説明

骨粗鬆症の検出および追跡の方法およびシステム

骨粗鬆症の検出および追跡のための方法およびシステムが開示される。対象脊椎の画像を特徴付ける方法は、脊椎の形状の変化を表現する脊椎の病的および非病的変化のサンプル画像の集合からコンピュータモデルを構築することを含む。この方法は、被験者の対象脊椎の画像を受信することと、画像の上方皮質終板部および下方皮質終板部の側面外形の輪郭を自動的に推定することとを含む。モデルのパラメータは、皮質終板点の外形の推定された輪郭を近似するモデル形状を表現する集合を決定するため変化させられる。この方法は、決定されたモデルパラメータの集合に基づいて対象脊椎を自動的に特徴付けることと、対象脊椎の特徴付けを表示装置に出力することとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、内容が参照により組み込まれ、2008年5月30日付けで出願され、発明の名称がMethods of And System For Detection And Tracking Of Osteoporsisである米国仮特許出願第61/057369号による合衆国法典第35巻第119条(e)に基づく利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に、研究および様々な他の調査用途のためのデジタル化された放射線写真の自動または半自動解析に関し、より具体的には、骨粗鬆症の診断および追跡のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
骨粗鬆症は、骨脆弱性および骨折の危険性の増大の原因となり、骨量の減少によって特徴付けられる一般的な骨格疾患である。骨粗鬆症をもつ50歳以上の米国人は約1000万人いる。3400万人以上は股関節の骨量不足であり、後年骨粗鬆症による骨折および関連した合併症が起こる危険性がある。効率的な診断方法および治療法が可能であるが、診断的な評価が必要とされる5人の患者のうちおよそ1人しか試験を受けていない。骨粗鬆症と診断された3人の患者のうちおよそ1人しか治療を受けていない。治療中の患者の中で、服薬遵守は薬の副作用および監視ツールの貧弱さのために低い。治療を開始した患者の中で、多くの人は、治療が効果を奏するのに2〜3年を要するにもかかわらず、6ヶ月後に治療をやめる。
【0004】
米国では、骨粗鬆症は、2005年中に200万回の骨折を招き、社会に対し170億ドルの直接費用を生じた。高齢化人口と共に、骨折および費用の両方が2025年までに50%上昇すると予想される。患者を診断し、治療による恩恵を受けることができる人を治療し、治療が効果的であることを確かめ、患者が確実に治療に従うようにするためにより優れたツールが必要とされる。
【0005】
どのような骨でも骨粗鬆症による影響を受ける可能性があるが、骨折は、典型的に、股関節、背骨(脊椎)、および手首において起こる。股関節骨折は、疾病率および死亡率の点で最も深刻であるが、脊椎骨折は疾病の診断および予後のため最も重要である。
【0006】
脊椎骨折は無症候性である可能性があるが、激痛および慢性的な背痛と、背奇形と、死亡率の増加とを含む深刻な結果をもたらす可能性がある。さらに、脊椎骨折は、最も一般的な骨粗鬆症的骨折であり、若年患者にも発生し、脊椎骨折の存在は、将来の背骨および股関節の骨折の危険性の優れた指示であることが知られている。このことは、骨粗鬆症罹患を評価し、骨粗鬆症の進行を監視するために脊椎骨折の存在を多くの臨床試験における臨床的判断および主要エンドポイントの重要な因子にする。実際に、放射線医師がおそらく骨粗鬆症患者のケアに対し最も重要視するのは無症候性の脊椎骨折の正確な診断である。
【0007】
日常の臨床的実践では、脊椎骨折は、通常、患者の背骨放射線写真の目視検査によって診断される。しかし、脊椎骨折を特定するこの定性的アプローチは主観的であると考えられ、従って、特に、経験の浅い観察者によって行われるとき、意見の不一致を招くことがある。脊椎X線の厳密かつ正確な視覚採点法は、非常に専門的な訓練および技能が実行されることを要求する、複雑であり、かつ、時間のかかる工程である。この理由から、定量的、客観的な採点法へのアクセスは、一般に、ポイント・オブ・ケアの場面で医師には利用できなかった。その代わり、殆どの医師は、治療判断を行うとき、物語風の説明だけに頼らざるを得なかった。その結果として、医師は、時には軽い脊椎骨折を見逃すことがあり、不適切であり、場合によっては不適当な治療の原因となる可能性がある。
【0008】
骨粗鬆症研究における疫学的調査および臨床的薬物治験の場合、客観的かつ再現可能な結果が必要とされる。従って、10年以上前に、準定量的(SQ)法がGenant et al.によってJ Bone Miner Res, 1993, 9:1138−1148に提案され、脊椎骨折の有病および罹患を定義する定量的(例えば、脊椎形態計測)方法がEastell et al.によってJ BoneMiner Res, 1991, 6:207−215に提案され、Mc Closkey et al.によってOsteorpros Int, 1993, 3:138−147に提案されている。
【0009】
SQ法は、脊椎骨折を特定し、次に、分類するために放射線医師または経験豊富な臨床医による従来の放射線写真の評価に基づいている。脊椎T4〜L4は、目視検査によって、直接的な脊椎測定なしに、正常(等級0)、軽度であるが、「明確な」骨折(前方、中間、および/または、後方の高さが約20〜25%減少し、面積が10〜20%減少している等級1)、中度骨折(いずれかの高さが約25〜40%減少し、面積が20〜40%減少している等級2)、および、重度骨折(いずれかの高さおよび面積が約40%以上減少している等級3)として等級を付けられる。さらに、等級0.5は、明確な骨折であるとは考えられない境界変形脊椎を指定するため使用される。
【0010】
対照的に、定量脊椎形態計測方法は、側面放射線写真上で脊椎本体高さの測定を行うことを必要とする。最も広く用いられている技術である6点配置は、T4からL4までの各脊椎本体の4個のコーナー点と、上方終板部と下方終板部との中間にある付加的な点への目印の手動配置を利用する。これらの点は、その後に、各脊椎本体の前方高さ、中間高さ、および、後方高さを定義するため使用される。骨折等級は、その後に、おそらく人口ベースの指標と比較して、これらの3つの高さ指標、または、高さの間の比率から抽出され、および/または、近傍または基準脊椎から取得された指標との比較により患者間変動に関して正規化される。臨床試験では、米国食品医薬品局(FDA)は、骨折を20%かつ3mmより大きい高さの減少として定義する。
【0011】
調査は多数の骨折が現行のSQ法および定量的方法を用いて診断未確定であることを明らかにした。より厳密には、脊椎奇形の客観的かつ高速測定が、その結果、自動化されたデジタルX線画像のコンピュータ解析のアプローチを使用して必要とされる。さらに、正確なコンピュータ化された脊椎骨折検出および分類は、準定量的な脊椎評価を特徴付ける視覚的な手がかりと同様に、標準的な6点形態計測を上回る脊椎形状情報の捕捉による恩恵を受けることがある。
【0012】
上記の6点配置技術のような測定点の配置のためのコンピュータ支援システムの開発は、Kalidis L et al.によってRing EFJ(ed) Curret research in osteoporsis and bone mineral measurement II, British Institute of Radiology, 1992, London, pp14−16に記載されている。手順は、デジタル化されたX線画像の中で脊椎本体輪郭を自動的に測位し、次に、正確さのためオペレータによってチェックされるアルゴリズムに基づいている。補正はいつでもオペレータ介入を通じて可能である。システムは、定量的脊椎形態計測の診断能力を高める付加的な幾何学的計算をさらに実行する。
【0013】
最近では、Kasai et al.がProc. SPIE 6144においてエッジ検出に基づく別のアプローチを報告した。彼らによるコンピュータ化されたスキームは、側面胸部画像での脊椎の上方エッジおよび下方ヘッジの検出に基づいている。ある程度の数の可視脊椎を含む湾曲した長方形エリアが特定された。このエリアは、その後に、脊椎の上方エッジおよび下方エッジが水平方向へ向けられるように真っ直ぐにされた。脊椎エッジの検出のため、直線成分が強調され、画像特徴解析が後に続く多重スレッショルド化技術が直線強調画像に適用された。最後に、検出された脊椎エッジから決定された脊椎高さが脊椎の形状を特徴付け、正常な脊椎から骨折した脊椎を区別するため使用された。
【0014】
Radiology, 1999, 211:571−578では、Smyth et al.は、アクティブ形状モデル(ASM)の使用に基づく技術の開発について説明している。ASMは、物体の形状および物体の画像外観の点で「物体がどのように見えるか」を記述する統計的モデルである。ASMは、背骨の側面2重エネルギーX線吸収(DXA)スキャン上での脊椎形状の測定に適用され、73個の目印点を収容した。完全な脊椎形状記述は、骨折した脊椎を正常な脊椎と区別するため脊椎高さ記述よりわずかに効果的であることがわかった。Investigative Radiology, 2006, 41(12)では、Roberts et al.は、脊椎三つ組のアクティブ外観モデル(AAM)の系列を使用して、250の側面DXAスキャン上の脊椎の形状および外観を統計的にモデル化した。このモデルは、各脊椎の中心の近似的な初期位置を仮定して、見えないスキャンと照合された。各脊椎輪郭は、脊椎本体の周りの40点を、L4−T10のための椎弓根の周りの8個のさらなる点と、T9−T7のための脊椎毎に32点と共に使用した。著者は、終板部形状を取り扱っていないが、むしろ、画像テクスチャに重点を置いている。
【0015】
DXAイメージングは、従来型の放射線撮影法より優れたいくつかの点、即ち、低放射線量と、投影アーティファクトによる脊椎本体画像の低歪みと、がある。しかし、放射線撮影法は、この高いイメージング解像度および画像形成における低雑音性のため、即ち、DXA画像と対照的に、放射線撮影画像が皮質終板部の崩壊を記述できるため、脊椎骨折の診断において依然としてよく使われる。
【0016】
