説明

高信頼性基本層トランクに関するシステムおよび方法

【課題】基本層ビットストリームを会議エンドポイント間で移送するための高信頼性ネットワーク通信チャネルを確立する方法を提供する。
【解決手段】優先度が高く損失の影響が大きいデータと、損失の影響が小さい他のデータとを、電気通信ネットワーク上の会議または通信セッションの当事者間で移送するために、前記ネットワーク内の2つのポイント間で会議または通信セッションデータを伝送するのに使用される接続技術または移送方法とは異なる他の接続技術または移送方法を使用して、前記2つのポイント間の高信頼性接続を確立するステップと、確立された前記高信頼性接続を介して前記優先度が高く損失の影響が大きいデータを伝送するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2005年7月20日に出願された米国仮特許出願第60/701,111号、2005年9月7日に出願された同第60/714,600号、および2005年10月4日に出願された同第60/723,347号の優先権を主張する。さらに、本願は、本願と同時に出願された米国特許出願第 SVCSystem 号、同第 SVC 号、および同第 Jitter 号の関連出願である。上記のすべての優先権主張出願および関連出願の内容を参考として本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、マルチメディアおよび電気通信技術に関する。特に、本発明は、スケーラブルビデオ/オーディオコーディング技法を使用した信号圧縮に基づいて、電気通信ネットワークを介したエンドポイント間のオーディオ/ビデオ会議を提供するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
スケーラブルコーディング(scalable coding)技法を用いると、データ信号(例えばオーディオデータ信号および/またはビデオデータ信号)を、多層フォーマットでの伝送用にコーディングし圧縮することが可能となる。該当するデータ信号の情報内容は、それぞれコーディングされる複数の層に割り振られる。それらの複数の層は、それぞれのビットストリームの形で個別にあるいは組み合わせて送信することができる。当然のことながら、「基本層」ビットストリームは、デコードの際に元のオーディオ信号および/またはビデオ信号を所望の最小品質レベルまたは基本品質レベルで復元するのに十分な情報を搬送することができる。他の「拡張層」ビットストリームは、元のオーディオ信号および/またはビデオ信号の基本品質レベルでの復元または解像度が改善されるようにデコードすることが可能な追加的な情報を搬送することができる。上記のスケーラブルコーディングを用いた多層構造では、特定の拡張層ビットストリームをデコードする上で、基本層ビットストリーム内の情報が利用できることが必要であり、場合によっては他のより下位の拡張層ビットストリーム内の追加的な情報が利用できることも必要となる。
【0004】
拡張層を作成する他の方法としては、(a)基本層の情報を参照せずに高品質の信号を完全な形で表現する方法(「同時放送(simulcasting)」としても知られる方法)、または、(b)同様の品質であるが、最小限の相関性を持つ、同じ信号に関する2つ以上の表現を提供する方法が挙げられ、後者では、それら表現のサブセット自体が「基本層」と見なされ、残りの表現は拡張層と見なされることに留意されたい。後者の方法は、多重記述符号化(multiple description coding)としても知られる。本明細書では簡略化のため、上記の方法をまとめて「基本/拡張層コーディング(base and enhancement layer coding)」と総称する。
【0005】
電気通信ネットワークを介して実施されるオーディオおよび/またはビデオ会議システムでは、スケーラブルオーディオコーディング(Scalable Audio Coding: SAC)およびスケーラブルビデオコーディング(Scalable Video Coding: SVC)を使用することができる。本願と同時に出願された米国特許出願第 SVCSystem 号および同第 SVC 号には、例示的なオーディオおよび/またはビデオ会議アプリケーションを対象とする、スケーラブルオーディオ/ビデオコーディングを提供するシステムおよび方法が記載されている。上記の各特許出願では、会議中のエンドポイント間でのSACおよびSVC層ビットストリームの伝送を調整するように設計された、スケーラブルビデオ会議サーバ(SVCS)およびスケーラブルオーディオ会議サーバ(SACS)と呼ばれる特定のIPマルチポイント制御ユニット(MCU)が記載されている。
【0006】
会議中のエンドポイント間で音声と動画が交換される会議アプリケーションでは、伝送中に生じる拡張層情報または拡張層ビットストリームの損失が許容され得る。しかしながら、伝送中に生じる基本層情報または基本層ビットストリームの損失は許容することができない。基本層ビットストリーム内のデータまたは情報が損失すると、受信側のエンドポイントで行われる所望の基本品質あるいは最小品質でのオーディオ信号および/またはビデオ信号の復元品質が大幅に低下する恐れがある。このように所望の基本品質または最小品質での復元性が低下すれば、会議アプリケーションで満足のいく性能が得られない恐れもある。したがって、スケーラブルコーデックまたは層型コーデックに基づくアプリケーションでは、通信ネットワークを介したほぼ無損失の基本層ビットストリーム配信を行うことが重要となる。
