骨形成及び骨硬化促進用組成物
本発明は、骨形成及び骨硬化促進用組成物に関するものである。詳細には、トリポリリン酸塩(tripolyphosphate)と水溶性キトサンの混合物に骨形成及び骨硬化促進物質を添加した骨形成及び骨硬化促進用組成物に関するものである。本発明の組成物は、骨形成及び骨硬化を初期に促進させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、骨形成及び骨硬化促進用組成物に関するものである。詳細には、トリポリリン酸塩(tripolyphosphate)と水溶性キトサンの混合物に骨形成及び骨硬化促進物質を添加した骨形成及び骨硬化促進用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
最近、自動車事故または疾患等により骨欠損が生じる場合がよくあり、それにしたがって骨欠損部分を補完する必要性が高まっている。骨欠損部分を補完するには、骨移植をしたりするが、最近では骨充填剤が多く利用されている。さらに、最近では身長を伸ばしたり矮小した顎を矯正したりするために骨伸延手術が多く行われていて、それにより骨充填剤の要求がさらに大きくなっている。
【0003】
骨伸延手術というのは、ストレッチング(stretching)により骨の長さ方向の成長を誘導するもので「引き延ばす物理的な力は組織学的な発生を刺激する(Tension forces stimulate histogenesis)」という原理に基づくもので初めは足骨の伸長のために考案されたが、最近では顎骨伸長手術に多く採り入れられている。顎骨伸長手術というのは、最近発展した頭蓋顎顔面外科部分中の一つで骨伸長(骨伸延)装置を後退した顎骨部位や中顔容貌後退部位に装着することにより広範囲な切骨を行わずに顔の骨を漸次的に動かして顔の比率を改善させる施術である。
【0004】
骨伸延手術は、イリザロブ(Ilizarov GA,J.Dis.Orthop.Inst.,1988年、第48(1)巻、1頁;Ilizarov GA,Clin.Ortho.,1989年、第239巻、263頁;Ilizarov GA,Clin.Ortho.,1989年、第238巻、249頁)が骨伸延手術に対する生体力学的(biomechanical)因子を糾明した以後に、長骨(long bone)の骨欠損矯正に成功的に利用されてきた。成功的な骨伸延手術を行なうためには、骨伸延部の血液循環を保存して皮質骨の折骨部位両側に外固定器を安定に固定して骨の長さ延長を漸次的に施行して骨硬化を促進させるようにしなければならない(White SH,J.Bone Join Surgery,1990年、第72−B巻、350頁;White SH,Orthop.Clin.North.Amer.,1991年、第22巻、569頁;Fishgrund J.,Paley D.,Sulter D.,Clin.Orthop.,1994年、第301巻、31頁)。
【0005】
骨硬化期間は、顔面骨または長骨のような伸延する骨の部位、血行化状態、患者の年齢により変わり得る。骨伸延後の骨硬化期間は、頭蓋顔面骨では小児が3週〜5週、成人が6週〜12週所要され、長骨では年齢に関係なく3ヵ月〜6ヵ月程度所要される。したがって、頭蓋顔面骨で骨伸延手術を施行する場合、その治療期間は、潜在期、骨伸延期、骨硬化期を含めて総2ヵ月乃至4ヵ月が所要される。このように長い骨硬化期間によりピンによる感染のような合併症の可能性を高めることもあり、日常生活への復帰を遅延させる問題点が提起されてきた。
【0006】
治療期間を短縮させるための骨伸延後の研究報告においてカールス(Charls)とセイラー(Sailer)は、一日に1mm伸延することが2乃至3mm伸延することよりさらに強い生化学的、生理学的特性を示すと報告した(Carls & Sailer,J.Craniomaxillofac Surg.,1994年、第94巻、152頁)。また、イリザロブ(Ilizarov)は、一日に0.5mm伸延することは未成熟骨硬化を起こし、一日に2mm伸延することは伸延した組織に好ましくない変化を惹起するため、一日に1mm伸延することが最も良い結果を得ると報告した(Ilizarov,J.Dis.Orthop.Inst.,1988年、第48(1)巻、1頁;Ilizarov,Clin.Ortho.,1989年、第239巻、263頁)。併せて、連続的に伸延することが組織損傷を最も少なくし、最も多い毛細血管新生と骨形成を惹起すると知られている。したがって、骨伸延期間と骨硬化期間を短縮させることが可能なら長い骨硬化期間による合併症の可能性を防ぐことができ、全体的な治療期間を短縮して患者を早期に日常生活に復帰させられるものと期待される。それで、骨伸延期間と骨硬化期間を短縮するために、骨形成を促進して骨硬化を促進させる充填剤を使用している。
【0007】
一方、自家骨移植、処置された同種骨移植や異種骨移植及び骨移植代替物(bone graft substitute)は、骨形成を刺激するものと知られている。自家骨移植は、骨空洞(bone cavity)や骨欠損を埋めて感染、腫瘍、手術による空隙(void)と損傷をなくしたり関節癒合や不癒合骨折を治癒したりするのに利用される。移植された自家骨が吸収され再血行化がなされると骨前駆細胞(osteoprogenitor cell)が骨形成細胞(bony osteogenesis cell)に分化され前記骨形成細胞の活動が新しい骨再生と骨欠損部治癒を起こす。しかし、自家骨は採取できる量が制限されていて供与部位に対する二次手術が追加され罹患率(morbidity)が高いという短所を持っている。したがって、伸延された部位で骨再生を誘導するために骨形態発生タンパク質(bone morphogenic protein)や他の骨移植代置物等が使用されている。この中で骨形態発生タンパク質が最も強力な骨誘導物質と考えられているが非常に高価で求めにくい短所のため臨床的に使用するには多くの限界があるのが実情である。
【0008】
以上のことを鑑みて、本発明者らは、非常に経済的で生体適合する骨形成及び骨硬化促進用組成物を見つけ出す努力を重ねた結果、トリポリリン酸塩と水溶性キトサンの混合物に骨形成及び骨硬化促進物質を添加して製造される組成物を製造して、前記組成物が早期骨硬化を促進して骨硬化期間を減らすことにより骨生成の治療期間を短縮できることを確認して本発明を完成した。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、骨形成及び骨硬化促進用組成物に関するものである。詳細には、トリポリリン酸塩(tripolyphosphate)と水溶性キトサンの混合物に骨形成及び骨硬化促進物質を添加した骨形成及び骨硬化促進用組成物に関するものである。本発明の骨形成及び骨硬化促進用組成物は新生骨形成と骨硬化を早期に促進させる。
【0010】
発明の詳細な説明
前記目的を達成するために、本発明は、トリポリリン酸塩と水溶性キトサンの混合物に骨形成及び骨硬化促進物質を添加した骨形成及び骨硬化促進用組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、前記組成物を骨形成及び骨硬化を早期に促進させるのに使用する用途を提供する。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、トリポリリン酸塩と水溶性キトサンの混合物に骨形成及び骨硬化促進物質を添加した骨形成及び骨硬化促進用組成物を提供する。
【0013】
本発明の骨形成及び骨硬化促進用組成物は、トリポリリン酸塩と水溶性キトサンの混合物に骨形成及び骨硬化促進物質を添加して製造する。前記で骨形成及び骨硬化促進物質の例として、βig−h3、骨形態発生タンパク質、TGF−β、FGF、IGF−1、PDGF等を挙げているが、必ずしもそれに限定されるものではない。本発明では、好ましい実施態様として骨形成及び骨硬化促進物質にβig−h3及び骨形態発生タンパク質としてBMP−4を使用した場合を例示した。
【0014】
キトサン(chitosan)は、海の甲殻類の外骨格構成物質であるキチン(chitin)の脱アセチル化(deacetylation)により得られる多糖類(polysaccharide)である(Kind,G.M.,Bind,S.D.,Staren,E.D.,Templeton,A.J.and Economou,S.G.,Curr.Surg.,1990年、第47巻、37頁;Hauschks,P.V.,Bone,1990年、第1巻、103頁,London CRC press;Cunningham,N.S.,Paralkar,V.and Reddi,A.H.,Proc.Nat.Acad.Sci.,1982年、第89巻、11740頁;Malette,W.G.,Quigley,H.J.and Adickes,E.D.,Nature and Technology,1986年、435頁:New York Plenum Press)。ムザレリー(Muzarelli)等は、骨欠損部位にキトサンを使用した結果正常骨形成を促進する役割があることを発見した(Muzzarelli,R.A.,Mattioli−Belmonte,M.,Tiets,C.,Biagini,R.,Feioli,G.,Brunelli,M.A.,Fini,M.,Giardino,R.,Ilari,P.and Biagini,G.,Biomaterials,1994年、第15巻、1075頁)、クロッケボルド(Klokkevold)等は、キトサンが骨形成細胞の分化を促進させて骨形成を容易にすると報告した(Klokkevold,P.R.,Vandemark,L.,Kenney,E.B.and Bernard,G.W.,J.Periodontol.,1996年、第67巻、1170頁)。
【0015】