形状および外観の統計的モデルを使用して放射線写真の中の脊椎を検出し測定しようとするある程度の数の試みが行われている。Long et al.は、Proc. SPIE 3979:169−179において、頸椎の放射線写真中の解剖学的構造をセグメント化し、セグメント化されたデータから、リウマチ、骨形態計測、および、関連分野における研究者にとって重要な特性に関してこの画像集合にインデックスを付けるために役立つ指標を導出するため、アルゴリズムの研究の際にASMを構築することを記載している。ASMを構築するため、脊椎毎に、24点が収集され、これらの点のうちの6個が標準的な6点形態計測集合(各脊椎上のコーナーと上/下中間点)に対応する。他の点は前方中間点および後方中間点により構成され、コーナーのそれぞれの周りで、コーナー点の両側に2個ずつの4個の付加的な点が収集された。関連した研究では、AAMの使用は、Zamora et al.によってProc SPIE 5032:631−642に記載され、Howe et al.によってProc IEEE 6th SSIAI. 2004:182−186に記載されている。
【0017】
Med Image Analysis, 2007, 11:503−512で、de Bruijne et al.は、最も可能性が高い正常な脊椎形状が画像中のすべての他の脊椎の形状に関する条件付きで推定される、健康な背骨の集合で訓練された二つ一組の形状モデルの使用について記載している。真の形状と再構成された正常な形状との間の差は、引き続いて、異常性の指標として使用される。全部で52個の目印が、4個の脊椎のコーナーの間に等距離で内挿された各脊椎の上方境界、前方境界、および、下方境界に沿って配置された。
【0018】
Robertsは、Proc. Medical Image Understanding and Analysis, 2006, I:120−124に放射線写真を包含するため自分の研究への拡張について記載している。AAMを構築するため、各脊椎輪郭は、脊椎本体の周りの60点を椎弓根の周りの8個のさらなる点と共に使用する。終板部リムは、DXA画像のためこれまで使用されていた単一エッジではなく、準楕円形状を使用してモデル化された。探索の正確さは、脊椎本体の点毎に点・線間の絶対距離誤差を計算することにより特徴付けられた。
【発明の概要】
【0019】
発明の一態様によれば、骨粗鬆症の検出および追跡のための方法およびシステムが提供される。
【0020】
発明の別の態様によれば、対象脊椎の側面図のデジタル化された画像を自動的に特徴付ける方法が提供される。対象脊椎は上方皮質終板部(superior cortical endplate)および下方皮質終板部(inferior cortical endplate)を有し、対象脊椎の画像は皮質終板部の側面外形を含む。この方法は、モデル構築段階中に、脊椎の病的変化および非病的変化のサンプル側面画像の集合(set)からコンピュータモデルを構築することを含む。コンピュータモデルは、脊椎の形状の変化を表現するためにパラメータの集合を含む。この方法は、ランタイム段階中に、被験者の少なくとも1つの対象脊椎の側面図のデジタル化された画像を受信することと、画像の少なくとも1つの対象脊椎の上方皮質終板部および下方皮質終板部の側面外形の輪郭を自動的に推定することと、をさらに含む。ランタイム段階中に、コンピュータモデルの少なくとも1つのパラメータは、画像の皮質終板部の側面外形の少なくとも推定された輪郭を近似するモデル形状を表現するモデルパラメータの集合を決定するため変化させられる。同様にランタイム段階中に、この方法は、画像の皮質終板部の側面外形の少なくとも推定された輪郭を近似するモデル形状を表現するモデルパラメータの集合に基づいて対象脊椎を自動的に特徴付けることと、対象脊椎の特徴付けを表示装置に出力することと、を含む。
【0021】
発明のさらなる態様によれば、対象脊椎を特徴付けることは、集合の中の2つ以上のパラメータの相対的な比較を含むモデルパラメータの集合に基づいている。
【0022】
発明のさらに別の態様によれば、この方法は、画像の皮質終板部の側面外形の少なくとも推定された輪郭を近似するモデル形状を表現するモデルパラメータの集合に基づいて、皮質終板部の陥没(depression)および皮質終板部の骨折(fracture)のうちの少なくとも一方が対象脊椎の側面図のデジタル化された画像の中に存在するかどうかを自動的に決定することを含む。
【0023】
発明のさらなる態様によれば、この方法は、画像の皮質終板部の側面外形の少なくとも推定された輪郭を近似するモデル形状の視覚的表現を表示することと、表示されたモデル形状を修正するため入力を受信することと、修正されたモデル形状を表現するためパラメータの集合を修正することと、をさらに含む。対象脊椎を自動的に特徴付けることは、モデルパラメータの修正された集合に基づいている。
【0024】
発明の別の態様によれば、脊椎の形状の変化を表現するコンピュータモデルのパラメータの集合は、脊椎の病的変化および非病的変化のサンプル集合の特徴のための平均空間位置を表現する情報を含み、パラメータの集合は特徴が平均空間位置から変化することができる量の指標(measure)を含む。
【0025】
発明のさらに別の態様によれば、画像の皮質終板部の側面外形の少なくとも推定された輪郭を近似するモデル形状を表現するモデルパラメータの集合を決定するためコンピュータモデルのパラメータのうちの少なくとも1つを変化させることは、コンピュータモデルの形状のインスタンス(instance)に沿った位置に対応する対象脊椎の画像上の位置から画像データの集合をサンプリングすることと、画像データの集合に基づいて、対象脊椎の画像とコンピュータモデルの形状のインスタンスとの間の適合度を推定することと、を含む。この態様は、反復的に、コンピュータモデルの形状の連続的なインスタンスと画像との適合度の差が所定の基準を満たすまで、コンピュータモデルの少なくとも1つのパラメータを変化させることと、コンピュータモデルの形状の変化させられたインスタンスに沿った位置に対応する対象脊椎の画像上の位置から画像データの集合をサンプリングすることと、対象脊椎の画像からの画像データの集合に基づいて対象脊椎とコンピュータモデルの形状の変化させられたインスタンスとの間の適合度を推定することと、をさらに含む。
【0026】
発明の別の態様によれば、対象脊椎の側面図のデジタル化された画像を自動的に特徴付ける方法が提供される。対象脊椎は、重複後方マージンと、重複終板部と、前方マージンと、前方マージンの下方部分の骨棘と、前方マージンの上方部分の骨棘とのうちの少なくとも1つを有する。この方法は、モデル構築段階中に、脊椎の病的変化および非病的変化のサンプル側面画像の集合からコンピュータモデルを構築することを含む。コンピュータモデルは、脊椎の形状の変化を表現するためにパラメータの集合を含む。ランタイム段階中に、被験者の少なくとも1つの対象脊椎の側面図のデジタル化された画像が受信され、画像の少なくとも1つの対象脊椎の重複後方マージンの輪郭と、重複終板部の輪郭と、前方マージンの輪郭と、前方マージンの下方部分の骨棘の輪郭と、前方マージンの上方部分の骨棘の輪郭とのうちの少なくとも1つが自動的に推定される。さらにランタイム段階中に、コンピュータモデルのパラメータのうちの少なくとも1つが、画像の重複後方マージンの輪郭と、重複終板部の輪郭と、前方マージンの輪郭と、前方マージンの下方部分の骨棘の輪郭と、前方マージンの上方部分の骨棘の輪郭とのうちの少なくとも1つを近似するモデル形状を表現するモデルパラメータの集合を決定するため変化させられる。この方法は、ランタイム段階中に、画像の重複後方マージンの輪郭と、重複終板部の輪郭と、前方マージンの輪郭と、前方マージンの下方部分の骨棘の輪郭と、前方マージンの上方部分の骨棘の輪郭とのうちの少なくとも1つを近似するモデル形状を表現するモデルパラメータの集合に基づいて対象脊椎を自動的に特徴付けることと、対象脊椎の特徴付けを表示装置に出力することと、をさらに含む。
【0027】
発明のさらなる態様によれば、この方法は、画像の重複後方マージンの輪郭と、重複終板部の輪郭と、前方マージンの輪郭と、前方マージンの下方部分の骨棘の輪郭と、前方マージンの上方部分の骨棘の輪郭とのうちの少なくとも1つを近似するモデル形状の視覚的表現を表示することを含む。この態様は、表示されたモデル形状を修正するため入力を受信することと、修正されたモデル形状を表現するためパラメータの集合を修正することと、を含む。対象脊椎を自動的に特徴付けることは、モデルパラメータの修正された集合に基づいている。
【0028】
発明の別の態様によれば、画像の重複後方マージンの輪郭と、重複終板部の輪郭と、前方マージンの輪郭と、前方マージンの下方部分の骨棘の輪郭と、前方マージンの上方部分の骨棘の輪郭とのうちの少なくとも1つを近似するモデル形状を表現するモデルパラメータの集合を決定するためコンピュータモデルのパラメータのうちの少なくとも1つを変化させることは、コンピュータモデルの形状のインスタンスに沿った位置に対応する対象脊椎の画像上の位置から画像データの集合をサンプリングすることと、画像データの集合に基づいて対象脊椎の画像とコンピュータモデルの形状のインスタンスとの間の適合度を推定することと、を含む。この態様は、さらに、反復的に、コンピュータモデルの形状の連続的なインスタンスと画像との適合度の間の差が所定の基準を満たすまで、コンピュータモデルの少なくとも1つのパラメータを変化させ、コンピュータモデルの形状の変化させられたインスタンスに沿った位置に対応する対象脊椎の画像の位置から画像データの集合をサンプリングし、対象脊椎の画像からの画像データの集合に基づいて対象脊椎の画像とコンピュータモデルの形状の変化させられたインスタンスとの間の適合度を推定することと、を含む。
【0029】
本発明の様々な実施形態のより完全な理解のため、今度は添付図面と関連して挙げられた以下の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】脊椎の変形可能な統計的モデルを使用して対象脊椎を分類するコンピュータで実施される方法のフローチャートである。
【図2A】脊椎本体の変形可能なモデルを生成し、対象脊椎本体の画像をモデルに当てはめ、画像から骨粗鬆症を示す指標を導出するコンピュータで実施される方法のフローチャートである。
【図2B】脊椎本体の変形可能なモデルを生成し、対象脊椎本体の画像をモデルに当てはめ、画像から骨粗鬆症を示す指標を導出するコンピュータで実施される方法のフローチャートである。
【図3】脊椎本体の様々な特徴の側面図である。
【図4】脊椎本体の様々な特徴の側面図である。
【図5】2つの脊椎の側面放射線写真である。
【図6】脊椎放射線写真を解析するシステムの概要図である。
【図7A】脊椎放射線写真を解析するシステムとこのシステムを使用するオペレータとの間の相互作用のフローチャートである。
【図7B】脊椎放射線写真を解析するシステムとこのシステムを使用するオペレータとの間の相互作用のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
