説明

骨伝導スピーカを用いた音響装置

従来骨伝導スピーカの他に必要であった音圧型スピーカが不要で、1つの骨伝導スピーカを通話用と着信音の出力用とに兼用でき、以て装置を小型・軽量化し得る骨伝導スピーカを用いた音響装置であって、外筐体3内に、骨伝導スピーカを内蔵していて外筐体3内に支持手段4を介して設置されるユニットケース1と、ユニットケース1を外筐体3内において変位させる駆動手段5とを配備し、外筐体3にユニットケース1の頭側部当接面2を露出させる開口を設け、駆動手段5が、ユニットケース1が外筐体3に対し接触状態又は非接触状態となるようにユニットケース1に対して作用するようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨伝導スピーカを用いた音響装置、より詳細には、骨伝導スピーカータイプの携帯電話機等に好適な骨伝導スピーカを用いた音響装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
骨伝導スピーカを通話用スピーカとして搭載する携帯電話機の場合は、騒音下等でも問題なく通話内容を聞き取ることができるので便利であるが、骨伝導スピーカの他に着信音等を出力する通常の音圧型スピーカが必要となる。このように、2種類のスピーカを併用しなければならないことが、装置を小型・軽量化する上で大きな支障となっている。
【特許文献1】特開2003−348208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明は、従来骨伝導スピーカの他に必要であった音圧型スピーカが不要で、1つの骨伝導スピーカを通話用と着信音の出力用とに兼用でき、以て装置を小型・軽量化し得る骨伝導スピーカを用いた音響装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、外筐体内に、骨伝導スピーカを内蔵していて前記外筐体内に支持手段を介して設置されるユニットケースと、前記ユニットケースを前記外筐体内において変位させる駆動手段とを配備し、前記外筐体に前記ユニットケースの頭側部当接面を露出させる開口を設け、前記駆動手段が、前記ユニットケースが前記外筐体に対し接触状態又は非接触状態となるよう作用するようにしたことを特徴とする骨伝導スピーカを用いた音響装置、を以て上記課題を解決した。
【0005】
前記外筐体は、携帯電話機のケースである場合と、携帯電話機との間の通信手段を備えた胸元等へ取り付け可能なアクセサリタイプのケースである場合とがあり、前記通信手段は有線の場合と無線の場合とがある。
好ましくは、前記ユニットケースは、待受け時において常時前記外筐体に接触状態にあるようにされる。
【0006】
前記ユニットケースは凸形状で、その上面が前記当接面として前記外筐体の開口より突出するようにし、前記駆動手段は進退動作をし、その前進時に前記ユニットケースの当接面が前記外筐体の開口から突出するように作用するようにすることができ、また、前記外筐体はマイクロホンを引出し可能にし、その引出し操作に伴って前記駆動手段が連動し、前記ユニットケースを前記外筐体に対し非接触状態にするよう作用させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の骨伝導スピーカを用いた音響装置によれば、待受け時において発呼があると、骨伝導スピーカが動作してそれに接触しているユニットケースを振動させて空気振動音を発生させる。即ち、発呼があると、骨伝導スピーカがバイブレーション機能を発揮すると共に、ユニットケースから着信音が空気振動音として発せられる。このように、本発明によれば、受話音声出力と着信音等の出力を骨伝導スピーカのみで行なうことができ、従来別途必要であった音圧型スピーカが不要となるので、その分装置を小型・軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
[図1]本発明に係る骨伝導スピーカを用いた音響装置の一実施形態の動作を示す図である。
[図2]本発明に係る骨伝導スピーカを用いた音響装置の他の実施形態を示す図である。
[図3]本発明に係る骨伝導スピーカを用いた音響装置の更に他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の好ましい実施の形態を添付図面に依拠して説明する。図1は本発明の基本構成及び動作を示す図で、本発明に係る骨伝導スピーカを用いた音響装置は、外筐体3内に、骨伝導スピーカを内蔵したユニットケース1と、外筐体3内においてユニットケース1を支持する支持手段4と、外筐体3内においてユニットケース1を変位させる駆動手段5とを収納して成る。
