの分画としての分子量分布は、図2ないし5に提供され、サイズ分類による前記分子量分布は以下の表1に提供される。曲線下面積の百分率はペプチド分子の百分率に対応する。
【0054】
前記加水分解産物全ては、同一の分子量分布プロファイルを示す。
【実施例3】
【0055】
実施例4 H1タンパク質の加水分解産物の生物活性
生体内研究
H1タンパク質の加水分解産物は、試験管内の細胞培養において骨芽細胞の増殖促進を助長し、破骨細胞の増殖抑制を生じさせる能力に関して試験された。
【0056】
凍結乾燥後の粉末の形状の前記H1タンパク質の加水分解産物は20mg/mLの割合で超純水に懸濁され、その後、それを滅菌するために0.22ミクロンの膜上で濾過された。その後、1/10(例えば、最高のペプチド濃度、つまり、2mg/mL)、1/20(1mg/mL)、1/50(0.4mg/mL)、1/100(0.2mg/mL)、1/500(0.04mg/mL)及び1/1000(0.02mg/mL)のさまざまな希釈液が作成された。
【0057】
細胞培養
つまり、BalB/c系統のマウス由来の骨芽細胞及び破骨細胞からなる混合骨細胞培養物が以下のように作成された。
【0058】
前記マウスは断頭によって屠殺され、後脚の骨が無菌条件下で採取され、その後、アール塩のグルタマックスI(インビトロジェン社、カリフォルニア州カールズバッド、ファラデーアヴェニュー1600、92008)、リボヌクレオシド及びデオキシリボヌクレオシドを添加した液体最小必須培地−α(MEM−α)の培養液(1X)を含む滅菌チューブ中に静置された。
【0059】
脚骨は解剖用メスで剥離され、その後、骨髄を抽出するために小片にされた。細胞及び全ての破片はチューブに採取され、骨片由来の細胞を剥離するために約2分間激しく攪拌された。その後、懸濁液は70μmの多孔性を有するフィルター上で濾過された。前記細胞は遠心分離(800gで5分間)によって回収され、上清が除去され、前記細胞の残渣が完全培養培地(ペニシリン/ストレプトマイシンと、10%のウシ胎児血清と、10−8の1α,25−(OH)、すなわち、1α,25−ジヒドロキシビタミンDとを補充されたMEM−α)中に回収された。
【0060】
したがって、その後、4個又は5個の脛骨から得られた前記細胞は75cmのフラスコ中に播種された。培養フラスコは、37°C、5%COを含む水蒸気雰囲気下でインキュベーションされた。前記フラスコの表面に前記細胞を吸着するための必須時間は約5時間だった。骨芽細胞及び破骨細胞の前駆体を付着するための必須期間後、前記培地は75cmの表面あたり15mLの割合で置換された。前記培地は1週間に2回交換された。培養6日間後、前記培地は吸引された。前記細胞はスクレーパーによって前記フラスコから剥離され、1.2.10個 細胞/mLの密度で懸濁液に入れられた。これらの培養条件は、前記骨芽細胞及び破骨細胞を増殖することを可能にする。
【0061】
翌日、前記培地は交換され、前記H1タンパク質の加水分解産物は、前述したさまざまな希釈度(1/10、1/20、1/50、1/500及び1/1000)で前記培養培地に添加された。
【0062】
ウシ血清アルブミン(BSA)の溶液(20mg/mL)が、参照(BSA参照)として調製され、別のタンパク質溶液として同一の希釈条件下で前記細胞に添加された。
【0063】
参照培養(陰性参照)が用いられ、前記H1タンパク質の加水分解産物か、前記BSAかのいずれかが添加された骨細胞の培養に対応する。
【0064】
混合細胞培養の細胞増殖:DNAの定量
DNAの定量は、混合細胞培養の細胞増殖において、さまざまなタンパク質、H1又はBSAの効果を評価することを可能にする。
【0065】
これはフルオロリポーター・ブルー・フルオロメトリックdsDNA定量キット(F−2962)(モレキュラープローブ;インビトロジェン社)を用いて実施された蛍光定量解析である。
【0066】
前記H1タンパク質の加水分解産物のさまざまな希釈液の存在下でインキュベーションされた細胞と、BSA参照溶液の存在下でインキュベーションされた細胞と、参照培養細胞とがDNAを遊離するために凍結によって溶解される。前記キットで用いられたHoechst 33258試薬は、新たに合成された2本鎖DNAのA−T配列に富んでいる領域に特異的であり、そこに前記試薬が結合する。前記結合は蛍光によって検出される。
【0067】
図6は、BalB/c系統のマウス由来の骨細胞の増殖における異なる濃度の前記H1タンパク質の加水分解産物の効果を示す。結果は参照培養に関する百分率として表示される。
【0068】
前記H1タンパク質の加水分解産物は骨細胞の増殖を顕著に抑制する(1/10で40%の抑制)。なぜなら、前記BSAの参照タンパク質溶液の存在下では、前記骨細胞の増殖は100%である一方、1/10に希釈されたH1タンパク質の溶液の存在下では、骨細胞の増殖は60%である。
【0069】