発明の好ましい実施形態は、脊椎本体の側面放射線写真画像の変形可能なモデルを作成し、脊椎本体の特徴を記述するため特定の対象脊椎の画像の形状を当てはめるようにこのモデルを反復的に適応させるシステムを提供する。これらの特徴は、例えば、重複後方マージン(double posterior margin)と、重複終板部輪郭(double end-plate contours)と、存在する場合に骨棘の範囲を含む前方マージン(anterior margin)と、存在する場合に皮質終板部の陥没および/または皮質終板部の骨折(即ち、終板部骨折線)を表現する上方および下方皮質終板部とを含む。この説明は、正常または病的分類と将来の骨折の可能性の決定とを目的とする脊椎本体を特徴付けるため使用されることがある。発明の一実施では、正常な脊椎および病的な脊椎の画像を含む側面放射線写真の集合は、統計的学習技術を使用して変形可能なモデルを作成するため解析される。変形可能な方法は、次に、対象脊椎の形状を表現する2次元マップを生成するため対象脊椎の放射線写真に適用される。
【0032】
この形状マップは、対象脊椎の様々な特徴および特性を捕捉する導出された指標またはパラメータの集合の生成のための基礎としての役割を果たす。これらの導出された指標は、今度は、(1)対象脊椎に存在する不規則性を決定および/または記述するため、(2)長期間に亘って脊椎の形状を追跡するため、および/または、(3)術前外科手術プランニングおよび/または術後モニタリングの情報を提供するため使用することが可能である。これらの用途は、導出された指標がどのように使用されるかについての単に少数の実施例であり、他の考えられる用途は発明の範囲内である。
【0033】
本文書中に記載されている方法およびシステムは、両方ともに参照により組み込まれる2008年1月16日付けで出願され、発明の名称がComputer Program Products and Methods for Detection and Tracking of Rheumatoid Arthritisである米国特許出願第12/015306号と、2006年3月16日付けで出願され、発明の名称がMethod and System for Characterization of Knee Joint Morphologyである米国特許出願第11/376868号と、に開示された技術と組み合わせて使用されることが可能である。これらの出願は、放射線写真中で見つけられた骨および/または関節の様々な特徴を特徴付けるときに用いられる変形可能な統計的テンプレートの用途を記載する。より詳細に後述されるように、変形可能という用語は、サンプル訓練データに基づいて導出された座標の基底の観点からテンプレートのパラメータ化を指す。統計的という用語は、被験者の集団のメンバ間でのパラメータの変化の解析時のモデルの基礎を指す。
【0034】
図1は、脊椎の変形可能な統計的モデルを使用して対象脊椎を分類する方法10のフローチャートである。より詳細に後述されるように、この方法は、様々な脊椎の変形可能な統計的モデルを構築することによって始まる(ステップ20)。一般に、このモデルは、対象脊椎が比較されることができる形状の統計的な範囲を提供する。よって、対象脊椎の実際の形状を特徴付けるパラメータは、対象脊椎の画像を当てはめるためモデルを変形することにより決定されることが可能である(ステップ30)。対象脊椎のパラメータが決定された後、パラメータは、脊椎を分類するため様々な技術を使用して評価されることが可能である(ステップ40)。例えば、脊椎は、健康状態として、または、病的状態に分類されることが可能である。さらに、この情報は、骨粗鬆症の測定および追跡と、脊柱後弯形成術のような筋骨格外科的処置の術前外科手術プランニングおよび/または術後モニタリングのための脊椎本体の位置決め、位置合わせ、および、測定のため使用されることが可能である。
【0035】
本発明の実施によれば、研究および他の調査目的のため、または、骨粗鬆症の進行、骨粗鬆症と関連した症候を診断し、追跡するための方法およびコンピュータ・プログラム・プロダクトが提供される。より具体的には、方法およびコンピュータ・プログラム・プロダクトは、骨粗鬆症疾患から生じる脊椎骨折の進行を検出および監視するため提供される。
【0036】
このような実施では、脊柱の1つ以上の脊椎を含む骨格系のデジタル化された放射線写真のコンピュータ解析は、背骨の脊椎の正常および病的な解剖学的構造のある程度の数の手動もしくは機械で注釈を付けられたサンプル放射線写真の形状およびテクスチャの両方の統計的解析によって生成された変形可能な統計的テンプレートを使用して自動的または半自動的に実行される。放射線写真のテクスチャという用語は、階調レベルのような画素輝度の局所空間的変化を指す。
【0037】
脊椎のデジタル化された放射線写真の自動注釈付けは、デジタル画像に格納され、骨格関節の変化する輪郭および/またはテクスチャを比較および監視するため使用される2次元点(本文書中で目印、注釈、または、座とも称される)の集合を提供する。いくつかの事例における注釈付けという用語は、特徴または境界または輪郭の位置を指示するために画像に点および線を重ねることにより画像中のある一定の目印特徴、または、顕著な境界もしくは輪郭を特定することを指す。
【0038】
本文書中に記載されている技術は、背骨の骨粗鬆症の進行、脊椎本体の形状の変化、および、脊柱の全体的な形状および幾何学的性質の変化を監視し比較するため使用されることが可能である。例えば、本文書中に開示された技術を実施するシステムは、患者を含む縦断的研究において患者の骨粗鬆症症候の進行がベースライン画像とその後のフォローアップ画像との間で比較することにより監視されることがある、ベースラインおよびフォローアップ比較を実行可能である。
【0039】
上述されているように、脊椎骨折は、骨粗鬆症疾患の進行を検出および監視するため使用されることが可能である。一般に、脊椎骨折という用語は、楔形の終板部(単凹または両凹)、または、崩壊(「破砕」と称されることもある)脊椎奇形のような脊椎本体高さの減少を含む、脊椎本体の形状およびサイズの変性についての放射線写真的な外観を指す。終板部変形の場合、骨折は、放射線写真の中で、脊椎本体の上方端部の周縁部の下に、または、脊椎本体の下方端部の周縁部の上に明るい輪郭として現れる。
【0040】
脊椎本体は、X線において見られるように本体の関連した外形のすべてを組み入れる脊椎本体の形状を記述することにより特徴付けられることがある。これらの外形は、数ある中で、前方マージンと、重複後方マージンと、重複終板部輪郭と、上方および下方周辺マージンと、皮質終板部とを含むことが可能である。この形状の記述は、これらのマージンの密度の高い目印化によって実現する。付加的な特徴付けは、前方高さ、中間高さ、および、後方高さと、脊椎本体の投影面積と、さらに、より詳細に後述されるように、システムの訓練中に統計的に導出された平均脊椎本体と比較して、この脊椎の形状のパラメータ化された記述のような導出された指標(measurement)から得られることがある。
【0041】
背骨の変性疾患の進行中に、脊椎本体は非常に頻繁に骨成長または骨棘を現出させる。脊椎本体のマージンは、通常は、非常になめらかである。これらのマージンで水平方向に突起した、新しい骨の成長は骨棘を特定する。殆どの骨棘は、突起の前方または側方にある。脊椎骨棘は、腰椎における変性変化のための主要な放射線写真診断基準の一つである。このような骨棘の特徴付けまたは測定は、従って、このような疾患の評価において、実際には、骨粗鬆症疾患の追跡および予後診断において重要であることがある。
【0042】
脊椎本体の非常に詳細な特徴付けを行うことにより、本文書中に開示された技術は、骨棘の有無および形状と、脊椎本体の様々な特徴の形状と、存在する場合に脊椎骨折の形状との正確な決定を可能にする。これは、骨粗鬆症疾患によって引き起こされる、起こりやすい骨折を正確に定義し、骨折のタイプおよび重大性を定量化し、正確かつ厳密に疾患の進行および結果として生じる損傷を監視し、このような信頼できる結果を再現する能力を可能にする。
【0043】
さらに、統計的に変形可能なテンプレートを使用して放射線写真画像の解析から得られる情報は、本発明の他の実施による様々な他の用途に役立つ。これらの他の用途は、主として、テンプレートは、画像の中の物体の形状および階調テクスチャを記述する際に、物体のクラスの平均およびモデル化された集団を参照してこの物体の形状および階調テクスチャの統計的観点からこの物体をパラメータ化しなければならないという事実に基づいている。これらの他の用途は脊椎本体の形状変化によって明らかに示される強直性脊椎炎または背骨の変形性疾患のような、変形性関節炎疾患および他の関節炎疾患の特徴付け、評価、および追跡でもよい。
【0044】
より詳細に後述されるように、人または動物の脊柱の脊椎本体の放射線写真は、変形可能な統計的テンプレートを訓練するため解析または使用されることが可能である。典型的に、背骨の側面を通るX線のような進入する放射線の透過を表現する2次元(2D)放射線写真画像が利用される。発明は、特定のイメージングシステムまたは方法、または、取得された画像もしくは複数の画像の蓄積および操作の特定の方法に範囲が限定されることはないことが理解されるべきであるが、X線またはガンマ線のような高エネルギー放射線によって有利に提供される高空間解像度のような、特定のイメージング方法から生じる利点がある。
【0045】
図1に関連して上述されているように、コンピュータで実施される方法の第1のステップは、種々の脊椎の変形可能な統計的モデルを構築することである。このステップは、脊椎本体の形状をセグメント化し特徴付けるため、側面脊椎X線画像(放射線写真)または脊椎骨折評価(VFA)X線画像を解析することにより実行される。集団ベースのカナダ多施設骨粗鬆症調査(CaMos)に参加した165人の調査被験者からのベースラインで取得された側面放射線写真は、標準フォーマットにデジタル化され、統計的訓練技術を使用して脊椎形状モデルを構成するため利用された。この放射線写真の集合は、事例のうちの50%が手動による6点形態計測評価によって最低限20%の後方高さ、中間高さ、または、前方高さの減少として定義された少なくとも1つの罹患している脊椎骨折を有するように、充実させられた。標準化された側面背骨放射線写真プロトコルがすべての被験者からフィルムを取得するため使用された。
【0046】