TGF−βは、軟骨細胞と造骨細胞の増殖と分化を刺激するだけではなく、βig−h3は試験管内で様々な骨間質(bone intercellular)タンパク質の生産を増加させて造骨細胞で膠原質(collagen)の分解を減少させることが知られている(Sporn,M.B.,Roberts A.B.,Springer−Verlag,New York:1990年、3頁;Centrella,M.,McCarthy,T.L.and Canalis,E.,J.Bone Join.Surg.,1991年、第73(Am)巻、1418頁;Mustoe,T.A.,Pierce,G.F.,Thomason,A.,Gramates,P.,Sporn,M.B.and Deuel,T.F.,Science,1987年、第237巻、1333頁;Noda,M.and Camilliere,J.J.,Endoclinol.,1989年、第124巻、2991頁;Joyce,M.E.,Jinguski,S.,Roberts,A.B.,Sporn,M.B.and Bolander,M.E.,J.Bone Miner.Res.,1989年、第4巻、225頁;Hock,J.M.,Canalis,E.and Centrella,M.,Endoclinol.,1990年、第126巻、421頁;Beck,L.S.,Ammann,A.J.,Aufdemorte,T.B.,DeGuzman,L.,Xu,Y.,Lee,W.P.,McFatridge,L.A.and Chen,T.L.,J.Bone Miner.Res.,1991年、第6巻、961頁)。成長因子中でTGF−β(transforming growth factor β)は、骨再生と発達に重要な調節因子として台頭してきている。TGF−β1は、強力な骨芽細胞(osteoblast)の化学走化性因子(chemoattractant)で、軟骨内骨化(endochondral ossification)過程で造骨細胞の前駆細胞に分裂効果を有している。βig−h3は、TGF−βにより発現が誘導される細胞付着タンパク質としてインテクリンと作用して細胞の付着及び拡散機能(Jung−Eun Kim,Song−Ja Kim,Byung−Heon Lee,Rang−Woon Park,Ki−San Kim and In−San Kim,J.Biol.Chem.,2000年、第275巻、30907−30915頁)を有していて、創傷治癒効果があると知られている。また、骨形成の初期工程で重要な役割をするものとして知られている(Dieudonne,S.C.,Kerr,J.M.,Xu,T.,Sommer B.,DeRubeis,A.R.,Kuznetsov,S.A.,Kim,I−S.,Robey,P.G.,and Young M.F.,J.Cell.Biochem.,1999年、第76巻、231−243頁)。
【0016】
骨形態発生タンパク質(bone morphogenic protein;以下「BMP」と略称する)は、骨形成物質としてウリスト(Urist)により最初に発見されて以来、該骨形態発生タンパク質は多機能性細胞(pluripotential cell)が軟骨細胞と骨形成細胞に分化されることを促進させ、骨再生において重要な役割をすることが報告された(Urist,M.R.,Science,1965年、第150巻、893頁;Urist,M.R.and Strates,B.S.,J.Dent.Res.,1971年、第50巻、1392頁;Wozney,J.M.,Butterworth Heinermann 1st Ed.London:1994年、397−411頁;Wozney,J.M.,Mol.Reprod.Dev.,1992年、第32巻、160頁;Wozney,J.M.,Rosen,V.and Celeste,A.J.,Science,1988年、第242巻、1528頁;Ono,I.,Tatashita,T.,Takita,H.and Kuboki,Y.,J.Craniofac.Surg.,1996年、第7巻、418頁)。現在まで確認されたヒト骨形態発生タンパク質は13種で、特にヒト骨形態発生タンパク質−4(BMP−4)は、骨再生に卓越した効果があると報告された(Boyne,P.J.,Bone,1996年、第19巻、83s頁;Zegzula,H.D.,Buck,D.C.,Brekke,J.,Wozney,J.M.and Hollinger,J.O.,J.Bone Join.Surg.,1997年、第79巻、1778頁;Sporn,M.B.,Roberts AB(eds.),Springer−Verlag,New York:1990年、3頁)。
【0017】
本発明の組成物においてトリポリリン酸塩は、水溶性キトサンと混合される時、瞬く間に固まってしまうので、水溶性キトサン単独または骨形成及び骨硬化促進物質のβig−h3または骨形態発生タンパク質を含有した水溶性キトサンを添加する時、図2のような二重注射器(dual syringe)を使用し、同一な部位に同時に注射して注射した部位で二種の物質が出会い即時に固まるようにして、注射した物質が他の部位に移動することを防止することが好ましい。
【0018】
本発明のトリポリリン酸塩と水溶性キトサンの混合物に骨形成及び骨硬化促進物質としてβig−h3または骨形態発生タンパク質を添加した骨形成及び骨硬化促進用組成物においてトリポリリン酸塩と水溶性キトサンの比率は20:80乃至80:20重量%であることが好ましく、50:50の同量であることがさらに好ましい。前記で骨形成及び骨硬化促進物質として添加されるβig−h3は、組成物全体に対して100μg/ml乃至1μg/ml添加されることが好ましく、300μg/ml乃至600μg/ml添加されることがさらに好ましい。また、骨形態発生タンパク質の場合には、組成物全体に対して50ng/ml乃至500ng/mlの濃度で添加されることが好ましく、100ng/ml乃至300ng/mlの濃度で添加されることがさらに好ましい。
【0019】
また、本発明は、前記組成物を骨形成及び骨硬化を早期に促進させるのに使用する用途を提供する。
【0020】
本発明者らは、前記組成物を骨形成及び骨硬化を促進させるのに使用できるかどうかを確認するために、犬の下顎で骨伸延手術時に本発明のトリポリリン酸塩に水溶性キトサン、βig−h3を含有した水溶性キトサンまたは、骨形態発生タンパク質を含有した水溶性キトサンを添加した組成物が骨形成及び骨硬化に及ぼす影響を確認した。
【0021】
その結果、骨伸延が終了後4週と7週目に採取した骨標本において、対照群では伸延された部位が堅くなっていたが骨を折り曲げた時、多少流動性があった。トリポリリン酸塩にBMP−4を含有した水溶性キトサンを添加したBMP−4群、βig−h3を含有した水溶性キトサンを添加したβig−h3群及び水溶性キトサンだけを添加したキトサン群では、4週目の骨伸延された部位が7週目の対照群骨標本よりさらに少し堅固で7週目には新生骨の形成によってとても堅固だった。
【0022】
また、骨伸延が終了後4週と7週に実施した放射線検査で、対照群では伸延された下顎骨片間に広い放射線透過区域(radiolucent zone)をおいて両側下顎骨片に接して放射線非透過区域(radiodense zone)がほとんどなく、4週と7週の間に明確な差がなかった。BMP−4群、βig−h3群及びキトサン群では、各群に該当する骨成長物質が注入された下顎骨伸延部位で、時間の経過により進行される石灰化(calcification)が観察できた。骨成長物質を注入した後4週目の放射線所見で、伸延された骨片間の放射線透過区域が両側骨片間に伸びて入った放射線非透過区域でほとんど連結された。7週目には放射線非透過区域の上下厚みは、4週目の厚みより二倍以上になった。特に、BMP−4群で他の群と比べて放射線非透過陰影(radiodense shadow)の密度が濃く、その厚みが厚くなったことが分かった(図4乃至図7参照)。
【0023】
また、骨鉱質密度を測定した結果、骨鉱質密度はすべての群で対照群より高く測定された。その中でもBMP−4群で最も高く現れ、βig−h3群、キトサン群、対照群の順だった。7週目でもBMP−4群で他の群に比べて飛び抜けて高く現れ、βig−h3群、キトサン群、対照群の順だった。骨鉱質密度は、放射線像に現れた下顎骨骨片間の伸延された部位での放射線非透過程度、即ち、明るさ程度を反映するもので高く測定されるほど新生骨形成が多いことを意味する(図8参照)。
【0024】
組織学的検査の結果、対照群では4週目に骨伸延された部位全般が繊維化組織で満たされていて、下顎骨の断面に接して骨膜反応による新生骨形成が始まったが、全般的には新生骨形成の所見はなかった(図9A参照)。7週目組織所見で伸延された部位の端の部分に新生骨及び軟骨形成所見が見られ、所々に血管と神経組織等が観察された(図9B及び図9C参照)。
【0025】
BMP−4群では、4週目に伸延された骨片の端の部分と中央部で類骨(osteoid)を形成する造骨細胞(osteoblast)の増殖が部分的に観察されたが、伸延された部位の多くの部分は繊維化組織で満たされていた(図10A及び図10C参照)。7週目には、伸延された部位に部分的に石灰化がなされた不規則な模様の交織骨肉柱(woven bone trabeculae)と多様な大きさの血管等が内在した広い新生骨部位とその中心に上下に位置した狭い繊維帯(fibrous interzone)が観察された。伸延された部位全般にわたって形成された新生骨は正常皮質骨に近かった(図10B及び図10D参照)。
【0026】
βig−h3群では、4週目の組織所見では類骨を形成する造骨細胞が伸延された部位の中央部に部分的に観察された(図11A参照)。7週目には、多くの活動的な造骨細胞が伸延された部位の端の部分から中央部まで部分的に新生骨を形成した。その量は、BMP−4群より少なく、伸延された部位中央部上下に位置した繊維帯はBMP−4群より広かった(図11B及び図11C参照)。
【0027】
キトサン群では、4週目の組織所見では伸延された部位の大部分が繊維化組織で満たされていた(図12A参照)。7週目には新生骨と共に多くの造骨細胞が伸延された部位の端の部分で観察され、伸延された部位の中央部まで部分的に新生骨を形成した(図12B及び図12C参照)。伸延された部位での新生骨量は、βig−h3群やBMP−4群より少なく、繊維帯はβig−h3群より広かった。
【0028】
結論的に、本発明のトリポリリン酸塩に水溶性キトサン、βig−h3を含有した水溶性キトサン、またはBMP−4を含有した水溶性キトサンを添加した組成物は、新生骨形成と骨硬化を早期に促進させて骨硬化期間を短縮させるので、非常に経済的で生体適合した骨形成及び骨硬化促進用組成物として有用に使用できる。