増殖が抑制される細胞が破骨細胞又は骨芽細胞かどうかを決定するために、補足解析が実施された。この解析は、骨芽細胞によって特異的に分泌されるアルカリホスファターゼ解析を利用する。したがって、前記アルカリホスファターゼ活性を測定し、以前に説明したDNAの定量の関数として得られた結果を表示することによって、前記H1タンパク質の加水分解産物は骨芽細胞の発達に都合がよく、破骨細胞を抑制するかどうかを決定することができる。
【0070】
骨芽細胞の増殖の促進:アルカリホスファターゼの配分
リン酸4−メチルウンベリフェリル(4−MUP)(シグマ−アルドリッチ社、ミズーリ州セントルイス、スプルースストリート3050、63103)はアルカリホスファターゼ基質である。
【0071】
前記アルカリホスファターゼによる前記基質の脱リン酸化が蛍光によって測定される。
【0072】
前記基質は、前記H1タンパク質の加水分解産物のさまざまな希釈液が前もって添加された細胞培養用培地と、参照細胞培養用培地(参照培養)とに添加された。
【0073】
図7は、前記H1タンパク質の加水分解産物のさまざまな希釈液と、タンパク質の加水分解産物の非存在下(参照培養)とに応じて百分率として表示された前記アルカリホスファターゼ(AP)活性を示す。
【0074】
100%のアルカリホスファターゼ活性の測定値が前記参照培養について得られることを知っているため、我々は、H1タンパク質の加水分解産物の1/10及び1/20の希釈液は骨芽細胞の分化を促進することができることを発見する。前記1/10の希釈液は前記アルカリホスファターゼ活性を3倍に増加し、結果的に前記参照培養と比較して前記骨芽細胞の分化を3倍増加する。これを考慮すると、以前に観察された前記骨細胞の増殖の抑制は前記骨芽細胞よりもむしろ前記破骨細胞に関係していることを明らかにする。
【0075】
破骨細胞の増殖の抑制:骨基質の吸収
混合されたマウス細胞の初代培養は合成骨基質上で培養された。混合細胞培養中に存在する成熟破骨細胞は骨基質を吸収することができる。
【0076】
1/10倍に希釈された前記H1タンパク質の加水分解産物は細胞培養用培地に添加された。
【0077】
前記骨基質上での細胞培養に対応する対照は、H1タンパク質の加水分解産物の非存在下で実施された。
【0078】
図8は、前記H1タンパク質の加水分解産物の存在下(図8A)又は該H1タンパク質の加水分解産物の非存在下(対照、図8B)の顕微鏡で作成された写真2枚を示す。
【0079】
前記写真は対照骨基質(図8A)上で目視できる吸収域(1、2、3、4、5)を示す一方、図8Bでは目視できる前記骨基質は吸収されない。したがって、前記H1タンパク質の加水分解産物は破骨細胞の活性を低下した。以前に示されたDNAの定量の結果と組み合わしたこれらの結果が、前記H1タンパク質の加水分解産物は破骨細胞の増殖を抑制すると結論付けることを可能にする。
【実施例4】
【0080】
実施例5 H1タンパク質の加水分解産物の生物活性
生体内研究
本研究期間中、卵巣摘出したマウスのモデルが、エストロゲンの欠乏を生じさせ、閉経後の現象を模倣するために用いられた。H1の魚類タンパク質の加水分解産物を質量あたり14%含有する投与計画が、トータル・ミルク・プロテイン(total milk proteins)を質量あたり14%含有する参照標準投与計画と比較された。
【0081】
総骨密度の変化が経時的に監視された。
【0082】
ハーラン飼育センターから供給された10週齢のC3H/Henマウス36頭が、逆転明暗周期(午前6時から午後6時までが夜)で22°Cに温度を自動制御された部屋内のケージの中に入れられた。動物は、環境と、粉末の形状の食餌とに2週間慣らされた。各動物は、3ヶ月の研究期間中、水と、餌(マウス1頭あたりに1日5グラム)とを自由に受け取った。
【0083】
12週間目に、前記マウスは、卵巣摘出か、卵巣を摘出しない外科的手術かが施された。術後、前記動物は、該動物が受けるべき前記投与計画に応じて12頭の3つのグループに分けられた。
【0084】
グループ1(陽性参照)
前記マウスは前記卵巣を摘出されることなく手術され、対照投与計画、すなわち、14%の(カゼイン及び乳清を含む)トータル・ミルク・プロテインを摂取する。
【0085】
グループ2(陰性参照)
前記マウスは卵巣摘出を受け、前記対照投与計画を受ける。
【0086】
グループ3
前記マウスは前記卵巣の摘出を受けるために手術され、14%のH1を含む投与計画(前記投与計画と同一の組成であるが、前記ミルク・プロテインは実施例1で得られた魚類タンパク質の加水分解産物に取り替えられる。)を受けた。
【0087】
提供された前記投与計画全ては14%のタンパク質を含み、以下の表3によって示されたような類似の熱量組成を有する。
【0088】
【表3】

【0089】
骨密度(BMD)の変化の監視