全部で165人の被験者からの放射線写真は手動で注釈付けされた。これらの放射線写真の中で、100枚の放射線写真が後述される統計的学習技術を使用して形状および外観を変更されることが可能である脊椎モデルを構築するために無作為的に選択された。脊椎モデルを構築するため使用される被験者の人数および放射線写真の枚数は増減してもよく、相変わらず発明の範囲内であることが理解されるべきである。T4からL4までの各脊椎は、右/左/中央終板部マージンと、前方/後方マージンと、存在する場合に骨棘とを含む周辺脊椎境界を表現する95点を使用して放射線写真技術者によって標準化された目印プロトコルを利用して画定された。より詳しく後述される図3および4は、脊椎の特徴の輪郭に沿って配置された目印の実施例を表している。1次目印は、4個の脊椎本体コーナーおよび前方骨棘の最大範囲として解剖学的に定義された。2次目印は、2個の1次目印の中間にある点、または、2個の1次目印の間に定義された曲線に沿って等間隔に置かれたある程度の数の目印のように、1次目印の配置から論理的に得られた。1次目印の間の2次目印の数は、脊椎本体の間の僅かな変化を決定するためマージンの形状が十分な解像度で捕捉されることを確実にするように選択された。特に、皮質終板部および前方マージンは、他のマージンより多数の目印を使って記載された。モデルは、注釈付けされた例を比較することにより見つけられた解剖学的構造の変化および画像捕捉の統計的解析を使用して自動的に訓練された。モデルを訓練するため使用される被験者および放射線写真の数と同様に、目印点の数は、95より多くても少なくてもよく、発明の範囲内にあることになる。
【0047】
モデルを訓練する際に、各例示的な脊椎を記述する注釈付き目印の集合は、拡大縮小、回転および並進を用いて揃えられ、これは平均または「ベース」形状を生じさせる。例示的な注釈の各目印を取り囲む領域の放射線写真的な外観またはテクスチャが収集される。画像を探索するため使用されることがある付加的な外観情報を集めるため、摂動が対象から外れた位置のテクスチャ情報を取得するように例示的な形状に適用される。訓練は、ソースベクトルおよびターゲットベクトルの集合の作成により構成される。ターゲットベクトルは、現在の形状位置から正しい形状位置までを取得するため必要とされる変位を表現し、対応するソースベクトルは、サンプリングされたテクスチャおよび現在の形状情報により構成される。ソースとターゲットとの間の関係は、その後、線形回帰を使用して訓練される。変形可能な統計的脊椎モデルは、この回帰から生まれる。
【0048】
訓練されたモデルは、その後に、上述された訓練済みの関係を使用して対象脊椎本体に注釈を付けるため、モデルによって見られなかった、デジタル化された対象放射線写真に適用されることが可能である(図1のステップ30に対応する)。対象放射線写真の解析は、胸部画像または腰部画像のいずれで実行されてもよく、または、VFA画像の場合、単一の側面画像に含まれた脊柱全体で実行されてもよい。解析された脊椎毎に、95個の目印点の集合の座標が決定される。これらの目印は、図3に示されている様に、脊椎境界および様々な特徴を表現する。図3は、脊椎本体300の様々な特徴の側面図であり、後方マージン310および320と、前方マージン330と、上方周辺マージン340と、下方周辺マージン350と、上方皮質終板部360と、下方皮質終板部370との外形を含む。図4は、同様に、脊椎本体400の様々な特徴の側面図であり、図3に表された特徴と類似した特徴を図示し、骨棘41を含む。
【0049】
側面脊椎X線上で見られるように、各脊椎本体のほぼ中心において単一のマウス・ポイント・クリックを使用する手動初期化の後、変形可能な統計的モデルが初期化された各脊椎本体の自動注釈付けを実行するため使用される。はじめに、ベース形状(即ち、訓練中に学習された平均形状)のインスタンスが画像の中に配置され、周囲の画像テクスチャがサンプリングされる。線形回帰が探索された変位を取得するため適用される。一般に、この手順の少数回の反復が望ましい解を見つけるため必要とされる。この手順は、指定された基準の範囲内で収束が起こるまで、または、そうでなければ、指定された最大回数の反復が実行されるまで繰り返される。例えば、この手順は、連続した反復の間に改善が見つけられなくなるまで繰り返されることがある。反復が完了したとき、最終ステップの出力は、モデルパラメータによって当てはめられるような2D点の完全な集合に対する解であり、これは最適当てはめである。選択的に、自動解析が実行された後、オペレータが結果に満足するまで、95個の目印の位置のさらなる改良が半自動または手動手段によって行われることがある。
【0050】
対象放射線写真に95個の目印を収容している結果として得られる注釈は、今度は、解析された放射線写真の中で脊椎本体、または、脊椎本体の集合に関係する指標を定義するため使用されることがある(これは図1のステップ40に対応する)。上述されているように、95個より多少増減する目印がこれらの指標を導出するため使用されることがある。完了した注釈付けタスクから導出された指標は、今度は、注釈目印の幾何学的性質を基準にさせられることがある。これらの導出された指標は、6点形態計測、95点注釈に基づいて記述された脊椎形状、6点形態計測に基づく脊椎高さ及び高さ比、脊椎間の空間指標、脊柱後弯症角度指標、脊柱後弯症不規則性指標のうちの一部または全部を含む。さらに、導出された脊椎奇形分類は、これらの幾何学的指標に基づいて行われることがある。例えば、現在の実務と同様に、罹患した骨折の分類は、軽度、中度または重度と、楔形、両凹形、または、破砕の骨折カテゴリに分類される(参照により組み込まれるGenant et al. Vertebral Fracture Assessment Using a Semiquantiative Technique, Bone Miner Res. 1993 Sep; 8(9):1137−48を参照のこと)。
【0051】
本文書中に記載された密度の高い95点注釈技術は、単一脊椎本体または脊椎本体の集合のいずれかの形状のパラメータ化を導出するため使用されることもある。このようなパラメータ化は形状モデルを用いて実行されることがある。形状モデルを構築する際に、各例示的な脊椎を記述する注釈付き目印の原始的な訓練集合は、拡大縮小、回転および並進を用いて揃えられた。主成分分析(PCA)が形状変化を記述するため残留形状偏差に対して実行された。脊椎の側面解剖学的構造を表現する新しい形状は、技術的に知られているPCA技術を使用して、平均形状と最上位主成分の重み付き組み合わせとの合計として線形モデル化されることがある。
【0052】
95点注釈付けによって記述される対象脊椎の形状のパラメータ化は、対象の注釈へのモデルのインスタンスの最良当てはめを見つけることによって実現される。このパラメータ化は、その後に、形状に基づいて、存在する場合に罹患した骨折の分類のため多次元分類器への入力として使用されることがある。代替案では、パラメータ化は、延長された期間に亘って、個別の脊椎本体の骨折/非骨折の結果を予測するため使用される多次元分類器への入力であることも可能である。たとえば、5年間が使用できるが、より長期間または短期間のフレームが発明の範囲内である。さらに、単一被験者に対する1個または多数の注釈付き脊椎本体の95個の目印点の最終位置は、延長された期間に亘っていずれかの脊椎本体の骨折/非骨折の結果を予測するため使用される多次元分類器への入力としての形状ベクトルとして使用される。
【0053】
図2Aおよび2Bは、発明の実施形態に従って、放射線写真画像を解析し、骨粗鬆症を示す指標を導出するコンピュータで実施される方法100のフローチャートを示している。方法100は2つの別個の段階に分割される。一方は図2Aに示されたモデル構築段階101であり、もう一方は図2Bに示されたランタイム利用段階103である。モデル構築段階101の間に、制約付きの変形可能な統計的モデル(本文書中でテンプレートとも称される)が構築され、個別の被験者の脊椎のサンプル画像を使用して訓練される。
【0054】
この方法によれば、正常な変化および病的な変化の両方を表現する人の脊柱の脊椎T4からL4までの側面のサンプル放射線写真の集合が受信される(ステップ102)。いくつかの実施では、これは、骨粗鬆症骨折または他の同様に苦痛のある疾患の無い個々の被験者の背骨の放射線写真と、骨粗鬆症骨折および脊椎本体の他の奇形を有する個々の被験者の背骨の他の放射線写真とを使用して実現されることが可能である。このようなサンプル放射線写真を使用することは、モデルが構築され訓練された後に、解析されるべき放射線写真に存在する正常な脊椎本体変化および病的な脊椎本体変化の両方を収容する能力を提示することができるモデルを構築するため重要である。
【0055】
変形可能な統計的テンプレートが境界を見つけ、画素階調レベルを表現することができる正確さは、特定の統計的モデルによって制御される。テンプレートは、訓練のためテンプレートに提供されたサンプルの集合の中で観察された方法で変形する。テンプレートによって解析されている放射線写真の中の物体が所定の許容範囲の外側にあり訓練集合の中に存在しない特定のタイプの変形を提示する場合、テンプレートはこの物体に適合しない。このことは、微細な変形の場合も粗い変形の場合も事実である。例えば、テンプレートは、通常、正常な脊椎本体および病的な脊椎本体の放射線写真がテンプレートを構築し訓練するため使用された場合に限り、脊椎本体における正常な形状変化および病的な形状変化の両方に当てはまる。
【0056】
次に、入力制約パラメータの集合が受信され(ステップ104)、例えば、平均形状は、平均形状から標準偏差の±3倍の範囲内で変形することだけが許容される。統計的テンプレートの個々のインスタンスを表現する目印が、ランタイム利用段階103のようなランタイム段階中に合成されるとき、モデルは、最も重要なパラメータだけを選択することにより、このモデルの許容された形状の変形の点で制約される。学習された変形は、訓練集合によって表現された外観の典型的に95%を表現し、その後、上述されているように、これらのパラメータが平均形状の両側で典型的に標準偏差の±3倍に制限されることを許可するように捕捉されている。よって、テンプレートによって生成された形状が原始的な訓練集合の中の形状と類似することが確実にされている。
【0057】
たとえば、制約パラメータは、変形可能な統計的テンプレートが形状および外観の点で平均から非常に離れている個々のインスタンスを生成することを停止する。モデルが過剰に制約される場合、モデルは病的な変化に十分に適合しないことがあり、「偽陰性」、即ち、疾患が存在する場合に疾患の欠如の指示を生じることがある。これに反して、モデルが十分に制約されていない場合、モデルは非常に柔軟性に富み、脊椎本体を表していない画像証拠に適合し、「偽陽性」、即ち、欠陥が存在しない場合に疾患の指示を生じることがある。
【0058】