【0029】
実施例
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
但し、下記の実施例は本発明を例示するだけのものであり、本発明の内容が下記の実施例の内容によって限定されるものではない。
【0030】
実施例1:組成物の製造
本発明者らは、トリポリリン酸塩に骨形成及び骨硬化促進物質を添加した骨形成及び骨硬化促進用組成物を製造した。詳細には、5%のトリポリリン酸塩0.5mlに5%キトサン0.5mlを添加した組成物を製造して、それを「キトサン群」と命名した。
【0031】
実施例2:組成物の製造
本発明者らは、前記実施例1と同一な方法で5%のトリポリリン酸塩0.5mlに450μg/ml濃度のβig−h3を含有した水溶性キトサン0.5mlを添加した組成物を製造して、それを「βig−h3群」と命名した。
【0032】
実施例3:組成物の製造
本発明者らは、前記実施例1と同一な方法で5%のトリポリリン酸塩0.5mlに200ng/ml濃度のBMP−4を含有した水溶性キトサン0.5mlを添加した組成物を製造して、それを「BMP−4群」と命名した。
【0033】
実験例1:本発明の組成物が骨形成及び骨硬化に及ぼす影響の測定
本発明者らは、前記実施例1乃至実施例3で製造した本発明の骨形成及び骨硬化促進用組成物が新生骨形成と骨硬化を早期に促進させるかどうか確認するために、犬の下顎骨に骨伸延手術を施行した後、本発明の骨形成及び骨硬化促進用組成物を注射して変化を観察した。
【0034】
詳細には、生後5〜8ヵ月の16匹の犬を実験動物に使用した。対照群、キトサン群、βig−h3群及びBMP−4群に分類して各群毎に4匹ずつ実験に使用した。
【0035】
実験用の犬は、全身麻酔後気管内挿管で呼吸を維持した。手術部位は削毛した後、基本的な消毒と塗布を実施した。下顎骨の下端部に沿って3〜4cmの皮膚切開を加えた後、咬筋(masseter muscle)を持ち上げて下顎骨の外側面を露出させた。電気ノコギリで下顎骨体部に垂直に切骨手術を施行して下顎骨を完全切断した。外固定装置に固定するピンは、切骨された部位から左右に1cmの地点の骨片に各々固定した。ピンを下顎骨骨片にドリルで固定時、生理食塩水で洗浄しながら固定してピン固定部位の骨が焦げないようにした。ここで、ピンは下顎骨をやっと貫通する程度打ち込みしっかりと固定した。2匹の犬のピンを固定した後、骨延長器具(Molina Distractors,Wells Johnson Company)に装着した(図1)。
【0036】
5−0ビクリル(vicryl)と5−0ナイロン(nylon)縫合糸で切開部位を幾重にも縫合して実験動物を麻酔から回復させた。手術後、7日間ペニシリン抗生剤(100,000μ/kg)を12時間毎に筋肉注射し、痛みを緩和するために鎮痛剤を4〜6時間間隔で経口投与した。手術直後から2日目までは軟質食餌(soft diet)を与え、3日目から一般食餌(regular diet)に替えた。手術後5日目から一日に2mmずつ、総10mmになるように5日間伸延した。
【0037】
各群は、骨伸延が終わる日に各群別に伸延された部位に凝固剤として0.5mlの5%トリポリリン酸塩(tripolyphosphate,TPP)と同量の5%水溶性キトサン、BMP−4(200ng/ml)(R&D System Inc.)を含有した5%水溶性キトサン、βig−h3(450 μg/ml)を含有した5%水溶性キトサンを各々同量を二重注射器(dual syringe)(図2)を使用して同一部位に同時に注射して伸延された部位内で二種物質が出会って即時に固まり注射した物質が他の部位に移動することを防止すると同時に骨形成時に骨台になるようにした。対照群には、5%トリポリリン酸塩だけを1ml注射した。
【0038】
本発明の骨形成及び骨硬化促進用組成物の注入が終わった後、骨硬化と骨再生のために骨伸延装置を7週間維持した。各群毎に2匹ずつ全体8匹を骨伸延が終わった後4週目、残りの8匹は7週目にペントバルビタール(pentobarbital)を過用量(40〜50mg/kg)注射して犠牲にした。(図3)。
【0039】
<1−1>肉眼観察
前記の実験を実施した後、肉眼で変化を観察した結果、すべての犬は麻酔及び手術から回復し、骨伸延装置はよく維持され装置周囲に明白な感染の症状はなかった。骨伸延が終わった後4週と7週目に採取した骨標本において、対照群では伸延された部位が堅かったが骨を折り曲げた時多少流動性があった。BMP−4群、βig−h3群及びキトサン群では、4週目の骨伸延された部位が7週目の対照群の骨標本よりもう少し堅固で、7週目には新生骨の形成によりとても堅固だった。
【0040】
<1−2>放射線検査
前記で骨伸延が施行された各群の実験動物に毎週放射線検査を実施し、4週と7週目に得られた放射線写真を基礎にして骨生成及び骨硬化程度を観察した。
【0041】
その結果、示されたように、骨伸延が終わった後4週と7週に実施した放射線検査において、対照群では伸延された下顎骨片間に広い放射線透過区域をおき、両側下顎骨片に接した放射線非透過区域がほとんどなく、4週と7週の間には明白な差がなかった。BMP−4群、βig−h3群及びキトサン群では、各群に該当した骨成長物質が注入された下顎骨伸延部位で時間の経過により進行される石灰化(calcification)が観察できた。骨成長物質を注入した後4週目の放射線所見で伸延された骨片間の放射線透過区域が両側骨片間に伸びて入り放射線非透過区域にほとんど連結され、7週目には放射線非透過区域の上下厚みは、4週目の厚みより二倍以上になった。特に、BMP−4群で他の群に比べて放射線非透過陰影(radiodense shadow)の密度が濃くその厚みが厚かった。
【0042】
<1−3>骨鉱質密度(bone mineral density)の測定
前記実施例<1−2>の7週目から得られた放射線写真(図4B、図5B、図6B及び図7B参照)を基礎にして放射線写真像から骨形成が進行するほど放射線非透過区域(radiodense zone)が広く現れることを利用し、コンピュータープログラムで骨鉱質密度(bone mineral density)を測定した。
【0043】
その結果、4週目に骨鉱質密度はすべての群で対照群より高く測定された。その中でもBMP−4群で最も高く現れ、βig−h3群、キトサン群、対照群の順だった(図8A)。7週目にもBMP−4群で他の群に比べて飛び抜けて高く現れ、β−igh3群、キトサン群、対照群の順だった(図8B)。骨鉱質密度は、放射線像に現れた下顎骨骨片間に伸延された部位での放射線非透過程度、即ち、明るさ程度を反映するものであるため高く測定されるほど新生骨形成が多いということを意味するので、本発明の骨形成及び骨硬化促進用組成物を添加した群で対照群より新生骨形成がさらに早く起きていることが分かった。
【0044】
<1−4>組織学的検査
前記で骨伸延手術が終わった実験動物の組織学的検査のために電気ノコを使用して伸延された下顎骨部位とその周囲の正常骨組織を含んで骨標本を採取した。採取された骨片を10%中性ホルマリンに1週間固定した後、2日間10%硝酸と10%クエン酸ナトリウムに脱灰(decalcification)した後、通常の方法にしたがって脱水及びパラフィン固定を経て4〜6μmの標本を製作した。前記標本をヘマトキシリン−エオジン(hematoxylin−eosin)で染色して光学顕微鏡で組織学的観察をした。
【0045】
その結果、対照群では4週目に骨伸延された部位全般に繊維化組織で満たされていて下顎骨の断面に接して骨膜反応による新生骨形成が始まったが、全般的には新生骨形成の所見はなかった(図9A)。7週目組織所見で伸延された部位の端の部分に新生骨及び軟骨形成所見が見られ、所々に血管と神経組織等が観察された(図9B及び図9C)。
【0046】
BMP−4群では、4週目に伸延された骨片の端の部分と中央部で類骨(osteoid)を形成する造骨細胞(osteoblast)の増殖が部分的に観察されたが、伸延された部位の多くの部分は繊維化組織で満たされていた(図10A及び図10C)。7週目には伸延された部位に部分的に石灰化が起きた不規則な模様の交織骨肉柱(woven bone trabeculae)と多様な大きさの血管が内在した広い新生骨部位とその中心上下に位置している狭い繊維帯(fibrous interzone)が観察された。伸延された部位全般にわたって形成された新生骨は、正常皮質骨に近かった(図10B及び図10D)。
【0047】
βig−h3群では、4週目の組織所見には類骨を形成する造骨細胞が伸延された部位の中央部に部分的に観察された(図11A)。7週目には多くの活動的な造骨細胞が伸延された部位の端の部分から中央部まで部分的に新生骨を形成し、その量はBMP−4群より少なく、伸延された部位中央部で上下に位置した繊維帯はBMP−4群より広かった(図11B及び図11C)。
【0048】
キトサン群では、4週目の組織所見では伸延された部位の大部分が繊維化組織で満たされていた(図12A)。7週目には新生骨と共に多くの造骨細胞が伸延された部位の端の部分で観察され、伸延された部位の中央部まで部分的に新生骨を形成した。伸延された部位での新生骨量は、βig−h3群やBMP−4群より少なく、繊維帯はβig−h3群よりも広かった(図12B及び図12C)。
【0049】
前記の結果から、本発明の骨形成及び骨硬化促進用組成物を添加したBMP−4群、βig−h3群及びキトサン群では、骨伸延された部位に新生骨が4週目に一部生成され、7週目には相当に多くの量が生成された。新生骨の量は、BMP−4群で最も多く、その次はβig−h3群、キトサン群の順だった。すべての群で7週目に伸延された部位の中央に繊維帯が観察された。BMP−4群で繊維帯の幅が最も狭く、βig−h3群、キトサン群の順で幅が広く、対照群では伸延された部位の大部分を占めた。7週目にも繊維帯が残っているということは、新生骨の形成が進行中であることを示している。
【0050】
産業上の利用可能性