【0007】
ベストエフォート型のネットワーク(例えばインターネットプロトコル(IP)ネットワーク)では、利用可能なトランスポート層の各種技法を使えば信頼性の高い配信が実現され得る、低い信頼性のチャネルを介して基本層ビットストリームの配信が行われることもある。このような目的で利用可能なトランスポート層の各種技法としては、例えば標準的な技法(例えば順方向誤り訂正(FEC)や自動再送要求(ARQ))、および、損失パケット伝送の復元メカニズムを改善し、パケット損失の影響を緩和するのに使用され得る米国特許第5,481,312号(「Method Of And Apparatus For The Transmission Of High And Low Priority Segments Of A Video Bitstream Over Packet Networks」)が挙げられる。米国特許第5,510,844号(「Video Bitstream Regeneration Using Previously Agreed To High Priority Segments」)に記載されているように、場合によっては、実時間データ送信に先立って基本層を信頼性のある形でオフライン伝送することも可能である。
【0008】
差別化サービス(differentiated services: DiffServ)を提供することが可能となるインターネットプロトコル(IP)ネットワークでは、高信頼性接続(high reliability connection)を介して基本層を伝送することができる。しかしながら、実際には、例えば継続時間の短い複数の異なる会議セッションが存在する場合に、各エンドポイントまたは会議用ブリッジ接続に対する基本層のデータ伝送に高信頼性チャネルを割り振ることが困難なこともある。DiffServ対応のIPネットワークまたは他のネットワークを介して高信頼性チャネルを予約し提供する場合は、追加的なシグナリング手順および/または手動構成手順が必要となる。これらの追加的なシグナリング手順および/または手動構成手順は、特に継続時間の短い複数の異なる会議セッションが存在し、それらの手順を繰り返す必要がある場合には、会議エンドポイント間および/またはブリッジサーバ間(例えばMCU、SVCS、およびSAC間)の複数組の異なる高信頼性チャネル接続が必要となる可能性があるため、非常に負担の大きい作業となる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、慎重に取り扱うべき(sensitive)基本層ビットストリームを会議エンドポイント間で移送するための高信頼性ネットワーク通信チャネルを確立する代替手法または改良手法が検討されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
電気通信ネットワーク内のエンドポイントおよびブリッジ間の永続的なまたは半永続的な高信頼性チャネル(high reliability channel: HRC)を確立するシステムおよび方法が、提供される。HRCの帯域幅は、優先度の高いデータまたは慎重に取り扱うべきデータ(例えば、データ信号のスケーラブルオーディオおよび/またはビデオコーディングを利用した会議アプリケーションにおける基本層データビットストリーム)の確実な移送および配信のために予約および使用することができる。
【0011】
本発明のシステムおよび方法は、電気通信ネットワーク内の第1のエンドポイントまたはサーバから第2のエンドポイントまたはサーバへの実時間データ伝送を行うために、帯域幅が予約された高信頼性接続を確立することを含む。本発明の一実施形態では、前記高信頼性接続は、前記電気通信ネットワーク内の前記第1のエンドポイント/サーバと、前記第2のエンドポイント/サーバとの間の従来のデータ伝送に使用される技術とは異なる技術に基づくものである。したがって、有利なことに、前記高信頼性接続は、前記ネットワーク上でホストされる個々の通信または会議セッションと独立して、前記エンドポイント/サーバ間で確立することができる。
【0012】
本発明の別の例示的な実施形態では、2つ以上のサーバまたはエンドポイントに由来する、優先度が高く慎重に取り扱うべきデータは、信頼性の高いデータ伝送および配信を保証するように設計された接続を介して伝送を行うために、単一のパケットに多重化される。前記接続は、前記会議セッションとは独立にセットアップされまたは終了される永続的な接続とすることも半永続的な接続とすることもでき、また、動作の際に、前記帯域幅は、前記第1のサーバと前記第2のサーバとの間のネットワークトラフィック推定に応じて調整されることになる。
【0013】
別段の記載がない限り、添付の図面全体を通じて、同じ参照番号および参照符号は図示の各実施形態の同様の機能、要素、コンポーネント、または部分を指すものとして使用する。さらに、以下では添付の図面を参照しながら本発明を詳細に説明するが、そのような説明は例示的な諸実施形態に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】図1Aは、本発明の諸原理に従って、慎重に取り扱うべきデータを安全に配信するための高信頼性チャネルを確立する例示的なシステムの特徴を示すブロック図である。