選択的に、ステップ106で、入力されたサンプル放射線写真の手動注釈が変形可能な統計的テンプレートを半自動的に構築するため受信される。いくつかの実施では、変形可能な統計的テンプレートは、上述されているように、手動で注釈付けされたサンプル放射線写真を使用して半自動的に構築される。例えば、技術者は、サンプル放射線写真の中に脊椎本体の特徴の外形を手書きすることが可能である。サンプル放射線写真の手動注釈付けは、テンプレートが自動的に構築されるときには必要がない。
【0059】
ステップ108で、制約付きの変形可能な統計的テンプレートまたはモデルがサンプル画像から作成される。モデルを作成することは、モデルの構築およびモデルの訓練の両方を包含することが理解されるべきである。モデルを構築することは、特定されるべき一般的な形状を定義することを含み、モデルを訓練することは、モデルの一般的な形状が訓練集合のサンプル放射線写真に応じてどのように変形可能であるかを決定することを含む。側面脊椎のデジタル化された入力対象放射線写真の解析は、デジタル化された対象放射線写真に適用された、訓練済みのモデルに基づいて進行する。モデル、または、テンプレートという用語は、被験者または被験者のコンポーネント部分の形状、外観、位置および/または移動のパラメータ化を提供する数学的な記述を一般に指す。モデルが統計的であるといわれるとき、モデルは個々の被験者の集団のメンバ間でのパラメータの変化の解析に基づいていることが理解されるべきである。
【0060】
本文書中に開示されているモデルおよび技術は、脊椎の外形を描く2次元(2D)点の集合である「目印」に関連して記載されている。図3は、サンプル脊椎300の特徴の外形に沿って配置されたこれらの目印を表している。図3で、連続線は、後方マージン310および320と、前方マージン330と、上方周辺マージン340と、下方周辺マージン350と、上方皮質終板部360と、下方皮質終板部370との外形を表現する。逆に、目印380は、脊椎形状の外形に沿って配置された複数の点によって図示されている。
【0061】
より具体的には、本文書中に記載された方法は、目印380の平均相対位置を、これらの相対位置が個人間の正常な状況と病的な状況で変化することがある方法の数学的記述と共に表現している。さらに、モデルは、特定の個人における目印の位置の変化を時間の経過と共に、または、骨粗鬆症の進行のような介在する状況に起因して、捕捉することが可能である。
【0062】
本願に記載されている技術は、モデル化された物体(例えば、脊椎)の尤もらしい形態の数学的モデルを決定し、ここで、形態は形状および形状変化を包含し、モデル化された物体のテクスチャのような外観の他の局面をさらに包含することがある。方法100のような方法は、モデルを指定された脊椎のデジタル化された対象放射線写真から取得された入力データに適用するため利用される。しかし、この方法は、脊椎の特徴または脊柱全体に自動的または半自動的に配置された点の集合の特定の配置に固有ではない。
【0063】
モデルを構築する目的のため、2次元(2D)点の相対位置は、絶対的というより、結果として起こる空間参照位置である。よって、モデルを構築する際に、第1のステップは、参照により組み込まれるCootes et al.によってTraining Models of Shape from Sets of Examles, Proc. BMVC Springer−Verlag, pp.9−18, 1992に記載された“Procrustes Analysis”のような様々な標準的なアライメント技術のうちの1つを使用することによって実現されることがあるように、典型的に、2Dデータの各フレームを共通基準フレームに揃えることがある。しかし、他のアライメント技術が利用されることがあり、発明の範囲内にある。
【0064】
いくつかの実施では、マークアップされた特徴を含む放射線写真画像、即ち、放射線写真の訓練集合は、統計的モデルを構築するため使用される。脊椎の放射線写真の集合が使用され、脊椎の外形が、形状とも称される2次元(2D)座標の集合を使用して輪郭が描かれる。形状は、一般に訓練集合のベース形状によって定義された共通基準フレームにすべて揃えられる。ベース形状は、(1)各サンプル形状の平均を除去し、(2)対応する形状を互いに揃え、その後、(3)形状ベクトルの長さを単位長さに正規化することによって取得される。ベース形状の計算は、例えば、Cootes et al.による「プロクルステスアルゴリズム」を使用して実現することが可能である。
【0065】
形状は、式(1):
x={x1,x2,...,xn,y1,y2,...,ynt
における列ベクトルxとして記述することが可能である。
【0066】
ここで、(xi,yi)は、インデックスiと転置演算を表す添字tとを用いた、点(即ち、目印)の2D座標である。いくつかの実施形態では、形状は、参照により組み込まれるT.F. Cootes and C.J. TaylorによるStatistical Models of Appearance for Medical Image Analysis and Computer Vision, in Proc. SPIE Medical Imaging, (2001)に記載された方法を使用してモデルの基準フレームに揃えられる。形状は、式(2):
x’=T(x)
においてベクトルx’としてこの方法によって記載される。
【0067】
ここで、x’は、計算されたアライメント変換パラメータの行列Tをxに適用した結果である。
【0068】
サンプル形状のアライメント後、訓練集合は、行列X’によって表現されることが可能であり、ここで、揃えられたサンプル形状はX’の列に格納される。ベース形状は、ここで、定義によって、X’の列の平均である。
【0069】
放射線写真のテクスチャをモデル化するため、サンプリング点(即ち、目印)は、ベース形状の基準フレームに関して定義される。これらのサンプリング点の場所における階調値は、式(3):
g={g1,g2,...,gmt
において列ベクトルgに収集されることが可能である。
【0070】
ここで、giは、インデックスiを用いるサンプリング場所の階調値である。目的はテクスチャおよび位置情報から変位を予測することであるため、対象から外れた位置のテクスチャ情報を取得するために摂動が例示的な形状に適用される。
【0071】
これらの摂動は2つのコンポーネントにより構成される。第1のコンポーネントは、拡大縮小、回転および並進のような大域的な性質を受け持ち、第2のコンポーネントは、局所的な変位を受け持つ。これらの変位は種々の方法で取得されることが可能である。例えば、2つの例示的な形状が無作為的に選択され、これらの差の一部分が摂動として選択される。別の選択肢は、例示的な形状のすべての点を無作為的に移動させることである。このようにして取得されたデータの量は多くの場合に次数が増すので、次数低減演算を実行することが有利である可能性がある。一実施例は、参照により組み込まれる、Johnson and WichernによるApplied Multivariate Statistical Analysis, pp.458−513(5th Edition,2002)に記載されているような主成分分析(PCA)である。
【0072】
例示的な画像に亘る強度変化に関してテクスチャサンプルをできる限り不変性にすることも同様に有利である。プロクルステス分析のような局所的かつ大域的な正規化スキームは、この目的のため使用されることが可能である。このような適切な正規化手順は次数低減前に適用される。次数低減後、変換Rは、ベクトルgをより次数の低いベクトルbに写像する。PCAの場合、この変換は、式(4):
b=Rg
として記述されることが可能である。
【0073】
ここでRは変換行列である。
【0074】
PCAの直接的な利点は、テクスチャベクトルgの推定再構成が式(5):

のように合成できることである。
【0075】
ここで、grは再構成ベクトルであり、

は、PCAを計算するため使用されるサンプルの平均である。しかし、訓練データに基づいてテクスチャベクトルを合成する他の方法が同様に利用可能である。
【0076】
次数低減変換を取得した後、モデルは訓練される準備ができている。訓練は,ソースベクトルとターゲットベクトルの集合を作成することにより構成される。ターゲットベクトルは、ベース形状の基準フレームの中で現在形状位置から正確な形状位置まで取得するため必要とされる変位δx’を表現する。対応するソースベクトルは2つの寄与部分により構成される。第1はベクトルbによって符号化されたテクスチャ情報であり、第2は、ベース形状の基準フレームにおける現在形状とベース形状自体との間の差δsである。
【0077】
訓練データを取得するため、サンプルデータは、上述された方法と類似した方法で再び摂動させられる。ターゲットベクトルおよびソースベクトルは各摂動のため格納される。それらの関係は、技術的に知られている統計的分類器または線形回帰のような方法を使用して訓練されることが可能である。現在の実施では、線形回帰が使用される。よって、予測変位は式(6):
δx’=A[b|δs]
によって与えられる。
【0078】
ここで、δx’は、ベース形状の基準フレームにおける現在点位置までの更新のベクトルであり、Aは回帰行列であり、bは上に定義されている通りであり、δsはベース形状の基準フレームにおける現在形状とベース形状自体との間の差のベクトルである。
【0079】
図2Bを参照すると、ランタイム利用段階103の間に、モデル構築段階101の間に作成されたモデルが、側面背骨のデジタル化された対象放射線写真中の個別の脊椎本体または脊椎本体の集合を記述するためデジタル化対象放射線写真に適用される。換言すると、モデルによって見えない(即ち、モデルを訓練するため使用されなかった)デジタル化された対象放射線写真は、式(6)に記述された訓練済みの関係を使用して注釈付けされる。
【0080】
最初に、ある程度の数の脊椎本体のデジタル化された対象放射線写真が受信される(ステップ110)。オペレータは、対象放射線写真上の各脊椎の近似中心に点を配置することにより対象放射線写真の脊椎のうち解析されるべき脊椎を指示する。少なくとも2つの脊椎本体が本方法によって放射線写真の中で指示される。図5は、背骨500の一部分の放射線写真であり、点510および520によって指示されているように2つの隣接する脊椎の近似中心点を表している。
【0081】