前記で詳しく見てきたように、本発明のトリポリリン酸塩と水溶性キトサンの混合物に骨形成及び骨硬化促進物質を添加した組成物は、新生骨形成を誘導して正常骨構造を提供して好ましくない結合組織の成長を防ぎ、骨治癒時の防御膜の役割を行なうだけではなく、治癒過程で骨に代置されるため、生体に適合して血管成長と骨形成細胞の成長を早期に誘導するので骨形成及び骨硬化促進用組成物として有用に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明のキトサン、βig−h3、ヒト骨形態発生タンパク質(BMP−4)を使用した骨伸延手術を施行するために犬の左側顎部分に垂直切骨手術が行われたことを示した図である。
【図2】本発明の水溶性キトサン、βig−h3を含有した水溶性キトサン、ヒト骨形態発生タンパク質(BMP−4)を含有した水溶性キトサンと5%トリポリリン酸塩を入れた二重注射器を示した図で、A:0.5ccの骨成長物質である水溶性キトサン単独、βig−h3を含有した水溶性キトサン、またはBMP−4を含有した水溶性キトサン。B:0.5ccの5%トリポリリン酸塩。
【図3】骨伸延をしてから7週間が経過後、犬を殺す直前の状態を示した図である。
【図4A】本発明でトリポリリン酸塩だけ注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延した対照群で骨伸延手術後4週が経過した後の骨硬化程度を放射線検査で測定した図である。
【図4B】本発明でトリポリリン酸塩だけ注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延した対照群で骨伸延手術後7週が経過した後、骨硬化程度を放射線検査で測定した図である。
【図5A】本発明のキトサン(chitosan)とトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したキトサン群で骨伸延手術後4週が経過した後、骨硬化程度を放射線検査で測定した図である。
【図5B】本発明のキトサン(chitosan)とトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したキトサン群で骨伸延手術後7週が経過した後、骨硬化程度を放射線検査で測定した図である。
【図6A】本発明のβig−h3を含有した水溶性キトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したβig−h3群で骨伸延手術後4週が経過した後、骨硬化程度を放射線検査で測定した図である。
【図6B】本発明のβig−h3を含有した水溶性キトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したβig−h3群で骨伸延手術後7週が経過した後、骨硬化程度を放射線検査で測定した図である。
【図7A】本発明のBMP−4を含有した水溶性キトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したBMP−4群で骨伸延手術後4週が経過した後、骨硬化程度を放射線検査で測定した図である。
【図7B】本発明のBMP−4を含有した水溶性キトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したBMP−4群で骨伸延手術後7週が経過した後、骨硬化程度を放射線検査で測定した図である。
【図8A】本発明のキトサン、βig−h3を含有した水溶性キトサン、BMP−4を含有した水溶性キトサンを注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延した各群で骨伸延手術後4週が経過した後、骨の鉱質濃度(mineral density)を示したグラフである。
【図8B】本発明のキトサン、βig−h3を含有した水溶性キトサン、BMP−4を含有した水溶性キトサンを注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延した各群で骨伸延手術後7週が経過した後、骨の鉱質濃度(mineral density)を示したグラフである。
【図9A】本発明でトリポリリン酸塩だけ注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延した対照群の骨伸延手術4週後の組織学的な断面を示した図である。矢印:最初切断部位。
【図9B】本発明でトリポリリン酸塩だけ注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延した対照群の骨伸延手術7週後の組織学的な断面を示した図である。矢印:最初切断部位。
【図9C】本発明でトリポリリン酸塩だけ注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延した対照群の骨伸延手術部位の端部分で新しい骨が形成されていることをヘマトキシリン&エオジン染色で確認した図である。A:繊維化組織。B:造骨細胞。
【図10A】本発明のBMP−4を含有した水溶性キトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したBMP−4群の骨伸延手術4週後の組織学的な断面を示した図である。矢印:最初切断部位。
【図10B】本発明のBMP−4を含有した水溶性キトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したBMP−4群の骨伸延手術7週後の組織学的な断面を示した図である。矢印:最初切断部位。
【図10C】図10Aの組織学的な断面をヘマトキシリン&エオジンで染色して、伸延された部位の中央が造骨細胞と繊維化組織で満たされていることを確認した図である。
【図10D】図10Bの組織学的な断面をヘマトキシリン&エオジンで染色して、伸延された部位の中央が造骨細胞と繊維化組織で満たされていることを確認した図である。
【図11A】本発明のβig−h3を含有した水溶性キトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したβig−h3群で骨伸延手術4週後の組織学的な断面を示した図である。矢印:最初切断部位。
【図11B】本発明のβig−h3を含有した水溶性キトサンとトリポリリン酸塩が注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したβig−h3群で骨伸延手術7週後の組織学的な断面を示した図である。矢印:最初切断部位。
【図11C】図11Bの組織学的な断面をヘマトキシリン&エオジンで染色して、伸延された部位全般にわたって新生骨が形成されていることを確認した図である。
【図12A】本発明のキトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したキトサン群で骨伸延手術4週後の組織学的な断面を示した図である。矢印:最初切断部位。
【図12B】本発明のキトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したキトサン群で骨伸延手術7週後の組織学的な断面を示した図である。矢印:最初切断部位。
【図12C】図12Aの組織学的な断面をヘマトキシリン&エオジンで染色して、伸延された部位全般にわたって新生骨が形成されていることを確認した図である。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、骨形成及び骨硬化促進用組成物に関するものである。詳細には、トリポリリン酸塩(tripolyphosphate)と水溶性キトサンの混合物に骨形成及び骨硬化促進物質を添加した骨形成及び骨硬化促進用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
最近、自動車事故または疾患等により骨欠損が生じる場合がよくあり、それにしたがって骨欠損部分を補完する必要性が高まっている。骨欠損部分を補完するには、骨移植をしたりするが、最近では骨充填剤が多く利用されている。さらに、最近では身長を伸ばしたり矮小した顎を矯正したりするために骨伸延手術が多く行われていて、それにより骨充填剤の要求がさらに大きくなっている。
【0003】
骨伸延手術というのは、ストレッチング(stretching)により骨の長さ方向の成長を誘導するもので「引き延ばす物理的な力は組織学的な発生を刺激する(Tension forces stimulate histogenesis)」という原理に基づくもので初めは足骨の伸長のために考案されたが、最近では顎骨伸長手術に多く採り入れられている。顎骨伸長手術というのは、最近発展した頭蓋顎顔面外科部分中の一つで骨伸長(骨伸延)装置を後退した顎骨部位や中顔容貌後退部位に装着することにより広範囲な切骨を行わずに顔の骨を漸次的に動かして顔の比率を改善させる施術である。
【0004】
骨伸延手術は、イリザロブ(Ilizarov GA,J.Dis.Orthop.Inst.,1988年、第48(1)巻、1頁;Ilizarov GA,Clin.Ortho.,1989年、第239巻、263頁;Ilizarov GA,Clin.Ortho.,1989年、第238巻、249頁)が骨伸延手術に対する生体力学的(biomechanical)因子を糾明した以後に、長骨(long bone)の骨欠損矯正に成功的に利用されてきた。成功的な骨伸延手術を行なうためには、骨伸延部の血液循環を保存して皮質骨の折骨部位両側に外固定器を安定に固定して骨の長さ延長を漸次的に施行して骨硬化を促進させるようにしなければならない(White SH,J.Bone Join Surgery,1990年、第72−B巻、350頁;White SH,Orthop.Clin.North.Amer.,1991年、第22巻、569頁;Fishgrund J.,Paley D.,Sulter D.,Clin.Orthop.,1994年、第301巻、31頁)。
【0005】
