説明

高リン酸血症のための亜鉛含有処置

被験体における高リン酸血症の処置方法は、有効量の薬学的に許容され得る亜鉛塩を被験体に投与する工程を含む。医薬組成物は、薬学的に許容され得る担体、薬学的に許容され得る亜鉛塩、およびリン酸塩金属イオン封鎖剤を含む。一つの態様において、リン酸塩金属イオン封鎖剤は、薬学的に許容され得るランタン、カルシウム、マグネシウムおよび鉄の塩から選ばれる。別の態様において、リン酸塩金属イオン封鎖剤はアミンポリマーであり、アミンポリマーにおけるアミン窒素原子に対するイオン塩の亜鉛イオンのモル比は0.1〜3.0である。本発明はまた、薬学的に許容され得る担体、薬学的に許容され得る亜鉛塩、ならびにリン酸輸送インヒビター、およびHMG-CoAレダクターゼインヒビターおよびアルカリホスファターゼインヒビターからなる群より選ばれる物質を含む医薬組成物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、その全体の教示が参照により本明細書に援用される、2004年12月30日に出願された米国仮特許出願第60/640,643号の利益を主張する。
【0002】
(発明の背景)
不十分な腎臓機能、副甲状腺機能低下症、または他の特定の病状を持つ人々はしばしば、高リン酸血症、または高い血清リン酸塩値を有する。高リン酸血症は、特に長期間存在する場合、副甲状腺機能低下症、骨疾患ならびに関節、肺、眼および脈管構造における石灰化によってしばしば現れる、カルシウムおよびリン代謝において重度の異常をもたらす。腎不全を示す患者にとって、正常範囲内の血清リン酸塩の上昇は、腎不全の進行および心血管系イベントの危険性の増加に関連している。
【0003】
腸のリン酸塩を結合して吸収を抑制する特定のリン酸結合剤の経口投与もまた提案されている。通常のリン酸結合剤としては、カルシウム塩、アルミニウム塩およびマグネシウム塩が挙げられる。より最近は、ランタン塩および鉄塩がリン酸結合剤として用いられている。カルシウム治療の主な課題は、摂取カルシウムの多量の吸収からしばしば起こる高カルシウム血症であり、心不整脈、腎不全、ならびに皮膚および内蔵の石灰化などの重度の副作用を引き起こし得る。従って、血清カルシウムレベルの頻繁な監視が、カルシウム系リン酸結合剤による治療の間に必要である。Amphojel(登録商標)アルミニウム水酸化物ゲルなどの、アルミニウム系リン酸結合剤もまた、高リン酸血症を処置するために用いられている。しかし、アルミニウムゲルの長期使用はアルミニウムの蓄積をもたらし、脳症、骨軟化症、およびミオパシーなどの症状が付随したアルミニウム毒性をしばしばもたらす。他のカルシウムおよびアルミニウムがないリン酸結合剤は、治療効果を持つために必要な投与量および投与頻度を含む欠点を有する。
【0004】
その結果として、高リン酸血症に対する代替療法の必要性がある。特に、患者の薬剤服用順守を改善するために、1日用量を減少した治療がより望ましい。
【0005】
(発明の概要)
薬学的に許容され得る亜鉛塩は尿中リン酸レベルを低下するために効果的な物質であることが、現在発見されている。実施例1に示すように、例えば、酸化亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛二水和物、グリシン酸亜鉛一水和物およびクエン酸亜鉛二水和物は、インビボでの尿中リン酸レベルを実質的に低下させる。例えば、Purina 5002中の0.5重量%の酸化亜鉛を投与したイエSprague Dawley(SD)ラットの尿中に排出されたリン酸量は、酸化亜鉛治療を受けなかった対照ラットの18.4%であった。この発見に基づき、高リン酸血症を有する被験体を処置する新規の方法および新規医薬組成物が本明細書に開示される。
【0006】
一つの態様において、本発明は被験体における高リン酸血症の処置方法である。該方法は、有効量の薬学的に許容され得る亜鉛塩を被験体に投与する工程を含む。
【0007】
別の態様において、本発明は、薬学的に許容され得る担体、薬学的に許容され得る亜鉛塩、およびアミンポリマーを含む医薬組成物であり、ここでアミンポリマーにおけるアミン窒素原子に対する亜鉛塩の亜鉛イオンのモル比は0.1〜3.0である。
【0008】
さらに別の態様において、本発明は、薬学的に許容され得る担体、薬学的に許容され得る亜鉛塩、ならびに薬学的に許容され得るランタン塩、薬学的に許容され得るカルシウム塩、薬学的に許容され得るマグネシウム塩、薬学的に許容され得る鉄塩、リン酸輸送インヒビター、HMG-CoAレダクターゼインヒビターおよびアルカリホスファターゼインヒビターからなる群より選ばれる物質を含む医薬組成物である。
【0009】
本明細書に開示される医薬組成物および方法は、尿中リン酸レベルを低下し得、ひいては高リン酸血症、慢性腎不全、副甲状腺機能低下症、またはリン酸代謝障害に関連する疾患を処置するために用いられ得る。
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明において、薬学的に許容され得る亜鉛塩が利用される。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る亜鉛塩」とは、投与される用量で、容認できない副作用をもたらさない亜鉛化合物を意味する。薬学的に許容され得る亜鉛塩は、水溶性または水不溶性であり得る。
【0011】
「薬学的に許容され得る亜鉛塩」は、薬学的に許容され得る亜鉛塩の様々な多形体を含み得ることが理解される。用語「多形体」は化合物の固体結晶性形状をいい、そのそれぞれが様々な物理的、化学的または分光学的な性質を示し得る。
【0012】
「薬学的に許容され得る亜鉛塩」はまた、化学量論的量または非化学量論的量の溶媒、例えば、非共有結合性分子間力で結合した水または有機溶媒を含む、薬学的に許容され得る亜鉛塩の様々な溶媒和物を含み得る。
【0013】
好ましい薬学的に許容され得る亜鉛塩は、高い重量割合の亜鉛を有する、および/または高い密度を有する。これらの亜鉛塩は、1日用量を最小限にし得る。本発明のために適切な薬学的に許容され得る亜鉛塩の例としては、酢酸亜鉛、臭化亜鉛、カプリル酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、ギ酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛、ヨウ素酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、ヨウ化亜鉛-デンプン、乳酸亜鉛、硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、蓚酸亜鉛、酸化亜鉛、カラミン(少ない割合の酸化鉄を有する酸化亜鉛)、p-フェノールスルホン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、硫化亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、吉草酸亜鉛およびエチレンビス(ジチオカルバメート)亜鉛が挙げられる。別例としてはポリ(アクリル酸亜鉛)が挙げられる。任意に、薬学的に許容され得る亜鉛塩の混合物が開示される方法および医薬組成物において使用され得る。
【0014】
一つの態様において、薬学的に許容され得る亜鉛塩という用語は、脂肪酸の亜鉛塩を除く。本明細書に使用される「脂肪酸」は、ステアリン酸、アラキドン酸またはリノール酸などの、15〜50の炭素原子(例えば、15〜25の炭素原子または17〜20の炭素原子)を有する、飽和、不飽和、分岐または直鎖状の脂肪族カルボン酸を意味する。
【0015】
本発明における好ましい薬学的に許容され得る亜鉛塩の例としては、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、炭酸亜鉛および酒石酸亜鉛、より好ましくは酸化亜鉛が挙げられる。
【0016】
本発明はまた、薬学的に許容され得る担体、薬学的に許容され得る亜鉛塩、およびリン酸塩金属イオン封鎖剤を含む医薬組成物を含む。任意で、本発明の医薬組成物は薬学的に許容され得る亜鉛塩の混合物を含む。該組成物のための薬学的に許容され得る亜鉛塩の適切な例は上述の通りである。
【0017】
本明細書で使用される場合、「リン酸塩金属イオン封鎖剤」とは、リン酸に結合する薬学的に許容され得る化合物を意味する。リン酸塩金属イオン封鎖剤は、カルシウム含有、アルミニウム含有、マグネシウム含有、ランタン含有もしくは鉄含有リン酸結合剤、または(その内容が参照により本明細書にその全体が援用される)米国特許第5,496,545号、5,667,775号および6,083,495号において開示されるリン酸結合アミンポリマーであり得る。好ましくは、リン酸結合ポリマーはアミンポリマー、より好ましくは脂肪族アミンポリマーである。
【0018】
アミンポリマーは、少なくとも一つのアミン基を含む繰り返し単位を特徴とする。アミン基は、ポリマー主鎖の一部(例えば、ポリエチレンイミンなどのポリアルキレンイミン)、ポリマー主鎖からの懸垂物(例えば、ポリアリルアミン)であり得るか、またはアミン基の両方の種類が同じ繰り返し単位および/もしくはポリマー中に存在し得る。アミンポリマーとしては脂肪族アミンポリマーおよび芳香族アミンポリマーが挙げられる。語「アミン」は本明細書で使用される場合、第1アミン、第2アミンおよび第3アミン、ならびにトリアルキルアンモニウムなどのアンモニウム基を含む。
【0019】
芳香族アミンポリマーは、一つ以上の繰り返し単位中に芳香族アミン部分を含む。芳香族アミンポリマーの例は、ポリ(アミノスチレン)(例えばコレスチラミン)である。
【0020】
脂肪族アミンポリマーは、少なくとも一つの脂肪族アミン基を含む繰り返し単位を特徴とする。脂肪族アミンポリマーは、脂肪族アミンモノマーを重合する
ことにより得られ得る。脂肪族アミンは、飽和または不飽和の、直鎖、分岐または環状の、アミン置換基および任意で一つ以上のさらなる置換基を有する非芳香族炭化水素である。脂肪族アミンモノマーは、オレフィンなどの重合性基(polymerizable group)を含む脂肪族アミンである。適切な脂肪族アミンポリマーは、その内容が参照により本明細書にその全体が援用される、米国特許第5,487,888号、5,496,545号、5,607,669号、5,618,530号、5,624,963号、5,667,775号、5,679,717号、5,703,188号、5,702,696号、5,693,675号、5,900,475号、5,925,379号、6,083,497号、6,177,478号、6,083,495号、6,203,785号、6,423,754号、6,509,013号、6,605,270号、6,726,905号、6,733,780号および6,858,203号、ならびに米国公開出願第2002/0159968 A1および2003/0086898 A1に開示されている。
【0021】
脂肪族アミンポリマーは、一つ以上の脂肪族アミンモノマーのホモポリマーもしくはコポリマー、またはアミンを含まず好ましくは不活性で無毒である一つ以上のモノマーと組み合わせた一つ以上の脂肪族アミンモノマーのコポリマーであり得る。アミンを含まない適切なモノマーの例としては、ビニルアルコール、アクリル酸、アクリルアミド、およびビニルホルムアミドが挙げられる。あるいは、脂肪族アミンポリマーは、二つ以上の異なる脂肪族アミンモノマーのコポリマーであり得る。
【0022】
脂肪族アミンポリマーの例としては、式(1)〜(6):
【化1】