次に、目印が対象放射線画像内の脊椎のパラメータ化を準備するためデジタル化された対象放射線画像に当てはめられる(ステップ112)。指定された点は、背骨または脊椎本体の集合の画像において、予備的に特定されるか、または、注釈付けされる。目印の当てはめを実行するため、放射線写真の中に存在する脊椎本体毎にオペレータが配置した点510および520から適切な位置、スケールおよび方向が計算され、モデルのベース形状の拡大縮小、回転されたインスタンスが各脊椎本体位置で画像の中に配置される。画像の階調値は特定の脊椎のベース形状の位置に応じてサンプリングされる。式(4)で使用された次数低減Rを階調値に適用した後、線形回帰が探索された変位量を取得するために適用される。一般に、この手順の反復は、例えば、ある反復と次の反復との間で改善が見られなくなるまで、指定された最大反復回数が実行されるまで、望ましい解を見つけるために実行される。反復が完了したとき、最終ステップの出力はモデルパラメータによって当てはめられたような2D点の完全な集合に対する解である。
【0082】
他の実施形態では、半自動解析が目印を入力対象放射線写真に当てはめるため実行される(ステップ112の代わりに)。この方法の本実施形態を実施するシステムのユーザは、変形可能な統計的テンプレートの作成中に特定された放射線写真において脊椎本体上の目印の、適切または完全と称されることもある、ある種の部分集合を定義するように要求される。これらの位置は、外部または他の特徴への関係によって脊椎の放射線写真的な外観を効果的に記述するような方法で定義される。
【0083】
次のステップで、デジタル化された対象放射線写真における複数の目印の位置がパラメータ化され、それによって、対象放射線写真の形状特徴を捕捉する統計的テンプレートの特定のインスタンスを生成する(ステップ114)。脊椎の厳密な形態が被験者間で変化し、経時変化するとしても、これらの目印は識別できる状態を維持する。
【0084】
モデルの統計的な性質は、有限個の値の観点で脊椎の形状のパラメータ化を可能にする。例えば、平均、標準偏差、または、他の統計的モーメントは、被験者の集団の中での特定の脊椎の放射線写真的な外観の特徴付けを表現する。しかし、本文書中に開示されている技術は、いずれか1つの特定のパラメータ化のスキームに限定されることなく、他の指標が特定の脊椎画像と関連付けられた形状情報を捕捉するため使用されてもよい。
【0085】
次のステップで、デジタル化された対象放射線写真が、モデルへの対象画像の目印の最適当てはめが見つけられるまで、制約付き変形可能な統計的モデルを使用して探索される(ステップ116)。探索アルゴリズムは、変形可能な統計的テンプレートを対象画像と対照する。図5は、このような演算からの出力の一実施例を示している。輪郭線530は、対象脊椎540の画像への変形可能なモデルの当てはめを図示している。探索アルゴリズムは、対象形状のため特定された目印を照合するため必要とされるモデル目印の位置までの変位量を予測するため、テクスチャと称されることもあるサンプリングされた画像の階調レベル外観と、平均形状とステップ112で決定された形状との間の差とを使用する。これは、放射線写真中の各目印特徴のより良い位置を見つける。この探索アルゴリズムは、目印特徴位置の現在推定値と計算された更新位置との間の差が統計的に有意な差ではなくなるまで反復する。この時点で、変形可能な統計的テンプレートは、画像への「最適当てはめ」に到達したと言える。
【0086】
このようにして、統計的モデルは、対象画像の中の脊椎の骨格形態を特徴付ける場所までの目印の移動を予測するため使用される。この予測は、モデルの実際のインスタンスのテクスチャパラメータおよび位置パラメータに基づき、対象放射線写真内で見られるものを照合するために目印の現在の場所を更新するため変位量を生成する。
【0087】
よって、変形可能な統計的テンプレートは脊椎を検出し注釈付けするため使用されたので、脊椎形状のパラメータ化はこのテンプレートの最適化された当てはめから決定されることがある。従って、脊椎のテクスチャ情報を含む形状は、正常な脊椎および病的な脊椎の母集団又はユニバースの中の形状と比較されることがある。同様に、縦断的研究における異なる時点での形状パラメータの変化は、疾患進行の新しい測定として使用されることがある。
【0088】
ステップ118で、オペレータは、注釈と相互に作用し、脊椎輪郭がどこにあるべきかについての自分の認識と一致することを確かめるため、必要に応じて注釈を補正することがある。このため、ユーザは、対象脊椎へのモデルの特定の照合と相互に作用し、ある程度の数の目印点または目印を接合する輪郭を移動し、このモデルが制限された反復回数の間に動くことを可能にすることにより、新しい解析を開始することを選択することがある。これは、オペレータが結果に満足するまで、反復的な方法で複数回に亘って繰り返されることがある。
【0089】
ステップ120で、入力対象脊椎に照合させられた最終的な変形モデルは、式(1)毎に、95×2=190次元のベクトルxiに変化させられる。これは、単一脊椎本体、または、脊椎本体の集合のいずれかの形状のパラメータ化を導出するため使用されることがある。このようなパラメータ化は、訓練済みの形状モデルを用いて実行されることがある。訓練集合のサンプル形状は、行列X’によって表現されることが可能である。形状モデルは、式(7):
b=F(X’)
のように、入力点座標の集合が与えられた場合に、パラメータのベクトルbを生成するある種の関数Fである。
【0090】
モデルが、形状がどのように変化できるかを記述する数学的関数の集合と共に、2Dデータの「平均」形状で構成される実施では、bは式(8):
b=A(X’−X’m
を使用して計算される。
【0091】
ここで、X’mは、「平均」形状の2D点座標(即ち、目印)のベクトルであり、Aは、例えば、参照により組み込まれる、Johnson and WichernによるApplied Multivariate Statistical Analysis, pp.458−513(5th Edition,2002)に記載されているような主成分分析を使用して、訓練段階中に学習された行列である。変換された形状インスタンスxi’は、次に式(9):
i=A(xi’−x’m
によって見つけられる。
【0092】
このパラメータ化は、次に、形状に基づく罹患した骨折の分類のための多次元分類器への入力として使用されることがある(ステップ122)。同様に、多次元分類器への入力は、5年間に亘って個々の脊椎本体の骨折/非骨折の結果を予測するため使用されることが可能である。さらに、対象画像に当てはめられたモデルの形状から決定されたパラメータに加えて、単一被験者の画像中のいずれかの1つ以上の脊椎本体の95個の目印点の最終的な位置が、5年間に亘っていずれかの脊椎本体の骨折/非骨折の結果を予測するため使用される多次元分類器への入力としての形状ベクトルとして使用される。例えば、個々の脊椎からの様々な分類結果は、参照により組み込まれる、2003年4月30日付けで出願され、2004年12月8日付けで公開された、英国特許出願第GB20039812A号において教示されているように、結合された確率スコアを提供するため組み合わされることもある。
【0093】
さらに、骨粗鬆症によって引き起こされる脊椎骨折を示す1つ以上の指標が導出されることが可能である。本文書中に記載されている自動注釈付けは、放射線写真からある程度の数の指標を抽出するため、発明の好ましい実施形態に従って使用される。たとえば、導出された指標は、特に、6点形態計測と、95点注釈に基づいて記述された脊椎形状と、6点形態計測に基づく脊椎高さおよび高さ比と、脊椎間の空間指標と、脊柱後弯症角度指標と、脊柱後弯症不規則性指標とのうちの一部または全部を含む。さらに、導出された脊椎奇形分類は、これらの幾何学的指標に基づいて行われることがある。例えば、罹患した骨折の分類は、Bone Miner Res. 1993 Sep; 8(9):1137−48に記載されているようにGenantに従って、軽度、中度または重度と、楔形、両凹形、または、破砕の骨折カテゴリに分類される。
【0094】
同様に、上述されているように、長期間に亘る単一被験者の脊椎の変化はマッピングされ、比較されることが可能である。よって、これらの技術は、医療的介入の効果を評価するためにさらに使用されることが可能である。このような医療的介入は、例えば、医薬品の投与、外科処置、または、他の介入を含むことが可能である。
【0095】
本文書中に開示されている技術およびシステムは、コンピュータシステムと共に用いられるコンピュータ・プログラム・プロダクトとして実施されることがある。このような実施は、コンピュータ読み取り可能な媒体(例えば、ディスケット、CD−ROM、ROM、フラッシュメモリ、または、固定ディスク)のような有形的媒体に固定されるか、または、媒体を介してネットワークに接続された通信アダプタのようなモデムもしくは他のインターフェイス装置を介して、コンピュータシステムへ伝達可能であるかのいずれかである一連のコンピュータ命令、または、ロジックを含むことがある。
【0096】
媒体は、有形的媒体(例えば、光もしくはアナログ通信回線)、または、ワイヤレス技術を用いて実施される媒体(例えば、マイクロ波、赤外線、もしくは、その他の伝送技術)のいずれでもよい。一連のコンピュータ命令は、システムと関連して本文書中に記載されている機能の全部または一部を具現化する。当業者は、このようなコンピュータ命令が多数のコンピュータアーキテクチャまたはオペレーティングシステムと共に用いられるある程度の数のプログラミング言語で記述されることが可能であることを認めるであろう。
【0097】
さらに、このような命令は、半導体、磁気、光、または、他のメモリ装置のようないずれの記憶装置に格納されてもよく、光、赤外線、マイクロ波、または、他の伝送テクノロジのようないずれの通信テクノロジを使用して伝送されてもよい。
【0098】
このようなコンピュータ・プログラム・プロダクトは、印刷文書もしくは電子文書が付属する着脱式媒体(たとえば、シュリンク包装されたソフトウェア)として配布されてもよく、コンピュータシステムを用いて(例えば、システムROMまたは固定ディスクに)プリロードされてもよく、または、ネットワーク(例えば、インターネットもしくはワールド・ワイド・ウェブ)を介してサーバもしくは電子掲示板から配信されてもよい。当然ながら、発明のいくつかの実施形態は、ソフトウェア(例えば、コンピュータ・プログラム・プロダクト)およびハードウェアの両方の組み合わせとして実施されることがある。発明のさらに別の実施形態は、完全にハードウェア、または、完全にソフトウェア(例えば、コンピュータ・プログラム・プロダクト)として実施される。
【0099】