骨硬化期間は、顔面骨または長骨のような伸延する骨の部位、血行化状態、患者の年齢により変わり得る。骨伸延後の骨硬化期間は、頭蓋顔面骨では小児が3週〜5週、成人が6週〜12週所要され、長骨では年齢に関係なく3ヵ月〜6ヵ月程度所要される。したがって、頭蓋顔面骨で骨伸延手術を施行する場合、その治療期間は、潜在期、骨伸延期、骨硬化期を含めて総2ヵ月乃至4ヵ月が所要される。このように長い骨硬化期間によりピンによる感染のような合併症の可能性を高めることもあり、日常生活への復帰を遅延させる問題点が提起されてきた。
【0006】
治療期間を短縮させるための骨伸延後の研究報告においてカールス(Charls)とセイラー(Sailer)は、一日に1mm伸延することが2乃至3mm伸延することよりさらに強い生化学的、生理学的特性を示すと報告した(Carls & Sailer,J.Craniomaxillofac Surg.,1994年、第94巻、152頁)。また、イリザロブ(Ilizarov)は、一日に0.5mm伸延することは未成熟骨硬化を起こし、一日に2mm伸延することは伸延した組織に好ましくない変化を惹起するため、一日に1mm伸延することが最も良い結果を得ると報告した(Ilizarov,J.Dis.Orthop.Inst.,1988年、第48(1)巻、1頁;Ilizarov,Clin.Ortho.,1989年、第239巻、263頁)。併せて、連続的に伸延することが組織損傷を最も少なくし、最も多い毛細血管新生と骨形成を惹起すると知られている。したがって、骨伸延期間と骨硬化期間を短縮させることが可能なら長い骨硬化期間による合併症の可能性を防ぐことができ、全体的な治療期間を短縮して患者を早期に日常生活に復帰させられるものと期待される。それで、骨伸延期間と骨硬化期間を短縮するために、骨形成を促進して骨硬化を促進させる充填剤を使用している。
【0007】
一方、自家骨移植、処置された同種骨移植や異種骨移植及び骨移植代替物(bone graft substitute)は、骨形成を刺激するものと知られている。自家骨移植は、骨空洞(bone cavity)や骨欠損を埋めて感染、腫瘍、手術による空隙(void)と損傷をなくしたり関節癒合や不癒合骨折を治癒したりするのに利用される。移植された自家骨が吸収され再血行化がなされると骨前駆細胞(osteoprogenitor cell)が骨形成細胞(bony osteogenesis cell)に分化され前記骨形成細胞の活動が新しい骨再生と骨欠損部治癒を起こす。しかし、自家骨は採取できる量が制限されていて供与部位に対する二次手術が追加され罹患率(morbidity)が高いという短所を持っている。したがって、伸延された部位で骨再生を誘導するために骨形態発生タンパク質(bone morphogenic protein)や他の骨移植代置物等が使用されている。この中で骨形態発生タンパク質が最も強力な骨誘導物質と考えられているが非常に高価で求めにくい短所のため臨床的に使用するには多くの限界があるのが実情である。
【0008】
以上のことを鑑みて、本発明者らは、非常に経済的で生体適合する骨形成及び骨硬化促進用組成物を見つけ出す努力を重ねた結果、トリポリリン酸塩と水溶性キトサンの混合物に骨形成及び骨硬化促進物質を添加して製造される組成物を製造して、前記組成物が早期骨硬化を促進して骨硬化期間を減らすことにより骨生成の治療期間を短縮できることを確認して本発明を完成した。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、骨形成及び骨硬化促進用組成物に関するものである。詳細には、トリポリリン酸塩(tripolyphosphate)と水溶性キトサンの混合物に骨形成及び骨硬化促進物質を添加した骨形成及び骨硬化促進用組成物に関するものである。本発明の骨形成及び骨硬化促進用組成物は新生骨形成と骨硬化を早期に促進させる。
【0010】
発明の詳細な説明
前記目的を達成するために、本発明は、トリポリリン酸塩と水溶性キトサンの混合物に骨形成及び骨硬化促進物質を添加した骨形成及び骨硬化促進用組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、前記組成物を骨形成及び骨硬化を早期に促進させるのに使用する用途を提供する。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、トリポリリン酸塩と水溶性キトサンの混合物に骨形成及び骨硬化促進物質を添加した骨形成及び骨硬化促進用組成物を提供する。
【0013】
本発明の骨形成及び骨硬化促進用組成物は、トリポリリン酸塩と水溶性キトサンの混合物に骨形成及び骨硬化促進物質を添加して製造する。前記で骨形成及び骨硬化促進物質の例として、βig−h3、骨形態発生タンパク質、TGF−β、FGF、IGF−1、PDGF等を挙げているが、必ずしもそれに限定されるものではない。本発明では、好ましい実施態様として骨形成及び骨硬化促進物質にβig−h3及び骨形態発生タンパク質としてBMP−4を使用した場合を例示した。
【0014】
キトサン(chitosan)は、海の甲殻類の外骨格構成物質であるキチン(chitin)の脱アセチル化(deacetylation)により得られる多糖類(polysaccharide)である(Kind,G.M.,Bind,S.D.,Staren,E.D.,Templeton,A.J.and Economou,S.G.,Curr.Surg.,1990年、第47巻、37頁;Hauschks,P.V.,Bone,1990年、第1巻、103頁,London CRC press;Cunningham,N.S.,Paralkar,V.and Reddi,A.H.,Proc.Nat.Acad.Sci.,1982年、第89巻、11740頁;Malette,W.G.,Quigley,H.J.and Adickes,E.D.,Nature and Technology,1986年、435頁:New York Plenum Press)。ムザレリー(Muzarelli)等は、骨欠損部位にキトサンを使用した結果正常骨形成を促進する役割があることを発見した(Muzzarelli,R.A.,Mattioli−Belmonte,M.,Tiets,C.,Biagini,R.,Feioli,G.,Brunelli,M.A.,Fini,M.,Giardino,R.,Ilari,P.and Biagini,G.,Biomaterials,1994年、第15巻、1075頁)、クロッケボルド(Klokkevold)等は、キトサンが骨形成細胞の分化を促進させて骨形成を容易にすると報告した(Klokkevold,P.R.,Vandemark,L.,Kenney,E.B.and Bernard,G.W.,J.Periodontol.,1996年、第67巻、1170頁)。
【0015】
TGF−βは、軟骨細胞と造骨細胞の増殖と分化を刺激するだけではなく、βig−h3は試験管内で様々な骨間質(bone intercellular)タンパク質の生産を増加させて造骨細胞で膠原質(collagen)の分解を減少させることが知られている(Sporn,M.B.,Roberts A.B.,Springer−Verlag,New York:1990年、3頁;Centrella,M.,McCarthy,T.L.and Canalis,E.,J.Bone Join.Surg.,1991年、第73(Am)巻、1418頁;Mustoe,T.A.,Pierce,G.F.,Thomason,A.,Gramates,P.,Sporn,M.B.and Deuel,T.F.,Science,1987年、第237巻、1333頁;Noda,M.and Camilliere,J.J.,Endoclinol.,1989年、第124巻、2991頁;Joyce,M.E.,Jinguski,S.,Roberts,A.B.,Sporn,M.B.and Bolander,M.E.,J.Bone Miner.Res.,1989年、第4巻、225頁;Hock,J.M.,Canalis,E.and Centrella,M.,Endoclinol.,1990年、第126巻、421頁;Beck,L.S.,Ammann,A.J.,Aufdemorte,T.B.,DeGuzman,L.,Xu,Y.,Lee,W.P.,McFatridge,L.A.and Chen,T.L.,J.Bone Miner.Res.,1991年、第6巻、961頁)。成長因子中でTGF−β(transforming growth factor β)は、骨再生と発達に重要な調節因子として台頭してきている。TGF−β1は、強力な骨芽細胞(osteoblast)の化学走化性因子(chemoattractant)で、軟骨内骨化(endochondral ossification)過程で造骨細胞の前駆細胞に分裂効果を有している。βig−h3は、TGF−βにより発現が誘導される細胞付着タンパク質としてインテクリンと作用して細胞の付着及び拡散機能(Jung−Eun Kim,Song−Ja Kim,Byung−Heon Lee,Rang−Woon Park,Ki−San Kim and In−San Kim,J.Biol.Chem.,2000年、第275巻、30907−30915頁)を有していて、創傷治癒効果があると知られている。また、骨形成の初期工程で重要な役割をするものとして知られている(Dieudonne,S.C.,Kerr,J.M.,Xu,T.,Sommer B.,DeRubeis,A.R.,Kuznetsov,S.A.,Kim,I−S.,Robey,P.G.,and Young M.F.,J.Cell.Biochem.,1999年、第76巻、231−243頁)。
【0016】