【図1B】図1Bは、本発明の諸原理に従って、慎重に取り扱うべきデータを安全に配信するための高信頼性チャネルを確立する例示的なシステムの特徴を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、ネットワークポイント間で優先度の高いデータまたは慎重に取り扱うべきデータを伝送し配信するための、永続的なまたは半永続的な高信頼性接続(high reliability connection: HRC)を提供する。優先度の高いデータまたは慎重に取り扱うべきデータは、例えばスケーラブルオーディオおよび/またはビデオコーディングを利用したポイントツーポイントまたはマルチポイント会議アプリケーションで使用される、スケーラブル符号化(scalably coded)基本層データであることもある。また、基本層を作成する他の方法にはとりわけ同時放送および多重記述符号化も含まれるが、本明細書では簡略化のため、これらの方法をまとめて「基本/拡張層コーディング」と総称することに留意されたい。
【0016】
図1Aおよび図1Bは、例示的な電気通信ネットワーク(例えばIPネットワーク100)におけるHRC 140の実装形態を示す。例示的な通信ネットワーク100の範囲は、例えばローカルユーザにサービスを提供するローカルエリアネットワークによってサービスされる、離れた場所の2つの大学キャンパスAおよびBに及ぶこともある(例えば、ローカルユーザ110aおよび110bが関与する大学キャンパスAおよびB内でそれぞれ動作するLAN 1およびLAN 2)。LAN 1およびLAN 2内にはそれぞれ、MCU 120aおよびMCU 120bが配置されている。各キャンパスのローカルユーザ120a(例えばユーザ1, 2,...k)および120b(例えばユーザ1, 2,...k)はそれぞれ、任意の適当なネットワークトポロジ(例えばスター型構成)において各MCUユニットに接続することができる。さらに、MCU 120aおよび120bは、例えば従来のMCU設計、スケーラブルビデオコーディングサーバ(SVCS)設計、およびスケーラブルオーディオコーディングサーバ(SACS)設計を含めた任意の適当なネットワークブリッジデバイス設計を有することができる。例示的なSVCSおよびSACSは、本願と同時に出願された米国特許出願第 SVCS 号に記載されている。図1Bは、SACS設計のMCU 120aおよび120bの一例を示す。
【0017】
通信ネットワーク100を介したキャンパス内通信に関しては、MCU 120aとMCU 120bをベストエフォート型リンクまたはトランク130によって接続することができる。
【0018】
また、本発明によれば、MCU 120aおよびMCU 120bは、第2の通信リンクまたはトランク(すなわちHRC 140)によってベストエフォート型トランク130と並列に相互接続される。2つのMCU間でHRC 140を永続的に確立することにより、少なくともオーディオ会議、ビデオ会議、および遅延の影響を受けやすい(delay-sensitive)他のアプリケーションについては信頼性の高いサービスを提供することができる。HRC 140は、例えばキャンパス内におけるスケーラブルビデオ/オーディオ会議アプリケーションについて、損失の影響が大きい(loss-sensitive)基本層ビットストリームを2つのMCU 間で搬送するように設計することができる。損失の影響が小さい(less loss-sensitive)ビットストリーム(例えば拡張層ビットストリーム)は、従来のIPネットワーク技法を使用して、ベストエフォート型トランク130を介して移送されてもよい。
【0019】
HRC 140は、ベストエフォート型トランク130を確立するためにIPネットワーク100で使用される従来のベストエフォート型配信技術以外の技術を使用して実装することも構成することもできる。例えば、従来のベストエフォート型配信技術を使用した場合、IPネットワーク100内の共用ラインは、拡張層データを配信するベストエフォート型トランク130として機能することができる。一方、HRC 140は、基本層データの移送の為に帯域幅が予約又は指定された専用回線とすることもできる。
【0020】
HRC 140は、永続的なトランク設備(trunk installation)とすることができる。しかしながら、本発明の一代替実施形態では、HRC 140は、適当なIPネットワーク内のほぼ永続的なまたは半永続的な設備として構成することができる。例えば、IPネットワーク100は、差別化サービス(DiffServ)機能を有するネットワークであってもよい。かかるネットワークでは、DiffServ機能を活用して高信頼性接続を所定の固定期間の間HRC 140として確立あるいは指定することができる。HRCとして使用される高信頼性接続の帯域幅は、ネットワーク状態に応じて調整することができ、固定期間予約することも不定期間予約することもできる。
【0021】