骨密度は、骨の質及びその長さを反映する。骨粗鬆症の診断のための参照として役立つ本測定は、X線を用いる2光子吸収測定法(DEXA:二重エネルギーX線吸収測定法)によって行われる。PIXImus濃度計(LUNAR CORPORATION、ウィスコンシン州マディソン)の装置が前記マウスの体を通過するX線を放射照射し、感知器が、石灰化骨領域を通過するX線ビーム強度の減衰を検出する。それは、通過した石灰化骨組織及び「軟」組織の表面積及び質量も決定する。したがって、除脂肪量、脂肪量及び総BMD(体の骨表面平方センチメートルあたりの骨量グラム)が評価される場合がある。前記測定を行うために、前記マウスは(キシラジン/ケタミン混合物によって)麻酔され、装置のプラットフォーム上のプラスチックディッシュ中に置かれた。これは画面に再転写される画像を作成する。その後、得られた前記画像は、大腿骨及び脊柱のような前記マウスの体の詳細な部分に焦点を合わせることによって再処理される場合がある。これは、海綿骨に富んでいるそれらの骨が骨粗鬆症によってより容易に影響されるためである。前記BMDは、卵巣摘出の前及び術後毎月適切に評価された。それらの手術全てがパリ第7大学医学部IFR02内で行われた。
【0090】
結果
図9は、前記グループ(1、2及び3)に応じる経時的な骨密度(BMD)の総獲得値を示す。値は平均±標準偏差の形で得られる。異なる文字の前記グループは、統計的に相違する(p<0.05)。
【0091】
卵巣摘出前の0時間では、前記グループは別のBMDと比較可能なBMDを有した。前記投与計画の効果を熟考するために、BMDの総獲得値が研究された。全ての場合で、前記BMDは経時的に増加する。投与計画の1ヶ月後(1M)、手術の効果が、グループ1は別のグループ全てと比較して顕著に優れたBMDを有するため、最大である、つまり、これらのマウスは骨を獲得し続ける一方、前記骨の成長はエストロゲンの欠乏を被る動物で停止される。投与計画の2ヶ月後(2M)、グループ3の前記BMDはグループ1のBMDを取り戻し、グループ2のBMDと顕著に異なる。したがって、これらのグループ2つについて、投与計画の効果は2ヶ月から明白に観察される。
【0092】
最終的に、投与計画の3ヶ月後(3M)、グループ1及び2はまだ統計的に相違する。グループ3の前記動物はグループ2のBMDと比較して顕著により高いBMDを有し、グループ1のBMDと統計的に相違しない。
【0093】
前記卵巣の摘出は骨密度の低下を生じる。(卵巣摘出した)グループ2と、グループ1との違いは経時的に持続し、前記骨の石灰化におけるエストロゲンの欠乏の効果と、モデルの妥当性とを証明する。最終的に、グループ3は骨の石灰化を非常に顕著に増大し、参照グループ1及び2のBMDの獲得値を上回る。したがって、実際に、全ての骨の石灰化においてH1の魚類加水分解産物のタンパク質分画の効果がある。これらの結果は、骨芽細胞の分化を増大する一方、破骨細胞の分化を低下するための本発明に応じる前記加水分解産物の能力を証明するであろう、生体内研究で以前に得られた結果を裏付ける。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚類タンパク質の加水分解産物であって、該魚類タンパク質の加水分解産物が、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)、トラクルス属の複数種(Trachurus spp.)、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)、コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)、シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類の種の魚からなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質の供給源を酵素的加水分解することによって得られ、該酵素的加水分解はバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素によって行われること、及び、
300Da未満の分子量の分子が33%から39%まで、300Daから1000Daまでの分子量の分子が34%から37%まで、1000Daから3000Daまでの分子量の分子が21%から24%まで、3000Daから5000Daまでの分子量の分子が3%から4%まで、及び、5000Daから10000Daまでの分子量の分子が1%から2%までと、
原材料の百分率として1%未満の脂質含有量と、
原材料の百分率として4%未満の糖質含有量と、
原材料の百分率として80%よりも多いタンパク質含有量と、
原材料の百分率として5%から10%までの無機質含有量との分子プロファイル分布を有することを特徴とする、魚類タンパク質の加水分解産物。
【請求項2】