から選ばれる一つ以上の繰り返し単位を有するポリマー、またはその塩もしくはコポリマーが挙げられ、yは0または1以上の整数(例えば、約1〜約10、好ましくは1〜4、より好ましくは1)であり、各R、R1、R2およびR3は独立して、H、置換または非置換のアルキル基(例えば、全てを含めて1〜25個または1〜5個の炭素原子)またはアリール(例えば、フェニル)基であり、各X-は交換可能な負に帯電した対イオンである。
【0023】
好ましくは、R、R1、R2またはR3の少なくとも1つは水素原子である。より好ましくは、これらの基のそれぞれが水素である。
【0024】
R、R1、R2、およびR3で表されるアルキル基またはアリール基は、一つ以上の置換基を担持し得る。適切な置換基としては、カチオン基、例えば第4アンモニウム基、またはアミン基、例えば第1、第2もしくは第3アルキルアミンもしくはアリールアミンが挙げられる。他の適切な置換基の例としては、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキサミド、スルホンアミド、ハロゲン、アルキル、アリール、ヒドラジン、グアニジン、尿素、ポリ(エチレンイミン)などのポリ(アルキレンイミン)、およびカルボン酸エステルが挙げられる。
【0025】
好ましくは、脂肪族アミンポリマーは、ホモポリアリルアミンポリマー、ホモポリビニルアミンポリマー、ホモポリジアリルアミンポリマーまたはポリエチレンアミンポリマーなどのホモポリマーであるが、またコポリマーでもあり得る。
【0026】
一つの態様において、脂肪族アミンポリマーは、構造式(7):
【化2】


の一つ以上の繰り返し単位を特徴とするホモポリマーもしくはコポリマー、またはその薬学的に許容され得る塩であり、xは0または1〜4の整数、好ましくは1である。構造式(7)で表されるポリマーは、架橋剤により有利に架橋される。
【0027】
本発明に用いられる好ましい脂肪族アミンポリマーは、重合アリルアミンモノマーからの繰り返し単位を有するポリマーであるポリアリルアミンポリマーである。アリルアミンモノマーのアミン基は、非置換であり得るか、または例えば一つもしくは二つのC1〜C10の直鎖もしくは分岐のアルキル基で置換され得る。これらのアルキル基は、一つ以上のヒドロキシル基、アミン基、ハロ基、フェニル基、アミド基またはニトリル基と任意で置換される。好ましくは、本発明において用いられ得る脂肪族アミンポリマーは、構造式(8):
【化3】


で表される繰り返し単位を含むポリアリルアミンポリマーである。
【0028】
本発明で用いられ得るポリアリルアミンポリマーは、二つ以上の異なる重合アリルアミンモノマーからの繰り返し単位を含むか、一つ以上の重合アリルアミンモノマーからの繰り返し単位およびアリルアミンでない一つ以上の重合モノマーからの繰り返し単位を有するコポリマーを含む得る。アリルアミンでない適切なモノマーの例としては、アクリルアミドモノマー、アクリレートモノマー、マレイン酸、マリミド(malimide)モノマー、アシル化ビニルモノマーおよびアルキル置換のオレフィンが挙げられる。あるいは、他のオレフィン脂肪族アミンモノマーはアリルアミンモノマーと重合され得る。しかし好ましくは、本発明で用いられるポリアリルアミンポリマーは、重合アリルアミンモノマーだけからの繰り返し単位を含む。より好ましくは、本発明で用いられるポリアリルアミンポリマーはホモポリマーである。さらに好ましくは、本発明で用いられるポリアリルアミンポリマーは構造式(8)で表される繰り返し単位のホモポリマーである。開示される発明で用いられるポリアリルアミンポリマーは、好ましくは架橋ポリマー、より好ましくは架橋ホモポリマーである。
【0029】
本発明での使用に適切な脂肪族アミンポリマーの他の例は、ジエチレントリアミンのコポリマーであり、好ましくは多機能性架橋剤により架橋されている。好ましくは、脂肪族アミンポリマーはコレスチポールなどのジエチレントリアミンのエピクロルヒドリン-架橋コポリマーである。
【0030】
他の態様において、本発明での使用に適切なアミンポリマーは、ポリブテニルアミン、ポリリジン、またはポリアルギニンのホモポリマーまたはコポリマーであり得る。
【0031】
アミンポリマー(脂肪族アミンポリマーおよび芳香族アミンポリマー)は通常、架橋剤で架橋されている。好ましくは、アミンポリマーは架橋剤などで架橋することにより水不溶性にされている。適切な架橋剤としては、アミンモノマーのアミン基と反応する官能基を有する架橋剤が挙げられる。あるいは、架橋剤はアミンモノマーとのフリーラジカル重合を受ける二つ以上のビニル基を含み得る。場合によっては、アミンポリマーは重合後に架橋される。
【0032】
適切な架橋剤の例としては、ジアクリレートおよびジメチルアクリレート(例えば、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートおよびポリエチレングリコールジアクリレート)、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、エチレンビスメタクリルアミド、エチリデンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールAのジグリシダールエーテル、ピロメリット酸二無水物、トルエンジイソシアネート、エチレンジアミンおよびジメチルスクシネート、ジメタクリレート、およびビスフェノールAジアクリレートが挙げられる。好ましい二官能性架橋剤の例としては、エピクロルヒドリン、1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2エタンジオールジグリシジルエーテル、1,3-ジクロロプロパン、1,2-ジクロロエタン、1,3-ジブロモプロパン、1,2-ジブロモエタン、二塩化スクシニル、ジメチルスクシネート、トルエンジイソシアネート、アクリロイルクロライドおよびピロメリット酸二無水物が挙げられる。エピクロルヒドリンは、その高い利用可能性および低費用のために、最も好ましい架橋剤である。エピクロルヒドリンはまた、ポリアミンの水膨張性およびゲル特性を増加する、その低分子量および親水性性質のために好都合である。エピクロルヒドリンは2-ヒドロキシプロピル架橋基を形成する。
【0033】
既に重合した物質への架橋を誘導する他の方法としては、限定されないが、電離放射線、紫外線、電子ビーム、ラジカル、および熱分解への暴露が挙げられる。
【0034】
架橋のレベルが、架橋アミンポリマーを不溶にし、実質的に吸収および分解を起きにくくさせ、それにより架橋アミンポリマーの活性を胃腸管に限定させ、患者における潜在的な副作用を減少する。通常、架橋剤は、アミンモノマーに架橋剤を加えた総重量に対して、0.5〜35重量%(0.5〜25重量%、2.5〜20重量%または1〜10重量%など)で存在する。
【0035】
通常、約3%〜約30%、好ましくは6%〜約21%のアリル窒素原子は架橋基に結合される。
【0036】
アミンポリマーはまたさらに誘導され得る、例としては、例えばその教示が参照により本明細書にその全体が援用される、米国特許第5,679,717号、5,607,669号および5,618,530号に記載されるようなアルキル化アミンポリマーが挙げられる。好ましいアルキル化剤としては、(脂肪族疎水基などの)疎水基および/または第4アンモニウム置換アルキル基もしくはアミン置換アルキル基が挙げられる。
【0037】
非架橋および架橋ポリアリルアミンポリマーおよびポリビニルアミンポリマーは、当該技術分野で一般に公知であり、市販されている。ポリアリルアミンポリマーおよびポリビニルアミンポリマー、およびそれらの架橋誘導体の製造方法は、上記米国特許に記載されている。参照により本明細書にその全体が援用される、Haradaらによる特許(米国特許第4,605,701号および4,528,347号)はまた、ポリアリルアミンポリマーおよび架橋ポリアリルアミンポリマーの製造方法を記載している。Stuttsらによる特許(米国特許第6,180,754号)は、架橋ポリアリルアミンポリマーのさらなる製造方法を記載している。
【0038】
アミンポリマーの分子量は、アミンポリマーが実質的に胃腸管で吸収されないほど分子量が大きいならば、重大とは考えられない。通常、アミンポリマー、好ましくは脂肪族アミンポリマーの分子量は、少なくとも1000である。例えば分子量は、約1000から約5百万、約1000から約3百万、約1000から約2百万、または約1000から約百万であり得る。
【0039】
本発明で用いられるアミンポリマーは、任意でプロトン化され得、一つの態様において、そのアミン基の40%未満、例えば30%未満、20%未満または10%未満などがプロトン化されたアミンポリマーを含む。別の態様において、35%から45%のアミンがプロトン化されている(例えばおよそ40%)。適切にプロトン化されたアミンポリマーの例は塩酸セベラマーである。
【0040】
上述のように、アミンポリマーは薬学的に許容され得る塩の形態で投与され得る。アミンポリマーの「薬学的に許容され得る塩」という用語は、それらの無機酸、有機酸、溶媒和物、水和物、または包接体を含む、薬学的に許容され得る無毒の酸から調製されて投与されるアミンポリマーの塩をいう。従って、アミンポリマーの繰り返し単位における窒素基はプロトン化されて、負に帯電した対イオンと結合する正に帯電した窒素原子を作り出す。かかる無機酸の例は、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、およびリン酸である。適切な有機酸は、例えば有機酸の脂肪族酸、芳香族酸、カルボン酸およびスルホン酸類から選ばれ得、その例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、カンファースルホン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、イセチオン酸、乳酸、リンゴ酸、粘液酸、酒石酸、パラ-トルエンスルホン酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フラン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン(embonic)酸(パモン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシル酸)、ステアリン酸、スルファニル酸、アルギン酸、ガラクツロン酸などである。
【0041】
適切な対イオンの例としては、有機イオン、無機イオン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。例えば適切な対イオンとしては、ハロゲン化物(例えば、F-、Cl-、Br-およびI-)、CH3OSO3-、HSO4-、SO42-、HCO3-、CO32-、酢酸イオン、乳酸イオン、コハク酸イオン、プロピオン酸イオン、蓚酸イオン、酪酸イオン、アスコルビン酸イオン、クエン酸イオン、クエン酸二水素イオン、酒石酸イオン、タウロコール酸イオン、グリココール酸イオン、コール酸イオン、クエン酸水素イオン、マレイン酸イオン、安息香酸イオン、葉酸イオン、アミノ酸誘導体、ヌクレオチド、脂質、またはリン脂質が挙げられる。好ましいアニオンは、Cl-、HCO3-、CO32-またはそれらの組み合わせ(例えば混合した炭酸塩および重炭酸塩、混合した炭酸塩および塩酸塩、または混合した重炭酸塩および塩酸塩)である。対イオンは互いに同じであり得るか異なり得る。例えば、アミンポリマーは二つ以上の異なる種類の対イオンを含み得る。
【0042】
好ましい態様において、本発明に用いられるアミンポリマーは、セベラマーおよびコレセベラムなどのエピクロルヒドリン-架橋ポリアリルアミンポリマーである(例えば、その内容が参照により本明細書に援用される、米国特許第6,423,754号、5,607,669号、および5,679,717号参照)。より好ましい態様において、ポリアリルアミンポリマーは、エピクロルヒドリンと架橋しており、約9%〜約30%(好ましくは約15%〜約21%)のアリル窒素原子が架橋基に結合されており、アニオンが塩化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩またはそれらの混合塩である。
【0043】
特に好ましいアミンポリマーは、約9.0〜9.8重量%、好ましくは9.3〜9.5重量%のエピクロルヒドリンと架橋した塩酸ポリアリルアミンであり、商標名RENAGEL(登録商標)で販売されるHClセベラマーとして公知の薬物の活性化学成分である。構造は以下のように表される:
【化4】