HRC 140を確立する他の方法が存在しない場合、または確立されたHRC 140の信頼性が十分には高くない場合は、自動再送要求(ARQ)または順方向誤り訂正(FEC)技法を使用することができる。例えば、あるエンドポイント(例えばユーザ1, 2等)または当該エンドポイントのブリッジ(例えばMCU 120aやMCU 120b)は、HRC 140を介して配信される情報の伝送を先見的に繰り返すことも多重化することもできる。かかる自動繰返し送信の回数は、予想されるチャネルのエラー状態または損失状態に依存する可能性があり、予測される送信損失を見込み的に補償するために、適切に選択することができる。別法として、エンドポイントまたはMCUは、実際の損失に対処して補償情報を遡及的に再送信することもできる。例えば、MCUのエンドポイントは、HRC 140を介して送信された情報をキャッシュすることができ、受信側のエンドポイントまたはMCUから要求があったときにだけ特定のキャッシュ情報を再送信することができる。この手順は、受信側のエンドポイントまたはMCUから、情報損失が検出され速やかに報告され得る場合に適している可能性がある。
【0022】
帯域幅が予約されたHRC 140を確立する上述の方法は、利用可能なチャネル特性およびネットワーク状態に応じて、電気通信ネットワーク内のエンドポイント―MCU間、MCU―エンドポイント間、あるいはMCU間の個々の接続に適用することも、それらの任意の適当な組合せに適用することもできる。さらに、上述のとおり、MCUは従来どおり設計することも、スケーラブルビデオおよび/またはオーディオコーディング伝送向けに設計することもできる。
【0023】
HRCを伴うトランクを使用する重要な利点の1つは、マルチホップ接続において、信頼性に関する任意のプロトコル動作(例えば再送信)が互いに直接接続された2つのポイント間に制限されることである。これによってエンドツーエンド遅延の影響が最小限に抑えられる。一方、エンドツーエンドベースで動作するシステムでは、全体的なエンドツーエンド遅延と等しい遅延が必然的に生じることになる。
【0024】
本発明の他の態様は、HRC 140の帯域幅管理に関するものである。HRC 140上で利用可能な帯域幅が供給過多である場合(すなわち、HRC 140の予約帯域幅すべてが基本層ビットストリームの移送に使用されているわけではない場合)は、損失の影響が大きくない1つまたは複数の拡張層ビットストリームをHRC 140上に移送することもできる。高信頼性チャネルを介した基本層ビットストリームおよび許可された拡張層ビットストリームの多重化は、標準的なパケット多重化技術(例えばTCP/IPスタック技術)を使用して実現することができる。
【0025】
本発明の別の例示的な実施形態では、複数のユーザからの基本層ビデオおよびオーディオパケットならびに時間の影響を受けやすい他のパケットを、より大きいペイロードのパケットに結合又は混ぜ合わせることもでき、その結果、パケットヘッダーのオーバーヘッドが減少することになる。このような混成パケットのペイロードは、帯域幅要件を緩和し、HRC 140の高信頼性接続を介して移送される。
【0026】
さらに、スケーラブルオーディオおよび/またはビデオコーディング機能を使用した場合は、オーディオビデオストリームのデータパケットサイズを周期的に変更することが可能である。かかる状況では、HRC 140を介して様々なエンドポイントからより大きいパケットが同時に送信されることにより、それらのパケットが蓄積されるのを回避するために、MCU 120aおよび120b(例えばSVCSまたはSACS)が送信側のエンドポイントに制御信号を送信して、データ伝送の変調またはスタガリングを行うように構成することができる。かかる構成は、変動の大きい帯域幅需要を均一にすることができ、トランクの使用率を改善することもできる。
【0027】
以上、現時点で好ましいものと考えられる本発明の諸実施形態について説明してきたが、これらの実施形態には本発明の趣旨から逸脱することなく他の変更および修正を加えることができ、そのような変更および修正はすべて本発明の真の範囲に含まれることが企図されていることが、当業者には理解されるであろう。例えば、本明細書では、本発明のHRCが、マルチエンドポイントの会議構成における2つのMCU間の第2の通信リンクまたはトランクとして説明されている。しかしながら、本発明のHRCは有利なことに、他のネットワーク構成で実施することも、任意の2つのネットワーク要素間(例えば、ネットワークのエンドポイントまたは端末間、インターネットワークおよびイントラネットワーク内のポイント間、ネットワークブリッジデバイスまたはサーバ間)で実施することもできることが、容易に理解されるであろう。例えば、HRCまたはトランクは、直接エンドポイント通信を行う2つのユーザ間に適切な形で構成されたMCU(例えばMCU 120aおよびMCU 120b)をユーザ間に介在させることによって確立することができる。別の例として、適切な形で構成されたMCUをエンドポイント自体と併合あるいは統合して、エンドポイント自体に由来するHRC/トランクを提供することもできる。
【0028】