アミノ酸の総質量に関しての質量あたりの百分率として、グルタミン酸 16.9%、アスパラギン酸 11.7%、リジン 10%、ロイシン 8.2%、アルギニン 6.3%、アラニン 6.8%、バリン 4.8%、イソロイシン 4.4%、グリシン 5%、スレオニン 4.5%、セリン 4.4%、チロシン 3.2%、フェニルアラニン 3.9%、メチオニン 2.6%、プロリン 3.4%、ヒスチジン 2%、システイン 1%、トリプトファン 0.8%のアミノ酸組成を有することを特徴とする、請求項1に記載の魚類タンパク質の加水分解産物。
【請求項3】
前記魚類タンパク質の供給源は前記魚類の切り身から得られたすり身を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の魚類タンパク質の加水分解産物。
【請求項4】
前記魚類のすり身を回収するために、水の存在下で、ミクロメシスティウス・ポタソウ(Micromesistius poutassou)、クルペア・ハレングス(Clupea harengus)、スコムベル・スコムブルス(Scomber scombrus)、サルディナ・ピルカルドゥス(Sardina pilchardus)、トリソプテルス・エスマルキ(Trisopterus esmarki)、トラクルス属の複数種(Trachurus spp.)、ガドゥス・モルア(Gadus morhua)、ポルラキウス・ヴィレンス(Pollachius virens)、メラノグランムス・アレグレフィヌス(Melanogrammus aeglefinus)、コリファエノイデス・ルペストリス(Coryphaenoides rupestris)、前記シルリフォルメス(Siluriformes)目に属する魚類の魚の種からなるグループから選択される少なくとも1種類のタンパク質の供給源をすりつぶすステップと、
反応混合物を得るために、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)由来のエンドペプチダーゼ酵素の添加後、1時間ないし5時間50°Cから75°Cまでの温度で前記タンパク質の供給源を酵素的加水分解するステップと、
前記反応混合物の温度を70°Cを下回らないレベルに8ないし20分間上昇させた後、前記酵素を不活性化することによって前記酵素的加水分解を停止するステップと、
前記反応混合物の残余から得られた前記タンパク質の加水分解産物を分離するステップとを含むことを特徴とする、請求項1ないし3の1つに記載の魚類タンパク質の加水分解産物の製造方法。
【請求項5】
前記酵素的加水分解は55°Cの加水分解温度で、タンパク質供給源に対する酵素の割合が0.01%から1%まで、好ましくは0.75%で実施されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記タンパク質の供給源をすりつぶすステップは、前記魚類の切り身を用いて実施されることを特徴とする、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1ないし3の1つに記載の魚類タンパク質の加水分解産物を含むことを特徴とする、食品。
【請求項8】
請求項1ないし3の1つに記載の魚類タンパク質の加水分解産物を含むことを特徴とする、補助栄養食品。
【請求項9】
請求項1ないし3の1つに記載の魚類タンパク質の加水分解産物を含むことを特徴とする、医薬品組成物。
【請求項10】
請求項1ないし3の1つに記載の魚類タンパク質の加水分解産物を含むことを特徴とする、組成物。
【請求項11】
請求項1ないし3の1つに記載の魚類タンパク質の加水分解産物を含むことを特徴とする、薬品。
【請求項12】
骨粗鬆症、例えば、閉経後の骨粗鬆症か、骨脱灰か、カルシウム吸収不良か、ビタミンDの吸収不良か、あるいは骨代謝疾患から選択される疾患を治療又は予防するための薬品を製造するための請求項1ないし3の1つに記載の魚類タンパク質の加水分解産物の使用。
【請求項13】
骨粗鬆症、例えば、閉経後の骨粗鬆症か、骨脱灰か、カルシウム吸収不良か、ビタミンDの吸収不良か、あるいは骨代謝疾患から選択される疾患の治療又は予防で使用する、請求項1ないし3の1つに記載の魚類タンパク質の加水分解産物。
【請求項14】
骨芽細胞の増殖を促進し、破骨細胞の増殖を抑制するのに用いられる、請求項1ないし3の1つに記載の魚類タンパク質の加水分解産物。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2011−511783(P2011−511783A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545509(P2010−545509)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/051655
【国際公開番号】WO2009/101146
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(510218216)カンパニー デ ペーシュ サン マロ サンテ (2)
【Fターム(参考)】