式中、
aおよびbの和(第1アミン基の数)が9であり、
c(架橋基の数)が1であり、
n(プロトン化アミンの比)が0.4であり、および
mが(延長した高分子網目を示すための)大きな数である。
【0044】
別の特に好ましいアミンポリマーは、エピクロルヒドリンと架橋して、1-ブロモデカンおよび(6-ブロモヘキシル)-トリメチルアンモニウム臭化物でアルキル化された塩酸ポリアリルアミンであり、HClコレセベラムと称され、米国でWELCHOL(登録商標)として市販されている。
【0045】
さらに別の特に好ましい態様において、アミンポリマーはセベラマーの炭酸塩、セベラマーの重炭酸塩、混合したセベラマーの炭酸塩および重炭酸塩、または混合したセベラマーの炭酸塩および塩酸塩である。
【0046】
他の態様において、一価のアニオン源は脂肪族アミンポリマーの炭酸塩と混合される。脂肪族アミンポリマーの炭酸塩および一価のアニオン源の様々な例は、その全体の内容が参照により本明細書に援用される、2004年11月1日に出願された米国仮出願第60/624,001号「錠剤化のための脂肪族アミンポリマー塩(Aliphatic Amine Polymer Salts For Tableting)」および2004年11月17日に出願された米国仮出願第60/628,752号「錠剤化のための脂肪族アミンポリマー塩(Aliphatic Amine Polymer Salts For Tableting)」に開示されている。
【0047】
一価のアニオンは、脂肪族アミンポリマーの炭酸塩および一価のアニオン源の合わせた重量の少なくとも0.01重量%、好ましくは0.05重量%、より好ましくは0.01重量%〜2重量%、0.05重量%〜1重量%、0.08重量%〜0.5重量%、または0.1重量%〜0.3重量%の範囲を占める。
【0048】
適切な一価のアニオンの例としては、ハロゲン化物(例えば、Cl-、I-、F-およびBr-)、CH3OSO3-、HSO4-、酢酸イオン、乳酸イオン、酪酸イオン、プロピオン酸イオン、硫酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硝酸イオン、スルホン酸イオン、蓚酸イオン、コハク酸イオンまたはパルモ酸(palmoate)イオンなどの、有機イオン、無機イオン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい一価のアニオンはハロゲン化物であり、最も好ましくは塩化物である。
【0049】
また、一価のアニオン源は、一価のアニオンの薬学的に許容され得る酸、アンモニウムまたは金属塩であり得る。好ましくは、金属塩は亜鉛塩ではない。一価のアニオン源の好ましい例としては、塩化ナトリウムおよび塩化水素酸が挙げられる。一つの好ましい態様において、本発明の製剤はセベラマーの炭酸塩および塩化ナトリウムを含む。別の好ましい態様において、本発明の製剤はセベラマーの炭酸塩および塩化水素酸を含む。
【0050】
さらに別の態様において、脂肪族アミンポリマーの炭酸塩が本発明において含まれる場合、一価のアニオン源は、上記構造式(1)〜(8)で表される繰り返し単位を含む脂肪族アミンポリマーの一価のアニオン塩であり得る。この態様において、脂肪族アミンポリマーの一価のアニオン塩および脂肪族アミンポリマーの炭酸塩は物理的に混合され得る。あるいは、単独の脂肪族アミンポリマーは炭酸および一価のアニオン両者を含み、単独の脂肪族アミンポリマーの混合した炭酸塩および一価のアニオン塩を形成し得る。脂肪族アミンポリマーの一価のアニオン塩および脂肪族アミンポリマーの炭酸塩が物理的に混合される場合、脂肪族アミンポリマーの一価のアニオン塩は脂肪族アミンポリマーの炭酸塩と同じまたは異なる脂肪族アミンポリマーであり得る。
【0051】
上述のようなアミンポリマーが本発明の薬学的に許容され得る亜鉛塩と併用される場合、アミンポリマーおよび薬学的に許容され得る亜鉛塩は、単独の医薬組成物に共製剤化され得るか、あるいは別の医薬組成物で共投与され得る。
【0052】
一部の態様において、アミンポリマー、好ましくは脂肪族アミンポリマー、および薬学的に許容され得る亜鉛塩は単独の医薬組成物に共製剤化される。アミンポリマーおよび薬学的に許容され得る亜鉛塩は、それらの混合物として存在し得る。あるいは、薬学的に許容され得る亜鉛塩は上述のように、架橋アミンポリマー、好ましくは架橋脂肪族アミンポリマー中に取り込まれ(entrain)得る。本明細書で使用される場合、語句「架橋アミンポリマー中に取り込まれた薬学的に許容され得る亜鉛塩」とは、架橋アミンポリマーが薬学的に許容され得る亜鉛塩を、例えば架橋によってできた一つのポケット(または複数のポケット)に取り込む(encapture)ことを意味する。架橋アミンポリマー、好ましくは架橋脂肪族アミンポリマーに取り込まれた薬学的に許容され得る亜鉛塩は、薬学的に許容され得る亜鉛塩の存在下で上述のようにアミンポリマーを架橋することにより調製され得る。例えば、ポリアリルアミンポリマーは、酸化亜鉛の存在下でエピクロルヒドリンなどの多機能性架橋剤(単数または複数)によって架橋され、酸化亜鉛を取り込んだ架橋ポリアリルアミンポリマーを形成し得る。アミンポリマー、架橋剤および薬学的に許容され得る亜鉛塩の様々な例および好ましい意義は上述の通りである。通常、架橋アミンポリマー、好ましくは架橋脂肪族アミンポリマー中に取り込まれた薬学的に許容され得る亜鉛塩を用いる場合、架橋剤はアミンモノマーに架橋剤を足した総重量に対して、0.5〜35重量%(0.5〜30重量%、2.5〜30重量%、5〜25重量%、5〜20重量%または5〜15重量%など)の量で存在する。
【0053】
アミンポリマー、好ましくは脂肪族アミンポリマー、および薬学的に許容され得る亜鉛塩が単独の医薬組成物に製剤化される場合、通常薬学的に許容され得る亜鉛塩の亜鉛イオンは、無水重量で医薬組成物の10〜30%、10〜25%、13〜25%、15〜22%および16〜20%など、5〜35%を占める。
【0054】
あるいは、薬学的に許容され得る亜鉛塩の亜鉛イオンは、無水重量で亜鉛塩およびアミンポリマーの遊離塩基の合わせた重量の10〜30%、10〜25%、13〜25%、15〜22%および16〜20%など、5〜35%を占める。本明細書中で、用語「アミンポリマーの遊離塩基」とは、どの対イオンも含まないアミンポリマーを意味する。医薬組成物における亜鉛塩の量がこのように表現される場合、医薬組成物におけるアミンポリマーがプロトン化されていないか、部分的にプロトン化されているか、または完全にプロトン化され得ることが理解される。しかし、アミンポリマーの重量は、そのアミンポリマーが対応する遊離塩基アミンポリマーであり、アミンポリマーの窒素原子の全てが遊離しておりどの対イオンにも結合されていないと仮定して計算される。
【0055】
あるいは、薬学的に許容され得る亜鉛塩は、ポリマーの全ての(プロトン化されたおよびプロトン化されていない)アミン窒素原子に対する薬学的に許容され得る亜鉛塩の亜鉛イオンのモル比が0.4〜3.0、0.4〜2.5、0.8〜2.0、0.8〜1.5および0.8〜1.3など、0.1〜3.0になるような量で医薬組成物に存在する。好ましくは、モル比は1である。この比は、アミンポリマーにおける窒素原子のモルに対する薬学的に許容され得る亜鉛塩の亜鉛イオンのモルの比率である。対イオンまたは架橋剤からの窒素が存在する場合、アミンポリマーのモルに含まれる。
【0056】
あるいは、薬学的に許容され得る亜鉛塩は、アミンポリマーの全ての窒素原子に対する薬学的に許容され得る亜鉛塩の亜鉛イオンの重量比が0.7〜2.0、1.0〜2.0および1.2〜1.8など、0.7〜2.5になるような量で医薬組成物に存在する。好ましくは、重量比は1.57である。この重量比は、(組成物全体ではないが)アミンポリマーにおける窒素原子のグラムに対する亜鉛イオンのグラムの比率である。従って対イオンまたは架橋剤からの窒素が存在する場合、アミンポリマーにおける窒素原子のグラムに含まれる。
【0057】
あるいは、薬学的に許容され得る亜鉛塩は、脂肪族アミンポリマーの遊離塩基に対する薬学的に許容され得る亜鉛塩の亜鉛イオンの重量比が0.2〜1.0、0.3〜1.0、0.3〜0.8および0.3〜0.5など、0.2〜1.2になるような量で医薬組成物に存在する。好ましくは、重量比は0.42である。用語「アミンポリマーの遊離塩基」は上述の通りである。従ってこの比は、アミンポリマーにおけるどの対イオンからのどの重量も含まないアミンポリマーのグラムに対する亜鉛イオンのグラムの比率である。
【0058】
本発明で用いるために適切な他のリン酸塩金属イオン封鎖剤としては、酢酸塩、炭酸塩、酸化物、水酸化物、クエン酸塩、アルギン酸塩、およびケト酸などの薬学的に許容され得るランタン塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩および鉄塩が挙げられる。炭酸カルシウム、酢酸カルシウム(PhosLo(登録商標)酢酸カルシウム錠剤など)、クエン酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、およびケト酸カルシウムを含むカルシウム塩は、リン酸結合のために利用されている。摂取カルシウムはリン酸塩と結合し、Ca3(PO4)2、CaHPO4、またはCa(H2PO4)2などの不溶性リン酸カルシウム塩を形成する。Amphojel(登録商標)水酸化アルミニウムゲルなどのアルミニウム系のリン酸塩金属イオン封鎖剤はまた高リン酸血症を処置するために用いられている。これらの化合物は腸のリン酸塩と複合し、非常に不溶性のリン酸アルミニウムを形成し、結合したリン酸塩は患者による吸収に利用できない。より最近は、鉄塩およびランタニド塩が用いられている。最も一般的に用いられるランタニド塩、炭酸ランタン(Fosrenol(登録商標))は炭酸カルシウムと同様に作用する。本発明で用いるために適切な他のリン酸塩金属イオン封鎖剤としては、薬学的に許容され得るマグネシウム塩が挙げられる。薬学的に許容され得るマグネシウム塩の様々な例は、その全体の教示が参照により本明細書に援用される、2005年11月8日に出願された米国仮出願第60/734,593号に記載される。具体的な適切な例としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハロゲン化マグネシウム(例えば、フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウムおよびヨウ化マグネシウム)、アルコキシドマグネシウム(例えばマグネシウムエトキシドおよびマグネシウムイソプロポキシド)、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびスチレンスルホン酸、ならびにそれらの組み合わせなどの有機酸のマグネシウム塩が挙げられる。これらのいずれかのリン酸塩金属イオン封鎖剤に関する場合、それらの混合物、多形体および溶媒和物が包含されることが理解される。
【0059】
一部の態様において、上述のリン酸塩金属イオン封鎖剤の混合物(例えば薬学的に許容され得るマグネシウム塩およびアミンポリマー、好ましくは脂肪族アミンポリマーの混合物、または薬学的に許容され得る鉄塩およびアミンポリマー、好ましくは脂肪族アミンポリマーの混合物)は、本発明において薬学的に許容され得る亜鉛塩と併用され得る。
【0060】
別の態様において、本発明の方法および医薬組成物は、リン酸輸送インヒビター、スタチンなどのHMG-CoAレダクターゼインヒビター、またはアルカリホスファターゼインヒビターと組み合わせた薬学的に許容され得る亜鉛塩の併用療法を対象とする。あるいは、薬学的に許容され得る亜鉛塩の混合物は、リン酸輸送インヒビター、スタチンなどのHMG-CoAレダクターゼインヒビター、またはアルカリホスファターゼインヒビターと共に用いられる。治療法のために適切な薬学的に許容され得る亜鉛塩は上述の通りである。
【0061】
リン酸輸送インヒビターの適切な例は、そのそれぞれの全体の教示が参照により本明細書に援用される、同時係属の米国出願公報第2004/0019113号および2004/0019020号ならびにWO2004/085448で見出し得る。
【0062】
本発明で用いられ得るリン酸輸送インヒビターの一例は、(米国出願公報第2004/0019113号に記載される)構造式(9):
【化5】