本発明によれば、HRCは、ハードウェアとソフトウェアの任意の適当な組合せを使用して実装されることが理解されるであろう。上述のHRCを実装し作動させるソフトウェア(すなわち命令)は、コンピュータ可読媒体上で提供することができ、そのようなコンピュータ可読媒体としては、それだけに限らないが、ファームウェア、メモリ、記憶装置、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、集積回路、ASIC、オンラインダウンロード可能な媒体、および他の利用可能な媒体を挙げることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
優先度が高く損失の影響が大きいデータと、損失の影響が小さい他のデータとを、電気通信ネットワーク上の会議または通信セッションの当事者間で移送するための方法であって、
前記ネットワーク内の2つのポイント間で会議または通信セッションデータを伝送するのに使用される接続技術または移送方法とは異なる他の接続技術または移送方法を使用して、前記2つのポイント間の高信頼性接続を前記会議または通信セッションと独立して確立し、2以上の通信セッションが前記高信頼性接続を介して同時にデータを送信できるようにするステップと、
確立された前記高信頼性接続を介して前記優先度が高く損失の影響が大きいデータを伝送するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記優先度が高く損失の影響が大きいデータは、スケーラブル符号化ビデオおよび/またはオーディオデータ信号から成る基本層データであり、高信頼性接続を確立する前記ステップは、基本層データを移送するための前記高信頼性接続の帯域幅を予約するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2つのポイントのうちの少なくとも1つは、複数の当事者から受信されるデータパケットを多重化し、多重化された前記データパケットを前記高信頼性接続を介して伝送する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも2つの当事者に由来する、優先度が高く損失の影響が大きいデータは、前記高信頼性接続を介した伝送用の共通ヘッダーに基づいて単一のパケットに多重化される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
高信頼性接続を確立する前記ステップは、前記ネットワーク内の前記2つのポイント間の永続的な高信頼性接続を確立するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記電気通信ネットワークは、差別化サービス機能を有するIPネットワークであり、高信頼性接続を確立する前記ステップは、前記優先度が高く損失の影響が大きいデータの伝送期間にわたって前記2つのポイント間の接続を予約するための前記差別化サービス機能を使用するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
高信頼性接続を確立する前記ステップは、前記優先度が高く損失の影響が大きいデータを伝送するために、前記2つのポイント間の別個の物理接続を使用するステップを含み、前記別個の物理接続は、前記2つのポイント間でデータを伝送する際に前記ネットワークで通常使用される接続とは異なる接続である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記高信頼性接続は、前記2つのポイントによってトランスポート層技法を使用して確立される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記2つのポイントは、ネットワークエンドポイント、インターネットワークポイント、イントラネットワークポイント、およびそれらの任意の組合せのうちの1つから構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
高信頼性接続を確立する前記ステップは、データパケットを少なくとも2回送信するステップと、FEC情報を追加するステップのうちの少なくとも1つのステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
高信頼性接続を確立する前記ステップは、前記会議セッションとは独立にセットアップされまたは終了される半永続的な接続を確立するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
高信頼性接続を確立する前記ステップは、前記2つのポイント間のデータトラフィック推定に応じて、前記高信頼性接続の前記帯域幅を調整するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
高信頼性接続を確立する前記ステップは、前記高信頼性接続を介して伝送されるデータが前記2つのポイントのうちの一方に、蓄積されるのを回避するためにデータ伝送をスタガリングする命令を、送信側の前記当事者にシグナリングするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
高信頼性接続を確立する前記ステップと、確立された前記高信頼性接続を介して前記優先度が高く損失の影響が大きいデータを伝送する前記ステップとは、前記高信頼性接続で使用されていない帯域幅を、他のデータの伝送の為に使用可能にするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