【0010】
図示したユニットケース1は、使用時に側頭部に当接させることになる当接面2を上面とした凸形状とされているが、特にこの形状である必要はなく、その他適宜形状となし得る。
【0011】
外筐体3は、携帯電話機自体のケースである場合と、携帯電話機6とは別体であって、送受信手段を備えていて、携帯電話機6と通信可能な状態に接続されるアクセサリタイプのケースである場合(図2参照)とがある。
【0012】
後者の場合、外筐体3は、例えば、ペンダントやブローチのように、チェーン11を付けて胸元に吊下可能にしたり、フックを付けて胸ポケットに取り付け可能にしたりし、且つ、身飾的効果のある外装とすることが好ましい(図2参照)。携帯電話機6と外筐体3との間の通信は、有線であってもよいが、ブルートゥースその他の無線によることが好ましい。また、外筐体3内には更に、マイク部、バッテリー等が適宜組み込まれる。
【0013】
外筐体3には、ユニットケース1に対応する形状の開口7が形成される。この開口7は、ユニットケース1の当接面2を突出状態に露出させるためのものである。ユニットケース1は、その一部、即ち、段部8が、後述する駆動手段5の作用で、待受け時においては開口7の内側端縁部に接触し続け(図1(A))、通話時においてはそこから離れる。
【0014】
支持手段4は外筐体3の内側面に固定されてユニットケース1を可動状態に支持するもので、例えば、プラスチック、ゴム等の弾性と振動吸収性とを併せ持つ素材製のブロック、スプリング等で構成される。支持手段4は、駆動手段5の作用がユニットケース1に及んでいない間、ユニットケース1を外筐体3に対して非接触状態に支持する。
【0015】
駆動手段5は、外筐体3に対して非接触状態にあるユニットケース1を変位させて、接触状態にする役目を果たす。その構成は任意であるが、例えば、外筐体3内に先端に放物線状の押上部9を有する駆動アーム10を進退可能に軸支させ、この駆動アーム10を外筐体3の外側から操作可能にする構成が考えられる。
【0016】
この構成の場合、外筐体3の外側からの操作によって駆動アームを前進させれば、その先端の押上部9がユニットケース1の底部に当たり、これを押上げるよう作用し、ユニットケース1が外筐体3に接触する(図1(A))。なお、その際にユニットケース1が傾いたりしないようにするため、ユニットケース1を支持するガイドを適宜配設する。また、スライドボタンを戻せば、ユニットケース1は、支持手段4の弾性作用によって元に復位し、外筐体3に対して非接触状態となる(図1(B))。
【0017】
図3に示す実施形態は、マイクロホンを内蔵したマイク部12を外筐体3から引出し可能にしたもので、図示したものは、マイク部12の一端部が外筐体3に枢支されていて、回動させることによってマイク部12を引出し可能にしたものである。この場合、例えば、上記の如き駆動アーム10の端部をマイク部12に設けた長孔13に係止させる構成とする。それにより、使用に際してマイク部12の引出し操作を行なうと、駆動アーム10が後退して通話状態となり、また、マイク部12を戻す操作を行なうと、駆動アーム10が前進して待受け状態となるようにすることができる。
【0018】
次に本発明に係る骨伝導スピーカを用いた音響装置の動作について説明する。先ず、携帯電話機に本発明に係る骨伝導スピーカを用いた音響装置を組み込んだ場合(外筐体3が携帯電話機のケースである場合)について説明するに、この場合携帯電話機に着信があると、携帯電話機のスピーカ制御回路は入力された着信報知信号を増幅して骨伝導スピーカを駆動させ、着信を報知する。具体的には、骨伝導スピーカが収められたユニットケース1が振動するが、上述したように、待受け状態では駆動手段5の作用によりユニットケース1が外筐体3に接触しているので(図1(A))、ユニットケース1の振動が外筐体3に伝達され、外筐体3全体が振動する。その結果、空気振動が起こって設定された着信音が拡声される。
【0019】
そして、ユーザーにより押しボタン等による着信応答操作がなされると、回線が接続されるとともに、受信した音声信号がスピーカ制御回路に出力され、骨伝導スピーカが通話用スピーカとして駆動される。ユーザーは、当接面2を耳付近の頭側部に当てて、骨伝導音声を聴取する。
【0020】
その際駆動手段5は、ユーザーの着信応答操作によりユニットケース1から離れるように後退動作し、その結果ユニットケース1が外筐体3と非接触状態になるので(図1(B))、着信音の拡声が停止する。そして、ユーザーにより通話終了操作がなされると、通話を終了して待受け状態へ戻り、駆動手段5の前進動作により、ユニットケース1が再び外筐体3に接触した状態が維持される(図1(A))。