で表されるビス-アリール化合物、またはその薬学的に許容され得る塩である。これらのリン酸輸送インヒビターを、薬学的に許容され得る亜鉛塩または薬学的に許容され得る亜鉛塩の混合物と併用し得る。Ar1およびAr2は独立して置換もしくは非置換のアリール基であるか、または任意に置換した単環アリール基(例えばフェニル基)に縮合した任意に置換した5員環もしくは6員環の非芳香族複素環基である。W’およびY’は独立して共有結合であるか、またはC1〜C3置換もしくは非置換のアルキレン基(好ましくは共有結合または-CH2-、より好ましくは共有結合)である。X’は、ヘテロ原子含有官能基、芳香族複素環基、置換芳香族複素環基、非芳香族複素環基、置換非芳香族複素環基、オレフィン基または置換オレフィン基である。
【0063】
別の例において、(米国出願公報第2004/0019020号に記載される)構造式(10):
【化6】


で表されるリン酸輸送阻害化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグは、本発明において薬学的に許容され得る亜鉛塩または薬学的に許容され得る亜鉛塩の混合物と併用され得る。
【0064】
R2OおよびR21は独立して、-H、電子求引基またはC1〜C10アルキル基である。好ましくはR2OおよびR21は独立して、-Hまたは-Fである。
【0065】
Y1は、共有結合、置換メチレン基、非置換メチレン基、または-CR20R21P(O)(OH)-である。好ましくは、Y1は共有結合または-CHQ-であり、式中Qが、-H、-Fまたは低級アルキル基である。Y1はまた-CV2-であり得、Vが-H、-Fまたは低級アルキル基、好ましくは-Fである。
【0066】
R22は、アミン、アンモニウム、エーテル、チオエーテルまたはフェニレン結合基を任意に一つ以上含むヒドロカルビル基、アミン、アンモニウム、エーテル、チオエーテルまたはフェニレン結合基を任意に一つ以上含む置換ヒドロカルビル基、-Cl、-Br、-F、-CN、-NO2、-ORa、-OCF3、-N(Ra)2、-COORa、-CON(Ra)2、-CORa、-S(O)Ra、-S(O)2Ra、-S(O)2N(Ra)2、-NRaS(O)2Ra、-NRaCORaなどの-O(ハロゲン化した低級アルキル)から選ばれた一つ以上の基で置換されたヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基またはフェニル基、ハロゲン化した低級アルキル基、(例えばCF3)、ハロゲン化したアルコキシ基、アリール基または置換アリール基である。
【0067】
各Raは独立して、-H、低級アルキル、置換低級アルキル、アリールまたは置換アリールである。
【0068】
各R23は独立して、-H、低級アルキルまたはリン酸保護基である。好ましくは、R23は-Hである。
【0069】
別の例において、リン酸輸送インヒビターはホスホン酸ホスフィニル基(phosphinyl phosphonate group)を一つ以上含むポリマーである。好ましくは、ホスホン酸ホスフィニル基は(米国出願公報第2004/0019020号に記載される)構造式(11)、(12)または(13):
【化7】


で表される。構造式(11)、(12)または(13)におけるR2O、R21、R22、R23およびY1は構造式(10)について上述の通りである。また含まれるのは、構造式(11)、(12)または(13)で表されるホスホン酸ホルフィニル基のエステル(例えばアルキルエステル)である。
【0070】
リン酸輸送インヒビターのさらなる例は、(WO2004/085448に記載される)構造式(14)、(15)または(16):
【化8】


で表される化合物など、リン酸ホルフィニル基に直接隣接する二重結合または三重結合を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグである。
【0071】
R24およびR25は独立して、-H、-ORX、-N(RX)2、=0、=NRX、電子求引基または置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0072】
R26は、一つ以上の窒素原子、酸素原子または硫黄原子で任意に割り込まれた、置換または非置換のヒドロカルビル基である。
【0073】
R27およびR28は独立して、-H、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキル基、-C(O)RX、-C(O)ORX、-C(O)N(RX)2、-ORX、-SRX、-S(O)ORX、-S(O)ORX、-S(O)N(RX)2、-S(O)2ORX、-S(O)2N(RX)2、-N(RX)2、-N=N-RX、-CN、または-NO2である。
【0074】
各R29は独立して、-H、置換もしくは非置換のアルキル基、またはリン酸保護基である。
【0075】
X1は、共有結合、-CHY2、-C(Y2)2-、-C(O)-、-OC(O)-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-NRX-、-0-、-C(S)-、-SC(O)-、-SC(S)-、-NHC(O)NH-、または-NHC(NH)NH-である。
【0076】
Y2はハロゲンまたは低級アルキル基である。
【0077】
Rxは独立して、-H、置換もしくは非置換のアルキル基、または置換もしくは非置換のアリール基である。
【0078】
好ましくは、X1が共有結合の場合、R27およびR28は、ハロゲン、電子吸引基で置換したアルキル基、-C(O)RX、-C(O)ORX、-C(O)N(RX)2、-ORX、-SRX、-S(O)ORX、-S(O)ORX、-S(O)N(RX)2、-S(O)2ORX、-S(O)2N(RX)2、-N(RX)2、-N=N-RX、-CN、または-NO2である。
【0079】
本発明において用いられ得る他のリン酸輸送インヒビターとしては、懸垂のホスホン酸アルケニレンホスフィニル基もしくはホスホン酸アルキニレンホスフィニル基またはその薬学的に許容され得る塩もしくはそのエステルを一つ以上含むポリマーが挙げられる。一例において、ホスホン酸アルケニレンホスフィニル基もしくはホスホン酸アルキニレンホスフィニル基は、(WO2004/085448に記載される)構造式(17)、(18)または(19):
【化9】