優先度が高く損失の影響が大きいデータと、損失の影響が小さい他のデータとを、電気通信ネットワーク上の会議または通信セッションの当事者間で移送するためのシステムであって、
会議または通信セッションデータを2つのポイント間で伝送するのに使用される接続技術または移送方法とは異なる他の接続技術または移送方法を使用して前記会議または通信セッションと独立して確立される、前記2つのポイント間の高信頼性接続を含み、前記高信頼性接続は2以上の通信セッションが前記高信頼性接続を介して同時にデータを送信できるように構成されており、
前記高信頼性接続は、前記優先度が高く損失の影響が大きいデータを前記2つのポイント間で伝送するように指定される、
システム。
【請求項16】
前記優先度が高く損失の影響が大きいデータは、スケーラブル符号化ビデオおよび/またはオーディオデータ信号から成る基本層データであり、前記高信頼性接続の帯域幅は、前記優先度が高く損失の影響が大きいデータを、介在する前記2つのポイント間で伝送するために予約される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記2つのポイントのうちの少なくとも1つは、複数の当事者から受信されるデータパケットを多重化し、多重化された前記データパケットを前記高信頼性接続を介して伝送するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記2つのポイントのうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの当事者にから受信された優先度が高く損失の影響が大きいデータを、前記高信頼性接続を介した伝送用の共通ヘッダーに基づいて単一のパケットに多重化するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記高信頼性接続は、前記ネットワーク内の前記2つのポイント間の永続的な高信頼性接続である、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記電気通信ネットワークは、差別化サービス機能を有するIPネットワークであり、前記高信頼性接続は、前記優先度が高く損失の影響が大きいデータの伝送期間にわたって前記2つのポイント間の接続を予約するための前記差別化サービス機能を使用して確立される、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記高信頼性接続は、前記2つのポイント間の別個の物理接続であり、前記別個の物理接続は、前記2つのポイント間でデータを伝送する際に前記ネットワークで通常使用される接続とは異なる接続である、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記高信頼性接続は、前記2つのポイントによってトランスポート層技法を使用して確立される接続である、請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記2つのポイントは、ネットワークエンドポイント、インターネットワークポイント、イントラネットワークポイント、およびそれらの任意の組合せのうちの1つから構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項24】
前記高信頼性接続は、データパケットが少なくとも2回送信される接続を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項25】
前記高信頼性接続は、半永続的な接続である、請求項15に記載のシステム。
【請求項26】
前記高信頼性接続は、前記2つのポイント間のデータトラフィック推定に応じてそれ自体の帯域幅が調整可能な接続である、請求項15に記載のシステム。
【請求項27】
前記高信頼性接続は、前記高信頼性接続を介して伝送されるデータが前記2つのポイントのうちの一方に、蓄積されるのを回避するためにデータ伝送をスタガリングする命令をシグナリングすることによって確立される、請求項15に記載のシステム。
【請求項28】
前記高信頼性接続で使用されていない帯域幅を、他のデータの伝送の為に使用可能にするように構成された請求項15に記載のシステム。
【請求項29】
請求項1から14のうちいずれか一項に記載の各ステップを実施する一式の命令を含むコンピュータ可読媒体。

【図1A】
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【図1B】
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【公開番号】特開2013−102524(P2013−102524A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−12850(P2013−12850)
【出願日】平成25年1月28日(2013.1.28)
【分割の表示】特願2008−529987(P2008−529987)の分割
【原出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(508019920)ヴィドヨ,インコーポレーテッド (16)
【Fターム(参考)】