骨形態発生タンパク質(bone morphogenic protein;以下「BMP」と略称する)は、骨形成物質としてウリスト(Urist)により最初に発見されて以来、該骨形態発生タンパク質は多機能性細胞(pluripotential cell)が軟骨細胞と骨形成細胞に分化されることを促進させ、骨再生において重要な役割をすることが報告された(Urist,M.R.,Science,1965年、第150巻、893頁;Urist,M.R.and Strates,B.S.,J.Dent.Res.,1971年、第50巻、1392頁;Wozney,J.M.,Butterworth Heinermann 1st Ed.London:1994年、397−411頁;Wozney,J.M.,Mol.Reprod.Dev.,1992年、第32巻、160頁;Wozney,J.M.,Rosen,V.and Celeste,A.J.,Science,1988年、第242巻、1528頁;Ono,I.,Tatashita,T.,Takita,H.and Kuboki,Y.,J.Craniofac.Surg.,1996年、第7巻、418頁)。現在まで確認されたヒト骨形態発生タンパク質は13種で、特にヒト骨形態発生タンパク質−4(BMP−4)は、骨再生に卓越した効果があると報告された(Boyne,P.J.,Bone,1996年、第19巻、83s頁;Zegzula,H.D.,Buck,D.C.,Brekke,J.,Wozney,J.M.and Hollinger,J.O.,J.Bone Join.Surg.,1997年、第79巻、1778頁;Sporn,M.B.,Roberts AB(eds.),Springer−Verlag,New York:1990年、3頁)。
【0017】
本発明の組成物においてトリポリリン酸塩は、水溶性キトサンと混合される時、瞬く間に固まってしまうので、水溶性キトサン単独または骨形成及び骨硬化促進物質のβig−h3または骨形態発生タンパク質を含有した水溶性キトサンを添加する時、図2のような二重注射器(dual syringe)を使用し、同一な部位に同時に注射して注射した部位で二種の物質が出会い即時に固まるようにして、注射した物質が他の部位に移動することを防止することが好ましい。
【0018】
本発明のトリポリリン酸塩と水溶性キトサンの混合物に骨形成及び骨硬化促進物質としてβig−h3または骨形態発生タンパク質を添加した骨形成及び骨硬化促進用組成物においてトリポリリン酸塩と水溶性キトサンの比率は20:80乃至80:20重量%であることが好ましく、50:50の同量であることがさらに好ましい。前記で骨形成及び骨硬化促進物質として添加されるβig−h3は、組成物全体に対して100μg/ml乃至1μg/ml添加されることが好ましく、300μg/ml乃至600μg/ml添加されることがさらに好ましい。また、骨形態発生タンパク質の場合には、組成物全体に対して50ng/ml乃至500ng/mlの濃度で添加されることが好ましく、100ng/ml乃至300ng/mlの濃度で添加されることがさらに好ましい。
【0019】
また、本発明は、前記組成物を骨形成及び骨硬化を早期に促進させるのに使用する用途を提供する。
【0020】
本発明者らは、前記組成物を骨形成及び骨硬化を促進させるのに使用できるかどうかを確認するために、犬の下顎で骨伸延手術時に本発明のトリポリリン酸塩に水溶性キトサン、βig−h3を含有した水溶性キトサンまたは、骨形態発生タンパク質を含有した水溶性キトサンを添加した組成物が骨形成及び骨硬化に及ぼす影響を確認した。
【0021】
その結果、骨伸延が終了後4週と7週目に採取した骨標本において、対照群では伸延された部位が堅くなっていたが骨を折り曲げた時、多少流動性があった。トリポリリン酸塩にBMP−4を含有した水溶性キトサンを添加したBMP−4群、βig−h3を含有した水溶性キトサンを添加したβig−h3群及び水溶性キトサンだけを添加したキトサン群では、4週目の骨伸延された部位が7週目の対照群骨標本よりさらに少し堅固で7週目には新生骨の形成によってとても堅固だった。
【0022】
また、骨伸延が終了後4週と7週に実施した放射線検査で、対照群では伸延された下顎骨片間に広い放射線透過区域(radiolucent zone)をおいて両側下顎骨片に接して放射線非透過区域(radiodense zone)がほとんどなく、4週と7週の間に明確な差がなかった。BMP−4群、βig−h3群及びキトサン群では、各群に該当する骨成長物質が注入された下顎骨伸延部位で、時間の経過により進行される石灰化(calcification)が観察できた。骨成長物質を注入した後4週目の放射線所見で、伸延された骨片間の放射線透過区域が両側骨片間に伸びて入った放射線非透過区域でほとんど連結された。7週目には放射線非透過区域の上下厚みは、4週目の厚みより二倍以上になった。特に、BMP−4群で他の群と比べて放射線非透過陰影(radiodense shadow)の密度が濃く、その厚みが厚くなったことが分かった(図4乃至図7参照)。
【0023】
また、骨鉱質密度を測定した結果、骨鉱質密度はすべての群で対照群より高く測定された。その中でもBMP−4群で最も高く現れ、βig−h3群、キトサン群、対照群の順だった。7週目でもBMP−4群で他の群に比べて飛び抜けて高く現れ、βig−h3群、キトサン群、対照群の順だった。骨鉱質密度は、放射線像に現れた下顎骨骨片間の伸延された部位での放射線非透過程度、即ち、明るさ程度を反映するもので高く測定されるほど新生骨形成が多いことを意味する(図8参照)。
【0024】
組織学的検査の結果、対照群では4週目に骨伸延された部位全般が繊維化組織で満たされていて、下顎骨の断面に接して骨膜反応による新生骨形成が始まったが、全般的には新生骨形成の所見はなかった(図9A参照)。7週目組織所見で伸延された部位の端の部分に新生骨及び軟骨形成所見が見られ、所々に血管と神経組織等が観察された(図9B及び図9C参照)。
【0025】
BMP−4群では、4週目に伸延された骨片の端の部分と中央部で類骨(osteoid)を形成する造骨細胞(osteoblast)の増殖が部分的に観察されたが、伸延された部位の多くの部分は繊維化組織で満たされていた(図10A及び図10C参照)。7週目には、伸延された部位に部分的に石灰化がなされた不規則な模様の交織骨肉柱(woven bone trabeculae)と多様な大きさの血管等が内在した広い新生骨部位とその中心に上下に位置した狭い繊維帯(fibrous interzone)が観察された。伸延された部位全般にわたって形成された新生骨は正常皮質骨に近かった(図10B及び図10D参照)。
【0026】
βig−h3群では、4週目の組織所見では類骨を形成する造骨細胞が伸延された部位の中央部に部分的に観察された(図11A参照)。7週目には、多くの活動的な造骨細胞が伸延された部位の端の部分から中央部まで部分的に新生骨を形成した。その量は、BMP−4群より少なく、伸延された部位中央部上下に位置した繊維帯はBMP−4群より広かった(図11B及び図11C参照)。
【0027】
キトサン群では、4週目の組織所見では伸延された部位の大部分が繊維化組織で満たされていた(図12A参照)。7週目には新生骨と共に多くの造骨細胞が伸延された部位の端の部分で観察され、伸延された部位の中央部まで部分的に新生骨を形成した(図12B及び図12C参照)。伸延された部位での新生骨量は、βig−h3群やBMP−4群より少なく、繊維帯はβig−h3群より広かった。
【0028】
結論的に、本発明のトリポリリン酸塩に水溶性キトサン、βig−h3を含有した水溶性キトサン、またはBMP−4を含有した水溶性キトサンを添加した組成物は、新生骨形成と骨硬化を早期に促進させて骨硬化期間を短縮させるので、非常に経済的で生体適合した骨形成及び骨硬化促進用組成物として有用に使用できる。
【0029】
実施例
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
但し、下記の実施例は本発明を例示するだけのものであり、本発明の内容が下記の実施例の内容によって限定されるものではない。
【0030】
実施例1:組成物の製造
本発明者らは、トリポリリン酸塩に骨形成及び骨硬化促進物質を添加した骨形成及び骨硬化促進用組成物を製造した。詳細には、5%のトリポリリン酸塩0.5mlに5%キトサン0.5mlを添加した組成物を製造して、それを「キトサン群」と命名した。
【0031】
実施例2:組成物の製造
本発明者らは、前記実施例1と同一な方法で5%のトリポリリン酸塩0.5mlに450μg/ml濃度のβig−h3を含有した水溶性キトサン0.5mlを添加した組成物を製造して、それを「βig−h3群」と命名した。
【0032】
実施例3:組成物の製造
本発明者らは、前記実施例1と同一な方法で5%のトリポリリン酸塩0.5mlに200ng/ml濃度のBMP−4を含有した水溶性キトサン0.5mlを添加した組成物を製造して、それを「BMP−4群」と命名した。
【0033】
実験例1:本発明の組成物が骨形成及び骨硬化に及ぼす影響の測定
本発明者らは、前記実施例1乃至実施例3で製造した本発明の骨形成及び骨硬化促進用組成物が新生骨形成と骨硬化を早期に促進させるかどうか確認するために、犬の下顎骨に骨伸延手術を施行した後、本発明の骨形成及び骨硬化促進用組成物を注射して変化を観察した。
【0034】
詳細には、生後5〜8ヵ月の16匹の犬を実験動物に使用した。対照群、キトサン群、βig−h3群及びBMP−4群に分類して各群毎に4匹ずつ実験に使用した。
【0035】
実験用の犬は、全身麻酔後気管内挿管で呼吸を維持した。手術部位は削毛した後、基本的な消毒と塗布を実施した。下顎骨の下端部に沿って3〜4cmの皮膚切開を加えた後、咬筋(masseter muscle)を持ち上げて下顎骨の外側面を露出させた。電気ノコギリで下顎骨体部に垂直に切骨手術を施行して下顎骨を完全切断した。外固定装置に固定するピンは、切骨された部位から左右に1cmの地点の骨片に各々固定した。ピンを下顎骨骨片にドリルで固定時、生理食塩水で洗浄しながら固定してピン固定部位の骨が焦げないようにした。ここで、ピンは下顎骨をやっと貫通する程度打ち込みしっかりと固定した。2匹の犬のピンを固定した後、骨延長器具(Molina Distractors,Wells Johnson Company)に装着した(図1)。
【0036】
5−0ビクリル(vicryl)と5−0ナイロン(nylon)縫合糸で切開部位を幾重にも縫合して実験動物を麻酔から回復させた。手術後、7日間ペニシリン抗生剤(100,000μ/kg)を12時間毎に筋肉注射し、痛みを緩和するために鎮痛剤を4〜6時間間隔で経口投与した。手術直後から2日目までは軟質食餌(soft diet)を与え、3日目から一般食餌(regular diet)に替えた。手術後5日目から一日に2mmずつ、総10mmになるように5日間伸延した。
【0037】