で表されるか、またはその薬学的に許容され得る塩であり、X1、R24、R25、R27、R28およびR29は構造式(14)〜(16)について上述の通りである。
【0080】
本発明の併用療法のためのHMG-CoAレダクターゼインヒビターの適切な例としては、ロバスタチン(メビノリン)(例えばAltocor(登録商標)およびMevacor(登録商標))および関連化合物、プラバスタチン(例えばPravachol(登録商標)、Selektine(登録商標)およびLipostat(登録商標))および関連化合物、シムバスタチン(例えばZocor(登録商標))および関連化合物が挙げられる。本発明に用いられ得る他のHMG-CoAレダクターゼインヒビターとしては、フルバスタチン(例えばLescol(登録商標))、セリバスタチン(例えばBaycol(登録商標)およびLipobay(登録商標))、アトルバスタチン(例えばZarator(登録商標)およびLipitor(登録商標))、ピタバスタチン、ロスバスタチン(ビサスタチン(visastatin)(例えばCrestor(登録商標))、メバロノラクトンのキノリンアナログおよびその誘導体(その全体の教示が参照により本明細書に援用される米国特許第5,753,675号参照)、メバロノラクトン誘導体のピラゾールアナログ(その全体の教示が参照により本明細書に援用される米国特許第4,613,610号参照)、メバロノラクトン誘導体のインデンアナログ(その全体の教示が参照により本明細書に援用されるWO86/03488参照)、6-[2-(置換-ピロール-1-イル)-アルキル)ピラン-2-オンおよびその誘導体(その全体の教示が参照により本明細書に援用される米国特許第4,647,576号参照)、メバロノラクトンのイミダゾールアナログ(その全体の教示が参照により本明細書に援用されるWO86/07054参照)、3-ヒドロキシ-4(ジヒドロキソオキソホスホリオ(dihydroxooxophosphorio))ブタン酸誘導体(その全体の教示が参照により本明細書に援用されるフランス特許第2,596,393号参照)、メバロノラクトンのナフチルアナログ(その全体の教示が参照により本明細書に援用される米国特許第4,686,237号参照)、オクタヒドロナフタレン(その全体の教示が参照により本明細書に援用される米国特許第4,499,289号参照)、ならびにキノリン誘導体およびピリジン誘導体(その全体の教示が参照により本明細書に援用される米国特許第5,506,219号および5,691,322号参照)が挙げられる。アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチンおよびピタバスタチンなどのスタチンが好ましい。
【0081】
多種多様の有機分子および無機分子は、アルカリホスファターゼ(ALP)に対するインヒビターである(その全体の教示が参照により本明細書に援用される米国特許第5,948,630号参照)。アルカリホスファターゼインヒビターの例としては、正リン酸塩、ヒ酸塩、L-フェニルアラニン、L-ホモアルギニン、テトラミゾール、レバミゾール、L-p-ブロモテトラミゾール、5,6-ジヒドロ-6-(2-ナフチル)イミダゾ-[2,1-b]チアゾール(ナフチル)およびそれらの誘導体が挙げられる。好ましいインヒビターとしては、限定されないが、レバミゾール、ブロモテトラミゾール、および5,6-ジヒドロ-6-(2-ナフチル)イミダゾ-[2,1-b]チアゾールならびにそれらの誘導体が挙げられる。
【0082】
構造式(9)〜(19)で表されるリン酸インヒビターの「薬学的に許容され得る塩」とは、アミンポリマーの薬学的に許容され得る塩について上述するとおりである。
【0083】
構造式(9)〜(19)の「ヒドロカルビル基」は、脂肪族基もしくはアリーレン基、またはそれらの組み合わせ、すなわちzが正の整数(例えば1から約30)、好ましくは6〜約30、より好ましくは6〜約15、さらにより好ましくは約8〜約14である、-(CH2)Z-もしくは-(CH2)ZC6H4(CH2)Z-である。ヒドロカルビル基は、一つ以上の窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子、またはそれらの組み合わせに任意に割り込まれ得るか、または炭素原子のみの主鎖を有し得る。ヒドロカルビル基の例としては、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ドデシレン、4-オキサオクチレン、4-アザオクチレン、4-チアオクチレン、3,6-ジオキサオクチレン、3,6-ジアザオクチレン、および4,9-ジオキサドデカンが挙げられる。アリーレン基は窒素原子、酸素原子または硫黄原子に割り込まれてヘテロアリーレン基を形成し得る。脂肪族ヒドロカルビル基(またはそれらの脂肪族部分)は、任意で飽和であり得るか、または一つ以上の二重結合もしくは三重結合を任意で有し得、共役系の結合を形成するように配置され得る。共役結合は、不飽和ホスホン酸ホスフィニル基において、二重結合または三重結合を含み得るか、または含み得ない。
【0084】
構造式(9)〜(19)の「脂肪族基」は、完全に飽和しているか不飽和の一つ以上の単位を含む、直鎖、分岐または環状の非芳香族炭化水素である。通常、直鎖または分岐の脂肪族基は1から約20、好ましくは約8から約14の炭素原子を有し、環状脂肪族基は3から約10、好ましくは3から約8の炭素原子を有する。脂肪族基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルおよびオクチルが挙げられる。アルキル基は完全に飽和した脂肪族基である。C1〜C4直鎖もしくは分岐のアルキル基またはC3〜C8環状アルキル基はまた、「低級アルキル」基といわれる。
【0085】
構造式(9)〜(19)の用語「アリール基」とは、フェニル、ナフチル、およびアントラシルなどの炭素環式芳香族基、イミダゾリル、イソイミダゾリル、チエニル、フラニル、ピリジル、ピリミジル、ピラニル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、チアゾイル(thiazoyl)、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、1,2,3-トリザオリル(trizaolyl)、1,2,4-トリアゾリル、およびトリアゾリルなどのヘテロアリール基をいう。「アリーレン基」はアリール基に類似するが、一価の代わりに二価である。
【0086】
構造式(9)〜(19)のヘテロアリール基としてはまた、炭素環式芳香族環またはヘテロアリール環が一つ以上の他のヘテロアリール環に縮合する縮合多環式芳香族環系が挙げられる。例としては、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニルおよびイソインドリルが挙げられる。
【0087】
構造式(9)〜(19)の「オレフィン基」とは、本明細書で使用される場合、二重結合を含む基である。二重結合はE-またはZ-異性体であり得る。好ましくは、二重結合はE-異性体である。
【0088】
構造式(9)〜(19)の「アルキレン基」とは、本明細書で使用される場合、-(CH2)n-で表される。nは1〜10の整数、好ましくは1〜4である。
【0089】
構造式(9)〜(19)において、置換した脂肪族基、置換したアリール基、置換したヒドロカルビル基、置換したアルキル基または置換したヘテロアリール基の適切な置換基は、活性化合物またはポリマーの活性を有意に低下しない(例えば、対応する非置換の化合物と比べておよそ2つの因子より多くの活性を低下しない)置換基である。例としては、-OH、ハロゲン(-Br、-Cl、-Iおよび-F)、-O(Ry、-O-CO-( Ry)、-CN、-NO2、-COOH、=0、-NH2、-NH(Ry)、-N(Ry)2.-COO(Ry)、-CONH2、-C0NH(Ry)、-C0N(Ry)2、-SH、-S(Ry)、脂肪族基、アリール基およびヘテロアリール基が挙げられる。各Rbは独立して、-H、アルキル基またはアリール基である。置換した脂肪族基、置換したアリール基、置換したヒドロカルビル基、置換したアルキル基または置換したヘテロアリール基は、一つより多い置換基を有し得る。
【0090】
構造式(9)〜(19)の「電子求引基」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術において一般に許容される用語の意味を有する。特に、電子求引基は、フェニル環上に基がない場合よりも基がある場合に、より低い電子密度を有するフェニル環をもたらす置換基である。電子求引基は0より大きいハメット(Hammet)シグマ値を有する(例えば、その内容が参照により本明細書に援用されるC. Hansch, A. LeoおよびD. Hoeckman, "Exploring QSAR Hydrophobic, Electronic and Steric Constants", American Chemical Society (1995), 217〜32ページ)。電子求引基の例としては、ハロゲン類、-NO2、-CN、-CF3および-OCF3が挙げられる。ハロゲン、特にフッ化物が好ましい電子求引基である。
【0091】
構造式(9)〜(19)の「リン酸保護基」は、加水分解によりホスフィニル部分およびホスホン酸部分の両者から一般に除去され、それによりホスホン酸ホスフィニルの遊離酸または塩の形態を得る基である。リン酸保護基は、リン酸保護基が所望の速度または所望の条件下で除去されるように選択され得る。リン酸保護基の一例は、単純アルコール(例えばエタノール)のエステル、ジオールもしくはポリオール(例えばグルコースなどの糖類)または高分子アルコール(例えば、ポリビニルアルコール、ポリアリルアルコール、多糖類)である。リン酸保護基としてはまた、リン酸−窒素結合を形成することができるアミンが挙げられる。別の種類のリン酸保護基は、ホスホン酸ホスフィニル基と酸無水物を形成し得る酸ハロゲン化物または他の活性カルボン酸である。リン酸保護基はまた、ホスホン酸ホスフィニル基と加水分解性結合を形成できるペンダント基を有するポリマーであり得る。適切なペンダント基としては、ヒドロキシル基、アミン基およびカルボン酸ならびにそれらの誘導体(例えば、酸ハロゲン化物、酸無水物、など)が挙げられる。
【0092】
本発明の医薬組成物は、ラクトース、デンプン、セルロースおよびブドウ糖などの薬学的に許容され得る担体および/またはそれらの希釈剤を任意に一つ以上含む。香料、甘味料、および、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンおよびブチルパラベンなどの保存料などの他の賦形剤もまた含まれ得る。一部の態様において、薬学的に許容され得る担体、希釈剤または賦形剤は亜鉛塩を含まない。
【0093】
担体、希釈剤および賦形剤は、医薬組成物の他の材料と適合し、医薬組成物の受容体に対して有害でないという意味で「許容できる」。医薬組成物は単位投薬形態で便利に与えられ得、当業者に公知の任意の適切な方法によって調製され得る。一般に医薬組成物は、薬学的に許容され得る亜鉛塩を担体、希釈剤および/または賦形剤と均一に完全に結合させ、必要であればその後、製品をその単位用量に分割することにより調製される。
【0094】
本発明の医薬組成物は、錠剤、サシェ、スラリー、食物処方、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、カシェ剤、チューインガム、またはロゼンジとして製剤化され得る。
【0095】
シロップ製剤は一般的に、香料または着色剤と共に、液体担体、例えば、エタノール、グリセリンまたは水におけるリン酸結合ポリマーまたはその塩の懸濁液または溶液からなる。
【0096】
医薬組成物が錠剤の形態であれば、通常固形剤を調製するために用いられる一つ以上の医薬的担体が用いられ得る。かかる担体の例としては、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトースおよびスクロースが挙げられる。例えば、経口使用のための錠剤製剤は、活性組成物を一つ以上の賦形剤と組み合わせ、得られた混合物を任意で砕き、必要であれば適切な助剤を添加後に、顆粒の混合物を処理して錠剤の核を得ることにより、得ることができる。適切な賦形剤は、特にラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖類などの充填剤、例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース製剤である。必要であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの崩壊剤もまた添加し得る。
【0097】
医薬組成物がカプセルの形態であれば、通常のカプセル封入の使用が一般的に適切であり、例えば、硬質ゼラチンカプセル鞘中の前述の担体が用いられる。例えば、(硬いゼラチンまたはシクロデキストラン(cyclodextran)の皮膜中などに)組成物をカプセル封入する方法は、当該技術分野で公知である(その全体の教示が参照により本明細書に援用されるBakerら、“Controlled Release of Biological Active Agents”, John Wiley and Sons, 1986)。医薬組成物が軟質ゼラチン鞘カプセルの形態であれば、分散液または懸濁液を調製するために通常用いられる担体、例えば水溶性ゴム、セルロース、ケイ酸塩または油類が考えられ得、軟質ゼラチンカプセル鞘に組み込まれる。医薬組成物はまた、ゼラチンなどの適切な材料で作られた押し込み式のカプセル、ならびに適切な材料、例えばゼラチン、およびグリセリンまたはソルビトールなどの可塑剤で作られた軟質の密封カプセルの形態であり得る。押し込み式のカプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクなどの滑剤、ならびに任意に安定剤と混合して、薬学的に許容され得る亜鉛塩を含み得る。軟質カプセルにおいて、薬学的に許容され得る亜鉛塩を、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体に溶解または懸濁し得る。さらに、安定剤を任意で添加し得る。
【0098】
好ましい態様において、本発明の医薬組成物は錠剤として製剤化される。
【0099】
別の好ましい態様において、本発明の医薬組成物は、単位用量が例えばさじもしくはカップ、または所定の投与量を調剤することができる器具で測定されるサシェまたはタブとして簡便に包装され得る粉末製剤として製剤化される。粉末製剤は好ましくは、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸のエステルなど)、カルボキシメチルセルロース、ポリ乳酸、ポリグルタミン酸、ペクチン、キサン、カラギナン、ファーセレラン(furcellaran)、アラビアゴム、カラヤガム、ガティガム、カロブガム、およびトラガカントゴムなどの薬学的に許容され得るアニオン性ポリマーをさらに含む(その全体の教示が参照により本明細書に援用される、2005年9月15日に出願された米国仮出願第60/717,200号参照)。一つ以上の甘味料および/またはフレーバラント(flavorant)はまた、任意に粉末製剤に含まれ得る。
【0100】
上記の記載は、本発明の態様と一致する医薬組成物の経口投与経路に向けられているが、従来使用され薬学的に許容され得る亜鉛塩に対して不活性であるビヒクルまたは担体を用いる他の投与形態が医薬組成物を調製し投与するために利用され得ることを、当業者は理解されたい。かかる方法、ビヒクルおよび担体の実例は、例えばその開示が参照により本明細書に援用されるRemington's Pharmaceutical Sciences, 第18版. (1990)に記載される方法、ビヒクルおよび担体である。
【0101】
「被験体」は好ましくはヒトであるが、また上述されるような薬学的に許容され得る亜鉛塩の処置を必要とする別の動物、例えばペット(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ウマなど)、および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)であり得る。本明細書で使用される場合、薬学的に許容され得る亜鉛塩の処置を必要とする被験体としては、薬学的に許容され得る亜鉛塩で処置されて有益な治療結果および/もしくは予防結果をもたらし得る疾患ならびに/または病状を有する被験体が挙げられる。有益な結果としては、症状の重篤度の軽減もしくは症状の発現の遅延、寿命の延長、および/またはより迅速もしくはより完璧な疾患もしくは病状の消散が挙げられる。例えば、処置の必要な被験体は、通常、例えば腎臓機能の低下または副甲状腺機能低下症に起因する高い血清リン酸塩値、高リン酸血症を有する。処置の必要な被験体としてはまた、慢性腎不全の被験体が挙げられる。薬学的に許容され得る亜鉛塩による処置の必要な被験体の他の例としては、リン代謝障害に関連する疾患の患者が挙げられる。この種類の疾患および/または障害の例としては、副甲状腺機能亢進症、不十分な腎臓機能、および高リン酸血症が挙げられる。
【0102】
本明細書で使用される場合、「処置」は治療的処置および予防的処置の両方を含む。
【0103】
薬学的に許容され得る亜鉛塩または薬学的に許容され得る亜鉛塩の混合物の「有効量」とは、処置がない場合に比べて、(一つ以上の)塩で処置された病状の有益な臨床転帰をもたらす量である。薬学的に許容され得る亜鉛塩または薬学的に許容され得る亜鉛塩の混合物の「有効量」とはまた、例えば、腎不全、副甲状腺機能低下症、または高リン酸血症を発現する危険性のある被験体に与えた場合に有益な予防(propylactic)効果をもたらして、これらの疾患および/または病状の開始を阻止する量である。被験体に投与される薬学的に許容され得る亜鉛塩または薬学的に許容され得る亜鉛塩の混合物の量は、疾患または病状の程度、重篤度、および種類、所望の治療の量、ならびに医薬製剤の放出特性による。また被験体の健康状態、大きさ、体重、年齢、性別および薬物に対する耐性による。通常、本発明の組成物は、所望の治療効果をもたらすのに十分な期間投与される。通常、1日当たり約0.1mg〜1日当たり約10gの薬学的に許容され得る亜鉛塩または薬学的に許容され得る亜鉛塩の混合物(あるいは1日当たり約1mg〜1日当たり約5g、あるいは1日当たり約0.5g〜1日当たり約5g、あるいは1日当たり約0.5〜1日当たり約3g)が、処置を必要とする被験体に投与される。これらの用量が、数回/日(例えば、2、3、4または5回/日)または1回/日で投与され得る。
【0104】
アミンポリマー(例えば、セベラマー、コレセベラムおよびコレスチポール)、または薬学的に許容され得るランタン塩(例えばFosrenol(登録商標))もしくはカルシウム塩(PhosLo(登録商標))などの、上述のリン酸塩金属イオン封鎖剤の有効量は、一般に当該技術分野で公知である。同様に、リン酸輸送インヒビター、HMG-CoAレダクターゼインヒビターまたはアルカリホスファターゼインヒビターの有効量は、一般に当該技術分野で公知である。これらの2番目の物質、例えばリン酸塩金属イオン封鎖剤、リン酸輸送インヒビター、HMG-CoAレダクターゼインヒビターおよびアルカリホスファターゼインヒビターの一つ以上を薬学的に許容され得る亜鉛塩と併用する場合、薬学的に許容され得る亜鉛塩の有効量は、2番目の(一つ以上の)物質の有効量を考慮して調節されて、所望のリン酸結合能力をもたらす。
【0105】