【0021】
なお、着信通報は上述した振動による拡声手段だけでなく、光も併せて報知できるようにしてもよい。また、着信時の拡声音や通話中に聞こえる音声の音量を調節できるように、携帯電話機のボタン操作等で変更できるようにしておいてもよい。
【0022】
上記実施例では、着信を報知した後着信応答操作がなされ、回線が接続されたときに駆動手段5がユニットケース1から離れるように後退動作し、回線が切断されたときに駆動手段5がユニットケース1に作用するよう前進動作するようにしているが、駆動手段5の動作のタイミングは、これに限定されるものではなく、例えば携帯電話機が折畳み式の場合に、ユーザーの開閉動作により駆動手段5が後退、前進動作するようにしてもよい。
【0023】
外筐体3が携帯電話機とは別体のケースの場合も、待受け時には上記同様ユニットケース1が外筐体3に接触した状態にあり、携帯電話機に着信があると、着信報知信号が有線又は無線の通信手段を介して外筐体3内の受信手段に伝送される。これにより骨伝導スピーカが動作してユニットケース1を振動させ、外筐体3を介して着信音が拡声される。
【0024】
そして、ユーザーが外筐体3の駆動手段5を操作することにより、ユニットケース1が外筐体3から離れ、ユーザーは当接面2を頭側部に当てて骨伝導音として聴取する。
【0025】
なお、ユニットケース1を外筐体3に接触したままで、着信音だけでなく、受話音をも空気振動音として聴取することが可能である。その場合は、ハウリング防止のため、マイクロホン回路はオフ状態にする。また、その場合、ハウリング防止回路等を組み込むことにより、スピーカホンのようにしての使用法も可能である。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筐体内に、骨伝導スピーカを内蔵していて前記外筐体内に支持手段を介して設置されるユニットケースと、前記ユニットケースを前記外筐体内において変位させる駆動手段とを配備し、前記外筐体に前記ユニットケースの頭側部当接面を露出させる開口を設け、前記駆動手段が、前記ユニットケースが前記外筐体に対し接触状態又は非接触状態となるよう作用するようにしたことを特徴とする骨伝導スピーカを用いた音響装置。
【請求項2】
前記外筐体は、携帯電話機のケースである請求項1に記載の骨伝導スピーカを用いた音響装置。
【請求項3】
前記外筐体は、携帯電話機との間の通信手段を備えた胸元等へ取り付け可能なアクセサリタイプのケースである請求項1に記載の骨伝導スピーカを用いた音響装置。
【請求項4】
前記通話手段は無線通信である請求項3に記載の骨伝導スピーカを用いた音響装置。
【請求項5】
前記ユニットケースは、待受け時においては常時前記外筐体に接触状態にされる請求項1乃至4のいずれかに記載の骨伝導スピーカを用いた音響装置。
【請求項6】
前記ユニットケースは凸形状で、その上面が前記当接面として前記外筐体の開口より突出する請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の骨伝導スピーカを用いた音響装置。
【請求項7】
前記駆動手段は進退動作をし、その前進時に前記ユニットケースの当接面が前記外筐体の開口から突出するように作用する請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の骨伝導スピーカを用いた音響装置。
【請求項8】
前記外筐体はマイクロホンが引出し可能であり、その引出し操作に伴って前記駆動手段が連動し、前記ユニットケースを前記外筐体に対し非接触状態にする請求項1乃至7のいずれかに記載の骨伝導スピーカを用いた音響装置。
【請求項9】
前記支持手段は、前記外筐体の内面に固定された弾性材である請求項1乃至8のいずれかに記載の骨伝導スピーカを用いた音響装置。

【国際公開番号】WO2005/067339
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【発行日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516824(P2005−516824)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018640
【国際出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(591075892)株式会社テムコジャパン (12)
【Fターム(参考)】