各群は、骨伸延が終わる日に各群別に伸延された部位に凝固剤として0.5mlの5%トリポリリン酸塩(tripolyphosphate,TPP)と同量の5%水溶性キトサン、BMP−4(200ng/ml)(R&D System Inc.)を含有した5%水溶性キトサン、βig−h3(450 μg/ml)を含有した5%水溶性キトサンを各々同量を二重注射器(dual syringe)(図2)を使用して同一部位に同時に注射して伸延された部位内で二種物質が出会って即時に固まり注射した物質が他の部位に移動することを防止すると同時に骨形成時に骨台になるようにした。対照群には、5%トリポリリン酸塩だけを1ml注射した。
【0038】
本発明の骨形成及び骨硬化促進用組成物の注入が終わった後、骨硬化と骨再生のために骨伸延装置を7週間維持した。各群毎に2匹ずつ全体8匹を骨伸延が終わった後4週目、残りの8匹は7週目にペントバルビタール(pentobarbital)を過用量(40〜50mg/kg)注射して犠牲にした。(図3)。
【0039】
<1−1>肉眼観察
前記の実験を実施した後、肉眼で変化を観察した結果、すべての犬は麻酔及び手術から回復し、骨伸延装置はよく維持され装置周囲に明白な感染の症状はなかった。骨伸延が終わった後4週と7週目に採取した骨標本において、対照群では伸延された部位が堅かったが骨を折り曲げた時多少流動性があった。BMP−4群、βig−h3群及びキトサン群では、4週目の骨伸延された部位が7週目の対照群の骨標本よりもう少し堅固で、7週目には新生骨の形成によりとても堅固だった。
【0040】
<1−2>放射線検査
前記で骨伸延が施行された各群の実験動物に毎週放射線検査を実施し、4週と7週目に得られた放射線写真を基礎にして骨生成及び骨硬化程度を観察した。
【0041】
その結果、示されたように、骨伸延が終わった後4週と7週に実施した放射線検査において、対照群では伸延された下顎骨片間に広い放射線透過区域をおき、両側下顎骨片に接した放射線非透過区域がほとんどなく、4週と7週の間には明白な差がなかった。BMP−4群、βig−h3群及びキトサン群では、各群に該当した骨成長物質が注入された下顎骨伸延部位で時間の経過により進行される石灰化(calcification)が観察できた。骨成長物質を注入した後4週目の放射線所見で伸延された骨片間の放射線透過区域が両側骨片間に伸びて入り放射線非透過区域にほとんど連結され、7週目には放射線非透過区域の上下厚みは、4週目の厚みより二倍以上になった。特に、BMP−4群で他の群に比べて放射線非透過陰影(radiodense shadow)の密度が濃くその厚みが厚かった。
【0042】
<1−3>骨鉱質密度(bone mineral density)の測定
前記実施例<1−2>の7週目から得られた放射線写真(図4B、図5B、図6B及び図7B参照)を基礎にして放射線写真像から骨形成が進行するほど放射線非透過区域(radiodense zone)が広く現れることを利用し、コンピュータープログラムで骨鉱質密度(bone mineral density)を測定した。
【0043】
その結果、4週目に骨鉱質密度はすべての群で対照群より高く測定された。その中でもBMP−4群で最も高く現れ、βig−h3群、キトサン群、対照群の順だった(図8A)。7週目にもBMP−4群で他の群に比べて飛び抜けて高く現れ、β−igh3群、キトサン群、対照群の順だった(図8B)。骨鉱質密度は、放射線像に現れた下顎骨骨片間に伸延された部位での放射線非透過程度、即ち、明るさ程度を反映するものであるため高く測定されるほど新生骨形成が多いということを意味するので、本発明の骨形成及び骨硬化促進用組成物を添加した群で対照群より新生骨形成がさらに早く起きていることが分かった。
【0044】
<1−4>組織学的検査
前記で骨伸延手術が終わった実験動物の組織学的検査のために電気ノコを使用して伸延された下顎骨部位とその周囲の正常骨組織を含んで骨標本を採取した。採取された骨片を10%中性ホルマリンに1週間固定した後、2日間10%硝酸と10%クエン酸ナトリウムに脱灰(decalcification)した後、通常の方法にしたがって脱水及びパラフィン固定を経て4〜6μmの標本を製作した。前記標本をヘマトキシリン−エオジン(hematoxylin−eosin)で染色して光学顕微鏡で組織学的観察をした。
【0045】
その結果、対照群では4週目に骨伸延された部位全般に繊維化組織で満たされていて下顎骨の断面に接して骨膜反応による新生骨形成が始まったが、全般的には新生骨形成の所見はなかった(図9A)。7週目組織所見で伸延された部位の端の部分に新生骨及び軟骨形成所見が見られ、所々に血管と神経組織等が観察された(図9B及び図9C)。
【0046】
BMP−4群では、4週目に伸延された骨片の端の部分と中央部で類骨(osteoid)を形成する造骨細胞(osteoblast)の増殖が部分的に観察されたが、伸延された部位の多くの部分は繊維化組織で満たされていた(図10A及び図10C)。7週目には伸延された部位に部分的に石灰化が起きた不規則な模様の交織骨肉柱(woven bone trabeculae)と多様な大きさの血管が内在した広い新生骨部位とその中心上下に位置している狭い繊維帯(fibrous interzone)が観察された。伸延された部位全般にわたって形成された新生骨は、正常皮質骨に近かった(図10B及び図10D)。
【0047】
βig−h3群では、4週目の組織所見には類骨を形成する造骨細胞が伸延された部位の中央部に部分的に観察された(図11A)。7週目には多くの活動的な造骨細胞が伸延された部位の端の部分から中央部まで部分的に新生骨を形成し、その量はBMP−4群より少なく、伸延された部位中央部で上下に位置した繊維帯はBMP−4群より広かった(図11B及び図11C)。
【0048】
キトサン群では、4週目の組織所見では伸延された部位の大部分が繊維化組織で満たされていた(図12A)。7週目には新生骨と共に多くの造骨細胞が伸延された部位の端の部分で観察され、伸延された部位の中央部まで部分的に新生骨を形成した。伸延された部位での新生骨量は、βig−h3群やBMP−4群より少なく、繊維帯はβig−h3群よりも広かった(図12B及び図12C)。
【0049】
前記の結果から、本発明の骨形成及び骨硬化促進用組成物を添加したBMP−4群、βig−h3群及びキトサン群では、骨伸延された部位に新生骨が4週目に一部生成され、7週目には相当に多くの量が生成された。新生骨の量は、BMP−4群で最も多く、その次はβig−h3群、キトサン群の順だった。すべての群で7週目に伸延された部位の中央に繊維帯が観察された。BMP−4群で繊維帯の幅が最も狭く、βig−h3群、キトサン群の順で幅が広く、対照群では伸延された部位の大部分を占めた。7週目にも繊維帯が残っているということは、新生骨の形成が進行中であることを示している。
【0050】
産業上の利用可能性
前記で詳しく見てきたように、本発明のトリポリリン酸塩と水溶性キトサンの混合物に骨形成及び骨硬化促進物質を添加した組成物は、新生骨形成を誘導して正常骨構造を提供して好ましくない結合組織の成長を防ぎ、骨治癒時の防御膜の役割を行なうだけではなく、治癒過程で骨に代置されるため、生体に適合して血管成長と骨形成細胞の成長を早期に誘導するので骨形成及び骨硬化促進用組成物として有用に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明のキトサン、βig−h3、ヒト骨形態発生タンパク質(BMP−4)を使用した骨伸延手術を施行するために犬の左側顎部分に垂直切骨手術が行われたことを示した図である。
【図2】本発明の水溶性キトサン、βig−h3を含有した水溶性キトサン、ヒト骨形態発生タンパク質(BMP−4)を含有した水溶性キトサンと5%トリポリリン酸塩を入れた二重注射器を示した図で、A:0.5ccの骨成長物質である水溶性キトサン単独、βig−h3を含有した水溶性キトサン、またはBMP−4を含有した水溶性キトサン。B:0.5ccの5%トリポリリン酸塩。
【図3】骨伸延をしてから7週間が経過後、犬を殺す直前の状態を示した図である。
【図4A】本発明でトリポリリン酸塩だけ注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延した対照群で骨伸延手術後4週が経過した後の骨硬化程度を放射線検査で測定した図である。
【図4B】本発明でトリポリリン酸塩だけ注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延した対照群で骨伸延手術後7週が経過した後、骨硬化程度を放射線検査で測定した図である。
【図5A】本発明のキトサン(chitosan)とトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したキトサン群で骨伸延手術後4週が経過した後、骨硬化程度を放射線検査で測定した図である。
【図5B】本発明のキトサン(chitosan)とトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したキトサン群で骨伸延手術後7週が経過した後、骨硬化程度を放射線検査で測定した図である。
【図6A】本発明のβig−h3を含有した水溶性キトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したβig−h3群で骨伸延手術後4週が経過した後、骨硬化程度を放射線検査で測定した図である。
【図6B】本発明のβig−h3を含有した水溶性キトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したβig−h3群で骨伸延手術後7週が経過した後、骨硬化程度を放射線検査で測定した図である。
【図7A】本発明のBMP−4を含有した水溶性キトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したBMP−4群で骨伸延手術後4週が経過した後、骨硬化程度を放射線検査で測定した図である。
【図7B】本発明のBMP−4を含有した水溶性キトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したBMP−4群で骨伸延手術後7週が経過した後、骨硬化程度を放射線検査で測定した図である。