例えば、本発明の医薬組成物が上述の薬学的に許容され得る亜鉛塩およびアミンポリマー(好ましくは脂肪族アミンポリマー)を含む場合、通常、1日当たり約5mg〜1日当たり約15gの医薬組成物(あるいは1日当たり約50mg〜1日当たり約12g、あるいは1日当たり約0.5g〜1日当たり約12g、あるいは1日当たり約1g〜1日当たり約12g、あるいは1日当たり約0.5g〜1日当たり約10g、あるいは1日当たり約1g〜1日当たり約10g、あるいは1日当たり約2g〜約10g、あるいは1日当たり約3g〜1日当たり約10g、あるいは1日当たり約1g〜1日当たり約8g、あるいは1日当たり約2g〜1日当たり約8g、あるいは1日当たり約2g〜1日当たり約6g、あるいは1日当たり約2g〜1日当たり約5g)が、処置を必要とする被験体に投与される。薬学的に許容され得る亜鉛塩が投与される場合、投与の頻度は上述の通りである。一つの具体例において、約0.8〜7.2g(例えば1日当たり2〜3回の一投与あたり、1.2g、1.6g、1.8g、2.0、2.4g、3.0g、3.2g、3.6g、4.0gもしくは4.8g、または1日当たり1回の一投与あたり、3.0g、3.2g、3.6g、4.0gもしくは4.8g、5.4g、6.0g、6.2g、6.6g、7.0gもしくは7.2g)の医薬組成物が1日当たりに投与される。医薬組成物が、食事と共に1日当たり少なくとも4回、食事と共に1日当たり少なくとも3回、食事と共に1日当たり少なくとも2回、食事と共に1日当たり少なくとも1回、投与され得る(その全体の内容が参照により本明細書に援用される、2004年11月1日に出願された米国仮出願第60/623,985、「リン酸結合剤の1日1回の処方(Once a day formulation for phosphate binders)」参照)。
【0106】
通常、本発明の組成物を食事の前もしくは後、または食事と共に投与し得る。好ましくは、本発明の組成物の有効量が、食事と共に数回/日または1回/日で投与される。本明細書で使用される場合、食事の「前」または「後」は通常、食事の開始または終了のそれぞれ2時間以内であり、好ましくは1時間以内、より好ましくは30分以内、最も好ましくは10分以内である。
【0107】
薬学的に許容され得る(一つ以上の)亜鉛塩は、複数投薬単位または好ましくは単独投薬単位で投与され得る。本明細書で使用する場合、投薬単位は、公認技術の手順によって調製される、錠剤、サシェ、スラリー、食物処方、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、カシェ剤、チューインガムなどであり得る。好ましくは投薬単位は、錠剤、カプセル、サシェ、スラリー、懸濁液または食物処方であり、より好ましくは投薬単位は、錠剤、スラリー、懸濁液または食物処方であり、最も好ましくは投薬単位は、錠剤またはサシェである。通常、薬学的に許容され得る(一つ以上の)亜鉛塩の所望の投与は、複数の錠剤もしくはカプセル、または単独投与のサシェ、スラリー、食物処方、懸濁液もしくはシロップで投与される。
【0108】
本発明の方法に従って被験体に投与される本発明の医薬組成物の様々な成分の量は上記の要素によることを、当業者は認識する。
【0109】
本発明を以下の実施例によって説明するが、限定することを決して意図しない。
【実施例】
【0110】
実施例1A. HClセベラマーおよび亜鉛塩:酢酸亜鉛二水和物の混合物
50%NaOH水溶液を添加して、脱イオン水(500mL)への塩酸セベラマー(10g)撹拌混合物のpHをpH 9〜10に調節した。その後、撹拌しながら塩酸セベラマー混合物に酢酸亜鉛二水和物(38.5g)の脱イオン水(200mL)溶液を加えた。室温で1時間撹拌後、混合物のpHはpH 7であった。その後、混合物を濾過し、回収した固体を凍結乾燥して24gを得た。分析実測値:C, 33.85; N, 8.0; Zn, 17.18
【0111】
実施例1B. HClセベラマーおよび亜鉛塩:酢酸亜鉛二水和物の混合物
50%NaOH水溶液を添加して、脱イオン水(500mL)への塩酸セベラマー(10g)撹拌混合物のpHをpH 9〜10に調節した。その後、撹拌しながらセベラマー混合物に酢酸亜鉛二水和物(38.5g)の脱イオン水(200mL)溶液を加えた。室温で1時間撹拌後、混合物のpHはpH 7であった。その後、混合物を濾過せずに凍結乾燥して43gを得た。分析実測値:C, 31.26; N, 5.21; Zn, 28.30
【0112】
実施例2. HClセベラマーおよび亜鉛塩:塩化亜鉛の混合物
50%NaOH水溶液を添加して、脱イオン水(400mL)へのHClセベラマー(10g)撹拌混合物のpHをpH 9〜10に調節した。その後、撹拌しながら塩酸セベラマー混合物に塩化亜鉛(23.9g)の脱イオン水(100mL)溶液を加えた。室温で1時間撹拌後、混合物を凍結乾燥して20.64gを得た。分析実測値:C, 25.33; N, 8.75; Zn, 18.68
【0113】
実施例3. HClセベラマーおよび亜鉛塩:酸化亜鉛の混合物
塩酸セベラマー(10g)、ZnO(14.24g)、および脱イオン水(500mL)の撹拌懸濁液に、撹拌混合物がpH 13になるまで50%NaOH水溶液(5g)を添加した。室温で撹拌後、混合物を濾過した。固形物を漏斗上で脱イオン水により洗浄し、凍結乾燥して21.45gを得た。分析実測値:C, 22.17; H, 4.23; N, 7.57; Zn, 65.47
【0114】
実施例4. HClセベラマーおよび亜鉛塩:酸化亜鉛の混合物
塩酸セベラマー(10g)を水酸化アンモニウム(1L、28〜30%水溶液)へのZnO(28.48g)混合物に添加した。48時間撹拌後、混合物を濾過した。回収した物質を漏斗上で脱イオン水により洗浄し、凍結乾燥して27.5gを得た。分析実測値:C, 17.84; H, 3.21; N, 5.96; Zn, 77.25
【0115】
実施例5. HClセベラマー-ZnOの混合(重量で1:1)
酸化亜鉛(3.00g、ナノパウダー)および塩酸セベラマー(3.00g)を60mLのナルゲン(Nalgene)ボトルに添加した。ボトルは約5分間手で振って混合した。
【0116】
実施例6. HClセベラマー-ZnOの混合(重量で2:1)
酸化亜鉛(3.00g、ナノパウダー)および塩酸セベラマー(6.00g)を60mLのナルゲンボトルに添加した。ボトルは約5分間手で振って混合した。
【0117】
実施例7. ポリ(アクリル酸)およびZnCl2の混合物
塩化亜鉛(30g)の脱イオン水(50mL)溶液をポリ(アクリル酸、ナトリウム塩)(50gの40重量%水溶液)の脱イオン水(100mL)溶液に添加した。一晩撹拌後、混合物を濾過し、水(100mL)で洗浄し、60℃の強制空気オーブンで乾燥して、25.9gの白色固体を得た。
【0118】
実施例8. ポリ(アクリル酸亜鉛)
窒素雰囲気下で(1mLの水に0.2g溶解した)2,2'-アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩をアクリル酸亜鉛(20g)の脱イオン水(380mL)溶液に添加し、溶液を60℃に一晩加熱した。反応混合物を濾過し、固体を脱イオン水(1.5Lで2回)で洗浄して60℃の強制空気オーブンで乾燥後、20.52gを得た。
【0119】
実施例9. 亜鉛塩:20g PDA・HCl、(PDA・HClの重量に基づいて)15% ZnO、(PDAの繰り返し単位の分子量に基づいて)18mol% エピクロルヒドリンの存在下の架橋ポリジアリルアミン(PDA)ポリマー
部分的に中和された塩酸ポリ(ジアリルアミン):ジアリルアミン(2000.3g)を濃HCl(2035.6g)に2日にわたってゆっくり添加した。反応の温度は、氷塩水浴(ice-salt-water bath)でフラスコを冷却しておよび添加速度を調節して10℃以下に維持した。得られた塩酸ジアリルアミン溶液(68.16%塩酸ジアリルアミン)の室温でのpHは0.005であった。オーバーヘッド撹拌器および空気冷却機を備えた12Lの4口丸底フラスコに、塩酸ジアリルアミン(68.16%溶液で3667.8g)および脱イオン水(4665.5g)を添加した。得られた溶液はpH 0.741であった。NaOH(66.8gの50%水溶液)をフラスコに添加した。得られた溶液はpH 2.554であった。撹拌しながら、窒素ガスを泡立ててステンレス製の針で溶液中に通し、空気冷却機の上部で2時間通気した。窒素ラインを鉱油泡沫器(mineral oil bubbler)に陽圧で空気冷却機の上部に置いた。新しく作られた125.0gの脱イオン水中20% 2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩をフラスコに添加した。これは隔壁を通じてシリンジで添加した。2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩溶液は窒素にて脱気しなかった。溶液を、J-Kem温度調節器に接続した加熱マントルで1時間8分に渡り60℃に加熱した。その後、溶液を60℃で18時間加熱した。室温まで冷却後、溶液は濃いオレンジ色の粘性で流動性のある透明な液であった。その後、フラスコの中身を脱イオン水(4166.7g)と組み合わせた。得られた溶液はpH 4.414であった。SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)分析:Mw 61494ダルトン;多分散性 2.43 49.95mLの50%NaOH水溶液を900gポリ(ジアリルアミン)塩酸塩(28.6%(w/w)水溶液)に添加した。溶液はpH 10.13であり、26.3%(w/w)ポリ(ジアリルアミン)塩酸塩に相当した。
【0120】
酸化亜鉛存在下の架橋ポリジアリルアミン(PDA)塩酸塩: 酸化亜鉛(3.05g)を上述のように調製した部分的に中和されたPDA溶液(76g)に添加した。室温で20分撹拌後、エピクロルヒドリン(2.11mL)を添加した。20分以内にゲルになった。室温で一晩硬化後、ゲルを小片に砕き、脱イオン水(4L)に懸濁した。20分撹拌後、懸濁液を濾過した。濾過したポリマーを再び脱イオン水(4L)に懸濁し、20分撹拌して、濾過した。濾過したポリマーを凍結乾燥して21.44gを得た。分析実測値:C, 48.54; H, 8.41; N, 8.60; Zn, 11.46
【0121】
実施例10. 亜鉛塩存在下の架橋ポリエチレンイミン(PEI)ポリマー
エピクロルヒドリン(3.24mL)をポリエチレンイミン(40.0g、低MW)、脱イオン水(60mL)および酸化亜鉛(9.36g)の撹拌混合物に添加した。一晩撹拌後、別の分のエピクロルヒドリン(3.24mL)を添加した。ゲルになり、室温で一晩硬化させた。ゲルを小片に砕き、脱イオン水(4Lで2回)洗浄し、60℃の強制空気オーブンで乾燥して、33.68gを得た。
【0122】
実施例11. 亜鉛塩:20g PEI、(PEIの重量に基づいて)43% ZnO、(PEIの繰り返し単位の分子量に基づいて)9mol% エピクロルヒドリンの存在下の架橋ポリエチレンイミン(PEI)ポリマー
ZnO(9.36g)をポリエチレンイミン(20g、MW 25000、無水)の脱イオン水(80g)溶液に添加した。室温で20分撹拌後、エピクロルヒドリン(3.24mL)を添加した。室温で一晩硬化後、ゲルを小片に砕き、脱イオン水(4L)に懸濁した。20分撹拌後、懸濁液を濾過した。濾過したポリマーを再び脱イオン水(4L)に懸濁し、20分撹拌して、濾過した。濾過したポリマーを60℃の強制空気オーブンで乾燥して、30.97gを得た。分析実測値:C, 37.30; H, 7.64; N, 18.36; Zn, 23.99
【0123】
実施例12A. 亜鉛塩:酸化亜鉛の存在下の架橋ポリアリルアミン(PAA)ポリマー
脱イオン水(1050g)をポリアリルアミン塩酸塩溶液(700gの50%(w/w)水溶液)に添加し、続いてNaOH(水中で50%(w/w)NaOHの185.38g)を添加した。この溶液は18.08%(w/w)ポリアリルアミン塩酸塩の同等物を含む。
【0124】
上述のように調製した部分的に中和されたポリ(アリルアミン)塩酸塩溶液(55.3g)に3.62gの50%NaOH水溶液を(pH 14まで)添加し、続いてZnO(14.24g、ナノパウダー)、その後エピクロルヒドリン(0.97g)を添加した。ゲルになった。室温で硬化後、ゲルを小片に砕き、脱イオン水(1Lで2回)で洗浄し、凍結乾燥し、コーヒーミルで挽き、80メッシュ篩で篩にかけて17.5gを得た。分析実測値:C, 19.08; H, 3.97; N, 6.62; Zn, 68.33
【0125】
実施例12B. 亜鉛塩:10g PAA・HCl、(PAA・HClの重量に基づいて)142% ZnO、(PAAの繰り返し単位の分子量に基づいて)9.8mol% エピクロルヒドリンの存在下の架橋ポリアリルアミン(PAA)ポリマー
実施例12Aに記載のように調製した部分的に中和されたポリ(アリルアミン)塩酸塩溶液(55.3g)に3.62gの50%NaOH水溶液を(pH 14まで)添加し、続いてZnO(14.24g、ナノパウダー)、その後エピクロルヒドリン(0.97g)を添加した。ゲルになった。室温で硬化後、ゲルを小片に砕き、脱イオン水(1Lで3回)で洗浄し、凍結乾燥して22.1gを得た。分析実測値:C, 18.69; H, 3.53; N, 6.13; Zn, 46.89
【0126】
実施例13. 亜鉛塩:10g PAA・HCl、(PAA・HClの重量に基づいて)71% ZnO、(ポリアリルアミンの繰り返し単位の分子量に基づいて)9.8mol% エピクロルヒドリンの存在下の架橋ポリアリルアミン(PAA)ポリマー
部分的に中和されたポリ(アリルアミン)塩酸塩溶液(55.3g)(実施例12A参照)に3.6gの50%NaOH水溶液を(pH 14まで)添加し、続いてZnO(7.12g、ナノパウダー)、その後エピクロルヒドリン(0.97g)を添加した。ゲルになった。室温で硬化後、ゲルを小片に砕き、脱イオン水(1Lで3回)で洗浄し、凍結乾燥して13.1gを得た。分析実測値:C, 27.26; H, 5.52; N, 9.11; Zn, 47.79
【0127】
実施例14. 亜鉛塩:10g PAA・HCl、(PAA・HClの重量に基づいて)36% ZnO、(PAAの繰り返し単位の分子量に基づいて)9.8mol% エピクロルヒドリンの存在下の架橋ポリアリルアミン(PAA)ポリマー
部分的に中和されたポリ(アリルアミン)塩酸塩溶液(55.3g)(実施例12A参照)に3.74gの50%NaOH水溶液を(pH 14まで)添加し、続いてZnO(3.56g、ナノパウダー)、その後エピクロルヒドリン(0.97g)を添加した。ゲルになった。室温で硬化後、ゲルを小片に砕き、脱イオン水(1Lで3回)で洗浄し、凍結乾燥して9.9gを得た。分析実測値:C, 36.73; H, 7.30; N, 12.38; Zn, 27.87
【0128】
実施例15. 亜鉛塩:10g PAA・HCl、(PAA・HClの重量に基づいて)36% ZnO、(PAAの繰り返し単位の分子量に基づいて)20mol% エピクロルヒドリンの存在下の架橋ポリアリルアミン(PAA)ポリマー
部分的に中和されたポリ(アリルアミン)塩酸塩溶液(55.3g)(実施例12A参照)に3.36gの50%NaOH水溶液を(pH 14まで)添加し、続いてZnO(3.56g、ナノパウダー)、その後エピクロルヒドリン(1.94g)を添加した。ゲルになった。室温で硬化後、ゲルを小片に砕き、脱イオン水(0.75Lで3回)で洗浄し、凍結乾燥して11.4gを得た。分析実測値:C, 37.16; H, 7.34; N, 11.72; Zn, 33.31
【0129】
実施例16. 亜鉛塩:10g PAA・HCl、(PAA・HClの重量に基づいて)36% ZnO、(PAAの繰り返し単位の分子量に基づいて)39mol% エピクロルヒドリンの存在下の架橋ポリアリルアミン(PAA)ポリマー
部分的に中和されたポリ(アリルアミン)塩酸塩溶液(55.3g)(実施例12A参照)に3.2gの50%NaOH水溶液を(pH 14まで)添加し、続いてZnO(3.56g、ナノパウダー)、その後エピクロルヒドリン(3.88g)を添加した。ゲルになった。室温で硬化後、ゲルを小片に砕き、脱イオン水(0.75Lで3回)で洗浄し、凍結乾燥して11.4gを得た。分析実測値:C, 37.5; H, 7.18; N, 10.00; Zn, 25.44
【0130】
実施例17. 亜鉛塩:10g PAA・HCl、(PAA・HClの重量に基づいて)14% ZnO、(PAAの繰り返し単位の分子量に基づいて)9.8mol% エピクロルヒドリンの存在下の架橋ポリアリルアミン(PAA)ポリマー
部分的に中和されたポリ(アリルアミン)塩酸塩溶液(55.3g)(実施例12A参照)に3.1gの50%NaOH水溶液を(pH 14まで)添加し、続いてZnO(1.42g、ナノパウダー)を添加した。30分間撹拌後、エピクロルヒドリン(0.97g)を添加した。ゲルになった。室温で硬化後、ゲルを小片に砕き、脱イオン水(1Lで3回)で洗浄し、凍結乾燥して14gを得た。分析実測値:C, 43.81; H, 9.36; N, 15.09; Zn, 16.49
【0131】
実施例18. 亜鉛塩:10g PAA・HCl、(PAA・HClの重量に基づいて)7% ZnO、(PAAの繰り返し単位の分子量に基づいて)9.8mol% エピクロルヒドリンの存在下の架橋ポリアリルアミン(PAA)ポリマー
部分的に中和されたポリ(アリルアミン)塩酸塩溶液(55.3g)(実施例12A参照)に3.31gの50%NaOH水溶液を(pH 14まで)添加し、続いてZnO(0.71g、ナノパウダー)、その後エピクロルヒドリン(0.97g)を添加した。ゲルになった。室温で硬化後、ゲルを小片に砕き、脱イオン水(1Lで3回)で洗浄し、凍結乾燥して14gを得た。分析実測値:C, 48.39; H, 10.19; N, 16.60; Zn, 8.66
【0132】
実施例19. 亜鉛およびマグネシウムの化合物(重量で1:1)存在下の架橋ポリアリルアミン(PAA)ポリマー
部分的に中和されたポリ(アリルアミン)塩酸塩溶液(110.6g)(実施例12A参照)にZnO(3.53g、ナノパウダー)を添加し、MgO(3.53、-325メッシュ)を添加した。室温で1時間撹拌後、エピクロルヒドリン(1.94g)を添加した。
ゲルになった。室温で硬化後、ゲルを小片に砕き、脱イオン水(2Lで4回)で洗浄した。洗浄したゲルを二つの部分に分割した。一つの部分は凍結乾燥して10.64gを得た(実施例19-#1)。分析実測値:C, 37.58; H, 8.12; N, 12.45; Cl, 6.06; Mg, 5.42; Zn, 15.73 もう一方の部分は60℃の強制空気オーブンで乾燥して11.17gを得た(実施例19-#2)。分析実測値:C, 38.50; H, 8.00; N, 13.05; Cl, 6.33; Mg, 8.54; Zn, 16.69
【0133】
実施例20. 亜鉛およびマグネシウムの化合物(重量で1:4)存在下の架橋ポリアリルアミン(PAA)ポリマー
部分的に中和されたポリ(アリルアミン)塩酸塩溶液(110.6g)(実施例12A参照)にZnO(1.76g、ナノパウダー)を添加し、MgO(7.06、-325メッシュ)を添加した。室温で1時間撹拌後、エピクロルヒドリン(1.94g)を添加した。
ゲルになった。室温で硬化後、ゲルを小片に砕き、脱イオン水(2Lで4回)で洗浄した。洗浄したゲルを60℃の強制空気オーブンで乾燥して25.9gを得た。分析実測値:C, 32.01; H, 7.65; N, 10.81; Cl, 6.07; Mg, 8.88; Zn, 4.02
【0134】
実施例21. 尿中リン酸レベルを減少することに対する、亜鉛化合物の効果
雄イエSprague Dawley (SD)ラットを実験に用いた。底がワイヤーの檻に一匹ずつラットを配置し、Purina 5002食を食べさせ、実験への使用前少なくとも5日間順応させた。
【0135】
リン排出のベースラインを設定するため、ラットを代謝檻に48時間配置した。ラットの尿を回収し、日立(Hitachi)分析器で尿のリン含有量を分析してリン排出をmg/日で測定した。範囲外の値の任意のラットを除外し、残りのラットをグループに分配した。
【0136】
Purina 5002を標準食として用いた。試験される薬学的に許容され得る亜鉛塩を、重量で表1に示されるような最終濃度になるようにPurina 5002と混合した。0.5重量%のセルロースを陰性対照として用いた。各ラットに200gの食事を準備した。
【0137】
各ラットを計量し、標準食に置いた。4日後、標準食を処置食(または対照グループには対照食)と取り換えた。5および6日目に、24時間(+/- 30分)にラットから尿試料を回収し、分析した。試験ラットを再び計量し、どんな体重減少または増加をも計算した。どんな残った食料もまた計量して日当たりの摂取食料量を計算した。ベースラインおよびセルロース陰性対照に対するリン排出の変化を、エクセル(Excel)プログラムを用いて計算した。試験ラットから得られた尿中リン酸量の比較の要約を表1に示す。
【0138】
【表1】