図6は、本文書中に記載された技術に従って脊椎放射線写真を解析し分類するシステム600の概要図である。システム600は、モデル構築ロジック610と、対象放射線写真アナライザロジック620と、脊椎分類器ロジック630と、ユーザ・インターフェイス・ロジック640と、画像出力ロジック650と、情報記憶ロジック660とを有する。モデル構築ロジック610は、正常な脊椎放射線写真および病的な脊椎放射線写真の集合に基づいて統計的変形可能モデルを構築し訓練する。対象放射線写真アナライザロジック620は、脊椎の所定の対象画像のため適した目印および輪郭を決定し、変形可能モデルを対象画像に当てはめ、対象脊椎の形状および特徴を特徴付けるパラメータを決定する。脊椎分類器ロジック630は、骨折の程度と、将来の脊椎骨折の可能性と、骨粗鬆症の診断の可能性と、および/または、本文書中に記載された他の分類指標または技術のいずれかとを分類するために対象脊椎と関連付けられた様々な測定基準を決定する。
【0100】
ユーザ・インターフェイス・ロジック640は、例えば、対象放射線写真の選択と、脊椎画像内の中心点の指示と、放射線写真画像へのモデル適合度の修正、および、他のオペレータタスクを含む脊椎解析の様々なステップを命令するために、ユーザがシステム600と相互作用することを可能にさせる。画像出力ロジック650は、解析プロセスの進捗と、放射線写真と、モデル適合度と、脊椎のパラメータ化と、存在する場合に分類指標とに関する画像情報を表示するために表示ハードウェアと協働する。情報記憶ロジック660は、放射線写真、モデル適合度、パラメータ化、分類、および/または、解析プロセス中に必要とされ、もしくは、生成されるいずれかの他の情報と関連付けられた情報をロードおよび/またはセーブするために、情報記憶ハードウェアと協働する。
【0101】
ロジック要素のいずれかまたは全部は、デスクトップ、ラップトップ、および/または、メインフレーム・コンピュータ・システム上で実行されることが可能である。さらに、システムの一部は解析されるべき画像を発生する設備と同じ場所に設置されることが可能であり、一部はイメージング設備から離れた場所に設置されることが可能である。例えば、システム600の一部は、画像撮影ハードウェアを制御する同じコンピュータシステムの中に組み込まれることが可能である。このような実施では、システムの一部は上述されているようなネットワークを介して送信されることが可能であり、または、画像が解析を実施するシステムへ送信されることが可能である。物理的な画像は、システム600へのスキャン取り込みのため解析システムの場所へ配送されることも可能である。解析からの結果は、同じように、即ち、コンピュータネットワークを介して、または、物理的な手段によって配布されることが可能である。このように、中央設備は、多数のスキャニング源からの画像を解析し、画像を供給する設備へ解析を返送することが可能である。
【0102】
図7A〜7Bは、脊椎放射線写真を解析するシステムとこのシステムを使用するオペレータとの間の相互作用のフローチャート700である。図7Aでは、オペレータは、解析すべき画像の収集物が提示され、オペレータは、望ましい対象画像を指定する(ステップ702、704および706)。応答して、システムは、選択された画像708を取り出し、胸部および腰部側面背骨画像をオペレータへ提示する(ステップ710)。システムは、画像品質評価および最適化にオペレータを案内し、オペレータは、画像内の各脊椎の中心と、各脊椎の対応するレベルとを指定する(ステップ712および714)。次に、システムは、脊椎の輪郭を見つけ出し、オペレータへ提示する(ステップ716)。オペレータは、補正のため輪郭を評価し(ステップ718)、必要に応じて、輪郭の制御点(即ち、目印)を調節する(ステップ720)。システムは、その後、オペレータが照合に満足するまで、輪郭照合を繰り返す。
【0103】
オペレータは、対象画像がフォローアップ・ビジットからであるかどうかを決定する(ステップ722)。そうである場合、オペレータは、システムによって決定された輪郭を修正するために前の画像(例えば、ベースライン画像724)を見直すことが可能である(ステップ726)。フォローアップ・ビジットではない場合、または、オペレータが輪郭照合に満足した場合、システムは、存在するあらゆる奇形を分類する(ステップ728)。この時点で、オペレータは、システムによって案内される通りに、分類に補正を行うことを選択することができる(ステップ730および732)。分類の完了時、システムは、適切なレポートを発生し、レポート、解析結果、および、他のデータを画像および臨床データ記憶媒体736に格納する(ステップ734)。システムは、次に、例えば、印刷版レポート740を用いるなど、オペレータによって命令されている通りに、レポートを配布する(ステップ738)。
【0104】
本発明の実施形態は、側面脊椎X線画像および2重エネルギーX線吸収(DXA)画像の高速、正確かつ厳密な解析を容易にする。例えば、特定の実施に依存して、T4からL4までのすべての脊椎ラベルが、手動注釈付けの間に経過する時間より短い時間で注釈付けられ、測定され、解析されることがある。臨床治験では、FDAは、骨折を20%かつ3mmより大きい高さの減少として定義する。本文書中に記載された技術の実施は、約0.9mmの点・曲線間の距離として測定された点配置の誤差(SD)を実現することが可能である。精度の点で、従来の技術を使用する6点形態計測のオペレータ個人の再現性は、骨粗鬆症患者において3〜6%の間である。本文書中に開示された方法を実施するシステムは3%を達成した。
【0105】
本文書中に提示された技術の他の利点は、広範な利用可能性と、費用対効果性と、有害な副作用の低減と、使いやすさと、素早い結果の生成とを含む。容易にランダム化され、秘匿化されることが可能である永久記録物の作成は、同様に望ましく、かつ、達成される。骨粗鬆症の進行を追跡する開示された方法のさらに別の特性は、この骨粗鬆症の進行と、多くの場合に変動することがある臨床的疾患の進行との相関関係である。
【0106】
長期間の結果を決定するための放射線写真モニタリングの重要性のため、本文書中に提案された骨粗鬆症骨折によって引き起こされる脊椎奇形の量および進行を評価し定量化する標準化された系統的な方法は、これまでに知られている技術を上回る利点を実現する。脊椎骨折および骨折進行を特徴付ける定量的アプローチは、「より良い」、「同じ」、または、「より悪い」のような評価スコアを使用する定性的評価に基づく方法またはシステムを上回るいくつかの利点を提供する。データは、骨粗鬆症が誘発した脊椎骨折の状態を評価する定量的、系統的なアプローチが、観察者間、および、観察者個人の高い相関関係と、疾患の進行の早期特徴付けとをもたらすことが可能であることを明らかにした。記載された方法は、集団手段が作成されることをさらに可能にし、このように作成された集団が、次に、異なるグループの間で、場合によっては、異なる研究を横断したより正確な比較を可能にする。
【0107】
上述された従来のSQ法はいくつかの制限がある。胸部中央領域における軽度の楔形状の変形、および、腰部領域における曲がった終板部のような僅かな奇形の場合、境界線変形(等級0.5)と明確な軽度(等級1)骨折との間の区別は、困難である場合があり、時には不定である。正常な変化と変性変化を評価し、これらを本来の骨折と区別することを必要とする罹患した骨折の正確な診断は、依然として、観察者の経験に依存している。視覚的SQ評価の別の制限は、脊椎骨折の3種類の等級を識別する際の比較的不足している再現性である。
【0108】
同様に、広く用いられている6点配置技術は、僅かな形状差を捕捉することが不可能であり、点配置における変動性による影響を受け、手間がかかり、典型的に、T4とL4との間のすべての脊椎ラベルの評価のため5〜15分間を要する。逆に、いくつかのコンピュータで実施される6点配置技術は、手動配置技術より再現性が悪いこと、および/または、他の制限による影響を受けることがわかった。
【0109】
本開示を通じて記載されているように、本文書中に提示された方法、システムおよび技術は、従来の技術の制限および欠点を克服した。なお、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されることなく、記載された実施形態の変更および改良を包含する。例えば、実施形態は背骨の側面放射線写真を解析する観点で記載されている。しかし、発明の実施形態は、背骨のCT画像または磁気共鳴画像(MRI)を使用して実施されることが可能である。例えば、背骨の骨粗鬆症骨折の評価は、サジタル平面内で背骨のスライス画像に関して最も一般的に行われる。すべてのこのような変形および変更は本発明の範囲内であることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象脊椎が上方皮質終板部および下方皮質終板部を有し、前記対象脊椎の画像が前記皮質終板部の側面外形を含む、前記対象脊椎の側面図のデジタル化された画像を自動的に特徴付ける方法であって、
モデル構築段階中に、脊椎の病的変化および非病的変化のサンプル側面画像の集合から、前記脊椎の形状の変化を表現するためのパラメータの集合を含むコンピュータモデルを構築することと、
ランタイム段階中に、被験者の少なくとも1つの対象脊椎の側面図のデジタル化された画像を受信することと、
前記ランタイム段階中に、前記画像の前記少なくとも1つの対象脊椎の前記上方皮質終板部および前記下方皮質終板部の前記側面外形の輪郭を自動的に推定することと、
前記ランタイム段階中に、前記画像の前記皮質終板部の前記側面外形の少なくとも前記推定された輪郭を近似するモデル形状を表現するモデルパラメータの集合を決定するため前記コンピュータモデルの前記パラメータのうちの少なくとも1つのパラメータを変化させることと、
前記ランタイム段階中に、前記画像の前記皮質終板部の前記側面外形の少なくとも前記推定された輪郭を近似する前記モデル形状を表現する前記モデルパラメータの集合に基づいて前記対象脊椎を自動的に特徴付けることと、
前記対象脊椎の特徴付けを表示装置に出力することと、
を備える方法。
【請求項2】
前記モデルパラメータの集合に基づいて前記対象脊椎を特徴付けることは、前記集合の中の2つ以上のパラメータの相対的な比較を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記画像の前記皮質終板部の前記側面外形の少なくとも前記推定された輪郭を近似する前記モデル形状を表現する前記モデルパラメータの集合に基づいて、前記皮質終板部の陥没および前記皮質終板部の骨折のうちの少なくとも一方が前記対象脊椎の前記側面図の前記デジタル化された画像の中に存在するかどうかを自動的に決定することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記画像の前記皮質終板部の前記側面外形の少なくとも前記推定された輪郭を近似する前記モデル形状の視覚的表現を表示することと、