【図8A】本発明のキトサン、βig−h3を含有した水溶性キトサン、BMP−4を含有した水溶性キトサンを注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延した各群で骨伸延手術後4週が経過した後、骨の鉱質濃度(mineral density)を示したグラフである。
【図8B】本発明のキトサン、βig−h3を含有した水溶性キトサン、BMP−4を含有した水溶性キトサンを注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延した各群で骨伸延手術後7週が経過した後、骨の鉱質濃度(mineral density)を示したグラフである。
【図9A】本発明でトリポリリン酸塩だけ注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延した対照群の骨伸延手術4週後の組織学的な断面を示した図である。矢印:最初切断部位。
【図9B】本発明でトリポリリン酸塩だけ注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延した対照群の骨伸延手術7週後の組織学的な断面を示した図である。矢印:最初切断部位。
【図9C】本発明でトリポリリン酸塩だけ注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延した対照群の骨伸延手術部位の端部分で新しい骨が形成されていることをヘマトキシリン&エオジン染色で確認した図である。A:繊維化組織。B:造骨細胞。
【図10A】本発明のBMP−4を含有した水溶性キトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したBMP−4群の骨伸延手術4週後の組織学的な断面を示した図である。矢印:最初切断部位。
【図10B】本発明のBMP−4を含有した水溶性キトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したBMP−4群の骨伸延手術7週後の組織学的な断面を示した図である。矢印:最初切断部位。
【図10C】図10Aの組織学的な断面をヘマトキシリン&エオジンで染色して、伸延された部位の中央が造骨細胞と繊維化組織で満たされていることを確認した図である。
【図10D】図10Bの組織学的な断面をヘマトキシリン&エオジンで染色して、伸延された部位の中央が造骨細胞と繊維化組織で満たされていることを確認した図である。
【図11A】本発明のβig−h3を含有した水溶性キトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したβig−h3群で骨伸延手術4週後の組織学的な断面を示した図である。矢印:最初切断部位。
【図11B】本発明のβig−h3を含有した水溶性キトサンとトリポリリン酸塩が注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したβig−h3群で骨伸延手術7週後の組織学的な断面を示した図である。矢印:最初切断部位。
【図11C】図11Bの組織学的な断面をヘマトキシリン&エオジンで染色して、伸延された部位全般にわたって新生骨が形成されていることを確認した図である。
【図12A】本発明のキトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したキトサン群で骨伸延手術4週後の組織学的な断面を示した図である。矢印:最初切断部位。
【図12B】本発明のキトサンとトリポリリン酸塩を注射して一日に2.0mmずつ5日間伸延したキトサン群で骨伸延手術7週後の組織学的な断面を示した図である。矢印:最初切断部位。
【図12C】図12Aの組織学的な断面をヘマトキシリン&エオジンで染色して、伸延された部位全般にわたって新生骨が形成されていることを確認した図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリポリリン酸塩塩(tripolyphosphate)と水溶性キトサンを含有した骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項2】
前記組成物が、骨形成及び骨硬化促進物質をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項3】
骨形成及び骨硬化促進物質が、βig−h3、骨形態発生タンパク質、TGF−β、FGF、IGF−1及びPDGFからなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項4】
トリポリリン酸塩と水溶性キトサンの比率が、20:80乃至80:20重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項5】
トリポリリン酸塩と水溶性キトサンの比率が、50:50重量%であることを特徴とする、請求項4に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項6】
βig−h3が、組成物全体に対して100μg/ml乃至1μg/mlの濃度で添加されることを特徴とする、請求項3に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項7】
骨形態発生タンパク質が、組成物全体に対して50ng/ml乃至500ng/mlの濃度で添加されることを特徴とする、請求項3に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項8】
βig−h3が、組成物全体に対して300μg/ml乃至600μg/mlの濃度で添加されることを特徴とする、請求項6に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項9】
骨形態発生タンパク質が、組成物全体に対して100ng/ml乃至300ng/mlの濃度で添加されることを特徴とする、請求項7に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項10】
骨形態発生タンパク質が、BMP−4であることを特徴とする、請求項4に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項1】
トリポリリン酸塩塩(tripolyphosphate)と水溶性キトサンを含有した骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項2】
前記組成物が、骨形成及び骨硬化促進物質をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項3】
骨形成及び骨硬化促進物質が、βig−h3、骨形態発生タンパク質、TGF−β、FGF、IGF−1及びPDGFからなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項4】
トリポリリン酸塩と水溶性キトサンの比率が、20:80乃至80:20重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項5】
トリポリリン酸塩と水溶性キトサンの比率が、50:50重量%であることを特徴とする、請求項4に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項6】
βig−h3が、組成物全体に対して100μg/ml乃至1μg/mlの濃度で添加されることを特徴とする、請求項3に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項7】
骨形態発生タンパク質が、組成物全体に対して50ng/ml乃至500ng/mlの濃度で添加されることを特徴とする、請求項3に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項8】
βig−h3が、組成物全体に対して300μg/ml乃至600μg/mlの濃度で添加されることを特徴とする、請求項6に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項9】
骨形態発生タンパク質が、組成物全体に対して100ng/ml乃至300ng/mlの濃度で添加されることを特徴とする、請求項7に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【請求項10】
骨形態発生タンパク質が、BMP−4であることを特徴とする、請求項4に記載の骨形成及び骨硬化促進用組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【公表番号】特表2006−503614(P2006−503614A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539598(P2004−539598)
【出願日】平成14年9月30日(2002.9.30)
【国際出願番号】PCT/KR2002/001837
【国際公開番号】WO2004/028578
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り
【出願人】(502411159)リージェン バイオテック インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年9月30日(2002.9.30)
【国際出願番号】PCT/KR2002/001837
【国際公開番号】WO2004/028578
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り
【出願人】(502411159)リージェン バイオテック インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
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