【0139】
表1に示すように、酸化亜鉛、塩化亜鉛、脱水酢酸亜鉛、グリシン酸亜鉛一水和物、クエン酸亜鉛二水和物、蓚酸亜鉛およびギ酸亜鉛による亜鉛治療を受けたラットから得られた尿中リン酸量は、亜鉛治療を受けなかった対照の尿中リン酸量よりもずっと低い。
【0140】
実施例22. 尿中リン酸レベルを減少することに対する、亜鉛化合物を含む組成物の効果
実施例21に記載するように、雄イエSprague Dawley (SD)ラットを用いて薬学的に許容され得る亜鉛塩を含む様々な組成物の、尿中リン酸レベルを減少することへの効果を検討した。ベースラインおよびセルロース陰性対照に対するリン排出の変化を、エクセルプログラムを用いて計算した。試験ラットから得られた尿中リン酸量の比較の要約を以下の表2に示す。
【0141】
【表2】




【0142】
表2に示すように、薬学的に許容され得る亜鉛塩を含むリストされた様々な組成物による亜鉛治療を受けたラットから得られた尿中リン酸量は、亜鉛治療を受けなかった対照の尿中リン酸量よりもずっと低い。
【0143】
本発明をその好ましい態様に関して特に説明し記載するが、添付の特許請求の範囲に包含される発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更が本明細書でなされ得ることを当業者は理解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的に許容され得る亜鉛塩の有効量を被験体に投与する工程を含む、被験体における高リン酸血症の処置方法。
【請求項2】
薬学的に許容され得る亜鉛塩が0.1mg/日〜10g/日の量で投与される請求項1記載の方法。
【請求項3】
亜鉛塩が脂肪酸の亜鉛塩ではない請求項1記載の方法。
【請求項4】
亜鉛塩が、酢酸亜鉛、臭化亜鉛、カプリル酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、ギ酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛、ヨウ素酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、ヨウ化亜鉛-デンプン、乳酸亜鉛、硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、蓚酸亜鉛、酸化亜鉛、カラミン、p-フェノールスルホン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、硫化亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、吉草酸亜鉛およびエチレンビス(ジチオカルバメート)亜鉛からなる群より選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
亜鉛塩の混合物を被験体に投与する請求項4記載の方法。
【請求項6】
亜鉛塩が、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、炭酸亜鉛および酒石酸亜鉛からなる群より選ばれる、請求項4記載の方法。
【請求項7】
亜鉛塩が酸化亜鉛である請求項6記載の方法。
【請求項8】
リン酸塩金属イオン封鎖剤を被験体に同時投与することをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
リン酸塩金属イオン封鎖剤が、薬学的に許容され得るカルシウム塩、薬学的に許容され得るアルミニウム塩、薬学的に許容され得るマグネシウム塩、薬学的に許容され得るランタン塩および薬学的に許容され得る鉄塩からなる群より選ばれる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
リン酸塩金属イオン封鎖剤が脂肪族アミンポリマーである請求項8記載の方法。
【請求項11】
リン酸塩金属イオン封鎖剤がコレスチポールである請求項10記載の方法。
【請求項12】
リン酸塩金属イオン封鎖剤が、
【化1】