前記表示されたモデル形状を修正するため入力を受信することと、
前記修正されたモデル形状を表現するため前記パラメータの集合を修正することと、
をさらに備え、
前記対象脊椎を自動的に特徴付けることは、前記修正されたモデルパラメータの集合に基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記脊椎の形状の変化を表現する前記コンピュータモデルの前記パラメータの集合は、脊椎の病的変化および非病的変化の前記サンプル集合の特徴のための平均空間位置を表現する情報を含み、前記パラメータの集合は前記特徴が前記平均空間位置から変化することができる量の指標を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記画像の前記皮質終板部の前記側面外形の少なくとも前記推定された輪郭を近似する前記モデル形状を表現する前記モデルパラメータの集合を決定するため前記コンピュータモデルの前記パラメータのうちの少なくとも1つを変化させることは、
前記コンピュータモデルの形状のインスタンスに沿った位置に対応する前記対象脊椎の画像上の位置から画像データの集合をサンプリングすることと、
前記画像データの集合に基づいて、前記対象脊椎の前記画像と前記コンピュータモデルの前記形状の前記インスタンスとの間の適合度を推定することと、
反復的に、コンピュータモデルの形状の連続的なインスタンスと前記画像との前記適合度の差が所定の基準を満たすまで、前記コンピュータモデルの前記少なくとも1つのパラメータを変化させ、前記コンピュータモデルの前記形状の前記変化させられたインスタンスに沿った位置に対応する前記対象脊椎の前記画像の位置から前記画像データの集合をサンプリングし、前記対象脊椎の前記画像からの前記画像データの集合に基づいて前記対象脊椎の前記画像と前記コンピュータモデルの前記形状の前記変化させられたインスタンスとの間の前記適合度を推定することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記所定の基準は、コンピュータモデルの前記形状の連続的なインスタンスと前記画像との前記適合度が適合度の改善を表さないときに満たされる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記所定の基準は、所定回数の反復が行われたときに満たされる、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記デジタル化された画像は、前記被験者の2つ以上の脊椎を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記2つ以上の脊椎のうちのどれが対象脊椎であるかの指示を受信することをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記デジタル化された画像は、X線画像、磁気共鳴画像、および、コンピュータ断層画像のうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの対象脊椎が、ほ乳類背骨のT4脊椎からL4脊椎までのうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
脊椎の病的変化および非病的変化の前記サンプル側面画像の集合のうちの少なくとも50%が病的変化である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記モデルパラメータの集合に基づいて前記対象脊椎を自動的に特徴付けることは、6点形態計測と、脊椎形状と、脊椎高さと、脊椎高さ比と、脊椎間の空間指標と、脊柱後弯症角度指標と、脊柱後弯症不規則性指標とのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
重複後方マージンと、重複終板部マージンと、前方マージンと、前方マージンの下方部分の骨棘と、前方マージンの上方部分の骨棘とのうちの少なくとも1つを有する対象脊椎の側面図のデジタル化された画像を自動的に特徴付ける方法であって、
モデル構築段階中に、脊椎の病的変化および非病的変化のサンプル側面画像の集合から、前記脊椎の形状の変化を表現するためのパラメータの集合を含むコンピュータモデルを構築することと、
ランタイム段階中に、被験者の少なくとも1つの対象脊椎の側面図のデジタル化された画像を受信することと、
前記ランタイム段階中に、前記画像の前記少なくとも1つの対象脊椎の前記重複後方マージンの輪郭と、前記重複終板部マージンの輪郭と、前記前方マージンの輪郭と、前方マージンの前記下方部分の骨棘の輪郭と、前方マージンの前記上方部分の骨棘の輪郭とのうちの少なくとも1つを自動的に推定することと、
前記ランタイム段階中に、前記画像の前記重複後方マージンの輪郭と、前記重複終板部マージンの輪郭と、前記前方マージンの輪郭と、前方マージンの前記下方部分の骨棘の輪郭と、前方マージンの前記上方部分の骨棘の輪郭とのうちの少なくとも1つを近似するモデル形状を表現するモデルパラメータの集合を決定するため前記コンピュータモデルの前記パラメータのうちの少なくとも1つを変化させることと、
前記ランタイム段階中に、前記画像の前記重複後方マージンの輪郭と、前記重複終板部マージンの輪郭と、前記前方マージンの輪郭と、前記前方マージンの前記下方部分の骨棘の輪郭と、前記前方マージンの前記上方部分の骨棘の輪郭とのうちの少なくとも1つを近似する前記モデル形状を表現する前記モデルパラメータの集合に基づいて前記対象脊椎を自動的に特徴付けることと、
前記対象脊椎の特徴付けを表示装置に出力することと、
を備える方法。
【請求項16】
前記モデルパラメータの集合に基づいて前記対象脊椎を特徴付けることは、前記集合の中の2つ以上のパラメータの相対的な比較を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記画像の前記重複後方マージンの輪郭と、前記重複終板部マージンの輪郭と、前記前方マージンの輪郭と、前記前方マージンの前記下方部分の骨棘の輪郭と、前記前方マージンの前記上方部分の骨棘の輪郭とのうちの少なくとも1つを近似する前記モデル形状の視覚的表現を表示することと、
前記表示されたモデル形状を修正するため入力を受信することと、
前記修正されたモデル形状を表現するため前記パラメータの集合を修正することと、
をさらに備え、
前記対象脊椎を自動的に特徴付けることは、前記修正されたモデルパラメータの集合に基づいている、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記脊椎の形状の変化を表現する前記コンピュータモデルの前記パラメータの集合は、脊椎の病的変化および非病的変化の前記サンプル集合の特徴のための平均空間位置を表現する情報を含み、前記パラメータの集合は前記特徴が前記平均空間位置から変化することができる量の指標を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記画像の重複後方マージンの輪郭と、前記重複終板部マージンの輪郭と、前記前方マージンの輪郭と、前記前方マージンの前記下方部分の骨棘の輪郭と、前記前方マージンの前記上方部分の骨棘の輪郭とのうちの少なくとも1つを近似する前記モデル形状を表現する前記モデルパラメータの集合を決定するため前記コンピュータモデルの前記パラメータのうちの少なくとも1つを変化させることは、
前記コンピュータモデルの形状のインスタンスに沿った位置に対応する前記対象脊椎の前記画像上の位置から画像データの集合をサンプリングすることと、
前記画像データの集合に基づいて、前記対象脊椎の画像と前記コンピュータモデルの前記形状の前記インスタンスとの間の適合度を推定することと、
反復的に、前記コンピュータモデルの形状の連続的なインスタンスと前記画像との適合度の間の差が所定の基準を満たすまで、前記コンピュータモデルの前記少なくとも1つのパラメータを変化させ、前記コンピュータモデルの前記形状の前記変化させられたインスタンスに沿った位置に対応する前記対象脊椎の前記画像の位置から前記画像データの集合をサンプリングし、前記対象脊椎の前記画像からの前記画像データの集合に基づいて前記対象脊椎の前記画像と前記コンピュータモデルの形状の前記変化させられたインスタンスとの間の前記適合度を推定することと、
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記所定の基準は、コンピュータモデルの前記形状の連続的なインスタンスと前記画像との前記適合度が適合度の改善を表さないときに満たされる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記所定の基準は、所定回数の反復が行われたときに満たされる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記デジタル化された画像は、前記被験者の2つ以上の脊椎を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記2つ以上の脊椎のうちのどれが対象脊椎であるかの指示を受信することをさらに備える、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記デジタル化された画像は、X線画像、磁気共鳴画像、および、コンピュータ断層画像のうちの1つである、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの対象脊椎が、ほ乳類背骨のT4脊椎からL4脊椎までのうちの少なくとも1つである、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
脊椎の病的変化および非病的変化の前記サンプル側面画像の集合のうちの少なくとも50%が病的変化である、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2011−523573(P2011−523573A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511773(P2011−511773)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/045276
【国際公開番号】WO2009/154977
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(510316420)オプタジア メディカル インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】