からなる群より選ばれる式で表される繰り返し単位を一つ以上含む脂肪族アミンポリマー、またはその塩もしくはコポリマーである、
(式中、
yは0または1から10の整数であり、
R、R1、R2およびR3は、独立して、H、置換または非置換のアルキル基またはアリール基であり、
X-は交換可能な負に帯電した対イオンである)
請求項10記載の方法。
【請求項13】
亜鉛塩が、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、炭酸亜鉛および酒石酸亜鉛からなる群より選ばれる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
脂肪族アミンポリマーが多機能性架橋剤を用いて架橋されたポリアリルアミンである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
ポリアリルアミンがセベラマーである請求項14記載の方法。
【請求項16】
ポリアリルアミンがコレセベラムである請求項14記載の方法。
【請求項17】
リン酸輸送インヒビターを被験体に同時投与することをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項18】
HMG-CoAレダクターゼインヒビターを被験体に同時投与することをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項19】
HMG-CoAレダクターゼインヒビターがスタチンである請求項18記載の方法。
【請求項20】
アルカリホスファターゼインヒビターを被験体に同時投与することをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項21】
リン酸輸送インヒビターを被験体に同時投与することをさらに含む請求項6記載の方法。
【請求項22】
HMG-CoAレダクターゼインヒビターを被験体に同時投与することをさらに含む請求項6記載の方法。
【請求項23】
HMG-CoAレダクターゼインヒビターがスタチンである請求項22記載の方法。
【請求項24】
アルカリホスファターゼインヒビターを被験体に同時投与することをさらに含む請求項6記載の方法。
【請求項25】
a)薬学的に許容され得る担体、
b)薬学的に許容され得る亜鉛塩、および
c)アミンポリマー
を含み、アミンポリマーにおけるアミン窒素原子に対する亜鉛塩の亜鉛イオンのモル比が0.1〜3.0である医薬組成物。
【請求項26】
脂肪酸の亜鉛塩を含まないという条件の請求項25記載の医薬組成物。
【請求項27】
亜鉛塩が、酢酸亜鉛、臭化亜鉛、カプリル酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、ギ酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛、ヨウ素酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、ヨウ化亜鉛-デンプン、乳酸亜鉛、硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、蓚酸亜鉛、酸化亜鉛、カラミン、p-フェノールスルホン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、硫化亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、吉草酸亜鉛およびエチレンビス(ジチオカルバメート)亜鉛からなる群より選ばれる、請求項25記載の医薬組成物。
【請求項28】
組成物が亜鉛塩の混合物を含む請求項27記載の医薬組成物。
【請求項29】
亜鉛塩が、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、炭酸亜鉛および酒石酸亜鉛からなる群より選ばれる、請求項27記載の医薬組成物。
【請求項30】
亜鉛塩が酸化亜鉛である請求項29記載の医薬組成物。
【請求項31】
アミンポリマーが脂肪族アミンポリマーである請求項25記載の医薬組成物。
【請求項32】
アミンポリマーがコレスチポールである請求項25記載の医薬組成物。
【請求項33】
アミンポリマーが、
【化2】





からなる群より選ばれる式で表される繰り返し単位を一つ以上含む脂肪族アミンポリマー、またはその塩もしくはコポリマーである、
(式中、
yは0または1から10の整数であり、
R、R1、R2およびR3は、独立してH、置換または非置換のアルキル基またはアリール基であり、
X-は交換可能な負に帯電した対イオンである)
請求項31記載の医薬組成物。
【請求項34】
亜鉛塩が、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、炭酸亜鉛および酒石酸亜鉛からなる群より選ばれる、請求項33記載の医薬組成物。
【請求項35】
亜鉛塩が酸化亜鉛である請求項34記載の医薬組成物。
【請求項36】
脂肪族アミンポリマーが多機能性架橋剤を用いて架橋されたポリアリルアミンである、請求項34記載の医薬組成物。
【請求項37】
ポリアリルアミンがセベラマーである請求項36記載の医薬組成物。
【請求項38】
ポリアリルアミンがコレセベラムである請求項36記載の医薬組成物。
【請求項39】
a)薬学的に許容され得る担体、
b)薬学的に許容され得る亜鉛塩、および
c)薬学的に許容され得るランタン塩、薬学的に許容され得るカルシウム塩、薬学的に許容され得るマグネシウム塩、薬学的に許容され得る鉄塩、リン酸輸送インヒビター、HMG-CoAレダクターゼインヒビターおよびアルカリホスファターゼインヒビターからなる群より選ばれる物質
を含む医薬組成物。
【請求項40】
医薬組成物が脂肪酸の亜鉛塩を含まないという条件の請求項39記載の医薬組成物。
【請求項41】
薬学的に許容され得る亜鉛塩が、酢酸亜鉛、臭化亜鉛、カプリル酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、ギ酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛、ヨウ素酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、ヨウ化亜鉛-デンプン、乳酸亜鉛、硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、蓚酸亜鉛、酸化亜鉛、カラミン、p-フェノールスルホン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、硫化亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、吉草酸亜鉛およびエチレンビス(ジチオカルバメート)亜鉛からなる群より選ばれる、請求項39記載の医薬組成物。
【請求項42】
亜鉛塩の混合物を含む請求項41記載の医薬組成物。
【請求項43】
亜鉛塩が、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、炭酸亜鉛および酒石酸亜鉛からなる群より選ばれる、請求項41記載の医薬組成物。
【請求項44】
亜鉛塩が酸化亜鉛である請求項43記載の医薬組成物。
【請求項45】
HMG-CoAレダクターゼインヒビターを含む請求項43記載の医薬組成物。
【請求項46】
HMG-CoAレダクターゼインヒビターがスタチンである請求項45記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2008−526771(P2008−526771A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549683(P2007−549683)
【出願日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/047582
【国際公開番号】WO2006/072054
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(591042816)ジェンザイム コーポレーション (20)
【Fターム(参考)】